JP5957128B2 - 半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラム及び記録媒体 - Google Patents

半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラム及び記録媒体 Download PDF

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慎吾 野原
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義朗 ▲ひろせ▼
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Description

本発明は、半導体装置の製造方法、基板処理装置及びプログラムに関する。
半導体装置の製造工程の一工程として、基板に対して例えばシリコンを含む原料ガスや
、酸化ガス等を供給し、基板上にシリコン酸化膜等の薄膜を形成する工程が行われること
がある。その際、例えば触媒ガスを用いることで比較的低温での成膜が可能となり、半導
体装置の受ける熱履歴等を改善することができる。
基板上に上述のような薄膜を形成する際、例えば炭素等を薄膜に添加することで、フッ
酸(HF水溶液)等によるウエットエッチングに対する耐性を向上させることができる。
しかしながら、比較的低温の条件下では、膜中に充分な量の炭素が取り込まれず、高エ
ッチング耐性の薄膜が得られ難い場合がある。また、炭素が添加された薄膜はアッシング
耐性に劣ることがある。
本発明の目的は、高エッチング耐性および高アッシング耐性を有する薄膜を形成するこ
とにある。
本発明の一態様によれば、
基板に対してシリコン源および炭素源となる原料ガスまたはシリコン源となるが炭素源
とはならない原料ガスと、触媒ガスとを供給する工程と、
前記基板に対して酸化ガスと触媒ガスとを供給する工程と、
前記基板に対して炭素および窒素のうち少なくともいずれかを含む改質ガスを供給する
工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、シリコン、酸素、および炭
素を含む薄膜、またはシリコン、酸素、炭素、および窒素を含む薄膜を形成する工程を有
する半導体装置の製造方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、
基板を収容する処理室と、
前記処理室内へシリコン源および炭素源となる原料ガスまたはシリコン源となるが炭素
源とはならない原料ガスを供給する原料ガス供給系と、
前記処理室内へ酸化ガスを供給する酸化ガス供給系と、
前記処理室内へ触媒ガスを供給する触媒ガス供給系と、
前記処理室内へ炭素および窒素のうち少なくともいずれかを含む改質ガスを供給する改
質ガス供給系と、
前記処理室内の基板に対して前記原料ガスと触媒ガスとを供給する処理と、前記処理室
内の前記基板に対して前記酸化ガスと触媒ガスとを供給する処理と、前記処理室内の前記
基板に対して前記改質ガスを供給する処理と、を含むサイクルを所定回数行うことにより
、前記基板上に、シリコン、酸素、および炭素を含む薄膜、またはシリコン、酸素、炭素
、および窒素を含む薄膜を形成する処理を行うように前記原料ガス供給系、前記酸化ガス
供給系、前記触媒ガス供給系、および前記改質ガス供給系を制御する制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
処理室内の基板に対してシリコン源および炭素源となる原料ガスまたはシリコン源とな
るが炭素源とはならない原料ガスと、触媒ガスとを供給する手順と、
前記処理室内の前記基板に対して酸化ガスと触媒ガスとを供給する手順と、
前記処理室内の前記基板に対して炭素および窒素のうち少なくともいずれかを含む改質
ガスを供給する手順と、
を含むサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、シリコン、酸素、および炭
素を含む薄膜、またはシリコン、酸素、炭素、および窒素を含む薄膜を形成する手順をコ
ンピュータに実行させるプログラムが提供される。
本発明によれば、高エッチング耐性および高アッシング耐性を有する薄膜を形成するこ
とができる。
本発明の第1実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。 本発明の第1実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を図1のA−A線断面図で示す図である。 本発明の第1実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。 本発明の第1実施形態の成膜シーケンスにおける成膜フローを示す図である。 (a)は本発明の第1実施形態の成膜シーケンスにおけるガス供給のタイミングを示す図であり、(b)はその変形例を示す図である。 本発明の第1実施形態の他の変形例の成膜シーケンスにおける成膜フローを示す図であって、(a)はSiOC膜形成工程を示す図であり、(b)はSiOC膜改質工程を示す図である。 本発明の第2実施形態の成膜シーケンスにおける成膜フローを示す図である。 (a)は本発明の第2実施形態の成膜シーケンスにおけるガス供給およびRF電力供給のタイミングを示す図であり、(b)はその変形例を示す図である。 本発明の第3実施形態の成膜シーケンスにおける成膜フローを示す図である。 (a)は本発明の第3実施形態の成膜シーケンスにおけるガス供給のタイミングを示す図であり、(b)はその変形例を示す図である。 本発明の第3実施形態の他の変形例の成膜シーケンスにおける成膜フローを示す図である。 (a)は本発明の第3実施形態の他の変形例の成膜シーケンスにおけるガス供給およびRF電力供給のタイミングを示す図であり、(b)は更に他の変形例を示す図である。 本発明の第1実施形態の薄膜形成工程の触媒反応の説明図であって、(a)はステップ1aにおける説明図であり、(b)はステップ2aにおける説明図である。 触媒ガスとして用いられる各種アミンの名称、化学組成式、化学構造式、および酸解離定数を示す図である。 (a)〜(e)は、原料ガスとして用いられる各種シランの化学構造式を示す図であって、それぞれ、BTCSM,BTCSE,TCDMDS,DCTMDS,MCPMDSの化学構造式を示す図である。 本発明の実施例および比較例の各種条件下で成膜された薄膜のウエットエッチングレートを示すグラフである。
<第1実施形態>
以下に、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
(1)基板処理装置の全体構成
図1に示すように、処理炉202は加熱手段(加熱機構)としてのヒータ207を有す
る。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持さ
れることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、ガスを熱で活性化(励起)
させる活性化機構(励起部)としても機能する。
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。
反応管203は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料
からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の下方
には、反応管203と同心円状に、マニホールド(インレットフランジ)209が配設さ
れている。マニホールド209は、例えばステンレス等の金属で構成され、上端及び下端
が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の上端部は、反応管203の
下端部に係合しており、反応管203を支持するように構成されている。マニホールド2
09と反応管203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている
。マニホールド209がヒータベースに支持されることにより、反応管203は垂直に据
え付けられた状態となる。主に、反応管203とマニホールド209とにより処理容器(
反応容器)が構成される。処理容器の筒中空部には処理室201が形成されており、基板
としてのウエハ200を後述するボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列
した状態で収容可能に構成されている。
処理室201内には、ノズル249a〜249dが、マニホールド209の側壁を貫通
するように設けられている。ノズル249a〜249dには、ガス供給管232a〜23
2dが、それぞれ接続されている。ガス供給管232aには、ガス供給管232eが接続
されている。ガス供給管232cには、ガス供給管232fが接続されている。このよう
に、反応管203には、4本のノズル249a〜249dと、複数本のガス供給管232
a〜232fとが設けられており、処理室201内へ複数種類のガスを供給することがで
きるように構成されている。
ガス供給管232aの上流端には、例えば原料ガス供給源としての(SiCl
(BTCSM)ガス供給源242aが接続されている。ガス供給管232eの上流端
には、例えば原料ガス供給源としてのSiCl(HCDS)ガス供給源242eが接
続されている。ガス供給管232bの上流端には、例えば酸化ガス供給源としてのH
ガス供給源242bが接続されている。ガス供給管232cの上流端には、例えば触媒ガ
ス供給源としてのCN(ピリジン)ガス供給源242cが接続されている。ガス供
給管232fの上流端には、例えば炭素(C)を含む改質ガス供給源としてのC
ス供給源242fが接続されている。ガス供給管232dの上流端には、例えば窒素(N
)を含む改質ガス供給源としてのNHガス供給源242dが接続されている。ガス供給
管232a〜232dにそれぞれ接続されるガス供給管232g〜232jの上流端には
、例えば不活性ガス供給源としてのNガス供給源242g〜242jが接続されている
。ガス供給管232a〜232jには、各ガス供給源242a〜242jが接続された上
流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)2
41a〜241j、及び開閉弁であるバルブ243a〜243jがそれぞれ設けられてい
る。ガス供給管232a〜232dのバルブ243a〜243dよりも下流側に、ガス供
給管232g〜232jの下流端がそれぞれ接続されている。ガス供給管232a,23
2cのバルブ243a,243cよりも下流側には、ガス供給管232e,232fの下
流端もそれぞれ接続されている。
ガス供給管232a〜232cの先端部には、上述のノズル249a〜249cがそれ
ぞれ接続されている。ノズル249a〜249cは、図2に示すように、反応管203の
内壁とウエハ200との間における円環状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部
に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられて
いる。すなわち、ノズル249a〜249cは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領
域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うようにそれ
ぞれ設けられている。ノズル249a〜249cはL字型のロングノズルとしてそれぞれ
構成されており、それらの各水平部はマニホールド209の側壁を貫通するように設けら
れており、それらの各垂直部は少なくともウエハ配列領域の一端側から他端側に向かって
立ち上がるように設けられている。ノズル249a〜249cの側面にはガスを供給する
ガス供給孔250a〜250cがそれぞれ設けられている。図2に示すように、ガス供給
孔250a〜250cは反応管203の中心を向くように開口しており、ウエハ200に
向けてガスを供給することが可能となっている。これらのガス供給孔250a〜250c
は、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を
有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
ガス供給管232dの先端部には、上述のノズル249dが接続されている。ノズル2
49dは、ガス分散空間であるバッファ室237内に設けられている。バッファ室237
は、図2に示すように、反応管203の内壁とウエハ200との間における円環状の空間
に、また、反応管203内壁の下部より上部にわたる部分に、ウエハ200の積載方向に
沿って設けられている。すなわち、バッファ室237は、ウエハ配列領域の側方の、ウエ
ハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。バッ
ファ室237のウエハ200と隣接する壁の端部には、ガスを供給するガス供給孔250
eが設けられている。ガス供給孔250eは反応管203の中心を向くように開口してお
り、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。このガス供給孔25
0eは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面
積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
ノズル249dは、図2に示すように、バッファ室237のガス供給孔250eが設け
られた端部と反対側の端部に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ20
0の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。すなわち、ノズル249
dは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り
囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。ノズル249dは、L字型の
ロングノズルとして構成されており、その水平部はマニホールド209の側壁を貫通する
ように設けられており、その垂直部は少なくともウエハ配列領域の一端側から他端側に向
かって立ち上がるように設けられている。ノズル249dの側面にはガスを供給するガス
供給孔250dが設けられている。図2に示すように、ガス供給孔250dはバッファ室
237の中心を向くように開口している。このガス供給孔250dは、バッファ室237
のガス供給孔250eと同様に、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられて
いる。この複数のガス供給孔250dのそれぞれの開口面積は、バッファ室237内と処
理室201内の差圧が小さい場合には、上流側(下部)から下流側(上部)まで、それぞ
れ同一の開口面積で同一の開口ピッチとするとよいが、差圧が大きい場合には、上流側か
ら下流側に向かってそれぞれ開口面積を大きくするか、開口ピッチを小さくするとよい。
本実施形態においては、ガス供給孔250dのそれぞれの開口面積や開口ピッチを、上
流側から下流側にかけて上述のように調節することで、まず、ガス供給孔250dのそれ
ぞれから、流速の差はあるものの、流量がほぼ同量であるガスを噴出させる。そしてこの
ガス供給孔250dのそれぞれから噴出するガスを、一旦、バッファ室237内に導入し
、バッファ室237内においてガスの流速差の均一化を行うこととしている。すなわち、
ガス供給孔250dのそれぞれよりバッファ室237内に噴出したガスはバッファ室23
7内で各ガスの粒子速度が緩和された後、ガス供給孔250eより処理室201内に噴出
する。これにより、ガス供給孔250dのそれぞれよりバッファ室237内に噴出したガ
スは、ガス供給孔250eのそれぞれより処理室201内に噴出する際には、均一な流量
と流速とを有するガスとなる。
このように、本実施形態におけるロングノズルを用いたガス供給の方法では、反応管2
03の内壁と、積載された複数枚のウエハ200の端部とで定義される円環状の縦長に伸
びた空間内、つまり、円筒状の空間内に配置したノズル249a〜249dおよびバッフ
ァ室237を経由してガスを搬送し、ノズル249a〜249dおよびバッファ室237
にそれぞれ開口されたガス供給孔250a〜250eからウエハ200の近傍で初めて反
応管203内にガスを噴出させており、反応管203内におけるガスの主たる流れをウエ
ハ200の表面と平行な方向、すなわち、水平方向としている。このような構成とするこ
とで、各ウエハ200に均一にガスを供給でき、各ウエハ200の表面上に形成される膜
の膜厚の均一性を向上させる効果がある。ウエハ200の表面上を流れたガス、すなわち
、反応後の残ガスは、排気口、すなわち、後述する排気管231の方向に向かって流れる
が、この残ガスの流れの方向は、排気口の位置によって適宜特定され、垂直方向に限った
ものではない。
ガス供給管232aからは、シリコン(Si)、炭素(C)およびハロゲン元素(フッ
素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)等)を含みSi−C結合を有する原料ガスとして
、例えば、Si、アルキレン基としてのメチレン基、およびハロゲン基としてのクロロ基
を含む原料ガスであるメチレン基を含むクロロシラン系原料ガスが、MFC241a、バ
ルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内に供給される。メチレン基を含む
クロロシラン系原料ガスとは、メチレン基およびクロロ基を含むシラン系原料ガスのこと
であり、少なくともSiと、Cを含んだメチレン基と、ハロゲン元素としてのClとを含
む原料ガスのことである。ガス供給管232aから供給されるメチレン基を含むクロロシ
ラン系原料ガスとしては、例えば、メチレンビス(トリクロロシラン)ガス、すなわち、
ビス(トリクロロシリル)メタン((SiClCH、略称:BTCSM)ガスを
用いることができる。
図15(a)に示すように、BTCSMは、その化学構造式中(1分子中)にアルキレ
ン基としてのメチレン基を含む。BTCSMに含まれるメチレン基は2つの結合手がそれ
ぞれSiと結合し、Si−C−Si結合をなしている。原料ガスが有するSi−C結合は
、例えばBTCSMに含まれるSi−C−Si結合の一部であり、BTCSMに含まれる
メチレン基は、係るSi−C結合を構成するCを含む。
また、Si,Cおよびハロゲン元素を含みSi−C結合を有する原料ガスには、例えば
、Si、アルキレン基としてのエチレン基、およびハロゲン基としてのクロロ基を含む原
料ガスであるエチレン基を含むクロロシラン系原料ガスが含まれる。エチレン基を含むク
ロロシラン系原料ガスとしては、例えば、エチレンビス(トリクロロシラン)ガス、すな
わち、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン((SiCl、略称:B
TCSE)ガス等を用いることができる。
図15(b)に示すように、BTCSEは、その化学構造式中(1分子中)にアルキレ
ン基としてのエチレン基を含む。BTCSEに含まれるエチレン基は2つの結合手がそれ
ぞれSiと結合し、Si−C−C−Si結合をなしている。原料ガスが有するSi−C結
合は、例えばBTCSEに含まれるSi−C−C−Si結合の一部であり、BTCSEに
含まれるエチレン基は、係るSi−C結合を構成するCを含む。
なお、アルキレン基とは、一般式C2n+2で表される鎖状飽和炭化水素(アルカ
ン)から水素(H)原子を2つ取り除いた官能基であり、一般式C2nで表される原
子の集合体である。アルキレン基には、上記に挙げたメチレン基やエチレン基のほか、プ
ロピレン基やブチレン基などが含まれる。このように、Si,Cおよびハロゲン元素を含
みSi−C結合を有する原料ガスには、Si、アルキレン基およびハロゲン元素を含むア
ルキレンハロシラン系原料ガスが含まれる。アルキレンハロシラン系原料ガスは、アルキ
レン基を含むハロシラン系原料ガスであり、ハロシラン系原料ガスにおけるSiの結合手
に多くのハロゲン元素が結合した状態を維持したまま、例えばSi−Si結合間にアルキ
レン基が導入された構造を持つガスともいえる。BTCSMガスおよびBTCSEガス等
は、アルキレンハロシラン系原料ガスに含まれる。
また、Si,Cおよびハロゲン元素を含みSi−C結合を有する原料ガスには、例えば
、Si、アルキル基としてのメチル基、およびハロゲン基としてのクロロ基を含む原料ガ
スであるメチル基を含むクロロシラン系原料ガスが含まれる。メチル基を含むクロロシラ
ン系原料ガスとは、メチル基およびクロロ基を含むシラン系原料ガスのことであり、少な
くともSiと、Cを含んだメチル基と、ハロゲン元素としてのClとを含む原料ガスのこ
とである。メチル基を含むクロロシラン系原料ガスとしては、例えば、1,1,2,2−
テトラクロロ−1,2−ジメチルジシラン((CHSiCl、略称:TCDM
DS)ガス、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン((CH
SiCl、略称:DCTMDS)ガス、及び1−モノクロロ−1,1,2,2,2−
ペンタメチルジシラン((CHSiCl、略称:MCPMDS)ガス等を用いる
ことができる。
図15(c)に示すように、TCDMDSは、その化学構造式中(1分子中)にアルキ
ル基としてのメチル基を2つ含む。TCDMDSに含まれる2つのメチル基は各結合手が
それぞれSiと結合し、Si−C結合をなしている。原料ガスが有するSi−C結合は、
例えばTCDMDSに含まれるSi−C結合であり、TCDMDSに含まれる2つのメチ
ル基は、係るSi−C結合を構成するCをそれぞれ含む。
図15(d)に示すように、DCTMDSは、その化学構造式中(1分子中)にアルキ
ル基としてのメチル基を4つ含む。DCTMDSに含まれる4つのメチル基は各結合手が
それぞれSiと結合し、Si−C結合をなしている。原料ガスが有するSi−C結合は、
