以上説明した本発明の構成および作用を一層明らかにするために、以下本発明を適用した印刷材供給システムについて説明する。
A.第1実施形態:
A−1.印刷材供給システムの全体構成:
図1は、印刷材供給システム10の構成を示す斜視図である。図1には、互いに直交するXYZ軸が描かれている。図1のXYZ軸は他の図のXYZ軸に対応している。本実施形態では、Z軸方向が鉛直方向である。印刷材供給システム10は、カートリッジ20と、プリンター(印刷装置)50とを備える。印刷材供給システム10では、プリンター50のホルダー(カートリッジ装着部)600に、ユーザーによってカートリッジ20が着脱可能に装着される。
印刷材供給システム10のカートリッジ20は、インク(印刷材)を収容する機能を有するカートリッジ(インクカートリッジ)であり、プリンター50に対して着脱可能に構成されている。カートリッジ20に収容された印刷材としてのインクは、後述する印刷材供給口および印刷材供給管を介してプリンター50のヘッド540に供給される。本実施形態では、プリンター50のホルダー600には、複数のカートリッジ20が着脱可能に装着される。本実施形態では、6色(ブラック、イエロー、マゼンタ、ライトマゼンタ、シアンおよびライトシアン)のインクに対応して6種類のカートリッジ20が1つずつ、すなわち合計6つのカートリッジ20がホルダー600に装着される。
ホルダー600に装着されるカートリッジの数は、6つに限るものではなく、プリンター50の構成に合わせて、任意の個数に変更可能であり、6つ以下であっても良いし、6つ以上であっても良い。カートリッジ20のインクの種類は、6色に限るものではなく、6色以下(例えば、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの4色)であっても、6色以上(例えば、本実施形態のインク色に特殊光沢色(金属光沢、パールホワイト等)を加えた色構成)であっても良い。他の実施形態では、1色のインクに対応して2つ以上のカートリッジ20がホルダー600に装着されても良い。カートリッジ20およびホルダー600の詳細構成については後述する。
印刷材供給システム10のプリンター50は、インク(印刷材)を供給する機能を有する印刷装置を含むインクジェットプリンターである。プリンター50は、ホルダー600の他、制御部510と、キャリッジ520と、ヘッド540とを備える。プリンター50は、ホルダー600に装着されたカートリッジ20からヘッド540にインクを供給する機能(印刷装置)を有し、紙やラベルなどの印刷媒体90に対してヘッド540からインクを吐出することによって、文字、図形および画像などのデータを印刷媒体90に印刷する。
プリンター50の制御部510は、プリンター50の各部を制御する。プリンター50のキャリッジ520は、ヘッド540を印刷媒体90に対して相対的に移動可能に構成されている。プリンター50のヘッド540は、ホルダー600に装着されたカートリッジ20からインクの供給を受け、そのインクを印刷媒体90に吐出するインク吐出機構を備える。制御部510とキャリッジ520との間はフレキシブルケーブル517を介して電気的に接続されており、ヘッド540のインク吐出機構は、制御部510からの制御信号に基づいて動作する。
本実施形態では、キャリッジ520には、ヘッド540と共にホルダー600が構成されている。このように、ヘッド540を移動させるキャリッジ520上のホルダー600にカートリッジ20が装着されるプリンターのタイプは、「オンキャリッジタイプ」とも呼ばれる。
他の実施形態では、キャリッジ520とは異なる部位にホルダー600を構成し、ホルダー600に装着されたカートリッジ20からのインクを、フレキシブルチューブを介してキャリッジ520のヘッド540に供給しても良い。このようなプリンターのタイプは、「オフキャリッジタイプ」とも呼ばれる。
本実施形態では、プリンター50は、キャリッジ520と印刷媒体90とを相対的に移動させて印刷媒体90に対する印刷を実現するために主走査送り機構および副走査送り機構を備える。プリンター50の主走査送り機構は、キャリッジモーター522および駆動ベルト524を備え、駆動ベルト524を介してキャリッジモーター522の動力をキャリッジ520に伝達することによって、キャリッジ520を主走査方向に往復移動させる。プリンター50の副走査送り機構は、搬送モーター532およびプラテン534を備え、搬送モーター532の動力をプラテン534に伝達することによって、主走査方向に直交する副走査方向に印刷媒体90を搬送する。主走査送り機構のキャリッジモーター522、および副走査送り機構の搬送モーター532は、制御部510からの制御信号に基づいて動作する。
本実施形態では、印刷材供給システム10の使用状態において、印刷媒体90を搬送する副走査方向に沿った軸をX軸とし、キャリッジ520を往復移動させる主走査方向に沿った軸をY軸とし、重力方向に沿った軸をZ軸とする。これらX軸、Y軸およびZ軸は相互に直交する。なお、印刷材供給システム10の使用状態とは、水平な面に設置された印刷材供給システム10の状態であり、本実施形態では、水平な面はX軸およびY軸に平行な面である。
本実施形態では、副走査方向に向かって+X軸方向、その逆を−X軸方向とし、重力方向の下方から上方に向かって+Z軸方向、その逆を−Z軸方向とする。本実施形態では、+X軸方向側が印刷材供給システム10の正面となる。本実施形態では、印刷材供給システム10の右側面から左側面に向かって+Y軸方向、その逆を−Y軸方向とする。本実施形態では、ホルダー600に装着された複数のカートリッジ20の配列方向はY軸に沿った方向である。
A−2.カートリッジをホルダーに装着した構成:
図2および図3は、カートリッジ20が装着されたホルダー600を示す斜視図である。図4は、カートリッジ20が装着されたホルダー600を示す上面図である。図5は、カートリッジ20が装着されたホルダー600を図4の矢視F5−F5で切断して示す断面図である。図2〜図5には、1つのカートリッジ20がホルダー600における設計された装着位置に正しく装着された状態を図示した。
プリンター50のホルダー600には、複数のカートリッジ20を装着可能に各カートリッジ20に対応して、カートリッジ20を受け入れ可能な複数のスロット(装着空間)が形成されている。プリンター50は、ホルダー600の各スロットに、インク供給管(印刷材供給管)640と、端子台700と、レバー800と、第1の装置側係止部810と、第2の装置側係止部620とを備える。
図5に示すように、カートリッジ20は、プリンター50のホルダー600に形成されているスロットに合わせて、第1のカートリッジ側係止部210と、第2のカートリッジ側係止部220と、インク収容部(印刷材収容部)290と、インク供給口(印刷材供給口)280と、回路基板400とを備える。本実施形態では、カートリッジ20のインク供給口280には、インク収容部290に連通するインク流路282が形成されており、インク流路282を通じてインク収容部290からカートリッジ20の外部へとインクを供給することが可能である。本実施形態では、インク流路282の出口側には、インク流路282からの不用意なインクの漏出を防止する発泡樹脂体284が設けられている。
プリンター50のインク供給管640は、カートリッジ20のインク供給口280に接続することによって、カートリッジ20のインク収容部290からのインクをヘッド540へと供給可能に構成されている。インク供給管640は、カートリッジ側に接続される先端部642を有する。インク供給管640の基端部645は、ホルダー600の底面に設けられている。本実施形態では、図5に示すように、インク供給管640の中心軸CはZ軸と平行であり、中心軸Cに沿ってインク供給管640の基端部645から先端部642に向かう方向は+Z軸方向となる。
本実施形態では、インク供給管640の先端部642には、カートリッジ20からのインクを濾過する多孔体フィルター644が設けられている。多孔体フィルター644としては、例えば、ステンレスメッシュ、ステンレス不織布などを用いることができる。他の実施形態では、インク供給管640の先端部642から多孔体フィルターを省略しても良い。
本実施形態では、図2〜図5に示すように、インク供給管640の周囲には、カートリッジ20のインク供給口280を密閉することによってインク供給口280から周囲へのインクの漏出を防止する弾性部材648が設けられている。ホルダー600に装着された状態のカートリッジ20には、弾性部材648からインク供給口280に対して、+Z軸方向の成分を含む付勢力Psが付与される。
プリンター50の端子台700は、インク供給管640よりも+X軸方向側に設けられている。端子台700には、カートリッジ20の回路基板400に設けられたカートリッジ側端子と電気的に接続可能な装置側端子が設けられている。ホルダー600に装着された状態のカートリッジ20には、端子台700に設けられた装置側端子から回路基板400に対して、+Z軸方向の成分を含む付勢力Ptが付与される。
プリンター50における第1の装置側係止部810は、レバー800の一部として設けられ、第1係止位置810Lで第1のカートリッジ側係止部210を係止する。第1係止位置810Lは、回路基板400と端子台700に設けられた装置側端子とが接触する位置よりも+Z軸方向側かつ+X軸方向側に位置する。第1の装置側係止部810は、第1のカートリッジ側係止部210を係止することによって、カートリッジ20の+Z軸方向への移動を制限する。
プリンター50における第2の装置側係止部620は、ホルダー600の一部として設けられ、第2係止位置620Lで第2のカートリッジ側係止部220を係止可能に構成されている。第2係止位置620Lは、インク供給管640よりも+Z軸方向側かつ−X軸方向側に位置する。第2の装置側係止部620は、第2のカートリッジ側係止部220を係止することによって、カートリッジ20の+Z軸方向への移動を制限する。
ホルダー600対するカートリッジ20の着脱時には、相互に係合させた第2のカートリッジ側係止部220と第2の装置側係止部620とを回転支点として、Z軸およびX軸に平行な平面に沿ってカートリッジ20を回転させながら、カートリッジ20の着脱が行われる。すなわち、第2のカートリッジ側係止部220および第2の装置側係止部620は、カートリッジ20の着脱時にカートリッジ20の回転支点として機能する。ホルダー600に対するカートリッジ20の着脱動作の詳細については後述する。
プリンター50のレバー800は、第1の装置側係止部810が第1のカートリッジ側係止部210を係止する第1係止位置810Lよりも+Z軸方向側かつ+X軸方向側に回動中心800cを有する。レバー800は、第1の装置側係止部810が第1係止位置810Lから+X軸方向に移動するように回動することによって、第1の装置側係止部810による第1のカートリッジ側係止部210の係止および係止解除を可能に構成されている。
レバー800には、ユーザーによる−X軸方向側に向かう操作力Prを受け付け可能に構成された操作部830が、回動中心800cよりも+Z軸方向側かつ+X軸方向側に形成されている。ユーザーによる操作力Prが操作部830に付与されると、第1の装置側係止部810が第1係止位置810Lから+X軸方向に移動するようにレバー800が回動することによって、第1の装置側係止部810による第1のカートリッジ側係止部210の係止が解除される。これによって、ホルダー600からカートリッジ20を取り外すことが可能になる。
図5に示すように、カートリッジ20がホルダー600に装着された状態では、第1係止位置810Lが第2係止位置620Lよりも距離Dzを置いて−Z軸方向側に位置する。そのため、ホルダー600からカートリッジ20に対する付勢力Ps,Ptは、第2係止位置620Lをカートリッジ20の回転支点とするモーメントの釣り合いの関係上、第1のカートリッジ側係止部210と第1の装置側係止部810との係止を強くする方向(+X軸成分および+Z軸成分を含む方向)に作用する。これによって、設計された装着位置にカートリッジ20を安定して保持することができる。
図6は、第1係止位置810Lにおいてレバー800がカートリッジ20から受ける力を示す説明図である。図6(A)には、第1係止位置810Lが第2係止位置620Lよりも−Z軸方向側に位置する場合に、第1係止位置810Lにおいてレバー800がカートリッジ20から受ける力F1を図示した。図6(B)には、第1係止位置810Lが第2係止位置620Lよりも+Z軸方向側に位置する場合に、第1係止位置810Lにおいてレバー800がカートリッジ20から受ける力F2を図示した。図6(A)の力F1、および図6(B)の力F2は、同じ大きさの力である。
