JP5966422B2 - 重合体、有機電界発光素子材料、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機el表示装置及び有機el照明 - Google Patents
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Description
そこで、湿式成膜法による積層化を行うために、架橋性基を有する重合体の開発が行われている。例えば、特許文献1〜3には、特定の重合体を含有し、湿式成膜法によって、積層化された有機電界発光素子が開示されている。
しかし、これらの素子は、駆動電圧が高く、発光効率が低いという問題点があった。
本発明はまた、駆動電圧が低い有機電界発光素子、並びに高品質の有機EL表示装置及び有機EL照明を提供することを課題とする。
即ち、本発明は、少なくとも、下記式(I−1)、(I−2)、(I−3)、(II−1)、(II−2)及び(II−3)で表される繰り返し単位を含む重合体、有機電界発光素子材料、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機EL表示装置及び有機EL照明に存する。
<架橋性基群T>
た素子は、駆動電圧が低いものとなる。
また、本発明の重合体は、電気化学的安定性に優れる為、該重合体を用いて形成された層を含む素子は、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)、車載表示素子、携帯電話表示や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的価値は大きいものである。
[重合体]
本発明は、下記式(I−1)、(I−2)、(I−3)、(II−1)、(II−2)及び(II−3)で表される繰り返し単位を含む重合体である。
<架橋性基群T>
ここで前記式(II−1)、(II−2)及び(II−3)において、下記式(IV−1)、(IV−2)及び(IV−3)で表される重合体であることが好ましい。
また、前記式(II−1)、(II−2)及び(II−3)において、下記式(III−1)、(III−2)及び(III−3)で表される重合体であることが好ましい。
と同義である。)
高分子量の重合体が得られる点で、前記(IV−1)、(IV−2)、(IV−3)、(III−1)、(III−2)及び(III−3)を使用することが好ましい。
また、電荷の集中が少なく耐久性に優れる点で、式(I−1)、(I−2)及び(I−3)から選択される繰り返し単位と、式(II−1)、(II−2)及び(II−3)から選択される繰り返し単位が、交互に配列している重合体であることが好ましい。
式(I−1)、(I−2)及び(I−3)から選択される繰り返し単位と、式(II−1)、(II−2)及び(II−3)から選択される繰り返し単位の比は、2:1〜1:2であることが好ましい。より好ましくは、1.5:1〜1:1.5である。このような比で繰り返し単位が存在することで耐久性が向上し、溶解性が向上する。
R1は、下記架橋性基群Tの中から選ばれる架橋性基を含む基を示す。
<架橋性基群T>
尚、ベンゾシクロブテン環は、置換基を有していてもよく、また置換基同士が互いに結合して環を形成してもよい。)
架橋性基としては、カチオン重合によって架橋する基が好ましい。なぜなら反応性が高く、溶剤に対する溶解性を容易に低下できるためである。例えばエポキシ基、オキセタン基等の環状エーテル基、ビニルエーテル基等である。中でも、カチオン重合の速度を制御しやすい点でオキセタン基が特に好ましい。カチオン重合の際に素子の劣化を招く可能性
のあるヒドロキシル基が生成しにくい点で、酸素原子を介してビニル基が結合するビニルエーテル基が特に好ましい。
架橋性基として、電気化学的安定性に優れる点から、下記式で表される基が特に好ましい。
R1は、下記架橋性基群Tの中から選ばれる架橋性基自身であってもよく、架橋性基に適切な2価の基が結合したものであってもよい。この2価の基としては、−O−基、−C(=O)−基又は置換基を有していてもよい−CH2−基からなる群より選ばれる基を任意の、組み合わせ、比率及び順番で1〜30個連結してなる2価の基が好ましい。
R1の好ましい例を例示するが、本発明は以下の例示物に限定されるものではない。
R2及びR3は、互いに異なって、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基
、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を示す。
正孔注入輸送性の点から、R2は水素原子であることが好ましい。
電気化学的耐久性の点から、R2及びR3のいずれか一方は、アルキル基、芳香族炭化水素環基であることが好ましい。
以上の観点から、R2が水素原子であり、R3がアルキル基であることが特に好ましい。
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環の1価以上の基が挙げられる。例えば、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環等である。
上記アルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が有しても良い置換基としては、特に制限はないが、例えば、下記置換基群Zから選ばれる基が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が好ましい。
例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ドデシル基などの、炭素数が通常1以上であり、通常24以下、好ましくは12以下である、直鎖、分岐又は環状のアルキル基;
例えばビニル基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルケニル基;
例えばエチニル基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルキニル基;
例えばメトキシ基、エトキシ基等の、炭素数が通常1以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルコキシ基;
例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるアルコキシカルボニル基;
例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12以下であるジアルキルアミノ基;
例えばジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N−カルバゾリル基等の、炭素数が通常10以上、好ましくは12以上であり、通常36以下、好ましくは24以下のジアリー
ルアミノ基;
例えばアセチル基、ベンゾイル基等の、炭素数が通常2であり、通常24以下、好ましくは12であるアシル基;
例えばフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;
例えばトリフルオロメチル基等の、炭素数が通常1以上であり、通常12以下、好ましくは6以下のハロアルキル基;
例えばメチルチオ基、エチルチオ基等の、炭素数が通常1以上であり、通常24以下、好ましくは12以下のアルキルチオ基;
例えばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上であり、通常36以下、好ましくは24以下であるシリル基;
例えばトリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上であり、通常36以下、好ましくは24以下であるシロキシ基;
シアノ基;
