以下、図面を用いて本発明を実施するための実施形態を説明する。
(第1実施形態)
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る反射型液晶位相変調装置の構成を説明する。図1において、反射型液晶位相変調装置11は、反射型液晶位相変調部12、第1偏光ビームスプリッタ13−1、第2偏光ビームスプリッタ13−2を備える。また、反射型液晶位相変調装置11は、1/4波長板14、反射鏡15、電圧供給部16を備える。
反射型液晶位相変調部12は、1枚の半導体基板に形成された反射型液晶素子で構成され、透明電極(図示せず)と反射電極(図示せず)とで挟持して封入された液晶(図示せず)を備える。反射型液晶位相変調部12を構成する液晶は、液晶の長軸方向の配光軸が第1偏光方向の光の偏光軸と平行な第1液晶領域12−1と、液晶の長軸方向の配光軸が第2偏光方向の光の偏光軸と平行な第2液晶領域12−2とを備える。
ここで、特定の方向に偏光した光であって、光の入射方向に対してY軸方向の直線偏光の光をS偏光の光とし、入射方向に対してY軸方向と直交するX軸方向の直線偏光の光をP偏光の光とする。すなわち、光の入射面に垂直な方向をZ軸方向とするとY軸方向の光をS偏光の光とし、X軸方向の光をP偏光の光とする。この第1実施形態ならびに第2実施形態では、第1偏光方向の光をS偏光の光とし、第2偏光方向の光をP偏光の光とする。
反射型液晶位相変調部12は、透明電極から入射した第1偏光方向の光を第1液晶領域12−1を透過し、透過した第1偏光方向の光を反射電極で反射して再び第1液晶領域12−1を透過して透明電極から出射する。反射型液晶位相変調部12は、透明電極から入射した第2偏光方向の光を第2液晶領域12−2を透過し、透過した第2偏光方向の光を反射電極で反射して再び第2液晶領域12−2を透過して透明電極から出射する。
なお、本発明のすべての実施形態において、液晶に対して入出射する光は、光が液晶に入出射する入出射面に対して概ね垂直に入出射する。
このように、第1液晶領域12−1ならびに第2液晶領域12−2の2つの異なる液晶領域で光を往復させ、第1液晶領域12−1に入射する光に対して第2液晶領域12−2を出射する光に位相差を与える。
ここで用いる反射型液晶素子は、ネマチック液晶を用いるものが好ましい。ネマチック液晶は、水平配向(ホモジニアス配向)と垂直配向(ホメオトロピック配向)とがある。水平配向は、電圧が印加されていない状態で液晶分子の長軸方向が透明電極面と略平行となる。垂直配向は、電圧が印加されていない状態で液晶分子の長軸方向が透明電極面と略垂直となる。水平配向には、正の誘電異方性(Δε>0)を有する液晶材料を用い、垂直配向には、負の誘電異方性(Δε<0)を用いる。
なお、本発明の各実施形態における反射型液晶素子の液晶層は、水平配向または垂直配向のどちらでもよい。垂直配向の場合には、液晶に電圧を印加して一定の電圧値以上であると液晶の長軸方向が透明電極面に沿った一方向に配向する。したがって、水平配向および垂直配向は、電圧が印加されていない状態では、いずれも液晶層に印加する電圧値によって液晶分子の長軸方向の向きが変化する。しかし、水平配向と垂直配向とは、電圧値の大きさと液晶分子の長軸方向の向きとの関係が逆になるだけであって、いずれも入射する光の位相を変調させる機能を有する。
以下の実施形態の説明においては、液晶層が垂直配向の場合について説明する。また、一対となる垂直方向の配向膜の配向方向は、互いに反平行方向となるように構成される。
反射型液晶素子は、複数の画素により構成され、各々の画素に対して独立して個別に任意の電圧値を与えることができる。ただし、各画素に印加できる電圧の最大値は、反射型液晶素子の設計耐圧と、電圧供給側の構成によって決まり、一般的には例えば4V程度である。この電圧値を上限として、液晶に印加する電圧に応じて各画素で入射光に対して出射光に任意の位相差を与えることができる。
ここで、反射型液晶素子で構成される、反射型液晶位相変調部12によって与えられる位相差を説明する。
1枚の半導体基板に形成された反射型液晶素子の液晶に電圧を印加した場合と、印加していない場合との出射光の位相差△φ1は、次式(1)で表される。すなわち、入射光が所定の電圧が印加された液晶内を透過し、透過した光が反射電極で反射し、再度液晶を透過して出射し、液晶内を光が1往復することで、入射光に対して出射光に△φ1の位相差が与えられる。
Δφ1=2×Δn×d×2π/λ …(1)
上式(1)において、液晶の厚さをd、入射光の波長をλ、液晶に所定の電圧を印加したときの屈折率異方性を△nとする。屈折率異方性△nは、(ne−no)となり、液晶の長軸方向の屈折率をne、液晶の短軸方向の屈折率をnoとする。
この第1実施形態の装置では、1枚の半導体基板に形成された反射型液晶素子の液晶を、第1液晶領域12−1と第2液晶領域12−2との2つの液晶領域に分割している。この構成により、光が第1液晶領域12−1内を1往復し、第1液晶領域12−1内を1往復した光が、第2液晶領域内を1往復したときの位相差△φ2は、次式(2)で表される。
Δφ2=4×Δn×d×2π/λ …(2)
上式(2)は、上式(1)に比べて2倍の位相差が与えられることを示している。
このように、1枚の半導体基板に形成された2つの液晶領域のそれぞれで光を往復させることで、光が1つの液晶領域を1回往復した場合に比べて、液晶の厚みdが同じ場合には2倍の位相差が得られることになる。言い換えれば、同じ位相差を得るためには、液晶の厚みdは1/2の厚みでよいことが分かる。
