JP5958619B2 - 信号伝送装置及びプリンター - Google Patents
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また、近傍電磁界を用いているため、大電力の電力伝送が可能である。記録ヘッドの駆動には大電力が必要であり、通常の無線通信で使われる遠方電磁界を用いた無線信号伝送ではこれに対応することは困難であったのに対して、近傍電磁界で共振回路同士で電力伝送するとこれが可能になる。
図1は、本実施形態に係るプリンター筐体部側の送信用共振回路と、記録ヘッド側の受信用共振回路とを示した図である。本実施形態に係るプリンター100は、筐体部102と、送信用共振回路(第1の共振回路)5と、受信用共振回路(第2の共振回路)6と、を備えている。送信用共振回路5は、送信用コイル2を備えている。受信用共振回路6は、受信用コイル1を備えている。プリンター100の筐体部102には送信用コイル2が固定される。この送信用コイル2はこれに並列又は直列に接続されたC(コンデンサー)と共に送信用共振回路5を構成する。また、送信用コイル2は細長い形状として、受信用コイル1の移動範囲全域にかかるように配置すると、受信用コイル1の位置による受信信号レベルの変動が少なくなり有利である。受信用コイル1は移動するノズルユニット3に固定され、送信用コイル2同様受信用コイル1に並列又は直列に接続されたCと共に受信用共振回路6を構成する。
図3は、本実施形態に係る電磁界シミュレーションによる共振回路を用いた電力伝送能力説明図である。図3(B)に電磁界シミュレーションによって実際に共振回路間で電力伝送を行った場合の伝送能力(S12)を示す。図3(A)ではL(コイル 図中でL1、L2と記載)とC(コンデンサー 図中でC1、C2と記載)は直列に接続され、その片側はGND、その反対側の端子は変調信号出力端子に接続される。また、コイルの中心間の距離は150mm、コイルの巻面同士の距離は50mmである。共振周波数0.2GHz付近にて伝送量(S12)が0dB以上となっており、シミュレーション上、送信と受信との共振回路間で効率100%以上で20cmの距離を電力伝送可能である。
図4は、本実施形態に係るワイヤレス信号電力伝送装置(信号伝送装置)104の回路ブロック図である。高周波発生装置10は搬送波(高周波)を発生させる。記録ヘッド制御信号は変調信号としてAM変調回路7のブロックにて搬送波(高周波)をAM変調する。このAM変調された高周波が送信用共振回路5に入力され、近傍電磁界を主とした電磁波に変換される。この電磁波は受信用共振回路6にて電圧と電流とから成る電気エネルギーに変換される。この信号をダイオード等とコンデンサーとで構成された検波回路8を通すことで、元の記録ヘッド制御信号を復元する。検波回路8で復元された記録ヘッド制御信号は、インクジェットノズルのアクチュエーター9を駆動する。
AM変調回路7の記録ヘッド制御信号(変調波)に対する入力インピーダンスは高く設定し、電流はほとんど流れない。このため送信側における記録ヘッド制御信号の電力はほぼ0となる。
これに対して、搬送波(高周波)の電力が受信側に伝送されることになる。
共振回路間のワイヤレス電力伝送の効率については前述の電磁界シミュレーションによる値のとおりなので、ここではこのロス以外の、AM変調回路7から出力された高周波信号と、検波回路出力との間のロスを示す。
交流の電力は次の式で示される。
交流の有効電力P=|E|×|I|×cosφ
ここで|E|、|I|はそれぞれ電圧、電流の実効値、φは電圧と電流との位相差。この式に示されるように交流(高周波を含む)の周波数は交流の有効電力に無関係であり、電圧と電流との位相差が関与する。φは本シミュレーション例では30度以下となっている。このため伝送効率cosφは√3/2以上となる。電磁界シミュレーションの結果より共振回路間の伝送効率を100%と考えると、制御信号伝送装置全体の伝送効率も√3/2以上となる。
次に、プリンターにおける記録ヘッド制御信号のチャンネル数を仮に50とし、ここに本発明を適用した場合の実施例について説明する。ただし、本発明を適用可能な実施例がこれに限定されるものではない。
図5は、本実施例に係る50チャンネルの記録ヘッド制御信号をワイヤレス伝送するための装置の構成を示すブロック図である。記録ヘッド制御装置(信号伝送装置)106は、第1及び第2送信用共振回路12,19と第1及び第2受信用共振回路13,20と、AM変調回路11,18と、高周波発生装置25と、検波回路14,21とを備えて構成される。尚、AM変調回路11,18と、高周波発生装置25、あるいは検波回路14,21はそれぞれ別のICとして製造することも、1チップとして製造することも可能である。
パラレル→シリアル変換回路15は、入力された50チャンネルの記録ヘッド制御信号を、同期クロック&チャンネル選択回路17からの同期信号にしたがって時分割信号に切替する回路である。シリアル信号に変換された記録ヘッド制御信号は、高周波発生装置25で発生された第1の周波数の高周波を搬送波として、AM変調回路11でAM変調され、第1送信用共振回路12に入力される。第1送信用共振回路12から第1受信用共振回路13の間でワイヤレス伝送が行われ、受信された変調信号は検波回路14に送られる。検波回路14で復調された時分割信号は、シリアル→パラレル変換回路16で元の50チャンネルの信号に変換され、ヘッドを駆動する回路に出力される。
また、同期信号及び時分割で送られる各チャンネルのチャンネル番号は、同期クロック&チャンネル選択回路17からAM変調回路18で第2の周波数を搬送波としてAM変調されて第2送信用共振回路19へ送られ、第2受信用共振回路20へワイヤレス伝送が行われ、検波回路21で復調された後に、同期クロック&チャンネル復調回路22へ入力される。
尚、同期回路等の電源電力伝送用には第3の周波数を用いて同様にワイヤレス伝送が行われるが、図示を省略してある。