例えばフェニル基、ナフチル基等の、炭素数が通常6以上であり、通常36以下、好ましくは24以下である芳香族炭化水素環基;
例えばチエニル基、ピリジル基等の、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上であり、通常36以下、好ましくは24以下である芳香族複素環基。
また、上記各置換基がさらに置換基を有していてもよく、その例としては前記(置換基群Z)の項に例示した基が挙げられる。
R2、R3の置換基の式量としては、さらに置換した置換基を含めて、200以下が好ましく、100以下がさらに好ましい。
R2及びR3が置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基である場合、R2及びR3は複数あってもよく、複数ある場合、同じであっても異なってもよい。R2及びR3は1つ又は2つであるこのことが好ましく、1つであることがより好ましい。
本発明の重合体が有する架橋性基の数を、分子量1000あたりの数で表した場合、分子量1000あたり、通常3.0個以下、好ましくは2.0個以下、さらに好ましくは1.5以下、また通常0.05以上、好ましくは0.1以上である。
上記範囲内であると、クラックによって平坦な膜が形成しにくくなることがなく、また架橋した後の膜中に残る未反応架橋性基が少なく、得られる素子の駆動寿命に影響を及ぼし難い。
ここで、重合体の分子量1000あたりの架橋性基の数は、重合体からその末端基を除
いて、合成時の仕込みモノマーのモル比と、構造式から算出する。
例えば、後述の合成例1で合成したポリマー1の場合で説明する。
本発明の重合体において、式(I−1)、(I−2)、(I−3)、(II−1)、(II−2)及び(II−3)で表される繰り返し単位の、好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<式(I−1)で表される繰り返し単位の具体例>
<重合体の具体例>
本発明の重合体とすることで、架橋前の溶解性が高く、架橋後は不溶化し、積層が可能であり、さらに、正孔注入輸送能が高く、また得られる素子の駆動電圧が低くなる理由について、下記の通り推測する。
本発明の重合体は、式(I−1)、(I−2)、(I−3)、(II−1)、(II−2)及び(II−3)で表される繰り返し単位を含むため、少なくとも6種以上のトリフェニルアミン構造を有する。トリフェニルアミン構造という同じ骨格が連続し、置換基や連結の様式のみが異なるため、架橋前の溶解性が高いものと考えられる。また、本発明の重合体は、正孔注入輸送能を有するトリアリールアミン類の中でも最も単純な構造である、トリフェニルアミン構造が連続した構造となっているため、電極からの正孔注入能に優れ、正孔輸送能に優れるものと推測される。
以上より、本発明の重合体を用いて形成される層を含む有機電界発光素子は、駆動電圧が低い。
本発明の重合体の重量平均分子量(Mw)は、通常3,000,000以下、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下、さらに好ましくは200,000以下であり、また通常1,000以上、好ましくは2,500以上、より好ましくは5,000以上、さらに好ましくは20,000以上である。
また、数平均分子量(Mn)は、通常3,000,000以下、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下、さらに好ましくは2,00,000以下であり、また通常15,000以上、好ましくは、20,000以上である。
上記範囲内であると、重合体の有機溶剤に対する溶解性、及び成膜性が良好である。また、ガラス転移温度、融点及び気化温度が良好であるため耐熱性が十分である点で好ましい。
上記範囲内であると、精製が容易で、また、有機溶剤に対する溶解性及び電荷輸送能が良好であるため好ましい。
重量平均分子量は、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)測定によって決定される。
ここで、SEC測定条件を示す。
カラムは、TSKgel(東ソー社製)GMHXL×2本又は同等以上の分離能を示すもの、即ち、
粒子径:9mm
カラムサイズ:7.8mm内径×30cm長さ×2本
保証理論段数:14000TP/30cm程度
のものを用い、カラム温度は40℃とする。
製作所製)を用いる。
SEC測定では高分子量成分ほど溶出時間が短く、低分子量成分ほど溶出時間が長くなるが、分子量既知のポリスチレン(標準試料)の溶出時間から算出した校正曲線を用いて、サンプルの溶出時間を分子量に換算することで分子量分布が決定され、これより数平均分子量が算出される。
尚、測定機器は、上記と同等の測定が可能であれば、特に限定されるものではなく、その他の測定機器を用いてもよいが、上記の測定機器を用いることが好ましい。
本発明の重合体は、有機溶剤に対する溶解度が高い方が、膜を均一に成膜できる点で好ましい。
本発明の重合体のイオン化ポテンシャルは、通常4.50〜5.70eV、好ましくは4.90〜5.50eV、さらに好ましくは5.00〜5.40eVである。上記範囲内であると、正孔を生成しやすく、電極からの正孔注入性が優れるため、素子とした場合の駆動電圧が低い点で好ましい。
本発明の重合体は、目的とするポリマーの構造に応じて原料を選択し、公知の手法を用いて合成することができる。
本発明の重合体の重合の方法は特には制限されず、本発明の重合体が得られる限り任意である。例えば、上記のモノマーを用いてUllmann反応による重合方法、Buchwald−Hartwig反応による重合方法等などによって製造できる。
Ullmann反応による重合方法及びBuchwald−Hartwig反応による重合方法の場合、例えば、アニリン誘導体、ジハロゲン化ベンゼン、ジハロゲン化ビフェニルを反応させることにより、本発明の重合体が合成される。
本発明の重合体は、有機電界発光素子材料として用いられることが好ましい。つまり、本発明の重合体からなる有機電界発光素子材料であることが好ましい。
有機電界発光素子材料として用いられる場合は、有機電界発素子における正孔注入層及び/又は正孔輸送層を形成する材料、つまり電荷輸送材料として用いることが好ましい。また、有機電界発光素子を簡便に製造できることから、本発明の重合体は、湿式成膜法で形成される有機層に用いることが好ましい。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、本発明のアリールアミンポリマーと溶剤とを含む組成物である。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、陽極と陰極の間に配置された有機層を有する有機電界発光素子において、通常、該有機層を湿式成膜法により形成する際の塗布液として用いられる。本発明の有機電界発光素子用組成物は、該有機層のうち、正孔輸送層を形成するために用いられることが好ましい。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、本発明のアリールアミンポリマーを含有することを特徴とするが、通常、さらに溶剤を含有する。
該溶剤は、本発明のアリールアミンポリマーを溶解するものが好ましく、通常、高分子化合物を常温で0.05重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上溶解する溶剤である。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、本発明のアリールアミンポリマーを通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下含有する。