この第1実施形態では、反射型液晶素子を2つの液晶領域に分割した構成を採用している。したがって、液晶に印加できる最大電圧で入射光に対して出射光に0〜2πの範囲の位相変調制御が可能であればよい。すなわち、1つの液晶領域において、液晶に印加できる最大電圧で入射光に対して出射光に0〜πの範囲の位相変調制御ができるように液晶の厚みdが設定される。
第1偏光ビームスプリッタ13−1は、反射型液晶位相変調部12の第1液晶領域12−1に対向して配置される。第1偏光ビームスプリッタ13−1は、直方形状の対角線に沿って偏光分離面13−1aが形成されている。
第1偏光ビームスプリッタ13−1は、偏光分離面13−1aで入射光を透過または反射する。すなわち、第1偏光ビームスプリッタ13−1は、入射光の内、S偏光の入射光を90度反射し、P偏光の入射光を透過する。第1偏光ビームスプリッタ13−1は、入射光を90度反射して反射型液晶位相変調部12の第1液晶領域12−1に出射する。第1偏光ビームスプリッタ13−1は、第1液晶領域12−1を透過して反射型液晶位相変調部12を出射した光を入射し、入射した光を透過して出射する。
第2偏光ビームスプリッタ13−2は、反射型液晶位相変調部12の第2液晶領域12−2に対向して配置される。第2偏光ビームスプリッタ13−2は、直方形状の対角線に沿って偏光分離面13−2aが形成されている。
第2偏光ビームスプリッタ13−2は、偏光分離面13−2aで入射光を透過または反射する。すなわち、第2偏光ビームスプリッタ13−2は、入射光の内、S偏光の入射光を90度反射し、P偏光の入射光を透過する。第2偏光ビームスプリッタ13−2は、入射光を透過して反射型液晶位相変調部12の第2液晶領域12−2に出射する。第2偏光ビームスプリッタ13−2は、第2液晶領域12−2を透過して反射型液晶位相変調部12を出射した光を入射し、入射した光を90度反射して出射する。
1/4波長板14は、反射型液晶位相変調部12と第1偏光ビームスプリッタ13−1との間、ならびに反射型液晶位相変調部12と第2偏光ビームスプリッタ13−2との間に配置される。1/4波長板14は、入射光に対して45度の角度で光学軸が傾斜している。これにより、1/4波長板14は、第1偏光ビームスプリッタ13−1または第2偏光ビームスプリッタ13−2と反射型液晶位相変調部12との間で往復する光を透過して、光の偏光方向を変える。
すなわち、1/4波長板14は、第1偏光ビームスプリッタ13−1から出射したS偏光の光を透過し、透過したS偏光の光が第1液晶領域12−1を往復して透過することで、S偏光の光をP偏光の光に変える。また、1/4波長板14は、第2偏光ビームスプリッタ13−2から出射したP偏光の光を透過し、透過したP偏光の光が第2液晶領域12−2を往復して透過することで、P偏光の光をS偏光の光に変える。
反射鏡15は、三角ミラーで構成される。反射鏡15は、第1偏光ビームスプリッタ13−1ならびに第2偏光ビームスプリッタ13−2に対して、1/4波長板14が配置された側と反対側に配置される。反射鏡15は、第1偏光ビームスプリッタ13−1に対して45度の角度で傾斜した第1反射面15−1と、第2偏光ビームスプリッタ13−2に対して45度の角度で傾斜した第2反射面15−2とを備える。
反射鏡15は、第1偏光ビームスプリッタ13−1から出射された光を第1反射面15−1で90度反射し、第2反射面15−2に出射する。反射鏡15は、第2反射面15−2に入射した光を90度反射し、第2偏光ビームスプリッタ13−2に出射する。
電圧供給部16は、反射型液晶位相変調部12の液晶に印加する所定の電圧を供給する。電圧供給部16は、反射型液晶位相変調部12の第1液晶領域12−1ならびに第2液晶領域12−2に対して、それぞれ独立して個別に任意の電圧を供給する。液晶に供給する電圧は、液晶の耐圧によって決まる最大印加電圧を上限として、各液晶領域で得ようとする位相差に応じて設定される。液晶に供給する電圧は、液晶の焼き付きを抑制するために、交流電圧が好ましい。
次に、図2を参照して、反射型液晶位相変調装置11における光の光路、ならびに入射光に与えられる位相差について説明する。
反射型液晶位相変調装置11の入射光となる、Y軸方向の直線偏光であるS偏光の光21aは、第1偏光ビームスプリッタ13−1に入射する。第1偏光ビームスプリッタ13−1に入射した光21aは、偏光分離面13−1aで90度反射し、1/4波長板14に入射する。1/4波長板14に入射した光21bは、1/4波長板14を透過して円偏光の光となり、反射型液晶位相変調部12の第1液晶領域12−1に入射する。
S偏光と平行な配向軸の液晶で構成される第1液晶領域12−1に入射した光21bは、第1液晶領域12−1を透過して反射電極で反射する。反射電極で反射した光21cは、再び第1液晶領域12−1を透過して、反射型液晶位相変調部12から出射する。このとき、第1液晶領域12−1は、電圧供給部16から所定の電圧が印加され、印加された電圧値に応じて液晶分子が傾斜している。
これにより、光が第1液晶領域12−1の液晶内を往復することで、第1液晶領域12−1に入射する光21bに対して第1液晶領域12−1から出射する光21cに位相差を与えることができる。すなわち、光21bに対して光21cには、第1液晶領域12−1の液晶に印加される電圧に応じて、0〜πの範囲の位相差を与えることが可能となる。
第1液晶領域12−1から出射した光21cは、1/4波長板14を透過する。これにより、光21cはX軸方向の直線偏光であるP偏光の光に変わる。P偏光に変わった光21cは、第1偏光ビームスプリッタ13−1に入射する。光21cはP偏光の光なので、第1偏光ビームスプリッタ13−1の偏光分離面13−1aを透過する。透過した光21cは、反射鏡15の第1反射面15−1に入射する。
