JP5960069B2 - ガス化炉、ガス化複合発電設備及びガス化炉の起動方法 - Google Patents
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Description
この石炭ガス化炉では、石炭が燃焼してガス化され、可燃性ガス(石炭ガス)が生成される。そして、生成された可燃性ガスは、チャー回収装置にて石炭の未反応分(チャー)が除去されてからガス精製され、この後、ガスタービン設備に供給される。
ガスタービンを駆動した後の排気ガスは、排熱回収ボイラで熱エネルギが回収されて蒸気を生成する。この蒸気は、蒸気タービン設備に供給され、この蒸気により蒸気タービンが駆動される。従って、ガスタービン及び蒸気タービンを駆動源とする発電機により、発電を行うことができる。
一方、排熱回収ボイラで熱エネルギが回収された排気ガスは、煙突を介して大気へ放出される。
すなわち、石炭ガス化炉の一般的な起動プロセスは、(1)炉内窒素ガス(N2)パージ、(2)ガス化炉内の加圧/ウォーミング、(3)空気通気及び補助燃料によるガス化炉点火、(4)ポーラスフィルタへの通ガス、(5)ランピング(加圧)、(6)ガス精製設備への通ガス、(7)ガス化炉燃料を補助燃料から石炭に切替、(8)ガスタービン燃料の切替、(9)負荷上昇、の順に実施される。
なお、上述したものは空気吹きの場合であるが、酸素吹きガス化による化学合成品プラントの場合も、上述した起動プロセスのステップ(7)までは共通である。
また、ガスタービン燃料切替のステップ(7)においては、石炭ガスの供給を受けられない起動時に使用する起動用燃料(例えば灯油・軽油や天然ガス等)から、ガス化炉で生成された石炭ガスに変更される。
また、下記の特許文献2には、石炭ガス化炉と除塵装置とを連結する主系統ラインに、除塵装置の上流側で分岐してフレアスタックに至るバイパスラインを設けた石炭ガス化プラントが開示されている。
なお、「少なくともガス化炉点火当初」としたのは、ステップ(4)以降において、再び略酸素が含有されないガスをポーラスフィルタに通ガスするためである。
このようなフィルタエレメント温度の過上昇は、材料の設計温度超過や損傷の原因となるため、ガス化炉点火当初においては、少なくともポーラスフィルタをバイパスしてフレア系統で処理する必要がある。なお。一般的なバイパス流路は、例えば特許文献2に開示されているように、ガス化炉出口とサイクロンとの間を連結する配管流路において、サイクロン入口の上流側で分岐させている。
さらに、本発明は、このガス化炉を備えたガス化複合発電設備、そして、ガス化炉の起動方法の提供も目的とする。
本発明に係るガス化炉は、ガス化剤と固体炭素質燃料とを供給し、ガス化するガス化炉であって、生成した可燃性ガスをチャー回収装置へ導くガス供給流路と、前記チャー回収装置の上流側で前記ガス供給流路から分岐してフレア設備に至るバイパス主流路と、前記バイパス主流路に設けた集塵装置と、前記チャー回収装置に至る前記ガス供給流路及び前記バイパス主流路の分岐位置下流に設けた流路入口開閉弁と、を備えていることを特徴とするものである。
この場合、バイパス主流路の分岐位置は、チャー回収装置の入口上流側でもよいし、あるいは、チャー回収装置を構成するサイクロン及びポーラスフィルタにおいて、下流側に配置されるポーラスフィルタの入口上流側でもよい。
以下に説明するガス化炉は、例えば石炭ガス化複合発電設備(以下、「IGCC」と呼ぶ)1において、粉砕された石炭(微粉炭)を炉内に投入して可燃性ガス(石炭ガス)を生成するための装置に用いられる。なお、以下の説明では、微粉炭から可燃性ガスを生成する石炭ガス化炉10を例示するが、本発明のガス化炉は、例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ等のバイオマス燃料、など他の固体炭素質燃料をガス化するものにも適用可能である。
石炭ガス化炉10で生成された可燃性ガスは、チャーを含んだ状態でチャー回収装置30へ導かれる。チャー回収装置30は、サイクロン31とポーラスフィルタ32とが連結管33を介して直列に接続された構成とされ、上流側に設置されたサイクロン31で粒子を分離除去させた可燃性ガス成分がポーラスフィルタ32へ導入される。なお、ポーラスフィルタ32は、サイクロン31の後流側に設置されたフィルタであり、可燃性ガスの微細チャーを回収する設備である。
ガス精製設備40で生成された可燃性ガス(燃料ガス)は、可燃性ガス供給系統41を介してガスタービン設備50の燃焼器51に供給され、圧縮機52から導入した圧縮空気を用いて燃焼する。
なお、圧縮機52から供給される圧縮空気は、可燃性ガス燃焼用として燃焼器51へ供給されるだけでなく、一部が抽気されて抽気空気昇圧器54で昇圧された後、ガス化剤として石炭ガス化炉10へも供給される。
こうして駆動されたガスタービン53及び蒸気タービン70は、例えば同軸の発電機71を駆動して発電する駆動源となる。なお、ガスタービン53及び蒸気タービン70は、各々専用の発電機を駆動するようにしてもよく、特に限定されることはない。
しかし、ステップ(3)のガス化炉点火時には、少なくとも石炭ガス化炉10の点火当初に残存酸素を含有し、可燃性ガスとして使用しにくい燃焼排ガスが発生する。この燃焼排ガスは、除塵のためにポーラスフィルタ32を通過させると、フィルタエレメント中に残存するチャーを燃焼させるため、チャー回収装置30をバイパスしてフレア設備90に至るバイパス配管系統のバイパス主流路91が設けられている。
また、バイパス主流路91の分岐位置より下流側でサイクロン31の入口より上流側の可燃性ガス供給系11には、流路入口開閉弁12が設けられている。