本発明の有機電界発光素子用組成物に含まれる、本発明のアリールアミンポリマーの架橋反応を促進する添加物としては、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシムエステル化合物、アゾ化合物、オニウム塩などの重合開始剤や重合促進剤、縮合多環炭化水素、ポルフィリン化合物、ジアリールケトン化合物などの光増感剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電子受容性化合物としては、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましい。具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
電子受容性化合物として好適な有機基の置換したオニウム塩、シアノ化合物、芳香族ホウ素化合物の具体例としては、国際公開第2005/089024号パンフレットに記載のものが挙げられ、その好ましい例も同様である。例えば、下記構造式で表わされる化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の有機電界発光素子用組成物に含有される溶剤としては、特に制限されるものではないが、本発明のアリールアミンポリマーを溶解させる必要があることから、好ましくは、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族化合物;1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の含ハロゲン溶剤;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸イソプロピル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等のエステル系溶剤等の有機溶剤が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、水分は有機電界発光素子の性能劣化、中でも特に連続駆動時の輝度低下を促進する可能性があることが広く知られており、塗膜中に残留する水分をできる限り低減するために、これらの溶剤の中でも、25℃における水の溶解度が1重量%以下であるものが好ましく、0.1重量%以下である溶剤がより好ましい。
即ち、本発明における架橋層を湿式成膜法により形成する場合、下地との親和性が重要である。膜質の均一性は有機電界発光素子の発光の均一性、安定性に大きく影響するため、湿式成膜法に用いる塗布液には、よりレベリング性が高く均一な塗膜を形成しうるように表面張力が低いことが求められる。このような溶剤を使用することにより、本発明における架橋層を均一に形成することができる。
本発明の有機電界発光素子用組成物に含有される溶剤としてはまた、25℃における蒸気圧が10mmHg以下、好ましくは5mmHg以下で、通常0.1mmHg以上の溶剤が挙げられる。このような溶剤を使用することにより、有機電界発光素子を湿式成膜法により製造するプロセスに好適な、また、本発明のアリールアミンポリマーの性質に適した組成物を調製することができる。このような溶剤の具体例としては、前述したトルエン、キシレン、メチシレン等の芳香族系溶剤、エーテル系溶剤及びエステル系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の組成物中の濃度は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。
混合溶剤の比率は、25℃における蒸気圧が2mmHg以上である溶剤が、混合溶剤総量中、5重量%以上、好ましくは25重量%以上、但し50重量%未満であり、25℃における蒸気圧が2mmHg未満である溶剤が、混合溶剤総量中、30重量%以上、好ましくは50重量%以上、特に好ましくは75重量%以上、但し、95重量%未満である。
なお、本発明の有機電界発光素子用組成物に含有される溶剤として、前述した溶剤以外にも、必要に応じて、各種の他の溶剤を含んでいてもよい。このような他の溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等がある。
また、本発明の有機電界発光素子用組成物は、レベリング剤や消泡剤等の塗布性改良剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
前述の如く、有機電界発光素子は、多数の有機化合物からなる層を積層して形成するため、膜質が均一であることが非常に重要である。湿式成膜法で層形成する場合、その材料や、下地の性質によって、スピンコート法、スプレー法などの塗布法や、インクジェット法、スクリーン法などの印刷法等の成膜方法が採用できる。
本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて成膜する場合、塗布後、通常加熱を行う。
加熱の手法は特に限定されないが、加熱乾燥の場合の条件としては、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上、また通常400℃以下、好ましくは350℃以下、より好ましくは300℃以下に、有機電界発光素子用組成物を用いて形成された層を加熱する。加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下である。加熱手段としては特に限定されないが、形成された層を有する積層体をホットプレート上に載せたり、オーブン内で加熱するなどの手段が用いられる。例えば、ホットプレート上で120℃以上、1分間以上加熱する等の条件を用いることができる。
加熱及び光などの活性エネルギー照射は、それぞれ単独、あるいは組み合わせて行って
もよい。組み合わせる場合、実施する順序は特に限定されない。
加熱及び光などの活性エネルギー照射は、実施後に層に含有する水分及び/又は表面に吸着する水分の量を低減するために、窒素ガス雰囲気等の水分を含まない雰囲気で行うことが好ましい。同様の目的で、加熱及び/又は光などの活性エネルギー照射を組み合わせて行う場合には、少なくとも発光層の形成直前の工程を窒素ガス雰囲気等の水分を含まない雰囲気で行うことが特に好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、陽極、陰極、及び該陽極と該陰極の間に配置された有機層を有する有機電界発光素子において、該有機層が、本発明のアリールアミンポリマーを含有する層、又は本発明のアリールアミンポリマーが架橋性基を有する場合は、本発明のアリールアミンポリマーを架橋させて形成される層(以下、「本発明の架橋層」と称する場合がある)を含む有機電界発光素子である。
本発明のアリールアミンポリマーを含有する層又は架橋層は、本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて湿式成膜法にて形成されることが好ましい。
また、該正孔輸送層の陰極側には、湿式成膜法で形成される発光層を有することが好ましく、さらに、該正孔輸送層の陽極側には、湿式成膜法で形成される正孔注入層を有することが好ましい。すなわち、本発明の有機電界発光素子は、正孔注入層、正孔輸送層及び発光層の全てが湿式成膜法で形成されることが好ましい。特にこの湿式成膜法で形成される発光層は低分子材料からなる層であることが好ましい。
基板は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