第1反射面15−1に入射した光21cは、第1反射面15−1で90度反射する。反射した光21dは、反射鏡15の第2反射面15−2に入射し、第2反射面15−2で90度反射する。反射した光21eは、第2偏光ビームスプリッタ13−2に入射する。
第2偏光ビームスプリッタ13−2に入射したP偏光の光21eは、偏光分離面13−2aを透過し、1/4波長板14に入射する。1/4波長板14に入射した光21eは、1/4波長板14を透過して円偏光の光となり、反射型液晶位相変調部12の第2液晶領域12−2に入射する。
P偏光と平行な配向軸の液晶で構成される第2液晶領域12−2に入射した光21eは、第2液晶領域12−2を透過して反射電極で反射する。反射電極で反射した光21fは、再び第2液晶領域12−2を透過して、反射型液晶位相変調部12から出射する。このとき、第2液晶領域12−2は、電圧供給部16から所定の電圧が印加され、印加された電圧値に応じて液晶分子が傾斜している。
これにより、光が第2液晶領域12−2の液晶内を往復することで、第2液晶領域12−2に入射する光21eに対して第2液晶領域12−2から出射する光21fに位相差を与えることができる。すなわち、光21eに対して光21fには、第2液晶領域12−2の液晶に印加される電圧に応じて、0〜πの範囲の位相差を与えることが可能となる。
第2液晶領域12−2から出射した光21fは、1/4波長板14を透過する。これにより、光21fはY軸方向の直線偏光であるS偏光の光に変わる。S偏光に変わった光21fは、第2偏光ビームスプリッタ13−2に入射する。光21fはS偏光の光なので、第2偏光ビームスプリッタ13−2の偏光分離面13−2aで90度反射する。反射した光21gは、第2偏光ビームスプリッタ13−2から出射し、反射型液晶位相変調装置11の出射光となる。
このような光路において、反射型液晶位相変調装置11に入射する光21aに対して出射される光21gが持つ位相差は、第1液晶領域12−1で与えられた位相差と、第2液晶領域12−2で与えられた位相差の和となる。これにより、反射型液晶位相変調装置11は、各液晶領域の印加電圧に応じて、入射光に対して出射光に0〜2πまでの範囲で任意の位相差を与えることができる。
次に、反射型液晶位相変調装置11における位相変調の応答速度について説明する。
上記構成において、以下に示す測定要件で位相変調の応答速度を測定した。入射光を例えばS偏光で波長1550nm程度の光とした。反射型液晶位相変調装置11の出射光側に入射光の偏光方向と直交するX軸方向に対し45度の角度の光のみを透過する偏光子を配置した。電圧供給部16から交流電圧を各液晶領域に印加した場合と、印加しない場合とにおける光透過光量の時間的変化を光検出器とオシロスコープを用いて測定した。
ここで、位相変調の応答速度とは、光透過光量が最大値の10%程度から90%程度まで遷移する時間と、逆に90%程度から10%程度まで遷移する時間との合計とした。また、0〜2πの位相差を確保するために、各液晶領域における液晶の厚みdは5μm程度とした。各液晶領域における液晶の屈折率異方性△nは、0.12(測定波長1550nm)程度であった。このような測定要件で、位相変調の応答速度を測定した結果、45msec程度の応答速度が得られた。
これに対して、反射型液晶位相変調が1枚の半導体基板に形成されて、光が液晶を1往復するような従来の構成において、上記と同様の位相差を得る際の応答時間を測定した。測定要件としては、上記測定時と同じ液晶を使用し、液晶の厚みdを10μm程度とした。このような測定要件で、位相変調の応答速度を測定した結果、応答速度は180msec程度であった。
上記測定結果から分かるように、この実施形態1における反射型液晶位相変調装置11では、0〜2πの十分な位相差を確保して、位相変調の応答時間を向上することができる。
以上説明したように、この実施形態1によれば、1枚の半導体基板に液晶の配光軸が異なる2つの第1液晶領域12−1、第2液晶領域12−2を設け、それぞれの液晶領域で光を往復させる構成を採用している。これにより、液晶の厚みdを厚くすることなく、0〜2πの十分な位相差を確保して、位相変調の応答時間を高速化することができる。
特に、この第1実施形態における反射型液晶位相変調装置11は、位相変調しようとする光の波長が長く、例えば1550nm程度の波長帯域の光に対して、大きな位相差が要求される光通信で使用する位相変調装置に好適に用いることができる。
反射型液晶位相変調装置11に入射する光は、光が液晶に入射する入射面に対して概ね垂直となる。これにより、液晶分子の複屈折依存性の影響が抑制され、出射光のコントラスト比が高く、精密な位相パターンを得ることが可能となる。
これに対して、光が液晶の入射面に対して角度を持つ場合には、液晶分子の複屈折依存性の影響を受けやすくなり、出射光のコントラスト比が低下し、精密な位相パターンが得られなくなる。
1枚の半導体基板で装置を構成しているので、構成を小型化することが可能である。また、偏光ビームスプリッタや1/4波長板、反射鏡を用いているので、装置を簡易に構成することが可能となる。
(第2実施形態)
図3を参照して、本発明の第2実施形態に係る反射型液晶位相変調システムの構成を説明する。図3において、この第2実施形態の反射型液晶位相変調システム31は、1枚の半導体基板に、第1実施形態の第1液晶領域12−1、第2液晶領域12−2と同様な液晶領域を4つ形成して構成される。すなわち、反射型液晶位相変調システム31は、1枚の半導体基板に、第1実施形態の反射型液晶位相変調装置11を2つ形成し、一方の装置の出射光を他方の装置の入射光として構成される。なお、図3において、図1と同様の構成には同符号を付して、その説明は省略する。