例えばDCTMDSに含まれるSi−C結合であり、DCTMDSに含まれる4つのメチ
ル基は、係るSi−C結合を構成するCをそれぞれ含む。
図15(e)に示すように、MCPMDSは、その化学構造式中(1分子中)にアルキ
ル基としてのメチル基を5つ含む。MCPMDSに含まれる5つのメチル基は各結合手が
それぞれSiと結合し、Si−C結合をなしている。原料ガスが有するSi−C結合は、
例えばMCPMDSに含まれるSi−C結合の一部であり、MCPMDSに含まれる5つ
のメチル基は、原料ガスが有するSi−C結合を構成するCをそれぞれ含む。上述のBT
CSMガス、BTCSEガス、TCDMDSガス、DCTMDSガス等の原料ガスとは異
なり、MCPMDSガスは、Siを囲むメチル基とクロロ基との配置がMCPMDS分子
中(化学構造式中)で非対象となったアシメトリ(asymmetry)の構造を有する
。このように、本実施形態では、図15(a)〜(d)のような化学構造式がシンメトリ
(symmetry)である原料ガスだけでなく、化学構造式がアシメトリである原料ガ
スを用いることもできる。
なお、アルキル基とは、一般式C2n+2で表される鎖状飽和炭化水素(アルカン
)からH原子を1つ取り除いた官能基であり、一般式C2n+1で表される原子の集
合体である。アルキル基には、上記に挙げたメチル基のほか、エチル基、プロピル基、ブ
チル基などが含まれる。このように、Si,Cおよびハロゲン元素を含みSi−C結合を
有する原料ガスには、Si、アルキル基およびハロゲン元素を含むアルキルハロシラン系
原料ガスが含まれる。アルキルハロシラン系原料ガスは、アルキル基を含むハロシラン系
原料ガスであり、ハロシラン系原料ガスの一部のハロゲン基がアルキル基に置き換わった
構造を持つガスともいえる。TCDMDSガス、DCTMDSガスおよびMCPMDSガ
ス等は、アルキルハロシラン系原料ガスに含まれる。
BTCSMガス、BTCSEガス、TCDMDSガス、DCTMDSガス、MCPMD
Sガスは、1分子中にC,ハロゲン元素(Cl)および少なくとも2つのSiを含みSi
−C結合を有する原料ガスということができる。これらを、シリコン(Si)源および炭
素(C)源となる原料ガスということもできる。このタイプの原料ガスを用いることで、
後述するように、形成する薄膜中にCを高濃度に取り込むことが可能となる。一方で、後
述するように、ガス分子中にCを含まないクロロシラン系原料ガスであるHCDSガスや
、ガス分子中にCを含むがSi−C結合を有さないアミノシラン系原料ガスであるBTB
ASガス等は、Si源となるがC源とはならない原料ガスである。このタイプの原料ガス
を用いても、後述するように、形成する薄膜中にCが取り込まれることはほとんどない。
ガス供給管232eからは、シリコン(Si)およびハロゲン元素を含む原料ガス、す
なわち、ガス分子中にCを含まないハロシラン系原料ガスとして、例えば、Siおよびハ
ロゲン基としてのクロロ基を含み、ガス分子中にCを含まないクロロシラン系原料ガスが
、MFC241e、バルブ243e、ガス供給管232a、ノズル249aを介して処理
室201内に供給される。上記のように、ガス分子中にCを含まないクロロシラン系原料
ガスは、Si源となるがC源とはならない原料ガスである。ガス供給管232eから供給
される、ガス分子中にCを含まないクロロシラン系原料ガスとしては、例えば、ヘキサク
ロロジシラン(SiCl、略称:HCDS)ガスを用いることができる。
ここで、原料ガスとは、気体状態の原料、例えば、常温常圧下で液体状態である原料を
気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態である原料等のことである。本明
細書において「原料」という言葉を用いた場合は、「液体状態である液体原料」を意味す
る場合、「気体状態である原料ガス」を意味する場合、または、その両方を意味する場合
がある。従って、本明細書において「ハロシラン系原料(クロロシラン系原料)」という
言葉を用いた場合は、「液体状態であるハロシラン系原料(クロロシラン系原料)」を意
味する場合、「気体状態であるハロシラン系原料ガス(クロロシラン系原料ガス)」を意
味する場合、または、その両方を意味する場合がある。BTCSM、BTCSE、TCD
MDS、DCTMDS、MCPMDS、HCDSのように常温常圧下で液体状態である液
体原料を用いる場合は、液体原料を気化器やバブラ等の気化システムにより気化して、原
料ガス(BTCSMガス、BTCSEガス、TCDMDSガス、DCTMDSガス、MC
PMDSガス、HCDSガス)として供給することとなる。
ガス供給管232bからは、酸化ガスとして、例えば、酸素(O)を含むガス(酸素含
有ガス)が、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内
に供給される。ガス供給管232bから供給される酸化ガスとしては、例えば、水蒸気(
Oガス)を用いることができる。HOガスの供給に際しては、図示しない外部燃焼
装置に、酸素(O)ガスと水素(H)ガスとを供給してHOガスを生成し、供給す
る構成としてもよい。
ガス供給管232cからは、酸解離定数(以下、pKaともいう)が1〜11程度、好
ましくは5〜11程度、より好ましくは5〜7である触媒ガスとして、例えば、孤立電子
対を有する窒素(N)を含むガス(窒素系ガス)が、MFC241c、バルブ243c、
ノズル249cを介して処理室201内に供給される。ここで、酸解離定数(pKa)と
は、酸の強さを定量的に表す指標の1つであり、酸から水素イオンが放出される解離反応
における平衡定数Kaを負の常用対数で表したものである。触媒ガスは、孤立電子対を有
するNを含むことで、その触媒作用によりウエハ200の表面、あるいは、HOガス等
の酸化ガスが有するO−H結合の結合力を弱め、原料ガス等の分解を促進し、また、H
Oガス等による酸化反応を促進する。孤立電子対を有するNを含む窒素系ガスとしては、
例えばアンモニア(NH)が有する水素原子のうち少なくとも1つをアルキル基等の炭
化水素基で置換したアミンを含むアミン系ガスが挙げられる。ガス供給管232cから供
給される触媒ガスとしては、例えば、アミン系ガスであるピリジン(CN)ガスを
用いることができる。
図14に示すように、触媒ガスとして用いられる各種アミンは、例えばピリジン(C
N、pKa=5.67)の他、アミノピリジン(C、pKa=6.89)
、ピコリン(CN、pKa=6.07)、ルチジン(CN、pKa=6.9
6)、ピリミジン(C、pKa=1.30)、キノリン(CN、pKa
=4.97)、ピペラジン(C10、pKa=9.80)、およびピペリジン(
11N、pKa=11.12)等を含む。図14に示す各種アミンは、炭化水素基
が環状となった環状アミンでもある。これらの環状アミンは、CとNとの複数種類の元素
からその環状構造が構成される複素環化合物、すなわち、窒素含有複素環化合物であると
もいえる。これらの触媒ガスとしてのアミン系ガスは、アミン系触媒ガスともいえる。
ここで、アミン系ガスとは、気体状態のアミン、例えば、常温常圧下で液体状態である
アミンを気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態であるアミン等を含むガ
スのことである。本明細書において「アミン」という言葉を用いた場合は、「液体状態で
あるアミン」を意味する場合、「気体状態であるアミン系ガス」を意味する場合、または
、その両方を意味する場合がある。ピリジン、アミノピリジン、ピコリン、ルチジン、ピ
リミジン、キノリン、ピペラジン、およびピペリジンのように常温常圧下で液体状態であ
るアミンを用いる場合は、液体状態のアミンを気化器やバブラ等の気化システムにより気
化して、アミン系ガス(ピリジンガス、アミノピリジンガス、ピコリンガス、ルチジンガ
ス、ピリミジンガス、キノリンガス、ピペラジンガス、およびピペリジンガス)として供
給することとなる。これに対し、後述するトリメチルアミン((CHN、略称:T
MA)のように、常温常圧下で気体状態であるアミンを用いる場合は、アミンを気化器や
バブラ等の気化システムにより気化することなく、アミン系ガス(TMAガス)として供
給することができる。
ガス供給管232fからは、炭素(C)および窒素(N)のうち少なくともいずれかを
含む改質ガスとして、例えば、Cを含む改質ガスとしての炭素含有ガス(C含有ガス)が
、MFC241f、バルブ243f、ガス供給管232c、ノズル249cを介して処理
室201内に供給される。C含有ガスには、炭化水素系ガスが含まれる。炭化水素は、飽
和炭化水素であっても不飽和炭化水素であってもよく、また、鎖状炭化水素であっても環
状炭化水素であってもよい。ガス供給管232fから供給されるC含有ガスとしては、例
えば二重結合を1つ有する鎖状不飽和炭化水素を含む炭化水素系ガスであるプロピレン(
)ガスを用いることができる。
ガス供給管232dからは、CおよびNのうち少なくともいずれかを含む改質ガスとし
て、例えば、Nを含む改質ガスとしての窒素含有ガス(N含有ガス)が、MFC241d
、バルブ243d、ノズル249d、バッファ室237を介して処理室201内に供給さ
れる。N含有ガスには、非アミン系ガスが含まれる。ガス供給管232dから供給される
N含有ガスとしては、例えば非アミン系ガスであるNHガスを用いることができる。
ガス供給管232g〜232jからは、不活性ガスとして、例えば、窒素(N)ガス
が、それぞれMFC241g〜241j、バルブ243g〜243j、ガス供給管232
a〜232d、ノズル249a〜249d、バッファ室237を介して処理室201内に
供給される。不活性ガスとしてのNガスは、パージガスとしても作用する。ガス供給管
232jから供給されるNガスは、プラズマの着火をアシストするアシストガス(着火
ガス)としても作用する場合がある。
各ガス供給管から上述のようなガスをそれぞれ流す場合、主に、ガス供給管232a,
232e、MFC241a,241e、バルブ243a,243eにより、原料ガスを供
給する原料ガス供給系が構成される。ノズル249a、BTCSMガス供給源242a、
HCDSガス供給源242eを原料ガス供給系に含めて考えてもよい。原料ガス供給系を
原料供給系と称することもできる。また、原料ガス供給系は、それぞれ異なる元素の元素
源となる複数種類の原料ガスや、分子構造がそれぞれ異なる複数種類の原料ガスをそれぞ
れ供給する複数の供給ライン(供給系)の集合体とみることもできる。つまり、原料ガス
供給系は、主にガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより構成される
BTCSMガス供給ラインと、主にガス供給管232e、MFC241e、バルブ243
eにより構成されるHCDSガス供給ラインと、の集合体であるといえる。個々の供給ラ
インに、ノズル249aや、対応する各原料ガス供給源242a,242eを含めて考え
てもよい。
また、主に、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bにより、酸化ガス
供給系が構成される。ノズル249b、HOガス供給源242bを酸化ガス供給系に含
めて考えてもよい。
また、主に、ガス供給管232c、MFC241c、バルブ243cにより、触媒ガス
供給系が構成される。ノズル249c、ピリジンガス供給源242cを触媒ガス供給系に
含めて考えてもよい。触媒ガス供給系をアミン系触媒ガス供給系と称することもできる。
また、主に、ガス供給管232d,232f、MFC241d,241f、バルブ24
3d,243fにより、CおよびNのうち少なくともいずれかを含む改質ガスを供給する
改質ガス供給系が構成される。ノズル249d、バッファ室237、NHガス供給源2
42d、Cガス供給源242fを改質ガス供給系に含めて考えてもよい。また、改
質ガス供給系は、それぞれ異なる元素を含む複数種類の改質ガスや、分子構造がそれぞれ
異なる複数種類の改質ガスをそれぞれ供給する複数の供給ライン(供給系)の集合体とみ
ることもできる。つまり、改質ガス供給系は、主にガス供給管232d、MFC241d
、バルブ243dにより構成されるNHガス供給ラインと、主にガス供給管232f、
MFC241f、バルブ243fにより構成されるCガス供給ラインと、の集合体
であるといえる。個々の供給ラインに、対応する各ノズル249d,249cや各改質ガ
ス供給源242d,242f、バッファ室237を含めて考えてもよい。
また、主に、ガス供給管232g〜232j、MFC241g〜241j、バルブ24
3g〜243jにより、不活性ガス供給系が構成される。なお、ガス供給管232a〜2
32dにおけるガス供給管232g〜232jとの接続部より下流側、ノズル249a〜
249d、バッファ室237、Nガス供給源242g〜242jを不活性ガス供給系に
含めて考えてもよい。不活性ガス供給系はパージガス供給系としても機能する。アシスト
ガスとしてのNガスを供給するガス供給管232j、MFC241j、バルブ243j
をアシストガス供給系と称することもできる。ノズル249dやバッファ室237やN
ガス供給源242jをアシストガス供給系に含めて考えてもよい。
なお、酸化ガス供給系や触媒ガス供給系等の、原料ガス供給系や改質ガス供給系以外の
供給系についても、分子構造等がそれぞれ異なる複数種類のガスをそれぞれ供給する供給
ライン(供給系)を複数設けてもよい。
バッファ室237内には、図2に示すように、導電体からなり、細長い構造を有する2
本の棒状電極269,270が、反応管203の下部より上部にわたりウエハ200の積
層方向に沿って配設されている。棒状電極269,270のそれぞれは、ノズル249d
と平行に設けられている。棒状電極269,270のそれぞれは、上部より下部にわたっ
て電極保護管275により覆われることで保護されている。棒状電極269,270のい
ずれか一方は、整合器272を介して高周波電源273に接続され、他方は、基準電位で
あるアースに接続されている。整合器272を介して高周波電源273から棒状電極26
9,270間に高周波(RF)電力を印加することで、棒状電極269,270間のプラ
ズマ生成領域224にプラズマが生成される。主に、棒状電極269,270、電極保護
管275によりプラズマ発生器(プラズマ発生部)としてのプラズマ源が構成される。整
合器272、高周波電源273をプラズマ源に含めて考えてもよい。プラズマ源は、ガス
をプラズマ状態に活性化(励起)させる活性化機構(励起部)として機能する。
電極保護管275は、棒状電極269,270のそれぞれをバッファ室237内の雰囲
気と隔離した状態でバッファ室237内に挿入できる構造となっている。ここで、電極保
護管275の内部の酸素濃度が外気(大気)の酸素濃度と同程度であると、電極保護管2
75内にそれぞれ挿入された棒状電極269,270は、ヒータ207による熱で酸化さ
れてしまう。そこで、電極保護管275の内部にNガスなどの不活性ガスを充填してお
くか、不活性ガスパージ機構を用いて電極保護管275の内部をNガスなどの不活性ガ
スでパージすることで、電極保護管275の内部の酸素濃度を低減させ、棒状電極269
,270の酸化を抑制することができるように構成されている。
反応管203には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている
。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)として
の圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pre
ssure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空
ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた
状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことが
でき、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された
圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することがで
きるように構成されているバルブである。主に、排気管231、APCバルブ244、圧
力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えて
もよい。排気管231は、反応管203に設ける場合に限らず、ノズル249a〜249
dと同様にマニホールド209に設けてもよい。
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉
口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219はマニホ
ールド209の下端に垂直方向下側から当接されるように構成されている。シールキャッ
プ219は例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャッ
プ219の上面にはマニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング2
20bが設けられている。シールキャップ219の処理室201と反対側には、後述する
ボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸2
55はシールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267
は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。
シールキャップ219は、反応管203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボー
トエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベ
ータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201
内外に搬入および搬出することが可能なように構成されている。すなわち、ボートエレベ
ータ115は、ボート217およびボート217に支持されるウエハ200を、処理室2
01内外に搬送する搬送装置(搬送機構)として構成される。
基板支持具としてのボート217は、例えば石英や炭化シリコン等の耐熱性材料からな
り、複数枚のウエハ200を水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で整列させて多
段に支持するように構成されている。ボート217の下部には、例えば石英や炭化シリコ
ン等の耐熱性材料からなる断熱板218が水平姿勢で多段に支持されており、ヒータ20
7からの熱がシールキャップ219側に伝わりにくくなるよう構成されている。但し、ボ
ート217の下部に断熱板218を設けずに、石英や炭化シリコン等の耐熱性材料からな
る筒状の部材として構成された断熱筒を設けてもよい。
反応管203内には温度検出器としての温度センサ263が設置されており、温度セン
サ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで
、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ26
3は、ノズル249a〜249dと同様にL字型に構成されており、反応管203の内壁
に沿って設けられている。
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Cen
tral Processing Unit)121a、RAM(Random Acc
ess Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコ
ンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート1
21dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成さ
れている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置
122が接続されている。
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Dri
ve)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制
御プログラムや、後述する薄膜形成等の基板処理の手順や条件などが記載されたプロセス
レシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する薄膜形成工程
等の基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得るこ
とが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプ
ロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書にお
いてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プ
ログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。RAM121bは、
CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ
領域(ワークエリア)として構成されている。
I/Oポート121dは、上述のMFC241a〜241j、バルブ243a〜243
j、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、温度センサ263、ヒ
ータ207、整合器272、高周波電源273、回転機構267、ボートエレベータ11
5等に接続されている。
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に
