JP5974112B2 - エアバッグ用布地 - Google Patents

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Description

本発明は、乗り物の衝突時乗員保護装置であるエアバッグ装置の袋体として用いられるエアバッグ用布地に関する。
自動車など乗り物の衝突事故における人体への衝撃緩和のために、乗り物へのエアバッグの装着が進んできている。衝突の際、ガスにより膨張し、人体への衝撃を吸収緩和するエアバッグとして、運転席用および助手席用エアバッグに加えて、カーテンエアバッグやサイドエアバッグ、ニーエアバッグ、リアエアバッグなどの車両中への装着が、乗員保護のために実用化されつつある。さらには、歩行者保護のために、車両の客室の外側で膨張するように装着されるエアバッグも提案され、装着が拡大してきている。
前面衝突安全エアバッグに関しては、主たる安全装置であるシートベルトに付加する補助拘束装置の位置づけでもあり、エアバッグは重要部品として個体識別管理されている。また、エアバッグ装置のなかでも、エアバッグ袋体にも生産上の個体識別番号(品番、生産ロットナンバーなど)が付されている。
下記特許文献1に記されるように、従来は、エアバッグ袋体にスタンプで打印したり、ラベルシールが貼付されてきた。これらはエアバッグ袋体の識別であり、エアバッグ用の布地に関する個体識別情報は、エアバッグ布地に付されることはなく、エアバッグ袋体にも付されることがなかった。下記特許文献1には、縫製糸によってエアバッグ袋体の識別をする方法が開示されている。また、下記特許文献2には、エアバッグ縫製用の部分布において、裁断形状で部品識別する方法が開示されている。しかし、これまで、エアバッグ用の布地自体に個体識別情報を表すことはなかった。
これまで、エアバッグ用の布地の見分けは、個体識別としては反物ロールに対するラベル貼付や印字のみであり、布地自身に個体識別表示はなかった。コーティング基布の場合、コーティング樹脂の色相によって、表裏の見分けやエアバッグ用の布地の規格識別を行うことがあったが、エアバッグ縫製用の裁断後の部分布には個体識別情報が示されることはなかった。ノンコート基布の場合、エアバッグ用の部分布に裁断後は、裁断布片自体からは個体識別情報を得ることができなかったのみならず、表裏の見分けはできず、さらに、織り密度など布特性を分析するなどの手間をかけなければ規格識別もできないものであった。織り密度規格の異なるエアバッグ用の布地を誤って生産工程に投入することは品質保証上許されないことであり、誤りなく識別できるようにすることは生産管理にとって重要である。また、部品の個体識別情報を確認記録して組み立て生産することも生産管理にとって重要である。しかし、これまで、反物ロールの識別情報は生産台帳によってエアバッグ袋体に関連付けるのみであり、裁断されたエアバッグ縫製用の部分布自体に表示はなかった。そのため、組み立て時に誤使用の可能性があり、また、縫製後のエアバッグ袋体の布地から生産履歴を追跡するには手間がかかると同時に、履歴が正確に確定しきれないという問題もあった。
そこで、エアバッグ用の布地自体に生産管理のための個体識別情報や回収のための素材表示を示すことが望まれるようになってきた。
特開2003−276547号公報 特開平1−172046号公報
本発明は、素材情報並びに規格識別および個体識別情報などを表示したエアバッグ製造用の布地を提供することを目的とするものである。すなわち、エアバッグ用の布地自体に情報表示することによって、生産管理が容易に厳密化でき、生産履歴の追跡が容易になるエアバッグ製造用の布地を提供するものである。
本発明者は、エアバッグ用の布地に生産情報を示す方法を検討した結果、布地に直接印字することで識別性が大きく改善されることを見出して本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、以下のエアバッグ用の布帛に関する。
(1)インクジェット印字のバーコードまたは2次元コードを含む生産情報が、エアバッグ袋体の布地に直接、規則的に繰返し存在し、該繰返しの間隔が50〜2cmであり、そして該バーコード印字が少なくとも片面にあり、下記式(1):
にじみ指数N=|B−A|/A (1)
{式中、A、Bはそれぞれ、布地上のバーコード線の最小線幅(mm)と最大線幅(mm)である。}で定義されるにじみ指数Nが0〜1.0であることを特徴とするエアバッグ用織物布地。
(2)前記繰返しが複数の並列配列である、(1)に記載のエアバッグ用織物布地。
(3)前記繰返しが千鳥配列である、(1)に記載のエアバッグ用織物布地。
(4)前記インクジェット印字面の裏面から印字を確認することができる、(1)〜(3)のいずれかに記載のエアバッグ用織物布地。
(5)生産情報の少なくとも一部が反転印字されている、(4)に記載のエアバッグ用織物布地。
(6)樹脂被覆を有さない、(1)〜(5)に記載のエアバッグ用織物布地。
(7)前記布地の少なくとも一面に樹脂被覆を有し、樹脂被覆のない部分に前記インクジェット印字が存在する(1)〜(6)のいずれかに記載のエアバッグ用織物布地。