反射型液晶位相変調システム31は、第1実施形態の反射型液晶位相変調装置11と同様の構成の第1反射型液晶位相変調装置31−1ならびに第2反射型液晶位相変調装置31−2を備える。第1反射型液晶位相変調装置31−1ならびに第2反射型液晶位相変調装置31−2は、反射型液晶位相変調部12ならびに1/4波長板14を共通化して構成される。第1反射型液晶位相変調装置31−1から出射された光21gは、第2反射型液晶位相変調装置31−2の入射光として与えられる。
この第2実施形態では、1枚の半導体基板に形成された反射型液晶素子の液晶は、4つの液晶領域に分割されている。この構成により、光がそれぞれ4つの液晶領域を往復したときの位相差△φ3は、次式(3)で表される。
Δφ3=8×Δn×d×2π/λ …(3)
上式(3)は、第1実施形態で示した式(1)に比べて4倍の位相差が与えられることを示している。
このように、1枚の半導体基板に形成された4つの液晶領域のそれぞれで光を往復させることで、光が1つの液晶領域を1回往復した場合に比べて、液晶の厚みdが同じ場合には4倍の位相差が得られることになる。言い換えれば、同じ位相差を得るためには、液晶の厚みdは1/4の厚みとすることが可能となる。
次に、図3を参照して、反射型液晶位相変調システム31における光の光路、ならびに入射光に与えられる位相差について説明する。
反射型液晶位相変調システム31の入射光となる、Y軸方向の直線偏光であるS偏光の光21aは、第1反射型液晶位相変調装置31−1の第1偏光ビームスプリッタ13−1に入射する。第1反射型液晶位相変調装置31−1の第1偏光ビームスプリッタ13−1に入射した光21aは、偏光分離面13−1aで90度反射し、1/4波長板14に入射する。1/4波長板14に入射した光21bは、1/4波長板14を透過して円偏光の光となり、第1反射型液晶位相変調装置31−1の反射型液晶位相変調部12の第1液晶領域12−1に入射する。
S偏光と平行な配向軸の液晶で構成される第1液晶領域12−1に入射した光21bは、第1反射型液晶位相変調装置31−1の第1液晶領域12−1を透過して反射電極で反射する。反射電極で反射した光21cは、再び第1液晶領域12−1を透過して、第1反射型液晶位相変調装置31−1の反射型液晶位相変調部12から出射する。このとき、第1液晶領域12−1は、電圧供給部16から所定の電圧が印加され、印加された電圧値に応じて液晶分子が傾斜している。
これにより、光が第1反射型液晶位相変調装置31−1の第1液晶領域12−1の液晶内を往復することで、第1液晶領域12−1に入射する光21bに対して第1液晶領域12−1から出射する光21cに位相差を与えることができる。すなわち、光21bに対して光21cには、第1液晶領域12−1の液晶に印加される電圧に応じて、0〜π/2の範囲の位相差を与えることが可能となる。
第1反射型液晶位相変調装置31−1の第1液晶領域12−1から出射した光21cは、1/4波長板14を透過する。これにより、光21cはX軸方向の直線偏光であるP偏光の光に変わる。P偏光に変わった光21cは、第1反射型液晶位相変調装置31−1の第1偏光ビームスプリッタ13−1に入射する。光21cはP偏光の光なので、第1偏光ビームスプリッタ13−1の偏光分離面13−1aを透過する。透過した光21cは、第1反射型液晶位相変調装置31−1の反射鏡15の第1反射面15−1に入射する。
第1反射面15−1に入射した光21cは、第1反射面15−1で90度反射する。反射した光21dは、反射鏡15の第2反射面15−2に入射し、第2反射面15−2で90度反射する。反射した光21eは、第1反射型液晶位相変調装置31−1の第2偏光ビームスプリッタ13−2に入射する。
第1反射型液晶位相変調装置31−1の第2偏光ビームスプリッタ13−2に入射したP偏光の光21eは、偏光分離面13−2aを透過し、1/4波長板14に入射する。1/4波長板14に入射した光21eは、1/4波長板14を透過して円偏光の光となり、第1反射型液晶位相変調装置31−1の反射型液晶位相変調部12の第2液晶領域12−2に入射する。
P偏光と平行な配向軸の液晶で構成される第2液晶領域12−2に入射した光21eは、第2液晶領域12−2を透過して反射電極で反射する。反射電極で反射した光21fは、再び第2液晶領域12−2を透過して、第1反射型液晶位相変調装置31−1の反射型液晶位相変調部12から出射する。このとき、第2液晶領域12−2は、電圧供給部16から所定の電圧が印加され、印加された電圧値に応じて液晶分子が傾斜している。
これにより、光が第1反射型液晶位相変調装置31−1の第2液晶領域12−2の液晶内を往復することで、第2液晶領域12−2に入射する光21eに対して第2液晶領域12−2から出射する光21fに位相差を与えることができる。すなわち、光21eに対して光21fには、第2液晶領域12−2の液晶に印加される電圧に応じて、0〜π/2の範囲の位相差を与えることが可能となる。
第1反射型液晶位相変調装置31−1の第2液晶領域12−2から出射した光21fは、1/4波長板14を透過する。これにより、光21fはY軸方向の直線偏光であるS偏光の光に変わる。S偏光に変わった光21fは、第1反射型液晶位相変調装置31−1の第2偏光ビームスプリッタ13−2に入射する。光21fはS偏光の光なので、第2偏光ビームスプリッタ13−2の偏光分離面13−2aで90度反射する。反射した光21gは、第2偏光ビームスプリッタ13−2から出射し、第2反射型液晶位相変調装置31−2の入射光となる。
