JP5955257B2 - セルロースアセテートフィルム、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

セルロースアセテートフィルム、偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、セルロースアセテートフィルム、これを用いた偏光板および液晶表示装置に関する。特に、偏光板保護フィルムや位相差フィルムなどの光学フィルムとして好ましく用いることができるセルロースアセテートフィルムに関する。
従来から、偏光板の保護フィルム等の用途で、セルロースアシレートフィルムが使用されている。
特許文献1には、セルロース系樹脂組成物にポリエステル系可塑剤をセルロース系樹脂100質量部に対し3〜50質量部以上配合させることで、透湿性に優れることが記載されている。
また、特許文献2には、セルロースエステルフィルムに、所定のエステル化合物を配合させることで、耐透湿性に優れることが記載されている。
WO2010/087219号パンフレット 特開2006−282987号公報
ところで、近年液晶表示装置のコストダウンのために、液晶セルを組み立てた後、輸送を行い別の場所でセルをパネルに組み込むことが行われている。この時、輸送中や保存中に結露を生じるケースがあり、セルをパネル組み込んだ後に点灯すると、結露した箇所に対応した部分に表示ムラを生じてしまうことが分かった。この点をより詳細に説明する。通常、セルロースアシレートフィルムを含む偏光板が貼合された液晶セルは静電気防止袋に封入して輸送や保存がなされる。図1は静電気防止袋1に、液晶セルを入れた際の偏光板2の状態を示す断面概略図である。
偏光板2は、通常、偏光子3と両側に設けられた偏光板保護フィルムを有する。偏光板保護フィルムとしては、その一方は、例えば、セルロースエステルフィルム4であり、他方は、例えば、位相差フィルムや他の保護フィルム5とすることができる。ここで、上記輸送や保存中に、静電気防止袋1と偏光板2の間に結露水6が溜まってしまう場合がある。結露水は、通常、部分的に溜まるため、偏光板2の表面に、結露水が溜まった部分と溜まっていない部分とが生じる。結露水が溜まった部分では平衡含水率が増加し、パネル点灯後結露水が溜まった部分と溜まっていない部分の間で平衡含水率差に由来する歪み7・7が偏光板2に生じてしまう。そして、本願発明者が検討したところ、この歪みが光学特性に影響を与えることが分かった。また、結露水がたまった部分では位相差も変化することが分かった。これらの影響により、液晶表示装置に組み込んだ時の、正面および斜め方向からの表示ムラを生じる。
本願発明は、かかる問題点を解決することを目的としたものであって、厚さが薄いセルロースエステルフィルムであって、液晶表示装置に組み込んだ時に、結露による正面および斜め方向からの表示ムラの生じにくいセルロースアセテートフィルムを提供することを目的とする。
上記課題のもと、本願発明者が鋭意検討を行った結果、アセチル置換度が2.40〜2.60であるセルロースアセテートは、水分を含みやすい性質を有し、さらに、一度、水分を含むとさらに水を呼び込みやすくなる性質という問題を有する。一方、重縮合エステルは、疎水性であるため、膜に配合すると、膜を疎水性にすることができる。さらに、膜中における重縮合エステルの割合を増やすと、膜中におけるセルロースアセテートの配合割合を相対的に減らすことができ、平衡含水率変化をさらに抑制することが可能になる。しかしながら、重縮合エステルを多量に配合すると、重縮合エステルのブリードアウトが問題となる。そこで、本願発明者がさらに検討を行った結果、アセチル置換度が2.40〜2.60であるセルロースアセテートと、所定の重縮合エステルをセルロースアセテート100質量部に対して60〜120質量部配合させることによって、平衡含水率変化を抑制して表示ムラを抑制でき、さらにブリードアウトの問題も解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的には、下記手段<1>により、好ましくは<2>〜<7>より上記課題は解決された。
<1>アセチル置換度が2.40〜2.60であるセルロースアセテートと、芳香族ジカルボン酸残基および脂肪族ジオール残基を含む重縮合エステルとを有し、ジカルボン酸中の芳香族ジカルボン酸の割合が40mol%以上であり、重縮合エステルの末端および脂肪族ジオールの構造が下記式(1)または(2)を満たし、前記重縮合エステルを前記セルロースアセテート100質量部に対し60〜120質量部含み、40℃の純水に16時間浸漬する前後のフィルムの25℃80%相対湿度におけるカールフィッシャー法による水処理前後の平衡含水率変化が0.8質量%以下であることを特徴とするセルロースアセテートフィルム。
(1)重縮合エステルの末端が酢酸、安息香酸、およびトルイル酸の少なくとも1種で封止されており、脂肪族ジオールの平均炭素数が2〜2.3である。
(2)重縮合エステルの末端が水酸基であり、脂肪族ジオールの平均炭素素数が2.4〜2.8である。
<2>前記重縮合エステルの重量平均分子量が1500以下であり、前記重縮合エステル中の分子量が400以下の成分の比率が4質量%未満である、<1>に記載のセルロースアセテートフィルム。
<3>フィルム主鎖緩和温度Tαで2分間熱処理した後のヘイズ上昇量が0.40%未満である、<1>または<2>に記載のセルロースアセテートフィルム。
<4>セルロースアセテートフィルムを、150℃未満の延伸温度で延伸することを含み、前記セルロースアセテートフィルムが、アセチル置換度が2.40〜2.60であるセルロースアセテートと、芳香族ジカルボン酸残基および脂肪族ジオール残基を含む重縮合エステルとを有し、ジカルボン酸中の芳香族ジカルボン酸の割合が40mol%以上であり、重縮合エステルの末端および脂肪族ジオールの構造が下記式(1)または(2)を満たし、前記重縮合エステルが前記セルロースアセテート100質量部に対し60〜120質量部含み、40℃の純水に16時間浸漬する前後のフィルムの25℃80%相対湿度におけるカールフィッシャー法による水処理前後の平衡含水率変化が0.8質量%以下であることを特徴とするセルロースアセテートフィルムの製造方法。
(1)重縮合エステルの末端が酢酸、安息香酸、およびトルイル酸の少なくとも1種で封止されており、脂肪族ジオールの平均炭素数が2〜2.3である。
(2)重縮合エステルの末端が水酸基であり、脂肪族ジオールの平均炭素数が2.4〜2.8である。
<5><1>〜<3>のいずれかに記載のセルロースアセテートフィルムまたは<4>に記載の方法により製造されたセルロースアセテートフィルムと、偏光子とを有する、偏光板。
<6>透湿度が170g/m2・日未満である保護フィルムを有し、該保護フィルムが、前記偏光子の液晶セル側の面と反対側の面に配置される、<5>に記載の偏光板。
<7><5>または<6>に記載の偏光板を有することを特徴とする光学表示装置。
本発明により、液晶表示装置に組み込んだ際に表示ムラが生じにくく、かつ、ブリードアウトの生じにくいセルロースアセテートフィルムを提供可能になった。
