JP5969331B2 - 密封装置の取付構造、及び密封装置 - Google Patents

密封装置の取付構造、及び密封装置 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、回転軸と、この回転軸を包囲するハウジングとの間を密封するための密封装置の取付構造、及び密封装置に関する。
従来より、風力発電機において、風を受けるためのブレードが取り付けられた主軸と、この主軸を包囲するハウジングとの間には、密封装置が設けられている。
上記密封装置は、ゴム等の弾性素材によって環状に形成されているとともに主軸との間を密封するシールリップを有するシール部材を備えている。このシール部材は、前記主軸に対する着脱を容易とするために、紐状のシールゴムにより構成されている。シール部材は、その両端面同士を突き合わせて環状にした状態で軸方向に挟持されて前記ハウジングに取り付けられ、主軸の外周面と、ハウジングとの間を密封する(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−76784号公報
上記密封装置のシール部材は、軸方向に挟持されてハウジングに固定されているので、例えば、低温環境下に置かれたことによってゴム収縮が生じると、常温時には強く挟持固定されていたとしても、その挟み込む力が弱まり、主軸の回転によってつれ回りが生じる場合がある。また、シール部材は、その両端面同士を突き合わせて環状としているため、前記両端面同士を突き合わせた突き合わせ部を周方向に1箇所有している。このため、シール部材全体が周方向に収縮してしまい、突き合わせ部の両端面同士の間にすき間が生じる場合もある。
シール部材のつれ回りや、突き合わせ部のすき間の発生は、密封装置の寿命低下や、密封性能の低下の原因となる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、低温環境下においてゴム収縮が生じたとしても、密封性能の低下及び寿命の低下を抑制することができる密封装置の取付構造、及び密封装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、回転軸と、この回転軸を包囲しているハウジングとの間を密封する密封装置の取付構造であって、前記密封装置は、弾性素材によって形成されているとともに前記ハウジングの内周面に内嵌されている環状の本体部と、前記本体部に一体に形成され前記回転軸の外周面に摺接する環状のシールリップと、を有するシール部材を備え、前記シール部材は、紐状のシールゴムをその両端面同士を突き合わせて環状にした状態で前記ハウジングに取り付けられ、前記本体部は、前記内周面に内嵌された状態で、前記ハウジングに形成された軸方向に交差する第1固定面と、前記第1固定面に対向配置された固定部材の第2固定面との間で軸方向に挟持して固定されており、前記第1固定面、又は前記第2固定面の少なくともいずれか一方には、前記本体部が前記ハウジングとの間で相対回転するのを規制するための溝部が形成されていることを特徴としている。
上記のように構成された密封装置の取付構造によれば、ハウジング側の第1固定面、又は固定部材側の第2固定面の少なくともいずれか一方に溝部が形成されているので、本体部における第1固定面又は第2固定面に当接している当接面は、溝部の凹みに入り込むように変形する。このため、低温環境下においてゴム収縮が本体部に生じたとしても、本体部とハウジングとの間で相対回転が規制され、つれ回りを防止することができる。さらに、低温環境下においてゴム収縮が本体部に生じ、本体部全体が周方向に収縮しようとしても、上記溝部によって本体部とハウジングとの間で相対回転が規制され、周方向に沿った相対移動も規制されるので、本体部が周方向に収縮移動することで、シールゴムの両端面同士を突き合わせた突き合わせ部にすき間を生じさせるのを抑制することができる。
この結果、シール部材において、低温環境下においてゴム収縮が生じたとしても、密封装置としての密封性能の低下及び寿命の低下を抑制することができる。
上記密封装置の取付構造において、前記溝部は、周方向に対して交差する方向に沿って延びた状態で、周方向に多数並べて形成されていることが好ましい。
この場合、本体部とハウジングとの間における周方向に沿った相対移動を、互いに隣接する溝部同士の間隔で定まる部分ごとに規制することができ、シール部材のつれ回りや突き合わせ部のすき間の発生をより効果的に抑制することができる。