、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからプロセス
レシピを読み出すように構成されている。そして、CPU121aは、読み出したプロセ
スレシピの内容に沿うように、MFC241a〜241jによる各種ガスの流量調整動作
、バルブ243a〜243jの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作及び圧力センサ
245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および
停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、回転機構267によるボ
ート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217
の昇降動作、整合器272によるインピーダンス調整動作、高周波電源273の電力供給
等を制御するように構成されている。
コントローラ121は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用
のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部
記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディス
ク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカー
ド等の半導体メモリ)123を用意し、係る外部記憶装置123を用いて汎用のコンピュ
ータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ12
1を構成することができる。但し、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、
外部記憶装置123を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回
線等の通信手段を用い、外部記憶装置123を介さずにプログラムを供給するようにして
もよい。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒
体として構成される。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書にお
いて記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記
憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
(2)薄膜形成工程
次に、上述の基板処理装置の処理炉202を用いて、半導体装置(半導体デバイス)の
製造工程の一工程として、基板上に薄膜を形成(成膜)するシーケンス例について説明す
る。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121によ
り制御される。
本実施形態では、
基板としてのウエハ200に対してシリコン(Si)源および炭素(C)源となる原料
ガスまたはシリコン源となるが炭素源とはならない原料ガスと、触媒ガスとを供給する工
程と、
ウエハ200に対して酸化ガスと触媒ガスとを供給する工程と、
ウエハ200に対して炭素(C)および窒素(N)のうち少なくともいずれかを含む改
質ガスを供給する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことにより、ウエハ200上に、シリコン(Si)、酸
素(O)、炭素(C)を含む薄膜、またはシリコン(Si)、酸素(O)、炭素(C)、
および窒素(N)を含む薄膜を形成する。
ここで、サイクルが「原料ガスと触媒ガスとを供給する工程」と「酸化ガスと触媒ガス
とを供給する工程」と「改質ガスを供給する工程」との各工程を含むとは、1サイクル内
に各工程が1回以上含まれていることをいう。したがって、1サイクルにおいて、各工程
を1回ずつ行ってもよく、或いは、少なくともいずれかの工程を複数回行ってもよい。1
サイクルにおいて、各工程を同じ回数行ってもよく、異なる回数行ってもよい。サイクル
内での各工程の実施順は任意に決定することができる。このように、各工程を行う回数、
順番、組み合わせ等を適宜変更することで、膜質や膜組成や成分比率等の異なる薄膜を形
成することができる。また、「サイクルを所定回数行う」とは、このサイクルを1回以上
行うこと、すなわち、このサイクルを1回行うこと、又は、複数回繰り返すことをいう。
例えば、本実施形態の1サイクルは、
ウエハ200に対して原料ガスと触媒ガスとを供給する工程と、
ウエハ200に対して酸化ガスと触媒ガスとを供給する工程と、
を含むセットを所定回数行うことにより、ウエハ200上に、少なくともSiおよびO
を含む第1の薄膜を形成する工程と、
ウエハ200に対して改質ガスを供給する工程を行うことにより、第1の薄膜をCを更
に含む第2の薄膜、Cを含みNを更に含む第2の薄膜、またはCとNとを更に含む第2の
薄膜に改質する工程と、を行うことを含む。
また、本実施形態では、各工程は、ノンプラズマの雰囲気下で行われる。
本実施形態では、形成する薄膜の組成比が化学量論組成、または、化学量論組成とは異
なる所定の組成となるようにすることを目的として、形成する薄膜を構成する複数の元素
を含む複数種類のガスの供給条件を制御する。例えば、形成する薄膜を構成する複数の元
素のうち少なくとも1つの元素が他の元素よりも化学量論組成に対し過剰となるようにす
ることを目的として、供給条件を制御する。以下、形成する薄膜を構成する複数の元素の
比率、すなわち、薄膜の組成比を制御しつつ成膜を行うシーケンス例について説明する。
以下、本実施形態の成膜シーケンスについて、図4、図5(a)を用いて説明する。
ここでは、
ウエハ200に対して、シリコン(Si)源および炭素(C)源となる原料ガスとして
、シリコン(Si)、炭素(C)およびハロゲン元素を含みSi−C結合を有する原料ガ
スとしてのBTCSMガスと、触媒ガスとしてのピリジンガスと、を供給する工程と(ス
テップ1a)、
ウエハ200に対して酸化ガスとしてのHOガスと、触媒ガスとしてのピリジンガス
と、を供給する工程と(ステップ2a)、
を含むセットを所定回数(n回)行うことにより、ウエハ200上に、Si,Oおよび
Cを含む第1の薄膜としてシリコン酸炭化膜(SiOC膜)を形成する工程と、
ウエハ200に対してCおよびNのうち少なくともいずれかを含む改質ガスとして、N
を含む改質ガスであるN含有ガスとしてのNHガスを供給する工程を行うことにより、
SiOC膜を、Cを含みNを更に含む第2の薄膜としてのシリコン酸炭窒化膜(SiOC
N膜)に改質する工程と、
を含むサイクルを所定回数、例えば1回行う例について説明する。
本成膜シーケンスにより、ウエハ200上に、Si,O,CおよびNを含む薄膜として
SiOCN膜、つまり、Nがドープ(添加)されたSiOC膜が形成される。なお、この
SiOCN膜を、Cがドープ(添加)されたシリコン酸窒化膜(SiON膜)や、CとN
とがドープされたシリコン酸化膜(SiO膜、以下、SiO膜ともいう)等ということ
もできる。
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味す
る場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意
味する場合、すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合が
ある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそ
のものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の
表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。
本明細書において「ウエハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウエ
ハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを直接供給する」ことを意味する場合や
、「ウエハ上に形成されている層や膜等に対して、すなわち、積層体としてのウエハの最
表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合がある。また、本明細書におい
て「ウエハ上に所定の層(又は膜)を形成する」と記載した場合は、「ウエハそのものの
表面(露出面)上に所定の層(又は膜)を直接形成する」ことを意味する場合や、「ウエ
ハ上に形成されている層や膜等の上、すなわち、積層体としてのウエハの最表面の上に所
定の層(又は膜)を形成する」ことを意味する場合がある。
本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた
場合と同様であり、その場合、上記説明において、「ウエハ」を「基板」に置き換えて考
えればよい。
(ウエハチャージ及びボートロード)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、図1に示す
ように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によ
って持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)される。この状態で、シール
キャップ219はOリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態
となる。
(圧力調整及び温度調整)
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排
気される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定され
た圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される(圧力調整)。真空
ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は常時作動さ
せた状態を維持する。また、処理室201内のウエハ200が所望の温度となるようにヒ
ータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように
、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバ
ック制御される(温度調整)。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくとも
ウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。ただし、後述するよ
うに、室温でウエハ200に対する処理を行う場合は、ヒータ207による処理室201
内の加熱は行わなくてもよい。続いて、回転機構267によるボート217及びウエハ2
00の回転を開始する。回転機構267によるボート217及びウエハ200の回転は、
少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
(SiOC膜形成工程)
その後、次の2つのステップ、すなわち、ステップ1a,2aを順次実行する。
[ステップ1a]
(BTCSMガス+ピリジンガス供給)
バルブ243aを開き、ガス供給管232a内にBTCSMガスを流す。BTCSMガ
スは、MFC241aにより流量調整され、ガス供給孔250aから処理室201内に供
給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してBTCSMガス
が供給されることとなる(BTCSMガス供給)。このとき同時にバルブ243gを開き
、ガス供給管232g内にNガス等の不活性ガスを流す。Nガスは、MFC241g
により流量調整され、BTCSMガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231
から排気される。
また、バルブ243cを開き、ガス供給管232c内にピリジンガスを流す。ピリジン
ガスは、MFC241cにより流量調整され、ガス供給孔250cから処理室201内に
供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してピリジンガス
が供給されることとなる(ピリジンガス供給)。このとき同時にバルブ243iを開き、
ガス供給管232i内にNガス等の不活性ガスを流す。Nガスは、MFC241iに
より流量調整され、ピリジンガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から
排気される。
また、ノズル249b,249d内やバッファ室237内へのBTCSMガスおよびピ
リジンガスの侵入を防止するため、バルブ243h,243jを開き、ガス供給管232
h,232j内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管232b,232d、ノズル
249b,249d、バッファ室237を介して処理室201内に供給され、排気管23
1から排気される。
このとき、APCバルブ244を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば1
〜13330Pa、好ましくは133〜2666Paの範囲内の圧力とする。MFC24
1aで制御するBTCSMガスの供給流量は、例えば1〜2000sccm、好ましくは
10〜1000sccmの範囲内の流量とする。MFC241cで制御するピリジンガス
の供給流量は、例えば1〜2000sccm、好ましくは10〜1000sccmの範囲
内の流量とする。MFC241g〜241jで制御するNガスの供給流量は、それぞれ
例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。BTCSMガス及びピリジン
ガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例
えば1〜100秒、好ましくは5〜60秒の範囲内の時間とする。
このときヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば室温以上150℃以下
、好ましくは室温以上100℃以下、より好ましくは50℃以上100℃以下の範囲内の
温度となるような温度に設定する。BTCSMガス供給時に、触媒ガスを供給しない場合
には、ウエハ200の温度が250℃未満となるとウエハ200上にBTCSMが化学吸
着しにくくなり、実用的な成膜レートが得られなくなることがある。本実施形態のように
、触媒ガスとしてのピリジンガスを供給することで、ウエハ200の温度を250℃未満
としても、これを解消することが可能となる。ピリジンガスの存在下において、ウエハ2
00の温度を150℃以下、さらには100℃以下とすることで、ウエハ200に加わる
熱量を低減することができ、ウエハ200の受ける熱履歴の制御を良好に行うことができ
る。ピリジンガスの存在下では、ウエハ200の温度が室温以上の温度であれば、ウエハ
200上にBTCSMを充分に吸着させることができ、充分な成膜レートが得られること
となる。よって、ウエハ200の温度は室温以上150℃以下、好ましくは室温以上10
0℃以下、より好ましくは50℃以上100℃以下の範囲内の温度とするのがよい。
上述の条件下でウエハ200に対してBTCSMガスを供給することにより、ウエハ2
00(表面の下地膜)上に、第1の層として、例えば1原子層未満から数原子層程度の厚
さのCおよびClを含むシリコン含有層(Si含有層)が形成される。CおよびClを含
むSi含有層は、CおよびClを含むシリコン層(Si層)であってもよいし、BTCS
Mガスの吸着層であってもよいし、その両方を含んでいてもよい。
CおよびClを含むSi層とは、Siにより構成されCおよびClを含む連続的な層の
他、不連続な層や、これらが重なってできるCおよびClを含むシリコン薄膜(Si薄膜
)をも含む総称である。Siにより構成されCおよびClを含む連続的な層を、Cおよび
Clを含むSi薄膜という場合もある。CおよびClを含むSi層を構成するSiは、C
やClとの結合が完全に切れていないものの他、CやClとの結合が完全に切れているも
のも含む。
BTCSMガスの吸着層は、BTCSMガスのガス分子の連続的な吸着層の他、不連続
な吸着層をも含む。すなわち、BTCSMガスの吸着層は、BTCSM分子で構成される
1分子層もしくは1分子層未満の厚さの吸着層を含む。BTCSMガスの吸着層を構成す
るBTCSM((SiClCH)分子は、図15(a)に化学構造式を示すもの
だけでなく、SiとCとの結合が一部切れたものや、SiとClとの結合が一部切れたも
のも含む。すなわち、BTCSMガスの吸着層は、BTCSM分子の化学吸着層や、BT
CSM分子の物理吸着層を含む。
ここで、1原子層未満の厚さの層とは不連続に形成される原子層のことを意味しており
、1原子層の厚さの層とは連続的に形成される原子層のことを意味している。また、1分
子層未満の厚さの層とは不連続に形成される分子層のことを意味しており、1分子層の厚
さの層とは連続的に形成される分子層のことを意味している。なお、CおよびClを含む
Si含有層は、CおよびClを含むSi層とBTCSMガスの吸着層との両方を含み得る
が、上述の通り、CおよびClを含むSi含有層については「1原子層」、「数原子層」
等の表現を用いることとする。
ウエハ200上に形成される第1の層としてのCおよびClを含むSi含有層の厚さが
数原子層を超えると、後述するステップ2aでの酸化の作用が第1の層の全体に届かなく
なる。また、ウエハ200上に形成可能な第1の層の厚さの最小値は1原子層未満である
。よって、第1の層の厚さは1原子層未満から数原子層程度とするのが好ましい。第1の
層の厚さを1原子層以下、すなわち、1原子層または1原子層未満とすることで、後述す
るステップ2aでの酸化反応の作用を相対的に高めることができ、ステップ2aでの酸化
反応に要する時間を短縮することができる。ステップ1aでの第1の層の形成に要する時
間を短縮することもできる。結果として、1セットあたりの処理時間を短縮することがで
き、トータルでの処理時間を短縮することも可能となる。すなわち、成膜レートを高くす
ることも可能となる。また、第1の層の厚さを1原子層以下とすることで、膜厚均一性の
制御性を高めることも可能となる。
BTCSMガスが自己分解(熱分解)する条件下、すなわち、BTCSMの熱分解反応
が生じる条件下では、ウエハ200上にSiが堆積することでCおよびClを含むSi層
が形成される。BTCSMガスが自己分解(熱分解)しない条件下、すなわち、BTCS
Mの熱分解反応が生じない条件下では、ウエハ200上にBTCSMガスが吸着すること
でBTCSMガスの吸着層が形成される。ウエハ200上にBTCSMガスの吸着層を形
成するよりも、ウエハ200上にCおよびClを含むSi層を形成する方が、成膜レート
を高くすることができ、好ましい。但し、本実施形態では、ウエハ200の温度を例えば
150℃以下の低温としているので、ウエハ200上にCおよびClを含むSi層が形成
されるよりも、ウエハ200上にBTCSMガスの吸着層が形成される方が、優位となる
可能性がある。さらに、触媒ガスを供給しない場合には、BTCSMガスの吸着層におい
ては、ウエハ200表面等の下地に対する結合やBTCSM分子同士の結合が、化学吸着
よりも弱い物理吸着の状態が優位となってしまう可能性がある。すなわち、触媒ガスを供
給しない場合には、BTCSMガスの吸着層は、その殆どがBTCSMガスの物理吸着層
から構成されてしまう可能性がある。
触媒ガスとしてのピリジンガスは、ウエハ200の表面に存在するO−H結合の結合力
を弱め、BTCSMガスの分解を促し、BTCSM分子の化学吸着による第1の層の形成
を促進させる。すなわち、図13(a)に示すように、例えばウエハ200の表面に存在
するO−H結合に、触媒ガスとしてのピリジンガスが作用してO−H間の結合力を弱める
。結合力の弱まったHとBTCSMガスのClとが反応することで塩化水素(HCl)ガ
スが生成されて脱離し、Clを失ったBTCSM分子(ハロゲン化物)がウエハ200の
表面に化学吸着する。すなわち、ウエハ200の表面に、BTCSMガスの化学吸着層が
形成される。ピリジンガスがO−H間の結合力を弱めるのは、ピリジン分子中の孤立電子
対を有するN原子が、Hを引きつける作用を持つためである。N原子等を含む所定の化合
物がHを引きつける作用の大きさは、例えば上述の酸解離定数(pKa)を1つの指標と
することができる。
上述の通り、pKaは、酸から水素イオンが放出される解離反応における平衡定数Ka
を負の常用対数で表した定数であり、pKaが大きい化合物はHを引き付ける力が強い。
例えば、pKaが5以上の化合物を触媒ガスとして用いることで、BTCSMガスの分解
を促して第1の層の形成を促進させることができる。一方で、触媒ガスのpKaが過度に
大きいと、BTCSM分子から引き抜かれたClと触媒ガスとが結合し、これにより、塩
化アンモニウム(NHCl)等の塩(Salt:イオン化合物)が生じ、パーティクル
源となる場合がある。これを抑制するには、触媒ガスのpKaを11程度以下、好ましく
は7以下とすることが望ましい。ピリジンガスはpKaが約5.67と比較的大きく、H
を引きつける力が強い。また、pKaが7以下であるので、パーティクルも発生し難い。
以上のように、触媒ガスとしてのピリジンガスをBTCSMガスと共に供給することで
、例えば150℃以下の低温条件下であっても、BTCSMガスの分解を促進し、BTC
SMガスの物理吸着層の形成ではなく化学吸着層の形成が優勢となるよう、第1の層を形
成することができる。
また、以上のように、Si,Cおよびハロゲン元素を含みSi−C結合を有する原料ガ
スとしてBTCSMガスを用いることで、例えば150℃以下の比較的低温の条件下であ
っても、第1の層中にCを取り込むことができる。このCを含む第1の層が、その後に行
