以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を表す斜視模式図である。
図2は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
なお、図2は、水路系と電気系の要部構成を併せて表している。
図1に表したトイレ装置は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)800と、その上に設けられた衛生洗浄装置100と、を備える。衛生洗浄装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。なお、便蓋300は、必ずしも設けられていなくともよい。
ケーシング400の内部には、便座200に座った使用者の「おしり」などの洗浄を実現する身体洗浄機能部などが内蔵されている。また、例えばケーシング400には、使用者が便座200に座ったことを検知する着座検知センサ404が設けられている。着座検知センサ404が便座200に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコンなどの操作部(指示手段)500を操作すると、洗浄ノズル473を便器800のボウル801内に進出させることができる。なお、図1に表した衛生洗浄装置100では、洗浄ノズル473がボウル801内に進出した状態を表している。
洗浄ノズル473の先端部には、吐水部474が設けられている。そして、洗浄ノズル473は、その先端部に設けられた吐水部474から水を噴射して、便座200に座った使用者の「おしり」などを洗浄することができる。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加温されたお湯も含むものとする。
吐水部474は、第1の吐水口474aと、第2の吐水口474bと、第3の吐水口474cと、を有する。第1の吐水口474aが噴射する洗浄形態(噴射形態)は、第2の吐水口474bおよび第3の吐水口474cがそれぞれ噴射する洗浄形態(噴射形態)と異なる。第2の吐水口474bが噴射する洗浄形態は、第3の吐水口474cが噴射する洗浄形態と異なる。これについては、後述する。なお、吐水部474が有する吐水口の設置数は、3つに限定されるわけではない。
図2に表したように、本実施形態にかかる衛生洗浄装置100は、水道や貯水タンクなどの給水源10から供給された水を洗浄ノズル473の吐水部474に導く流路20を有する。流路20の上流側には、電磁弁(給水切替手段)431が設けられている。電磁弁431は、開閉可能な電磁バルブであり、ケーシング400の内部に設けられた制御部(制御手段)405からの指令に基づいて水の供給を制御する。つまり、電磁弁431は、給水源10から供給される水の洗浄ノズル473への給水と止水とを切り替える。
電磁弁431の下流には、熱交換器ユニット440が設けられている。熱交換器ユニット440は、温水ヒータを有し、給水源10から供給された水を加熱して規定の温度まで昇温する。本実施形態の熱交換器ユニット440は、例えばセラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器でもよいし、貯湯タンクを用いた貯湯加熱式熱交換器でもよい。使用者は、操作部500を操作することにより温水温度を設定することができる。なお、熱交換器ユニット440は、必ずしも設けられていなくともよい。
熱交換器ユニット440の下流には、殺菌水を生成可能な電解槽ユニット450が設けられている。洗浄ノズル473や、電解槽ユニット450よりも下流側の流路20は、電解槽ユニット450において生成された殺菌水により殺菌される。但し、電解槽ユニット450は、必ずしも設けられていなくともよい。
熱交換器ユニット440あるいは電解槽ユニット450の下流には、流量の調整を行う流量切替弁471と、洗浄ノズル473やノズル洗浄室478への給水の開閉や給水先の切替を行う流路切替弁(水勢切替手段)472と、が設けられている。流量切替弁471は、洗浄ノズル473を流れる水の流量を調整する。流路切替弁472は、給水先(流路の接続先)を洗浄ノズル473およびノズル洗浄室478のいずれかに切り替えることができる。流量切替弁471および流路切替弁472は、1つのユニットとして設けられていてもよい。
流量切替弁471および流路切替弁472の下流には、洗浄ノズル473が設けられている。洗浄ノズル473の内部には、第1のノズル内流路21と、第2のノズル内流路22と、第3のノズル内流路23と、が設けられている。第1のノズル内流路21は、水を第1の吐水口474aへ導く。第2のノズル内流路22は、水を第2の吐水口474bへ導く。第3のノズル内流路23は、水を第3の吐水口474cへ導く。流路切替弁472は、給水先(流路の接続先)を第1のノズル内流路21、第2のノズル内流路22および第3のノズル内流路23のいずれかに切り替えることができる。つまり、流路切替弁472は、給水先を、第1のノズル内流路21と、第2のノズル内流路22と、第3のノズル内流路23と、ノズル洗浄室478と、のいずれかに切り替えることができる。後に詳述するように、流路切替弁472は、吐水部474から噴射される水の流速または着水面積を調整し、3段階以上の水勢を切り替えることができる。
4つ以上の吐水口が設けられる場合には、それぞれの吐水口に対応するノズル内流路が洗浄ノズル473の内部に設けられる。流路切替弁472は、洗浄ノズル473の内部に設けられる複数のノズル内流路のいずれかに給水先を切り替えることができる。
洗浄ノズル473は、ノズルモータ476からの駆動力を受け、便器800のボウル801内に進出したり、ケーシング400の内部に後退することができる。つまり、ノズルモータ476は、制御部405からの指令に基づいて洗浄ノズル473を進退させることができる。
ノズル洗浄室478は、その内部に設けられた図示しない吐水部から殺菌水あるいは水を噴射することにより、洗浄ノズル473の外周表面(胴体)を殺菌あるいは洗浄することができる。あるいは、ノズル洗浄室478は、収納された状態の洗浄ノズル473の吐水部474の部分を殺菌あるいは洗浄することができる。
制御部405は、電源回路401から電力を供給され、トイレ室(パブリック用の場合にはトイレブースの個室)への使用者の入室を検知する入室検知センサ402や、便座200の前方にいる使用者を検知する人体検知センサ403や、便座200への使用者の着座を検知する着座検知センサ404や、操作部500などからの信号に基づいて、電磁弁431や、熱交換器ユニット440や、電解槽ユニット450や、流量切替弁471や、流路切替弁472や、ノズルモータ476の動作を制御することができる。
着座検知センサ404は、使用者が便座200に着座する直前において便座200の上方に存在する人体や、便座200に着座した使用者を検知することができる。すなわち、着座検知センサ404は、便座200に着座した使用者だけではなく、便座200の上方に存在する使用者を検知することができる。このような着座検知センサ404としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサなどを用いることができる。
人体検知センサ403は、便器800の前方にいる使用者、すなわち便座200から前方へ離間した位置に存在する使用者を検知することができる。つまり、人体検知センサ403は、トイレ室に入室して便座200に近づいてきた使用者を検知することができる。このような人体検知センサ403としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサなどを用いることができる。
入室検知センサ402は、トイレ室のドアを開けて入室した直後の使用者や、トイレ室に入室しようとしてドアの前に存在する使用者を検知することができる。つまり、入室検知センサ402は、トイレ室に入室した使用者だけではなく、トイレ室に入室する前の使用者、すなわちトイレ室の外側のドアの前に存在する使用者を検知することができる。このような入室検知センサ402としては、焦電センサや、ドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。マイクロ波のドップラー効果を利用したセンサや、マイクロ波を送信し反射したマイクロ波の振幅(強度)に基づいて被検知体を検出するセンサなどを用いた場合、トイレ室のドア越しに使用者の存在を検知することが可能となる。つまり、トイレ室に入室する前の使用者を検知することができる。
図1に表したトイレ装置では、ケーシング400の上面に凹設部409が形成され、この凹設部409に一部が埋め込まれるように入室検知センサ402が設けられている。入室検知センサ402は、便蓋300が閉じた状態では、その基部付近に設けられた透過窓310を介して使用者の入室を検知する。そして、例えば、入室検知センサ402が使用者を検知すると、制御部405は、入室検知センサ402の検知結果に基づいて便蓋300を自動的に開くことができる。また、着座検知センサ404および人体検知センサ403は、ケーシング400の前方の中央部に設けられている。但し、着座検知センサ404、人体検知センサ403、および入室検知センサ402の設置形態は、これだけに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
ケーシング400には、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる「温風乾燥機能」や「脱臭ユニット」や「室内暖房ユニット」などの各種の機構が適宜設けられていてもよい。この際、ケーシング400の側面には、脱臭ユニットからの排気口407及び室内暖房ユニットからの排出口408が適宜設けられる。但し、脱臭ユニットや室内暖房ユニットなどの付加機能部は、必ずしも設けられていなくともよい。
次に、本実施形態の洗浄ノズル473が噴射する洗浄形態について、図面を参照しつつ説明する。
図3は、本実施形態の洗浄ノズルが噴射する洗浄形態を例示する表である。