陽極は、後述する発光層側の層(正孔注入層又は発光層など)への正孔注入の役割を果たすものである。この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又はスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。陽極の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などの場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散し、基板上に塗布することにより陽極を形成することもできる。更に、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板上に薄膜を形成したり、基板上に導電性高分子を塗布して陽極を形成することもできる(Applied
Physics Letters,1992年,Vol.60,pp.2711参照)。陽極は異なる物質で積層して形
成することも可能である。
なお、陽極に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的として、陽極表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理することが好ましい。
陽極の上には、正孔注入層が形成される。
正孔注入層は、陽極の陰極側に隣接する層へ正孔を輸送する層である。
なお、本発明の有機電界発光素子は、正孔注入層を省いた構成であってもよい。
正孔注入層は、正孔輸送性化合物を含むことが好ましく、正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを含むことがより好ましい。更には、正孔注入層中にカチオンラジカル化合物を含むことが好ましく、カチオンラジカル化合物と正孔輸送性化合物とを含むことが特に好ましい。
また、正孔注入層は、電子受容性化合物のみを湿式成膜法によって陽極上に成膜し、その上から直接、電荷輸送材料組成物を塗布、積層することも可能である。この場合、電荷輸送材料組成物の一部が電子受容性化合物と相互作用することによって、正孔注入性に優れた層が形成される。
上記の正孔輸送性化合物としては、4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。ただし、湿式成膜法に用いる場合には、湿式成膜法に用いる溶剤への溶解性が高い方が好ましい。
正孔輸送性化合物としては、成膜性に優れ、高い電荷注入輸送能を有する点から、本発明のアリールアミンポリマーであることが好ましい。つまり、本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて層を形成することが好ましい。
芳香族アミン化合物の種類は特に制限されず、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよいが、表面平滑化効果の点から、重量平均分子量が1000以上、及び1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型炭化水素化合物)が好ましい。
芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例としては、下記式(1)で表わされる繰り返し単位を有する高分子化合物も挙げることができる。
Arb5は、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、又は置換基
を有していてもよい芳香族複素環基を表わす。Zbは、下記の連結基群の中から選ばれる
連結基を表わす。また、Arb1〜Arb5のうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。)
Arb1〜Arb16としては、任意の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環由来の1価又は2価の基が適用可能である。これらの基は各々同一であっても、互いに異なって いて
もよい。また、これらの基は、更に任意の置換基を有していてもよい。
正孔注入層の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
(電子受容性化合物)
電子受容性化合物としては、前記<7.有機電界発光素子用組成物>の項に記載のものと同様である。また、好ましい具体例も同様である。
カチオンラジカル化合物としては、正孔輸送性化合物から一電子取り除いた化学種であるカチオンラジカルと、対アニオンとからなるイオン化合物が好ましい。但し、カチオンラジカルが正孔輸送性の高分子化合物由来である場合、カチオンラジカルは高分子化合物の繰り返し単位から一電子取り除いた構造となる。
ここで、カチオンラジカル化合物は、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性化合物を混合することにより生成させることができる。即ち、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを混合することにより、正孔輸送性化合物から電子受容性化合物へと電子移動が起こり、正孔輸送性化合物のカチオンラジカルと対アニオンとからなるカチオンイオン化合物が生成する。
ここでいう酸化重合は、モノマーを酸性溶液中で、ペルオキソ二硫酸塩等を用いて化学的に、又は、電気化学的に酸化するものである。この酸化重合(脱水素重合)の場合、モノマーが酸化されることにより高分子化されるとともに、酸性溶液由来のアニオンを対アニオンとする、高分子の繰り返し単位から一電子取り除かれたカチオンラジカルが生成する。
正孔注入層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
なお、正孔注入層における電子受容性化合物の正孔輸送性化合物に対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。但し、通常100モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
正孔注入層の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述の正孔輸送性化合物や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させてもよい。その他の成分の例としては、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成物の溶剤のうち少なくとも1種は、上述の正孔注入層の構成材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。また、この溶剤の沸点は通常110℃以上、好ましくは140℃以上、中でも200℃以上、通常400℃以下、中でも300℃以下であることが好ましい。溶剤の沸点が低すぎると、乾燥速度が速すぎ、膜質が悪化する可能性がある。また、溶剤の沸点が高すぎると乾燥工程の温度を高くする必要があり、他の層や基板に悪影響を与える可能性がある。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、等が挙げられる。
その他、ジメチルスルホキシド、等も用いることができる。
これらの溶剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
正孔注入層形成用組成物を調製後、この組成物を湿式成膜により、正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布し、乾燥することにより正孔注入層を形成する。
成膜工程における温度は、組成物中に結晶が生じることによる膜の欠損を防ぐため、10℃以上が好ましく、50℃以下が好ましい。
成膜工程における相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.01ppm以上、通常80%以下である。