われるステップ2aにおいて酸化され、例えばCを高濃度に含むシリコン酸炭化層(Si
OC層)や、係るSiOC層が積層されてなり、Cを高濃度に含むSiOC膜を形成する
ことができる。また、SiOC層やSiOC膜中のC濃度を精度よく制御することができ
る。
(残留ガス除去)
第1の層としてのCおよびClを含むSi含有層がウエハ200上に形成された後、バ
ルブ243aを閉じ、BTCSMガスの供給を停止する。また、バルブ243cを閉じ、
ピリジンガスの供給を停止する。このとき、排気管231のAPCバルブ244は開いた
ままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残
留する未反応もしくは第1の層の形成に寄与した後のBTCSMガス及びピリジンガスを
処理室201内から排除する(残留ガス除去)。また、バルブ243g〜243jは開い
たままとして、不活性ガスとしてのNガスの処理室201内への供給を維持する。N
ガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留する未反応もしくは
第1の層の形成に寄与した後のBTCSMガス及びピリジンガスを処理室201内から排
除する効果を高めることができる。
このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201
内を完全にパージしなくてもよい。処理室201内に残留するガスが微量であれば、その
後に行われるステップ2aにおいて悪影響が生じることはない。処理室201内に供給す
るNガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、反応管203(処理室201)の
容積と同程度の量を供給することで、ステップ2aにおいて悪影響が生じない程度のパー
ジを行うことができる。このように、処理室201内を完全にパージしないことで、パー
ジ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。Nガスの消費も必要最小限
に抑えることが可能となる。
Si,Cおよびハロゲン元素を含みSi−C結合を有する原料ガスとしては、BTCS
Mガスの他、BTCSEガス、TCDMDSガス、DCTMDSガス、およびMCPMD
Sガス等を用いてもよい。触媒ガスとしては、ピリジンガスの他、アミノピリジンガス、
ピコリンガス、ルチジンガス、ピリミジンガス、キノリンガス、ピペラジンガス、および
ピペリジンガス等のアミン系触媒ガスを用いてもよい。不活性ガスとしては、Nガスの
他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いてもよい。
[ステップ2a]
(HOガス+ピリジンガス供給)
ステップ1aが終了し処理室201内の残留ガスを除去した後、バルブ243bを開き
、ガス供給管232b内にHOガスを流す。HOガスは、MFC241bにより流量
調整され、ガス供給孔250bから処理室201内に供給され、排気管231から排気さ
れる。このとき、ノンプラズマの雰囲気下で、ウエハ200に対してHOガスが供給さ
れることとなる(HOガス供給)。このとき同時にバルブ243hを開き、ガス供給管
232h内に不活性ガスとしてのNガスを流す。Nガスは、MFC241hにより流
量調整され、HOガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気され
る。
また、ステップ1aにおけるピリジンガスの供給と同様にして、ウエハ200に対して
ピリジンガスを供給する(ピリジンガス供給)。
また、ノズル249a,249d内やバッファ室237内へのHOガスおよびピリジ
ンガスの侵入を防止するため、バルブ243g,243jを開き、ガス供給管232g,
232j内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管232a,232d、ノズル24
9a,249d、バッファ室237を介して処理室201内に供給され、排気管231か
ら排気される。
このとき、APCバルブ244を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば1
〜13330Pa、好ましくは133〜2666Paの範囲内の圧力とする。MFC24
1bで制御するHOガスの供給流量は、例えば1000〜10000sccm、好まし
くは10〜1000sccmの範囲内の流量とする。MFC241cで制御するピリジン
ガスの供給流量は、例えば1〜2000sccm、好ましくは10〜1000sccmの
範囲内の流量とする。MFC241g〜241jで制御するNガスの供給流量は、それ
ぞれ例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。HOガス及びピリジン
ガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例
えば1〜100秒、好ましくは5〜60秒の範囲内の時間とする。ヒータ207の温度は
、ウエハ200の温度が、ステップ1aでのウエハ200の温度と同様な温度帯、すなわ
ち、例えば室温以上150℃以下、好ましくは室温以上100℃以下、より好ましくは5
0℃以上100℃以下の範囲内の温度となるように設定する。
処理室201内に供給されたHOガスは熱で活性化され、排気管231から排気され
る。このときウエハ200に対して、熱で活性化されたHOガスが供給されることとな
る。すなわち、処理室201内に流しているガスは熱的に活性化されたHOガスであり
、処理室201内にはBTCSMガスは流していない。したがって、HOガスは気相反
応を起こすことはなく、活性化された状態でウエハ200に対して供給され、ステップ1
aでウエハ200上に形成された第1の層(CおよびClを含むSi含有層)の少なくと
も一部と反応する。これにより、第1の層は、ノンプラズマで熱的に酸化されて、Si,
OおよびCを含む第2の層、すなわち、SiOC層へと変化させられる。
触媒ガスとしてのピリジンガスは、HOガスが有するO−H結合の結合力を弱め、H
Oガスの分解を促し、HOガスと第1の層との反応を促進させる。すなわち、図13
(b)に示すように、HOガスの有するO−H結合に触媒としてのピリジンガスが作用
し、O−H間の結合力を弱める。結合力の弱まったHと、ウエハ200上に形成された第
1の層が有するClとが反応することで、HClガスが生成されて脱離し、Hを失ったH
OガスのOが、Clが脱離して少なくともCの一部が残った第1の層のSiと結合する
なお、HOガスとピリジンガスとを供給する工程では、所望の膜組成等に応じて、供
給するピリジンガスの供給量を適宜調整することができる。ピリジンガスの供給量を増加
させるとピリジンガスの作用が高まってHOガスの酸化力が向上し、Si−C結合が切
断されてCが脱離し易くなり、結果、SiOC層中のC濃度が低下する。ピリジンガスの
供給量を低下させるとピリジンガスの作用が弱まってHOガスの酸化力が低下し、Si
−C結合が維持され易くなり、結果、SiOC層中のC濃度が高まる。従って、ピリジン
ガスの供給量を適宜調整することにより、SiOC層中の、ひいては、SiOC層が積層
されてなるSiOC膜中のC濃度や、シリコン濃度(Si濃度)や、酸素濃度(O濃度)
等を相対的に変化させることができる。
また、酸化ガスと触媒ガスとを供給する工程において供給する触媒ガスの供給量の調整
は、上述の原料ガスと触媒ガスとを供給する工程において供給する触媒ガスの供給量の調
整とは独立別個に行うことができる。つまり、両工程における触媒ガスの供給量が同一と
なるようにそれぞれ調整してもよく、異なるようにそれぞれ調整してもよい。
また、このとき、触媒ガスの供給量や流量等を異なる数値に設定したプロセスレシピ(
処理手順や処理条件が記載されたプログラム)を予め複数用意しておくことができる。
なお、例えば150℃以下の低温条件下では、水分(HO)を比較的多く含んだSi
OC層が形成され易い。よって、このようなSiOC層が積層されてなるSiOC膜中に
も、水分等が多く含まれる場合がある。SiOC層やSiOC膜中に含まれる水分は、例
えば、酸化ガスとして用いたHOガス等に由来する。
(残留ガス除去)
その後、バルブ243bを閉じ、HOガスの供給を停止する。また、バルブ243c
を閉じ、ピリジンガスの供給を停止する。このとき、排気管231のAPCバルブ244
は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室20
1内に残留する未反応もしくは反応に寄与した後のHOガスやピリジンガスや反応副生
成物を処理室201内から排除する(残留ガス除去)。また、バルブ243g〜243j
は開いたままとして、不活性ガスとしてのNガスの処理室201内への供給を維持する
。Nガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留する未反応も
しくは第2の層の形成に寄与した後のHOガスやピリジンガスや反応副生成物を処理室
201内から排除する効果を高めることができる。
このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201
内を完全にパージしなくてもよい。処理室201内に残留するガスが微量であれば、その
後に行われるステップ1aにおいて悪影響が生じることはない。処理室201内に供給す
るNガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、反応管203(処理室201)の
容積と同程度の量を供給することで、ステップ1aにおいて悪影響が生じない程度のパー
ジを行うことができる。このように、処理室201内を完全にパージしないことで、パー
ジ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。Nガスの消費も必要最小限
に抑えることが可能となる。
酸化ガスとしては、HOガスの他、過酸化水素(H)ガス、水素(H)ガス
+酸素(O)ガス、Hガス+オゾン(O)ガス等を用いてもよい。触媒ガスとして
は、ピリジンガスの他、上記に挙げた各種のアミン系触媒ガスを用いてもよい。不活性ガ
スとしては、Nガスの他、上記に挙げた各種の希ガスを用いてもよい。
(所定回数実施)
上述したステップ1a,2aを1セットとして、このセットを1回以上、つまり、所定
回数(n回)行うことにより、ウエハ200上に、第1の薄膜として、所定組成及び所定
膜厚のSiOC膜を成膜することができる。上述のセットは、複数回繰り返すのが好まし
い。すなわち、1セットあたりに形成するSiOC層の厚さを所望の膜厚よりも小さくし
て、上述のセットを所望の膜厚になるまで複数回繰り返すのが好ましい。
このとき、各ステップにおける処理室201内の圧力やガス供給時間等の処理条件を制
御することで、SiOC層における各元素成分、すなわち、Si成分、O成分およびC成
分の割合、すなわち、Si濃度、O濃度およびC濃度を微調整することができ、SiOC
膜の組成比をより緻密に制御することができる。
セットを複数回行う場合、少なくとも2セット目以降の各ステップにおいて、「ウエハ
200に対して所定のガスを供給する」と記載した部分は、「ウエハ200上に形成され
ている層に対して、すなわち、積層体としてのウエハ200の最表面に対して所定のガス
を供給する」ことを意味している。また、「ウエハ200上に所定の層を形成する」と記
載した部分は、「ウエハ200上に形成されている層の上、すなわち、積層体としてのウ
エハ200の最表面の上に所定の層を形成する」ことを意味している。この点は、上述の
通りである。また、この点は、後述する変形例や他の実施形態にてセットやサイクルを複
数回行う場合の説明においても同様である。
(SiOC膜改質工程)
以上のように形成されたSiOC膜は、例えば150℃以下の低温条件下で形成された
膜ではあるが、優れたエッチング耐性や低誘電率を有する。しかしながら、SiOC膜は
アッシング耐性に劣る場合がある。そこで、本実施形態では、改質ガスとしてのNH
スによりSiOC膜をSiOCN膜へと改質する工程を行い、高エッチング耐性および高
アッシング耐性を有する薄膜を形成する。
(圧力調整及び温度調整)
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるよう、APCバルブ244をフィードバ
ック制御しながら、真空ポンプ246によって処理室201内を真空排気する(圧力調整
)。また、処理室201内のウエハ200が所望の温度となるようにヒータ207によっ
て加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ26
3が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される(
温度調整)。この工程においても、回転機構267によるボート217及びウエハ200
の回転を継続しておく。
(NHガス供給)
バルブ243dを開き、ガス供給管232d内にNHガスを流す。NHガスは、M
FC241dにより流量調整され、ガス供給孔250dからバッファ室237内に供給さ
れ、更にガス供給孔250eから処理室201内に供給され、排気管231から排気され
る。このとき、ウエハ200に対してNHガスが供給されることとなる(NHガス供
給)。このとき同時にバルブ243jを開き、ガス供給管232j内にNガス等の不活
性ガスを流す。Nガスは、MFC241jにより流量調整され、NHガスと一緒に処
理室201内に供給され、排気管231から排気される。
また、ノズル249a〜249c内へのNHガスの侵入を防止するため、バルブ24
3g〜243iを開き、ガス供給管232g〜232i内にNガスを流す。Nガスは
、ガス供給管232a〜232c、ノズル249a〜249cを介して処理室201内に
供給され、排気管231から排気される。
このとき、APCバルブ244を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば大
気圧未満の圧力、好ましくは1〜13330Pa(0.0075〜100Torr)、よ
り好ましくは133〜2666Pa(1〜20Torr)の範囲内の圧力とする。MFC
241dで制御するNHガスの供給流量は、例えば1〜2000sccm、好ましくは
10〜1000sccmの範囲内の流量とする。MFC241g〜241jで制御するN
ガスの供給流量は、それぞれ例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする
。NHガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば1〜120分、好ましくは
10〜120分の範囲内の時間とする。
このときヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば上述のSiOC膜を形
成する工程におけるウエハ200の温度よりも高い温度となるような温度に設定する。具
体的には、ウエハ200の温度を200℃以上900℃以下、好ましくは200℃以上7
00℃以下、より好ましくは200℃以上600℃以下の範囲内の温度に設定する。この
ような温度範囲は、例えばウエハ200が受ける熱負荷や熱履歴等を考慮のうえ決定され
る。すなわち、ウエハ200の温度が900℃を超えると熱負荷が大きくなりすぎ、ウエ
ハ200上に形成される半導体デバイスの電気特性等に影響を及ぼしかねない。ウエハ2
00の温度を少なくとも900℃以下とすることで、この熱負荷による電気特性等への影
響を抑制することが可能となる。具体的には、熱処理対象のSiOC膜が形成されたウエ
ハ200がメモリデバイス向けであるような場合には、900℃程度の熱にまで耐えるこ
とができる。係るウエハ200がロジックデバイス向けであっても、700℃程度の熱に
まで耐えることができる。ウエハ200の温度を更に600℃以下とすれば、より確実に
デバイス構造等の熱損傷を回避することが容易となる。一方で、ウエハ200の温度が2
00℃未満となってしまうと、SiOC膜の改質の効果が低下して、NHガスの供給時
間、すなわち、改質処理の時間が長期化し、生産性が低下してしまう。ウエハ200の温
度を200℃以上とすることで、SiOC膜の改質が適度に促進され、改質処理の時間を
実用的な処理時間内に留めることができる。よって、ウエハ200の温度は200℃以上
900℃以下、好ましくは200℃以上700℃以下、より好ましくは200℃以上60
0℃以下の範囲内の温度とするのがよい。
処理室201内に供給されたNHガスは熱で活性化され、排気管231から排気され
る。このときウエハ200に対して、熱で活性化されたNHガスが供給されることとな
る。すなわち、処理室201内に流しているガスは熱的に活性化されたNHガスであり
、処理室201内にはBTCSMガスやHOガスやピリジンガスは流していない。した
がって、NHガスは気相反応を起こすことはなく、活性化された状態でウエハ200に
対して供給され、ステップ1a,2aを所定回数行うことでウエハ200上に形成された
第1の薄膜(SiOC膜)の少なくとも一部と反応する。これにより、SiOC膜は、ノ
ンプラズマで熱的に改質されて、Si,O,CおよびNを含む第2の薄膜、すなわち、S
iOCN膜へと変化させられる。
このとき、上記のように、ウエハ200の温度を比較的高い温度としているので、NH
ガスとSiOC膜との反応が促進され、N成分をSiOC膜中にまで入り込ませること
ができる。また、ウエハ200の温度を、上述のSiOC膜を形成する工程におけるウエ
ハ200の温度よりも高い温度としているので、上述のように、SiOC膜が水分を多く
含む場合には、膜中から水分が脱離し易くなる。SiOC膜の水分の抜けた部分には微小
な孔(ポア)、すなわち、微小な空間が生じ、SiOC膜はポーラス状の膜となる。この
ような水分の抜けた孔にNが入り込むことで、N成分がよりいっそうSiOC膜中に取り
込まれ易くなり、SiOC膜の改質が膜の略全体に及ぶこととなる。このとき、SiOC
膜中に取り込まれたNの少なくとも一部が、膜中の成分、例えばSi等とSi−N結合等
を形成していてもよい。
なお、SiOC膜の改質処理は、例えば、上述の温度調整によりウエハ200の温度が
所望の温度まで昇温された後、ウエハ200の温度が係る所望の温度で安定的に維持され
た状態で行われる。つまり、SiOC膜を改質する工程とは、例えばウエハ200の温度
が所定温度に保たれた状態でウエハ200に対してNHガスの供給を行っている期間の
ことを指す。但し、上述のウエハ200の温度を調整する工程にてウエハ200を昇温さ
せるとき、任意のタイミングでウエハ200に対するNHガスの供給を開始して、Si
OC膜改質工程を開始してもよい。或いは、後述する処理室201内をパージする工程に
て行うウエハ200の降温をNHガスの供給中に開始し、ウエハ200を降温させつつ
、SiOC膜改質工程を継続してもよい。このように、ウエハ200の温度を調整(昇温
)する工程およびウエハ200の温度を降温する工程のうち少なくとも一部の期間にNH
ガスの供給を行うことで、これらの期間をSiOC膜を改質する工程に含めるようにし
てもよい。但し、上述のように温度調整された所望の温度は、SiOC膜中にNを取り込
むのに好適な温度である。よって、例えばウエハ200の昇温中または降温中のこれより
低い温度では、SiOC膜中へのNの取り込みが制限され、或いは、全く起こらず、改質
処理がほとんど進行しない場合がある。よって、改質処理は、ウエハ200を上記所望の
温度に維持し、一定温度で行うことがより好ましい。これにより、NのSiOC膜中への
取り込み速度や取り込み量も安定し、より良質で安定した特性を有する薄膜が得られる。
(残留ガス除去及びパージ)
その後、バルブ243dを閉じ、NHガスの供給を停止する。このとき、排気管23
1のAPCバルブ244は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を
真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは反応に寄与した後のNHガスや
反応副生成物を処理室201内から排除する(残留ガス除去)。また、バルブ243g〜
243jは開いたままとして、不活性ガスとしてのNガスの処理室201内への供給を
維持する。Nガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留する
未反応もしくはSiOC膜の改質に寄与した後のNHガスや反応副生成物を処理室20
1内から排除する効果を高めることができる(パージ)。
CおよびNのうち少なくともいずれかを含む改質ガスとしては、Nを含む改質ガスであ
るN含有ガスとして、NHガスの他、ジアゼン(N)ガス、ヒドラジン(N
)ガス、およびNガス等のNとHとの2元素で構成される非アミン系ガス等を用
いてもよい。不活性ガスとしては、Nガスの他、上記に挙げた各種の希ガスを用いても
よい。
(大気圧復帰)
処理室201内が不活性ガスでパージされた後もバルブ243g〜243jを開いたま
まとして、ガス供給管232g〜232jのそれぞれから不活性ガスとしてのNガスを
処理室201内に供給し続けることで、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され
(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
また、ウエハ200の温度が例えば200℃未満、好ましくは室温程度の温度となるよ
うウエハ200を降温させる(降温工程)。すなわち、ヒータ207への通電具合を調整
し、或いは、ヒータ207への通電を停止して、ウエハ200の温度を低下させる。係る
ウエハ200の降温を、上記のパージ及び大気圧復帰と並行して行うことで、Nガス等
のパージガスの冷却効果によって、より短時間でウエハ200の温度を所定温度にまで低
下させることができる。但し、上述のように、ウエハ200の温度を低下させる降温工程
をNHガス供給工程の期間中に開始してもよい。この場合も、NHガスの冷却効果に
よって、より短時間でウエハ200の温度を所定温度にまで低下させることができる。