(8)前記樹脂被覆が光透過性である、(7)に記載のエアバッグ用織物布地。
(9)動的粘弾性測定から求められるTmaxが110〜150℃であり、Tmaxにおけるtanδ(max)とTmaxの比S[1/℃](tanδ(max)/Tmax)が0.0001から0.001である経糸および緯糸を用いて製織する工程を含む(1)〜(8)のいずれかに記載のエアバッグ用織物布地の製造方法
(10)前記経糸および緯糸がポリアミド系繊維およびポリエステル系繊維から選ばれた少なくとも一種の繊維である、(9)に記載の方法
(11)(1)〜(8)のいずれかに記載のエアバッグ用織物布地からなるエアバッグ袋体。
(12)(11)に記載のエアバッグ袋体からなるエアバッグ装置。
本発明の布地は、生産情報が布地に直接印字されることで、生産ロットや品番などの個体識別情報が布地から直接得られるようになったばかりでなく、品番区別や布地の表裏の見分けが容易にできるようになり、生産管理が容易に厳密化できるようになる。また、エアバッグ装置として乗り物に組み込まれた後もエアバッグ袋体の布地に生産情報が表記されているため、生産履歴の追跡が容易になる。さらに、布地に直接素材表記がされて、資源回収も容易なエアバッグ用布地が提供できる。
本発明の布地の印字状態の一例(並列)を示す。 本発明の布地の印字状態の別の一例(千鳥)を示す。 にじみ指数算出のための最小線幅Aおよび最大線幅Bの測定方法を説明する図である。
以下、本願発明について具体的に説明する。
本発明のエアバッグ用の布地は、布地に生産情報がインクジェットで直接印字され表記されている。
本発明に用いるエアバッグ用布地は、いかなる布地でもよい。例えば、布地を構成する繊維は、熱可塑性樹脂からなる合成長繊維であって、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維などから選ぶことができる。
布地を構成するポリアミド系繊維としては、ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・10、ポリアミド6・12、ポリアミド4・6、それらの共重合体およびそれらの混合物の樹脂からなる繊維が挙げられる。特にポリアミド6・6繊維としては、主としてポリヘキサメチレンアジパミド樹脂からなる繊維である事が好ましい。ポリヘキサメチレンアジパミド樹脂とは100%のヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とから構成される融点が250℃以上のポリアミド樹脂を指すが、本発明で用いられるポリアミド6・6樹脂からなる繊維は、樹脂の融点が250℃未満とならない範囲で、ポリヘキサメチレンアジパミドにポリアミド6、ポリアミド6・I、ポリアミド6・10、ポリアミド6・Tなどを共重合、あるいはブレンドした樹脂からなる繊維でもよい。
ポリエステル系繊維としては、公知の方法でカルボン酸および/またはその誘導体とジオールを重縮合した樹脂、ヒドロキシカルボン酸からなる樹脂、あるいは、さらにこれらの共重合またはブレンドした樹脂からなる繊維が挙げられる。ポリエステル系繊維を構成するカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸およびフマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の環状脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、トリメチレングリコールおよびジエチレングリコール等の脂肪族ジオールや、ヒドロキノン、レゾルシノールおよびビスフェノールA等のジフェノール類が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。かかるポリエステル系繊維の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリブチレンナフタレート繊維、ポリエチレンイソフタレート−テレフタレート共重合繊維、ポリブチレンイソフタレート−テレフタレート共重合繊維、ポリシクロヘキシレンジメチレンイソフタレート−テレフタレート共重合繊維等が挙げられる。強度と耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート繊維およびポリエチレンナフタレート繊維が好ましく、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維およびポリエチレンナフタレート繊維がさらに好ましい。ポリエチレンテレフタレート繊維が特に好ましく、分子鎖中にエチレンテレフタレート繰返し単位を90モル%以上、好ましくは95モル%以上を含有するポリエチレンテレフタレート繊維であることが強度と耐熱性の観点から好ましい。かかるポリエチレンテレフタレート繊維は、10モル%未満、好ましくは5モル%未満の割合で他の共重合成分を含んでも差し支えない。このような共重合成分としては例えばイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、p−オキシ安息香酸、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、トリメリット酸、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