液晶表示装置を輸送・保存する際に偏光板に結露が発生する状態を示す断面概略図である。 本発明の液晶表示装置の一例の概略断面図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明のセルロースアセテートフィルムは、アセチル置換度が2.40〜2.60であるセルロースアセテートと、芳香族ジカルボン酸残基および脂肪族ジオール残基を含む重縮合エステルとを有しジカルボン酸中の芳香族ジカルボン酸の割合が40mol%以上であり、重縮合エステルの末端および脂肪族ジオールの構造が下記式(1)または(2)を満たし、前記重縮合エステルを前記セルロースアセテート100質量部に対し60〜120質量部含み、40℃の純水に16時間浸漬する前後のフィルムの25℃80%相対湿度におけるカールフィッシャー法による水処理前後の平衡含水率変化が0.8質量%以下であることを特徴とする。
(1)重縮合エステルの末端が酢酸、安息香酸、およびトルイル酸の少なくとも1種で封止されており、脂肪族ジオールの平均炭素数が2〜2.3である。
(2)重縮合エステルの末端が水酸基であり、脂肪族ジオールの平均炭素数が2.4〜2.8である。
本発明のセルロースアセテートフィルムは、上記セルロースアセテートおよび上記重縮合エステルの一方が主成分となるフィルムであり、通常、上記セルロースアセテートおよび上記重縮合エステルの合計が本発明のセルロースアセテートフィルムの70質量%以上を占め、80質量%以上を占めることが好ましい。
本発明のセルロースアセテートフィルムは、該フィルムを40℃の純水に16時間浸漬する前後のフィルムの25℃80%相対湿度におけるカールフィッシャー法による平衡含水率変化が0.8質量%以下である。フィルムの平衡含水率変化が大きい場合、水を含んだ領域と含まない領域で収縮差が生じ応力が発生する。この応力が正面から見た場合の光学特性(液晶表示装置に組み込んだ時の、正面方向からの表示性能)にムラを生じさせる。該フィルムの平衡含水率変化は、0.6質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.4質量%以下がさらに好ましい。このようにフィルムの平衡含水率変化を小さくする手段としては、上記重縮合エステルおよびその配合量、製造時の延伸倍率および延伸温度を調節すること等が挙げられる。
以下、本発明の詳細について、説明する。
<セルロースアセテート>
本発明に用いられるセルロースアセテートは、アセチル置換度が2.40〜2.60であれば特に定めるものではない。
セルロースアセテートの原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、いずれの原料セルロースから得られるセルロースアセテートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアセテートは、これらの水酸基の一部または全部をアセチル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。置換度は、2位、3位および6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化されている割合を意味し、2位、3位および6位のそれぞれにおいて、水酸基が100%エステル化されている場合は置換度1であり、2位、3位および6位の全ての水酸基が100%エステル化されている場合は置換度3となる。
全アセチル置換度、即ち、DS2+DS3+DS6は、2.40〜2.60であり、2.40〜2.55が好ましく、2.4〜2.50がさらに好ましい。ここで、DS2はグルコース単位の2位の水酸基のアセチル基による置換度であり、DS3は3位の水酸基のアセチル基による置換度であり、DS6は6位の水酸基のアセチル基による置換度である。
セルロースの水酸基への置換度の測定については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTM D−817−91に準じて実施することができる。
本発明で好ましく用いられるセルロースアセテートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であることが好ましく、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400がさらに好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が該上限値以下であれば、セルロースアセテートのドープ溶液の粘度が高くなりすぎることがなく流延によるフィルム作製が容易にできるので好ましい。重合度が該下限値以上であれば、作製したフィルムの強度が低下するなどの不都合が生じないので好ましい。粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法{宇田和夫、斉藤秀夫、「繊維学会誌」、第18巻第1号、105〜120頁(1962年)}により測定できる。この方法は特開平9−95538号公報にも詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアセテートの分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜4.0であることが好ましく、2.0〜4.0であることがさらに好ましく、2.3〜3.4であることが最も好ましい。
<重縮合エステル>
本発明のセルロースアセテートフィルムに含まれる重縮合エステルは、芳香族ジカルボン酸残基および脂肪族ジオール残基を含み、セルロースアセテート100質量部に対し、60〜120質量部含み、ジカルボン酸中の芳香族ジカルボン酸の割合が40mol%以上であり、重縮合エステルの末端および脂肪族ジオールの構造が下記式(1)または(2)を満たす。
(1)重縮合エステルの末端が酢酸、安息香酸、およびトルイル酸の少なくとも1種で封止されており、脂肪族ジオールの平均炭素数が2〜2.3である。
(2)重縮合エステルの末端が水酸基であり、脂肪族ジオールの平均炭素数が2.4〜2.8である。
本発明のようにセルロースアセテートフィルムに対し大量の重縮合エステルを含む場合、ジカルボン酸残基における芳香族ジカルボン酸残基の割合と、重縮合エステルの末端封止の有無と、脂肪族ジオールの炭素鎖長を調整することでブリードアウトを大幅に抑制できる。
本発明に係る重縮合エステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとから、例えば混合して得られる。
ジカルボン酸残基は、芳香族ジカルボン酸残基及び平均炭素数4.0〜5.0の脂肪族ジカルボン酸残基を含むことが好ましい。また、下記に表される芳香族ジカルボン酸残基比率が40mol%〜95mol%であることが好ましい。
芳香族ジカルボン酸残基比率(mol%)=〔芳香族ジカルボン酸残基(mol)/(芳香族ジカルボン酸残基(mol)+脂肪族ジカルボン酸残基(mol))〕×100
脂肪族ジオール残基の平均炭素数は、脂肪族ジオール残基の組成比(モル分率)を構成炭素数に乗じて算出した値とする。例えばエチレングリコール残基50モル%と1,2−プロパンジオール残基50モル%から成る場合は平均炭素数2.5となる。