また、本発明は、回転軸と、この回転軸を包囲しているハウジングとの間を密封する密封装置であって、前記ハウジングに嵌合固定される金属製の環状部材と、弾性素材によって形成されているとともに前記環状部材の内周面に内嵌されている環状の本体部、及び前記本体部に一体に形成され前記回転軸の外周面に摺接する環状のシールリップを有するシール部材と、を備え、前記シール部材は、紐状のシールゴムをその両端面同士を突き合わせて環状にした状態で前記ハウジングに取り付けられ、前記本体部は、前記環状部材の内周面に内嵌された状態で、前記環状部材に形成された軸方向に交差する第1固定面と、前記第1固定面に対向して形成された第2固定面との間で軸方向に挟持して固定されており、前記第1固定面、又は前記第2固定面の少なくともいずれか一方には、前記本体部が前記ハウジングとの間で相対回転するのを規制するための溝部が形成されていることを特徴としている。
上記構成の密封装置によれば、上述のように、シール部材において、低温環境下においてゴム収縮が生じたとしても、密封装置としての密封性能の低下及び寿命の低下を抑制することができる。
さらに、シール部材を挟持する金属製の環状部材を備えているので、シール部材が長尺であっても、予めシール部材を環状部材に装着することで取り扱いが容易となり、ハウジングHへの取り付けを容易とすることができる。
本発明の密封装置の取付構造、及び密封装置によれば、低温環境下においてゴム収縮が生じたとしても、密封装置としての密封性能の低下及び寿命の低下を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係るオイルシールの断面図である。 シール部材の突き合わせ部を示した図である。 段差面の外観図である。 図1中、III−III線上における本体部と、ハウジングとの境界部分の拡大断面図である。 溝部の他の態様を示した段差面の外観図である。 他の実施形態に係るオイルシールの断面図である。 シール部材の突き合わせ部に生じたすき間を示した図である。
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るオイルシールの断面図である。この密封装置としてのオイルシール1は、風力発電機のハウジングHと、ハウジングHの開口部h1から突出している主軸Sとの間に設けられている。
ハウジングHの内部には、主軸Sを回転自在に支持するための軸受装置等が収納されている。軸受装置はグリースによって潤滑されている。オイルシール1は、主軸Sの外周面s1と、ハウジングHの開口部h1との間を密封しており、ハウジングH内部のグリースが外部に漏洩するのを防止するとともに、ハウジングHの内部に水分や塵埃が侵入するのを防止している。
オイルシール1は、環状に構成されており、ハウジングHの端部に形成されたオイルシール1を装着するための装着部2に装着されて、主軸SとハウジングHとの間を密封している。
オイルシール1は、フッ素ゴム等の弾性素材からなるシール部材3を備えている。シール部材3は、装着部2の内周面2aに内嵌されている環状の本体部4と、本体部4に一体に形成され主軸Sの外周面s1に摺接するリップ部5とを有している。
リップ部5は、本体部4の径方向内側端部から軸方向ハウジングHの内側方向に延びて主軸Sの外周面s1に摺接している環状の主リップ6と、主リップ6の基端部付近を基端として外周面s1に摺接している環状の補助リップ7とを有している。
主リップ6の外周面側には、当該主リップ6を径方向内側に押圧して密封性を高めるためのガータスプリング8が装着されている。
主リップ6は、径方向内側に突出した山形の断面形状に形成されている。主リップ6は、山形の先端である環状の摺接部6aを外周面s1に摺接することで、回転する主軸Sと、ハウジングHとの間を密封している。
補助リップ7は、先端7aが当該補助リップ7の基端部7bよりも軸方向ハウジングHの外側方向に位置するように軸方向に対して傾斜して延びている。
補助リップ7は、主リップ6よりもハウジングHの外側に設けられており、これによって、外部の泥水や塵埃から主リップ6を保護し、主リップ6の密封性能が早期に低下するのを抑制している。
本体部4は、上述のように、装着部2の内周面2aに内嵌されている。