本実施形態の洗浄ノズル473は、直進流と分散流とを吐水部474からそれぞれ噴射することができる。例えば、洗浄ノズル473は、直進流として脈動流を第1の吐水口474aから噴射することができる。例えば、洗浄ノズル473は、直進流として泡沫流(空気混入流:連続流)を第2の吐水口474bから噴射することができる。例えば、洗浄ノズル473は、分散流としてミスト状の水流(ミスト流)を第3の吐水口474cから噴射することができる。第1の吐水口474a、第2の吐水口474bおよび第3の吐水口474cの位置は、図1に表した位置に限定されず、適宜変更されてよい。
脈動流は、例えばポンプなどの圧力変動装置が使用されることなく吐水の流速変化がつけられた水流であって、繰り返し周期的に現れる水塊の水流である。あるいは、脈動流は、水の流れに脈動が与えられた水流であって、水の流動状態が変動する水流または人体への着水力が周期的に変動する水流である。本願明細書において「脈動」とは、流速の変動あるいは流動状態の変動をいう。
泡沫流は、気泡が混入された状態の水流である。泡沫流には、脈動は与えられてない。脈動流は、直進流のうちの連続流である。
ミスト流は、例えば液膜などが破砕することにより粒化された水流である。
各洗浄形態の詳細については、後に詳述する。
図3に表した「広さ(着水面積)」の欄のように、脈動流の着水面積S1は、泡沫流の着水面積S2およびミスト流の着水面積S3のそれぞれよりも狭い。泡沫流の着水面積S2は、脈動流の着水面積S1よりも広く、ミスト流の着水面積S3よりも狭い。ミスト流の着水面積S3は、脈動流の着水面積S1および泡沫流の着水面積S2のそれぞれよりも広い。図3では、汚れの面積S8を例示している。
図3に表した「強さ(流速)」の欄のように、脈動流の流速V1は、泡沫流の流速V2およびミスト流の流速V3のそれぞれよりも速い。図3に表した「流速」の模式図の高さは、流速の程度を表す。すなわち、相対的に高い模式図で表された流速は、相対的に低い模式図で表された流速よりも速い。相対的に低い模式図で表された流速は、相対的に高い模式図で表された流速よりも遅い。
泡沫流の流速V2は、脈動流の流速V1よりも遅く、ミスト流の流速V3よりも速い。ミスト流の流速V3は、脈動流の流速V1および泡沫流の流速V2のそれぞれよりも遅い。
本願明細書において「流速」とは、吐水部474から噴射された水が人体に着水する着水部、あるいは吐水部474から所定の距離だけ離れた位置における水の流れの速度であって、各洗浄形態の水流が有する速度分布の最頻値(モード)を代表値とする速度をいう。すなわち、吐水の流速変化が着水部あるいは吐水部474から所定の距離だけ離れた位置における速度は、給水源10へ供給される水の変動や、吐水部474から噴射される際の水の流れの乱れによって、図3に表した「体感強さ(水勢)」の欄のように、所定の分布を有する。そのため、1つの洗浄形態の水の流速は、複数の流速が含まれ一義的には定まらない。そこで、本願明細書において「流速」の代表値を速度分布の最頻値(モード)とする。
前述したように、脈動流は、吐水の流速変化がつけられた水流であって、繰り返し周期的に現れる水塊の水流である。そのため、図3に表した「体感強さ(水勢)」の欄のように、脈動流は、水塊を代表する流速と、水塊以外の水流を代表する流速と、の2つの速度分布を有する。人が感ずる水の強さ(体感強さ(水勢))は、相対的に速い流速に支配される。そのため、脈動流の流速は、相対的に速い速度分布の最頻値Vm1に設定される。泡沫流は、1つの速度分布を有する。泡沫流の流速は、泡沫流の速度分布の最頻値Vm2に設定される。ミスト流は、1つの速度分布を有する。ミスト流の流速は、ミスト流の速度分布の最頻値Vm3に設定される。
各洗浄形態の水の流速の関係は、「強さ(流速)」の欄に関して前述した通りである。そのため、脈動流の水勢は、泡沫流の水勢およびミスト流の水勢のそれぞれよりも強い。泡沫流の水勢は、脈動流の水勢よりも弱く、ミスト流の水勢よりも強い。ミスト流の水勢は、脈動流の水勢および泡沫流の水勢のそれぞれよりも弱い。水勢は、着水面積に反比例し、流速に比例する。
「着水力」とは、吐水部474から噴射された水が人体に着水する着水部、あるいは吐水部474から所定の距離だけ離れた位置において、単位時間、単位面積あたりに水が有する運動量であり、汚れを落としたり、浮かせたりする力をいう。
ここで、住宅用の衛生洗浄装置および非住宅用(パブリック用)の衛生洗浄装置については、使用者が安心して快適に使用できることが望まれている。パブリック用の衛生洗浄装置は、不特定多数の人に使用される。そのため、「おしり」洗浄などを開始するときの水勢は、標準的な水勢(例えば「中」程度の水勢)に設定されている。例えば、衛生洗浄装置を先に使用していた使用者が水勢を「中」から「強」へ、あるいは「中」から「弱」へ変更していた場合であっても、その使用者が便座から離座すると水勢は「中」へ戻るように設定されている。
しかし、住宅用の衛生洗浄装置およびパブリック用の衛生洗浄装置には、節水が求められている。そのため、近年の衛生洗浄装置の洗浄水量は、低減されている。そのため、標準的な水勢で洗浄開始する時に汚れの除去率すなわち洗浄力が十分ではないおそれがあり、洗浄力の向上が望まれている。
これに対して、本実施形態にかかる衛生洗浄装置100では、流路切替弁472は、吐水部474から噴射される水の流速および着水面積の少なくともいずれかを調整し、3段階以上の水勢を切り替えることができる。3段階以上の水勢のうちの最強以外の水勢および最弱以外の水勢であって、最強以外の水勢および最弱以外の水勢のうちで最大の着水面積を有する水勢が、標準水勢として設定されている。制御部405は、水の噴射開始の指示を操作部500から受けると電磁弁431を制御して洗浄ノズル473への給水を開始し、流路切替弁472を制御して標準水勢により水の噴射を開始する。あるいは、制御部405は、水の噴射開始の指示を操作部500から受け、吐水部474から洗浄水の噴射が開始される前に標準水勢から標準水勢以外の水勢への変更の指示を操作部500から受けると、電磁弁431を制御して洗浄ノズル473への給水を開始し、流路切替弁472を制御して標準水勢により水の噴射を開始する。
本実施形態にかかる衛生洗浄装置100によれば、制御部405は、最強以外の水勢および最弱以外の水勢のうちで最大の着水面積を有する水勢により水の噴射を開始することができるため、使用者が水勢調整を行わなくともより高い洗浄力を有する水勢により洗浄を開始することができる。そのため、例えばパブリック用の衛生洗浄装置などにおいて、使用者がその衛生洗浄装置を初めて使用する場合でも、水勢を調整することなくより広範囲にわたって洗浄可能な洗浄形態により洗浄を開始することができる。これにより、効率的に汚れを落とすことができる。
また、洗浄開始時の水勢が最大の水勢および最弱の水勢ではないため、使用者は、操作部500を操作することにより、吐水部474から噴射される水の水勢を標準水勢(洗浄開始時の水勢)よりも弱い水勢あるいは標準水勢よりも強い水勢に変更することができる。これにより、例えば、洗浄開始時の水勢が使用者の好みの水勢に合わない場合において、吐水部474から噴射される水の水勢を調整できないなどの不快感を使用者に感じさせることを抑えることができる。
例えば、3段階以上の水勢は、奇数の段階に設定される。このとき、標準水勢は、標準水勢よりも強い水勢の段階数が標準水勢よりも弱い水勢の段階数と同じとなるように設定される。この場合には、標準水勢を中心に選択可能な水勢設定値が強水勢および弱水勢ともに同数となり、使用者は混乱を招くことなく水勢を調整できる。
図4は、本実施形態の制御動作の具体例を例示するグラフ図である。
図5は、図4に表した具体例における水勢、洗浄形態、流量および着水面積の一例を例示する表である。
図6は、着水面積を説明する模式的平面図である。
図7は、本実施形態の操作部の具体例を例示する模式的平面図である。
図4(a)〜図4(c)に表したグラフ図の横軸は、水勢の別を表している。各水勢の下には、各水勢のときに噴射される洗浄形態がかっこ書きで表されている。図4(a)に表したグラフ図の縦軸は、流量を表している。図4(b)に表したグラフ図の縦軸は、流速を表している。図4(c)に表したグラフ図の縦軸は、着水面積を表している。
図7(a)は、パブリック用の操作部の具体例を例示する模式的平面図である。図7(b)は、住宅用の操作部の具体例を例示する模式的平面図である。
まず、図7(a)を参照しつつ、パブリック用の操作部の具体例について説明する。
パブリック用の操作部500aは、「止」スイッチ(停止スイッチ)501と、「おしり」に向けて吐水させる「おしり」スイッチ502と、ビデ洗浄を実行させる「ビデ」スイッチ503と、洗浄ノズル473の吐水部474から噴射される水の水勢を変更させる「水勢」スイッチ510と、を有する。「水勢」スイッチ510は、「−」スイッチ511と、「+」スイッチ512と、を有する。
使用者は、「−」スイッチ511を押すことにより、洗浄ノズル473の吐水部474から噴射される水の水勢を、「−」スイッチ511を押す前の水勢よりも弱くすることができる。一方、使用者は、「+」スイッチ512を押すことにより、洗浄ノズル473の吐水部474から噴射される水の水勢を、「+」スイッチ512を押す前の水勢よりも強くすることができる。
次に、図7(b)を参照しつつ、住宅用の操作部の具体例について説明する。
住宅用の操作部500bは、「止」スイッチ(停止スイッチ)501と、「おしり」に向けて吐水させる「おしり」スイッチ502と、ビデ洗浄を実行させる「ビデ」スイッチ503と、吐水に広がりを与える「やわらか」スイッチ504と、温風の吹き出しを開始させる「乾燥」スイッチ505と、洗浄ノズル473の吐水部474から噴射される水の水勢を変更させる「水勢」スイッチ510と、を有する。「水勢」スイッチ510は、「弱」スイッチ511と、「強」スイッチ512と、を有する。
使用者は、「弱」スイッチ511を押すことにより、洗浄ノズル473の吐水部474から噴射される水の水勢を、「弱」スイッチ511を押す前の水勢よりも弱くすることができる。一方、使用者は、「強」スイッチ512を押すことにより、洗浄ノズル473の吐水部474から噴射される水の水勢を、「強」スイッチ512を押す前の水勢よりも強くすることができる。