重縮合エステルの重量平均分子量は1500以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましく、800以下であることが更に好ましい。下限については特に制限はないが、400を超えることが好ましい。重縮合エステルの重量平均分子量は1500以下であればセルロースアセテートとの相溶性が高くなり、製膜時及び加熱延伸時のブリードアウトが生じにくくなる。
重縮合エステルの重量平均分子量は、公知の方法で測定でき、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
重縮合エステルは、重縮合エステル中の分子量が400以下の成分の比率が4質量%未満であることが好ましく、3質量%未満であることがより好ましく、1質量%未満であることがさらに好ましい。分子量が400以下の成分の比率を4質量%未満とすることで、フィルムの作製時における揮散する成分が少なくすることができ、製膜時のブリードアウトをより効果的に抑制できる。
重縮合エステルの数平均分子量は600〜2500であることが好ましく、700〜1800がより好ましく、700〜1250が更に好ましい。重縮合エステルの数平均分子量は600以上であれば揮発性がより低くなり、本発明のフィルムの延伸時の高温条件下における揮散によるフィルム故障や工程汚染を生じにくくなる。また、2500以下であればセルロースアセテートとの相溶性が高くなり、製膜時及び加熱延伸時のブリードアウトが生じにくくなる。
重縮合エステルの数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて通常の方法で測定することができる。
例えば、カラム(東ソー(株)製 TSKgel Super HZM-H、TSKgel Super HZ4000及びTSKgel Super HZ2000)の温度を40℃として、溶離液としてTHFを用い、流速を0.35ml/minとし、検出をRI、注入量を10μl、試料濃度を1g/lとし、また標準試料としてポリスチレンを用いて行ったものである。
本発明のセルロースアセテートフィルムにおける重縮合エステルの含有量は、セルロースアセテート100質量部に対し60〜120質量部であり、70〜115質量部であることが好ましく、80〜110質量部であることがより好ましくい。
含有量を60質量部以上とすることで、平衡含水率を抑えることが可能となり、120質量部以下とすることで、ブリードアウトを抑制することが可能となる。
(芳香族ジカルボン酸残基)
芳香族ジカルボン酸残基は、ジオールと芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とから得られた重縮合エステルに含まれる。
本明細書中では、残基とは、重縮合エステルの部分構造で、重縮合エステルを形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばジカルボン酸HOOC−R−COOHより形成されるジカルボン酸残基は−OC−R−CO−である。
本発明に用いる重縮合エステルのジカルボン酸残基中の、芳香族ジカルボン酸残基比率は40mol%〜95mol%であることが好ましく、45mol%〜70mol%であることがより好ましく、50mol%〜70mol%であることがさらに好ましい。
芳香族ジカルボン酸残基比率を40mol%以上とすることで、より十分な光学異方性を示すセルロースアセテートフィルムが得られる。また、95mol%以下であればセルロースアセテートとの相溶性により優れ、セルロースアセテートフィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトをより生じにくくすることができる。
本発明に用いる芳香族ジカルボン酸は、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,8−ナフタレンジカルボン酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができる。
重縮合エステルには混合に用いた芳香族ジカルボン酸により芳香族ジカルボン酸残基が形成される。
芳香族ジカルボン酸残基は、平均炭素数が8.0〜12.0であることが好ましく、8.0〜10.0であることがより好ましく、8.0であることが更に好ましい。この範囲であれば、セルロースエステルとの相溶性に優れ、セルロースアセテートフィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトを生じにくいため好ましい。また、光学用途として光学補償フィルムに用いるに適した異方性を十分に発現し得るセルロースアセテートフィルムとすることができるため好ましい。
具体的には、芳香族ジカルボン酸残基は、フタル酸残基、テレフタル酸残基、イソフタル酸残基の少なくとも1種を含むことが好ましく、より好ましくはフタル酸残基、テレフタル酸残基の少なくとも1種を含み、更に好ましくはテレフタル酸残基を含む。テレフタル酸を用いることで、本発明のセルロースアセテートフィルムの平衡含水率の変化をより低減することができる。
すなわち、重縮合エステルの形成における混合に、芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸を用いることで、よりセルロースアセテートとの相溶性に優れ、セルロースアセテートフィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトを生じにくいセルロースアセテートフィルムとすることができる。また、芳香族ジカルボン酸は1種でも、2種以上を用いてもよい。2種用いる場合は、フタル酸とテレフタル酸を用いることが好ましい。
フタル酸とテレフタル酸の2種の芳香族ジカルボン酸を併用することにより、常温での重縮合エステルを軟化することができ、ハンドリングが容易になる点で好ましい。
重縮合エステルのジカルボン酸残基中のテレフタル酸残基の含有量は40mol%以上であることが好ましく、10mol%〜100mol%であることが好ましく、40mol%〜75mol%であることがより好ましく、45mol%〜60mol%であることがさらに好ましい。テレフタル酸残基比率を40mol%以上とすることで、十分な光学異方性(特に、Rth)を示すセルロースアセテートフィルムが得られる。また、95mol%以下とすることにより、セルロースアセテートとの相溶性により優れ、セルロースアセテートフィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトをより生じにくくすることができる。
(脂肪族ジカルボン酸残基)
重縮合エステルは、芳香族ジカルボン酸残基とともに脂肪族ジカルボン酸残基を有していてもよい。
脂肪族ジカルボン酸残基は、ジオールと脂肪族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とから得られた重縮合エステルに含まれる。
本発明に用いる重縮合エステルのジカルボン酸残基中の、脂肪族ジカルボン酸残基比率は5mol%〜60mol%であることが好ましく、5mol%〜55mol%であることがより好ましく、20mol%〜40mol%であることがさらに好ましい。
