JP5967534B2 - 熱遮蔽被膜の形成方法および熱遮蔽被膜被覆部材 - Google Patents

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本発明は、熱遮蔽被膜の形成方法および熱遮蔽被膜被覆部材に関する。
発電所等のガスタービンは、その初期には、タービン入口温度(TIT:Turbine Inlet gas Temperature)が約800℃と低く、熱効率も30%程度であった。しかし、近年では、TITが1300℃〜1500℃級となり、熱効率も50%強まで向上している。さらに、コンバインドサイクル方式の採用により一層の高効率化が可能となっている。このようなTITの上昇は、燃焼器や静翼および動翼等の高温部品における冷却技術の進歩や、その材料の改良によってもたらされてきた。しかし、冷却技術やタービン翼の材料開発だけではTIT上昇の限界が近づいたため、現在では、タービン翼に熱遮蔽被膜(遮熱コーティング;TBC:Thermal Barrier Coating)を施すことが必要不可欠となっている。
熱遮蔽皮膜は、熱伝導率の低いセラミックスを耐熱合金基材表面にコーティングすることにより、基材の温度上昇を抑制させる技術である。タービン動翼は、一般に内部を冷却しているため、表面と内部との間に温度勾配が存在する。このため、セラミックスのコーティングを施すことにより熱伝導を抑制し、基材表面温度を低下させることが可能となる。
一般的な熱遮蔽皮膜は、Ni基超合金基材上に、MCrAlY合金(Mは、Fe,Ni,Coから選ばれる1種以上の元素)から成るボンドコート層(BC:Bond Coat)を、減圧プラズマ溶射(LPPS:Low Pressure Plasma Spray)や高速フレーム溶射(HVOF:High Velocity Oxy−fuel Frame−spraying)により、厚さ約100μm程度で形成し、そのボンドコート層の上に、イットリア安定化ジルコニア(YSZ:Yttria Stabilized Zirconia)から成るトップコート層(TC:Top Coat)を、大気圧プラズマ溶射(APS:Air Plasma Spray)または電子ビーム物理蒸着法(EB−PVD:Electron Beam−Physical Vapor Deposition)により、厚さ250〜300μm程度で形成して成っている(例えば、非特許文献1または2参照)。
熱遮蔽皮膜は、高温環境において高速回転による遠心力や振動および燃焼ガスによる腐食等を受けることが予想される。また、タービンの起動・停止に伴う熱サイクル環境下に曝されるため、経年劣化によるはく離や脱落が危惧される。熱遮蔽皮膜がはく離した場合、基材が直接高温環境に曝されるため、深刻な破壊に繋がる恐れがある。このような熱遮蔽皮膜のはく離劣化を支配する一つの要因として、高温環境における長時間使用により、トップコート層とボンドコート層との界面に、熱成長酸化物(TGO:Thermally Grown Oxide)が生成し成長することが挙げられる。
そこで、熱成長酸化物の生成挙動を制御して、熱遮蔽皮膜のはく離性を向上させるために、本発明者等は、CoNiCrAlYから成るボンドコート層に、CeおよびSiを微量(0.5wt%Ce,1.0wt%Si)添加したものを開発している(例えば、非特許文献3または特許文献1参照)。この熱遮蔽皮膜は、ボンドコート層内に入り組むように形成された熱成長酸化物の楔止効果により、耐はく離性が向上することが確認されている。
なお、LPPSによりボンドコート層を形成する場合には、熱影響が発生することや、真空チャンバーが必要となるといった問題点があった。このため、粒子を高速で飛翔させ、粒子を大きく塑性変形させることにより皮膜を形成するコールドスプレー(CS:Cold spray)法により、ボンドコート層を形成する試みがなされている(例えば、特許文献2または3参照)。また、LPPSで施工したボンドコート層よりも、コールドスプレー法で施工したボンドコート層の方が、熱成長酸化物の成長速度が遅いことが報告されている(例えば、非特許文献4参照)。なお、従来のコールドスプレー(CS)法によるボンドコート層の形成では、ボンドコート材料としてCoNiCrAlY合金を利用している。しかし、LPPSで施工可能な材料も、CS法で施工可能とは限らないため、他の材料を使用する場合には、成膜の可否や、最適条件の検討を行う必要がある。