次に、本実施形態の制御動作の具体例について、図4〜図6を参照しつつ説明する。
本具体例の制御動作では、変更可能(切り替え可能)な水勢は、3段階(弱、中、強)に設定されている。「弱」の水勢は、最弱の水勢である。「強」の水勢は、最強の水勢である。
図4(a)〜図4(c)および図5に表したように、制御部405は、水勢が「弱」に設定された場合には、流路切替弁472を制御し、吐水部474から泡沫流を噴射させる。具体的には、制御部405は、流路切替弁472を制御し、給水先を第2のノズル内流路22に設定して第2の吐水口474bから泡沫流を噴射させる。図5に表したように、水勢が「弱」に設定されたときの流量は、例えば約170ミリリットル/分(ml/min)程度である。水勢が「弱」に設定されたときの着水面積は、例えば約5平方ミリメートル(mm2)程度である。
図6に表したように、本願明細書において「着水面積」とは、洗浄ノズル473の吐水部474から噴射方向へ所定距離D1だけ離れた位置における洗浄水の断面積であって、噴射方向に対して垂直方向の断面積をいう。所定距離D1は、例えば、使用者が便座200に着座した状態において、吐水部474から「おしり」などの身体局部までの距離に相当する。
制御部405は、水勢が「中」に設定された場合には、流路切替弁472を制御し、吐水部474から泡沫流を噴射させる。具体的には、制御部405は、流路切替弁472を制御し、給水先を第2のノズル内流路22に設定して第2の吐水口474bから泡沫流を噴射させる。水勢が「中」に設定されたときの流量は、例えば約210ml/min程度である。水勢が「中」に設定されたときの着水面積は、例えば約7mm2程度である。
制御部405は、水勢が「強」に設定された場合には、流路切替弁472を制御し、吐水部474から脈動流を噴射させる。具体的には、制御部405は、流路切替弁472を制御し、給水先を第1のノズル内流路21に設定して第1の吐水口474aから脈動流を噴射させる。水勢が「強」に設定されたときの流量は、例えば約210ml/min程度である。水勢が「強」に設定されたときの着水面積は、例えば約3mm2程度である。
なお、図4(a)〜図4(c)および図5に表したように、制御部405は、水勢が「弱」または「中」に設定された場合には、泡沫流の代わりにミスト流を噴射させてもよい。この場合には、制御部405は、流路切替弁472を制御し、吐水部474からミスト流を噴射させる。具体的には、制御部405は、流路切替弁472を制御し、給水先を第3のノズル内流路23に設定して第3の吐水口474cからミスト流を噴射させる。これは、図8〜図11に関して後述する具体例においても同様に、泡沫流の代わりにミスト流を噴射させてもよい。
図3に関して前述したように、本実施形態にかかる衛生洗浄装置100では、3段階以上の水勢のうちの最強以外の水勢および最弱以外の水勢であって、最強以外の水勢および最弱以外の水勢のうちで最大の着水面積を有する水勢が、標準水勢として設定されている。本具体例では、標準水勢は、「中」である。本具体例では、制御部405は、水の噴射開始の指示を操作部500から受けると電磁弁431を制御して洗浄ノズル473への給水を開始し、流路切替弁472を制御して「中」の水勢により水の噴射を開始する。
続いて、使用者が操作部500により水勢を強くする指示を行うと、制御部405は、操作部500から出力された水勢の変更の指示(ここでは、水勢を「強」に設定する指示)に基づいて流量切替弁471を制御し流量を略一定に保ちつつ、流路切替弁472を制御し洗浄形態を泡沫流から脈動流へ切り替える。水勢が「強」に設定されたときの流量および着水面積は、前述した通りである。これにより、水勢は、操作部500により水勢を強くする指示を行う前よりも強くなる。
図3に関して前述したように、脈動流の着水面積S1は、泡沫流の着水面積S2よりも狭い。水勢は、着水面積に反比例する。そのため、流路切替弁472が洗浄形態を泡沫流から脈動流へ切り替えると、使用者は、水勢が急激に強くなったと感ずる場合がある。これに対して、本具体例では、流路切替弁472が洗浄形態を泡沫流から脈動流へ切り替える際に、脈動流の流速を泡沫流の流速よりも遅くすることにより、水勢が急激に強くなったと使用者が感ずる違和感を抑えることができる。すなわち、脈動流の着水面積S1が泡沫流の着水面積S2と異なる一方で、流路切替弁472が洗浄形態を切り替える際に、脈動流の流速を泡沫流の流速よりも遅くすることにより、使用者が洗浄形態の切り替えの前後で感ずる違和感を抑えることができる。これにより、より快適な水勢の切り替えを実現することができる。
一方、使用者が操作部500により水勢を弱くする指示を行うと、制御部405は、操作部500から出力された水勢の変更の指示(ここでは、水勢を「弱」に設定する指示)に基づいて流量切替弁471を制御し、洗浄形態を泡沫流に保ちつつ、流量を210ml/minから170ml/minへ減少させる。このとき、流速は、遅くなる。着水面積は、狭くなる。これにより、水勢は、操作部500により水勢を弱くする指示を行う前よりも弱くなる。
なお、図5に表した流量および着水面積は、一例であり、これだけに限定されるわけではない。これは、図9および図11〜図13に関して後述する具体例においても同様である。
図8は、本実施形態の制御動作の他の具体例を例示するグラフ図である。
図9は、図8に表した具体例における水勢、洗浄形態、流量および着水面積の一例を例示する表である。
図8(a)〜図8(c)に表したグラフ図の横軸は、水勢の別を表している。各水勢の下には、各水勢のときに噴射される洗浄形態がかっこ書きで表されている。図8(a)に表したグラフ図の縦軸は、流量を表している。図8(b)に表したグラフ図の縦軸は、流速を表している。図8(c)に表したグラフ図の縦軸は、着水面積を表している。
本具体例の制御動作では、変更可能な水勢は、4段階(1、2、3、4)に設定されている。水勢は、「1」から「4」へ向かうにつれて強くなる。つまり、「1」の水勢は、最弱の水勢である。「4」の水勢は、最強の水勢である。
図8(a)〜図8(c)および図9に表したように、制御部405は、水勢が「1」に設定された場合には、流路切替弁472を制御し、給水先を第2のノズル内流路22に設定して第2の吐水口474bから泡沫流を噴射させる。水勢が「1」に設定されたときの流量は、例えば約170ml/min程度である。水勢が「1」に設定されたときの着水面積は、例えば約5mm2程度である。
制御部405は、水勢が「2」に設定された場合には、流路切替弁472を制御し、給水先を第2のノズル内流路22に設定して第2の吐水口474bから泡沫流を噴射させる。水勢が「2」に設定されたときの流量は、例えば約210ml/min程度である。水勢が「2」に設定されたときの着水面積は、例えば約7mm2程度である。
制御部405は、水勢が「3」に設定された場合には、流路切替弁472を制御し、給水先を第1のノズル内流路21に設定して第1の吐水口474aから脈動流を噴射させる。水勢が「3」に設定されたときの流量は、例えば約170ml/min程度である。水勢が「3」に設定されたときの着水面積は、例えば約5mm2程度である。
制御部405は、水勢が「4」に設定された場合には、流路切替弁472を制御し、給水先を第1のノズル内流路21に設定して第1の吐水口474aから脈動流を噴射させる。水勢が「4」に設定されたときの流量は、例えば約210ml/min程度である。水勢が「4」に設定されたときの着水面積は、例えば約3mm2程度である。
本具体例では、標準水勢は、4段階の水勢(「1」〜「4」)のうちの最強以外の水勢(「4」以外の水勢)および最弱以外の水勢(「1」以外の水勢)であって、最強以外の水勢および最弱以外の水勢のうちで最大の着水面積を有する「2」の水勢である。本具体例では、制御部405は、水の噴射開始の指示を操作部500から受けると電磁弁431を制御して洗浄ノズル473への給水を開始し、流路切替弁472を制御して「2」の水勢により水の噴射を開始する。
続いて、使用者が操作部500により水勢を強くする指示を行うと、制御部405は、操作部500から出力された水勢の変更の指示(ここでは、水勢を「3」に設定する指示)に基づいて流路切替弁472を制御し、洗浄形態を泡沫流から脈動流へ切り替える。水勢が「3」に設定されたときの流量および着水面積は、前述した通りである。これにより、水勢は、操作部500により水勢を強くする指示を行う前よりも強くなる。
使用者が操作部500により水勢をさらに強くする指示を行うと、制御部405は、操作部500から出力された水勢の変更の指示(ここでは、水勢を「4(最強)」に設定する指示)に基づいて流量切替弁471を制御し、洗浄形態を脈動流に保ちつつ、流量を170ml/minから210ml/minへ増加させる。このとき、着水面積は、狭くなる。これにより、水勢は、操作部500により水勢を強くする指示を行う前よりも強くなる。
図8(c)に表したように、水勢が「2」から「3」あるいは「4」へ変更されると、着水面積は、狭くなる。すると、図4および図5に関して前述したように、使用者は、水勢が急激に強くなったと感ずる場合がある。これに対して、本具体例では、流路切替弁472が洗浄形態を泡沫流から脈動流へ切り替える際に、脈動流の流速を泡沫流の流速よりも遅くすることにより、水勢が急激に強くなったと使用者が感ずる違和感を抑えることができる。
一方、使用者が操作部500により水勢を弱くする指示を行うと、制御部405は、操作部500から出力された水勢の変更の指示(ここでは、水勢を「1(最弱)」に設定する指示)に基づいて流量切替弁471を制御し、洗浄形態を泡沫流に保ちつつ、流量を210ml/minから170ml/minへ減少させる。このとき、流速は、遅くなる。着水面積は、狭くなる。これにより、水勢は、操作部500により水勢を弱くする指示を行う前よりも弱くなる。
図10は、本実施形態の制御動作の他の具体例を例示するグラフ図である。
図11は、図10に表した具体例における水勢、洗浄形態、流量および着水面積の一例を例示する表である。
図10(a)〜図10(c)に表したグラフ図の横軸は、水勢の別を表している。各水勢の下には、各水勢のときに噴射される洗浄形態がかっこ書きで表されている。図10(a)に表したグラフ図の縦軸は、流量を表している。図10(b)に表したグラフ図の縦軸は、流速を表している。図10(c)に表したグラフ図の縦軸は、着水面積を表している。