ハウジングHの端部に設けられている装着部2は、ハウジングHの端面h2に対して軸方向に段差を形成する段差面2bと、端面h2と段差面2bとを繋ぐ内周面2aとによって構成されている。
また、ハウジングHの端面h2には、環状の固定部材9がボルト10によって固定されている。固定部材9は、シール部材3の本体部4を装着部2に固定するための部材であり、段差面2bに対して対向配置されている。
本体部4は、軸方向に交差している段差面2bに当接しているとともに、固定部材9の固定面9aに当接しており、段差面2bと固定面9aとの間で軸方向に挟持して固定されている。なお、本体部4に対する段差面2bと固定面9aとの間で軸方向に挟持される際の締め代は、0.1〜0.9mm程度に設定される。
このように、シール部材3は、本体部4が装着部2の内周面2aに内嵌された状態で、第1固定面としての段差面2bと、第2固定面としての固定面9aとの間で軸方向に挟持して固定されることで、ハウジングHに取り付けられている。
シール部材3は、本体部4及びリップ部5を形成した長尺のシールゴムを所定長さに切断した紐状のものである。紐状のシール部材3は、その両端面同士を突き合わせて環状にした状態でハウジングHに取り付けられている。これによって、シール部材3は、主軸Sの外径寸法に関わらず当該主軸Sに対する着脱が容易とされている。
シール部材3は、その両端面同士を突き合わせて環状としているため、両端面同士を突き合わせた突き合わせ部を周方向に1箇所有している。
図2は、シール部材3の突き合わせ部を示した図である。
突き合わせ部11は、図に示すように、シール部材3の両端面3a,3b同士が互いに突き合わされている。
また、1本のコイルスプリングにより構成されているガータスプリング8は、コイルスプリングの両端をフック部材8aによって接続することで環状とされている。
シール部材3は、上述のようにフッ素ゴム等の弾性素材によって形成されている。よって、シール部材3は、低温環境下においては、ゴム収縮が生じる。
ゴム収縮が生じ、シール部材3が軸方向に収縮すると、段差面2bと、固定面9aとの間でのシール部材3を挟み込む力が弱まり、主軸Sの回転によってシール部材3につれ回りが生じる場合がある。また、シール部材3全体が周方向に収縮することで、両端面3a,3bが離間し突き合わせ部11にすき間が生じる場合もある。
このような、シール部材3のつれ回りや、突き合わせ部11のすき間の発生は、オイルシール1の寿命低下や、密封性能の低下の原因となる。
このため、本実施形態では、ハウジングHの段差面2b、及び固定部材9の固定面9aに、シール部材3の本体部4がハウジングHとの間で相対回転するのを規制するための溝部が形成されている。
図3は、段差面2bの外観図である。段差面2bには、多数の溝部20が周方向に沿って並べて設けられている。溝部20は、軸方向に凹んで形成されているとともに、周方向に対して交差するように径方向に沿って延びるように形成されている。
また、固定部材9の固定面9aにおいても段差面2bと同様の溝部20が形成されている。
上記のように構成されたオイルシール1の取付構造によれば、ハウジングHの段差面2b、及び固定部材9の固定面9aに溝部20が形成されているので、本体部4において段差面2b、及び固定面9aに当接している当接面は、溝部20の凹みに入り込むように変形する。
図4は、図1中、III−III線上における本体部4と、ハウジングHとの境界部分の拡大断面図である。
本体部4は、段差面2bと固定面9aとの間で軸方向に挟持して固定されているので、本体部4の段差面2bに当接している当接面4aは、段差面2bに押圧され、図に示すように、溝部20の凹みに沿って入り込むように変形する。
これによって、低温環境下においてゴム収縮が本体部4に生じたとしても、本体部4が変形して溝部20に入り込んでいる部分のせん断力によって、本体部4とハウジングHとの間における周方向に沿った相対移動が規制される。つまり、本体部4とハウジングHとの間における相対回転が規制される。
この結果、ゴム収縮によってシール部材3が軸方向に収縮し、段差面2bと、固定面9aとの間でのシール部材3を挟み込む力が弱まったとしても、主軸Sの回転によってシール部材3につれ回りが生じるのを防止することができる。
また、本体部4とハウジングHとの間における周方向に沿った相対移動が規制されるので、シール部材3全体が周方向に収縮することで、両端面3a,3bが離間して突き合わせ部11にすき間を生じさせるのを抑制することができる。