第2反射型液晶位相変調装置31−2の入射光となる、S偏光の光21gは、第2反射型液晶位相変調装置31−2の第1偏光ビームスプリッタ13−1に入射する。第2反射型液晶位相変調装置31−2の第1偏光ビームスプリッタ13−1に入射した光21gは、偏光分離面13−1aで90度反射し、1/4波長板14に入射する。1/4波長板14に入射した光21hは、1/4波長板14を透過して円偏光の光となり、第2反射型液晶位相変調装置31−2の反射型液晶位相変調部12の第1液晶領域12−1に入射する。
S偏光と平行な配向軸の液晶で構成される第1液晶領域12−1に入射した光21hは、第2反射型液晶位相変調装置31−2の第1液晶領域12−1を透過して反射電極で反射する。反射電極で反射した光21iは、再び第1液晶領域12−1を透過して、第2反射型液晶位相変調装置31−2の反射型液晶位相変調部12から出射する。このとき、第1液晶領域12−1は、電圧供給部16から所定の電圧が印加され、印加された電圧値に応じて液晶分子が傾斜している。
これにより、光が第2反射型液晶位相変調装置31−2の第1液晶領域12−1の液晶内を往復することで、第1液晶領域12−1に入射する光21hに対して第1液晶領域12−1から出射する光21iに位相差を与えることができる。すなわち、光21hに対して光21iには、第1液晶領域12−1の液晶に印加される電圧に応じて、0〜π/2の範囲の位相差を与えることが可能となる。
第2反射型液晶位相変調装置31−2の第1液晶領域12−1から出射した光21iは、1/4波長板14を透過する。これにより、光21iはX軸方向の直線偏光であるP偏光の光に変わる。P偏光に変わった光21iは、第2反射型液晶位相変調装置31−2の第1偏光ビームスプリッタ13−1に入射する。光21iはP偏光の光なので、第1偏光ビームスプリッタ13−1の偏光分離面13−1aを透過する。透過した光21iは、第2反射型液晶位相変調装置31−2の反射鏡15の第1反射面15−1に入射する。
第1反射面15−1に入射した光21iは、第1反射面15−1で90度反射する。反射した光21jは、反射鏡15の第2反射面15−2に入射し、第2反射面15−2で90度反射する。反射した光21kは、第2反射型液晶位相変調装置31−2の第2偏光ビームスプリッタ13−2に入射する。
第2反射型液晶位相変調装置31−2の第2偏光ビームスプリッタ13−2に入射したP偏光の光21kは、偏光分離面13−2aを透過し、1/4波長板14に入射する。1/4波長板14に入射した光21kは、1/4波長板14を透過して円偏光の光となり、第2反射型液晶位相変調装置31−2の反射型液晶位相変調部12の第2液晶領域12−2に入射する。
P偏光と平行な配向軸の液晶で構成される第2液晶領域12−2に入射した光21kは、第2液晶領域12−2を透過して反射電極で反射する。反射電極で反射した光21lは、再び第2液晶領域12−2を透過して、第2反射型液晶位相変調装置31−2の反射型液晶位相変調部12から出射する。このとき、第2液晶領域12−2は、電圧供給部16から所定の電圧が印加され、印加された電圧値に応じて液晶分子が傾斜している。
これにより、光が第2反射型液晶位相変調装置31−2の第2液晶領域12−2の液晶内を往復することで、第2液晶領域12−2に入射する光21kに対して第2液晶領域12−2から出射する光21lに位相差を与えることができる。すなわち、光21kに対して光21lには、第2液晶領域12−2の液晶に印加される電圧に応じて、0〜π/2の範囲の位相差を与えることが可能となる。
第2反射型液晶位相変調装置31−2の第2液晶領域12−2から出射した光21lは、1/4波長板14を透過する。これにより、光21lはY軸方向の直線偏光であるS偏光の光に変わる。S偏光に変わった光21lは、第2反射型液晶位相変調装置31−2の第2偏光ビームスプリッタ13−2に入射する。光21lはS偏光の光なので、第2偏光ビームスプリッタ13−2の偏光分離面13−2aで90度反射する。反射した光21mは、第2偏光ビームスプリッタ13−2から出射し、第2反射型液晶位相変調装置31−2から出射され、反射型液晶位相変調システム31の出射光となる。
このような光路において、反射型液晶位相変調システム31に入射する光21aに対して出射される光21mが持つ位相差は、それぞれの装置で得られる位相差の和となる。すなわち、光21mに与えられる位相差は、第1反射型液晶位相変調装置31−1の第1液晶領域12−1ならびに第2液晶領域12−2で与えられた位相差と、第2反射型液晶位相変調装置31−2の第1液晶領域12−1ならびに第2液晶領域12−2で与えられた位相差との和となる。
これにより、反射型液晶位相変調システム31は、各液晶領域の印加電圧に応じて、入射光に対して出射光に0〜2πまでの範囲で任意の位相差を与えることができる。
この第2実施形態の構成において、液晶の厚みdを2.5μm程度とし、先の実施形態1と同様の測定要件で位相変調の応答速度を測定した。測定の結果、10msec程度の応答速度が得られた。
上記測定結果から分かるように、この第2実施形態における反射型液晶位相変調システム31では、0〜2πの十分な位相差を確保して、先の第1実施形態に比べて位相変調の応答時間をさらに高速化することができる。
以上説明したように、この第2実施形態の反射型液晶位相変調システム31は、先の第1実施形態で採用した2つの反射型液晶位相変調装置を共通の半導体基板に形成して構成した。これにより、先の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この第2実施形態の反射型液晶位相変調システム31は、先の第1実施形態に比べて、よりいっそう位相変調の応答速度を高速化することができる。