本具体例の制御動作では、変更可能な水勢は、5段階(1、2、3、4、5)に設定されている。水勢は、「1」から「5」へ向かうにつれて強くなる。つまり、「1」の水勢は、最弱の水勢である。「5」の水勢は、最強の水勢である。
図10(a)〜図10(c)および図11に表したように、制御部405は、水勢が「1」に設定された場合には、流路切替弁472を制御し、給水先を第2のノズル内流路22に設定して第2の吐水口474bから泡沫流を噴射させる。水勢が「1」に設定されたときの流量は、例えば約170ml/min程度である。水勢が「1」に設定されたときの着水面積は、例えば約5mm2程度である。
制御部405は、水勢が「2」に設定された場合には、流路切替弁472を制御し、給水先を第2のノズル内流路22に設定して第2の吐水口474bから泡沫流を噴射させる。水勢が「2」に設定されたときの流量は、例えば約190ml/min程度である。水勢が「2」に設定されたときの着水面積は、例えば約6mm2程度である。
制御部405は、水勢が「3」に設定された場合には、流路切替弁472を制御し、給水先を第2のノズル内流路22に設定して第2の吐水口474bから泡沫流を噴射させる。水勢が「3」に設定されたときの流量は、例えば約210ml/min程度である。水勢が「3」に設定されたときの着水面積は、例えば約7mm2程度である。
制御部405は、水勢が「4」に設定された場合には、流路切替弁472を制御し、給水先を第1のノズル内流路21に設定して第1の吐水口474aから脈動流を噴射させる。水勢が「4」に設定されたときの流量は、例えば約170ml/min程度である。水勢が「4」に設定されたときの着水面積は、例えば約5mm2程度である。
制御部405は、水勢が「5」に設定された場合には、流路切替弁472を制御し、給水先を第1のノズル内流路21に設定して第1の吐水口474aから脈動流を噴射させる。水勢が「5」に設定されたときの流量は、例えば約210ml/min程度である。水勢が「5」に設定されたときの着水面積は、例えば約3mm2程度である。
本具体例では、標準水勢は、5段階の水勢(「1」〜「5」)のうちの最強以外の水勢(「5」以外の水勢)および最弱以外の水勢(「1」以外の水勢)であって、最強以外の水勢および最弱以外の水勢のうちで最大の着水面積を有する「3」の水勢である。本具体例では、制御部405は、水の噴射開始の指示を操作部500から受けると電磁弁431を制御して洗浄ノズル473への給水を開始し、流路切替弁472を制御して「3」の水勢により水の噴射を開始する。
続いて、使用者が操作部500により水勢を強くする指示を行うと、制御部405は、操作部500から出力された水勢の変更の指示(ここでは、水勢を「4」に設定する指示)に基づいて流路切替弁472を制御し、洗浄形態を泡沫流から脈動流へ切り替える。水勢が「4」に設定されたときの流量および着水面積は、前述した通りである。これにより、水勢は、操作部500により水勢を強くする指示を行う前よりも強くなる。
使用者が操作部500により水勢をさらに強くする指示を行うと、制御部405は、操作部500から出力された水勢の変更の指示(ここでは、水勢を「5(最強)」に設定する指示)に基づいて流量切替弁471を制御し、洗浄形態を脈動流に保ちつつ、流量を170ml/minから210ml/minへ増加させる。このとき、着水面積は、狭くなる。これにより、水勢は、操作部500により水勢を強くする指示を行う前よりもさらに強くなる。
流速と使用者が感ずる違和感との関係については、図8および図9に関して前述した流速と使用者が感ずる違和感との関係と同様である。
一方、使用者が操作部500により水勢を弱くする指示を行うと、制御部405は、操作部500から出力された水勢の変更の指示(ここでは、水勢を「2」に設定する指示)に基づいて流量切替弁471を制御し、洗浄形態を泡沫流に保ちつつ、流量を210ml/minから190ml/minへ減少させる。このとき、流速は、遅くなる。着水面積は、狭くなる。これにより、水勢は、操作部500により水勢を弱くする指示を行う前よりも弱くなる。
使用者が操作部500にさらに水勢を弱くする指示を行うと、制御部405は、操作部500から出力された水勢の変更の指示(ここでは、水勢を「1(最弱)」に設定する指示)に基づいて流量切替弁471を制御し、洗浄形態を泡沫流に保ちつつ、流量を190ml/minから170ml/minへ減少させる。このとき、流速は、遅くなる。着水面積は、狭くなる。これにより、水勢は、操作部500に水勢を弱くする指示を行う前よりもさらに弱くなる。
次に、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の洗浄動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
以下では、制御部が水勢変更の指示を洗浄開始の前に受けた場合における衛生洗浄装置の洗浄動作の具体例について説明する。また、以下では、変更可能な水勢が3段階に設定された場合を例に挙げて説明する。
図12は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の洗浄動作の具体例を例示するタイミングチャート図である。
まず、使用者がトイレ室へ入室し便座200へ着座すると、着座検知センサ404が使用者を検知する(タイミングt1)。続いて、使用者は、例えば「おしり」スイッチ502(図7(a)または図7(b)参照)などを押して洗浄開始(水の噴射開始)を指示する前に、例えば「+(強)」スイッチ511などを押して水勢変更を指示する(タイミングt2)。本具体例では、使用者が標準水勢から「強」の水勢へ変更する場合を想定する。
続いて、使用者が例えば「おしり」スイッチ502などを押して洗浄開始を指示すると、制御部405は、電磁弁431を開く(タイミングt3)。このとき、制御部405は、標準水勢から「強」の水勢への変更の指示を洗浄開始の指示よりも前に受けていても、流路切替弁472を制御し、給水先を第2のノズル内流路22に設定して第2の吐水口474bから泡沫流を噴射させる。このときの流量は、210ml/minである。つまり、制御部405は、水勢変更の指示を洗浄開始の指示よりも前に受けた場合でも、流路切替弁472を制御し、標準水勢により水の噴射を開始する(タイミングt3)。
続いて、制御部405が電磁弁431を開いて洗浄を開始してから所定時間が経過すると、制御部405は、流路切替弁472を制御し、給水先を第1のノズル内流路21に設定して第1の吐水口474aから脈動流を噴射させる(タイミングt4)。このときの流量は、210ml/minである。これにより、水勢が「中」から「強」へ変更される。
続いて、使用者が「止」スイッチ501を押して洗浄停止(水の噴射停止)を指示すると、制御部405は、電磁弁431を閉じる(タイミングt5)。また、制御部405は、流路切替弁472を制御し、給水先を第2のノズル内流路22に設定する。これにより、衛生洗浄装置100を先に使用していた使用者が水勢を「中」から「強」へ変更していた場合であっても、次の使用者は、「中」の水勢により洗浄を開始できる。これによれば、その衛生洗浄装置100を初めて使用する使用者であっても、洗浄開始時に、水勢が強すぎるなどと感ずることを抑えることができる。これにより、使用者は、安心して快適に衛生洗浄装置100を使用することができる。
続いて、使用者が便座200から離れると、着座検知センサ404が使用者を検知しなくなる(タイミングt6)。
なお、例えば、「止」スイッチ501が、図7(a)および図7(b)に表したリモコンではなく、ケーシング400の側方から延在する袖部(操作部:指示手段)などに設けられた場合には、図12に表した破線のように、制御部405は、着座検知センサ404が使用者を検知しなくなって流路切替弁472を制御し、給水先を第2のノズル内流路22に設定してもよい(タイミングt6)。これは、衛生洗浄装置100が袖部を備える場合には、着座検知センサ404が使用者を検知しなくなったことを制御部405が袖部に設けられた水勢調整部へ信号を出力することができるためである。
本具体例によれば、制御部405は、標準水勢以外への変更の指示を洗浄開始の指示よりも前に受けていても、標準水勢により水の噴射を開始する。そのため、最強以外の水勢および最弱以外の水勢のうちで最大の着水面積を有する水勢により洗浄を開始することができる。そのため、水勢を調整することなくより広範囲にわたって洗浄可能な洗浄形態により洗浄を開始することができる。これにより、効率的に汚れを落とすことができる。
図13は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の洗浄動作の他の具体例を例示するタイミングチャート図である。
図13に表したタイミングt11〜t12における動作は、図12に関して前述したタイミングt1〜t2における動作と同様である。
続いて、使用者が例えば「おしり」スイッチ502などを押して洗浄開始を指示すると、制御部405は、電磁弁431を開く(タイミングt13)。このとき、制御部405は、流路切替弁472を制御し、給水先を第1のノズル内流路21に設定して第1の吐水口474aから脈動流を噴射させる(タイミングt13)。このときの流量は、210ml/minである。つまり、制御部405は、水勢変更の指示を洗浄開始の指示よりも前に受けた場合には、流路切替弁472を制御し、指示された水勢により水の噴射を開始する。あるいは、制御部405は、水の噴射開始の指示を操作部500から受け、吐水部474から洗浄水の噴射が開始される前に標準水勢から標準水勢以外の水勢への変更の指示を操作部500から受けた場合には、流路切替弁472を制御し、指示された水勢により水の噴射を開始する。
続いて、図13に表したタイミングt14〜t15における動作は、図12に関して前述したタイミングt5〜t6における動作と同様である。