本発明で好ましく用いられる脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
重縮合エステルには混合に用いた脂肪族ジカルボン酸より脂肪族ジカルボン酸残基が形成される。
脂肪族ジカルボン酸残基は、平均炭素数が4.0〜5.0であることが好ましく、4.0〜4.9であることがより好ましく、4.0〜4.8であることが更に好ましい。この範囲とすることにより、セルロースアセテートとの相溶性により優れ、セルロースアセテートフィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトをより生じにくいため好ましい。
具体的には、コハク酸残基を含むことが好ましく、2種用いる場合は、コハク酸残基とアジピン酸残基を含むことが好ましい。
すなわち、重縮合エステルの形成における混合に、脂肪族ジカルボン酸は1種でも、2種以上を用いてもよく、2種用いる場合は、コハク酸とアジピン酸を用いることが好ましい。
コハク酸とアジピン酸の2種の脂肪族ジカルボン酸を用いることにより、脂肪族ジカルボン酸残基の平均炭素数を少なくすることができ、セルロースアセテートとの相溶性をより向上させることができ好ましい。
また、脂肪族ジカルボン酸残基の平均炭素数を4.0以上とすることにより、合成が容易になり、好ましい。
(脂肪族ジオール残基)
脂肪族ジオール残基は、脂肪族ジオールと芳香族ジカルボン酸とから得られた重縮合エステルに含まれる。
本明細書中では、残基とは、重縮合エステルの部分構造で、重縮合エステルを形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばジオールHO−R−OHより形成されるジオール残基は−O−R−O−である。
本発明に用いる重縮合エステルのジオール中の、脂肪族ジオール残基比率は90mol%以上であることが好ましい。
重縮合エステルの好ましい平均炭素数は末端の構造によって変化する。重縮合エステルの末端が酢酸、安息香酸、およびトルイル酸の少なくとも1種で封止されている場合、平均炭素数が2.0〜2.3の脂肪族ジオール残基を含み、好ましくは平均炭素数が2.0以上2.2以下であり、より好ましくは平均炭素数が2.0以上2.1以下の脂肪族ジオール残基である。脂肪族ジオール残基の平均炭素数を2.3以下とすることにより、セルロースアセテートとの相溶性を向上させることができ、ブリードアウトがより生じにくくなり、また、化合物の加熱減量が低下し、セルロースアセテートウェブの乾燥時の工程汚染が原因と考えられる面状故障が発生しにくくなる。また、脂肪族ジオール残基の平均炭素数を2.0以上とすると、合成が容易となる。
重縮合エステルの末端が水酸基である場合、平均炭素数が2.4〜2.8である脂肪族ジオール残基を含み、好ましくは平均炭素数が2.4以上2.7以下であり、より好ましくは平均炭素数が2.5以上2.6以下の脂肪族ジオール残基である。脂肪族ジオール残基の平均炭素数を2.4〜2.8とすることにより、セルロースアセテートとの相溶性を向上させることができ、ブリードアウトがより生じにくくなる。また、重縮合エステルを軟化させることができ、結果としてフィルムの脆性を改良することが出来る。
本発明に用いられる脂肪族ジオールとしては、アルキルジオール又は脂環式ジオール類を挙げることができ、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール、ジエチレングリコール等があり、これらはエチレングリコールとともに1種又は2種以上の混合物として使用されることが好ましい。
好ましい脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−プロパンジオールの少なくとも1種であり、特に好ましくはエチレングリコール、及び1,2−プロパンジオールの少なくとも1種である。2種用いる場合は、エチレングリコール、及び1,2−プロパンジオールを用いることが好ましい。
重縮合エステルには混合に用いたジオールによりジオール残基が形成される。
ジオール残基はエチレングリコール残基、1,2−プロパンジオール残基、及び1,3−プロパンジオール残基の少なくとも1種を含むことが好ましく、エチレングリコール残基又は1,2−プロパンジオール残基であることがより好ましい。
(封止)
重縮合エステルの末端は酢酸、安息香酸、トルイル酸、または水酸基で封止する。封止は、重縮合エステルの両末端に行ってもよく、一方の末端のみ行ってもよい。なお、トルイル酸は、o−トルイル酸、m−トルイル酸、およびp−トルイル酸を含むものとする。
このとき、該重縮合エステルの両末端は水酸基またはモノカルボン酸残基となっている。本明細書中では、残基とは、重縮合エステルの部分構造で、重縮合エステルを形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばモノカルボン酸R−COOHより形成されるモノカルボン酸残基はR−CO−である。
末端封止の構造と上述の脂肪族ジオールの構造を調整することで、セルロースアセテートとの相溶性がより向上し、ブリードアウトの発生をより効果的に抑制することが可能である。
以下の表1に本発明にかかる重縮合エステルの具体例を記すが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005955257
表中、TPAはテレフタル酸、PAはフタル酸、IPAはイソフタル酸、2,6-NDAは2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,8-NDAは2,8−ナフタレンジカルボン酸、1,4-NDAは1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5-NDAは1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6-NDAは1,6−ナフタレンジカルボン酸、SAはコハク酸、AAはアジピン酸、PGは1,2−プロピレングリコール、EGはエチレングリコール、2−m−13PGは2−メチル−1、3プロピレングリコール、13PGは1,3−プロピレングリコールを表す(以下、本明細書において同じ)。
重縮合エステルの合成は、常法によりジオールとジカルボン酸とのポリエステル化反応又はエステル交換反応による熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によっても容易に合成し得るものである。
また、本発明に係る重縮合エステルについては、村井孝一編者「可塑剤 その理論と応用」(株式会社幸書房、昭和48年3月1日初版第1版発行)に詳細な記載がある。また、特開平05−155809号、特開平05−155810号、特開平5−197073号、特開2006−259494号、特開平07−330670号、特開2006−342227号、特開2007−003679号各公報などに記載されている素材を利用することもできる。