有川秀行、児島慶享、「ガスタービン用材料の耐熱コーティング」、表面技術、2001年、Vol.52、No.1、p.11-15 金子秀明、鳥越泰治、妻鹿雅彦、高橋孝二、井筒大輔、「産業用ガスタービン遮熱コーティングの信頼性向上技術」、日本ガスタービン学会誌、2002年、Vol.30、No.6、p.514-518 加藤俊樹、小川和洋、庄子哲雄、「耐はく離性に優れた熱遮へいコーティングの開発」、溶射、2002年、Vol.39、No.2、p.52-57 Atsushi Nakano and Kazuhiro Ogawa, "Influenceof Specimen Shape and Bond Coating Process on Thermally Grown Oxide Growth atthe Thermal Barrier Coating/Bond Coating Interface", Proceedings of ATEM’11,2011, Japan Society of Mechanical Engineers, No.11-203
特許第3700766号公報 特開2004−76157号公報 特開2011−132565号公報
近年、熱効率を向上させるために、ガスタービンのタービン入口温度(TIT)が上昇する傾向にある。現在よりさらにTITが上昇するものと考えられる次世代のガスタービンに対応するためには、非特許文献3および特許文献1に記載の熱遮蔽被膜よりもさらに高温における耐はく離性に優れたものが必要になると考えられる。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、高温における耐はく離性に優れた熱遮蔽被膜の形成方法および熱遮蔽被膜被覆部材を提供することを目的としている。
本発明に係る熱遮蔽被膜の形成方法は、金属基材の表面に、コールドスプレー法によりMCrAl又はMCrAlY(Mは、Fe,Ni,Coから選ばれる1種以上の元素)にCeを添加した合金から成るボンドコート層を形成し、前記ボンドコート層の上に、セラミックスから成るトップコート層を形成した後、1050℃乃至1300℃で熱処理を行って前記ボンドコート層に楔形の熱成長酸化物を成長させることを特徴とする。
本発明に係る熱遮蔽被膜の形成方法では、コールドスプレー法によりボンドコート層を形成するため、LPPSで形成したボンドコート層と比べて熱成長酸化物(TGO)の成長速度が遅く、耐はく離性に優れた熱遮蔽被膜を得ることができる。また、ボンドコート層のMCrAl又はMCrAlYにCeを添加し、1050℃乃至1300℃で熱処理を行うことにより、ボンドコート層の内部にTGOが成長する際も、楔形のTGOを成長させることができる。こうして成長した楔形TGOにより熱応力分散が生じるため、熱遮蔽被膜の高温における耐はく離性をさらに向上させることができる。なお、熱処理温度が1300℃を越えると、溶融や組織変化等が発生するため、熱処理温度は1300℃以下とする。
また、ボンドコート材料として一般的に使用されているCoNiCrAlY合金では、トップコート層とボンドコート層との界面に複合酸化物YAGが生成され、この酸化物により界面強度が低下している。このため、ボンドコート層がMCrAlにCeを添加した合金からなる場合には、ボンドコート材料にYが含まれている場合に比べて、楔形のTGOが一様にかつ顕著に成長すると共に、トップコート層とボンドコート層との界面に複合酸化物YAGが生成されるのを防ぐことができ、熱遮蔽被膜の耐はく離性をさらに向上させることができる。
本発明に係る熱遮蔽被膜被覆部材は、金属基材と該金属基材の表面に形成された熱遮蔽被膜とを有し、前記熱遮蔽被膜は、MCrAl又はMCrAlY(Mは、Fe,Ni,Coから選ばれる1種以上の元素)にCeを添加した合金から成るコールドスプレー法により形成されたボンドコート層と、該ボンドコート層の上に形成されたセラミックスから成るトップコート層とを有し、前記ボンドコート層は、内部に楔形の熱成長酸化物を有していることを特徴とする。
本発明に係る熱遮蔽被膜被覆部材は、本発明に係る熱遮蔽被膜の形成方法により好適に形成される。本発明に係る熱遮蔽被膜被覆部材は、コールドスプレー法によりボンドコート層が形成されているため、熱遮蔽被膜の耐はく離性が優れている。また、ボンドコート層のMCrAl又はMCrAlYにCeが添加され、1050℃乃至1300℃で熱処理が行われているため、熱遮蔽被膜の高温における耐はく離性をさらに向上させることができる。また、ボンドコート層がMCrAlにCeを添加した合金からなる場合には、ボンドコート材料にYが含まれている場合に比べて、楔形のTGOが一様にかつ顕著に成長していると共に、トップコート層とボンドコート層との界面に複合酸化物YAGが生成されるのを防ぐことができ、熱遮蔽被膜の耐はく離性をさらに向上させることができる。