塗布後、通常加熱等により正孔注入層形成用組成物の膜を乾燥させる。乾燥させる方法としては、通常、加熱工程が行なわれる。加熱工程において使用する加熱手段の例を挙げると、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射などが挙げられる。中でも、膜全体に均等に熱を与えるためには、クリーンオーブン及びホットプレートが好ましい。
真空蒸着により正孔注入層を形成する場合には、正孔注入層の構成材料(前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種又は2種以上を真空容器内に設置されたるつぼ
に入れ(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用いる場合は各々独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極上に正孔注入層を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層を形成することもできる。
正孔注入層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
正孔輸送層は、正孔注入層がある場合には正孔注入層の上に、正孔注入層が無い場合には陽極の上に形成することができる。また、本発明の有機電界発光素子は、正孔輸送層を省いた構成であってもよい。
正孔輸送層を形成する材料としては、正孔輸送能が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが好ましい。そのために、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、正孔移動度が大きく、安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが好ましい。また、多くの場合、発光層に接するため、発光層からの発光を消光したり、発光層との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させたりしないことが好ましい。
フチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表わされる2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4’’−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(J.Lumin.,72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chem.Commun.,2175頁、1996年)、2,2',7,7'−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9'−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synt
h.Metals,91巻、209頁、1997年)、4,4'−N,N'−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール誘導体などが挙げられる。また、例えばポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953号公報)、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン(Polym.Adv.Tech.,7巻、33頁、1996年)等が挙げられる。
正孔輸送層形成用組成物には、上述の正孔輸送性化合物の他、溶剤を含有する。用いる溶剤は上記正孔注入層形成用組成物に用いたものと同様である。また、塗布条件、加熱乾燥条件等も正孔注入層の形成の場合と同様である。
正孔輸送層は、上記正孔輸送性化合物の他、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などを含有していてもよい。
正孔輸送層はまた、架橋性化合物を架橋して形成される層であってもよい。架橋性化合物は、架橋性基を有する化合物であって、架橋することにより網目状高分子化合物を形成する。
架橋性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。架橋性化合物は1種のみを有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で有していてもよい。
正孔輸送層形成用組成物には、架橋性化合物の他、架橋反応を促進する添加物を含んでいてもよい。架橋反応を促進する添加物の例を挙げると、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシムエステル化合物、アゾ化合物、オニウム塩等の重合開始剤及び重合促進剤;縮合多環炭化水素、ポルフィリン化合物、ジアリールケトン化合物等の光増感剤;などが挙げられる。
正孔輸送層形成用組成物は、架橋性化合物を通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下含有する。
塗布時の温度、湿度などの条件、並びに塗布後の加熱条件は、前記<7.有機電界発光素子>[成膜方法]の項に記載の方法と同様である。また、好ましい態様も同様である。
正孔輸送層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
発光層は、正孔輸送層が有る場合には正孔輸送層の上に、正孔輸送層が無くて正孔注入
層が有る場合には正孔注入層の上に、正孔輸送層と正孔注入層が無い場合には陽極の上に形成される。
発光層は前述の正孔注入層や正孔輸送層、及び後述する正孔阻止層や電子輸送層等とは独立した層であってもよいが、独立した発光層を形成せず、正孔輸送層や電子輸送層など他の有機層が発光層の役割を担ってもよい。
発光層は、電界を与えられた電極間において、陽極から直接に、又は正孔注入層や正孔輸送層等を通じて注入された正孔と、陰極から直接に、又は陰極バッファ層や電子輸送層や正孔阻止層等を通じて注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。
発光層は、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送の性質を有する材料(正孔輸送材料)、或いは、電子輸送の性質を有する材料(電子輸送材料)とを含有する。更に、発光層は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。これらの材料としては、後述のように湿式成膜法で発光層を形成する観点から、何れも低分子系の材料を使用することが好ましい。
なお、溶剤への溶解性を向上させる目的で、発光材料の分子の対称性や剛性を低下させたり、或いはアルキル基などの親油性置換基を導入したりすることも、重要である。
以下、発光材料のうち蛍光色素の例を挙げるが、蛍光色素は以下の例示物に限定されるものではない。
緑色発光を与える蛍光色素(緑色蛍光色素)としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、Al(C 9 H 6 NO) 3 などのアルミニウム錯体等が挙げられる。
赤色発光を与える蛍光発光材料(赤色蛍光色素)としては、例えば、DCM(4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
−(4−sec−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)-co-(1,4−ベンゾ−2{2,1’−3}−トリアゾール)]などのポリフルオレン系材料、ポリ[2−メトキシ−5−(2−ヘチルヘキシル