布地を構成する繊維の繊度は、好ましくは、100から1000dtexである。より好ましくは200から800dtexである。また、布地を構成する合成繊維は多数の単糸からなるマルチフィラメント繊維であり、単糸の繊度は0.5から8dtexが好ましい。単糸繊度は8dtex以下で小さいほうがインクジェットの保液性が良くてにじみが生じにくく、後述するにじみ指数Nが小さくなり、インクジェット印字がより鮮明である。単糸繊度は4.5dtex以下がより好ましい。単糸繊度が0.5dtex以上であれば加工工程中にフィラメント損傷を受けることがなく、布地の品位を損なうことがない。
布地を構成する繊維は、表面平滑性に優れる布地を得るために、実質的に無撚りであることが好ましい。実質的に無撚りとは、意図する撚りを入れない状態の繊維であり、解舒等に伴って生じてしまう撚り数が10回/m以下の状態の繊維のことである。
本発明の布地は、布表面を平滑に仕上げて印字されていることが好ましいが、そのためには、特定の特性を有する経糸および緯糸を用いることが好ましい。即ち、経糸および緯糸の動的粘弾性測定から求められるTmaxが好ましくは100〜150℃、さらに好ましくは110〜150℃、特に好ましくは110〜145℃、最も好ましくは110〜130℃である。さらに温度Tmaxにおけるtanδ(max)とTmaxの比S[1/℃](tanδ(max)/Tmax)が好ましくは0.0001〜0.0030、さらに好ましくは0.0001〜0.0010、特に好ましくは0.0001〜0.0009、最も好ましくは0.0001〜0.0008である。動的粘弾性測定によるTmaxは非晶部の分子鎖の熱運動が顕著になる温度を示し、非晶部がガラス状態からゴム状態に相転移する温度と考えられている。Tmaxより低温の温度履歴では弾性率、乾熱収縮率等の寸法安定性が顕著に低下することが抑制される。一方、Tmaxより高温の温度履歴を受けた場合、非晶部がゴム状態となるため、温度の影響を大きく受けることになる。従って、Tmaxは織物の加工における温度を決定する目安となり、上記範囲であれば、加工後の効果を長期間経過後も維持できるとともに、エネルギー効率に劣る極端な高温にすることなく、効果的な加工を実施でき、好ましい。また、加工の効果の目安はtanδ(max)とTmaxの比Sによって推定でき、上記範囲であれば、実用的な効果を発現させ、その効果が長期間経過後も維持でき、好ましい。Tmaxおよび比Sを所定の範囲とするには、経糸および緯糸の素材、製造条件を適切に設定すればよい。
布地は織物でも編物でもよい。例えば、織物の場合、布地のカバーファクタは1900から2600が好ましい。カバーファクタCFは以下の計算による。
CF=(√経糸繊度(dtex))×経糸密度(本/2.54cm)+(√ 緯糸繊度(dtex))×緯糸密度(本/2.54cm)。
カバーファクタは、平面における繊維の充填度合いであり、1900以上であれば、高密度織物でエアバッグの耐圧性などの機械特性を満たせる。さらに、経糸緯糸の間隙が埋まり、間隙伝いのインクジェット液滴のにじみ伝搬が防げる。カバーファクタが2600以下であれば、エアバッグとして軽量で柔軟な布地である。より好ましくは2000〜2500である。
織物の組織は特に限定されず、公知の組織を用いることができる。例えば、平織物、斜文織物、朱子織物等の基本組織や基本組織を変化したり混合したりして作る変化組織が例示される。平織物とは、経糸と緯糸が1本ずつ交互に交錯する組織であり、表裏がなく、経緯糸方向の同等性が高い組織である。変化平織物としては、平織物の交錯点の上下又は左右に交錯点を添加して表面に畝を現した畦織物、2本以上の緯糸が同一杼口に入る斜子織物等が例示される。斜文織物とは、交錯点が斜めに走る斜文線を有する組織であり、変化斜文織物としては、斜文線が45°以上ある急斜文織物、山形となる山形斜文織物、一定間隔に反対方向に斜文線が現れる破れ斜文織物、傾斜角の異なる斜文を組合わせた曲り斜文織物等が例示される。朱子織物とは、経緯糸の組合せが連続することなく一定の間隔で配置された織物で、表面に経糸が多く現れるのを経朱子、反対を緯朱子と呼ぶ。変化朱子織物としては、交錯点を不規則に配置する変則朱子織物等が例示される。なかでも表面平滑性からは平織物が好ましい。
本発明の布地に用いる織物は公知の織機を用いて製織される。例えば、シャトル織機、レピア織機、エアジェット織機、ウォータージェット織機等の製織機を用い、合成繊維を配列させた経糸に、緯糸を打ち込むことによって得られる。また、織物の表面平滑性を増し、糸間の隙間を均一に減少させることでにじみ指数Nを小さくできる点から、経糸の筬入れ本数を2本/羽以下で高密度に製織することが好ましい。より好ましくは経糸の筬入れ本数が2本/羽である。