すなわち、本実施形態の石炭ガス化炉10は、生成した可燃性ガスをチャー回収装置30へ導く可燃性ガス供給系11と、チャー回収装置30の上流側で可燃性ガス供給系11から分岐してフレア設備90に至るバイパス主流路91と、バイパス主流路91に設けた集塵装置93と、チャー回収装置30に至る可燃性ガス供給系11及びバイパス主流路91の分岐位置下流に設けた流路入口開閉弁12,92とを備えているので、ガス化炉起動時のように所望の性状を有する可燃性ガスが得られるまでの間に生成された酸素含有ガスは、バイパス主流路91を介して導入されるフレア設備90で処理される前の段階で、ガス中に含まれるチャー等の粒子を集塵装置93により除去することが可能となる。
すなわち、石炭ガス化炉10の一般的な停止プロセスは、(10)負荷降下/GT燃料切替、(11)デランピング(減圧)、(12)ガス系パージ、(13)ガス系冷却、の順に実施される。しかし、停止操作開始初期はガス量が大きいため、これも集塵装置93の体格を大きくする要素となる。
すなわち、集塵装置93は、バイパス主流路91から分岐して合流するとともに、流路切替弁95,96a,96bにより流路の選択切替が可能なバイパス副流路94に設けられている。
一方、ステップ(3)のガス化炉点火時以外は、流路切替弁95を全開とし、かつ、流路切替弁96a,96bを全閉にすることで、バイパス主流路91に導入した酸素含有ガスは除塵装置93を通過することなくフレア設備90へ導かれる。従って、除塵装置93の体格について、これを大きくするという問題が生じることはない。
この変形例では、上述した実施形態と分岐位置の異なるバイパス主流路91´が設けられている。すなわち、バイパス主流路91´は、チャー回収装置30を構成するサイクロン31とポーラスフィルタ32との間を連結する可燃性ガス流路の連結管33から分岐してフレア設備90に至る。バイパス主流路91´の分岐位置下流には、流路入口開閉弁92´が設けられている。また、連結管33の分岐位置下流には、流路入口開閉弁33aが設けられている。
ここで、チャー回収装置30の具体的な配置関係を考える場合、主に粗粒を分離するサイクロン31と微粒を分離するポーラスフィルタ32は、ともに一定以上(重力落下できる程度の角度)の傾斜角をつけた連絡管31a,32aを介してチャー溜まりと接続されている。すなわち、サイクロン31及びポーラスフィルタ32内で分離回収されたチャーは、それぞれ連絡管31a,32aを通る重力落下により、同一のチャー溜まりに回収される。
この結果、サイクロン31とポーラスフィルタ32とを接続して可燃性ガス流路となる連絡管33の長さは短い場合が多く、従って、サイクロン31とポーラスフィルタ32との間からバイパス主配管91´を取り出すことは通常行わないが、あえて両者間の連絡管長を長くとり、連絡管33上からバイパス主配管91´を取り出している。
この結果、主にサイクロンを採用する集塵装置93の仕様緩和が可能となり、諸条件によっては集塵装置93の設置が不要となる可能性もある。なお、この第2変形例においても、上述した第1変形例のバイパス副流路94を設けて集塵装置93を設置する構成を採用してもよい。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
10 石炭ガス化炉(ガス化炉)
11 可燃性ガス供給系(ガス供給流路)
12,92,92´ 流路入口開閉弁
20 給炭装置
30 チャー回収装置
31 サイクロン
32 ポーラスフィルタ
33 連絡管
40 ガス精製設備
50 ガスタービン設備
60 排熱回収ボイラ(HRSG)
70 蒸気タービン
80 酸素分離装置(ASU)
90 フレア設備
91,91´ バイパス主流路
93 集塵装置
94 バイパス副流路
95,96a,96b 流路切替弁
Claims (5)
- ガス化剤と固体炭素質燃料とを供給し、ガス化するガス化炉であって、
生成した可燃性ガスをチャー回収装置へ導くガス供給流路と、
前記チャー回収装置の上流側で前記ガス供給流路から分岐してフレア設備に至るバイパス主流路と、
前記バイパス主流路に設けた集塵装置と、
前記チャー回収装置に至る前記ガス供給流路及び前記バイパス主流路の分岐位置下流に設けた流路入口開閉弁と、
を備えていることを特徴とするガス化炉。 - ガス化剤と固体炭素質燃料とを供給し、ガス化するガス化炉であって、
生成した可燃性ガスをチャー回収装置へ導くガス供給流路と、
前記チャー回収装置のサイクロンとフィルタとの連結管から分岐してフレア設備に至るバイパス主流路と、
前記バイパス主流路に設けた集塵装置と、
前記フィルタに至る前記連結管及び前記バイパス主流路の分岐位置下流に設けた流路入口開閉弁と、
を備えていることを特徴とするガス化炉。 - 前記集塵装置が、前記バイパス主流路から分岐して合流するとともに、流路切替弁により流路切替可能なバイパス副流路に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のガス火炉。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載のガス化炉で固体炭素質燃料をガス化した可燃性ガスを燃料としてガスタービン設備を駆動して発電するとともに、前記ガスタービン設備から排出される燃焼排ガスから熱回収して生成された蒸気で蒸気タービンを駆動して発電することを特徴とするガス化複合発電設備。
- ガス化剤と固体炭素質燃料とを供給し、ガス化するガス化炉の起動方法であって、
起動時に生成される排ガスをチャー回収装置のフィルタ上流側で分岐するバイパス主流路に導入し、フレア設備の上流側で集塵装置を通過させることを特徴とするガス化炉の起動方法。
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