図6(A)および図6(B)には、第1係止位置810L、第2係止位置620Lおよび回動中心800cについて、X軸およびZ軸上における相互の位置関係を概略的に図示した。図6(A)と図6(B)との間の位置関係は、第2係止位置620LのZ軸上の位置が異なる点を除き同様である。図6(A)および図6(B)における円弧RT1は、回動中心800cを中心として第1係止位置810Lを回転させた回転軌跡である。図6(A)および図6(B)における円弧RT2は、第2係止位置620Lを中心として第1係止位置810Lを回転させた回転軌跡である。
図6(A)に示すように、第1係止位置810Lが第2係止位置620Lよりも−Z軸方向側に位置するため、第1係止位置810Lにおいて円弧RT2の接線方向に作用する力F1は、+X軸成分および+Z軸成分を含む方向に作用する。力F1を円弧RT1の接線方向に分解した力をF1tとし、力F1を円弧RT1の半径方向に分解した力をF1rとする。
図6(B)に示すように、第1係止位置810Lが第2係止位置620Lよりも+Z軸方向側に位置するため、第1係止位置810Lにおいて円弧RT2の接線方向に作用する力F2は、−X軸成分および+Z軸成分を含む方向に作用する。力F2を円弧RT1の接線方向に分解した力をF2tとし、力F2を円弧RT1の半径方向に分解した力をF2rとする。
図6(A)と図6(B)との対比からも明らかなように、第1係止位置810L、第2係止位置620Lおよび回動中心800cの相互の位置関係から、力F1と力F2との関係が「F1=F2」であっても、円弧RT1の接線方向の力関係は「F1t<F2t」となり、円弧RT1の半径方向の力関係は「F1r>F2r」となる。すなわち、第1係止位置810Lが第2係止位置620Lよりも−Z軸方向側に位置する場合の方が、+Z軸方向側に位置する場合よりも、カートリッジ20からレバー800の回動中心800cに向かう力が大きくなると共に、回動中心800cを中心として+Y軸方向側から見て時計回りにレバー800を回転させる力が小さくなる。そのため、第1係止位置810Lが第2係止位置620Lよりも−Z軸方向側に位置する場合の方が、+Z軸方向側に位置する場合よりも、第1のカートリッジ側係止部210と第1の装置側係止部810との係止を強くすることができる。
A−3.カートリッジの詳細構成:
図7は、カートリッジ20の構成を示す斜視図である。図8は、カートリッジ20の構成を示す正面図である。図9は、カートリッジ20の構成を示す背面図である。図10は、カートリッジ20の構成を示す左側面図である。図11は、カートリッジ20の構成を示す底面図である。
カートリッジ20の説明では、ホルダー600に装着された装着状態にあるカートリッジ20に対するX軸、Y軸およびZ軸をカートリッジ上の軸とする。本実施形態では、カートリッジ20がホルダー600に装着された装着状態で、+X軸方向側がカートリッジ20の正面となる。図8、図9および図11に図示した平面CXは、中心軸Cを通り、かつ、Z軸およびX軸に平行な平面である。図8、図9および図11に図示した平面Ycは、カートリッジ20のY軸に沿った方向の長さ(幅)の中央を通り、かつ、Z軸およびX軸に平行な平面である。
図7〜図11に示すように、カートリッジ20は、直方体を基調とした外形を構成する6つの平面として、第1面201と、第2面202と、第3面203と、第4面204と、第5面205と、第6面206とを有する。本実施形態では、カートリッジ20は、直方体の6つの平面に対応する第1面201〜第6面206の他、第1面201と第3面203との間に、更に、第7面207と、第8面208とを有する。これら第1面201〜第8面208の内側にはインク収容部290が形成されている。
第1面201〜第8面208は、概形として平面を形成しており、面の全域が完全に平坦である必要はなく、面の一部に凹凸を有していても良い。本実施形態では、第1面201〜第8面208は、複数の部材を組み立てた組立体の外表面である。本実施形態では、第1面201〜第8面208は、板状の部材で形成されている。他の実施形態では、第1面201〜第8面208の一部は、フィルム状(薄膜状)の部材で形成されていても良い。第1面201〜第8面208は、樹脂製であり、本実施形態では、ポリプロピレン(PP)よりも高い剛性を得ることが可能な材料(例えば、ポリアセタール(POM))で形成されている。
本実施形態では、カートリッジ20の長さ(X軸方向の長さ)、幅(Y軸方向の長さ)、高さ(Z軸方向の長さ)は、長さ、高さ、幅の順に大きい。カートリッジ20の長さ、幅、高さの大小関係は任意に変更可能であり、例えば、高さ、長さ、幅の順に大きくても良いし、高さ、長さ、幅がそれぞれ等しくても良い。
カートリッジ20の第1面201および第2面202は、X軸およびY軸に平行な面であり、Z軸方向において相互に対向する位置関係にある。第1面201が−Z軸方向側、第2面202が+Z軸方向側に位置する。第1面201および第2面202は、第3面203、第4面204、第5面205および第6面206と交わる位置関係にある。なお、本明細書では、2つの面が「交わる」とは、2つの面が相互に繋がって交わる状態と、一方の面の延長面が他方の面に交わる状態と、相互の延長面が交わる状態と、のいずれかの状態であることを意図する。本実施形態では、カートリッジ20がホルダー600に装着された装着状態で、第1面201はカートリッジ20の底面を構成し、第2面202はカートリッジ20の上面を構成する。
第1面201には、インク供給口280が形成されている。インク供給口280は、第1面201から−Z軸方向に突出しており、X軸およびY軸に平行な面に開口を有する開口面288を−Z軸方向の端部に形成する。本実施形態では、図11に示すように、インク供給口280の内側には、開口面288から+Z軸方向側の内側に発泡樹脂体284が設けられている。本実施形態では、カートリッジ20の工場出荷時に、インク供給口280の開口面288は、キャップまたはフィルムなどの封止部材(図示しない)で封止され、その後、ホルダー600に対するカートリッジ20の装着時に、開口面288を封止する封止部材(図示しない)は、カートリッジ20から取り外される。
本実施形態では、インク供給口280は、インク供給管640の中心軸Cを中心として−Z軸方向に突出しているが、他の実施形態では、インク供給口280の中心がインク供給管640の中心軸Cから外れていても良い。本実施形態では、−Z軸方向から+Z軸方向に向って見たインク供給口280の開口面288は、X軸およびY軸にそれぞれ平行な軸に対して線対称の外郭を有するが、他の実施形態では、非対称の外郭であっても良い。本実施形態では、Z軸方向から見た開口面288の形状は、長方形の角を丸めた形状であるが、他の実施形態において、正円、楕円、長円、正方形、長方形などの形状であっても良い。
カートリッジ20の第3面203および第4面204は、Y軸およびZ軸に平行な面であり、X軸方向おいて相互に対向する位置関係にある。第3面203が+X軸方向側、第4面204が−X軸方向側に位置する。第3面203および第4面204は、第1面201、第2面202、第5面205および第6面206と交わる位置関係にある。本実施形態では、カートリッジ20がホルダー600に装着された装着状態で、第3面203はカートリッジ20の正面を構成し、第4面204はカートリッジ20の背面を構成する。
第3面203には、第1のカートリッジ側係止部210が形成されている。第1のカートリッジ側係止部210は、インク供給口280および回路基板400よりも+Z軸方向側かつ+X軸方向側に設けられている。第1のカートリッジ側係止部210は、+Z軸方向を向いた第1係止面211を有し、レバー800の回動により第1係止位置810Lに位置決めされた第1の装置側係止部810が第1係止面211に係止することによって、カートリッジ20の+Z軸方向への移動を制限可能に構成されている。
本実施形態では、第1のカートリッジ側係止部210は、第3面203から+X軸方向に突出した凸部である。これによって、第1のカートリッジ側係止部210を第3面203に容易に形成することができる。また、カートリッジ20の装着時にユーザーが第1のカートリッジ側係止部210を容易に確認することができる。
本実施形態では、図7、図8および図10に示すように、第1のカートリッジ側係止部210は、二つの辺がそれぞれY軸およびZ軸に平行なL字状に第3面203から突出した凸部であり、そのL字状凸部におけるY軸に平行な部位のY軸方向の中央から−Z軸方向側には、Y軸に沿った方向から見て三角形の壁部が、L字状凸部の+X軸方向側の端部から第3面203に向けて形成されている。
本実施形態では、第1のカートリッジ側係止部210は、+Z軸方向を向いた第1係止面211に加え、+X軸方向を向いた第3係止面213を有し、レバー800の回動により第1係止位置810Lに位置決めされた第1の装置側係止部810が第1係止面211および第3係止面213に係止することによって、カートリッジ20の+Z軸方向および+X軸方向への移動を制限可能に構成されている。これによって、設計された装着位置にカートリッジ20をより安定した状態で保持することができる。
本実施形態では、第1のカートリッジ側係止部210の第1係止面211は、L字状凸部におけるY軸に平行な部位を構成する+Z軸方向を向いた平面として形成されている。すなわち、第1係止面211は、X軸およびY軸に平行な平面である。本実施形態では、第1のカートリッジ側係止部210の第3係止面213は、L字状凸部におけるY軸に平行な部位を構成する+X軸方向を向いた平面として形成されている。すなわち、第3係止面213は、Y軸およびZ軸に平行な平面である。
本実施形態では、第1のカートリッジ側係止部210は、−Z軸方向および+X軸方向を向いて傾斜する傾斜面216を有する。傾斜面216の+Z軸方向側は、第1係止面211の+X軸方向側に隣接する第3係止面213の−Z軸方向側に隣接し、傾斜面216の−Z軸方向側は、第3面203と第8面208とが隣接する部位に隣接する。これによって、カートリッジ20をホルダー600に装着する際に、第1の装置側係止部810を第1係止面211へと円滑に誘導することができる。本実施形態では、第1のカートリッジ側係止部210の傾斜面216は、L字状凸部の−Z軸方向側に形成された三角状壁部を構成する+X軸方向側の平面として形成されている。
本実施形態では、第1のカートリッジ側係止部210は、第1係止面211の+X軸方向側に隣接する第3係止面213の一部を+Z軸方向に延長した延長面218を有する。これによって、カートリッジ20をホルダー600に装着する際に、レバー800が第1係止面211の+Z軸方向側に乗り上がってしまうことを防止することができる。本実施形態では、第1のカートリッジ側係止部210の延長面218は、L字状凸部におけるZ軸に平行な部位を構成する+X軸方向を向いた平面として形成されている。すなわち、延長面218は、Y軸およびZ軸に平行な平面である。
本実施形態では、第3面203には、突出部260が形成されている。突出部260は、第2面202を+X軸方向に延長した形状を有し、第3面203から+X軸方向に突出している。カートリッジ20に突出部260が形成されているため、カートリッジ20をホルダー600から取り外す際には、ユーザーは、−X軸方向側に向けてレバー800の操作部830を押した指を、そのまま突出部260に引っ掛けることによって、第2のカートリッジ側係止部220を回転支点とした+Z軸方向へのカートリッジ20の持ち上げを容易に行うことが可能である。他の実施形態では、第3面203から突出部260を省略しても良い。
第4面204には、第2のカートリッジ側係止部220が形成されている。第2のカートリッジ側係止部220は、インク供給口280および回路基板400よりも+Z軸方向側かつ−X軸方向側に設けられている。第2のカートリッジ側係止部220は、+Z軸方向を向いた第2係止面222を有し、第2の装置側係止部620が第2係止面222に係止することによって、カートリッジ20の+Z軸方向への移動を制限可能に構成されている。
本実施形態では、第2のカートリッジ側係止部220は、ホルダー600に対するカートリッジ20の着脱時に第2の装置側係止部620と係合することによって、ホルダー600に対するカートリッジ20の回転支点としても機能するように構成されている。これによって、ホルダー600に対するカートリッジ20の脱着を容易に行うことができる。
本実施形態では、第2のカートリッジ側係止部220は、第4面204から−X軸方向に突出した凸部である。これによって、第2のカートリッジ側係止部220を第4面204に容易に形成することができる。また、カートリッジ20の装着時にユーザーが第2のカートリッジ側係止部220を容易に確認することができる。
本実施形態では、第2のカートリッジ側係止部220の第2係止面222は、第4面204から−X軸方向に突出した凸部を構成する+Z軸方向を向いた平面として形成されている。すなわち、第2係止面222は、X軸およびY軸に平行な平面である。