製織した生機は必要に応じ、原糸油剤等を洗浄するために、精練加工を施すことがある。その際の加工温度は40℃から経糸および緯糸のTmaxの何れか低い温度(Tmax(L))までの範囲が好ましく、さらに好ましく40℃から(Tmax(L)−10℃)の範囲、特に好ましくは40℃から(Tmax(L)−30℃)の範囲でできるだけ低温とし、布地を構成する繊維が収縮することで嵩高な布地となって表面凹凸が増大することを回避することが好ましい。より好ましいのは、精練加工を含む温水処理を実施しないことである。
精練によって布地の含油率は低減する。布地として含油率は0.05から0.3重量%が好ましい。含油率が0.3重量%以下であればインクジェット印字の経時におけるにじみ悪化抑制に寄与する。含油率が0.05重量%以上であれば、印字の際の液滴保持によってにじみ抑制に寄与する。ウォータージェット製織と精練の条件によって、適宜含油量が制御できる。
次いで、50℃からTmax(L)、好ましく60℃から(Tmax(L)−10℃)、さらに好ましくは60℃から(Tmax(L)−20℃)の範囲で乾燥する工程を施すことが好ましい。この温度範囲であれば、実用的な処理時間で乾燥が終了し、乾燥時の熱収縮による糸密度のばらつきなどが抑制され、表面平滑性の悪化も抑制される。
布地の熱寸法安定化のために熱セットを施す場合、熱セット温度は、Tmax(L)以上200℃以下が好ましく、さらに好ましくはTmax(L)以上180℃以下、特に好ましくはTmax(L)以上170℃以下である。この際、緊張熱加工が好ましい。経緯方向ともに、繊維が熱収縮するに任せず、熱応力を受け止めて制御できる加工方法が好ましい。例えば、ピンテンターなどを用いることができる。熱セット工程は、樹脂被覆の架橋熱処理工程でテンター方式を用いることによって、兼ねることもできる。
熱セット工程において、布地の表面平滑性向上を伴う工程として、カレンダー加工を施すことも好ましい。バーコード印字前にカレンダー加工すれば、表面平滑性が向上するために、にじみ指数Nの小さい、鮮明な印字が可能である。カレンダー温度はTmax(L)以上200℃以下が好ましく、さらに好ましくはTmax(L)以上180℃以下、特に好ましくはTmax(L)以上170℃以下である。カレンダー熱加工で布地の形態熱安定化を図ることが好ましい。カレンダー温度が200℃以下であれば、引裂き強力等の機械特性を損なうことない。カレンダー温度がTmax(L)以上で、充分な表面平滑性向上効果を得る事が可能である。カレンダー荷重は布地の機械特性が損なわれず、充分な表面平滑性向上効果を得る観点から1〜1000kg/mが好ましい。
印字する生産情報は個体識別情報と素材情報などである。まず、個体識別情報としては、布地の規格を示す品番と生産ロットや製造日などを表す製造番号が挙げられる。布地の規格には、構成繊維の繊度と織密度などの代表特性が含まれる。さらに、印字する生産情報には、素材情報として素材を示す記号などが含まれる。
インクジェット印字システムには、連続インクジェット(CIJ)方式と、ドロップオンデマンド(DOD)方式の2つのタイプがあり、本発明にはいずれも使用できる。CIJ方式では、インクは加圧下で少なくとも1つの開口部又はノズルから連続したストリームで放出される。ストリームは、摂動され、開口部から一定の距離で分解されて液滴が生じる。分散(breakup)点において、液滴はデジタルデータ信号に従って帯電され、各液滴の軌道を調整する静電場を通過し、各液滴が再循環用のガター又は記録媒体上の特定の位置に配向される。DOD方式では、液滴は、デジタルデータ信号に従って開口部から直接に記録媒体上の位置まで吐出する。液滴は、印字される布地に配置されない限り形成又は吐出されない。
本発明の布地は、生産情報が直接印字されているものであり、生産情報がラベル貼付されるものではない。したがって、ラベルサイズや枚数に制限されることなく、布地に自在に印字し表示することができる。インクジェット印字によれば、布地に直接、しかし、非接触で印字することができ、スタンプで打印するような物理衝撃がなく、布地の表面に変形や損傷を生じることがない。また、インク量をより精密に制御可能なため、インクの浸透で明瞭な印字である一方で、にじみや斑付きを防いだ印字表示とすることができる。
本発明の布地には、バーコードまたは2次元コードを含む生産情報が印字されていることが好ましい。バーコードまたは2次元コードで生産情報を表記することにより、生産管理が容易になる。すなわち、コードリーダーで生産情報を読み取ることで、次の加工工程での誤使用に対して自動的に警告発生をさせることが可能になる。また、不都合が生じた後に生産履歴に遡り工程解析することも、印字された生産情報に基づいて生産情報データサーバーから詳細情報を機械的に読み出せるため、容易になる。