以上によって、シール部材3において、低温環境下においてゴム収縮が生じたとしても、オイルシール1としての密封性能の低下及び寿命の低下を抑制することができる。
特に、フッ素ゴムを用いてシール部材3を形成している場合、フッ素ゴムのガラス転移点が−20〜−10度であるため、この温度以下になると、シール部材3はそのときの形状でガラス化するので、実質的に締め代がなくなる。しかし、本体部4が変形して溝部20に入り込んでいる部分もそのままガラス化する。よって、このガラス化した溝部20に入り込んでいる部分がアンカーとなって、より強固に本体部4とハウジングHとの間における周方向に沿った相対移動を規制することができる。
また、本実施形態において、溝部20は、周方向に対して交差する方向に沿って延ばされているとともに、周方向に多数並べて形成されているので、本体部4とハウジングHとの間における周方向に沿った相対移動を、互いに隣接する溝部20同士の間隔で定まる部分ごとに規制することができ、シール部材3のつれ回りや突き合わせ部11のすき間の発生をより効果的に抑制することができる。
なお、溝部20は、互いに隣接する溝部20同士の間隔P(図4)が、0.2mm以上、50mm以下に設定することが好ましい。間隔Pが0.2mmの場合、溝部20を形成するための加工が困難となる。また、間隔Pが50mmより大きいと、本体部4とハウジングHとの間における相対移動を規制可能な部分の範囲が大きくなり、突き合わせ部11にすき間を生じさせるおそれが生じる。このような理由から、間隔Pは、上述の設定範囲であることが好ましい。
また、溝部20の幅寸法W(図4)、及び深さ寸法D(図4)は、0.1mm以上、10mm以下に設定することが好ましい。幅寸法W及び深さ寸法Dが、0.1mmよりも小さいと、本体部4とハウジングHとの間の相対回転を規制しうる程度の本体部4の変形が得られないおそれがある。幅寸法Wが10mmより大きいと、溝部20自身が幅広となることで、溝部20が形成可能な数量を制限してしまう。このような理由から、幅寸法W、及び深さ寸法Dは、上述の設定範囲であることが好ましい。
本実施形態では、溝部20を径方向に沿って延びるように形成した場合を示したが、この溝部20は、周方向に対して交差する方向に沿って延ばされていればよい。
よって、図5(a)に示すように、径方向ほぼ中央部分でくの字型に折れ曲がるように形成された溝部20を多数並べて設けてもよいし、図5(b)に示すように、径方向に対して互いに傾斜角度の異なる2種類の溝部(第1溝部20a、第2溝部20b)を互いに交差させて設けてもよい。
また、本実施形態では、ハウジングHの段差面2bと、固定部材9の固定面9aの両方に溝部20を形成した場合を示したが、段差面2bと固定面9aの少なくともいずれか一方に溝部20を形成すれば、本体部4とハウジングHとの間における相対回転を規制することができる。
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、シール部材3をハウジングHの装着部2に直接的に取り付けた場合を示したが、ハウジングHの内周面に嵌合固定された環状部材を介してシール部材3がハウジングHに取り付けられる場合もある。
図6は、他の実施形態に係るオイルシール1の断面図であり、環状部材30を備えたオイルシール1を示している。本実施形態において、環状部材30は、鋼板等の金属を用いて形成された環状の部材であり、ハウジングHの内周面2aに嵌合固定されている円筒部31と、円筒部31の軸方向一方側から径方向内側に延びている第1環状部32と、円筒部31の軸方向他方側から径方向内側に延びて第1環状部32に対向している第2環状部33とを備えている。
本実施形態は、オイルシール1が環状部材30をさらに備えている点において、上記実施形態と相違しており、他の構成については、上記実施形態と同様である。
シール部材3の本体部4は、円筒部31の内周面31aに内嵌された状態で、第1環状部32の内側面32a(第1固定面)と、第2環状部33の内側面33a(第2固定面)との間で軸方向に挟持して固定されている。
内側面32a,33aの少なくともいずれか一方には、図3及び図4で示したものと同様の構成とされた溝部20が形成されている。