本発明によれば、高温における耐はく離性に優れた熱遮蔽被膜の形成方法および熱遮蔽被膜被覆部材を提供することができる。
ボンドコート材料として(a)CoNiCrAl+Ce、(b)CoNiCrAlY+Ceを用いた本発明の実施の形態の熱遮蔽被膜被覆部材、(c)ボンドコート材料としてCoNiCrAlYを用いた比較例の、熱処理時間1000時間におけるトップコート層とボンドコート層との界面(TC/BC界面)の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 ボンドコート材料としてCoNiCrAl+Ceを用いた本発明の実施の形態の熱遮蔽被膜被覆部材の、熱処理時間(a)0時間、(b)1000時間におけるTC/BC界面のSEM画像である。 ボンドコート材料としてCoNiCrAl+Ceを用いた本発明の実施の形態の熱遮蔽被膜被覆部材の、熱処理時間1000時間のTC/BC界面のSEM画像、および、その画像領域での4種類の元素のEDX元素マッピングである。 ボンドコート材料としてCoNiCrAlY+Ceを用いた本発明の実施の形態の熱遮蔽被膜被覆部材の、熱処理時間1000時間のTC/BC界面のSEM画像、および、その画像領域での4種類の元素のEDX元素マッピングである。 ボンドコート材料としてCoNiCrAlYを用いた、本発明の実施の形態の熱遮蔽被膜被覆部材に対する比較例の、熱処理時間300時間のTC/BC界面のSEM画像、および、その画像領域での4種類の元素のEDX元素マッピングである。 本発明の実施の形態の熱遮蔽被膜被覆部材および比較例に対する四点曲げ試験方法の概観を示す側面図である。 本発明の実施の形態の熱遮蔽被膜被覆部材および比較例の、1100℃の大気環境下で100時間の熱時効処理後の四点曲げ試験結果を示すグラフである。 ボンドコート材料として(a)CoNiCrAl+C、(b)CoNiCrAlY+Ceを用いた本発明の実施の形態の熱遮蔽被膜被覆部材、(c)ボンドコート材料としてCoNiCrAlYを用いた比較例の、1100℃の大気環境下で100時間の熱時効処理後の四点曲げ試験後のはく離点でのSEM画像である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施の形態の熱遮蔽被膜被覆部材は、本発明の実施の形態の熱遮蔽被膜の形成方法により、以下のようにして形成される。すなわち、まず、金属基材の表面に、コールドスプレー法により、MCrAlまたはMCrAlY(Mは、Fe,Ni,Coから選ばれる1種以上の元素)にCeを添加した合金から成るボンドコート層を、厚さ約100μmで形成する。金属基材は、例えば、耐熱合金のNi基超合金である。また、ボンドコート材料は、例えば、CoNiCrAl+Ce合金またはCoNiCrAlY+Ce合金である。
次に、ボンドコート層の上に、大気圧プラズマ溶射(APS)により、セラミックスから成るトップコート層を、厚さ250〜300μmで形成する。トップコート層は、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)である。トップコート層を形成後、約1100℃で熱処理を行う。こうして、本発明の実施の形態の熱遮蔽被膜被覆部材を形成することができる。
本発明の実施の形態の熱遮蔽被膜の形成方法では、コールドスプレー法によりボンドコート層を形成するため、LPPSで形成したボンドコート層と比べてTGO(熱成長酸化物)の成長速度が遅く、耐はく離性に優れた熱遮蔽被膜を得ることができる。また、ボンドコート層のMCrAlまたはMCrAlYにCeを添加し、約1100℃で熱処理を行った場合は、ボンドコート層の内部にTGOが成長する際も、楔形のTGOを成長させることができる。こうして成長した楔形TGOにより熱応力分散が生じるため、熱遮蔽被膜の高温における耐はく離性をさらに向上させることができる。