本実施形態では、第2のカートリッジ側係止部220は、第2係止面222の−X軸方向側に隣接する傾斜面224を有し、傾斜面224は、+Z軸方向および−X軸方向を向いて傾斜している。これによって、カートリッジ20をホルダー600に装着する際に、第2係止面222を第2の装置側係止部620へと円滑に誘導することができる。他の実施形態では、傾斜面224を省略しても良い。
図10に示すように、第1のカートリッジ側係止部210の第1係止面211は、第2のカートリッジ側係止部220の第2係止面222よりも距離Dzを置いて、−Z軸方向側、すなわち、第1面201側に設けられている。言い換えると、第2係止面222は、第1係止面211よりも距離Dzを置いて、+Z軸方向側、すなわち、第2面202側に設けられている。これによって、図6を用いて説明したように、カートリッジ20がホルダー600に装着された装着状態で、第1のカートリッジ側係止部210と第1の装置側係止部810との係止を強くすることができる。
本実施形態では、図8、図9、図11に示すように、第1のカートリッジ側係止部210の第1係止面211、および第2のカートリッジ側係止部220の第2係止面222は、カートリッジ20の幅(Y軸方向の長さ)の中央を通る平面Ycを横切る位置に設けられている。これによって、ホルダー600からカートリッジ20に対する付勢力Ps,Ptがカートリッジ20をY軸方向に傾かせる力として働く作用を抑制することができる。
本実施形態では、図8、図9、図11に示すように、第1のカートリッジ側係止部210の第1係止面211、および第2のカートリッジ側係止部220の第2係止面222は、中心軸Cを通る平面CXを横切る位置に設けられている。これによって、ホルダー600からカートリッジ20に対する付勢力Psがカートリッジ20をY軸方向に傾かせる力として働く作用を効果的に抑制することができる。
本実施形態では、図10に示すように、中心軸Cと第3面203とのX軸上の距離Dx1は、中心軸Cと第4面204とのX軸上の距離Dx2よりも長い。すなわち、インク供給口280に対するX軸上の距離は、第1のカートリッジ側係止部210の第1係止面211よりも、第2のカートリッジ側係止部220の第2係止面222の方が近い。これによって、第1係止面211よりも先にホルダー600に対して位置決めされる第2係止面222側にインク供給口280が形成されているため、ホルダー600に対するカートリッジ20の位置決めを容易に行うことができる。
本実施形態では、図11に示すように、第1のカートリッジ側係止部210のY軸方向の長さは、第2のカートリッジ側係止部220のY軸方向の長さよりも小さい。本実施形態では、第1のカートリッジ側係止部210のY軸方向の長さは、回路基板400のY軸方向の長さよりも小さい。本実施形態では、第2のカートリッジ側係止部220のY軸方向の長さは、回路基板400のY軸方向の長さにほぼ等しい。
カートリッジ20の第5面205および第6面206は、Z軸およびX軸に平行な面であり、Y軸方向において相互に対向する位置関係にある。第5面205が+Y軸方向側、第6面206が−Y軸方向側に位置する。第5面205および第6面206は、第1面201、第2面202、第3面203および第4面204と交わる位置関係にある。本実施形態では、カートリッジ20がホルダー600に装着された装着状態で、第5面205はカートリッジ20の左側面を構成し、第6面206はカートリッジ20の右側面を構成する。
カートリッジ20の第7面207は、第1面201と第3面203とを繋ぐコーナー部に設けられ、第1面201から+Z軸方向側に延びるように形成された面である。第7面207は、+Z軸方向側で第8面208と繋がり、−Z軸方向側で第1面201と繋がる。本実施形態では、第7面207は、Y軸およびZ軸に平行な面であり、第4面204に対向する位置関係にある。
カートリッジ20の第8面208は、第1面201と第3面203とを繋ぐコーナー部に設けられ、第7面207よりも+Z軸方向側に形成された面である。第8面208は、+Z軸方向側で第3面203と繋がり、−Z軸方向側で第7面207と繋がる。本実施形態では、図7および図10に示すように、第8面208は、−Z軸方向および+X軸方向を向いて傾斜している。
第8面208には、本実施形態では、回路基板400が設置されている。図10に示すように、回路基板400は、第8面208に設置された状態で−Z軸方向および+X軸方向を向いて傾斜する表面(「カートリッジ側斜面」とも呼ぶ)408を有する。カートリッジ20がホルダー600に装着された状態で、カートリッジ20の回路基板400に設けられたカートリッジ側端子は、カートリッジ側斜面408側でホルダー600の端子台700に設けられた装置側端子と接触する。
カートリッジ側斜面408がX軸およびY軸に平行な平面(インク供給口280の開口面288)に対して傾斜する角度φは、25°〜40°が好ましい。カートリッジ側斜面408の角度を25°以上とすることでワイピング量を十分に確保することができる。ワイピングとは、カートリッジ20をホルダー600に装着する際に、カートリッジ側斜面408に設けられたカートリッジ側端子を、端子台700に設けられた装置側端子によって擦ることである。そして、ワイピング量とは、カートリッジ側端子を装置側端子が擦ることができる長さである。ワイピングによって、カートリッジ側端子上に付着したゴミや埃を除去し、カートリッジ側端子と装置側端子との接続不良を低減することが可能となる。カートリッジ側斜面408の角度を40°以下とすることで、端子台700に設けられた装置側端子から回路基板400に対する付勢力Ptに含まれる+Z軸方向の成分を十分に確保することができる。
本実施形態では、カートリッジ20をホルダー600に装着する際に端子台700に設けられた装置側端子に対する回路基板400に設けられたカートリッジ側端子の位置ズレを防止するために、カートリッジ20における回路基板400の周囲には、一対の第1係合面230と、一対の第2係合面240と、一対の突出部250とが形成されている。
カートリッジ20の第5面205および第6面206の回路基板400の近傍の位置に設けられた一対の第1係合面230は、それぞれZ軸およびX軸に平行な一対の面であり、回路基板400のY軸に沿った方向の両側にそれぞれ設けられている。一対の第1係合面230は、ホルダー600に設けられた第1係合部632(図13〜15)と係合可能に構成されている。これによって、ホルダー600に対する回路基板400のY軸方向の位置ズレを防止することができ、装置側端子に対してカートリッジ側端子を正しい位置で接触させることができる。
本実施形態では、一対の第1係合面230は、第5面205側の面と、第6面206側の面とを有する。第5面205側の面は、第8面208から一定の距離の領域から突出部250にわたって第5面205を−Y軸方向に低くした面である。第6面206側の面は、第8面208から一定の距離の領域から突出部250にわたって第6面206を+Y軸方向に低くした面である。Y軸方向に沿った一対の第1係合面230の間の距離は、カートリッジ20のY軸方向の寸法(幅)、つまり第5面205と第6面間の距離よりも小さく、回路基板400のY軸方向の寸法(幅)よりも大きい。
カートリッジ20の第5面205および第6面206の回路基板400の近傍の位置に設けられた一対の第2係合面240は、それぞれZ軸およびX軸に平行な一対の面であり、回路基板400のY軸に沿った方向の両側にそれぞれ設けられている。一対の第2係合面240は、ホルダー600に設けられた第2係合部634(図13〜15)と係合可能に構成されている。これによって、ホルダー600に対する回路基板400のY軸方向の位置ズレを防止することができ、装置側端子に対してカートリッジ側端子を正しい位置で接触さることができる。
本実施形態では、一対の第2係合面240は、第5面205側の面と、第6面206側の面とを有する。第5面205側の面は、第1係合面230における第8面208に隣接する一部を更に−Y軸方向に低くした面である。第6面206側の面は、第6面206を+Y軸方向に低くした第1係合面230における第8面208に隣接する一部を更に+Y軸方向に低くした面である。Y軸方向に沿った一対の第2係合面240の間の距離は、カートリッジ20のY軸方向の寸法(幅)、つまり第5面205と第6面間の距離よりも小さく、回路基板400のY軸方向の寸法(幅)にほぼ等しい。
カートリッジ20における一対の突出部250は、第7面207の+Y軸方向および−Y軸方向の側部に、+X軸方向側に向けてそれぞれ突設されている。一対の突出部250は、回路基板400よりも−Z軸方向側においてY軸上で相互に対峙している。一対の突出部250は、ホルダー600に設けられた嵌合部636(図13〜15)に係合可能に構成されている。これによって、ホルダー600に対する回路基板400のY軸方向の位置ズレを防止することができ、装置側端子に対してカートリッジ側端子を正しい位置で接触させることができる。
図12は、カートリッジ20の回路基板400の詳細構成を示す説明図である。図12の上段である図12(A)には、図10の矢視F12Aから見た回路基板400の表面(カートリッジ側斜面)408上における構成を図示した。図12の下段である図12(B)には、図12(A)の矢視F12B(+Y軸方向)から見た回路基板400の側面の構成を図示した。
図12(A)に示すように、回路基板400の+Z軸方向側の端部にはボス溝401が形成され、回路基板400の−Z軸方向側の端部にはボス孔402が形成されている。カートリッジ20に設置された状態の回路基板400は、ボス溝401およびボス孔402を用いてカートリッジ20の第8面208に固定されている。本実施形態では、ボス溝401およびボス孔402は、カートリッジ20の幅(Y軸方向の長さ)の中央を通る平面Ycを横切る位置に設けられている。他の実施形態では、ボス溝401およびボス孔402の少なくとも一方を回路基板400から省略して、接着剤を用いて回路基板400を第8面208に固定しても良いし、第8面208側に設けた係合爪(図示しない)を用いて回路基板400を固定しても良い。
本実施形態では、図12(A)に示すように、回路基板400のカートリッジ側斜面408には9つのカートリッジ側端子431〜439が形成されており、図12(B)に示すように、裏面には記憶装置420が形成されている。本実施形態では、回路基板400の記憶装置420には、カートリッジ20のインクに関する情報(例えば、インク残量、インク色)が記憶されている。
回路基板400のカートリッジ側端子の個数は、9つに限るものではなく、任意の個数に変更可能であり、9つ以下であっても良いし、9つ以上であっても良い。図12(B)に示すように、カートリッジ側端子431〜439は、回路基板400のカートリッジ側斜面408から相互に同じ高さであることが好ましい。
回路基板400のカートリッジ側端子431〜439の各々は、ホルダー600の端子台700に設けられた装置側端子と接触する接触部cpを有する。カートリッジ側端子431〜439のうち、4つのカートリッジ側端子431〜434は、+Z軸方向側のY軸に平行な端子列R1に沿って並設されており、5つのカートリッジ側端子435〜439は、端子列R1よりも−Z軸方向側のY軸に平行な端子列R2に沿って並設されている。端子列R1上のカートリッジ側端子431〜434の各接触部cpは、端子列R1上に位置し、端子列R2上のカートリッジ側端子435〜439の各接触部cpは、端子列R2上に位置する。
端子列R1上のカートリッジ側端子431〜434と、端子列R2上のカートリッジ側端子435〜439とがY軸に沿った方向から見て重ならないように、端子列R1上のカートリッジ側端子431〜434は、端子列R2上のカートリッジ側端子435〜439よりも+Z軸方向側に位置する。端子列R1上のカートリッジ側端子431〜434と、端子列R2上のカートリッジ側端子435〜439とがZ軸に沿った方向から見て重ならないように、端子列R1上のカートリッジ側端子431〜434と、端子列R2上のカートリッジ側端子435〜439とは、互い違いに配置されている。
5つのカートリッジ側端子432,433,436,437,438は、記憶装置420に電気的に接続されている。カートリッジ側端子432は、記憶装置420に対するリセット信号RSTの供給を受け付ける「リセット端子」として機能する。カートリッジ側端子433は、記憶装置420に対するクロック信号SCKの供給を受け付ける「クロック端子」として機能する。カートリッジ側端子436は、記憶装置420に対する電源電圧VDD(例えば、定格3.3ボルト)の供給を受け付ける「電源端子」として機能する。カートリッジ側端子437は、記憶装置420に対する接地電圧VSS(0ボルト)の供給を受け付ける「接地端子」、すなわち「カートリッジ側接地端子」として機能する。カートリッジ側端子438は、記憶装置420に対するデータ信号SDAの供給を受け付ける「データ端子」として機能する。