従って、本実施形態においても、上記実施形態と同様、低温環境下においてゴム収縮が本体部4に生じたとしても、本体部4とハウジングH(環状部材30)との間における相対回転が規制される。この結果、主軸Sの回転によってシール部材3につれ回りが生じるのを防止できるとともに、突き合わせ部11にすき間を生じさせるのを抑制することができる。
図6に示す実施形態のオイルシール1は、以下のようにして装着される。すなわち、まず環状部材30にシール部材3を装着する。次いで、シール部材3が装着された環状部材30をハウジングHに内嵌固定する。これによって、シール部材3は、ハウジングHに取り付けられる。
なお、環状部材30は、予めハウジングHの内周面2aに内嵌可能な径寸法で環状に形成されている。
ここで、主軸Sの径寸法が非常に大きい場合、紐状であるシール部材3は、その形状が安定しない上に長尺となるため、その取り扱いが困難となる。このため、シール部材3を直接ハウジングHに取り付けることが困難となる場合がある。
この点、金属製の環状に形成された環状部材30にシール部材3を装着すれば、シール部材3が長尺であっても環状部材30によって形状が定まることで取り扱いが容易となり、ハウジングHへの取り付けを容易とすることができる。
次に、上記実施形態に係るオイルシールの効果を検証するために、本発明者らが行った試験の結果について説明する。
オイルシールの突き合わせ部に生じるすき間に関する検証試験については、擬似的な回転軸にオイルシールを外嵌し、所定温度に設定された恒温槽内に回転軸ごとオイルシールを投入し、恒温槽内の設定温度が安定した段階で、回転軸に外嵌した状態のオイルシールをそのまま取り出し、回転軸に外嵌した状態のままで速やかにオイルシールの突き合わせ部にすき間が生じているか否かを確認し、すき間が生じている場合には、そのすき間寸法を測定した。
突き合わせ部のすき間寸法は、図7に示すように、シール部材3を正面視したときに主リップ6の突き合わせ部11に生じた端面3a,3b間のすき間を読取顕微鏡等を用いて測定した。またこのとき、すき間寸法として、主リップ6の径方向外側部分のすき間寸法G1と、主リップ6の先端(摺接部6a)付近のすき間寸法G2の2つの箇所を測定した。
また、つれ回りに関する検証試験については、擬似的な回転軸及びハウジングを備えた試験機を恒温槽内に設置し、この試験機の回転軸にリップ部が摺接するようにオイルシールをハウジングに固定し、恒温槽内を所定の温度に設定した後に、回転軸をハウジングに対して相対回転させることで、オイルシールにつれ回りが発生するか否かを確認した。
検証試験に供したオイルシールとしては、実施例品として、上記実施形態(図1)にて示したオイルシールを用いた。また、比較例品としては、ハウジングHの段差面2b及び固定部材9の固定面9aに溝部20が形成されていない点以外は、上記実施形態と同一の構成とされたオイルシールを用いた。
なお、擬似的な回転軸の外径寸法は105mmとし、実施例品及び比較例品の両方において、常温における回転軸に対する径方向の締め代が1.5mmとなるように設定した。また、実施例品及び比較例品の両方において、シール部材の本体部の軸方向の締め代は、0.1〜0.9mmの範囲で同一の値に設定した。
オイルシールの突き合わせ部に生じるすき間に関する検証試験の試験結果を下記表1に示す。
Figure 0005969331
この試験においては、設定温度を、−30℃、−20℃、−15℃、25℃の4種類に設定してすき間寸法を測定した。表1中、「0」は、すき間が確認されなかったことを示している。
表1に示すように、比較例品では、25℃(常温)と、−15℃のときは、すき間は生じていないが、−20℃、及び−30℃では、すき間が確認されており、低温環境下においては、シール部材にゴム収縮が生じ、突き合わせ部にすき間が生じることが確認できる。
一方、実施例品では、いずれの設定温度においても、すき間が確認されなかった。
この結果から、実施例品であるオイルシールによれば、ハウジングHの段差面2b(図1)及び固定部材9の固定面9a(図1)に形成されている溝部20(図2、図3)によって、−20℃以下といった低温環境下に置かれることでシール部材にゴム収縮が生じたとしても、突き合わせ部にすき間が生じるのを抑制できることを確認できた。
次に、連れ回りに関する検証試験の試験結果を下記表2に示す。
Figure 0005969331
この試験においても、設定温度を、−30℃、−20℃、−15℃、25℃の4種類に設定してつれ回り発生の有無を確認した。表中、○印は、つれ回りの発生が確認されなかったことを示しており、×印は、つれ回りの発生が確認されたことを示している。