なお、この第2実施形態では、先の第1実施形態で採用した2つの反射型液晶位相変調装置を共通の半導体基板に形成して構成したが、2以上の反射型液晶位相変調装置を共通の半導体基板に形成して構成することもできる。
(第3実施形態)
図4を参照して、本発明の第3実施形態に係る反射型液晶位相変調装置の構成を説明す
る。この第3実施形態では、第1偏光方向の光をP偏光の光とし、第2偏光方向の光をS偏光の光としている。これにより、先の第1実施形態の反射型液晶位相変調装置11は、入射光ならびに出射光はS偏光の光であるのに対して、この第3実施形態の反射型液晶位相変調装置41は、入射光ならびに出射光はP偏光の光となる。
この第3実施形態では、P偏光の光を入射光ならびに出射光としている。このため、図4において、反射型液晶位相変調装置41は、先の第1実施形態の反射型液晶位相変調装置11の構成に比べて、反射鏡15を削除して構成される。
反射型液晶位相変調装置41は、他は先の第1実施形態と同様である。これにより、反射型液晶位相変調装置41は、P偏光の入射光に対して、先の第1実施形態と同様に式(2)で示す位相差を与えることができる。
なお、図4において、図1と同様の構成には同符号を付して、その説明は省略する。
次に、図5を参照して、反射型液晶位相変調装置41における光の光路、ならびに入射光に与えられる位相差について説明する。
反射型液晶位相変調装置41の入射光となる、X軸方向の直線偏光であるP偏光の光42aは、第1偏光ビームスプリッタ13−1に入射する。第1偏光ビームスプリッタ13−1に入射した光42aは、偏光分離面13−1aを透過し、1/4波長板14に入射する。1/4波長板14に入射した光42aは、1/4波長板14を透過して円偏光の光となり、反射型液晶位相変調部12の第1液晶領域12−1に入射する。
P偏光と平行な配向軸の液晶で構成される第1液晶領域12−1に入射した光42aは、第1液晶領域12−1を透過して反射電極で反射する。反射電極で反射した光42aは、再び第1液晶領域12−1を透過して、反射型液晶位相変調部12から出射する。このとき、第1液晶領域12−1は、電圧供給部16から所定の電圧が印加され、印加された電圧値に応じて液晶分子が傾斜している。
これにより、光が第1液晶領域12−1の液晶内を往復することで、第1液晶領域12−1に入射する光42aに対して第1液晶領域12−1から出射する光42bに位相差を与えることができる。すなわち、光42aに対して光42bには、第1液晶領域12−1の液晶に印加される電圧に応じて、0〜πの範囲の位相差を与えることが可能となる。
第1液晶領域12−1から出射した光42bは、1/4波長板14を透過する。これにより、光42bはY軸方向の直線偏光であるS偏光の光に変わる。S偏光に変わった光42bは、第1偏光ビームスプリッタ13−1に入射する。光42bはS偏光の光なので、第1偏光ビームスプリッタ13−1の偏光分離面13−1aで90度反射する。反射した光42cは、第2偏光ビームスプリッタ13−2に入射する。
第2偏光ビームスプリッタ13−2に入射したS偏光の光42cは、偏光分離面13−2aで90度反射し、反射した光42dは1/4波長板14に入射する。1/4波長板14に入射した光42dは、1/4波長板14を透過して円偏光の光となり、反射型液晶位相変調部12の第2液晶領域12−2に入射する。
S偏光と平行な配向軸の液晶で構成される第2液晶領域12−2に入射した光42dは、第2液晶領域12−2を透過して反射電極で反射する。反射電極で反射した光42dは、再び第2液晶領域12−2を透過して、反射型液晶位相変調部12から出射する。このとき、第2液晶領域12−2は、電圧供給部16から所定の電圧が印加され、印加された電圧値に応じて液晶分子が傾斜している。
これにより、光が第2液晶領域12−2の液晶内を往復することで、第2液晶領域12−2に入射する光42dに対して第2液晶領域12−2から出射する光42eに位相差を与えることができる。すなわち、光42dに対して光42eには、第2液晶領域12−2の液晶に印加される電圧に応じて、0〜πの範囲の位相差を与えることが可能となる。
第2液晶領域12−2から出射した光42eは、1/4波長板14を透過する。これにより、光42eはX軸方向の直線偏光であるP偏光の光に変わる。P偏光に変わった光42eは、第2偏光ビームスプリッタ13−2に入射する。光42eはP偏光の光なので、第2偏光ビームスプリッタ13−2の偏光分離面13−2aを透過する。透過した光42eは、第2偏光ビームスプリッタ13−2から出射し、反射型液晶位相変調装置41の出射光となる。
このような光路において、反射型液晶位相変調装置41に入射する光42aに対して出射される光42eが持つ位相差は、第1液晶領域12−1で与えられた位相差と、第2液晶領域12−2で与えられた位相差の和となる。これにより、反射型液晶位相変調装置41は、各液晶領域の印加電圧に応じて、P偏光の入射光に対してP偏光の出射光に0〜2πまでの範囲で任意の位相差を与えることができる。
以上説明したように、この第3実施形態では、先の第1実施形態と同様に、1枚の半導体基板に液晶の配光軸が異なる2つの第1液晶領域12−1、第2液晶領域12−2を設け、それぞれの液晶領域で光を往復させる構成を採用している。これにより、P偏光の入射光ならびに出射光に対して、先の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第4実施形態)