4つのカートリッジ側端子431,434,437,439は、ホルダー600に対してカートリッジ20が正しく装着されているか否かの装着検出をホルダー600側から実施するために用いられる「装着検出端子」として機能する。4つのカートリッジ側端子431,434,437,439の各接触部cpを4つの頂点とする矩形領域内には、他のカートリッジ側端子432,433,436,437,438の各接触部cpが存在する。本実施形態では、4つのカートリッジ側端子431,434,437,439は、回路基板400の内部で相互に電気的に接続されており、カートリッジ20がホルダー600に装着された際に、接地端子として機能するカートリッジ側端子437を通じてプリンター50側の接地ライン(図示しない)に電気的に接続される。
本実施形態では、カートリッジ20がホルダー600に装着された装着状態で、回路基板400の9つのカートリッジ側端子431〜439は、ホルダー600の端子台700に設けられた装置側端子を介して、プリンター50の制御部510と電気的に接続される。これによって、制御部510は、カートリッジ20の装着検出を行うことが可能になると共に、回路基板400の記憶装置420に対して情報の読み書きを行うことが可能になる。
本実施形態では、接地端子として機能するカートリッジ側端子437は、カートリッジ20の幅(Y軸方向の長さ)の中央を通る平面Ycを横切る位置に設けられており、カートリッジ20がホルダー600に装着される際、他のカートリッジ側端子431〜436,438,439と装置側端子731〜736,738,739(図17)との接触に先立って、装置側端子737(図17)に接触するように構成されている。これによって、ホルダー600から回路基板400に最初に加わる付勢力Ptが、カートリッジ20のY軸に沿った方向の幅の中心に発生するため、カートリッジ側斜面408に加わる付勢力Ptがカートリッジ20をY軸方向に傾かせる力として働く作用を抑制し、カートリッジ20を安定した姿勢でホルダー600に装着できる。また、接地端子として機能するカートリッジ側端子437が他のカートリッジ側端子431〜436,438,439よりも先に装置側端子に接触するため、カートリッジ20側に意図しない高電圧が印加された場合であっても、カートリッジ側端子437の接地機能によって、高電圧による不具合を軽減することができる。
本実施形態では、接地端子として機能するカートリッジ側端子437は、他のカートリッジ側端子431〜436,438,439よりもZ軸に沿った方向に長く形成されている。これによって、接地端子として機能するカートリッジ側端子437と、ホルダー600の端子台700に設けられた装置側端子737(図17)との接触を、より確実に、他のカートリッジ側端子431〜436,438,439と装置側端子731〜736,738,739との接触よりも早くすることができる。他の実施形態では、全てのカートリッジ側端子431〜439が互いに同じ大きさで形成されていても良い。
A−4.ホルダーの詳細構成:
図13および図14は、ホルダー600の構成を示す斜視図である。図15は、ホルダー600の構成を示す上面図である。図16は、ホルダー600を図15の矢視F16−F16で切断して示す断面図である。
プリンター50のホルダー600は、カートリッジ20の装着を受け入れる空間を画定する容器体を構成する壁面として、5つの壁部601,603,604,605,606を有する。本実施形態では、5つの壁部601,603,604,605,606は、板状の部材で形成されている。5つの壁部601,603,604,605,606は、樹脂製であり、本実施形態では、ポリプロピレン(PP)よりも高い剛性を得ることが可能な材料(例えば、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE))で形成されている。
ホルダー600の壁部601は、プリンター50の使用状態で容器体の底面を構成する。ホルダー600の壁部603は、壁部601の+X軸方向側に立設されており、プリンター50の使用状態で容器体の正面を構成する。ホルダー600の壁部604は、壁部601の−X軸方向側に立設されており、プリンター50の使用状態で容器体の背面を構成する。ホルダー600の壁部605は、壁部601の−Y軸方向側に立設されており、プリンター50の使用状態で容器体の右側面を構成する。ホルダー600の壁部606は、壁部601の+Y軸方向側に立設されており、プリンター50の使用状態で容器体の左側面を構成する。壁部603と壁部604とは相互に対向する位置関係にあり、壁部605と壁部606とは相互に対向する位置関係にある。
ホルダー600の壁部601には、インク供給管640が設けられており、インク供給管640の先端部642には多孔体フィルター644が設けられている。本実施形態では、インク供給管640は、壁部604寄り(−X軸方向寄り)に設けられている。他の実施形態では、インク供給管640は、壁部603寄り(+X軸方向寄り)に設けられていても良いし、壁部604と壁部603との中央に設けられていても良い。
壁部601におけるインク供給管640の周囲には、弾性部材648が設けられている。弾性部材648は、カートリッジ20がホルダー600に装着された装着状態でカートリッジ20のインク供給口280を密閉することによって、インク供給口280から周囲へのインクの漏出を防止する。弾性部材648は、カートリッジ20がホルダー600に装着された装着状態で、カートリッジ20のインク供給口280を押し返す方向(+Z軸方向側を向く方向)に付勢力Psを発生させる。
本実施形態では、壁部601における各インク供給管640の+Y軸方向側および−Y軸方向側には、一対の立面部660が立設されている。一対の立面部660は、それぞれZ軸およびX軸に平行な壁面であり、カートリッジ20をホルダー600に装着する際に一対の立面部660の間にカートリッジ20が嵌るように構成されている。これによって、インク供給管640に対するインク供給口280の位置ズレを防止することができる。
インク供給管640よりも壁部603側(+X軸方向側)であって、壁部601と壁部603とが隣接する位置には、端子台700が設置されている。図16に示すように、端子台700は、壁部601に設置された状態で+Z軸方向および−X軸方向を向いて傾斜する装置側斜面708を有する。カートリッジ20がホルダー600に装着された状態で、ホルダー600の端子台700に設けられた装置側端子は、装置側斜面708側でカートリッジ20の回路基板400と接触する。
端子台700の装置側斜面708がX軸およびY軸に平行な平面(壁部601)に対して傾斜する角度は、カートリッジ20のカートリッジ側斜面408がインク供給口280の開口面288に対して傾斜する角度φと同じである。そのため、カートリッジ20がホルダー600に装着された装着状態で、端子台700の装置側斜面708は、回路基板400のカートリッジ側斜面408と平行になる。
本実施形態では、端子台700の装置側斜面708には、カートリッジ20における回路基板400の9つのカートリッジ側端子431〜439に対応して、9つの装置側端子731〜739が設けられている。装置側端子の個数は、9つに限るものではなく、任意の個数に変更可能であり、9つ以下であっても良いし、9つ以上であっても良い。
図17は、端子台700の詳細構成を示す斜視図である。図17には、ホルダー600から取り外した状態の端子台700を図示した。端子台700における9つの装置側端子731〜739は、カートリッジ20の回路基板400における9つのカートリッジ側端子431〜439にそれぞれ対応する位置に設けられている。端子台700の装置側斜面708における−Z軸方向側には、5つの装置側端子735〜739がY軸に沿って並設されており、これら5つの装置側端子735〜739よりも+Z軸方向側には、4つの装置側端子731〜734がY軸に沿って並設されている。
装置側端子731〜739は、電気伝導性を有する弾性部材で形成されている。装置側端子731〜739は、装置側斜面708からそれぞれ突出しており、カートリッジ20がホルダー600に装着された装着状態で、カートリッジ20のカートリッジ側斜面408を押し返す方向(+Z軸方向側を向く方向)に付勢力Ptを発生させる。
本実施形態では、9つの装置側端子731〜739のうちY軸方向の中央に位置する装置側端子737は、接地ライン(図示しない)に電気的に接続されている「接地端子」、すなわち「装置側接地端子」である。装置側接地端子である装置側端子737は、カートリッジ20がホルダー600に装着された装着状態で、カートリッジ側接地端子であるカートリッジ側端子437(図12)に接触する。
本実施形態では、装置側端子737が装置側斜面708から突出する高さは、他の装置側端子731〜736,738,739よりも高い。これによって、装置側端子737は、他の装置側端子731〜736,738,739よりも先にカートリッジ側接地端子であるカートリッジ側端子437(図12)に接触する。
図13〜図16の説明に戻り、本実施形態では、端子台700の+Y軸方向側および−Y軸方向側には、一対の第1係合部632が設けられている。一対の第1係合部632は、それぞれZ軸およびX軸に平行な面を有し、カートリッジ20をホルダー600に装着する際にカートリッジ20の一対の第1係合面230に係合するように構成されている。これによって、端子台700に対する回路基板400の位置ズレを防止することができ、装置側端子731〜739とカートリッジ側端子431〜439との位置ズレを防止することができる。
本実施形態では、端子台700の+Y軸方向側および−Y軸方向側であって、一対の第1係合部632の内側には、一対の第2係合部634が設けられている。一対の第2係合部634は、それぞれZ軸およびX軸に平行な面を有し、カートリッジ20をホルダー600に装着する際にカートリッジ20の一対の第2係合面240に係合するように構成されている。これによって、端子台700に対する回路基板400の位置ズレを防止することができ、装置側端子731〜739とカートリッジ側端子431〜439との位置ズレを防止することができる。
本実施形態では、端子台700の−Z軸方向側の端部に隣接して嵌合部636が設けられている。嵌合部636は、カートリッジ20をホルダー600に装着する際にカートリッジ20の一対の突出部250の間に嵌合するように構成されている。これによって、端子台700に対する回路基板400の位置ズレを防止することができ、装置側端子731〜739とカートリッジ側端子431〜439との位置ズレを防止することができる。
ホルダー600の壁部603側には、レバー800が回動可能に設けられている。レバー800は、ホルダー600における5つの壁部601,603,604,605,606とは別体の部材で構成されている。レバー800は、樹脂製であり、本実施形態では、ポリプロピレン(PP)よりも高い剛性を得ることが可能な材料(例えば、ポリアセタール(POM))で形成されている。
図16に示すように、レバー800は、装置側端子731〜739よりも+Z軸方向側かつ+X軸方向側に回動中心800cを有する。レバー800には、操作部830および第1の装置側係止部810が形成されている。操作部830は、回動中心800cよりも+Z軸方向側に位置し、第1の装置側係止部810は、回動中心800cよりも−Z軸方向側に位置する。
レバー800の+Z軸方向側の端部には、操作部830が設けられている。操作部830は、ユーザーによる−X軸方向側に向かう操作力Prを壁部603側(+X軸方向側)から−X軸方向側に受け付け可能に構成されている。ユーザーによる操作力Prが操作部830に付与されると、レバー800は、回動中心800cを中心として+Y軸方向側から見て反時計回りに回動する。
レバー800の−Z軸方向側の端部には、第1の装置側係止部810が設けられている。第1の装置側係止部810は、回動中心800cよりも−Z軸方向側かつ−X軸方向側に位置する第1係止位置810Lで第1のカートリッジ側係止部210を係止可能に構成されている。本実施形態では、第1の装置側係止部810は、第1装置側係止面811および第2装置側係止面813を有する。第1装置側係止面811は、第1係止位置810Lに位置する状態で−Z軸方向を向く平面であり、第1のカートリッジ側係止部210の第1係止面211に係合可能に構成されている。第2装置側係止面813は、第1係止位置810Lに位置する状態で−X軸方向を向く平面であり、第1のカートリッジ側係止部210の第3係止面213に係合可能に構成されている。