バーコードまたは2次元コードには、各種のシンボル体系があり、いずれのシンボル体系を用いてもよい。例えば、バーコードシンボル体系としては、JAN、EAN、UPC、CODE−39(JISX0503)、NW−7、ITF、スタンダード2of5、CODE−128、CODE−93、CODE−11、MSIなどが使用できる。また、2次元コードシンボル体系としては、QR Code、Data Matrix、PDF417、Maxi Code、Veri Codeなどが使用できる。特に、CODE−39(JISX0503)やITFは情報量が適度でシンプルなコード表現のため好ましい。バーコードまたは2次元コードは線幅の異なるバーコード線の組合せからなっている。
本発明の布地は、下記式(1)で定義されるにじみ指数Nが0〜1.0であり、バーコードが少なくとも片面に印刷されていることが好ましい。さらに好ましくは、にじみ指数Nは0〜0.8であり、一層好ましくは0〜0.5である。
にじみ指数N=|B−A|/A (1)
上式(1)において、A、Bはそれぞれ、織物上のバーコード線分の1cmの長さを測定した場合の最小線幅(mm)と最大線幅(mm)である。バーコード線の線分長が1cmに満たない場合は、複数のバーコード線を用いて1cmの線分長に相当する計測をすればよい。複数のバーコード線を用いる場合に、バーコード線の線幅が異なる場合は、それぞれのバーコード線でにじみ指数を計測したものを線分長で加重平均したものがにじみ指数となる。
にじみ指数Nが上記範囲であれば、バーコード印刷が鮮明であり、バーコードリーダーや目視等の読み取り手段によって、正確、簡便に印刷内容が読み取り可能となり、織物の情報が正確に伝達される。さらに、JISX0520:2001に準拠したバーコード検証器にてC−2.0以上で最高A−4.0までの総合グレードに判定されるバーコード印刷品質を有することが好ましい。特に好ましくはB−2.5以上である。
本発明の布地は、印字面の裏面から印字を確認することができることが好ましい。印字の存在が裏側から判定できれば、表裏の見分けができる。表裏の見分けが目視、さらには、バーコードまたは2次元コードで可能にすることで、次工程で表裏の設定誤りが容易に防げる。特に、インクジェット印字することで印字面の裏面から印字を確認することが容易になる。さらに、印字面の裏面(すなわち非印字面)から反転印字を読み取ることができれば、単に表裏の見分け判定が容易かつ確実であるのみならず、非印字面から生産情報が得られるため、工程管理が容易になる。
さらに、本発明の布地は、少なくとも一部が反転印字された布地で、印字面の裏面から印字が読み取ることができることが好ましい。反転印字であれば、裏面からのコードリーダーの読み取りも容易であり、また、目視による表裏判定が容易となる。従来、インクの打印やラベル貼付では、表示面の裏側からは識別および判定情報を得ることができなかった。
本発明の布地の一つの実施形態は、樹脂被覆を有さない布地である。樹脂被覆を有さない布地は、軽量なエアバッグ用布地として用いられるが、表裏の見分けが基本的にできない。印字面と非印字面によって、この表裏の見分けが容易にできる。特に、非印字面から印字が確認できれば、単に印字がないという判定よりも確実に表裏の見分け判定ができる。
本発明の布地のもう一つの実施形態は、少なくとも一面に樹脂被覆を有し、樹脂被覆のない部分に情報印字がなされている布地である。樹脂被覆は、布地を基本的に完全に非通気にするためのものである。この樹脂は、各種の樹脂を用いることができるが、とりわけ、幅広い温度条件下で柔軟性を有するシリコーンが好ましい。印字面は、樹脂被覆のない部分に印字されることが好ましい。布地の面に直接印字することで、樹脂被覆面への印字に比べて、インクの浸み込みによって印字面の裏面から印字を読み取る際の鮮明性が向上する。従来は、樹脂被覆を有するエアバッグ用布地で、樹脂量が50g/m2以上の場合は、裏面から印字をしたとしてもこれを判読することが困難であった。また、被覆樹脂量が50g/m2から5g/m2の場合は、樹脂面の顔料の発色がうすく、表裏識別を見誤ることがあった。本発明では、樹脂被覆を有するエアバッグ用布地で被覆の無い部分にインクジェット印字することで、樹脂被覆面と、樹脂被覆の無い部分を有する面が、両面から区別可能になる。
さらに、樹脂被覆が光透過性を有し、かつ、樹脂被覆のない面に印字され、少なくとも一部が反転印字された布地であることが好ましい。樹脂被覆を有する布地であっても、光透過性を有することで、非印字面から印字を確認することができる。そのため、表裏見分けが容易となる。また、少なくとも一部が反転印字されていれば、非印字面から生産情報をコードリーダーで読み取ることも容易であるため、生産管理が容易となる。樹脂の光透過性は、樹脂そのものの透明性以外に添加される顔料の種類と含有量にも左右されるが、布地に被覆形成された状態で、樹脂被膜厚みを含めて実質的に透過性を有すればよい。分光光度計で650nm波長光の鏡面反射を含む拡散反射測定において、樹脂被覆有りの表面における反射率の値が、樹脂被覆なしの表面における反射率の値に対して80%以上であることが好ましく、樹脂被覆が実質的に透過性を有するようになる。一層好ましくは、90%以上である。さらに、樹脂としては2mmの厚みで成型硬化した膜の光透過度が400nm光で透過率が80%以上であることが好ましい。一層好ましくは、90%以上である。また、布地における樹脂被覆厚みは平均で50μm以下が好ましく、一層好ましくは平均で25μm以下である。