(ボートアンロード及びウエハディスチャージ)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホー
ルド209の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ200がボート217に支持さ
れた状態でマニホールド209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード
)される。その後、処理済のウエハ200はボート217より取出される(ウエハディス
チャージ)。
(3)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態の成膜シーケンスによれば、SiOC膜形成工程のステップ1aで、原
料ガスとしてBTCSMガスをウエハ200に対して供給する。このように、Si,C,
Clを含みSi−C結合を有する原料ガス、特に、1分子中にC,Clおよび少なくとも
2つのSiを含みSi−C結合を有する原料ガスを用いることで、高濃度にCが含有され
た膜、すなわち、高いC濃度を有するSiOC膜を形成することが可能となる。また、S
iOC膜中のC濃度を精度よく制御することができる。よって、例えばエッチング耐性が
高く、誘電率の低いSiOC膜を得ることができる。
低温条件下で触媒ガスを用いてSiO膜等の薄膜を形成した場合には、例えば1%濃度
のフッ酸(1%HF水溶液)によるウエットエッチングレート(以下、WERともいう)
の高い膜、つまり、エッチング耐性の低い膜が形成され易い。膜中にCを含有させれば、
膜のエッチング耐性を高めることができるが、例えば150℃以下の低温下で成膜を行う
際には、SiO膜中にCが取り込まれ難い。
そこで、本実施形態では、BTCSMガスのようなSi,C,Clを含み、Si−C結
合を有する原料ガスを用いる。これにより、ウエハ200上に初期層として第1の層を形
成する段階で第1の層中にCを取り込むことができ、充分なC濃度を有するSiOC膜を
形成することができる。また、SiOC膜中のC濃度を精度よく制御することができる。
よって、例えばエッチング耐性が高く、誘電率の低いSiOC膜を得ることができる。
(b)本実施形態の成膜シーケンスによれば、SiOC膜改質工程で、ウエハ200に対
してNHガスを供給し、SiOC膜をSiOCN膜に改質する。これにより、高エッチ
ング耐性および高アッシング耐性を有する薄膜を得ることが可能となる。
膜中にCを含むSiOC膜は、アッシング耐性やドライエッチング耐性が低いことがあ
る。また、そのために、Oプラズマ等を用いたアッシングやドライエッチング等により
SiOC膜のHFに対するエッチング耐性が低下してしまう場合がある。これは、O
ラズマ等が有する強い酸化力によって、SiOC膜の酸化が更に進行し、膜中に多くのC
−O結合が形成されるためと考えられる。Oと結び付いたCは、COガスやCOガスと
なってSiOC膜中から容易に脱離してしまう。よって、アッシング等によりSiOC膜
中のC濃度が低下し、低エッチング耐性の膜となってしまうと考えられる。
そこで、本実施形態では、NHガスを改質ガスとして用い、SiOC膜中にNを導入
する。このように、SiOC膜中にNのような新たな元素を導入することで、Si,O,
Cのそれぞれの結合状態が改質前のSiOC膜とは変化する。これにより、Oプラズマ
等を用いたアッシング時などに、膜中にC−O結合が形成されてしまったり、膜中からC
が脱離してしまったりすることを抑制することができる。よって、例えば改質前のSiO
C膜に比べ、薄膜のアッシング耐性、つまり、酸化耐性を向上させることができる。すな
わち、アッシング等による薄膜のHFに対するエッチング耐性の劣化を抑制することが可
能となる。結果、高エッチング耐性および高アッシング耐性を有する薄膜を得ることがで
きる。
(c)また、本実施形態の成膜シーケンスによれば、高エッチング耐性および高アッシン
グ耐性を有する薄膜が得られる。これにより、係る薄膜を例えば各種半導体装置に適用し
た場合、信号遅延が起こり難く高速に動作する半導体装置を高集積化した状態で実現する
ことができる。
フラッシュメモリ、DRAM(Dynamic Random Access Mem
ory)、SRAM(Static Random Access Memory)等の
メモリデバイスや、ロジックデバイス等の半導体装置には、近年、高集積化が求められて
いる。これを実現するには、パターン幅とパターン間隔との和であるピッチを小さくする
等によりパターンを微細化し、個々の半導体装置のサイズを小さく形成する方法がある。
そこで、例えばトランジスタの微細化に対応するため、ゲート電極の周辺構造であるサイ
ドウオールスペーサ(SWS)等に低誘電率の薄膜を用いることが検討されている。また
、配線層を多層化することによっても半導体装置の高集積化を図ることができる。この場
合に、微細パターンにおけるパターン間や、多層配線層等の3次元構造における素子間や
配線層間を分離する層間絶縁膜として、低誘電率の薄膜を用いることが多くなってきてい
る。このように、SWSや層間絶縁膜を低誘電率の薄膜、すなわち、low−k膜特性を
備える薄膜とすることで、静電誘導等による信号伝搬の遅延(信号遅延)を抑えることが
可能となる。
本実施形態では、SiOC膜を成膜した後、更に、SiOC膜の改質工程を行って、S
iOC膜をSiOCN膜へと改質している。よって、高エッチング耐性および高アッシン
グ耐性を有する薄膜が得られ、高速動作で、かつ、高集積化した半導体装置を得ることが
できるようになる。
(d)本実施形態の基板処理装置は、原料ガス、触媒ガス、酸化ガス、改質ガス等の各ガ
スについて複数のガス供給ラインを備えていてもよく、分子構造がそれぞれ異なる複数種
類のガスの中から特定のガスを選択して供給可能に構成されていてもよい。このような装
置構成とすることにより、所望の膜組成等に応じて、複数種類のガスの中から特定の原料
ガスや触媒ガスや酸化ガスや改質ガスを選択して供給することが容易となる。よって、1
台の基板処理装置で様々な組成比、膜質の薄膜を汎用的に、かつ、再現性よく形成できる
ようになる。また、ガス種の追加や入替等に際しての装置運用の自由度を確保することが
できる。
(e)本実施形態の基板処理装置では、薄膜の成膜に用いられるプロセスレシピ(処理手
順や処理条件が記載されたプログラム)を、各ガスの種類ごと、つまり、異なるガス系ご
とに予め複数用意しておくことができる。また、本実施形態の基板処理装置では、触媒ガ
ス等の各ガスの供給量や流量等を異ならせる等、異なる処理条件ごとに複数のプロセスレ
シピを用意しておくことができる。これらにより、所望の膜組成、膜質、膜厚等に応じて
、複数種類のガスの中から特定の原料ガスや触媒ガスや酸化ガスや改質ガスを選択し、ま
た、それらの流量等を選択して供給することが容易となる。オペレータは、複数のプロセ
スレシピの中から所望の膜組成等に応じて、適正なプロセスレシピを適宜選択し、成膜処
理を実行すればよい。よって、1台の基板処理装置で様々な組成比、膜質、膜厚の薄膜を
汎用的に、かつ、再現性よく形成できるようになる。また、オペレータの操作負担(処理
手順や処理条件の入力負担等)を低減でき、操作ミスを回避しつつ、基板処理を迅速に開
始できるようになる。
(4)本実施形態の変形例
次に、本実施形態の変形例について、図5(b)および図6を用いて説明する。
(変形例)
上述のSiOC膜改質工程では、供給する改質ガスの種類を選択することにより、例え
ばN以外の元素をSiOC膜中へ添加する元素として選択することができる。
すなわち、SiOC膜改質工程では、改質ガスとして、それぞれ異なる元素を含む複数
種類の改質ガス、つまり、CおよびNのうち少なくともいずれかを含む複数種類の改質ガ
スの中から、Cを含む改質ガスである炭素含有ガス(C含有ガス)、Nを含む改質ガスで
あるN含有ガス、またはCおよびNを含む改質ガスのうち特定の改質ガスを選択して供給
することにより、SiOC膜中に含有させる元素を選択することができる。
複数種類の改質ガスの中から特定の改質ガスを選択して供給するには、それぞれ異なる
元素を含む複数種類の改質ガスや、分子構造がそれぞれ異なる複数種類の改質ガスをそれ
ぞれ供給する複数の供給ラインの中から特定の供給ラインを選択することで、特定の改質
ガスを供給することができる。上述のように、図4、図5(a)に示した成膜シーケンス
の例では、NHガス供給ライン、Cガス供給ラインの中からNHガス供給ライ
ンを選択することで、特定の改質ガスとしてNHガスを供給している。また、図5(b
)に示すように、本実施形態の変形例の成膜シーケンス例では、NHガス供給ライン、
ガス供給ラインの中からCガス供給ラインを選択することで、特定の改質
ガスとしてCガスを供給する。このように、改質ガスとしてNHガスの代わりに
ガスを用いることで、上述の実施形態で得られるSiOCN膜とは異なり、Cを
更に含むSiOC膜、つまり、改質前のSiOC膜よりもいっそうC濃度の高まったSi
OC膜が得られる。ここで、Cを更に含むSiOC膜を、Cが更にドープ(添加)された
SiOC膜ということもでき、Cが更に含有されたSiOC膜等ということもできる。
本変形例においては、上述のNHガス供給工程の代わりに、ウエハ200に対してC
ガスを供給する工程を含むSiOC膜改質工程を行う。ウエハ200に対するC
ガスの供給手順について以下に説明する。
(Cガス供給)
上述のステップ1a,2aと同様のステップを所定回数行ってウエハ200上にSiO
C膜を形成し、圧力調整および温度調整を行った後に、バルブ243fを開き、ガス供給
管232f内にCガスを流す。Cガスは、MFC241fにより流量調整さ
れ、ガス供給管232cを経てガス供給孔250cから処理室201内に供給され、排気
管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してCガスが供給されるこ
ととなる(Cガス供給)。このとき同時にバルブ243iを開き、ガス供給管23
2i内にNガス等の不活性ガスを流す。Nガスは、MFC241iにより流量調整さ
れ、Cガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
処理室201内に供給されたCガスは熱で活性化され、排気管231から排気さ
れる。このときウエハ200に対して、熱で活性化されたCガスが供給されること
となる。すなわち、処理室201内に流しているガスは熱的に活性化されたCガス
であり、処理室201内にはBTCSMガスやHOガスやピリジンガスは流していない
。したがって、Cガスは気相反応を起こすことはなく、活性化された状態でウエハ
200に対して供給され、ステップ1a,2aと同様のステップを所定回数行うことでウ
エハ200上に形成されたSiOC膜の少なくとも一部と反応する。これにより、SiO
C膜は、ノンプラズマで熱的に改質されて、Si,O,Cを含む薄膜、すなわち、Cを更
に含むSiOC膜へと変化させられる。
このとき、ウエハ200の温度を比較的高い温度とすることで、CガスとSiO
C膜との反応が促進され、CガスのC成分をSiOC膜中にまで入り込ませること
ができる。また、ウエハ200の温度を、SiOC膜を形成する工程におけるウエハ20
0の温度よりも高い温度とすることで、SiOC膜が水分を多く含む場合には、膜中から
水分が脱離し易くなる。SiOC膜の水分の抜けた部分には微小な孔(ポア)が生じ、S
iOC膜はポーラス状の膜となる。このような水分の抜けた孔にCが入り込むことで、C
成分がよりいっそうSiOC膜中に取り込まれ易くなり、SiOC膜の改質が膜の略全体
に及ぶこととなる。このとき、SiOC膜中に取り込まれたCの少なくとも一部が、膜中
の成分、例えばSi等とSi−C結合等を形成していてもよい。
このように、成膜後のSiOC膜を、Cを更に含むSiOC膜へと改質することで、ア
ッシング耐性の高い薄膜を得ることができる。これは、改質後のSiOC膜が、改質前の
SiOC膜よりも高濃度のCを含有することで、例えばアッシングにより所定量のCが膜
中から脱離したとしても、依然、膜中のC濃度を高いままに維持することができるからで
ある。Nの代わりにCを更に含むSiOC膜とすることで、ホットリン酸に対するウエッ
トエッチングレートも向上する。Nの代わりにCを更に含むSiOC膜とすることで、誘
電率も改質前のSiOC膜より低減させることができる。
成膜後のSiOC膜がCを更に含むSiOC膜に改質された後、バルブ243fを閉じ
、Cガスの供給を停止する。
なお、このときの処理室201内の圧力、改質ガス、Nガス等の各ガスの供給流量、
供給時間、ウエハ200の温度等の処理条件については、例えば上述の図4、図5(a)
のシーケンスにおける処理条件と同様の範囲内の処理条件とすることができる。C
ガスを供給する際は、上述の実施形態と同様、不使用となっているノズル249a,24
9b,249d内やバッファ室237内へのCガスの侵入を防止するNガス供給
を行う。
CおよびNのうち少なくともいずれかを含む改質ガスとしては、Cを含む改質ガスであ
るC含有ガスとして、Cガスの他、エチレン(C)ガス、メタン(CH
ガス等の炭化水素系ガスや、モノメチルシラン(CHSiH)ガス等を用いてもよい
。不活性ガスとしては、Nガスの他、上記に挙げた各種の希ガスを用いてもよい。
改質ガスとしては、CおよびNを含む改質ガスを用いることもできる。この場合には、
CおよびNを更に含むSiOCN膜を形成することができる。CおよびNを含む改質ガス
は、例えばCガス等のC含有ガスと、NHガス等のN含有ガスとを含むガスであ
ってもよい。CおよびNを含む改質ガスは、1分子中にCおよびNを含有するガス(Cお
よびN含有ガス)、例えばアミン系ガスを含んでいてもよい。アミン系ガスとしては、ト
リエチルアミン((CN、略称:TEA)ガス、ジエチルアミン((C
NH、略称:DEA)ガス、モノエチルアミン((C)NH、略称:MEA
)ガス、トリメチルアミン((CHN、略称:TMA)ガス、およびモノメチルア
ミン((CH)NH、略称:MMA)ガス等が挙げられる。
このように、CおよびNを含む改質ガスを用い、CおよびNを更に含むSiOCN膜を
形成することにより、改質前のSiOC膜よりもC濃度を高めることができ、新たに導入
されたNにより膜中の各元素の結合状態等も変化して、よりいっそうアッシング耐性の高
い膜が得られる。
以上のように、ウエハ200に対して供給するガスの種類を変更することにより、膜中
の組成等を異ならせる手法は、例えばSiOC膜形成工程に対しても適用できる。
すなわち、上述の原料ガスと触媒ガスとを供給する工程では、供給する原料ガスの種類
を、例えばBTCSMガス、BTCSEガス、TCDMDSガス、DCTMDSガス、お
よびMCPMDSガス等の中から適宜選択することにより、SiOC層中の、ひいては、
SiOC層が積層されてなるSiOC膜中のC濃度を制御することができる。すなわち、
原料ガスと触媒ガスとを供給する工程では、原料ガスとして、分子構造がそれぞれ異なる
複数種類の原料ガスの中から特定の原料ガスを選択して供給することにより、SiOC層
やSiOC膜中のC濃度を制御することができる。
選択される原料ガスの種類により、SiOC膜中のC濃度の制御が可能となる1要因と
しては、例えば各原料ガスの分子構造中におけるCの配置の違いが考えられる。1分子中
にSi−C−Si結合やSi−C−C−Si結合を有するアルキレンハロシラン系原料ガ
スであるBTCSMガスやBTCSEガス等は、CがSiに挟み込まれた分子構造をとる
。このため、余ったSiの結合手に多くのClが結合した状態が維持されている。例えば
BTCSMガスやBTCSEガスはいずれも、Siの4つの結合手のうち3つの結合手に
Clが結合している。分子中に多数含まれるClは、BTCSMガスやBTCSEガス等
の反応性を向上させると考えられる。これにより、BTCSMガスやBTCSEガス等を
使用することで、例えばSiOC膜の成膜レートが向上する。成膜レートが向上すること
で、BTCSMガスやBTCSEガス等を用いた成膜処理の使用可能な条件範囲(プロセ
スウインドウ)も拡張される。このように、広範なプロセスウインドウ内から、例えば所
望のC濃度が得られる成膜条件を選択することができるので、結果的に、SiOC膜中の
C濃度を高めることが容易となる。SiOC膜中のC濃度の制御性も向上させることがで
きる。BTCSMガス中に含まれるCの数は、例えばTCDMDSガス等と比較して少な
いが、この点は、SiOC膜中のC濃度の向上に不利には働かないと考えられる。本発明
者等によれば、例えばBTCSMガスを用いた方が、TCDMDSガスを用いた場合より
もC濃度の向上が比較的図られ易いことを確認している。
メチル基等のアルキル基がSiに結合したアルキルハロシラン系原料ガスであるTCD
MDSガスやDCTMDSガスやMCPMDSガス等は、クロロシラン系原料ガスの一部
のクロロ基がメチル基に置き換わった分子構造をとる。このようにガス分子中のClの数
が減る分、これらTCDMDSガスやDCTMDSガスやMCPMDSガス等においては
、反応が比較的ゆっくりと進行し、より緻密なSiOC膜が得られ易い。このため、例え
ばC濃度を適正に抑えたSiOC膜であっても、高いエッチング耐性を維持し易い。TC
DMDSガスとDCTMDSガスとの比較では、分子中にメチル基、つまりCを多数含む
DCTMDSガスの方が、膜中へのCの取り込み量に有利に働くことを確認している。
これと同様に、酸化ガスと触媒ガスとを供給する工程においても、所望の膜組成等に応
じて、供給する触媒ガスの種類を適宜選択することができる。例えば、それぞれ異なる分
子構造を有する触媒ガスは、例えば触媒作用の強さも異なると考えられる。係る触媒作用
の強さの違いが、触媒ガスの種類の選択によりSiOC膜の膜組成等の制御が可能となる
1要因として考えられる。例えば触媒作用の指標となるpKa値の大きい触媒ガスを選択
することで、酸化ガスの酸化力が向上してSi−C結合が切断され、C濃度が低下する傾
向が強くなることがある。また、例えばpKaの小さい触媒ガスを選択することで、酸化
ガスの酸化力が低下してSi−C結合が維持され、C濃度が高まる傾向が強くなることが
ある。SiOC膜の膜組成等の制御が可能となる他の要因としては、各種触媒ガスや生成
される塩等の触媒反応に関わる各種物質の蒸気圧の違い、または、これらpKa値や蒸気
圧の違い等が合わさった複合要因等が考えられる。このように、分子構造がそれぞれ異な
る複数種類の触媒ガスの中から特定の触媒ガスを選択して供給することにより、例えばS
iOC層やSiOC膜中のC濃度を制御することができる。
酸化ガスと触媒ガスとを供給する工程において供給する触媒ガスの種類は、原料ガスと
触媒ガスとを供給する工程において供給する触媒ガスの種類と同一としてもよいし、異な
らせてもよい。
上記原料ガスや触媒ガスの種類を選択する場合において、SiOC膜中のC濃度を制御
することで、Si濃度およびO濃度をも相対的に変化させてもよい。つまり、SiOC膜
の組成を全体的に変化させてもよく、また、SiOC膜の組成を全体的に制御することを
目的として上記原料ガスや触媒ガスの種類を選択してもよい。
上述の1a,2aのセットを複数回行う場合、その途中で、原料ガスや触媒ガスの種類
を変更してもよい。1a,2aのセットを複数回行う場合、その途中で、触媒ガスの供給
量を変更してもよい。これにより、SiOC膜中のC濃度を膜厚方向で変化させることが
できる。
(他の変形例)
上述の実施形態では、SiOC膜形成工程とSiOC膜改質工程とを、処理に係るウエ
ハ200を同一の処理室201内に収容した状態で行う例について説明した。本変形例に
おいては、SiOC膜形成工程とSiOC膜改質工程とを、処理に係るウエハ200をそ
れぞれ異なる処理室内に収容して行う。
すなわち、図6に示すように、例えばSiOC膜形成工程を、上述の実施形態と同様、
図1、図2に示す基板処理装置(以下、第1基板処理部ともいう)が備える処理室201
(以下、第1処理室ともいう)内で行う。第1基板処理部を構成する各部の動作はコント
ローラ121(以下、第1制御部ともいう)により制御される。そして、上述のステップ
1a,2aと同様のステップ1b,2bを含むセットを所定回数実施した後、処理室20
1内のパージおよび大気圧復帰、ボートアンロード、ウエハディスチャージを順次実行す
る。
続いて、ボート217より取り出されたウエハ200上に形成されたSiOC膜を改質
する工程を、処理室201とは異なる処理室内で行う。係る処理室としては、例えば上述
の実施形態と同様の基板処理装置であって、SiOC膜形成工程を行った装置とは別の基
板処理装置(以下、第2基板処理部ともいう)が備える処理室(以下、第2処理室ともい
う)を用いることができる。第2基板処理部を構成する各部の動作は第2制御部により制
御される。第2基板処理部においては、第1基板処理部において上述の実施形態と同様に
、ウエハチャージ、ボートロードを順次実行する。また、上述の実施形態のSiOC膜改
質工程を行うときと同様に、圧力調整、温度調整、NHガス供給、残留ガス除去を行う
。その後は、上述の実施形態と同様に、パージ、大気圧復帰、ボートアンロードおよびウ
エハディスチャージを順次実行する。
上記の場合において、主に、SiOC膜を形成する第1基板処理部とSiOC膜を改質
する第2基板処理部とにより基板処理システムが構成されることとなる。
以上のように、SiOC膜形成工程とSiOC膜改質工程とは、同一の処理室201内
にて(In−Situで)行うこともでき、それぞれ異なる処理室(第1処理室および第
2処理室)内にて(Ex−Situで)行うこともできる。In−Situで両工程を行
えば、途中、ウエハ200が大気曝露されることなく、ウエハ200を真空下に置いたま
ま、一貫して処理を行うことができる。よって、よりいっそう安定した成膜処理を行うこ
とができる。Ex−Situで両工程を行えば、それぞれの処理室内の温度を例えば各工
程での処理温度又はそれに近い温度に予め設定しておくことができ、温度調整に要する時
間を短縮することができる。よって、よりいっそう生産効率を高めることができる。
SiOC膜を改質処理する処理室は、上述の実施形態の基板処理装置とは異なる装置、
例えば熱処理に用いる熱処理炉や拡散を行う拡散炉等が備える処理室であってもよい。基
板処理システムは、第1基板処理部と第2基板処理部とが、上記のようにそれぞれ独立し