本具体例によれば、制御部405は、水勢変更の指示を洗浄開始の指示よりも前に受けていない場合には、標準水勢により水の噴射を開始する一方で、水勢変更の指示を洗浄開始の指示よりも前に受けた場合には、指示された水勢により水の噴射を開始する。そのため、使用者が予め好みの水勢に調整した設定で使用可能であり、不快に感ずることはなく、より快適な洗浄開始を実現することができる。
次に、本実施形態の各洗浄形態について、図面を参照しつつ説明する。
以下では、説明の便宜上、各洗浄形態を噴射する洗浄ノズルをそれぞれ異なる洗浄ノズルとして説明する。但し、以下に説明するそれぞれの洗浄ノズルは、1つの洗浄ノズルであってもよい。つまり、複数の吐水口が1つの洗浄ノズルに設けられていてもよい。
図14は、本実施形態の脈動流の吐水状態(噴射状態)を表す模式的平面図である。
図14では、吐水JWの進行方向に沿った軸をJ軸とする。鉛直方向(上方)に沿った軸をV軸とする。これらは、図15〜図20においても同様である。
本実施形態では、脈動流は、直進流に分類される。
脈動流を噴射する洗浄ノズル473aは、ポンプを使用することなく、吐水される水の流速を周期的に変動させて、大きな水塊を吐水対象部位に衝突させる。
このように吐水される水の流速の変動が起こると、図14(a)に表したように、吐水JWは、部位Wp1、部位Wp2、部位Wp3、部位Wp4、部位Wp5を含むものとなる。この各部位のそれぞれの流速を、V11、V12、V13、V14、V15とすると、それぞれの流速の関係は、V11(≒V15)<V12(≒V14)<V13となる。
よって、部位Wp3の速度が部位Wp2の速度よりも速いから、吐水直後から図14(a)〜図14(c)へと時間が経過するにつれて、部位Wp3は、部位Wp2と合体し、さらに部位Wp1と合体して大きな水塊となる。
このように最大流速の部位Wp3は、その前の部位Wp2、部位Wp1と順次合体することにより、大きな塊となって、人体局部に着水する。この洗浄水は、人体局部に当たるときには、衝突エネルギー(洗浄強度)が大きい水塊状態となっている。この部位Wp3の流速V13は、最大流速である。そのため、脈動流で吐水された洗浄水は、合体した水塊の状態が脈動周期ごとに現れるような吐水形態で、第1の吐水口474aから吐水されている。しかも、このような現象が脈動周期で起きることから、前述したように最大流速の部位Wp3の合体を経た水塊は、繰り返し現れる。ある吐水タイミングでの水塊と、その次の吐水タイミングでの部位Wp3の合体を経た水塊と、は、ほぼ同じ速度で吐水される。しかも、それぞれの水塊は、最大流速での部位Wp3に遅れて吐水された部位Wp4、部位Wp5で繋がれたような状態となる。
脈動流を噴射する洗浄ノズル473aは、ポンプを用いずに吐水の流速変化をつけ、前述したような繰り返し周期的に現れる水塊による吐水を行う。洗浄ノズル473aは、第1の吐水口474aの上流側に、水溜室460を有している。洗浄ノズル473aは、水溜室460によって気泡を供給することで吐水の流速変化をつけている。水溜室460の構成について、図15〜図20を参照しながら説明する。
図15〜図20は、本実施形態の脈動流を説明する模式図である。
図15(a)、図16(a)、図17、図18(a)、図19および図20(a)は、水溜室460の概略構成を表す模式的断面図である。
図15(a)、図16(a)、図17、図18(a)、図19および図20(a)は、図1に表した切断面A−Aにおける模式的断面図である。
図15(b)は、図15(a)に表した切断面B−Bにおける模式的断面図である。図15(c)は、図15に表した切断面C−Cにおける模式的断面図である。図16(b)は、図16(a)に表した切断面D−Dにおける模式的断面図である。図16(c)は、図16(a)に表した領域Dの模式的拡大図である。図18(b)および図18(c)は、図18(a)に表した領域Fの模式的拡大図である。図18(d)は、図18(a)に表した切断面E−Eにおける模式的断面図である。図20(b)は、図20(a)に表した切断面G−Gにおける模式的断面図である。
図15(a)に表したように、水溜室460は、空気管路461と、第一給水管路462(給水路)と、吐出管路463と、第二給水管路464と、を備えている。空気管路461、第一給水管路462、吐出管路463、及び第二給水管路464は、水溜室460の内部に連通するように設けられた管路である。
水溜室460は、全体としては略直方体状の箱形状を成している。水溜室460は、一側端側に設けられた壁460eと、壁460f(第2側面)と、壁460g(第3側面)と、他側端側に設けられた壁460h(第1側面)と、壁460iと、壁460jと、を有している。図15(a)には、壁460e、壁460f、壁460gおよび壁460hが矩形を成すように描かれている。壁460iと壁460jとは、互いに対向する位置に配置される壁であって、壁460eと、壁460fと、壁460gと、壁460hと、を繋ぐように配置される壁である。
空気管路461は、水溜室460に形成された空気導入口460aを介して、水溜室460内部と連通している。空気導入口460aは、壁460gと壁460hとが突き合わされる角部近傍であって、壁460gの上流側端に形成されている。第一給水管路462は、噴射口460bを介して、水溜室460内部と連通している。噴射口460bは、壁460hと壁460eとが突き合わされる角部近傍であって、壁460hに形成されている。吐出管路463は、水溜室側開口460cを介して、水溜室460内部と連通している。水溜室側開口460cは、壁460fと壁460eとが突き合わされる角部近傍であって、壁460fに形成されている。第二給水管路464は、副水流導入口460dを介して、水溜室460内部と連通している。副水流導入口460dは、壁460fと壁460gとが突き合わされる角部近傍であって、壁460fに形成されている。
空気管路461は、空気導入口460aと大気開放された開口とを繋ぐ管路である。空気管路461から導入される空気は、空気導入口460aから水溜室460の内部に引き込まれる。水溜室460の内部に引きこまれた空気は、気泡BAを形成している。
第一給水管路462は、噴射口460bと給水源10とを繋ぐ管路である。第一給水管路462は、その管路の途上若しくは噴射口460bにおいて縮径されている。従って、第一給水管路462から供給される水は、その速度が高められ噴流WSmとして水溜室460内に噴射される。
吐出管路463は、水溜室側開口460cと洗浄ノズル473aに形成された第1の吐水口474aとを繋ぐ管路である。つまり、吐出管路463の少なくとも一部は、第1のノズル内流路21(図2参照)を形成する。本実施形態の場合、噴射口460bと水溜室側開口460cとは対向配置されている。従って、噴射口460bから水溜室460内に噴射される噴流WSmは、水溜室460内をJ軸に沿って進行し、水溜室側開口460cから吐出管路463に入る。吐出管路463に入った水は、J軸に沿って吐出管路463内を進行し、第1の吐水口474aから外部へと吐出される。
第二給水管路464は、副水流導入口460dと給水源10とを繋ぐ管路である。第二給水管路464は、副水流導入口460dを介して、水溜室460内部と連通している。第二給水管路464から供給される水の少なくとも一部は、水溜室460内において旋回流である副水流WSsを形成する。
前述したように、噴射口460bから水溜室460内に噴射される噴流WSmは、水溜室460内をJ軸に沿って進行し、水溜室側開口460cから吐出管路463に入る。従って、噴射口460bから第1の吐水口474aに至る噴流WSmが通過する経路である通水経路部465が形成される。本実施形態の場合、通水経路部465は、噴射口460bと水溜室側開口460cとを繋ぐ経路である。
水溜室460内の通水経路部465を除いた残余の領域は、水溜部466となっている。水溜部466は、通水経路部465に隣接させて溜水PWを形成するための部分である。本実施形態の場合、水溜部466は、通水経路部465を囲むように形成されている。
本実施形態の場合、噴射口460b及び水溜室側開口460cは、矩形となっている水溜室460の一辺側に近接させて配置されている。一方、空気導入口460a及び副水流導入口460dは、矩形となっている水溜室460の他辺側に近接配置されている。従って、噴射口460b及び水溜室側開口460cと、空気導入口460a及び副水流導入口460dと、は、離隔配置されている。
図15(a)に表した状態では、噴流WSmは、溜水PWの中を進行しており、図15(b)に表したように溜水PWからの抵抗を受けながら水溜室側開口460cに向かっている。水溜室側開口460cに至った噴流WSmは、吐出管路463内に入り、図15(c)に表したように吐出管路463の内壁面と接触した状態で進行している。
図15(a)に表した状態では、気泡BAは小さい。図15(a)に表した状態からさらに時間が進行すると、図16(a)に表したように細長形状に気泡BAが成長する。気泡BAは、噴流WSmにその下端が近づくまで成長している。従って、副水流WSsが旋回可能な領域は、図15(a)に表した状態よりも狭まっている。副水流WSsの旋回流速は、速くなっている。副水流WSsは、噴流WSmの流れを阻害しない方向に旋回している。
図16(b)に表したように、細長形状の気泡BAは、水溜室460の空気導入口460aから噴射口460bに向かって伸びる4つの壁460h、460i、460j、460fのうちの3つの壁460h、460i、460jに接触して成長している。従って、副水流WSsに接触する面は、副水流導入口460dに向かう面である。
図16(c)に表したように、細長形状に成長した気泡BAは、鉛直方向であるV軸方向に浮力が作用する。副水流WSsは、この浮力に抗するように気泡BAに作用している。従って、気泡BAは、水溜室460の空気導入口460aから噴射口460bに向かって伸びる4つの壁460h、460i、460j、460fのうちの3つの壁460h、460i、460jに接触した状態を保つことができる。