本発明の布地は、印字が情報を表記する印字群として規則的に繰返し印字されていることが好ましい。布地に規則的に繰返し印字されることで、どこをとっても生産情報が印字されている状態が得られる。エアバッグを縫製して形成する際、各種の部分布に裁断されるが、その際、裁断後の布に必ず生産情報が印字されていることになる。
繰返される印字群は、例えば図1に示すように、複数の並列配列とすることができる。
また、繰返される印字群は、図2に示すように、千鳥配列とすることができる。
さらに、印字群同志の間隔が50〜2cmで繰返し印字されていることが好ましい。エアバッグ用に部分布に裁断された際、例えば、運転席用であれば、70cm角以内の部分布から形成される。その際、各部分布中に複数個所の生産情報の印字があることで、生産管理が容易になる。
また、本発明の布地で縫製されたエアバッグ袋体は、部分布中のいずこかに生産情報の印字があり、生産履歴の追跡が容易である。さらに、表裏いずれからも生産情報の印字の読み取りが可能となっていることで、生産履歴の追跡が容易である。
本発明の布地からなる縫製エアバッグ袋体を組み込んで、エアバッグモジュール、エアバッグ装置として用いることができる。
次に、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。まず、実施例で用いたバーコードの印刷方法およびにじみ指数Nの測定方法を説明する。
(1)にじみ指数N
60μmノズルのインクジェットプリンターでエタノール性の黒インクを用い、布地反物の中央部および耳部端から5cmの位置に長さ1cmで、線幅3mmの直線を織物幅方向に印刷し、これを、織物長方向に30cmの間隔で10本繰り返し印刷する。その際、織物は20m/minでインクジェットプリンターヘッドを移動する。印刷した直線を20倍に拡大し、画像解析ソフトに取り込んだ後、二値化を行い、直線の幅を線分長で1cmに渡り計測し、各直線の最小線幅Aおよび最大線幅Bを測定する。織物中央部10本、耳端部から5cmの位置10本、計20点の最小線幅Aおよび最大線幅Bを算術平均して得られた値から、前記式(1)により、にじみ指数Nを求める。なお、図3に印刷した直線の20倍拡大像を二値化した像の一部を示す。この図において、3が印刷した直線の20倍拡大像を二値化した像の一部であり、4が最線幅であり、5が最線幅である。
次に、実施例で用いられる他の物性の測定方法を以下に説明する。
(2)Tmax、tanδ(max)
セイコーインスツル社製EXSTAR DMS7100を用い、駆動周波数110Hzで、長さ20mmおよび断面積約3×10-4cm2の繊維束について、乾燥窒素ガスを試料室に通じながら昇温速度5℃/minで室温からtanδの主ピークが観測できる温度まで動的粘弾性の測定を行なった。tanδの主ピーク値をtanδ(max)、その際の温度をTmax(℃)とした。
(3)含油率(重量%)
布地をシクロヘキサン溶媒にてソックスレー抽出した(60℃で3時間を10回)。得られた抽出液から揮発分を留去した後、抽出分を秤量し、抽出前の基布絶乾重量との比を含油量(重量%)とした。
[実施例1]
織糸としてポリヘキサメチレンアジパミド繊維で、繊度が470dtex、単糸が136本のものを用いた。本繊維のtanδ(max)は0.075、Tmaxは122℃、比Sは0.00061[1/℃]であった。経糸用に無撚無糊で引き揃え、整経ビームとした。緯糸用に無撚無糊で巻取りパッケージからそのまま供給した。ウォータージェット織機にて平織を製織した。経糸の筬入れは2本/羽である。得られた織物を精練すること無しに、60℃で乾燥し、織物水分率を3%にした。次いで、熱セット加工は、加熱温度200℃、1分間滞留でピンテンターを用い、オーバーフィード0%、幅入れ2%で仕上た。仕上がり布地の織り密度は経緯とも53.0本/2.54cmであった。含油率は0.15重量%であった。
この布地に60ミクロンノズルのインクジェットプリンタでエタノール性の黒インクを用い、20m/minの布地送り速度で10mm幅のCODE−39のバーコード印字を15cm間隔の直列(即ち、図1における間隔lが15cm)で、かつ、15cm間隔の並列(即ち、図1における間隔dが15cm)で実施した。印字表面を35倍ルーペで観察したところ、バーの境界が明瞭でにじみが無い状態でにじみ指数Nは0.6であった。このバーコード印字は非印字面からもコードリーダーで読み取ることができた。JISX0520:2001に準拠したバーコード検証器(開口径10/波長660)による印字面の印刷品位評価は、グレードB−3.3で良好であった。非印字面の読み取り印刷品位は、グレードB−2.7で良好であった。
[実施例2]