た装置(スタンドアローン型装置)群として構成されていてもよく、第1基板処理部と第
2基板処理部とが、同一のプラットフォームに搭載された1つの装置(クラスタ型装置)
として構成されていてもよい。これらのような基板処理システムにおいても、例えば図4
、図5(a)のシーケンスにおける処理条件と同様の範囲内の処理条件にて薄膜を形成す
ることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
(1)薄膜形成工程
上述の実施形態では、ステップ1a,2aを含むセットを所定回数行ってSiOC膜を
形成し、そのSiOC膜を改質ガスにより改質する例について説明した。本実施形態にお
いては、上述のステップ1a,2aと同様に行うステップ1c,2cにより形成したSi
OC層を、Nを更に含むSiOCN層に改質するサイクルを所定回数行って、SiOCN
膜を形成する。本実施形態においても、上述の実施形態と同様、図1、図2に示す基板処
理装置を用いる。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントロー
ラ121により制御される。
図7、図8(a)に示すように、本実施形態では、
ウエハ200に対して原料ガスとしてのBTCSMガスと、触媒ガスとしてのピリジン
ガスと、を供給する工程と(ステップ1c)、
ウエハ200に対して酸化ガスとしてのHOガスと、触媒ガスとしてのピリジンガス
と、を供給する工程と(ステップ2c)、
ウエハ200に対してCおよびNのうち少なくともいずれかを含む改質ガスとして、N
を含む改質ガスとしてのNHガスを供給する工程と(ステップ3c)、
をこの順に行うサイクルを所定回数行うことにより、ウエハ200上に、Si,O,C
およびNを含む薄膜としてのSiOCN膜を形成する例について説明する。
このとき、ウエハ200に対してNHガスを供給する工程では、プラズマ状態に励起
されたNHガスをウエハ200に対して供給する。
なお、本シーケンスが上述の実施形態の成膜シーケンスと異なるのは、NHガスをプ
ラズマ状態に励起して供給するステップ3c、及びこれを含む各ステップの実施順のみで
あり、その他の個々のステップ1c,2cは上述の実施形態と同様である。以下、本実施
形態のステップ3c、及びこれを含む各ステップの実施順について説明する。
[ステップ3c]
(NHガス供給)
ステップ2cが終了し処理室201内の残留ガスを除去した後、バルブ243dを開き
、ガス供給管232d内にNHガスを流す。NHガスは、MFC241dにより流量
調整され、ガス供給孔250dからバッファ室237内に供給される。このとき、棒状電
極269,270間に高周波電源273から整合器272を介して高周波(RF)電力を
印加することで、バッファ室237内に供給されたNHガスはプラズマ励起され、活性
種としてガス供給孔250eから処理室201内に供給され、排気管231から排気され
る。このときウエハ200に対して、プラズマ状態に活性化(励起)されたNHガスが
供給されることとなる(NHガス供給)。このとき同時にバルブ243jを開き、ガス
供給管232j内にNガスを流す。Nガスは、MFC241jにより流量調整され、
NHガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。各ガスを
供給する際は、上述の実施形態と同様、そのとき不使用となっているノズル249a〜2
49c等へのNHガスの侵入を防止するNガス供給を適宜行う。
このとき、APCバルブ244を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば大
気圧未満の圧力、好ましくは1〜13330Pa(0.0075〜100Torr)、よ
り好ましくは133〜2666Pa(1〜20Torr)の範囲内の圧力とする。MFC
241dで制御するNHガスの供給流量は、例えば1〜2000sccm、好ましくは
10〜1000sccmの範囲内の流量とする。MFC241g〜241jで制御するN
ガスの供給流量は、それぞれ例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする
。NHガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば1〜100秒、好ましくは
5〜60秒の範囲内の時間とする。
ヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、ステップ1c,2cでのウエハ200
の温度と同様な温度帯、すなわち、例えば室温以上150℃以下、好ましくは室温以上1
00℃以下、より好ましくは50℃以上100℃以下の範囲内の温度となるように設定す
る。高周波電源273から棒状電極269,270間に印加する高周波電力は、例えば5
0〜1000Wの範囲内の電力となるように設定する。
このとき、処理室201内に流しているガスはプラズマ状態に励起されたNHガスで
あり、例えばNラジカル(N)等の活性種を含んでいる。また、処理室201内にはB
TCSMガスやHOガスやピリジンガスは流していない。したがって、NHガスは気
相反応を起こすことはなく、活性化された状態でウエハ200に対して供給される。主に
この活性種により、ステップ1c,2cでウエハ200上に形成された第2の層としての
SiOC層に対して改質処理が行われる。この活性種の持つエネルギーは、例えば上述の
実施形態のように、熱的に活性化されたNHガスが持つエネルギーよりも高い。このた
め、活性種のエネルギーをSiOC層に与えることで、SiOC層中に含まれるSi−O
結合、Si−C結合等の少なくとも一部が切り離される。活性種であるNは、OやCと
の結合を切り離されたSiの余った結合手と結びつく。このように、SiOC層中に取り
込まれたNのうち少なくとも一部は、Si−N結合を形成すると考えられる。また、Nの
一部がOやCの余った結合手と結びついて、N−O結合やN−C結合を形成してもよい。
このようにして、第2の層としてのSiOC層は、Nを含む第3の層、すなわち、SiO
CN層へと変化させられる(改質される)。
(残留ガス除去)
第3の層としてのSiOCN層がウエハ200上に形成された後、高周波電源273か
ら棒状電極269,270間への高周波電力の印加を停止する。また、バルブ243dを
閉じ、NHガスの供給を停止する。このとき、上述の実施形態と同様の手順にて、処理
室201内から残留ガスの除去を行う。
CおよびNのうち少なくともいずれかを含む改質ガスとしては、Nを含む改質ガスとし
てNHガスの他、上記に挙げたN含有ガスを用いてもよい。不活性ガスとしては、N
ガスの他、上記に挙げた各種の希ガスを用いてもよい。
(所定回数実施)
ステップ1c,2c,3cを1サイクルとして、このサイクルを1回以上、つまり、所
定回数(n回)行うことにより、ウエハ200上に、所定組成及び所定膜厚のSiOCN
膜を成膜することができる。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。すなわち
、1サイクルあたりに形成するSiOCN層の厚さを所望の膜厚よりも小さくして、上述
のサイクルを所望の膜厚になるまで複数回繰り返すのが好ましい。
その後、上述の実施形態と同様の手順にて、パージ、大気圧復帰、ボートアンロード及
びウエハディスチャージを行って、本実施形態の成膜処理を終了する。
(2)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を奏する他、以下に示す1つま
たは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態の成膜シーケンスによれば、ステップ3cで、プラズマ状態に励起され
たNHガスをウエハ200に対して供給する。これにより、NHガスが、熱的に活性
化された状態よりもいっそう活性化された状態となり、NHガスのSiOC層に対する
改質作用を著しく高めることができる。活性種であるNは、単にSiOC層中に取り込
まれるのみならず、その多くがSi等と結合し、より強固で安定した状態で、SiOC層
中に含まれることとなる。すなわち、係る改質処理によって得られるSiOCN層を、S
i−N結合等を多く含むより強固で安定した層とすることができる。よって、最終的に得
られるSiOCN膜をよりいっそう良質な薄膜とすることができる。
(b)また、本実施形態の成膜シーケンスによれば、ステップ3cで、プラズマ状態に励
起されたNHガスにより、SiOC層に対する改質作用を著しく高めることができる。
これにより、例えば150℃以下の低温条件下であっても、SiOC層の改質処理を充分
に行うことができる。よって、ウエハ200の受ける熱履歴をいっそう改善することがで
きる。
例えば、トランジスタのゲート周辺には、低融点金属材料を用いることが増えてきた。
このため、SWSや層間絶縁膜等に用いられ、low−k膜特性を備える薄膜等の形成時
には、例えば150℃以下、ときに100℃以下の低温下での成膜が求められている。
本実施形態では、SiOC膜の成膜工程およびSiOC膜の改質工程をともに、例えば
150℃以下の低温下で行って、SiOCN膜を形成している。よって、高エッチング耐
性および高アッシング耐性を有する薄膜が得られ、高速動作で、かつ、高集積化した半導
体装置を得ることができる。
(c)また、本実施形態の成膜シーケンスによれば、ステップ3cにおけるウエハ200
の温度を、ステップ1c,2cでのウエハ200の温度と等しい温度とする。これにより
、例えばステップ1c,2c,3cをこの順に行うサイクルを所定回数行うときに、途中
で温度調整を行うことなく各ステップを実施することができる。よって、ウエハ200の
昇温や降温に要する時間を省いて1サイクルあたりの処理時間を短縮することができ、ト
ータルでの処理時間を短縮することが可能となる。
(3)本実施形態の変形例
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図8(b)に示すように、変形例では、SiOC層の改質処理において、Nを含む改質
ガスの代わりに、CおよびNを含む改質ガスを用いてもよい。CおよびNを含む改質ガス
としては、C含有ガスとN含有ガスとを含むガスを用いてもよく、例えばCガス及
びNHガスを共にプラズマ状態に励起してウエハ200に対して供給してもよい。この
場合、Cガスは、処理室201内に供給されたNHガスのプラズマにより、処理
室201内において間接励起するのが好ましい。或いは、CおよびNを含む改質ガスとし
て、例えばアミン系ガスをプラズマ状態に励起してウエハ200に対して供給してもよい
。この場合、アミン系ガスは、例えばバッファ室237外の処理室201内に設けたノズ
ルから供給し、バッファ室237内にてプラズマ状態に励起され処理室201内に供給さ
れたNガス等のアシストガスにより、処理室201内において間接励起するのが好まし
い。これにより、CおよびNを更に含むSiOCN膜が得られる。
他の変形例では、SiOC層の改質処理において、Nを含む改質ガスの代わりに、Cを
含む改質ガスを用いてもよい。Cを含む改質ガスとしては、例えばCガスを、好ま
しくはアシストガスによる間接励起によってプラズマ状態に励起して、ウエハ200に対
して供給してもよい。これにより、Cを更に含むSiOC膜が得られる。
さらに他の変形例では、SiOC層の改質処理において、Cを含む改質ガスとして、C
ガスをプラズマ状態に励起してウエハ200に対して供給するのではなく、C
ガスを触媒ガスとしてのピリジンガスと共にウエハ200に対して供給してもよい。C
ガスをピリジンガスと共に供給することによっても、例えば150℃以下の低温条
件下にて、Cガスを活性化し、CガスのSiOC層に対する改質を行うこと
ができる。また、SiOC層の改質処理におけるウエハ200の温度を、SiOC層の形
成時のウエハ200の温度と同等とすることができ、1サイクルあたりの処理時間を短縮
することができる。
これらの変形例における処理室201内の圧力、改質ガス、Nガス等の各ガスの供給
流量、供給時間、ウエハ200の温度等の処理条件については、例えば図7、図8(a)
のシーケンスにおける処理条件と同様の範囲内の処理条件とすることができる。触媒ガス
を用いる場合の触媒ガスの供給流量等については、例えば1〜2000sccm、好まし
くは10〜1000sccmの範囲内の流量とすることができる。各ガスを供給する際は
、上述の実施形態と同様、不使用となっているノズル249a〜249dやバッファ室2
37等への各ガスの侵入を防止するNガス供給を行う。
なお、上述の第2実施形態及びその変形例では、ウエハ200に対して各ガスを供給す
る工程を順次行うサイクルを所定回数行うこととした。しかし、上述の第1実施形態と同
様、ステップ1a,2aと同様に行うステップを含むセットを所定回数行うことにより、
まずは、ウエハ200上にSiOC膜を形成することとしてもよい。そのうえで、改質ガ
スをプラズマ状態に励起して、或いは、改質ガスとしてのCガスをピリジンガスと
共に、ウエハ200に対して供給してもよい。これにより、係るSiOC膜を改質してC
やN等を更に含むSiOC膜やSiOCN膜としてもよい。この場合も、例えば図7、図
8(a)のシーケンスにおける処理条件と同様の範囲内の処理条件とすることができる。
但し、Cガスをピリジンガスと共にウエハ200に対して供給することでSiO
C膜を改質する場合には、ウエハ200の温度を、SiOC膜を形成するときのウエハ2
00の温度よりも高い温度とすることが好ましい。具体的には、ウエハ200の温度を例
えば上述の第1実施形態のSiOC膜改質工程におけるウエハ200の温度と同様な温度
に設定することが好ましい。SiOC膜を改質するときのウエハ200の温度が、例えば
図4、図5(a)に示すシーケンスのSiOC膜形成工程におけるウエハ200の温度と
同程度であると、少なくともSiOC膜の表層部分を改質させる効果は得られるものの、
ガスによる改質作用が膜全体に及ばない可能性がある。SiOC膜を改質すると
きのウエハ200の温度を、SiOC膜を形成するときのウエハ200の温度より高い温
度とすることで、Cガスによる改質作用をSiOC膜の略全体に行きわたらせるこ
とができ、より均質な薄膜を得ることができる。また、SiOC膜中から水分が脱離し易
くなり、水分の抜けた孔にCが取り込まれ易くなる。
改質ガスをプラズマ状態に励起してウエハ200に対して供給することでSiOC膜を
改質する場合には、ウエハ200の温度を例えばステップ1a,2aと同様に行うステッ
プにおけるウエハ200の温度と等しい温度とすることができる。プラズマ状態に励起さ
れた改質ガスは、より活性な状態となっているため、このような低温条件下であっても、
改質ガスの改質作用をSiOC膜の略全体に行きわたらせることができる。但し、プラズ
マを用いる場合であっても、ウエハ200の温度をステップ1a,2aと同様に行うステ
ップにおけるウエハ200の温度より高めてもよく、ウエハ200の温度を例えば500
℃以下の温度とすることができる。ウエハ200の温度が500℃までであれば、温度を
高めるほどSiOC膜中から水分が脱離し易くなり、水分の抜けた孔にC,N等が取り込
まれ易くなる。ウエハ200の温度が500℃を超えると、水分の脱離およびC,N等の
取り込みの効果はそれ以上には高まらないことがある。よって、ウエハ200の温度を5
00℃以下とすることで、ウエハ200の熱履歴を不必要に悪化させることなく、SiO
C膜中からの水分の脱離、及びSiOC膜中へのC,N等の取り込みの効果を高めること
ができる。特に、ウエハ200の温度を300℃以上500℃以下、好ましくは300℃
以上400℃以下とすることで、これらの効果をより高めることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
(1)薄膜形成工程
上述の実施形態では、BTCSMガス等のSi源およびC源となる原料ガスを用いてS
iOC膜を形成し、そのSiOC膜を改質ガスにより改質する例について説明した。本実
施形態においては、Si源となるがC源とはならない原料ガスを用いてSiO膜を形成し
、そのSiO膜を改質ガスにより改質する。本実施形態においても、上述の実施形態と同
様、図1、図2に示す基板処理装置を用いる。以下の説明において、基板処理装置を構成
する各部の動作はコントローラ121により制御される。
図9、図10(a)に示すように、本実施形態では、
ウエハ200に対してSi源となるがC源とはならない原料ガスとして、Siおよびハ
ロゲン元素を含む原料ガスとしてのHCDSガスと、触媒ガスとしてのピリジンガスと、
を供給する工程と(ステップ1d)、
ウエハ200に対して酸化ガスとしてのHOガスと、触媒ガスとしてのピリジンガス
と、を供給する工程と(ステップ2d)、
を含むセットを所定回数(n回)行うことにより、ウエハ200上に、SiおよびOを
含む第1の薄膜としてSiO膜を形成する工程と、
ウエハ200に対してCおよびNのうち少なくともCを含む改質ガスとして、Cおよび
Nを含む改質ガスとしてのCガスおよびNHガスを供給する工程を行うことによ
り、SiO膜を、CおよびNを更に含む第2の薄膜としてのSiOCN膜に改質する例に
ついて説明する。
(SiO膜形成工程)
上述の実施形態等と同様、ウエハチャージ、ボートロード、圧力調整および温度調整を
行った後、次の2つのステップ、すなわち、ステップ1d,2dを順次実行する。
[ステップ1d]
(HCDSガス+ピリジンガス供給)
バルブ243eを開き、ガス供給管232e内にHCDSガスを流す。HCDSガスは
、MFC241eにより流量調整され、ガス供給孔250aから処理室201内に供給さ
れ、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してHCDSガスが供給
されることとなる(HCDSガス供給)。このとき同時にバルブ243gを開き、ガス供
給管232g内にNガス等の不活性ガスを流す。Nガスは、MFC241gにより流
量調整され、BTCSMガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気
される。
また、上述のピリジンガスの供給と同様にして、ウエハ200に対してピリジンガスを
供給する。各ガスを供給する際は、上述の実施形態と同様、不使用となっているノズル2
49b,249d内やバッファ室237内への各ガスの侵入を防止するNガス供給を行
う。
このように、ウエハ200に対してHCDSガスを供給することにより、ウエハ200
(表面の下地膜)上に、第1の層として、例えば1原子層未満から数原子層程度の厚さの
Clを含むSi含有層が形成される。Clを含むSi含有層は、Clを含むSi層であっ
てもよいし、HCDSガスの吸着層であってもよいし、その両方を含んでいてもよい。
Clを含むSi層とは、Siにより構成されClを含む連続的な層の他、不連続な層や
、これらが重なってできるClを含むSi薄膜をも含む総称である。Siにより構成され
Clを含む連続的な層を、Clを含むSi薄膜という場合もある。Clを含むSi層を構
成するSiは、Clとの結合が完全に切れていないものの他、Clとの結合が完全に切れ
ているものも含む。
HCDSガスの吸着層は、HCDSガスのガス分子の連続的な吸着層の他、不連続な吸
着層をも含む。すなわち、HCDSガスの吸着層は、HCDS分子で構成される1分子層
もしくは1分子層未満の厚さの吸着層を含む。HCDSガスの吸着層を構成するHCDS
(SiCl)分子は、SiとClとの結合が一部切れたものも含む。すなわち、HC
DSガスの吸着層は、HCDS分子の化学吸着層や、HCDS分子の物理吸着層を含む。
触媒ガスとしてのピリジンガスは、ウエハ200の表面に存在するO−H結合の結合力
を弱め、HCDSガスの分解を促し、HCDS分子の化学吸着による第1の層の形成を促
進させる。すなわち、例えばウエハ200の表面に存在するO−H結合に、触媒ガスとし
てのピリジンガスが作用してO−H間の結合力を弱める。結合力の弱まったHとHCDS
ガスのClとが反応することで塩化水素(HCl)ガスが生成されて脱離し、Clを失っ
たHCDS分子(ハロゲン化物)がウエハ200の表面に化学吸着する。すなわち、ウエ
ハ200の表面に、HCDSガスの化学吸着層が形成される。このように、触媒ガスとし
てのピリジンガスは、HCDSガスに対しても、上述のBTCSMガス等のSi源および
C源となる原料ガスの場合と同様の触媒作用を示す。
なお、このときの処理室201内の圧力、原料ガス、触媒ガス、Nガス等の各ガスの
供給流量、供給時間、ウエハ200の温度等の処理条件については、例えば上述の図4、
図5(a)のシーケンスにおける処理条件と同様の範囲内の処理条件とすることができる
(残留ガス除去)
第1の層としてのClを含むSi含有層がウエハ200上に形成された後、バルブ24
3eを閉じ、HCDSガスの供給を停止する。また、上述の実施形態と同様の手順にて、
ピリジンガスの供給を停止し、処理室201内から残留ガスの除去を行う。
Si源となるがC源とはならない原料ガスとしては、Siおよびハロゲン元素を含む原
料ガスとして、HCDSガスの他、シリコンテトラクロライド(SiCl、略称:ST
C)ガス、トリクロロシラン(SiHCl、略称:TCS)ガス、ジクロロシラン(S
iHCl、略称:DCS)ガス、およびモノクロロシラン(SiHCl、略称:M
CS)ガス等の、ガス分子中にCを含まないクロロシラン系原料ガス等を用いてもよい。
触媒ガスとしては、ピリジンガスの他、上記に挙げた各種のアミン系触媒ガスを用いても
よい。不活性ガスとしては、Nガスの他、上記に挙げた各種の希ガスを用いてもよい。
[ステップ2d]
(HOガス+ピリジンガス供給)
ステップ1dが終了し処理室201内の残留ガスを除去した後、上述の実施形態と同様
の手順にて、ウエハ200に対してHOガス及びピリジンガスを供給する。また、H
Oガスやピリジンガスを供給する際は、上述の実施形態と同様、不使用となっているノズ
ル249a,249d内やバッファ室237内への各ガスの侵入を防止するNガス供給
を行う。
ウエハ200に対して、熱で活性化されたHOガスが供給されることで、ステップ1
dでウエハ200上に形成された第1の層(Clを含むSi含有層)の少なくとも一部と
反応し、第1の層は、ノンプラズマで熱的に酸化されて、SiおよびOを含む第2の層、