本実施形態では、レバー800は、カートリッジ20が装着されていない状態で、第1の装置側係止部810の位置が第1係止位置810Lとなるように構成されている。他の実施形態では、レバー800の待機位置は、第1の装置側係止部810が第1係止位置810Lよりも−X軸方向側となる位置であっても良いし、第1の装置側係止部810が第1係止位置810Lよりも+X軸方向側となる位置であっても良い。
本実施形態では、レバー800の回動中心800cよりも−Z軸方向側かつ+X軸方向側に、弾性部材682が設けられている。弾性部材682は、第1の装置側係止部810が第1係止位置810Lよりも+X軸方向側に移動する回転方向にレバー800が回動する際に、レバー800に当接して弾性変形することによって、レバー800を押し戻す方向にレバー800を付勢する。
図18は、レバー800の詳細構成を示す斜視図である。図18に示すように、レバー800の+Z方向側の端部には操作部830が形成されており、回動中心800cを挟んだ操作部830とは反対側の端部、つまり−Z方向側の端部には第1の装置側係止部810が形成されている。
第1の装置側係止部810には、相互に交わる2つの面である第1装置側係止面811および第2装置側係止面813が形成されている。第2装置側係止面813は、第1装置側係止面811よりも回動中心800cから離れた位置にあり、レバー800の−Z方向側の末端部818に隣接する。
本実施形態では、第1装置側係止面811と第2装置側係止面813とが交わる位置には、第1装置側係止面811および第2装置側係止面813が第1のカートリッジ側係止部210に係合し易いように溝部815が形成されている。本実施形態では、溝部815は、第1装置側係止面811を延長して第2装置側係止面813側を切り欠いた形状である。
レバー800は、Y軸方向において対峙する一対の壁部860を有する。一対の壁部860は、レバー800−X軸方向側の面に立設されている。一対の壁部860は、操作部830から第1の装置側係止部810との間に、+Z方向の端部から−Z方向の端部に亘って形成されている。一対の壁部860の間のY軸方向の距離は、カートリッジ20における第1のカートリッジ側係止部210のY軸方向の長さよりも大きい。本実施形態では、一対の壁部860の外側面、つまり+Y軸方向側の壁部の+Y軸方向側の面と−Y軸方向側の壁部の−Y軸方向側の面は、レバー800の両側面の一部を構成する。
一対の壁部860の間には、操作部830から第1の装置側係止部810に向けて順に、平面822および傾斜面824が形成されている。本実施形態では、平面822は、第2装置側係止面813と平行な平面であり、傾斜面824は、平面822に繋がり、平面822から第1の装置側係止部810に向けて徐々に−X軸方向に立ち上がるように傾斜した平面である。本実施形態では、傾斜面824と第1装置側係止面811との間には、傾斜面824よりも傾斜を緩やかにした面端部828が形成されている。一対の壁部860、平面822、傾斜面824、面端部828は、カートリッジ20をホルダー600に装着する際、および、カートリッジ20をホルダー600から取り外す際の、案内部としての機能を有する。カートリッジ20の着脱の際、一対の壁部860によって第1のカートリッジ側係止部210のY軸方向の動きが制限され、平面822、傾斜面824、面端部828によって、第1のカートリッジ側係止部210のX軸方向への動きが制限されることで、カートリッジ20をホルダー600内の正しい装着位置へ、円滑に導くことができ、カートリッジ20をホルダー600から円滑に取り外すことが可能となる。他の実施形態では、平面822、傾斜面824および面端部828に代えて、一対の壁部860の間に、操作部830から第1の装置側係止部810にかけて滑らかな曲面を形成しても良い。
本実施形態では、レバー800の乗り上げを防止するためにカートリッジ20に形成されている延長面218を逃がすために、延長面218の位置に対応する傾斜面824の一部を切り欠いた切欠面870が形成されている。本実施形態では、切欠面870は、第2装置側係止面813と平行な平面であり、溝部815から回動中心800cに向けて形成されている。
本実施形態では、第1の装置側係止部810の背面側には当接部880が形成されている。当接部880は、カートリッジ20をホルダー600に装着する際、およびカートリッジ20をホルダー600から取り外す際、一時的に、ホルダー600に設けられている弾性部材682に当接可能に構成されている。
一対の壁部860の外側面には、回動中心800cの位置を確定する一対の回動軸部850が形成されている。一対の回動軸部850は、レバー800のZ軸方向の長さのほぼ中間の位置に設けられている。一対の回動軸部850のうち、一方は、−Y軸方向側の壁部の−Y軸方向側の表面から−Y軸方向に突出し、他方は、+Y軸方向側の壁部の+Y軸方向側の表面から+Y軸方向に突出して設けられている。本実施形態では、一対の回動軸部850は、扇状断面を有する軸であり、内側円弧面852と、外側円弧面854と、半径側面856,858とを有する。内側円弧面852は扇形の中心角に対応する部位の側面であり、外側円弧面854は扇形の円弧に対応する部位の側面である。内側円弧面852および外側円弧面854をそれぞれ構成する円弧は共に回動中心800cを中心とする。半径側面856,858は扇形の半径に対応する部位の側面である。半径側面856は第1装置側係止面811にほぼ沿った平面であり、半径側面858は第2装置側係止面813にほぼ沿った平面である。
図19は、ホルダー600に対するレバー800の組み付け構造を示す分解斜視図である。レバー800は、第1の保持部材650および第2の保持部材680に保持されることによって、ホルダー600に対して回動可能に組み付けられている。図19には、第1の保持部材650および第2の保持部材680の全体ではなく、1つのレバー800を保持するための一部分の構成を図示した。第1の保持部材650および第2の保持部材680は樹脂製であり、本実施形態では、ポリプロピレン(PP)よりも高い剛性を得ることが可能な材料(例えば、ABS樹脂)で形成されている。
第1の保持部材650は、一対の立設部651と、貫通孔658とを備える。本実施形態では、第1の保持部材650には、第1係合部632、第2係合部634、および嵌合部636が形成されている。第1の保持部材650における一対の立設部651は、レバー800を間に受け入れ可能な間隔を相互に置いて立設されている。一対の立設部651には、レバー800の回動軸部850を受け入れ可能な軸受部654がそれぞれ形成されている。本実施形態では、一対の立設部651には、第2の保持部材680に係合する係合孔656がそれぞれ形成されている。
第2の保持部材680は、一対の立設部681と、貫通孔688とを備える。本実施形態では、第2の保持部材680には、弾性部材682が形成されている。第2の保持部材680における一対の立設部681は、第1の保持部材650における一対の立設部651と同じ間隔を相互に置いて立設されている。一対の立設部681には、レバー800の回動軸部850が軸受部654から外れないように軸受部654を封鎖する封鎖面684がそれぞれ形成されている。本実施形態では、一対の立設部681には、第1の保持部材650の係合孔656に係合する係合凸部686がそれぞれ形成されている。
レバー800をホルダー600に組み付ける際には、第1の保持部材650における一対の立設部651の各軸受部654に、レバー800の各回動軸部850をそれぞれ嵌め込むことによって、レバー800を一対の立設部651の間に設置する。その後、第1の保持部材650と第2の保持部材680とを係合させることによって、レバー800の回動軸部850が嵌め込まれた各軸受部654を、第2の保持部材680の各封鎖面684で封鎖する。その後、貫通孔658,688を用いて第1の保持部材650および第2の保持部材680をホルダー600にネジで共締めすることによって、レバー800をホルダー600に対して回動可能に組み付けることができる。
図13〜図16の説明に戻り、ホルダー600の壁部604には、第2の装置側係止部620が設けられている。第2の装置側係止部620は、インク供給管640よりも+Z軸方向側かつ−X軸方向側に位置する第2係止位置620Lで第2のカートリッジ側係止部220に係止可能に構成されている。
本実施形態では、第2の装置側係止部620は、第2のカートリッジ側係止部220を受け入れ可能な大きさの貫通孔であり、装置側係止面622を有する。装置側係止面622は、−Z軸方向を向いた平面であり、第2のカートリッジ側係止部220の第2係止面222に係合可能に構成されている。装置側係止面622の+X軸方向側の端部624は、カートリッジ20を脱着する際に、第2のカートリッジ側係止部220に係合することによってホルダー600対するカートリッジ20の回転支点となる。
ホルダー600の壁部604には、第2の装置側係止部620よりも+Z軸方向側に、空間部670が設けられている。空間部670は、カートリッジ20の脱着時に第2の装置側係止部620を回転支点としてカートリッジ20を回転させるための空間を壁部604に形成する。本実施形態では、空間部670は、+Z軸方向に向かって壁部604を−X軸方向に段階的に低くした段差部である。他実施形態では、空間部670は、+Z軸方向に向かって壁部604を−X軸方向に連続的に低くした傾斜面であっても良い。
図16に示すように、第1係止位置810Lに位置する第1の装置側係止部810の第1装置側係止面811は、第2の装置側係止部620の装置側係止面622よりも距離Dzを置いて、−Z軸方向側、すなわち、壁部601側に設けられている。言い換えると、装置側係止面622は、第1係止位置810Lに位置する第1装置側係止面811よりも距離Dzを置いて、+Z軸方向側、すなわち、プリンター50の使用状態でホルダー600の上方側に設けられている。これによって、図6を用いて説明したように、カートリッジ20がホルダー600に装着された装着状態で、第1のカートリッジ側係止部210と第1の装置側係止部810との係止を強くすることができる。
A−5.ホルダーに対するカートリッジの脱着動作:
図20、図21および図22は、ホルダー600に対するカートリッジ20の着脱動作を示す説明図である。図20〜図22には、図5に対応する位置で切断したカートリッジ20およびホルダー600を図示した。
カートリッジ20をホルダー600に装着する際には、図20に示すように、カートリッジ20を第2のカートリッジ側係止部220側からホルダー600の内部へと−Z軸方向に移動させつつ、第2のカートリッジ側係止部220を第2の装置側係止部620に挿入する。図20に示す状態では、カートリッジ20における第1のカートリッジ側係止部210は、ホルダー600側のレバー800にある第1の装置側係止部810の+Z軸方向側に位置する。
次に、図20に示す状態から、第2の装置側係止部620に挿入されている第2のカートリッジ側係止部220を回転支点として、+Y軸方向側から見て時計回りに、つまり、第3面203側をホルダー600の壁部601側に向って押し込むようにカートリッジ20を回転させる。すると、図21に示すように、第1のカートリッジ側係止部210は、レバー800における一対の壁部860の間に案内されることでY軸方向の動きを制限されながら、および一対の壁部860の間における平面822と接触することでX軸方向の動きを制限されながら、−Z軸方向に進む。
図21に示す状態からカートリッジ20の第3面203側を押し込むように更に回転させる。すると、第1のカートリッジ側係止部210がさらに−Z軸方向に押し込まれ、レバー800の平面822上から傾斜面824上に進む。そして、図22に示すように、+Y軸方向側から見て反時計回りにレバー800が回転することによって、レバー800の傾斜面824はZ軸と平行な状態に近づく。図22に示す状態で、第1のカートリッジ側係止部210は、Z軸と平行な状態に近づいた傾斜面824上を−Z軸方向に進む。その際、本実施形態では、レバー800の背面の当接部880は、弾性部材682に当接して、+Y軸方向側から見て時計回りにレバー800を押し戻す付勢力を弾性部材682から受ける。この付勢力は、−Z軸方向の成分を含む外力である。つまり、レバー800の回動領域は、弾性部材682によって制限される。レバー800が弾性部材682に当接して付勢される状態は、図22に示す状態から、カートリッジ20をさらに押し込んで、第1のカートリッジ側係止部210がレバー800の傾斜面824を乗り越えるまで維持される。