また、ボンドコート層がMCrAlにCeを添加した合金からなる場合には、ボンドコート材料にYが含まれている場合に比べて、楔形のTGOが一様にかつ顕著に成長していると共に、トップコート層とボンドコート層との界面に複合酸化物YAGが生成されるのを防ぐことができ、熱遮蔽被膜の耐はく離性をさらに向上させることができる。
金属基材の表面に、コールドスプレー法により厚さ約100μmのボンドコート層を形成し、ボンドコート層の上に、APSにより厚さ約300μmのトップコート層を形成した。金属基材には、厚さ3mmの多結晶Ni基超合金(Inconel 738LC)を使用した。ボンドコート材料には、CoNiCrAl+Ce(以下「実施例1」)およびCoNiCrAlY+Ce(以下「実施例2」)を使用した。また、比較のために、ボンドコート材料として、CoNiCrAlY(SULZER METCO製「AMDRY 9951」)を用いたもの(以下「比較例」)も形成した。各ボンドコート材料の化学組成を、表1に示す。トップコート材料には、8wt%YSZ(SULZER METCO製「METCO 204NS」)を使用した。
形成した各ボンドコート材料の熱遮蔽被膜被覆部材を用いて、TGO(熱成長酸化物)の生成状態の観察および四点曲げ試験を行った。
[TGOの生成状態の観察]
各ボンドコート材料を用いた熱遮蔽被膜被覆部材を、機械加工により縦10mm、横10mm、厚さ3mmに切断し、熱時効処理を施した。熱時効処理は、高温電気炉(ヤマト科学製「FO401」)にて、大気環境下1000℃で行った。熱時効処理後のトップコート層とボンドコート層との界面(TC/BC界面)を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、各ボンドコート材料でのTGOの生成状態の評価を行った。SEM観察には、電界放出型走査電子顕微鏡(HITACHI製「FE−SEM S−4700」)を用いた。
また、TGO(熱成長酸化物)を構成する酸化物の同定を行うため、エネルギー分散型X線分光器(EDX)により定性元素分析を行った。EDX分析には、電界放出型走査電子顕微鏡(「FE−SEM S−4700」)に搭載のEDX分析装置(EDAX製)を用いた。
各ボンドコート材料の、熱処理時間1000時間におけるTC/BC界面のSEM画像を、図1に示す。また、実施例1のCoNiCrAl+Ceの、熱処理時間0時間および1000時間におけるTC/BC界面のSEM画像を、図2に示す。さらに、各ボンドコート材料の、熱処理時間1000時間または300時間でのEDX分析によるEDX元素マッピングを、それぞれ図3乃至図5に示す。図1乃至図5のいずれの図も、図中の上方がトップコート(TC)層、下方がボンドコート(BC)層である。
実施例1のCoNiCrAl+Ceおよび実施例2のCoNiCrAlY+Ceでは、図1(a)、(b)、図2に示すように、熱処理時間が進むと、ボンドコート層の内部に分散するように楔形TGOが成長するのが確認できた。これは、Ce酸化物が拡散パスとなり、酸素がボンドコート層の内部に侵入して、楔形TGOが成長したものと考えられる。この楔形TGOにより熱応力分散が生じるため、熱遮蔽被膜の耐はく離性が向上するものと考えられる。
また、CoNiCrAl+CeおよびCoNiCrAlY+Ceは、楔形TGOの成長に差異があり、CoNiCrAl+Ceの方が顕著に成長していることが確認できた。また、CoNiCrAl+Ceは、どの場所でもTGOが成長していたが、CoNiCrAlY+Ceは、楔形TGO成長速度が場所により異なっていることが確認できた。これらの違いは、Yの有無によるものと考えられる。この楔形TGOの成長の差異により、CoNiCrAl+Ceの方が、CoNiCrAlY+Ceよりも耐はく離性が高くなると考えられる。
これに対し、従来材料である比較例のCoNiCrAlYでは、図1(c)に示すように、熱処理時間増加と共に、TC/BC界面に薄いTGOが成長していることが確認された。また、図3に示すように、成長したTGOは、場所に関係なくほぼ均一の厚さであることも確認された。
実施例1のCoNiCrAl+Ceおよび実施例2のCoNiCrAlY+Ceでは、図3および図4に示すように、熱処理の初期の段階で、ボンドコート層の内部に、Ce酸化物のCeOであると考えられる白い点在物が存在していることが確認できた。また、TGOの内部にCr酸化物の存在が認められたが、TGOの上部には、酸化物は確認されなかった。これに対し、比較例のCeを含まないCoNiCrAlYでは、図5に示すように、TGOはAl酸化物であると考えられる。また、TGO上部には、Co,Ni,Crの酸化物が混在している混合酸化層の存在も確認された。