オキシ)−1,4−フェニレンビニレン]などのポリフェニレンビニレン系材料が挙げられる。
発光材料として用いる化合物の分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常10000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3000以下、また、通常100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、更に好ましくは400以上の範囲である。発光材料の分子量が小さ過ぎると、耐熱性が著しく低下したり、ガス発生の原因となったり、膜を形成した際の膜質の低下を招いたり、あるいはマイグレーションなどによる有機電界発光素子のモルフォロジー変化を来したりする場合がある。一方、発光材料の分子量が大き過ぎると、有機化合物の精製が困難となってしまったり、溶剤に溶解させる際に時間を要したりする傾向がある。
発光層における発光材料の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、好ましくは0.05重量%以上、好ましくは35重量%以下である。発光材料が少なすぎると発光ムラを生じる可能性があり、多すぎると電流効率が低下する可能性がある。なお、2種以上の発光材料を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
ス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(Journal of Luminescence,1997年,Vol.72-74,pp.985)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chemical Communications,1996年,pp.2175)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9, 9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synthetic Metals,1997年,Vol.91,pp.209)
等が挙げられる。
発光層の形成法としては、湿式成膜法、真空蒸着法が挙げられるが、上述したように、
均質で欠陥がない薄膜を容易に得られる点や、形成のための時間が短くて済む点、更には、本発明の有機化合物による正孔輸送層の架橋の効果を享受できる点から、湿式成膜法が好ましい。湿式成膜法により発光層を形成する場合、上述の材料を適切な溶剤に溶解させて塗布溶液を調製し、それを上述の形成後の正孔輸送層の上に塗布・成膜し、乾燥して溶剤を除去することにより形成する。その形成方法としては、前記正孔輸送層の形成方法と同様である。
発光層の膜厚は、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
発光層5と後述の電子注入層8との間に、正孔阻止層6を設けてもよい。正孔阻止層6は、発光層5の上に、発光層5の陰極9側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層6は、陽極2から移動してくる正孔を陰極9に到達するのを阻止する役割と、陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送する役割とを有する。
正孔阻止層6を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。このような条件を満たす正孔阻止層の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005−022962号パンフレットに記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層6の材料として好ましい。
正孔阻止層6の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成できる。
正孔阻止層6の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
電子輸送層は素子の電流効率をさらに向上させることを目的として、発光層と電子注入層との間に設けられる。
電子輸送層は、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成される。電子輸送層に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極又は電子注入層からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。
号明細書)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層は、前記と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により正孔阻止層上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
電子注入層は、陰極から注入された電子を効率よく、電子輸送層又は発光層へ注入する役割を果たす。
電子注入を効率よく行うには、電子注入層を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられる。その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
更に、後述するバソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送材料に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は通常、5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
湿式成膜法の場合の詳細は、正孔注入層及び発光層の場合と同様である。
一方、真空蒸着法の場合には、真空容器内に設置されたるつぼ又は金属ボートに蒸着源を入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、るつぼ又は金属ボートを加熱して蒸発させ、るつぼ又は金属ボートと向き合って置かれた基板上の発光層、正孔阻止層又は電子輸送層上に電子注入層を形成する。
このとき、電子注入層の膜厚方向において均一に共蒸着されるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。
陰極は、発光層側の層(電子注入層又は発光層など)に電子を注入する役割を果たす。陰極の材料としては、前記の陽極に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行うには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性が増すので好ましい。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
以上、図1に示す層構成の有機電界発光素子を例に説明してきたが、本発明の有機電界発光素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有していてもよい。例えば、その性能を損なわない限り、陽極と陰極との間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、任意の層が省略されていてもよい。
なお、本発明においては、正孔輸送層に本発明のアリールアミンポリマーを使用することにより、正孔注入層、正孔輸送層及び発光層を全て湿式成膜法により積層形成することができる。これにより、大面積のディスプレイを製造することが可能となる。