図6を参照して、本発明の第4実施形態に係る反射型液晶位相変調システムの構成を説明する。図6において、この第4実施形態の反射型液晶位相変調システム51は、1枚の半導体基板に、第3実施形態の第1液晶領域12−1、第2液晶領域12−2と同様な液晶領域を4つ形成して構成される。すなわち、反射型液晶位相変調システム51は、1枚の半導体基板に、第3実施形態の反射型液晶位相変調装置41を2つ形成し、一方の装置の出射光を他方の装置の入射光として構成される。なお、図6において、図5と同様の構成には同符号を付して、その説明は省略する。
反射型液晶位相変調システム51は、第3実施形態の反射型液晶位相変調装置41と同様の構成の第1反射型液晶位相変調装置51−1ならびに第2反射型液晶位相変調装置51−2を備える。第1反射型液晶位相変調装置51−1ならびに第2反射型液晶位相変調装置51−2は、反射型液晶位相変調部12ならびに1/4波長板14を共通化して構成される。反射型液晶位相変調システム51は、反射鏡52を備える。
反射鏡52は、三角ミラーで構成される。反射鏡52は、第1反射型液晶位相変調装置51−1の第2偏光ビームスプリッタ13−2ならびに第2反射型液晶位相変調装置51−2の第1偏光ビームスプリッタ13−1の1/4波長板14が配置された側と反対側に配置される。反射鏡52は、第1反射型液晶位相変調装置51−1の第2偏光ビームスプリッタ13−2に対して45度の角度で傾斜した第1反射面52−1を備える。反射鏡52は、第2反射型液晶位相変調装置51−2の第1偏光ビームスプリッタ13−1に対して45度の角度で傾斜した第2反射面15−2を備える。
反射鏡52は、第1反射型液晶位相変調装置51−1の第2偏光ビームスプリッタ13−2から出射された光を第1反射面52−1で90度反射し、第2反射面52−2に出射する。反射鏡52は、第2反射面52−2に入射した光を第2反射面52−2で90度反射し、第2反射型液晶位相変調装置51−2の第1偏光ビームスプリッタ13−1に出射する。
この第4実施形態では、光が1枚の半導体基板に形成された4つの液晶内をそれぞれ往復する構成を採用している。この構成により、光がそれぞれ4つの液晶を往復したときの位相差△φ3は、次式(3)で表される。
Δφ3=8×Δn×d×2π/λ …(3)
上式(3)は、先の第1実施形態で示した式(1)に比べて4倍の位相差が与えられることを示している。
このように、光が1枚の半導体基板に形成された4つの液晶内をそれぞれ往復することで、光が1つの液晶を1回往復した場合に比べて、液晶層の厚みdが同じ場合には4倍の位相差が得られることになる。言い換えれば、同じ位相差を得るためには、液晶層の厚みdは1/4の厚みとすることが可能となる。
次に、図6を参照して、反射型液晶位相変調システム51における光の光路、ならびに入射光に与えられる位相差について説明する。
反射型液晶位相変調システム51の入射光となる、X軸方向の直線偏光であるP偏光の光42aは、第1反射型液晶位相変調装置51−1の第1偏光ビームスプリッタ13−1に入射する。第1偏光ビームスプリッタ13−1に入射した光42aは、偏光分離面13−1aを透過し、1/4波長板14に入射する。1/4波長板14に入射した光42aは、1/4波長板14を透過して円偏光の光となり、第1反射型液晶位相変調装置51−1の反射型液晶位相変調部12の第1液晶領域12−1に入射する。
P偏光と平行な配向軸の液晶で構成される第1液晶領域12−1に入射した光42aは、第1液晶領域12−1を透過して反射電極で反射する。反射電極で反射した光42aは、再び第1液晶領域12−1を透過して、反射型液晶位相変調部12から出射する。このとき、第1液晶領域12−1は、電圧供給部16から所定の電圧が印加され、印加された電圧値に応じて液晶分子が傾斜している。
これにより、光が第1反射型液晶位相変調装置51−1の第1液晶領域12−1の液晶内を往復することで、第1液晶領域12−1に入射する光42aに対して第1液晶領域12−1から出射する光42bに位相差を与えることができる。すなわち、光42aに対して光42bには、第1液晶領域12−1の液晶に印加される電圧に応じて、0〜π/2の範囲の位相差を与えることが可能となる。
第1反射型液晶位相変調装置51−1の第1液晶領域12−1から出射した光42bは、1/4波長板14を透過する。これにより、光42bはY軸方向の直線偏光であるS偏光の光に変わる。S偏光に変わった光42bは、第1反射型液晶位相変調装置51−1の第1偏光ビームスプリッタ13−1に入射する。光42bはS偏光の光なので、第1偏光ビームスプリッタ13−1の偏光分離面13−1aで90度反射する。反射した光42cは、第1反射型液晶位相変調装置51−1の第2偏光ビームスプリッタ13−2に入射する。
第2偏光ビームスプリッタ13−2に入射したS偏光の光42cは、偏光分離面13−2aで90度反射し、反射した光42dは1/4波長板14に入射する。1/4波長板14に入射した光42dは、1/4波長板14を透過して円偏光の光となり、第1反射型液晶位相変調装置51−1の反射型液晶位相変調部12の第2液晶領域12−2に入射する。
S偏光と平行な配向軸の液晶で構成される第2液晶領域12−2に入射した光42dは、第2液晶領域12−2を透過して反射電極で反射する。反射電極で反射した光42dは、再び第2液晶領域12−2を透過して、反射型液晶位相変調部12から出射する。このとき、第2液晶領域12−2は、電圧供給部16から所定の電圧が印加され、印加された電圧値に応じて液晶分子が傾斜している。
これにより、光が第1反射型液晶位相変調装置51−1の第2液晶領域12−2の液晶内を往復することで、第2液晶領域12−2に入射する光42dに対して第2液晶領域12−2から出射する光42eに位相差を与えることができる。すなわち、光42dに対して光42eには、第2液晶領域12−2の液晶に印加される電圧に応じて、0〜π/2の範囲の位相差を与えることが可能となる。