[四点曲げ試験]
各ボンドコート材料を用いた熱遮蔽被膜被覆部材を、機械加工により長さ50mm、幅5mm、厚さ3.4mmに切断し、1000℃の大気環境下で500時間、および、1100℃の大気環境下で100時間の熱時効処理を施した。熱時効処理後の各試験片を用いて、図6に示す方法で、四点曲げ試験を行った。四点曲げ試験には、材料疲労試験機(MTS製「810 Material Test System」)を用いた。試験片の両面での治具の支点間距離をそれぞれ34mm、15mmとし、熱遮蔽被膜側に引張応力が作用するよう設定した。金属基材側の治具の変位速度を、0.01mm/secの一定とし、はく離が確認されるまで荷重を負荷した。
試験片の金属基材側の表面に、ひずみゲージ(共和電業製「KFG−2N−120−C1−11L1M2R」)を貼付し、熱遮蔽被膜側の一方の治具の側面にアコースティックエミッション(AE:Acoustic Emission)センサーを取り付け、金属基材側の表面の圧縮ひずみおよびAE信号を計測した。AEの測定には、AEワークステーション(PHYSICAL ACOUSTIC製「DiSP AE Workstation」)を用いた。
ここで、四点曲げ試験により熱遮蔽被膜のはく離が発生した場合、AEカウントを逐次累積した累積AEカウントが急上昇するため、この累積AEカウントの急上昇点をはく離発生点と定義する。はく離発生点での金属基材側の表面の圧縮ひずみ量を測定することにより、熱遮蔽被膜に引張負荷が作用する場合の耐はく離性について、定量的な評価を行うことができる。
1100℃の大気環境下で100時間の熱時効処理後の四点曲げ試験結果を、図7に示す。また、四点曲げ試験後のはく離点のSEM画像を、図8に示す。
1100℃の大気環境下で100時間の熱時効処理を行った場合、図7に示すように、実施例1のCoNiCrAl+Ceが最も良好な耐はく離特性を有し、比較例のCoNiCrAlYの耐はく離特性が最も低いことが確認された。図8(a)に示すように、CoNiCrAl+Ceは、はく離位置で一様に楔型TGOが成長していることが確認され、これにより耐はく離特性が高くなったものと考えられる。また、図8(b)に示すように、実施例2のCoNiCrAlY+Ceは、楔型TGOが部分的に成長していることが確認された。このことから、CoNiCrAlY+Ceは、比較例のCoNiCrAlYよりも高く、CoNiCrAl+Ceよりも低い耐はく離特性を有しているものと考えられる。また、図8(c)に示すように、比較例のCoNiCrAlYは、TGOの上部からはく離していることが確認され、混合酸化層がはく離の起点になっているものと考えられる。
以上の結果から、TIT(タービン入口温度)が上昇するものと考えられる次世代のガスタービンを考慮すると、ボンドコート材料としては、1100℃で熱時効処理を行ったときに最も高い耐はく離性が得られた、CoNiCrAl+Ceが最も有効であり、それよりもやや耐はく離性に劣るが、CoNiCrAlY+Ceも有効であると考えられる。また、ボンドコート材料としてCoNiCrAl+CeまたはCoNiCrAlY+Ceを使用した熱遮蔽被膜に対して、あらかじめ1100℃で熱処理を行っておくことにより、熱遮蔽被膜の高温における強度を高めることができると考えられる。

Claims (2)

  1. 金属基材の表面に、コールドスプレー法によりMCrAl又はMCrAlY(Mは、Fe,Ni,Coから選ばれる1種以上の元素)にCeを添加した合金から成るボンドコート層を形成し、前記ボンドコート層の上に、セラミックスから成るトップコート層を形成した後、1050℃乃至1300℃で熱処理を行って前記ボンドコート層に楔形の熱成長酸化物を成長させることを特徴とする熱遮蔽被膜の形成方法。
  2. 金属基材と該金属基材の表面に形成された熱遮蔽被膜とを有し、
    前記熱遮蔽被膜は、MCrAl又はMCrAlY(Mは、Fe,Ni,Coから選ばれる1種以上の元素)にCeを添加した合金から成るコールドスプレー法により形成されたボンドコート層と、該ボンドコート層の上に形成されたセラミックスから成るトップコート層とを有し、前記ボンドコート層は、内部に楔形の熱成長酸化物を有していることを
    特徴とする熱遮蔽被膜被覆部材。
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