重縮合エステルが含有する原料の脂肪族ジオール、ジカルボン酸エステル、又はジオールエステルのセルロースエステルフィルム中の含有量は、1質量%未満が好ましく、0.5質量%未満がより好ましい。ジカルボン酸エステルとしては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジ(ヒドロキシエチル)、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジ(ヒドロキシエチル)、アジピン酸ジ(ヒドロキシエチル)、コハク酸ジ(ヒドロキシエチル)等が挙げられる。ジオールエステルとしては、エチレンジアセテート、プロピレンジアセテート等が挙げられる。
本発明で使用される重縮合エステルに含まれるジカルボン酸残基、ジオール残基、モノカルボン酸残基の各残基の種類及び比率はH−NMRを用いて通常の方法で測定することができる。通常、重クロロホルムを溶媒として用いることができる。
重縮合エステルの水酸基価の測定は、日本工業規格 JIS K3342(廃止)に記載の無水酢酸法当を適用できる。重縮合エステルがポリエステルポリオールである場合は、水酸基価が55以上220以下であることが好ましく、100以上140以下であることが更に好ましい。
<レターデーション調整剤>
本発明のセルロースアセテートフィルムは、さらにレターデーション調整剤を含んでいてもよい。
レターデーション調整剤としては、特に制限はなく、例えば、特開2003−344655号公報の段落0022〜0057に記載のトリアジン化合物、特開2002−363343号公報の段落0011〜0032に記載の棒状化合物、特開2005−134884の段落0056〜0093及び特開2007−119737号公報の段落0031〜0080に記載の液晶性化合物、特開2010−215879号公報の段落0256、特開2011−69857号公報の段落0026〜0036、特開2012−208173号公報の段落0024〜0078、特開2012−189664号公報の段落0022〜0042、特開2012−123292号公報の段落0023〜0061、特開2011−002633号公報の段落0025〜0055、特開2011−076031号公報の段落0023〜0037等に記載の化合物が挙げられる。
レターデーション調整剤は2種以上を併用して用いることもできる。
レターデーション調整剤の添加量はセルロースエステル100質量部に対し、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜10質量部がさらに好ましく、3〜7質量部が特に好ましい。
<その他の添加剤>
本発明のセルロースアセテートフィルムには、上記の他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で他の添加剤を配合してもよい。具体的には、マット剤、剥離促進剤、特開2006−282979号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平3−199201号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載の劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)、特開2012−108349に記載の糖誘導体等が例示される。
<セルロースアセテートフィルムの製造方法>
本発明のセルロースアセテートフィルムの製造方法は、セルロースアセテートフィルムを、150℃未満の延伸温度で延伸することを含み、前記セルロースアセテートフィルムが、アセチル置換度が2.40〜2.60であるセルロースアセテートと、芳香族ジカルボン酸残基および脂肪族ジオール残基を含む重縮合エステルとを有し、前記重縮合エステルが前記セルロースアセテート100質量部に対し60〜120質量部含み、40℃の純水に16時間浸漬する前後のフィルムの25℃80%相対湿度におけるカールフィッシャー法による水処理前後の平衡含水率変化が0.8質量%以下であることを特徴とする。
本発明のフィルムは、ソルベントキャスト法により製造することができる。ソルベントキャスト法では、セルロースアセテートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
次に、本発明のセルロースアセテートが溶解される前記有機溶媒について記述する。
本発明においては、有機溶媒として、塩素系有機溶媒を主溶媒とする塩素系溶媒と塩素系有機溶媒を含まない非塩素系溶媒とのいずれをも用いることができる。2種類以上の有機溶媒を混合して用いても良い。
本発明のセルロースアセテートの溶液を作製するに際しては、主溶媒として塩素系有機溶媒が好ましく用いられる。本発明においては、セルロースアセテートが溶解し流延、製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りはその塩素系有機溶媒の種類は特に限定されない。これらの塩素系有機溶媒は、好ましくはジクロロメタン、クロロホルムである。特にジクロロメタンが好ましい。また、塩素系有機溶媒以外の有機溶媒を混合することも特に問題ない。その場合は、ジクロロメタンは有機溶媒全体量中少なくとも50質量%使用することが必要である。本発明で塩素系有機溶媒と併用される他の有機溶媒について以下に記す。すなわち、好ましい他の有機溶媒としては、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、アルコール、炭化水素などから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン、エーテル及びアルコールは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトン及びエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を同時に有していてもよい。二種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテート等が挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等が挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトール等が挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノール等が挙げられる。
また、塩素系有機溶媒と併用されるアルコールとしては、好ましくは直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール及びシクロヘキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。更に炭化水素は、直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン及びキシレンが含まれる。
その他の溶媒としては、例えば特開2007−140497号公報に記載の溶媒を用いることができる。