表2より、比較例品では、25℃(常温)と、−15℃のときは、すき間は生じていないが、−20℃、及び−30℃では、つれ回りの発生が確認されており、低温環境下においては、シール部材にゴム収縮が生じ、つれ回りが生じることが確認できる。
一方、実施例品では、いずれの設定温度においても、つれ回りの発生は確認されなかった。
この結果から、実施例品であるオイルシールによれば、ハウジングHの段差面2b(図1)及び固定部材9の固定面9a(図1)に形成されている溝部20(図2、図3)によって、−20℃以下といった低温環境下に置かれることでシール部材にゴム収縮が生じたとしても、つれ回りの発生を抑制できることを確認できた。
なお、上記試験では、回転軸の外径寸法が105mmであり、風力発電機の主軸の外径寸法と比較すると小さい。
一般に、オイルシールは、当該オイルシールが適用される軸の外径寸法に応じて、主リップの締め代が設定されている。例えば、外径寸法150mm以上、200mm未満の場合、主リップの締め代は、2.6mmと規定され、外径寸法200mm以上、400mm未満の場合、3.2mmと規定されている。このように、各径寸法について主リップの締め代は予め規定されている。この主リップの締め代の規定は、主リップによる回転軸に対する締付力がほぼ一定となるように設定されているとすると、前記規定に従って締め代を設定すれば、軸の外径寸法に関係なく同一の環境に調整されているといえる。よって、実際の風力発電機の主軸に用いるサイズのオイルシールの場合においても、前記規定に従った締め代の値に設定することで、上記試験結果と同様の結果が得られると考えられる。
1:オイルシール(密封装置) 2a:内周面 2b:段差面(第1固定面)
3:シール部材 3a,3b:端面 4:本体部
5:リップ部 6:主リップ 7:補助リップ
9:固定部材 9a:固定面(第2固定面) 20:溝部
20a 第1溝部 20b 第2溝部 30 環状部材
31a 内周面 32a 内側面(第1固定面)
33a 内側面(第2固定面) H ハウジング S 主軸(回転軸)
s1 外周面

Claims (3)

  1. 回転軸と、この回転軸を包囲しているハウジングとの間を密封する密封装置の取付構造であって、
    前記密封装置は、弾性素材によって形成されているとともに前記ハウジングの内周面に内嵌されている環状の本体部と、前記本体部に一体に形成され前記回転軸の外周面に摺接する環状のシールリップと、を有するシール部材を備え、
    前記シール部材は、紐状のシールゴムをその両端面同士を突き合わせて環状にした状態で前記ハウジングに取り付けられ、
    前記本体部は、前記内周面に内嵌された状態で、前記ハウジングに形成された軸方向に交差する第1固定面と、前記第1固定面に対向配置された固定部材の第2固定面との間で軸方向に挟持して固定されており、
    前記第1固定面、又は前記第2固定面の少なくともいずれか一方には、前記本体部が前記ハウジングとの間で相対回転するのを規制するための溝部が形成されていることを特徴とする密封装置の取付構造。
  2. 前記溝部は、周方向に対して交差する方向に沿って延びた状態で、周方向に多数並べて形成されている請求項1に記載の密封装置の取付構造。
  3. 回転軸と、この回転軸を包囲しているハウジングとの間を密封する密封装置であって、
    前記ハウジングに嵌合固定される金属製の環状部材と、
    弾性素材によって形成されているとともに前記環状部材の内周面に内嵌されている環状の本体部、及び前記本体部に一体に形成され前記回転軸の外周面に摺接する環状のシールリップを有するシール部材と、を備え、
    前記シール部材は、紐状のシールゴムをその両端面同士を突き合わせて環状にした状態で前記ハウジングに取り付けられ、
    前記本体部は、前記環状部材の内周面に内嵌された状態で、前記環状部材に形成された軸方向に交差する第1固定面と、前記第1固定面に対向して形成された第2固定面との間で軸方向に挟持して固定されており、
    前記第1固定面、又は前記第2固定面の少なくともいずれか一方には、前記本体部が前記ハウジングとの間で相対回転するのを規制するための溝部が形成されていることを特徴とする密封装置。
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