なお、図1とは逆の構造、即ち、基板上に陰極、電子注入層、発光層、正孔注入層、陽極の順に積層することも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設けることも可能である。
、陰極がAlの場合はその2層)の代わりに、例えばV 2 O 5 等を電荷発生層(CGL)として用いると段間の障壁が少なくなり、電流効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
本発明の有機EL表示装置は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機EL表示装置を形成することができる。
本発明の有機EL照明は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
(合成例1:ポリマー1の合成)
15ml)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、60℃まで加温した(溶液A)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.2g、0.192mmol)のトルエン10ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.311g、1.536mmol)を加え、60℃まで加温した(溶液B)。窒素気流中、溶液Aに溶液Bを添加し、2.0時間、加熱還流反応した。化合物1〜4が消失したことを確認し、化合物5(2.18g、9.2304mmol)を追添加した。1.0時間加熱還流後、反応液を放冷して、反応液をエタノール500ml中に滴下し、粗ポリマー1を晶出させた。
で加温した(溶液C)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.2g)のトルエン10ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.311g、1.536mmol)を加え、60℃まで加温した(溶液D)。窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N,N−ジフェニルアミン(3.25g)を添加した。4時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、エタノール/水(500ml/80ml)溶液に滴下し、エンドキャップした粗ポリマー1’を得た。
重量平均分子量(Mw)=52000
数平均分子量(Mn)=33900
分散度(Mw/Mn)=1.53
(参考例1:ポリマー2の合成)
18ml)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、60℃まで加温した(溶液A)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.169g、0.1603mmol)のトルエン8ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.264g、1.304mmol)を加え、60℃まで加温した(溶液B)。窒素気流中、溶液Aに溶液Bを添加し、2.0時間、加熱還流反応した。化合物6及び化合物2〜4が消失したことを確認し、化合物5(1.815g、7.692mmol)を追添加した。1.0時間加熱還流後、反応液を放冷して、反応液をエタノール450ml中に滴下し、粗ポリマー2を晶出させた。
まで加温した(溶液C)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.169g)のトルエン8ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.264g、1.304mmol)を加え、60℃まで加温した(溶液D)。窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N,N−ジフェニルアミン(2.7g)を添加した。4時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、エタノール/水(500ml/80ml)溶液に滴下し、エンドキャップした粗ポリマー2’を得た。
重量平均分子量(Mw)=59000
数平均分子量(Mn)=34100
分散度(Mw/Mn)=1.73
(合成例2:ポリマー3の合成)
一方、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.199g)のトルエン溶液(5ml)に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.311g)を加え、65℃まで加温した(溶液B)。
ゼン(0.090g)を加え、2時間反応した。
反応液を放冷して、反応液をエタノール300mL中に滴下し、粗ポリマー3を晶出させた。
一方、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.0995g)のトルエン溶液6mLに、トリ−t−ブチルホスフィン(0.156g)を加え、65℃まで加温した(溶液D)。
このエンドキャップした粗ポリマー3’をトルエン200mLに溶解し、希塩酸150mLを加え30分間攪拌したのち、水100mLにて7回洗浄し、エタノール400mL
に再沈殿した。得られたポリマーをアセトンに再沈殿し、析出したポリマーを濾別した。濾取したポリマーをカラムクロマトグラフィーにより精製し、ポリマー3(1.20g)を得た。なお、化合物の重量平均分子量及び分散度を測定したところ、以下の通りであった。
分散度(Mw/Mn)=1.66
(合成例3:ポリマー4の合成)
2g)、4−sec-ブチルアニリン(2.296g)、化合物2 (1.332g)、アニリン
(0.3197g)、tert−ブトキシナトリウム(7.885 g)、及びトルエン
(35ml)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、65℃まで加温した(溶液A)。
一方、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.265g)のトルエン溶液(4ml)に、トリ−t-ブチルホスフィン(0.415g)を加え、65℃まで加温した(溶液B)。
間反応した。
反応液を放冷して、反応液をエタノール300mL中に滴下し、粗ポリマー4を晶出させた。
一方、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.132g)のトルエン溶液6mLに、トリ−t-ブチルホスフィン(0.207g)を加え、65℃まで加温した(溶液D)。
このエンドキャップした粗ポリマー4’をトルエン400mLに溶解し、希塩酸300
mLを加え30分間攪拌したのち、水200mLにて6回洗浄し、エタノール800mL
に再沈殿した。得られたポリマーをアセトンに再沈殿し、析出したポリマーを濾別した。濾取したポリマーをカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物 (1.38g)を得た。なお、化合物の重量平均分子量及び分散度を測定したところ、以下の通りであった。
重量平均分子量(Mw)=60000
分散度(Mw/Mn)=1.38
<有機電界発光素子の作成>
(陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極)の層構成である有機電界発光素子を作製した。