図22に示す状態からカートリッジ20を更に回転させて、第1のカートリッジ側係止部210がレバー800の傾斜面824を通過し面端部828を乗り越えると、図5に示すように、レバー800が元の位置に復帰し、第1の装置側係止部810は、第1係止位置810Lに移動して第1のカートリッジ側係止部210を係止する。また、カートリッジ20のインク供給口280がインク供給管640と接続し、第2のカートリッジ側係止部220と第2の装置側係止部620とが係合する。これによって、ホルダー600に対するカートリッジ20の装着が完了する。また、設計された装着位置に正しくカートリッジ20が装着されることで、カートリッジ側端子431〜439と装置側端子731〜739とが電気的に接続され、カートリッジ20とプリンター50との間で信号の伝達が行われる。
また、本実施形態では、第1のカートリッジ側係止部210がレバー800の傾斜面824を通過し面端部828を乗り越えると同時に、弾性部材682がレバー800の背面の当接部880から離れる。これによって、カートリッジ20をホルダー600に装着する際にクリック感をユーザーに与えることができる。
また、本実施形態では、カートリッジ20がホルダー600に装着された状態では、弾性部材682はレバー800に当接しておらず外力を加えていない。これによって、弾性部材682によって常時付勢されることによるレバー800の変形を防止することができる。
他の実施形態では、カートリッジ20がホルダー600に装着された状態においても弾性部材682がレバー800と当接し、−X軸方向の成分を含む方向にレバー800を付勢するようにしても良い。これによって、カートリッジ20をホルダー600に装着する際にクリック感をユーザーにより強く与えることができる。他の実施形態では、弾性部材682を省略しても良い。これによって、部品点数を削減することができる。弾性部材682を省略した実施形態については、第2実施形態で説明する。
図23および図24は、カートリッジ20がホルダー600に装着された状態におけるレバー800付近の構造を示す断面図である。図23および図24に示すレバー800の状態は、第1係止位置810Lで第1の装置側係止部810が第1のカートリッジ側係止部210に係止している状態である。
図23には、ホルダー600においてカートリッジ20を係止するレバー800を、第1装置側係止面811を通りX軸およびY軸に平行な平面で切断した断面を図示した。図24には、ホルダー600においてカートリッジ20を係止するレバー800を、切欠面870を通りX軸およびY軸に平行な平面で切断した断面を図示した。図23および図24には、レバー800の回動軸部850を投影した形状を破線で図示し、軸受部654を投影した形状を二点鎖線で図示した。
図23および図24に示すように、回動軸部850の内側円弧面852および外側円弧面854が軸受部654に接触することによって、レバー800の回動中心800cの位置が確定する。+Y軸方向側から見て反時計回りにレバー800が回転し続けると、回動軸部850の半径側面856が軸受部654に当接することによって、+Y軸方向側から見て反時計回りのレバー800の回転が制限される。+Y軸方向側から見て時計回りにレバー800が回転し続けると、回動軸部850の半径側面858が軸受部654に当接することによって、+Y軸方向側から見て時計回りのレバー800の回転が制限される。これによって、レバー800の安定した回動を実現し、設計された装着位置にカートリッジ20を安定した状態で保持することができる。
図23および図24に示すように、第1の装置側係止部810における第1装置側係止面811は、第1のカートリッジ側係止部210における第1係止面211に係合する。これによって、カートリッジ20がホルダー600に装着された状態において、カートリッジ20の+Z軸方向への移動が制限される。本実施形態では、第1のカートリッジ側係止部210との係止の着脱を円滑にするために、第1装置側係止面811は、X軸およびZ軸に平行な断面が回動中心800cを中心とする円弧となる曲面として形成されている。
図23および図24に示すように、第1の装置側係止部810における第2装置側係止面813は、第1のカートリッジ側係止部210における第3係止面213に係合する。これによって、カートリッジ20がホルダー600に装着された状態において、カートリッジ20の+X軸方向への移動が制限される。本実施形態では、第2装置側係止面813は、第3係止面213に係合する状態でY軸およびZ軸に平行になる平面として形成されている。
図24に示すように、第1の装置側係止部810が第1のカートリッジ側係止部210に係止した状態では、傾斜面824を切り欠いた切欠面870上の空間に、延長面218を含む第1のカートリッジ側係止部210の一部が格納される。これによって、第1の装置側係止部810と第1のカートリッジ側係止部210との係止が延長面218によって阻害されてしまうことを防止可能である。
図25は、図24の状態から−Z軸方向にカートリッジ20が移動した様子を示す説明図である。図25は、ユーザーが、カートリッジ20をホルダー600に装着する際に、図5に示す状態よりも、さらに−Z軸方向へカートリッジ20を押し込み過ぎたような状態を想定している。本実施形態では、図25に示すように、第1の装置側係止部810が第1のカートリッジ側係止部210に係止する状態よりも更に−Z軸方向にカートリッジ20が移動した場合、レバー800側の第2装置側係止面813は、第3係止面213を+Z軸方向側に延長した延長面218に係合する。これによって、レバー800の−Z方向側の末端部818がカートリッジ20側の第1係止面211に乗り上げてしまうことを防止することができる。本実施形態では、図25の状態から、−Z軸方向にカートリッジ20を移動させる力を除去すると、カートリッジ20およびレバー800は図24の状態に復帰する。
図26は、延長面218を省略した形態において図23に相当する状態から−Z軸方向にカートリッジ20が移動した様子を示す説明図である。図26も、図25と同様、ユーザーが、カートリッジ20をホルダー600に装着する際に、−Z軸方向へカートリッジ20を押し込み過ぎたような状態を想定している。図26に示すように、延長面218を省略した形態では、レバー800側の第2装置側係止面813がカートリッジ20側の第3係止面213を乗り越えると、+Y軸方向側見て時計回りにレバー800が回転し、レバー800の−Z方向側の末端部818がカートリッジ20側の第1係止面211に乗り上げてしまう。図26の形態では、−Z軸方向にカートリッジ20を移動させる力を除去しても図26の状態が維持されてしまう。
次に、カートリッジ20をホルダー600から取り外す際の動作を説明する。ホルダー600からカートリッジ20を取り外す際には、図5に示す状態から、ユーザーがレバー800の操作部830を−X軸方向に押す。つまり、レバー800の操作部830に−X軸方向側に向かう操作力Prを付与する。すると、レバー800は、回動中心800cを中心に、第1の装置側係止部810を+X軸方向成分を含む方向に移動させる。これによって、第1のカートリッジ側係止部210と第1の装置側係止部810との係合が解除され、図22に示す状態になる。その後、ユーザーは、突出部260を摘むなどして、第2の装置側係止部620に挿入されている第2のカートリッジ側係止部220を回転支点として、+Y軸方向側から見て反時計回りにカートリッジ20を回転させながら、カートリッジ20の第3面203側を+Z軸方向に移動させることによって、図21の状態、さらには図20の状態とする。最後に、カートリッジ20の第3面203側をユーザーが摘んで第2のカートリッジ側係止部220を第2の装置側係止部620から引き抜くことで、ホルダー600からカートリッジ20を取り外すことができる。
A−6.効果:
以上説明した第1実施形態の印刷材供給システム10によれば、図25に示すように、第1のカートリッジ側係止部210における延長面218が、レバー800の末端部818による第1係止面211との係合を防止する係合防止部として機能するため、第1係止面211に対するレバー800の末端部818の乗り上げを防止し、設計された装着位置にカートリッジ20を装着することができる。
また、図25に示すように、延長面218は、レバー800の末端部818が越えることのない位置にまで第1係止面211から+Z軸方向に十分に形成されているため、言い換えると、第1係止面211を+Z軸方向側に投影した領域への末端部818の移動を阻止する形状を有しているため、第1係止面211に対する末端部818の乗り上げを未然に防ぐことができる。
また、図25に示すように、延長面218は、第3係止面213から連続する面として形成されているため、言い換えると、第1係止面211の+Z軸方向側に移動した末端部818を、第1係止面211の+Z軸方向側に案内する形状を有しているため、正常な位置から外れたレバー800を正常な位置に戻すことができる。
また、係合防止部として機能する延長面218は、第1のカートリッジ側係止部210と一体的に形成されているため、カートリッジ20の構成を簡素化することができる。
また、係合防止部として機能する延長面218は、第1のカートリッジ側係止部210における第1係止面211の+X軸方向側に形成されている端面である第3係止面213の一部を、+Z軸方向に延長した面であることから、係合防止部を容易に形成することができる。
また、図24に示すように、レバー800は、第1の装置側係止部810が第1のカートリッジ側係止部210に係止する際に延長面218に対応するレバー800の部位を切り欠いた切欠部である切欠面870を有するため、第1の装置側係止部810が第1のカートリッジ側係止部210に係止する際に、レバー800に対する延長面218の干渉を回避することができる。
また、カートリッジ20がホルダー600に装着された状態で、ホルダー600からカートリッジ20に対する付勢力Ps,Ptが、第1のカートリッジ側係止部210と第1の装置側係止部810との係止を強くする方向(+X軸成分および+Z軸成分を含む方向)に作用するため、設計された装着位置からカートリッジ20が外れてしまうことを防止し、設計された装着位置にカートリッジ20を安定した状態で保持することができる。
また、カートリッジ20側ではなくホルダー600側にレバー800が設けられているため、カートリッジ20の小型化を図ることができる。また、カートリッジ20にレバー800を設ける必要がないため、カートリッジ20の第1面201〜第8面208に採用する材料の自由度を高めることができる。
B.第2実施形態:
図27、図28,図29および図30は、第2実施形態におけるホルダー600Aに対するカートリッジ20の着脱動作を示す説明図である。第2実施形態の印刷材供給システム10Aは、レバー800を付勢する弾性部材682がホルダー600Aに設けられていない点を除き、第1実施形態と同様である。第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付すと共に、説明を省略する。カートリッジ20の構成は第1実施形態と同じである。
図27は、第1実施形態における図20の状態に対応する。図28は、第1実施形態における図21の状態に対応する。図29は、第1実施形態における図22の状態に対応する。図30は、第1実施形態における図5の状態に対応し、カートリッジ20がホルダー600Aに装着された装着状態を示す。
カートリッジ20をホルダー600Aに装着する際には、図27に示すように、カートリッジ20を第2のカートリッジ側係止部220側からホルダー600Aの内部へと−Z軸方向に移動させつつ、第2のカートリッジ側係止部220を第2の装置側係止部620に挿入する。
図27に示す状態から、第2の装置側係止部620に挿入されている第2のカートリッジ側係止部220を回転支点として、+Y軸方向側から見て時計回りにカートリッジ20を回転させると、図28に示すように、第1のカートリッジ側係止部210は、レバー800における一対の壁部860の間に案内され、一対の壁部860の間における平面822上を−Z軸方向に進む。
図28に示す状態からカートリッジ20を更に回転させて、第1のカートリッジ側係止部210がレバー800の平面822上から傾斜面824上に進むと、図29に示すように、+Y軸方向側から見て反時計回りにレバー800が回転することによって、レバー800の傾斜面824はZ軸と平行な状態に近づく。図29に示す状態で、第1のカートリッジ側係止部210は、Z軸と平行な状態に近づいた傾斜面824上を−Z軸方向に進む。
図29に示す状態からカートリッジ20を更に回転させて、第1のカートリッジ側係止部210がレバー800の傾斜面824を通過し面端部828を乗り越えると、図30に示すように、自重によりレバー800が元の位置に復帰し、第1の装置側係止部810は、第1係止位置810Lに移動して第1のカートリッジ側係止部210を係止する。これによって、ホルダー600Aに対するカートリッジ20の装着が完了する。