実施例1でピンテンターによる熱セットの代わりに、熱カレンダー加工を行なった。熱カレンダー加工は、送り速度18m/分、金属ロール温度200℃、圧力600N/cmで行なった。織物を挟む上下のカレンダーロールは、上部の加熱用の金属ロールが12cm直径であり、下部のロールはペーパー表面を有する24cm直径ロールで、表面速度は上下同速である。ペーパーロール表面はショアD硬度が65である。仕上がり布地の織り密度は経緯とも53.0本/2.54cmであった。含油率は0.15重量%であった。
加熱カレンダーロール加工で平滑化された面に実施例1と同様にインクジェットでバーコードを印字した。にじみ指数Nは0.1で良好であった。バーコード検証器(開口径10/波長660)による印字面の印刷品位評価は、グレードA−3.6で良好であった。非印字面の読み取り印刷品位は、グレードB−2.7で良好であった。
[実施例3]
実施例1で、製織乾燥後に、2液硬化型で有色彩顔料を添加しないシリコーンを20g/m2塗布し、180℃2分間加熱で加硫加工して仕上げた。織機上での織密度調整を行い、仕上がり布地の織り密度は経緯とも49.0本/2.54cmとなった。含油率は0.15重量%であった。
非塗布面に実施例1と同様にインクジェットでバーコードを印字した。にじみ指数Nは0.8であった。バーコード検証器(開口径10/波長660)による印字面の印刷品位評価は、グレードB−2.8で良好であった。非印字面の読み取り印刷品位は、グレードB−2.5で良好であった。
[実施例4]
実施例1において、熱セット加工に替えて熱カレンダー加工を行なった。熱カレンダー加工は、送り速度18m/分、金属ロール温度200℃、圧力600N/cmで行なった。織物を挟む上下のカレンダーロールは、上部の加熱用の金属ロールが12cm直径であり、下部のロールはペーパー表面を有する24cm直径ロールで、表面速度は上下同速である。ペーパーロール表面はショアD硬度が65である。仕上がり布地の織り密度は経緯とも49.0本/2.54cmであった。さらに、非加熱カレンダーロール側の面に対して、2液硬化型で有色彩顔料を添加しないシリコーンを20g/m2塗布し、180℃2分間加熱で加硫加工して仕上げた。含油率は0.15重量%であった。
加熱カレンダーロール加工で平滑化された面に実施例1と同様にインクジェット印字した。にじみ指数Nは0.1と良好であった。このバーコード印字はコーティング面である非印字面からもコードリーダー(開口径10/波長660)で読み取ることができた。バーコード検証器による印字面の印刷品位は、グレードA−3.6で良好であった。非印字面の読み取り印刷品位評価は、グレードB−2.8で良好であった。
[実施例5]
実施例1の織糸を用い、実施例1と同様にして平織を製織し、製織後に60℃の温水浴に1分間滞留させ、60℃で乾燥した。さらに、熱カレンダー加工を行なった。熱カレンダー加工は、送り速度18m/分、金属ロール温度200℃、圧力600N/cmで行なった。織物を挟む上下のカレンダーロールは、上部の加熱用の金属ロールが12cm直径であり、下部のロールはペーパー表面を有する24cm直径ロールで、表面速度は上下同速である。ペーパーロール表面はショアD硬度が65である。仕上がり布地の織り密度は経緯とも49.0本/2.54cmであった。次いで、非加熱カレンダーロール側の面に対して、2液硬化型で有色彩顔料を添加しないシリコーンを20g/m2塗布し、180℃2分間加熱で加硫加工して仕上げた。含油率は0.08重量%であった。
加熱カレンダーロール加工で平滑化され、かつ、シリコーン塗布されない面に実施例1と同様にインクジェット印字した。にじみ指数Nは0.5であった。バーコード検証器(開口径10/波長660)による印字面の印刷品位評価は、グレードB−3.2で良好であった。非印字面の読み取り印刷品位は、グレードB−2.5で良好であった。
[実施例6]
ポリエチレンテレフタレート繊維で、繊度が550dtex、単糸が144本のものを織糸として用いた。本繊維のtanδ(max)は0.09、Tmaxは125℃、比Sは0.00072[1/℃]であった。
ウォータージェット織機にて平織りし、精練すること無しに60℃で乾燥し、水分率を0.8%とした。次いで、熱カレンダー加工は、送り速度18m/分、金属ロール温度200℃、圧力600N/cmで行ない、反対側を同じ条件で処理し仕上た。織物を挟む上下のカレンダーロールは、ともに加熱用の金属ロールが12cm直径であり、表面速度は上下同速である。仕上がり布地の織り密度は経緯とも53.0本/2.54cmとした。含油率は0.12重量%であった。
この布地に実施例1と同様に60ミクロンノズルのインクジェットプリンタでエタノール性の黒インクを用い、20m/minの布地送り速度で10mm幅のCODE−39のバーコード印字を15cm間隔の直列で、かつ、15cm間隔の並列で実施した。印字表面を35倍ルーペで観察したところ、バーの境界が明瞭でにじみが無い状態であった。にじみ指数Nは0.2と良好であった。このバーコード印字は非印字面からもコードリーダーで読み取ることができた。JISX0520:2001に準拠したバーコード検証器(開口径10/波長660)による印字面の印刷品位は、グレードA−3.6で良好であった。非印字面の読み取り印刷品位は、グレードB−3.2で良好であった。
参考例7]