すなわち、SiO層へと変化させられる。
触媒ガスとしてのピリジンガスは、HOガスが有するO−H結合に作用し、O−H間
の結合力を弱める。結合力の弱まったHと、ウエハ200上に形成された第1の層が有す
るClとが反応することで、HClガスが生成されて脱離し、Hを失ったHOガスのO
が、Clが脱離した第1の層のSiと結合する。このように、触媒ガスとしてのピリジン
ガスは、Clを含むSi含有層を改質する場合においても、上述のCおよびClを含むS
i含有層を改質する場合と同様の触媒作用を示す。
なお、このときの処理室201内の圧力、酸化ガス、触媒ガス、Nガス等の各ガスの
供給流量、供給時間、ウエハ200の温度等の処理条件については、例えば上述の図4、
図5(a)のシーケンスにおける処理条件と同様の範囲内の処理条件とすることができる
例えば150℃以下の低温条件下では、水分(HO)を比較的多く含んだSiO層や
、このようなSiO層が積層されてなるSiO膜が形成され易い。SiO層やSiO膜中
に含まれる水分は、例えば、酸化ガスとして用いたHOガス等に由来する。
(残留ガス除去)
第2の層がウエハ200上に形成された後、上述の実施形態と同様の手順にて、HCD
Sガスおよびピリジンガスの供給を停止し、処理室201内から残留ガスの除去を行う。
酸化ガスとしては、HOガスの他、上記に挙げた各種のガスを用いてもよい。触媒ガ
スとしては、ピリジンガスの他、上記に挙げた各種のアミン系触媒ガスを用いてもよい。
不活性ガスとしては、Nガスの他、上記に挙げた各種の希ガスを用いてもよい。
(所定回数実施)
上述したステップ1d,2dを1セットとして、このセットを1回以上、つまり、所定
回数(n回)行うことにより、ウエハ200上に、第1の薄膜として、所定組成及び所定
膜厚のSiO膜を成膜することができる。上述のセットは、複数回繰り返すのが好ましい
。すなわち、1セットあたりに形成するSiO層の厚さを所望の膜厚よりも小さくして、
上述のセットを所望の膜厚になるまで複数回繰り返すのが好ましい。
このとき、各ステップにおける処理室201内の圧力やガス供給時間等の処理条件を制
御することで、SiO層における各元素成分、すなわち、Si成分およびO成分の割合、
すなわち、Si濃度およびO濃度を調整することができ、SiO膜の組成比を制御するこ
とができる。
(SiO膜改質工程)
以上のように、ガス分子中にCを含まないHCDSガスを原料ガスとして用いることで
、少なくとも原料ガス由来のCが膜中に含まれることはなく、上記のようなSiO膜が形
成される。SiO膜改質工程においては、例えばCおよびNを含む改質ガスとして、C含
有ガスであるCガス、およびN含有ガスであるNHガスを用いてSiO膜の改質
を行う。
(Cガス+NHガス供給)
上述の第1実施形態と同様の手順にて圧力調整及び温度調整を行った後、上述のC
ガスの供給、およびNHガスの供給と同様の手順にてウエハ200に対してC
ガス及びNHガスを供給する。
ウエハ200に対して熱で活性化されたCガス及びNHガスを供給することで
、ステップ1d,2dを所定回数行うことによりウエハ200上に形成された第1の薄膜
(SiO膜)の少なくとも一部と、Cガス及びNHガスとが反応する。これによ
り、SiO膜は、ノンプラズマで熱的に改質されて、Si,O,CおよびNを含む第2の
薄膜、すなわち、SiOCN膜へと変化させられる。
このとき、ウエハ200の温度を比較的高い温度とすることで、Cガス及びNH
ガスとSiO膜との反応が促進され、C成分およびN成分をSiO膜中にまで入り込ま
せることができる。また、ウエハ200の温度を、上述のSiO膜を形成する工程におけ
るウエハ200の温度よりも高い温度とすることで、上述のように、SiO膜が水分を多
く含む場合には、膜中から水分が脱離し易くなる。SiO膜の水分の抜けた部分には微小
な孔(ポア)、すなわち、微小な空間が生じ、SiO膜はポーラス状の膜となる。このよ
うな水分の抜けた孔にCやNが入り込むことで、C成分およびN成分がよりいっそうSi
O膜中に取り込まれ易くなり、SiO膜の改質が膜の略全体に及ぶこととなる。このとき
、SiO膜中に取り込まれたCやNの少なくとも一部が、膜中の成分、例えばSi等とS
i−C結合やSi−N結合等を形成していてもよい。
なお、このときの処理室201内の圧力、改質ガス、Nガス等の各ガスの供給流量、
供給時間、ウエハ200の温度等の処理条件については、例えば上述の図4、図5のシー
ケンスにおける処理条件と同様の範囲内の処理条件とすることができる。また、C
ガス及びNHガスを供給する際は、上述の実施形態と同様、不使用となっているノズル
249a,249b内への各ガスの侵入を防止するNガス供給を行う。
(残留ガス除去及びパージ)
第2の薄膜としてのSiOCN膜がウエハ200上に形成された後、上述の図4、図5
のシーケンスと同様の手順で、Cガス及びNHガスの供給を停止する。このとき
、上述の実施形態と同様の手順にて、処理室201内から残留ガスの除去、および処理室
201内のパージを行う。
その後、上述の図4、図5(a)のシーケンスと同様の手順にて、大気圧復帰、ボート
アンロード及びウエハディスチャージを行って、本実施形態の成膜処理を終了する。
CおよびNを含む改質ガスとしては、Cガス及びNHガスの他、上記に挙げた
各種のC含有ガスおよびN含有ガスを用いてもよい。CおよびNを含む改質ガスとして、
上記に挙げた各種のアミン系ガスを用いてもよい。
上記においては、CおよびNを含む改質ガスを用いてSiOCN膜を形成することとし
たが、例えば図10(b)に示す変形例のように、CおよびNを含む改質ガスの代わりに
、Cガス等のCを含む改質ガスを熱的に活性化して用いてもよい。これにより、S
iO膜を改質して、Si,OおよびCを含む薄膜としてSiOC膜を形成することができ
る。または、CおよびNを含む改質ガスの代わりに、NHガス等のNを含む改質ガスを
熱的に活性化して用いてもよい。このように、Nを含む改質ガスによりSiO膜を改質し
て、Si,OおよびNを含む薄膜としてSiON膜を形成することもできる。SiON膜
を、Nを含むSiO膜、Nがドープ(添加)されたSiO膜等ということもできる。これ
らの場合においても、例えば図9、図10(a)のシーケンスにおける処理条件と同様の
範囲内の処理条件とすることができる。
(2)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、上述の実施形態と同様の効果を奏する他、以下に示す1つまたは
複数の効果を奏する。
(a)本実施形態の成膜シーケンスによれば、ステップ1d,2dでSiO膜を形成した
後、CおよびNを含む改質ガスによりSiO膜を改質してSiOCN膜を形成する。これ
により、ガス分子中にCを含まないクロロシラン系原料ガス等を用いても、SiOCN膜
を得ることができる。つまり、よりシンプルで安価なガス系により、高エッチング耐性お
よび高アッシング耐性を有する薄膜を得ることが可能となる。
(b)本実施形態の成膜シーケンスによれば、ステップ1d,2dでSiO膜を形成した
後、Cを含む改質ガスによりSiO膜を改質してSiOC膜を形成する。このとき、例え
ばSiO膜改質工程の時間を長くしていくことで、上述のSi源およびC源となる原料ガ
スを用いて形成されるSiOC膜よりもC濃度の高いSiOC膜を得ることも可能である
。このように、膜中のC濃度を高めておくことで、例えばアッシング後であっても膜中の
C濃度を高いままに維持することができ、アッシング耐性の高い薄膜とすることができる
。よって、よりシンプルで安価なガス系により、高エッチング耐性および高アッシング耐
性を有する薄膜を得ることが可能となる。
(3)本実施形態の変形例
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図10(b)に示す変形例のほか、図11および図12(a)に示すように、本実施形
態の他の変形例では、Cガス及びNHガスをプラズマ状態に励起してSiO層の
改質を行う。
すなわち、
ウエハ200に対して原料ガスとしてのHCDSガスと、触媒ガスとしてのピリジンガ
スと、を供給する工程と(ステップ1e)、
ウエハ200に対して酸化ガスとしてのHOガスと、触媒ガスとしてのピリジンガス
と、を供給する工程と(ステップ2e)、
ウエハ200に対してCおよびNを含む改質ガスとしてCガス及びNHガスを
プラズマ状態に励起して供給する工程と(ステップ3e)、
をこの順に行うサイクルを所定回数行うことにより、ウエハ200上に、Si,O,C
およびNを含む薄膜としてのSiOCN膜を形成してもよい。
NHガスは、それ自体がプラズマ励起され易く、プラズマ状態となって活性化された
状態となる。Cガスは、単独ではプラズマ励起され難いガスであるが、処理室20
1内に供給されたNHガスのプラズマで、処理室201内において間接的に励起される
ことで、プラズマ状態となって活性化された状態となる。このように、活性化されたC
ガス及びNHガスにより、ステップ1e,2eによりウエハ200上に形成された
SiO層を改質してSiOCN層を形成することができる。
CおよびNを含む改質ガスとしては、Cガス及びNHガスの他、上記に挙げた
各種のC含有ガスおよびN含有ガスを用いてもよい。CおよびNを含む改質ガスとして、
上記に挙げた各種のアミン系ガスを用いてもよい。選択したアミン系ガスが単独でプラズ
マ励起され難いガスであるときは、アシストガスを用いた方法により、アミン系ガスをプ
ラズマ状態に励起してもよい。
また、図12(b)に示すように、本実施形態の更に他の変形例では、Cガス及
びNHガスの代わりに、Cガスをプラズマ状態に励起してSiO層をSiOC層
に改質してもよい。このとき、以下に述べるように、アシストガスを用いることができる
。また、本実施形態の更に他の変形例として、Cガス及びNHガスの代わりに、
NHガスをプラズマ状態に励起してSiO層をSiON層に改質してもよい。このよう
に、Nを含む改質ガスを用いることにより、Si,OおよびNを含む薄膜としてSiON
膜を形成することもできる。
上記のように、Cガスは、単独ではプラズマ励起され難いガスである。一方で、
例えばNガスは電離エネルギーが比較的低く、それ自体がプラズマ励起され易いガスで
ある。このNガスを、プラズマの着火をアシストするアシストガスとして用いる。つま
り、Cガスの供給を開始すると同時に、バルブ243jを開き、ガス供給管232
j内にNガスを流す。Nガスは、MFC241jにより流量調整され、ガス供給孔2
50dからバッファ室237内に供給され、高周波(RF)電力が棒状電極269,27
0に印加されることでNガスがプラズマ状態となる。処理室201内に供給されたN
ガスのプラズマで、処理室201内に供給されたCガスが間接励起されることで、
ガスもプラズマ状態となって活性化された状態となる。このとき、例えばN
スの供給をCガスの供給より先に開始してもよい。つまり、まず、プラズマ状態と
なったNガスを単独で処理室201内に供給し、そこへ、Cガスを供給してもよ
い。これにより、プラズマ状態となったNガス雰囲気中にCガスが供給されるこ
ととなり、Cガスがよりいっそうプラズマで励起され易くなる。なお、Nガスは
、プラズマ中でのCガスの解離をアシストするアシストガスとして作用してもよい
このように活性化されたCガスにより、SiO層を改質してSiOC層を形成す
ることができる。プラズマ状態に活性化されたCガスによりSiO層を改質するこ
とで、例えば、上述の熱的に活性化されたCガスにより得られるSiOC膜よりも
、いっそうC濃度の高いSiOC層やSiOC膜を得ることができる。
プラズマの着火をアシストするアシストガスとしては、Nガスの他、Arガス、He
ガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いてもよい。
また、本実施形態の更に他の変形例として、Cガスを触媒ガスとしてのピリジン
ガスと共にウエハ200に対して供給し、SiO層を改質してもよい。ピリジンガスによ
って活性化されたCガスにより、SiO層を改質してSiOC層を形成することが
できる。
これらの変形例における処理室201内の圧力、改質ガス、Nガス等の各ガスの供給
流量、供給時間、ウエハ200の温度等の処理条件については、例えば図7、図8のシー
ケンスにおける処理条件と同様の範囲内の処理条件とすることができる。アシストガスと
してのNガスの供給流量は、例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする
ことができる。各ガスを供給する際は、上述の実施形態と同様、不使用となっているノズ
ル249a〜249dやバッファ室237等への各ガスの侵入を防止するNガス供給を
行う。
これらの変形例では、ウエハ200に対して各ガスを供給する工程を順次行うサイクル
を所定回数行うこととした。しかし、上述の図9,図10(a)に示すシーケンスと同様
、ステップ1d,2dと同様に行うステップを含むセットを所定回数行うことにより、ま
ずは、ウエハ200上にSiO膜を形成することとしてもよい。そのうえで、改質ガスを
プラズマ状態に励起して、或いは、改質ガスとしてのCガスをピリジンガスと共に
、ウエハ200に対して供給してもよい。これにより、係るSiO膜を改質して、C,N
等を更に含むSiOC膜やSiOCN膜としてもよい。プラズマ状態に励起した改質ガス
によりSiO膜を改質するときは、温度条件を上述のステップ1d,2dにおける温度条
件と等しくすることができるほか、ウエハ200の温度を例えば500℃以下の温度とす
ることができる。触媒ガスで活性化したCガスによりSiO膜を改質するときは、
温度条件を上述の図9,図10に示すシーケンスの改質工程における温度条件と等しくす
ることができる。
<他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態や変形例に
限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、上述の第1実施形態では、ステップ1a,2aを所定回数行い、SiOC膜改
質工程を行うサイクルを1回のみ行う例について説明したが、係るサイクルを複数回繰り
返してもよい。また、上述の第2実施形態では、ステップ1c,2c,3cをこの順に1
回ずつ行うサイクルを所定回数行う例について説明したが、例えばステップ1c,2cを
複数回繰り返し、ステップ3cを行うサイクルを所定回数行ってもよい。この点は、上述
の第3実施形態においてステップ1d,2dを所定回数行い、SiOC膜改質工程を行う
サイクルを1回のみ行う例や、その変形例においてステップ1e,2e,3eをこの順に
1回ずつ行うサイクルを所定回数行う例にも適用可能である。
上述の実施形態等では、改質ガスを供給する工程を、原料ガスや酸化ガスを供給する工
程とは別個に行う例について説明した。しかし、改質ガスを供給する工程を、原料ガスと
触媒ガスとを供給する工程の実施中や、酸化ガスと触媒ガスとを供給する工程の実施中に
行ってもよい。また、原料ガスと触媒ガスとを供給する工程および酸化ガスと触媒ガスと
を供給する工程の間に改質ガスを供給する工程を挿入してもよい。この場合、例えば図7
、図8(a)のシーケンスにおける処理条件と同様の範囲内の処理条件とすることができ
る。
上述の実施形態では、Cガスを、バッファ室237外に設けられたノズル249
cから、バッファ室237を介さずに処理室201内に供給する例について説明した。し
かし、Cガスを、バッファ室237内に設けられたノズルから、バッファ室237
を介して処理室201内に供給してもよい。この場合であっても、Nガス等のアシスト
により、バッファ室237内に供給されたCガスをNガスのプラズマで間接的に
励起してもよい。
上述の実施形態等では、Si源となるがC源とはならない原料ガスとして、Siおよび
ハロゲン元素を含む原料ガスであるHCDSガス等の、ガス分子中にCを含まないクロロ
シラン系原料ガスを用いる例について説明した。しかし、Si源となるがC源とはならな
い原料ガスはこれらに限られない。例えば、Si,CおよびNを含みSi−N結合を有す
る原料ガスとして、Siおよびアミノ基(アミン基)を含む原料ガスであるアミノシラン
系原料ガスを用いてもよい。アミノシラン系原料ガスとは、アミノ基を含むシラン系原料
ガスのことであり、少なくともSiと、CおよびNを含んだアミノ基と、を含む有機系原
料ガスのことである。アミノシラン系原料ガスは、ガス分子中にCを含むがSi−C結合
を有さず、このタイプの原料ガスを用いても、形成する薄膜中に原料ガス由来のCが、薄
膜を構成する成分として取り込まれることはほとんどない。アミノシラン系原料ガスとし
ては、例えば、ビスターシャリーブチルアミノシラン(SiH[NH(C)]
、略称:BTBAS)ガス、テトラキスジメチルアミノシラン(Si[N(CH
、略称:4DMAS)ガス、トリスジメチルアミノシラン(Si[N(CH
H、略称:3DMAS)ガス、ビスエチルメチルアミノシラン(Si[N(C)(
CH)]、略称:BEMAS)ガス、およびビスジエチルアミノシラン(Si[
N(C、略称:BDEAS)ガス等を用いることができる。
これらのようなアミノシラン系原料ガスを原料ガスとして用いることで、SiO層やS
iO膜を形成し、その後、改質工程を行うことによりCやNを更に含むSiOC膜やSi
OCN膜を形成することができる。アミノシラン系原料ガスは、例えばピリジンガス等の
触媒ガスを供給せずにウエハ200に対して供給する。これにより、第1の層として、S
i含有層が形成される。その後、酸化ガスとして、プラズマ状態に励起されたOガス等
の酸素含有ガス(O含有ガス)を用いて第1の層を酸化して第2の層としてのSiO層を
得る。このように、酸化ガスとしてO含有ガス等をプラズマ状態に励起して用いる方法は
、上述のアルキレンハロシラン系原料ガスやアルキルハロシラン系原料ガスやハロシラン
系原料ガス(クロロシラン系ガス)を原料ガスとして用いる場合にも適用することができ
る。ただし、アルキレンハロシラン系原料ガスやアルキルハロシラン系原料ガスを原料ガ
スとして用いた場合には、例えば酸化ガス供給時の高周波電力を低く設定する等の留意が
必要である。酸化反応を比較的穏やかに進行させ、SiOC層やSiOC膜中からCが脱
離するのを抑制するためである。これらのアミノシラン系原料ガスを用いる場合において
も、例えば上述の実施形態等のいずれかのシーケンスにおける処理条件と同様の範囲内の
処理条件とすることができる。
上述の実施形態等では、薄膜としてSiOC膜、SiOCN膜等を形成する例について
説明したが、係る薄膜の中から異なる組成の薄膜同士を積層した積層膜や、上記薄膜と、
上記薄膜とは異なる組成の薄膜と、を積層した積層膜を形成してもよい。積層膜としては
、例えばSiOC膜とSiOCN膜との積層膜や、SiO膜とSiOC膜との積層膜や、
SiO膜とSiOCN膜との積層膜等が挙げられる。このように、エッチング耐性や誘電
率やアッシング耐性の異なる複数の膜の積層膜を形成することで、積層膜におけるこれら
諸特性の制御性をよりいっそう向上させることができる。
上述の実施形態等では、薄膜としてSiO膜やSiOC膜等のシリコン酸化膜系の膜に
対して改質処理を行う例について説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、SiN
膜等のシリコン窒化膜系の膜に適用してもよい。低温で成膜されたSiN膜は、不純物と
して酸素を含んでおり、改質処理を行うことで膜質を改善することができる。
上述の各実施形態や各変形例の手法により形成した薄膜を、SWSとして使用すること
により、リーク電流が少なく、加工性に優れたデバイス形成技術を提供することが可能と
なる。
また、上述の各実施形態や各変形例の手法により形成した薄膜を、エッチストッパとし
て使用することにより、加工性に優れたデバイス形成技術を提供することが可能となる。
上述の第2実施形態とその変形例、第3実施形態の変形例を除く各実施形態や各変形例
によれば、プラズマを用いずに理想的量論比の薄膜を形成することができる。また、プラ
ズマを用いずに薄膜を形成できることから、例えばDPTのSADP膜等、プラズマダメ
ージを懸念する工程への適応も可能となる。
上述の実施形態等の改質工程は、上述のSiOC膜やSiOCN膜のようなSi系薄膜
を成膜する場合に限らず、例えばチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(
Hf)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)等の金属元素と
、Cと、を含む金属炭化膜(メタルカーバイド)、金属酸炭化膜(メタルオキシカーバイ
ド)等の金属系薄膜を成膜する場合にも適用することができる。
これらの各種薄膜の成膜に用いられるプロセスレシピ(処理手順や処理条件が記載され
たプログラム)は、基板処理の内容(形成する薄膜の膜種、組成比、膜質、膜厚等)に応
じて、それぞれ個別に用意する(複数用意する)ことが好ましい。そして、基板処理を開
始する際、基板処理の内容に応じて、複数のプロセスレシピの中から、適正なプロセスレ
シピを適宜選択することが好ましい。具体的には、基板処理の内容に応じて個別に用意さ
れた複数のプロセスレシピを、電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体(
外部記憶装置123)を介して、基板処理装置が備える記憶装置121c内に予め格納(
インストール)しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理装置
が備えるCPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のプロセスレシピの中
から、基板処理の内容に応じて、適正なプロセスレシピを適宜選択することが好ましい。
このように構成することで、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の薄
膜を汎用的に、かつ、再現性よく形成できるようになる。また、オペレータの操作負担(
処理手順や処理条件の入力負担等)を低減でき、操作ミスを回避しつつ、基板処理を迅速
に開始できるようになる。
上述のプロセスレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既に