第2液晶領域12−2から出射した光42eは、1/4波長板14を透過する。これにより、光42eはX軸方向の直線偏光であるP偏光の光に変わる。P偏光に変わった光42eは、第1反射型液晶位相変調装置51−1の第2偏光ビームスプリッタ13−2に入射する。光42eはP偏光の光なので、第2偏光ビームスプリッタ13−2の偏光分離面13−2aを透過する。透過した光42eは、反射鏡52の第1反射面52−1に入射する。
第1反射面52−1に入射した光42eは、第1反射面52−1で90度反射する。反射した光42fは、反射鏡52の第2反射面52−2に入射し、第2反射面52−2で90度反射する。反射した光42gは、第2反射型液晶位相変調装置51−2の第1偏光ビームスプリッタ13−1に入射する。
第1偏光ビームスプリッタ13−1に入射した光42gは、偏光分離面13−1aを透過し、1/4波長板14に入射する。1/4波長板14に入射した光42gは、1/4波長板14を透過して円偏光の光となり、第2反射型液晶位相変調装置51−2の反射型液晶位相変調部12の第1液晶領域12−1に入射する。
P偏光と平行な配向軸の液晶で構成される第1液晶領域12−1に入射した光42gは、第1液晶領域12−1を透過して反射電極で反射する。反射電極で反射した光42gは、再び第1液晶領域12−1を透過して、反射型液晶位相変調部12から出射する。このとき、第1液晶領域12−1は、電圧供給部16から所定の電圧が印加され、印加された電圧値に応じて液晶分子が傾斜している。
これにより、光が第2反射型液晶位相変調装置51−2の第1液晶領域12−1の液晶内を往復することで、第1液晶領域12−1に入射する光42gに対して第1液晶領域12−1から出射する光42hに位相差を与えることができる。すなわち、光42gに対して光42hには、第1液晶領域12−1の液晶に印加される電圧に応じて、0〜π/2の範囲の位相差を与えることが可能となる。
第2反射型液晶位相変調装置51−2の第1液晶領域12−1から出射した光42hは、1/4波長板14を透過する。これにより、光42hはY軸方向の直線偏光であるS偏光の光に変わる。S偏光に変わった光42hは、第2反射型液晶位相変調装置51−2の第1偏光ビームスプリッタ13−1に入射する。光42hはS偏光の光なので、第1偏光ビームスプリッタ13−1の偏光分離面13−1aで90度反射する。反射した光42iは、第2反射型液晶位相変調装置51−2の第2偏光ビームスプリッタ13−2に入射する。
第2偏光ビームスプリッタ13−2に入射したS偏光の光42iは、偏光分離面13−2aで90度反射し、反射した光42jは1/4波長板14に入射する。1/4波長板14に入射した光42jは、1/4波長板14を透過して円偏光の光となり、第2反射型液晶位相変調装置51−2の反射型液晶位相変調部12の第2液晶領域12−2に入射する。
S偏光と平行な配向軸の液晶で構成される第2液晶領域12−2に入射した光42jは、第2液晶領域12−2を透過して反射電極で反射する。反射電極で反射した光42jは、再び第2液晶領域12−2を透過して、反射型液晶位相変調部12から出射する。このとき、第2液晶領域12−2は、電圧供給部16から所定の電圧が印加され、印加された電圧値に応じて液晶分子が傾斜している。
これにより、光が第2反射型液晶位相変調装置51−2の第2液晶領域12−2の液晶内を往復することで、第2液晶領域12−2に入射する光42jに対して第2液晶領域12−2から出射する光42kに位相差を与えることができる。すなわち、光42jに対して光42kには、第2液晶領域12−2の液晶に印加される電圧に応じて、0〜π/2の範囲の位相差を与えることが可能となる。
第2液晶領域12−2から出射した光42kは、1/4波長板14を透過する。これにより、光42kはX軸方向の直線偏光であるP偏光の光に変わる。P偏光に変わった光42kは、第2反射型液晶位相変調装置51−2の第2偏光ビームスプリッタ13−2に入射する。光42kはP偏光の光なので、第2偏光ビームスプリッタ13−2の偏光分離面13−2aを透過する。透過した光42kは、第2偏光ビームスプリッタ13−2から出射し、反射型液晶位相変調システム51の出射光となる。
このような光路において、反射型液晶位相変調システム51に入射する光42aに対して出射される光42kが得られる位相差は、それぞれの装置で得られる位相差の和となる。すなわち、光42kに与えられる位相差は、第1反射型液晶位相変調装置51−1の第1液晶領域12−1ならびに第2液晶領域12−2で与えられた位相差と、第2反射型液晶位相変調装置51−2の第1液晶領域12−1ならびに第2液晶領域12−2で与えられた位相差との和となる。これにより、反射型液晶位相変調システム51は、各液晶領域の印加電圧に応じて、P偏光の入射光に対してP偏光の出射光に0〜2πまでの範囲で任意の位相差を与えることができる。
以上説明したように、この第4実施形態の反射型液晶位相変調システム51は、先の第3実施形態で採用した2つの反射型液晶位相変調装置を共通の半導体基板に形成して構成した。これにより、先の第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、この第4実施形態では、各反射型液晶位相変調部を構成する液晶は、先の第3実施形態に比べて、半分の厚みで同一の位相差を得ることができる。これにより、この第4実施形態では、先の第3実施形態に比べて、よりいっそう位相変調の応答速度を高速化することができる。
なお、この第4実施形態では、先の第3実施形態で採用した2つの反射型液晶位相変調装置を共通の半導体基板に形成して構成したが、2以上の反射型液晶位相変調装置を共通の半導体基板に形成して構成することもできる。