細長形状の気泡BAの成長という観点からは、壁460h、460i、460jは、気泡BAを空気導入口460aから通水経路部465に導くガイド面として機能している。副水流WSsは、気泡BAがガイド面である壁460h、460i、460jから離隔しないように、壁460h、460i、460jに向けて気泡BAを押し付ける力を発生させ、細長形状に気泡を成長させる押圧力付与手段として機能している。本実施形態では、空気導入口460a側から通水経路部465側に至るガイド面の長さが、噴射口460bから水溜室側開口460cに至る通水経路部465の長さよりも長いとより好ましい。
図16(a)に表した状態からさらに時間が進行すると、図17に表したように細長形状の気泡BAが噴流WSmに近づき干渉し始める。気泡BAは、噴流WSmに引っ張られ、通水経路部465に入り込む。従って、気泡BAが入り込んだ分の水が押し退けられることになり、副水流WSsの旋回流速が速くなる。旋回流速が速くなった副水流WSsは、気泡BAを引きちぎる。
図17に表した状態からさらに時間が進行すると、図18(a)に表したように気泡BAが噴流WSmに完全に引き込まれる。気泡BAは、通水経路部465の略全域にわたって存在する。
図18(b)に表したように、気泡BAは、通水経路部465の略全域に渡って存在するので、噴射口460bの近傍まで存在する。従って、噴射口460bの近傍に存在する水の量が減り、噴射口460bの近傍における渦流の発生が抑制される。気泡BAが噴射口460bから離れた位置に形成される場合には、図18(c)に表したような状態になる。図18(c)に表した状態では、噴射口460bの近傍に水が多く存在し、多くの渦流が発生している。渦流の発生は、噴流WSmの進行に抵抗となる。そのため、図18(b)に表したように渦流を抑制することで、噴流WSmの速度を低下させずに第1の吐水口474aに向かわせることができる。
図18(d)に表したように、噴流WSmは、気泡BAを貫通している。このように噴流WSmが気泡BAを貫通することで、噴流WSmの周りの抵抗が低下する。噴流WSmは、速度を低下させずに第1の吐水口474aに向かうことができる。もっとも、図18(d)に例示するような、噴流WSmが気泡BAを完全に貫通する状態は、必須なものではない。噴流WSmの周囲の多くの部分を気泡BAによって囲むことができればよい。噴流WSmの一部は、溜水PWと接触する状態であってもよい。
図18(a)に表した状態からさらに時間が進行すると、図19に表したように気泡BAが噴流WSmに引き込まれるように吐出管路463に向かう。気泡BAは、通水経路部465よりも広い流路断面積となるように形成されているので、水溜室側開口460cの外周に引っかかりながら吐出管路463に向かう。このように水溜室側開口460cの外周に引っかかった気泡BAは、噴流WSmによって後方から押し込まれたり、溜水PWからの圧力を受けて押し込まれたりしながら、吐出管路463に入っていく。
図19に表した状態からさらに時間が進行すると、図20(a)に表したように気泡BAが吐出管路463に入り込む。図20(b)に表したように、気泡BAが吐出管路463内に入り込むと、吐出管路463の内壁に沿って空気の膜を形成する。噴流WSmは、その膜の中を進行する。従って、噴流WSmが吐出管路463の内壁から受ける抵抗は、減少する。噴流WSmは、減速されずに第1の吐水口474aに向かう。もっとも、図20(d)に例示するような、気泡BAが噴流WSmを完全に包むような状態は、必須なものではない。噴流WSmの周囲の多くの部分を気泡BAによって囲むことができればよい。噴流WSmの一部は、吐出管路463と接触する状態であってもよい。
図20(a)に表した状態から気泡BAがさらに吐出管路463の下流側に進行すると、次の気泡BAが空気管路461から取り込まれる。水溜室460の状態は、図15(a)の状態に戻る。本実施形態では、図15〜図20を参照しつつ説明した気泡BAの動きが、周期的に繰り返される。
図21は、本実施形態の泡沫流を噴射する洗浄ノズルを表す模式的断面図である。
図21は、図1に表した切断面A−Aにおける模式的断面図である。
本実施形態では、泡沫流は、直進流に分類される。
泡沫流を噴射する洗浄ノズル473bは、第2のノズル内流路22(図2参照)と、給水室421と、オリフィス部422と、空気吸引部423と、スロート部424と、を有する。第2のノズル内流路22には、洗浄水が給水される。給水室421は、第2のノズル内流路22から給水された洗浄水の進路をオリフィス部422の方向へ変更させる。オリフィス部422は、洗浄水の流速を高める。空気吸引部423は、空気を吸引する。スロート部424の出口は、第2の吐水口474bに相当する。
例えば、オリフィス部422の径は、φ1.3ミリメートル(mm)に設定されている。例えば、スロート部424の入口径は、φ2.1mmに設定されている。すなわち、オリフィス部422の出口の断面積SA1とスロート部424の入口の断面積との面積比は2.6程度である。例えば、スロート部424の出口径は、φ2.3mmに設定されている。すなわち、オリフィス部422の出口の断面積SA1とスロート部424の出口の断面積SA2との面積比(SA2/SA1)は、3.1程度である。
スロート部424は、途中滑らかな曲線で結ばれた部位であって、洗浄水の噴射方向に進行するにしたがってスロート径が大きくなる部位を有する。よって、スロート部424の出口面積は、スロート部424の入口面積よりも広い。スロート部424は、洗浄水の噴射方向に進行するにしたがって洗浄水の通過面積が大きくなる部位を有する。スロート部424は、オリフィス部422から肛門aまたはビデbに至る軌跡X、Y上に配置されている。なお、図21に表した洗浄ノズル473bでは、オリフィス部422とスロート部424とは、同一軸上に配置されている。但し、スロート部424は、スロート径が大きくなる部位を必ずしも有していなくともよい。
オリフィス部422の上流に水圧を加えると、オリフィス部422の出口から噴射される洗浄水(流速:例えば約12メートル/秒(m/s)程度)は、何らの障害を受けずに噴射された水圧で人体局部に衝突する。つまり、エネルギーの損失(すなわち洗浄水の減速)がほとんどない。
オリフィス部422の周囲には空気取入口が設けられている。オリフィス部422の出口から洗浄水が噴射されると、オリフィス部422の周囲に負圧が発生する。噴流は、空気を吸い込み(いわゆる、エジェクタ効果)ながらスロート部を通過する。その際に、スロート部424の内壁面と噴流との間に空気の渦が発生する。この渦によって、噴流の周囲の乱れが促進される。さらに、スロート部424の出口面積は、スロート部424の入口面積よりも大きい。または、スロート部424は、洗浄水(噴流)の通過面積が徐々に大きくなる部位を有する。そのため、スロート部424の出口に向かうに従い徐々に拡がる噴流と、スロート部424の内壁面と、の間に生ずる0.5〜1mm程度の隙間に発生する空気の渦は、連鎖的となる。この連鎖的な空気の渦が複雑に噴流と干渉し、噴流の周囲の乱れがより促進される。その乱れ具合により、スロート部424から噴射される洗浄水は、細くなったり太くなったりする。この洗浄水の細太の繰り返しは、スロート部424から噴射される洗浄水の高速と低速の繰り返しを生じさせる。その速度差の繰り返しによって、洗浄水の噴流の疎密の繰り返しが自然的変動として現れる。このような疎密を繰り返す洗浄水の流れが、泡沫流となる。
図22は、本実施形態のミスト流を噴射する洗浄ノズルを表す模式的断面図である。
図22は、図1に表した切断面A−Aにおける模式的断面図である。
本実施形態では、ミスト流は、分散流に分類される。
ミスト流を噴射する洗浄ノズル473cは、ノズル本体411と、スロート415と、を有する。ノズル本体411の内部には、給水源10から供給された洗浄水が通過する第3のノズル内流路23(図2参照)と、旋回流を生成可能な第1の旋回室412と、第1の旋回室412からの洗浄水をスロート415へ導く連通路414と、が設けられている。第1の旋回室412の中央部には、より安定した旋回力の旋回流を生成する突設部413が設けられている。
第1の旋回室412は、底部においてより大きな径を有する大径部内周壁412aと、連通路414へ向かうにつれて収縮した径を有する傾斜内周壁412bと、により形成され、中空室とされている。傾斜内周壁412bは、その一端において連通路414に接続されている。第3のノズル内流路23は、第1の旋回室412に偏心して接続されている。具体的には、第3のノズル内流路23は、第1の旋回室412の大径部内周壁412aの接線方向に接続されている。
スロート415は、筒状に形成されている。スロート415の内部には、ノズル本体411の連通路414から吐水された洗浄水が通過するスロート流路416が設けられている。スロート流路416の一端には、スロート流路416を通過した洗浄水をスロート415の外部へ吐水する第3の吐水口474cが形成されている。第3の吐水口474cの近傍のスロート流路416には、第3の吐水口474cへ向かうにつれて流路が拡大するテーパ部417が形成されている。
なお、図22に表した洗浄ノズル473cでは、ノズル本体411とスロート415との間に隙間が設けられているが、この隙間は必ずしも設けられていなくともよい。すなわち、ノズル本体411とスロート415とが一体的に形成され、連通路414とスロート流路416とが接続されていてもよい。
給水源10から洗浄水が洗浄ノズル473cへ供給されると、その洗浄水は、第3のノズル内流路23を通過して第1の旋回室412へ流入する。ここで、第3のノズル内流路23は、第1の旋回室412の大径部内周壁412aの接線方向に接続されているため、第1の旋回室412へ流入した洗浄水は、大径部内周壁412aおよび傾斜内周壁412bに沿って旋回する。第1の旋回室412において旋回した洗浄水は、旋回力を維持しつつ連通路414を通過し、連通路414の一端からスロート415のスロート流路416内へ吐水される。ノズル本体411から吐水された洗浄水は、旋回力を維持しているため、中央部に中空部分を有する液膜として中空円錐状に吐水される。