ホルダー600Aからカートリッジ20を取り外す際には、図30に示す状態から、レバー800の操作部830に−X軸方向側に向かう操作力Prを付与することによって、第1のカートリッジ側係止部210と第1の装置側係止部810との係合が解除され、図29に示す状態になる。その後、第2の装置側係止部620に挿入されている第2のカートリッジ側係止部220を回転支点として、+Y軸方向側から見て反時計回りにカートリッジ20を回転させながら、カートリッジ20を+Z軸方向に移動させることによって、ホルダー600Aからのカートリッジ20の取り外しが完了する。
以上説明した第2実施形態の印刷材供給システム10によれば、第1実施形態と同様に、設計された装着位置にカートリッジ20を装着することができる。
C.第3実施形態:
図31は、第3実施形態におけるカートリッジ20Aの構成を示す斜視図である。第1実施形態のカートリッジ20(図7)との違いは、カートリッジ20Aの寸法と、カートリッジ20Aがホルダー(図示省略)に装着される方向が鉛直方向でなく水平方向である点である。その他のカートリッジの構成については第1実施形態と同様の構成であるため、同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。また、カートリッジ20Aの寸法や装着方向が第1実施形態と異なるため、ホルダーのサイズやプリンター内に設置する位置や向きも第1実施形態のプリンターとは異なるが、ホルダーの構成要素については第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。第1実施形態のカートリッジ20がオンキャリッジタイプや小型のプリンターにより適した形態である一方、第3実施形態のカートリッジ20Aはオフキャリッジタイプや大型のプリンターにより適した形態である。ただし、いずれのカートリッジも、オンキャリッジタイプであるかオフキャリッジタイプであるか、あるいは大型であるか小型であるかを問わず、あらゆるタイプのプリンターに適用することが可能である。
図31に示すように、第3実施形態のカートリッジ20Aは、第3面203〜第6面206を+Z軸方向に延長した形状を有する点を除き、第1実施形態と同様である。第3実施形態では、カートリッジ20は、Z軸方向の長さ、X軸方向の長さ、Y軸方向の長さの順に大きい。第3実施形態では、カートリッジ20が着脱されるZ軸方向は水平方向である。そして、重力方向(鉛直方向)の下方から上方に向かう方向が+X軸方向となる向きで、ホルダー600に対するカートリッジ20の脱着が行われる。
第3実施形態も、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
D.変形例:
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
D−1.第1のカートリッジ側係止部の変形例:
図32は、第1のカートリッジ側係止部210の変形例を示す説明図である。図32には、6つの異なる形状の第1のカートリッジ側係止部210A〜Fを図32(A)〜図32(F)にそれぞれ図示した。
図32(A)における第1のカートリッジ側係止部210Aは、傾斜面216を省略した点を除き、第1実施形態と同様である。図32(B)における第1のカートリッジ側係止部210Bは、−Y軸方向側に延長面218を形成した点を除き、第1実施形態と同様である。図32(C)における第1のカートリッジ側係止部210Cは、Y軸方向の中央に延長面218を形成した点を除き、第1実施形態と同様である。
図32(D)における第1のカートリッジ側係止部210Dは、−Z軸方向側の端部の全域に傾斜面216を形成した点を除き、第1実施形態と同様である。図32(E)における第1のカートリッジ側係止部210は、第1係止面211および第3係止面313が形成されている凸部と、延長面218が形成されている凸部とを別体とした点を除き、第1実施形態と同様である。図32(F)における第1のカートリッジ側係止部210は、傾斜面216を省略した点を除き、図32(E)の実施形態と同様である。
図32(A)、図32(D)、図32(E)および図32(F)の実施形態に対応するレバー800は、第1実施形態と同様である。図32(B)および図32(C)の実施形態に対応するレバー800は、切欠面870の位置が異なる点を除き第1実施形態と同様である。
図39は、他の実施形態におけるホルダー600に回動可能に組み付けられたレバー800を示す断面図である。図39には、第1実施形態の図24に対応して、他の実施形態におけるホルダー600においてカートリッジ20を係止するレバー800を、切欠面870を通りX軸およびY軸に平行な平面で切断した断面を図示した。図39の実施形態では、第1のカートリッジ側係止部210の延長面218が、+Z軸方向側に向かうに従って+X軸方向側に湾曲している点を除き、第1実施形態と同様である。図39の実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1係止面211に対するレバー800の末端部818の乗り上げを防止し、設計された装着位置にカートリッジ20を装着することができる。
図40は、他の実施形態におけるホルダー600に回動可能に組み付けられたレバー800を示す断面図である。図40には、第1実施形態の図24に対応して、他の実施形態におけるホルダー600においてカートリッジ20を係止するレバー800を、切欠面870を通りX軸およびY軸に平行な平面で切断した断面を図示した。図40の実施形態では、第1のカートリッジ側係止部210の延長面218が、+Z軸方向および+X軸方向に向けて凸状の曲面である点を除き、第1実施形態と同様である。図40の実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1係止面211に対するレバー800の末端部818の乗り上げを防止し、設計された装着位置にカートリッジ20を装着することができる。
D−2.第2のカートリッジ側係止部および第2の装置側係止部の変形例:
図33は、第2のカートリッジ側係止部220および第2の装置側係止部620の変形例を示す説明図である。3つの異なる形態の第2のカートリッジ側係止部220および第2の装置側係止部620を図33(A)〜図33(C)にそれぞれ図示した。
図33(A)の変形例は、第2のカートリッジ側係止部220Aが凹部として形成されており、第2の装置側係止部620Aが凸部として形成されている点を除き、第1実施形態と同様である。
図33(B)の変形例は、第2のカートリッジ側係止部220の形状は第1実施形態と同様であるが、第2の装置側係止部620Bが凸部として形成されている。つまり、第2の装置側係止部620Bが凸部として形成されている点を除き、第1実施形態と同様である。
図33(C)の変形例は、第2のカートリッジ側係止部220Cが−Z軸方向側が−X軸方向側に高い段差として形成されており、第2の装置側係止部620Cが+Z軸方向側が+X軸方向側に高い段差として形成されている点を除き、第1実施形態と同様である。
D−3.カートリッジの外観の変形例:
図34は、カートリッジの外観の変形例を示す説明図である。図34には、カートリッジの外観についての6つの異なる変形例を図34(A)〜図34(F)にそれぞれ図示した。第1実施形態のカートリッジ20と同様の構成については、同一符号を付すと共に、説明を省略する。
図34(A)のカートリッジ20aの外殻は、楕円形または長円形の側面を有している。カートリッジ20aの正面側には、第1のカートリッジ側係止部210および回路基板400が設けられている。カートリッジ20aの底面側には、インク供給口280が形成されている。カートリッジ20aの背面側には、第2のカートリッジ側係止部220が形成されている。カートリッジ20aを正面側から見ると、カートリッジ20aは一定の幅を有している。
図34(B)のカートリッジ20bは、第3面203の−Z軸方向側に第8面208が繋がっていない点を除き、第1実施形態のカートリッジ20と同様である。
図34(C)のカートリッジ20cは、第8面208を第1面201まで延長して第7面207を省略した点を除き、第1実施形態のカートリッジ20と同様である。
図34(D)のカートリッジ20dは、第2面202と第3面203との交わる部位を切り欠いた形状を有する点、および第1面201が第8面208へと傾斜させて第7面207を省略した点を除き、第1実施形態のカートリッジ20と同様である。
図34(E)のカートリッジ20eは、第8面208にバネを介して回路基板400が取り付けられている点を除き、第1実施形態のカートリッジ20と同様である。
図35(F)に示すカートリッジ20fは、第8面208に相当する面208fが可動に構成されており、この面208fに回路基板400が設けられている点を除き、第1実施形態のカートリッジ20と同様である。
図34の各変形例のカートリッジ20a〜20fにはいずれも、第1のカートリッジ側係止部210、第2のカートリッジ側係止部220、インク供給口280および回路基板400の各々が、第1実施形態のカートリッジ20に対応する位置に設けられている。これによって、各変形例のカートリッジ20a〜20fはいずれも、第1実施形態のカートリッジ20との互換性を有する。
図34の各変形例から理解できるように、カートリッジの外形の形状には、種々の変形例が考えられる。カートリッジの外形の形状が略直方体以外の形状を有している場合にも、例えば、図34(A)および図34(D)に点線で示したように、略直方体の6つの面、すなわち、図7および図8に示した第1面(底面)201、第2面(上面)202、第3面(正面)203、第4面(背面)204、第5面(左側面)205、および第6面(右側面)206を、仮想的に考えることが可能である。本明細書では、「面」(プレーン)という用語を、このような仮想的な面(仮想面、非実在面とも呼ぶ)と、図7や図8に記載したような実在面と、の両方を包含した意味で使用する。また、本明細書では、「面」という用語を、平面と曲面の両方を包含した意味で使用する。
D−4.アダプターを使用したカートリッジ:
図35は、アダプター299を使用したカートリッジ20iの構成を示す斜視図である。カートリッジ20iは、収容部材200iと、アダプター299とに分離可能に構成されている。収容部材200iは、印刷材を内部に収容する印刷材収容部200を有する。印刷材収容部200から印刷材が無くなった場合、収容部材200iを新しいものに交換するか、印刷材収容部200に印刷材を補給することが可能である。収容部材200iの交換や、印刷材の補給を行う際には、アダプター299を再利用することが可能である。図35のカートリッジ20iは、図7に示した第1実施形態のカートリッジ20と互換性を有する。
カートリッジ20iの外殻22iは、収容部材200iの外殻と、アダプター299の外殻との組み合わせによって構成される。収容部材200iは、印刷材収容部200に加え、インク流路282および発泡樹脂体284を有する。
カートリッジ20iの収容部材200iは、カートリッジ20iの第2面202に相当する第2面202iを備える。収容部材200iは、カートリッジ20iの第1面201、第3〜第8面203〜208にそれぞれ対応する第1面201i、第3面203i、第4面204i、第5面(図示省略)、第6面206i、第7面207i、および第8面208iを備える。
第1面201iと第2面202iは、Z軸方向において対向しており、第1面201iが−Z軸方向側、第2面202iが+Z軸方向側に位置する。第3面203iと第4面204は、X軸方向において対向しており、第3面203iが+X軸方向側、第4面204iが−X軸方向側に位置する。第5面(図示省略)と第6面206iは、Y軸方向において対向しており、第5面(図示省略)が+Y軸方向側、第6面206iが−Y軸方向側に位置する。第7面207iおよび第8面208iは、第1面201iと第3面203iとを繋ぐ接続面を形成する。
第7面207iは、第1面201iと直角に交わる面である。第7面207iは、Y軸およびZ軸に平行な面(YZ平面)である。段差面としての第7面207iは、第1面201iに対し立設された面である。すなわち、第7面207iは第1面201iから+Z軸方向に延びる面である。第7面207iは、第8面208iに対して−X軸方向側かつ−Z軸方向側に位置する。
第8面208iは、第7面207iと第3面203iとを繋ぐ面である。第8面208iは、+X軸方向と−Z軸方向の成分を含む方向を向いて傾斜した斜面である。第8面208iは、第1面201iおよび第3面203iに対して傾斜した面である。第8面208iは、第5面(図示省略)および第6面206iと直角に交わる面である。第8面208iは、XY平面およびYZ平面に対して傾斜しており、XZ平面に対して直角に交わる。