図6は、本実施例に係る多チャンネルの信号電力伝送における伝送波形の例を示す図である。第1の周波数で送られる信号は、第2の周波数のチャンネル番号と同期している指定されたチャンネルの時分割されたその瞬間の値を伝送する。つまり時分割された各チャンネル信号のうち第nチャンネルの信号が送信される時に、同期&選択チャンネル信号は「n」をチャンネル番号信号として同時に送信される。
1チャンネルあたり1ms、つまり50チャンネルの信号を50msに時分割して信号伝送した場合、一つのチャンネルの信号は50ms間隔で送られてくることになる。この場合信号が抜ける49msについて出力を補間する必要がある。このために検波回路の後に対GND間に設置されたCが働く。信号が伝送される1msの間にCは電力をチャージし、補間期間の49msの間、そのチャージによって出力を保持する。
第2の周波数においては、同期信号とチャンネル番号信号とを伝送する。同期信号は大振幅A(例えば5V)で一定のタイミングで送られ、その後に続く小振幅Bの64ビットで構成されるチャンネル番号指定ビットで伝送される。
このようにチャンネル切替え回路を用い、一つの周波数で伝送できるチャンネル数を増やすことにより共振周波数の数を減らすことができ、占有周波数の削減及び共振回路の簡素化を行うことができる。
3−1.プリンター
本発明は、制御信号を必要とする移動部と固定された制御部とを持つ電子機器であればいずれの電子機器にも適用可能である。例えば、インクジェットブリンターのみならず、バブルジェット(登録商標)プリンターなど様々なプリンターやプロッターに応用できる。
上述した実施例では、制御信号を固定部から移動部へ信号を伝送することとし、プリンターについて説明したが、移動部へワイヤレス電力で電源を供給することで、移動部から固定部へ信号を伝送することもできる。これによりイメージスキャナーにおいても移動する光センサー部から筐体に固定された信号処理部へワイヤレス電力伝送にて信号を伝送することもできる。
工業用などの自由に回転する関節部を持ったロボットにおいて、その関節部における信号の伝送にも本発明は用いることができる。ロボットのアームには多数のモーターが搭載され、その制御信号はロボット制御回路から従来有線伝送されている。ここで関節部にてもその配線が関節の動きに合わせてねじられる構造になっており、このねじれに対する電線の耐久性や機械的抵抗が課題である。このためこの関節部に対する両側のアームにそれぞれ送信と受信との共振回路を設け、本発明により制御信号を伝送できる。アームの先に付いたセンサーの出力信号を制御信号とは逆向方向で伝送することも可能である。
上述した実施例では、送受信に共振回路を使い、主に近傍電磁界にてワイヤレス電力伝送するとした。しかしワイヤレス電力伝送の方法としては、次のような方法を用いることもできる。
・誘導起電力を用いた方法
送信用コイルと受信用コイルとを用い、それらコイルの相互インダクタンスにより、送信側コイルから受信側コイルに誘導される電力を用いる。
・アンテナを用いる方法
ダイポールアンテナなどを用い、通常の長距離信号伝送を行う方法も使用できる。しかし実施例に示した共振回路を使用する方法と比較して、電力の伝送効率は劣化する。また、電磁波の筐体の外への不要輻射も多くなり余り実用的ではない。
図7は、本変形例に係る送受信の共振回路の等価回路構成を示す図である。上述した実施例では、送信用共振回路及び受信用共振回路のうち少なくともいずれか一方において、一つのLに対して複数の異なった容量のCが並列に接続され、Cの個数と同じ数の周波数に共振することで複数チャンネルの信号を伝送する共振回路とすることとし、信号伝送装置について説明したが、図7に示すように、送信用共振回路及び受信用共振回路のうち少なくともいずれか一方において、一つのC24に対して複数のL23が接続され、L23の個数と同じ数の周波数に共振することで複数チャンネルの信号を伝送する共振回路とすることもできる。これにより一つの共振回路を複数の周波数で共振可能とし、これにより共振回路の送受信ペアの数を減らすこともできる。
Claims (5)
- 第1の信号と第2の信号とを含む複数の信号を、プリンターの筐体の側から記録ヘッドへ伝送する信号伝送装置において、
前記筐体に設置され、第1のコイルを有する第1の共振回路と、
前記筐体に対して移動する前記記録ヘッドに設置され、第2のコイルを有する第2の共振回路と、
を備え、
前記第1の共振回路及び前記第2の共振回路のうち少なくとも一方は、一つのコイルに対して複数のコンデンサーが並列に接続され、
第1の共振周波数で共振することで、前記第1の共振回路から前記第2の共振回路へ前記第1の信号のワイヤレス伝送を行い、
第2の共振周波数で共振することで、前記第1の共振回路から前記第2の共振回路へ前記第2の信号のワイヤレス伝送を行うことを特徴とする信号伝送装置。 - 前記第1の信号は、前記記録ヘッドを制御する制御信号であり、
前記制御信号は、時分割で伝送される複数のチャンネルを有し、
前記第2の信号は、複数の前記チャンネルのチャンネル番号であることを特徴とする請求項1に記載の信号伝送装置。 - 前記複数の信号は、さらに第3の信号を含み、
第3の共振周波数で共振することで、前記第1の共振回路から前記第2の共振回路へ前記第3の信号のワイヤレス伝送を行い、
前記第3の信号は電源電力を伝送する信号であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の信号伝送装置。 - 前記第1のコイルは、前記第2のコイルの移動範囲にかかる領域に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の信号伝送装置。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の信号伝送装置を備えたプリンター。
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