ノズル本体411から中空円錐状に吐水された洗浄水は、スロート流路416の内壁で受け止められる。スロート流路416に流入した洗浄水は、旋回力を維持しつつスロート流路416の内壁に沿って流れ、第3の吐水口474cへ導かれる。すなわち、スロート流路416を通過する洗浄水は、スロート流路416の内壁に付着するように流れる。そのため、スロート流路416を流れる洗浄水は、スロート流路416の内壁から摩擦力による抵抗を受け、その洗浄水の流速は、第3の吐水口474cへ向かうにつれて遅くなる。これにより、図22に表したように、第3の吐水口474cの近傍の液膜の厚さは、ノズル本体411から吐水されたときの液膜の厚さ、あるいはスロート流路416に流入した直後の液膜の厚さよりも厚い。あるいは、第3の吐水口474cから吐水された中空円錐状吐水610の液膜の厚さD2は、ノズル本体411から吐水された中空円錐状吐水の液膜の厚さD1よりも厚い。
スロート流路416を流れる洗浄水の流速は、スロート流路416の内壁の近傍すなわち境界層よりもスロート流路416の中心部の方が速い。つまり、スロート415は、スロート流路416の内壁の近傍を流れる洗浄水の流速と、スロート流路416の内壁の近傍よりも中心部の側を流れる洗浄水の流速と、を異ならせることができる。言い換えれば、スロート415は、洗浄水の液膜の外側(スロート流路416の内壁の側)の流れと、洗浄水の液膜の内側(スロート流路416の中心部の側)の流れと、の間において速度差をつけることができる。これは、液膜の外側(スロート流路416の内壁の側)の洗浄水が、液膜の内側(スロート流路416の中心部の側)の洗浄水よりも大きな摩擦力をスロート流路416の内壁から受けることにより、内側の洗浄水よりも減速するためである。
そのため、スロート流路416を流れる洗浄水の内部には、図22に表した矢印A1のように、液膜を横断する方向に渦流が発生する。第3の吐水口474cの近傍におけるスロート流路416には、第3の吐水口474cへ向かうにつれて流路が拡大するテーパ部417が形成されているため、第3の吐水口474cから吐水される洗浄水は、テーパ部417に沿って流れる。そのため、第3の吐水口474cから吐水される洗浄水の内部には、液膜を横断する方向に渦流がより発生しやすい。
第3の吐水口474cから吐水された洗浄水は、中央部に中空部分を有する液膜として、すなわち中空円錐状吐水610として吐水されるが、第3の吐水口474cからある程度離間した位置において粒化水流(ミスト流)620へ遷移する。具体的には、第3の吐水口474cから吐水された中空円錐状吐水610の内部には、液膜を横断する方向に渦流が発生しているため、第3の吐水口474cからある程度離間した位置において、隣接する渦流同士の間に亀裂が生ずる。すると、図22に表したように、第3の吐水口474cから吐水された中空円錐状吐水610は、第3の吐水口474cからある程度離間した位置において破砕される。このようにして、第3の吐水口474cから吐水された中空円錐状吐水610は、粒化水流(ミスト流)620へ遷移する。
次に、本実施形態の他の洗浄形態について、図面を参照しつつ説明する。
図23は、本実施形態の公転吐水流を噴射する洗浄ノズルを表す模式的断面図である。 図24は、公転吐水流の状態の一例を例示する模式図である。
なお、図23(a)は、図1に表した切断面A−Aにおける模式的断面図である。図23(b)は、図23(a)に表した切断面H−Hにおける模式的断面図である。
本実施形態では、公転吐水流は、直進流に分類される。
公転吐水流を噴射する洗浄ノズル473dは、洗浄水が流入する流入室として円筒状に形成された第2の旋回室481を有する。第4のノズル内流路24を経て導かれる洗浄水は、第2の旋回室481に給水される。第4のノズル内流路24は、通水路24aと、旋回室流入路24bと、を有する。旋回室流入路24bの通水断面積は、通水路24aの通水断面積よりも狭い。旋回室流入路24bは、第2の旋回室481の中心に対して偏心して第2の旋回室481に接続されている。よって、旋回室流入路24bからの洗浄水は、第2の旋回室481に対してその接線方向から流入し、図23(b)に表したように旋回する旋回流を生成する。この場合、旋回室流入路24bの通水断面積が通水路24aの通水断面積より狭いことから、旋回室流入路24bは、第2の旋回室481に流入する洗浄水の流速を高めることができる。
洗浄ノズル473dは、第2の旋回室481に吐水体482を組み込んで有する。吐水体482は、洗浄水の第4の吐水口474dを有する小径円柱の吐水部位482aと、吐水部位482aに連続した大径円柱の受力部位483と、を有する。受力部位483は、第2の旋回室481内に位置して旋回流から種々の力を受け、吐水体482の首振り公転駆動等に関与する。つまり、受力部位483は、吐水部位482aに連続して第2の旋回室481(流入室)内に位置することから、室内部位に該当する。受力部位483は、横方向に貫通する給水管路484を有し、給水管路484から、第2の旋回室481内の洗浄水を第4の吐水口474dに導く。給水管路484は、受力部位483に十字に交差して開けられている。給水管路484の通路断面積の総和は、第4の吐水口474dの通路断面積よりも広い。よって、給水管路484から第4の吐水口474dに洗浄水が導かれる際には、面積の大小により、洗浄水の整流がなされる。そのため、第4の吐水口474dから吐水される洗浄水は安定する。
吐水体482は、第2の旋回室481の開口上部に設けられたシール部485に吐水部位482aを内接させた状態で挿入・支持されている。受力部位483は、第2の旋回室481内のほぼ中央に垂下している。従って、旋回室流入路24bから第2の旋回室481に洗浄水が流入すると、洗浄水は、第2の旋回室481の内周壁面に沿った受力部位483周りの旋回流を引き起こす。
なお、受力部位483の外径は、第2の旋回室481の内径の約35〜80%程度、好ましくは約40〜70%程度である。
吐水体482を支持するシール部485は、Oリングやシールリング等の弾性体で形成されている。図23(a)に表したように、シール部485は、第4の吐水口474dを第2の旋回室481の外部に臨ませた状態で、吐水体482を支持する。シール部485は、弾性体により形成されていることから、吐水体482を支持した上で、受力部位483を第2の旋回室481内において各方向に傾斜可能とすると共に、受力部位483を傾斜した姿勢で首振り可能とする。また、シール部485が弾性体により形成されていることから、吐水体482は、第2の旋回室481内部で吐水体482自身が中心軸を中心に回転する自転や、シール部485による支持箇所を頂点として円錐状に回転を行なう公転等を自在に行なえる。吐水体482の自転や公転は、受力部位483と旋回流とで引き起こされる。
図23(a)に表したように、第2の旋回室481の上壁は、吐水体482の吐水部位482aの側で小径とされたテーパガイド部486とされている。テーパガイド部486は、受力部位483および吐水体482の最大傾斜角度を規制する。
図24に表したように、吐水体482が首振り公転を起こすと、第4の吐水口474dは、吐水体482の首振り公転に伴い吐水方向を変えながら公転する。よって、第4の吐水口474dは、螺旋状に拡大した軌道を描きながら洗浄水を吐水し、その結果として、円錐状の公転吐水流を実現する。従って、洗浄水の吐水軌跡を、第4の吐水口474dの軌跡よりはるかに大きい軌跡の円錐状の公転吐水流の軌跡とし、広範囲に亘って局部を洗浄できる。
図25は、本実施形態の旋回流を噴射する洗浄ノズルを表す模式的断面図である。
図26は、洗浄ノズルの内部の円形チャンバを表す模式的断面図である。
図26は、図25に表した切断面I−Iにおける模式的断面図である。
本実施形態では、旋回流は、分散流に分類される。
旋回流を噴射する洗浄ノズル473eは、第5の吐水口474eと、第1の開口部491と、第2の開口部492と、第1の水路25aと、第2の水路(第5のノズル内流路)25bと、を有する。
第1の開口部491は、第5の吐水口474eに開口し、第5の吐水口474eの軸方向の噴出流を形成する。第2の開口部492は、第5の吐水口474eに開口し、第5の吐水口474eの接線方向の噴出流を形成する。第1の水路25aは、洗浄ノズル473e内に形成され、第1の開口部491に連通する。第2の水路25bは、洗浄ノズル473e内に形成され、第2の開口部492に連通する。第1の開口部491からの第5の吐水口474eの軸方向の噴出流と、第2の開口部492からの第5の吐水口474eの接線方向の噴出流と、が干渉し第5の吐水口474eから噴出する。
洗浄ノズル473eの先端部には、第5の吐水口474eが上下方向に形成されている。第5の吐水口474eの内径よりも大きな内径の円形チャンバー493が、第5の吐水口474eと同軸的に形成されている。
第5の吐水口474eの軸方向の噴出流を形成する1個の第1の開口部491が、円形チャンバー493に開口する。また、第5の吐水口474eの接線方向の噴出流を形成する複数の第2の開口部492が、円形チャンバー493に開口している。
すなわち、複数の第2の開口部492は、図26に表したように例えば90度毎に円形チャンバー493の内周壁に接線的に開口している4個の接線開口を有し、円形チャンバー493内に旋回流を形成する。
第1の水路25aは、図示しない第1の流量調整バルブに連通している。第2の水路25bは、図示しない第2の流量調整バルブに連通している。第1の流量調整バルブおよび第2の流量調整バルブは、第1の水路25aおよび第2の水路25bを流れる洗浄水の流量の総和を一定にした状態において、第1の水路25aおよび第2の水路25bを流れる洗浄水の流量割合を変える。第5の吐水口474eの軸方向の噴出流と、第5の吐水口474eの接線方向の噴出流と、の流量比率および干渉状態を変えることによって、第5の吐水口474eからの洗浄水の噴出パターンの到達高さ(洗浄荷重、強さ)および洗浄面積を制御することができる。例えば、第1の水路25aおよび第2の水路25bを流れる洗浄水の流量割合を適宜設定することで、接線成分の大きな広角の洗浄水の噴出パターン(旋回流)が形成される。
図27は、本実施形態の旋回流を噴射する他の洗浄ノズルを表す模式的断面図である。 図28は、本実施形態の旋回流を噴射する他の洗浄ノズルを表す模式的分解図である。
図25および図26に関して前述したように、旋回流は、分散流に分類される。