インストールされていた既存のプロセスレシピを変更することで用意してもよい。プロセ
スレシピを変更する場合は、変更後のプロセスレシピを、電気通信回線や当該プロセスレ
シピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。既存の基板
処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされてい
た既存のプロセスレシピを直接変更するようにしてもよい。
上述の実施形態等の成膜シーケンスにおいては、SiOC膜やSiO膜等の形成や、こ
れらの膜の改質を室温にて行う例についても説明した。この場合、ヒータ207による処
理室201内の加熱を行う必要はなく、基板処理装置にヒータを設けなくともよい。これ
により、基板処理装置の加熱系の構成を簡素化することができ、基板処理装置をより安価
で単純な構造とすることができる。この場合において、SiOC膜やSiO膜等の改質工
程を高温で行うときには、SiOC膜やSiO膜等の形成工程を行う処理室とは異なる処
理室で、Ex−Situにて改質工程を行うこととなる。
また、上述の実施形態等では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置
を用いて薄膜を成膜する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、一度に1枚
または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて薄膜を成膜する場合にも、好
適に適用できる。また、上述の実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処
理装置を用いて薄膜を成膜する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、コー
ルドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて薄膜を成膜する場合にも、好適に
適用できる。これらの基板処理装置においても、例えば上述の実施形態等のいずれかのシ
ーケンスにおける処理条件と同様の範囲内の処理条件を用いることができる。
また、上述の各実施形態および各変形例は、適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の実施例および比較例として、上述の実施形態における基板処理装置を用いてウ
エハ上に所定の薄膜を形成し、これらの薄膜のアッシング耐性を評価した。上述の図5(
b)に示す成膜シーケンスにより形成し、熱的に改質した薄膜(SiOC膜)を実施例1
とした。上述の図4、図5(a)に示す成膜シーケンスにより形成し、熱的に改質した薄
膜(SiOCN膜)を実施例2とした。上述の図7,図8(a)に示す成膜シーケンスに
より形成し、プラズマを用いて改質した薄膜(SiOCN膜)を実施例3とした。上述の
図4、図5(a)に示す成膜シーケンスのステップ1a,2aのみを所定回数行って改質
工程を行わなかった薄膜(SiOC膜)を比較例とした。これらの薄膜について、O
ラズマを用いたアッシング後に、1%HF水溶液によるウエットエッチングレート(WE
R)を測定した。比較例については、アッシング前のWERも測定した。
図16は、実施例および比較例の各薄膜のWERを示すグラフである。グラフの縦軸は
WER(a.u.)を示している。グラフの横軸はそれぞれの評価例を示しており、左か
ら順に、比較例(アッシング前)、比較例(アッシング後)、実施例1、実施例2、およ
び実施例3(実施例は全てアッシング後)を示している。図16によれば、改質処理を行
っていない比較例の薄膜であっても、アッシング前であればWERが低く抑えられている
ことが分かる。しかし、アッシング後の比較例の薄膜では、WERが顕著に高まっており
、エッチング耐性の著しい悪化が認められる。一方で、何らかの改質処理を行った実施例
1〜3の薄膜については、WERは低いままに抑えられており、良好なエッチング耐性を
維持できていることが分かる。熱的に改質を行った実施例1,2では、Cを更に含むよう
改質された実施例1の薄膜の方が、Nを更に含むよう改質された実施例2の薄膜よりも、
いっそうWERが低く、高いエッチング耐性を示した。プラズマにより改質を行った実施
例3は、熱的に改質を行った実施例1,2よりも更にいっそうWERが低く、高いエッチ
ング耐性を示した。以上のことから、SiOC膜等の薄膜を形成する途中や形成した後に
、薄膜の改質処理を行うと、高エッチング耐性および高アッシング耐性を有する薄膜とな
ることが分かった。特に、プラズマを用いた改質処理により、いっそう高エッチング耐性
および高アッシング耐性を有する薄膜が得られることが分かった。
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
(付記1)
本発明の一態様によれば、
基板に対してシリコン源および炭素源となる原料ガスまたはシリコン源となるが炭素源
とはならない原料ガスと、触媒ガスとを供給する工程と、
前記基板に対して酸化ガスと触媒ガスとを供給する工程と、
前記基板に対して炭素および窒素のうち少なくともいずれかを含む改質ガスを供給する
工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、シリコン、酸素、および炭
素を含む薄膜、またはシリコン、酸素、炭素、および窒素を含む薄膜を形成する工程を有
する半導体装置の製造方法が提供される。
(付記2)
付記1の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記原料ガスと触媒ガスとを供給する工程と、
前記酸化ガスと触媒ガスとを供給する工程とは、ノンプラズマの雰囲気下で行われる。
(付記3)
付記1または2の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記原料ガスと触媒ガスとを供給する工程と、
前記酸化ガスと触媒ガスとを供給する工程とでは、
前記基板の温度を室温以上150℃以下、好ましくは室温以上100℃以下、より好ま
しくは50℃以上100℃以下の温度とする。
(付記4)
付記1〜3のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記サイクルは、
前記原料ガスと触媒ガスとを供給する工程と、
前記酸化ガスと触媒ガスとを供給する工程と、
を含むセットを所定回数行うことにより、前記基板上に、少なくともシリコンおよび酸
素を含む第1の薄膜(シリコン、酸素、および炭素を含む第1の薄膜、またはシリコンお
よび酸素を含む第1の薄膜)を形成する工程と、
前記改質ガスを供給する工程を行うことにより、前記第1の薄膜を、炭素を更に含む第
2の薄膜、窒素を更に含む第2の薄膜、または炭素と窒素とを更に含む第2の薄膜に改質
する工程と、を含む。
(付記5)
付記4の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記第1の薄膜を形成する工程および前記第1の薄膜を改質する工程は、前記基板を同
一の処理室内に収容した状態で行われる。
(付記6)
付記4の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記第1の薄膜を形成する工程および前記第1の薄膜を改質する工程は、前記基板をそ
れぞれ異なる処理室内に収容した状態で行われる。
(付記7)
付記1〜3のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記サイクルは、
前記原料ガスと触媒ガスとを供給する工程と、
前記酸化ガスと触媒ガスとを供給する工程と、
前記改質ガスを供給する工程と、をこの順に行う工程を含む。
(付記8)
付記1〜7のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記改質ガスを供給する工程では、前記基板の温度を、
前記原料ガスと触媒ガスとを供給する工程と、
前記酸化ガスと触媒ガスとを供給する工程と、における前記基板の温度と等しい温度と
する。
(付記9)
付記1〜6のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記改質ガスを供給する工程では、前記基板の温度を室温以上500℃以下の温度とす
る。
(付記10)
付記1〜6のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記改質ガスを供給する工程では、前記基板の温度を200℃以上900℃以下、好ま
しくは200℃以上700℃以下、より好ましくは200℃以上600℃以下の温度とす
る。
(付記11)
付記1〜6,10の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記改質ガスを供給する工程は、ノンプラズマの雰囲気下で行われる。
(付記12)
付記1〜9のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記改質ガスを供給する工程では、プラズマ状態に励起された前記改質ガスを前記基板
に対して供給する。
(付記13)
本発明の他の態様によれば、
基板に対してシリコン、炭素およびハロゲン元素を含みSi−C結合を有する原料ガス
と、触媒ガスとを供給する工程と、
前記基板に対して酸化ガスと触媒ガスとを供給する工程と、
前記基板に対して炭素および窒素のうち少なくともいずれかを含む改質ガスを供給する
工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、シリコン、酸素、および炭
素を含む薄膜、またはシリコン、酸素、炭素、および窒素を含む薄膜を形成する工程を有
する半導体装置の製造方法が提供される。
(付記14)
付記13の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記原料ガスは、アルキル基およびアルキレン基のうち少なくともいずれかを含む。
(付記15)
付記14の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記アルキレン基を含む前記原料ガスは、Si−C−Si結合およびSi−C−C−S
i結合のうち少なくともいずれかを有する。
(付記16)
付記13〜15のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記改質ガスは、炭素含有ガス、窒素含有ガス、および1分子中に炭素と窒素とを含有
するガスのうち少なくともいずれかを含む。
(付記17)
本発明のさらに他の態様によれば、
基板に対してシリコンおよびハロゲン元素を含む原料ガスと、触媒ガスとを供給する工
程と、
前記基板に対して酸化ガスと触媒ガスとを供給する工程と、
前記基板に対して炭素および窒素のうち少なくとも炭素を含む改質ガスを供給する工程
と、
を含むサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、シリコン、酸素、および炭
素を含む薄膜、またはシリコン、酸素、炭素、および窒素を含む薄膜を形成する工程を有
する半導体装置の製造方法が提供される。
(付記18)
付記17の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記原料ガスは、シリコンおよび塩素(クロロ基)を含むクロロシラン系原料ガスを含
む。
(付記19)
付記17または18の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記改質ガスは、炭素含有ガス、炭素含有ガスと窒素含有ガスとの両方のガス、および
1分子中に炭素と窒素とを含有するガスのうち少なくともいずれかを含む。
(付記20)
付記1〜19のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記改質ガスは、炭化水素系ガス、アミン系ガス、および非アミン系ガスのうち少なく
ともいずれかを含む。
(付記21)
付記1〜20のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記触媒ガスは、アミン系触媒ガスを含む。
(付記22)
本発明のさらに他の態様によれば、
基板に対してシリコン源および炭素源となる原料ガスまたはシリコン源となるが炭素源
とはならない原料ガスと、触媒ガスとを供給する工程と、
前記基板に対して酸化ガスと触媒ガスとを供給する工程と、
前記基板に対して炭素および窒素のうち少なくともいずれかを含む改質ガスを供給する
工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、シリコン、酸素、および炭
素を含む薄膜、またはシリコン、酸素、炭素、および窒素を含む薄膜を形成する工程を有
する基板処理方法が提供される。
(付記23)
本発明のさらに他の態様によれば、
基板を収容する処理室と、
前記処理室内へシリコン源および炭素源となる原料ガスまたはシリコン源となるが炭素
源とはならない原料ガスを供給する原料ガス供給系と、
前記処理室内へ酸化ガスを供給する酸化ガス供給系と、
前記処理室内へ触媒ガスを供給する触媒ガス供給系と、
前記処理室内へ炭素および窒素のうち少なくともいずれかを含む改質ガスを供給する改
質ガス供給系と、
前記処理室内の基板に対して前記原料ガスと触媒ガスとを供給する処理と、前記処理室
内の前記基板に対して前記酸化ガスと触媒ガスとを供給する処理と、前記処理室内の前記
基板に対して前記改質ガスを供給する処理と、を含むサイクルを所定回数行うことにより
、前記基板上に、シリコン、酸素、および炭素を含む薄膜、またはシリコン、酸素、炭素
、および窒素を含む薄膜を形成する処理を行うように前記原料ガス供給系、前記酸化ガス
供給系、前記触媒ガス供給系、および前記改質ガス供給系を制御する制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
(付記24)
本発明のさらに他の態様によれば、
基板上に第1の薄膜を形成する第1基板処理部と、前記第1の薄膜を改質する第2基板
処理部と、を有する基板処理システムであって、
前記第1基板処理部は、
基板を収容する第1処理室と、
前記第1処理室内へシリコン源および炭素源となる原料ガスまたはシリコン源となるが
炭素源とはならない原料ガス供給系と、
前記第1処理室内へ酸化ガスを供給する酸化ガス供給系と、
前記第1処理室内へ触媒ガスを供給する触媒ガス供給系と、
前記第1処理室内の基板に対して前記原料ガスと触媒ガスとを供給する処理と、前記第
1処理室内の前記基板に対して前記酸化ガスと触媒ガスとを供給する処理と、を含むサイ
クルを所定回数行うことにより、前記基板上に、シリコン、酸素および炭素を含む第1の
薄膜、またはシリコンおよび酸素を含む第1の薄膜を形成する処理を行うように前記原料
ガス供給系、前記酸化ガス供給系および前記触媒ガス供給系を制御する第1制御部と、を
有し、
前記第2基板処理部は、
前記第1の薄膜が形成された基板を収容する第2処理室と、
前記第2処理室内へ炭素および窒素のうち少なくともいずれかを含む改質ガスを供給す
る改質ガス供給系と、
前記第2処理室内の前記基板に対して前記改質ガスを供給する処理を行うことにより、
前記第1の薄膜を、シリコン、酸素、および炭素を含む第2の薄膜、またはシリコン、酸
素、炭素、および窒素を含む第2の薄膜に改質する処理を行うように前記改質ガス供給系
を制御する第2制御部と、を有する
基板処理システムが提供される。
(付記25)
本発明のさらに他の態様によれば、
処理室内の基板に対してシリコン源および炭素源となる原料ガスまたはシリコン源とな
るが炭素源とはならない原料ガスと、触媒ガスとを供給する手順と、
前記処理室内の前記基板に対して酸化ガスと触媒ガスとを供給する手順と、
前記処理室内の前記基板に対して炭素および窒素のうち少なくともいずれかを含む改質
ガスを供給する手順と、
を含むサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、シリコン、酸素、および炭
素を含む薄膜、またはシリコン、酸素、炭素、および窒素を含む薄膜を形成する手順をコ
ンピュータに実行させるプログラム、及び該プログラムを記録したコンピュータ読み取り
可能な記録媒体が提供される。
121 コントローラ(制御部)
200 ウエハ(基板)
201 処理室
202 処理炉
203 反応管
207 ヒータ
209 マニホールド
231 排気管
232a〜232j ガス供給管
244 APCバルブ(圧力調整部)

Claims (12)

  1. 基板に対して、シリコン、炭素およびハロゲン元素を含むか、もしくは、シリコンおよびハロゲン元素を含む原料ガスと、触媒ガスとを供給する第1工程と、前記基板に対して酸化ガスと触媒ガスとを供給する第2工程と、を含むセットを所定回数行う工程と、
    前記基板に対して炭素および窒素のうち少なくともいずれかを含む改質ガスを供給する第3工程と、
    を含むサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、シリコン、酸素、および炭素を含むか、もしくは、シリコン、酸素、炭素、および窒素を含む膜を形成する工程を有する半導体装置の製造方法。
  2. 前記原料ガスは、シリコンと炭素との化学結合およびシリコンとハロゲン元素との化学結合を有するか、もしくは、シリコンとハロゲン元素との化学結合を有する請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記第1工程と前記第2工程とを含むセットを所定回数行うことにより、シリコン、酸素、および炭素を含むか、もしくは、シリコンおよび酸素を含む第1の層を形成し、
    前記第3工程を行うことにより、前記第1の層を、炭素を更に含むか、窒素を更に含むか、もしくは、炭素と窒素とを更に含む第2の層に改質する請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記セットを複数回行う請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記サイクルを複数回行う請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記第1工程、前記第2工程、および前記第3工程は、ノンプラズマの雰囲気下で行われる請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記第1工程および前記第2工程は、ノンプラズマの雰囲気下で行われ、
    前記第3工程では、プラズマ励起させた前記改質ガスを前記基板に対して供給する請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記第3工程では、前記基板の温度を、前記第1工程および前記第2工程における前記基板の温度と等しい温度とする請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  9. 前記第3工程では、前記基板の温度を、前記第1工程および前記第2工程における前記基板の温度よりも高い温度とする請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  10. 基板を収容する処理室と、
    前記処理室内へシリコン、炭素およびハロゲン元素を含むか、もしくは、シリコンおよびハロゲン元素を含む原料ガスを供給する原料ガス供給系と、
    前記処理室内へ酸化ガスを供給する酸化ガス供給系と、
    前記処理室内へ触媒ガスを供給する触媒ガス供給系と、
    前記処理室内へ炭素および窒素のうち少なくともいずれかを含む改質ガスを供給する改質ガス供給系と、
    前記処理室内において、基板に対して前記原料ガスと触媒ガスとを供給する第1処理と、前記基板に対して前記酸化ガスと触媒ガスとを供給する第2処理と、を含むセットを所定回数行う処理と、前記基板に対して前記改質ガスを供給する第3処理と、を含むサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、シリコン、酸素、および炭素を含むか、もしくは、シリコン、酸素、炭素、および窒素を含む膜を形成する処理を行わせるように、前記原料ガス供給系、前記酸化ガス供給系、前記触媒ガス供給系、および前記改質ガス供給系を制御するよう構成される制御部と、
    を有する基板処理装置。
  11. 基板に対して、シリコン、炭素およびハロゲン元素を含むか、もしくは、シリコンおよびハロゲン元素を含む原料ガスと、触媒ガスとを供給する第1手順と、前記基板に対して酸化ガスと触媒ガスとを供給する第2手順と、を含むセットを所定回数行う手順と、
    前記基板に対して炭素および窒素のうち少なくともいずれかを含む改質ガスを供給する第3手順と、
    を含むサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、シリコン、酸素、および炭素を含むか、もしくは、シリコン、酸素、炭素、および窒素を含む膜を形成する手順をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
  12. 基板に対して、シリコン、炭素およびハロゲン元素を含むか、もしくは、シリコンおよびハロゲン元素を含む原料ガスと、触媒ガスとを供給する第1手順と、前記基板に対して酸化ガスと触媒ガスとを供給する第2手順と、を含むセットを所定回数行う手順と、
    前記基板に対して炭素および窒素のうち少なくともいずれかを含む改質ガスを供給する第3手順と、
    を含むサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、シリコン、酸素、および炭素を含むか、もしくは、シリコン、酸素、炭素、および窒素を含む膜を形成する手順をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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