ガラス基板の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を70nm成膜したもの(スパッタ成膜品、シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術により2mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
まず、下の構造式(H3)に示す重合体(合成例2で合成されたポリマー3、Mw=98000、分散度Mw/Mn=1.66)、構造式(H5)に示す重合体(Mw=83000、Mw/Mn=1.43)に示す4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートおよび安息香酸エチルを含有する正孔注入層形成用塗布液を調製した。この塗布液を下記条件で陽極上にスピンコートにより成膜して、膜厚65nmの正孔注入層を得た。なお、構造式(H5)に示す重合体は特開2010-155985号に記載の方法で合成した。
溶媒 安息香酸エチル
塗布液濃度 H3:3.0重量%
H5:1.0重量%
A1:0.8重量%
<正孔注入層の成膜条件>
スピナ回転数 2700rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 大気中
加熱条件 大気中 230℃ 1時間
引き続き、以下の式(H6)に示す重合体(重量平均分子量:75000,分散度:1.52)を含有する正孔輸送層形成用塗布液を調製し、下記の条件でスピンコートにより成膜して、加熱により重合させることにより膜厚20nmの正孔輸送層を形成した。
なお、重合体H6は、WO2011/099531号公報に記載の方法に準じて合成した。
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 1.4重量%
<正孔輸送層の成膜条件>
スピナ回転数 1800rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 大気中
加熱条件 大気中 230℃ 1時間
正孔輸送層の上に、真空蒸着法により発光層として下記構造の化合物EM−1を膜厚60nmとなるように形成した。
この素子からは、発光層の材料であるEM−1由来の530nmを発光極大とする緑色発光が観測され、4V印加したときの電流密度は4.03mA/cm2、輝度は180cd/m2、電流効率は4.45cd/Aであった。
実施例1において、正孔注入層形成用塗布液に(H3)の代わりに、下の構造式(H4)に示す重合体(合成例3で合成されたポリマー4、Mw=60000、分散度Mw/Mn=1.38)を用いた他は、実施例1と同様にして素子を作製した。
(陽極/正孔注入層/正孔輸送層/陰極)の層構成である素子を作製した。
ガラス基板の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を70nm成膜したもの(スパッタ成膜品、シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術により2mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
溶媒 安息香酸エチル
塗布液濃度 H1:4.0重量%
A1:0.8重量%
<正孔注入層の成膜条件>
スピナ回転数 2700rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 大気中
加熱条件 大気中 230℃ 1時間
引き続き、以下の式(H6)に示す重合体(重量平均分子量:59000,分散度:1.55)を含有する正孔輸送層形成用塗布液を調製し、下記の条件でスピンコートにより成膜して、加熱により重合させることにより正孔輸送層を形成した。
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 1.4重量%
<正孔輸送層の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 大気中
加熱条件 大気中 230℃ 1時間
その後、真空蒸着法により、陰極としてアルミニウムを膜厚80nmとなるように、陽極であるITOストライプと直交する形状の2mm幅のストライプ状に積層した。以上の様にして、2mm×2mmのサイズの通電部分を有する素子が得られた。この素子の電流−電圧測定において、100mA/cm2の電流密度に達した電圧と、3.5V印加したときの電流密度を表1にまとめた。
実施例3において、正孔注入層形成用塗布液に重合体(H1)のかわりに(H2)(参考合成例1で合成したポリマー2、Mw=59000、Mw/Mn=1.73)重量平均分子量:73000,分散度:2.0)を用いた他は、実施例3と同様にして素子を作製した。
その為、本発明の重合体を用いて形成された素子は、駆動電圧が低いと考えられる。
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
Claims (15)
- 少なくとも、下記式(I−1)、(I−2)、(I−3)、(II−1)、(II−2)、及び(II−3)で表される繰り返し単位を含む、重合体。
、R3は、互いに異なって、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を示す。)
<架橋性基群T>
- 式(I−1)、(I−2)及び(I−3)から選択される繰り返し単位と、式(II−1)、(II−2)及び(II−3)から選択される繰り返し単位が、交互に配列している請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合体。
- 式(I−1)、(I−2)及び(I−3)から選択される繰り返し単位と、式(II−1)、(II−2)及び(II−3)から選択される繰り返し単位が、ランダムに配列している請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合体。
- 式(I−1)、(I−2)及び(I−3)から選択される繰り返し単位と、式(II−1)、(II−2)及び(II−3)から選択される繰り返し単位の比が、2:1〜1:2である請求項1〜5のいずれか一項に記載の重合体。
- R2が水素原子であり、R3がアルキル基である請求項1〜6のいずれか一項に記載の重合体。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の重合体を含む有機電界発光素子材料。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の重合体を含む有機電界発光素子用組成物。
- 請求項9記載の組成物において、さらに電子受容性化合物を含むことを特徴とする、有機電界発光素子用組成物。
- 基板上に、陽極、陰極、及び該陽極と該陰極の間に有機層を有する有機電界発光素子の製造方法において、
該有機層を、請求項9又は10記載の有機電界発光素子用組成物を用いて、湿式成膜法で形成することを特徴とする、有機電界発光素子の製造方法。 - 前記有機層が、正孔注入層及び/又は正孔輸送層である、請求項11記載の有機電界発光素子の製造方法。
- 前記有機層が、正孔注入層及び/又は正孔輸送層、及び発光層である請求項11記載の有機電界発光素子の製造方法。
- 請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法で製造された有機電界発光素子を用いることを特徴とする、有機EL表示装置の製造方法。
- 請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法で製造された有機電界発光素子を用いることを特徴とする、有機EL照明の製造方法。
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