40℃以上の温度(常温又は高温)で処理することからなる一般的な方法で、セルロースアセテート溶液を調製することができる。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法及び装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にジクロロメタン)とアルコール(特にメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール及びシクロヘキサノール)を用いることが好ましい。
セルロースアセテートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースエステルの量は、10〜30質量%であることが更に好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースエステルと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧及び加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースエステルと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。また常温で攪拌後に加圧および加熱、または常温で攪拌後に加圧および加熱条件下で攪拌を行うこともできる。
加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、更に好ましくは80〜120℃、特に好ましくは90〜115℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
また異なる2つ以上の溶液を各々別の容器で調製し、その後に各溶液を混合させてドープを調製してもよい。各溶液ははじめに調製したドープにインライン添加することもできる。
<<流延>>
調製したセルロースアセテート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフィルムを製造する。ドープには前記の少なくとも2つの芳香環を有する化合物を添加することが好ましい。
ドープは、ドラム又はバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成することができる。流延前のドープは、固形分量が5〜40%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が30℃以下のドラム又はバンド上に流延することが好ましく、特には−10℃〜20℃の金属支持体温度であることが好ましい。更に特開2000−301555号、特開2000−301558号、特開平07−032391号、特開平03−193316号、特開平05−086212号、特開昭62−037113号、特開平02−276607号、特開昭55−014201号、特開平02−111511号、及び特開平02−208650号の各公報に記載の方法を本発明では用いることができる。
<<乾燥>>
セルロースアセテートフィルムの製造に係わる金属支持体上におけるドープの乾燥は、一般的には金属支持体(ドラム或いはバンド)の表面側、つまり金属支持体上にあるウェブの表面から熱風を当てる方法、ドラム或いはバンドの裏面から熱風を当てる方法、温度コントロールした液体をバンドやドラムのドープ流延面の反対側である裏面から接触させて、伝熱によりドラム或いはバンドを加熱し表面温度をコントロールする液体伝熱方法などがあるが、裏面液体伝熱方式が好ましい。流延される前の金属支持体の表面温度はドープに用いられている溶媒の沸点以下であれば何度でもよい。しかし乾燥を促進するためには、また金属支持体上での流動性を失わせるためには、使用される溶媒の内の最も沸点の低い溶媒の沸点より1〜10℃低い温度に設定することが好ましい。なお、流延ドープを冷却して乾燥することなく剥ぎ取る場合はこの限りではない。
ドープ膜が流延された金属支持体上の温度、金属支持体上に流延されたドープ膜に当てる乾燥風の温度及び風量を調節することによっても、セルロースアセテートフィルムのRe値及びRth値を調整することができる。特にRth値は金属支持体上における乾燥条件の影響を大きく受ける。金属支持体の温度を高くする、又はドープ膜に当てる乾燥風の温度を高くする、乾燥風の風量を大きくする、つまりドープ膜に与える熱量を大きくすることによりRth値は低くなり、逆に熱量を小さくすることによりRthは高くなる。特に流延直後から剥ぎ取るまでの間の前半部の乾燥がRth値に対して大きく影響を与える。
ソルベントキャスト法における乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。バンド又はドラム上での乾燥は空気、窒素などの不活性ガスを送風することにより行なうことができる。
得られたフィルムをドラム又はバンドから剥ぎ取り、更に100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶媒を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラム又はバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
本発明の溶液製膜方法において、ドープを流延する際に、2種類以上のドープを用いてフィルム化することができる。
2種類以上のドープを用いる方法として、同時積層共流延又は逐次積層共流延を行うこともできる。更に両共流延を組み合わせても良い。同時積層共流延を行う際には、フィードブロックを取り付けた流延ダイを用いても良いし、マルチマニホールド型流延ダイを用いても良い。共流延により多層からなるフィルムは、空気面側の層の厚さと支持体側の層の厚さとの少なくともいずれか一方が、フィルム全体の厚みの0.5%〜30%であることが好ましい。
同時積層共流延を行う場合には、ダイスリットから支持体にドープを流延する際に、高粘度ドープが低粘度ドープにより包み込まれることが好ましい。また、外層のドープの固形分濃度が、内層のドープの固形分濃度と比較して同等以下であることが好ましく、1質量% 以上低濃度であることがより好ましく、3質量% 以上低濃度であることが更に好ましい。また、外界と接するドープのアルコールの組成比が、内部のドープのアルコールの組成比と比較して同等以上であることが好ましい。外層のドープのアルコール添加量は、内層に対して1.0〜6.0倍であることが好ましく、1.0〜4.0倍であることが更に好ましく、1.0〜3.0倍であることが特に好ましい。
また、二個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成形したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フィルムを作製することもできる。例えば、特公昭44−20235号公報に記載の方法を挙げることができる。
流延するセルロースアセテート溶液は同一の溶液を用いてもよいし、異なるセルロースアセテート溶液を用いてもよい。複数のセルロースアセテート層に機能をもたせるために、その機能に応じたセルロースアセテート溶液を、それぞれの流延口から押し出せばよい。更に本発明のセルロースアセテート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延することもできる。