実施例1の織糸を用い、実施例1と同様にして平織を製織し、製織後に115℃の高圧温水槽に1分間滞留させ、120℃で乾燥し仕上げた。仕上がり布地の織り密度は、経54.0本/2.54cm、緯53.5本/2.54cmであった。含油率は0.02重量%であった。
実施例1と同様にインクジェットでバーコードを印字した。印字表面を35倍ルーペで観察したところ、布地の表面凹凸が多くバーの境界が不明瞭でにじみがあった。にじみ指数Nは1.2と不良であった。バーコード検証器(開口径10/波長660)による印字面の印刷品位は、グレードC−2.0で不良であった。非印字面の読み取り印刷品位は、グレードC−1.8で不良であった。
参考例8]
実施例4でカレンダー加工温度を120℃に変えて実施した。仕上がり布地の織り密度は経緯とも49.0本/2.54cmである。含油率は0.15重量%であった。
実施例1と同様にインクジェットでバーコードを印字した。印字表面を35倍ルーペで観察したところ、布地の表面凹凸が多くバーの境界が不明瞭でにじみがあった。にじみ指数Nは1.1と不良であった。バーコード検証器(開口径10/波長660)による印字面の印刷品位は、グレードC−2.4で不良であった。非印字面の読み取り印刷品位は、グレードC−1.9で不良であった。
参考例9]
織糸としてポリヘキサメチレンアジパミド繊維で、繊度が470dtex、単糸が136本のものを用いた。本繊維のtanδ(max)は0.12、Tmaxは108℃、比Sは0.00111[1/℃]であった。経糸用に無撚無糊で引き揃え、整経ビームとした。緯糸用に無撚無糊で巻取りパッケージからそのまま供給した。ウォータージェット織機にて平織を製織した。得られた織物を精練すること無しに、60℃で乾燥し、織物水分率を3%にした。
次いで、実施例2と同様のカレンダー熱加工を行い仕上げた。仕上がり布地の織り密度は経緯とも53.0本/2.54cmであった。含油率は0.15重量%であった。
加熱カレンダーロール加工で平滑化された面に実施例1と同様にインクジェットでバーコードを印字した。印字表面を35倍ルーペで観察したところ、布地の表面は不均一で凹凸が著しくバーの境界が不明瞭でにじみが多かった。にじみ指数Nは1.3と悪かった。バーコード検証器(開口径10/波長660)による印字面の印刷品位は、グレードC−1.6で不良であった。非印字面の読み取り印刷品位は、グレードD−1.4で不良であった。
本発明の布地は、乗り物用衝突安全装置のエアバッグ袋体を製造するエアバッグ用の布地として好適であり、エアバッグ組み立て縫製工程での誤組み付けを防止し、生産工程での品質管理に優れ、最終製品中での生産情報識別が可能になったエアバッグ用布地である。
1 エアバッグ用の布地
2 印字群
3 印刷した直線の20倍拡大像を二値化した像の一部
4 最線幅
5 最線幅
d 印字群の並列間隔
l 印字群の直列間隔

Claims (12)

  1. インクジェット印字のバーコードまたは2次元コードを含む生産情報が、エアバッグ袋体の布地に直接、規則的に繰返し存在し、該繰返しの間隔が50〜2cmであり、そして該バーコード印字が少なくとも片面にあり、下記式(1):
    にじみ指数N=|B−A|/A (1)
    {式中、A、Bはそれぞれ、布地上のバーコード線の最小線幅(mm)と最大線幅(mm)である。}で定義されるにじみ指数Nが0〜1.0であることを特徴とするエアバッグ用織物布地。
  2. 前記繰返しが複数の並列配列である、請求項に記載のエアバッグ用織物布地。
  3. 前記繰返しが千鳥配列である、請求項に記載のエアバッグ用織物布地。
  4. 前記インクジェット印字面の裏面から印字を確認することができる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアバッグ用織物布地。
  5. 生産情報の少なくとも一部が反転印字されている、請求項に記載のエアバッグ用織物布地。
  6. 樹脂被覆を有さない、請求項1〜のいずれか項に記載のエアバッグ用織物布地。
  7. 前記布地の少なくとも一面に樹脂被覆を有し、樹脂被覆のない部分に前記インクジェット印字が存在する、請求項1〜のいずれか項に記載のエアバッグ用織物布地。
  8. 前記樹脂被覆が光透過性である、請求項に記載のエアバッグ用織物布地。
  9. 動的粘弾性測定から求められるTmaxが110〜150℃であり、Tmaxにおけるtanδ(max)とTmaxの比S[1/℃](tanδ(max)/Tmax)が0.0001から0.001である経糸および緯糸を用いて製織する工程を含む、請求項1〜のいずれか項に記載のエアバッグ用織物布地の製造方法
  10. 前記経糸および緯糸がポリアミド系繊維およびポリエステル系繊維から選ばれた少なくとも一種の繊維である、請求項に記載の方法
  11. 請求項1〜のいずれか項に記載のエアバッグ用織物布地からなるエアバッグ袋体。
  12. 請求項11に記載のエアバッグ袋体からなるエアバッグ装置。
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