図27に表したように、洗浄ノズル473fのピストン部530は、ノズルカバー531、二流路管532、一流路管533および流路合流部534を含む。図27では、ノズルカバー531が破線で示されている。図28に表したように、ノズルカバー531の先端部の上面には第6の吐水口474fが設けられている。
二流路管532は、洗浄水が流れる2つの流路を有する。一方の流路には一流路管533の後端が接続されており、一流路管533の先端には流路合流部534が接続されている。また、図27に表したように、ノズルカバー531は、二流路管532、一流路管533および流路合流部534を覆っている。
二流路管532の一方の流路に供給された洗浄水は、一流路管533を通って流路合流部534に供給される。二流路管532の他方の流路に供給された洗浄水は、一流路管533とノズルカバー531との間の空間を通り、流路合流部534に供給される。流路合流部534に供給された洗浄水は、第6の吐水口474fから人体に向けて噴出される。このときに噴射される洗浄水は、分散旋回流となる。
図29は、本実施形態の旋回流を噴射する他の洗浄ノズルを表す模式的斜視図である。 図30は、本実施形態の旋回流を噴射する他の洗浄ノズルを表す模式的である。
なお、図30(a)は、洗浄ノズルの模式的平面図である。図30(b)は、図30(a)に表した切断面M−Mにおける模式的断面図である。図30(c)は、図30(a)に表した切断面N−Nにおける模式的断面図である。
図25および図26に関して前述したように、旋回噴流(旋回流)は、分散流に分類される。
図29に表した洗浄ノズル473gは、直噴流541を形成するための直噴流流出路542と、直噴流流出路542へ洗浄水を導入するための直噴流流入路543と、を有する。また、洗浄ノズル473gは、旋回噴流(旋回流)544を形成するため、直噴流流入路543の周りに形成した旋回流形成室545と、旋回流形成室545へ洗浄水を導入するための旋回流流入路546と、を有する。さらに、直噴流541に空気を混入するための空気混入手段547と、直噴流541と旋回噴流544とを同時に吐水する第7の吐水口474gと、洗浄水を上流より導入するための洗浄水流入路548と、を有する。
図30(b)に表したように、空気混入手段547は、空気流路549を有する。図30(c)に表したように、直噴流流入口543aが直噴流流入路543に設けられている。旋回流流入口546aが、旋回流流入路546に設けられている。
洗浄ノズル473gにおいて、洗浄水は、上流側から洗浄水流入路548を通って流れてきた後、直噴流流入路543と旋回流流入路546に分岐される。直噴流流入路543に分岐された洗浄水は、第7の吐水口474gに向けて流れる。第7の吐水口474gに向けて流れる洗浄水の方向は、変化する。洗浄水は、直噴流流出路542へ至った後、空気混入手段547によって空気が混入されて第7の吐水口474gへと流れる。
一方、旋回流流入路546へ分岐された洗浄水は、旋回流形成室545に至って旋回力を得た後、第7の吐水口474gへ至る。直噴流流入路543と旋回流流入路546とに分岐された洗浄水は、ともに第7の吐水口474gに至る。直噴流541は、第7の吐水口474gの中心部分から流れを保ちつつ吐水される。旋回噴流544は、第7の吐水口474gの内周縁部分から流れを保ちつつ吐水される。旋回噴流544は、直噴流541と同時に吐水される。
このとき、直噴流541は、第7の吐水口474gの中心部分に概ね沿った流れの方向性を有する。旋回噴流544は、第7の吐水口474gの内周縁部分に概ね沿った流れの方向性を有する。そのため、直噴流541および旋回噴流544は、互いに混ざり合うことなくそれぞれの流れる方向を維持したまま吐水できる。
図31は、本実施形態の分散噴流を噴射する洗浄ノズルを表す模式的平面図である。
図32は、図31に表した切断面J−Jにおける模式的断面図である。
本実施形態では、分散噴流は、分散流に分類される。
分散噴流を噴射する洗浄ノズル473hは、集中洗浄噴流を吐出する直噴ノズル孔551と、分散噴流を吐出する分散ノズル孔(第8の吐水口)474hと、直噴ノズル孔551および分散ノズル孔474hに各々連通する第1の流路28aおよび第2の流路(第8のノズル内流路)28bと、を有する。直噴ノズル孔551の中心軸線は、分散ノズル孔474hの中心軸線と被洗浄部付近で交差する。洗浄ノズル473hの上流側には、第1の流路28aおよび第2の流路28bのいずれかに洗浄水を選択供給する図示しない流路切替弁が設けられている。
例えば、肛門を洗浄するスイッチが投入されると、洗浄ノズル473hが後退位置から肛門洗浄位置まで進出駆動される。一方同時に流路切換弁が制御され、第2の流路28bの側に流路が切り換えられる。その後、図示しない止水弁が開弁されて洗浄水(分散噴流)が分散ノズル孔474hから肛門部に向けて噴射される。これにより、分散した柔らかい洗浄モードによって洗浄が開始される。
あるいは、例えば、ビデ洗浄を行うスイッチが投入されると、洗浄ノズル473hが後退位置からビデ洗浄位置まで進出駆動される。同時に流路切換弁が制御され、第2の流路28bの側に流路が切り換えられる。その後、図示しない止水弁が開弁されて洗浄水(分散噴流)が分散ノズル孔474hから女性局部に向けて噴射される。これにより、分散した柔らかい洗浄モードによって洗浄が開始される。
図33および図34は、本実施形態の扇状水流を噴射する洗浄ノズルを表す模式図である。
なお、図33(a)は、図34(b)に表した切断面K−Kにおける模式的断面図である。図33(b)は、洗浄ノズルの吐水口からみた模式的平面図である。図34は、洗浄ノズルの先端からみた模式的平面図である。
本実施形態では、扇状水流は、分散流に分類される。
扇状水流を噴射する洗浄ノズル473iでは、例えば図示しない空気ポンプによって水流内に空気が混入される。空気が混入された水流(気液混合水)は、洗浄ノズル473iから噴射される。空気の混入は、図示しない気泡混入制御弁によって制御される。あるいは、空気ポンプの動作によっても空気量を調整することができる。
洗浄ノズル473iは、図33および図34に表したような流路を有し、扇状の薄膜流を噴出する。すなわち、第9の吐水口474iの上流の第9のノズル内流路29は、吐水口の開口部の直前が球面状に形成された構造を有する。水流は、壁面29aに沿って中央に向かうように流れる。中央に向かった流れの流体バランスは、図34に表したようにV字にカットされた第9の吐水口474iで層状に分配される。そして、扇状の水流が噴射される。ここで、水流には、空気が混入されているので、第9の吐水口474iから噴射される扇形の水流は、図33および図34に表したように水粒561(または水塊)の部分の層と空気層562の部分の層とに分かれて、輪状の水粒を形成する。
図35は、本実施形態の洗浄ノズルがスプレー噴霧する状態を表す模式的平面図である。
図36は、本実施形態のスプレー噴霧する洗浄ノズルを表す模式図である。
なお、図36(a)は、図36(b)に表した切断面L−Lにおける模式的断面図である。
本実施形態では、スプレー噴霧は、分散流に分類される。
スプレー噴霧する洗浄ノズル473jは、給水路に連通するノズルパイプ571の先端部にネジ込み等によって固着されている。
図36(a)に表したように、洗浄ノズル473j内の上流には、ノズルパイプ571と連通する第10のノズル内流路31が設けられている。第10のノズル内流路31の下流には、衝突板571bが配置されている。衝突板571bの外の複数の箇所には、軸方向に向かう第1の孔部571cと、第1の孔部571cの先端から径方向内方に向かう第2の孔部571dと、を有する屈曲孔571eが形成されている。各屈曲孔571eの出口がそれぞれ、衝突板571bより下流に設けた吐出室571f内に連通している。吐出室571fの先端には、オリフィス部571gを介してスリット吐出口(第10の吐水口)474jが設けられている。ここでは、吐出室571fの内径寸法D11は、オリフィス部571gの手前位置571jからオリフィス部571gに向かうにつれて徐々に小さくなる。オリフィス部571gにおいて、内径寸法D12(<D11)が最小となる。オリフィス部571gから先端のスリット吐出口474jに向かうにつれて内径寸法D13(>D12)が徐々に大きくなっている。これにより、ノズルパイプ571から第10のノズル内流路31に供給された水は、図36(a)に表した矢印Xのように衝突板571bに衝突してから、外周部の複数の屈曲孔571eに振り分けられる。屈曲孔571eに振り分けられた水は、各屈曲孔571eによって向きを変えられて吐出室571f内で合流する。その後、吐出室571f内で合流した水は、吐出室571fの先端側のオリフィス部571gで一旦絞られてから、さらに先端側のスリット吐出口474jから外部に向かって一気に放出される。これにより、ミストMが所定角度でスリット吐出口474jからスプレー噴霧するようになっている。
ここで、本願明細書における「ミストM」とは、一般に空気中の水蒸気が凝結して細かい水滴となった霧よりも大きい粒状で且つ通常の洗浄ノズルからのシャワー水流よりも細かい粒状のものをいう。通常の洗浄ノズルから噴射される通常シャワー水流と比較して、肌に優しく快適性が得られる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、洗浄ノズル473などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや吐水部474の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
図4〜図11に関して前述した具体例では、制御部405が流路切替弁472を制御し、脈動流と泡沫流とを噴射させる場合を説明した。但し、これだけに限定されず、制御部405は、泡沫流の代わりにミスト流、図25および図26に関して前述した旋回流、図27および図28に関して前述した旋回流、図29および図30に関して前述した旋回流、図31および図32に関して前述した分散噴流、図33および図34に関して前述した扇状水流、ならびに図35および図36に関して前述したスプレー噴霧のいずれかを噴射させてもよい。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。