カートリッジ20iのアダプター299は、カートリッジ20iの第1面201、第3面203、第4面204、第5面205、第6面206、第7面207、および第8面208にそれぞれ相当する面を備える。アダプター299の面のうち、カートリッジ20iの第2面202に相当する面は、開口となっている。アダプター299の内部には、収容部材200iを受け入れる空間が形成されている。アダプター299の第1面201には、インク供給口280が設けられている。
図35のカートリッジ20iの構成は、上述したように、収容部材200iとアダプター299とに分離可能である点を除き、変形例を含め図7に示した第1実施形態のカートリッジ20と同様である。なお、他の実施形態や他の変形例において、図35のカートリッジ20iのように、収容部材とアダプターとに分離可能な構成を適用しても良い。なお、図35のカートリッジ20iにおける各部の寸法や比率は、第1実施形態と異なる部位もあるが、第1実施形態と同様の寸法や比率にしても良い。
図36は、アダプターを使用したカートリッジ20jの構成を示す斜視図である。カートリッジ20jは、収容部材200jと、アダプター299jとに分離可能に構成されている。収容部材200jは、印刷材を内部に収容する印刷材収容部200を有する。印刷材収容部200から印刷材が無くなった場合、収容部材200jを新しいものに交換するか、印刷材収容部200に印刷材を補給することが可能である。収容部材200jの交換や、印刷材の補給を行う際には、アダプター299jを再利用することが可能である。図36のカートリッジ20jは、図7に示した第1実施形態のカートリッジ20と互換性を有する。
カートリッジ20jの外殻22jは、収容部材200jの外殻と、アダプター299jの外殻との組み合わせによって構成される。収容部材200jは、印刷材収容部200およびインク供給口280を有する。
カートリッジ20jの収容部材200jは、カートリッジ20jの第2面202および第6面206にそれぞれ相当する第2面202jおよび第6面206jを備える。収容部材200jは、カートリッジ20jの第1面201、第3面203、第4面204、第5面205、第7面207、および第8面208にそれぞれ対応する第1面201j、第3面203j、第4面204j、第5面(図示省略)、第7面207j、および第8面208jを備える。
第1面201jと第2面202jは、Z軸方向において対向しており、第1面201jが−Z軸方向側、第2面202jが+Z軸方向側に位置する。第3面203jと第4面204jは、X軸方向において対向しており、第3面203jが+X軸方向側、第4面204jが−X軸方向側に位置する。第5面(図示省略)と第6面206jは、Y軸方向において対向しており、第5面(図示省略)が+Y軸方向側、第6面206jが−Y軸方向側に位置する。第7面207jおよび第8面208jは、第1面201jと第3面203jとを繋ぐ接続面を形成する。
第7面207jは、第1面201jと直角に交わる面である。第7面207jは、Y軸およびZ軸に平行な面(YZ平面)である。段差面としての第7面207jは、第1面201jに対し立設された面である。すなわち、第7面207jは第1面201jから+Z軸方向に延びる面である。第7面207jは第8面208jに対して−X軸方向側かつ−Z軸方向側に位置する。
第8面208jは、第7面207jと第3面203jとを繋ぐ面である。第8面208jは、+X軸方向と−Z軸方向の成分を含む方向を向いて傾斜した斜面である。第8面208jは、第1面201jおよび第3面203jに対して傾斜した面である。第8面208jは、第5面(図示省略)および第6面206jと直角に交わる面である。第8面208jは、XY平面およびYZ平面に対して傾斜しており、XZ平面に対して直角に交わる。
カートリッジ20jのアダプター299jは、カートリッジ20jの第1面201、第3面203、第4面204、および第5面205に相当する面を備えている。アダプター299jの面のうち、カートリッジ20jの第2面202および第6面206に相当する面は、開口となっている。アダプター299jの内部には、収容部材200jを受け入れる空間が形成されている。アダプター299jは、第1面201の一部に開口を有し、その開口を通して、収容部材200jのインク供給口280を露出させてインク供給管640に接続させる。
図36のカートリッジ20jの構成は、上述したように、収容部材200jとアダプター299jとに分離可能である点を除き、変形例を含め図7に示した第1実施形態のカートリッジ20と同様である。なお、他の実施形態や他の変形例において、図36のカートリッジ20jのように、収容部材とアダプターとに分離可能な構成を適用しても良い。
なお、図36のカートリッジ20jにおける各部の寸法や比率は、第1実施形態と異なる部位もあるが、第1実施形態と同様の寸法や比率にしても良い。また、図36のカートリッジ20jでは、突出部260が省略されているが、第1実施形態と同様に突出部260を設けても良い。
図37は、アダプターを使用したカートリッジ20kの構成を示す斜視図である。カートリッジ20kは、アダプター299kと、外部タンク200Tと、チューブ200Lと、補助アダプター200Sとを備える。カートリッジ20kのアダプター299kは、変形例も含め、図36のアダプター299jと同様の構成である。
カートリッジ20kの外部タンク200Tは、印刷材を内部に収容する。本実施形態では、外部タンク200Tは、図1に示すプリンター50の外部に設置される。外部タンク200Tの印刷材は、チューブ200Lを介して補助アダプター200Sに供給される。カートリッジ20kの補助アダプター200Sは、インク供給口280に相当するインク供給口280kを有する。
外部タンク200T、補助アダプター200S、およびチューブ200Lは、インクを収容する収容部材200kとして機能する。つまり、図中に点線で示すように、図37のカートリッジ20kは、収容部材200kを有するとみなすことができる。カートリッジ20kの外殻22kは、仮想的な収容部材200kの外殻と、アダプター299kの外殻との組み合わせによって構成される。
このように、図37のカートリッジ20kは、図35のカートリッジ20iや図36のカートリッジ20jと同様に、収容部材200kとアダプター299jとに分離可能に構成されていると捉えることができる。外部タンク200Tから印刷材が無くなった場合、外部タンク200Tを新しいものに交換するか、外部タンク200Tに印刷材を補給することが可能である。外部タンク200Tの交換や、印刷材の補給を行う際には、アダプター299kを再利用することが可能である。図37のカートリッジ20kは、図7に示した第1実施形態のカートリッジ20と互換性を有する。
図37のカートリッジ20kの構成は、上述したように、収容部材200kとアダプター299kとに分離可能である点を除き、変形例を含め図7に示した第1実施形態のカートリッジ20と同様である。なお、他の実施形態や他の変形例において、図37のカートリッジ20kのように、収容部材とアダプターとに分離可能な構成を適用しても良い。
D−5.回路基板400および端子配列に関する変形例
上述した実施形態では、カートリッジ20に回路基板400が設けられているが、他の実施形態では、カートリッジ20に回路基板400が設けられていなくても良い。すなわち、第8面208上に直接カートリッジ側端子を形成しても良い。この場合、カートリッジ側斜面408は、第8面208の表面となる。
また、回路基板400上に形成されていた配線の一部や記憶装置420を、第8面208以外の面に設けても良い。たとえば、回路基板400よりも面積が大きいフレキシブルプリント基板上に、配線、記憶装置420、カートリッジ側端子431〜439を設け、フレキシブルプリント基板を折り曲げて、第8面上にカートリッジ側端子431〜439が配置されるようにし、第8面と隣接する第5面205上に配線の一部や記憶装置420が配置されるようにしても良い。
また、カートリッジ側端子および装置側端子の配列は、2列ではなく、1列であっても良いし、3列以上であっても良い。
また、カートリッジ側端子431〜439の形状や配列は、図12(A)に示したものに限られない。図38は、カートリッジ側端子の形状の変形例を示す図である。図38に示す変形例の回路基板400A,400B,400Cは、カートリッジ側端子431〜439の表面形状が異なる点を除き、図12(A)の回路基板400と同様である。
図38(A)の回路基板400Aでは、カートリッジ側端子431〜439の表面形状は、図12(A)の回路基板400のように略長方形ではなく、不規則的な多角形状である。
図38(B)の回路基板400Bでは、カートリッジ側端子431〜439の表面形状は、図12(A)の回路基板400のように略長方形ではなく、不規則的な直線や曲線で囲まれた形状である。
図38(C)の回路基板400Cでは、カートリッジ側端子431〜439の表面形状は、所定の幅を有する直線状であって、それぞれ同じ形状である。これらカートリッジ側端子431〜439は、その幅方向に一列に配列されている。カートリッジ側端子(装着検出端子)435,439は、カートリッジ側端子431〜439が並ぶ配列の両端にそれぞれ配置されている。カートリッジ側端子(装着検出端子)431は、カートリッジ側端子(装着検出端子)435とカートリッジ側端子(電源端子)436との間に配置されている。カートリッジ側端子434(装着検出端子)は、カートリッジ側端子439(装着検出端子)とカートリッジ側端子(データ端子)438との間に配置されている。
図38に示す変形例の回路基板400A,400B,400Cにおいても、カートリッジ側端子431〜439に対応する装置側端子との接触部cpの配置は、図12(A)の第1実施形態と同様である。このように、個々の端子の表面形状は、接触部cpの配置が同一である限り、種々の変形が可能である。
E.その他の変形例:
上述した実施形態における構成要素のうち、特定の目的、作用、効果に関係の無い構成要素は省略可能である。例えば、カートリッジ20の記憶装置420に代えて、他の電気デバイスを搭載しても良い。
上述した実施形態における各種の部材は、それぞれ独立した部材として構成する必要はなく、必要に応じて複数の部材を一体成形しても良い。また、上述した実施形態における1つの部材を、複数の部材の組み合わせによって構成しても良い。
本発明は、インクジェットプリンターおよびそのインクカートリッジに限らず、インク以外の他の液体を噴射する任意の液体噴射装置およびその液体収容容器にも適用することができる。例えば、以下のような各種の液体噴射装置およびその液体収容容器に適用可能である。
・ファクシミリ装置等の画像記録装置
・液晶ディスプレー等の画像表示装置用のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射装置
・有機EL(Electro Luminescence)ディスプレーや、面発光ディスプレー (Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材噴射装置
・バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する液体噴射装置
・精密ピペットとしての試料噴射装置
・潤滑油の噴射装置
・樹脂液の噴射装置
・時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置
・光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置
・基板などをエッチングするために酸性またはアルカリ性のエッチング液を噴射する液体噴射装置
・他の任意の微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッドを備える液体噴射装置
なお、「液滴」とは、液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状の液体、涙状の液体の他、糸状に尾を引く液体も含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であれば良い。例えば、「液体」は、物質が液相であるときの状態の材料であれば良く、粘性の高いまたは低い液状態の材料、および、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような液状態の材料も「液体」に含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども「液体」に含まれる。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種の液体状組成物を包含するものとする。