従来の単層液では、必要なフィルムの厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアセテート溶液を押し出すことが必要である。その場合セルロースアセテート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良となったりして問題となることが多かった。この問題の解決方法として、複数のセルロースエステル溶液を複数の流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押し出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアセテート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
<<延伸>>
本発明のフィルムは、延伸処理を行うことが好ましい。積極的に幅方向(搬送方向に対して垂直な方向)に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、特開平4−284211号、特開平4−298310号、及び特開平11−48271号の各公報などに記載されている。フィルムの延伸は、常温又は加熱条件下で実施することができる。延伸温度は、150℃未満であり、140℃以下が好ましく、132℃以下がより好ましい。本発明では、このような低い温度で延伸すると、レターデーションのばらつきを低減させることができ好ましい。これは、本発明のセルロースアセテートフィルムは重縮合エステルの配合量が多いため、製膜工程における膜が相対的にやわらかい傾向にあることに基づく。柔らかい膜を延伸してレターデーションを発現させようとすると、レターデーション(特に、Rth)のばらつきを生じやすい傾向にあるが、本発明では低温で延伸することにより、膜を柔らかくなりにくくすることができる。
延伸温度の下限については、破断等を引き起こさない限り、特に制限はないが、例えば、90℃以上とすることができる。
なお、本発明のセルロースアセテートフィルムは、レターデーションの発現が必要でない場合等、延伸を必要としない場合がある。また、レターデーションの発現が必要な場合であっても、公知のレターデーション発現剤を配合することによって、発現させることもできる。
フィルムの延伸は、搬送方向あるいは幅方向だけの一軸延伸でもよく同時あるいは逐次2軸延伸でもよいが、幅方向により多く延伸することが好ましい。幅方向の延伸は1〜100%の延伸が好ましく、更に好ましくは10〜70%延伸で、特に好ましくは15〜35%の延伸を行う。搬送方向の延伸は1〜10%の延伸が好ましく、特に好ましくは2〜5%延伸を行う。
本発明において、セルロースアセテートフィルムが延伸されて得られたものであり、該延伸倍率が、搬送方向に対して垂直な方向(幅方向)に1〜100%であることが好ましい。
延伸処理は製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理してもよい。
製膜工程の途中で延伸を行う場合には残留溶媒量を含んだ状態で延伸を行っても良く、残留溶媒量=(残存揮発分質量/加熱処理後フィルム質量)×100%が、溶媒15質量%以下が好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
製膜して巻き取った原反を延伸を行う場合には、残留溶媒量が5質量%の状態で幅方向に1〜100%延伸を行うことが好ましく、更に好ましくは10〜70%延伸で、特に好ましくは20〜60%延伸である。
延伸処理は製膜工程の途中で行った後、製膜して巻き取った原反を更に延伸処理しても良い。
製膜工程の途中で延伸処理されたフィルムを巻き取った後で更に延伸処理する場合には、製膜工程の途中での延伸は残留溶媒量を含んだ状態で延伸を行っても良く、残留溶剤量=(残存揮発分質量/加熱処理後フィルム質量)×100%が0.05〜50%で延伸することが好ましく、製膜して巻き取った原反の延伸は、残留溶媒量が0〜5%の状態で延伸することが好ましく、幅方向の延伸は未延伸の状態を基準として1〜100%延伸を行うことが好ましく、更に好ましくは10〜70%延伸で、特に好ましくは20〜60%の延伸である。
また本発明のセルロースエステルフィルムは、二軸延伸を行ってもよい。二軸延伸には、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法があるが、連続製造の観点から逐次二軸延伸方法が好ましく、ドープを流延した後、バンドもしくはドラムよりフィルムを剥ぎ取り、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸されるか、又は長手方法に延伸した後、幅方向に延伸される。
延伸での残留歪を緩和させ、寸度変化を低減させるため、また面内の遅相軸の幅方向に対するばらつきを小さくするために、横延伸後に緩和工程を設けることが好ましい。緩和工程では緩和前のフィルムの幅に対して緩和後のフィルムの幅を100〜70%の範囲(緩和率0〜30%)に調節することが好ましい。緩和工程における温度はフィルムの見かけ上のガラス転移温度Tg−50〜Tg+50℃であることが好ましい。通常の延伸ではこの最大拡幅率を経た後の緩和率ゾーンでは、テンターゾーンを通過させるまでの時間は1分より短い。
ここで、延伸工程におけるフィルムの見かけ上のTgは、残留溶媒を含んだフィルムをアルミパンに封入し、示差走査熱量計(DSC)で25℃から200℃まで20℃/分で昇温し、吸熱曲線をもとめることによりTgを求めた。
<<延伸後乾燥>>
製膜工程の途中で延伸処理を行った場合、フィルムの乾燥は搬送したまま行うことができる。乾燥温度は50℃〜150℃であることが好ましく、より好ましくは50℃〜120℃であり、更に好ましくは60℃〜100℃である。乾燥時間は特に制限はないが、好ましくは10分から40分である。最適な延伸後乾燥温度を選択することにより、製造されるセルロースアセテートフィルムの残留応力が緩和されて、高温下及び高温高湿下における寸法変化、光学特性変化、遅相軸方位の変化を小さくすることができる。
<<加熱処理>>
製膜して巻き取った原反を延伸処理した場合、延伸処理されたフィルムはその後、更に加熱処理される工程を経て製造されても良い。加熱処理する工程を経ることにより、製造されるセルロースアセテートフィルムの残留応力が緩和されて、高温下及び高温高湿下における寸法変化、光学特性変化、遅相軸方位の変化が小さくなるので好ましい。加熱時の温度は特に制限はないが、50℃〜120℃が好ましい。
<<加熱水蒸気処理>>
また、延伸処理されたフィルムは、その後、100℃以上に加熱された水蒸気を吹き付けられる工程を経て製造されても良い。この水蒸気の吹付け工程を経ることにより、製造されるセルロースアセテートフィルムの残留応力が緩和されて、高温下及び高温高湿下における寸度変化、光学特性変化、遅相軸方位の変化が小さくなるので好ましい。水蒸気の温度は100℃以上であれば特に制限はないが、フィルムの耐熱性などを考慮すると、水蒸気の温度は、140℃以下が好ましい。
これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。本発明のセルロースアセテートフィルムの製造に用いる巻き取り機は一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
<セルロースアセテートフィルムの諸性能>
本発明のフィルムは単層フィルムであっても、2層以上の積層構造を有していてもよいが、単層フィルムであることが好ましい。
<<膜厚>>
本発明のフィルムは、膜厚が40〜80μmであることが好ましく、45μmを超え80μm以下がより好ましく、50〜70μmがさらに好ましい。このような範囲とすることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される。
<<フィルム幅>>
本発明のフィルムは、フィルム幅が1000mm以上であることが好ましく、1500mm以上であることがより好ましく、1800mm以上であることが特に好ましい。
<<Rthのばらつき>>
以下のようにして測定した、本発明のフィルムのRth(590)のばらつきは、2nm未満が好ましく、1.5nm未満がさらに好ましく、1nm未満がより好ましい。
全幅1980mm幅に加工したフィルムの幅方向中央部分を0mmとし、幅方向±900mm(100mm間隔)および、長手方向±1000mm(100mm)間隔で切り出し、各点でのRe、RthをKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて測定し、全点データからRthの標準偏差を計算し、その値をRthばらつきとした。
長手方向および幅方向が定かでない場合は、任意の方向を長手方向および幅方向として定めても良い。
<<内部ヘイズ>>
本発明のフィルムは、内部ヘイズが2%以下であるのが好ましく、1%以下であるのがより好ましく、0.01〜0.5%以下であるのがさらに好ましい。
<<熱処理後のヘイズ上昇>>
延伸前のフィルムのヘイズと、動的粘弾性計測した主鎖緩和温度Tαで2分間熱処理した後のフィルムのヘイズの変化(ヘイズ上昇量)が、0.40%未満であることが好ましく、0.30%未満であることがより好ましく、0.20%未満がより好ましい。本発明のフィルムは、重縮合エステルのブリードアウトが起きにくいため、このように低い熱処理後のヘイズ値を達成できる。
主鎖緩和温度Tαとは、動的粘弾性計測における引張モードにて設定歪0.1%昇温速度5℃/分で25℃から200℃まで昇温したときに、tanδ値が最も大きくなるピーク(ポリマーの主鎖緩和に相当するピーク)を測定したときのピークトップの温度をいう。
<<光弾性係数>>
本発明のフィルムの光弾性係数は、50×10-13cm2/dyne以下であるのが液晶表示装置の経時による色味変化を少なくする上で好ましい。
具体的な測定方法としては、フィルム試料10mm×100mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出する。
<<Re、Rth>>
本発明のフィルムのRe(590)としては、30〜100nmが好ましく、40〜80nmがより好ましく、40〜60nmがさらに好ましい。
また、本発明のフィルムのRth(590)としては、90〜180nmが好ましく、100〜160nmがより好ましく、110〜140nmがさらに好ましい。
Re、Rthは、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて測定可能である。
<レターデーション>
本明細書におけるRe(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。本願明細書においては、特に記載がないときは、波長λは、590nmとする。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(A)及び式(B)よりRthを算出することもできる。ここで平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
Figure 0005955257
ここで、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表し、nx、ny、nzは、屈折率楕円体の各主軸方位の屈折率を表し、dはフィルム厚を表す。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d 式(B)
なおこの際、パラメータとして平均屈折率nが必要になるが、これはアッベ屈折計((株)アタゴ社製の「アッベ屈折計2−T」)により測定した値を用いた。
<偏光板>
本発明のセルロースアセテートフィルムは位相差フィルムとして機能するものであるが、好ましくは、偏光板の保護フィルムとして組み込むことが好ましい。
すなわち、本発明の偏光板は、偏光子と、該偏光子の少なくとも片側に本発明のセルロースアセテートフィルムを少なくとも1枚含む。以下、本発明の偏光板について説明する。
本発明のフィルムと同様、本発明の偏光板の態様は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、上記した通り、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。
本発明の偏光板では、偏光子の膜厚が3〜100μmであることが好ましい。
本発明の偏光板では、偏光板保護フィルムの少なくとも片側は本発明のフィルムを含むが、他方の偏光板保護フィルムとしては、公知のセルロースアシレートフィルムを用いることができる。該他方の偏光板保護フィルムの厚さは、10〜70μmであることが好ましく、20〜65μmであることがさらに好ましい。
本発明では、偏光板の保護フィルムの一方について、透湿度170g/m2未満の保護フィルムを用いることも好ましい。このような低透湿度の保護フィルムを用いた偏光板を液晶表示装置に組み込む場合、視認側にかかる低透湿度の保護フィルムが来るように設けることが好ましい。
低透湿度の保護フィルムとしては、ポリエステルフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリアクリルフィルム、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂の混合樹脂フィルムがあげられる。
ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムが好ましい。シクロオレフィンフィルムとしては、ノルボルネン系フィルムであり、特開2010−78700号記載のシクロオレフィンフィルムが好ましく使用することができる。市販品としては、ゼオノア、ゼオネックス(日本ゼオン(株)製)、APEL(三井化学(株)製)があげられる。
ポリカーボネートフィルムとしては、市販品としてはピュアエース、ピュアエースWR(帝人化成(株)製)、エルメック((株)カネカ製)があげられる。ポリオレフィンフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルムがあげられる。ポリアクリルフィルムとしては、ポリメチルメタクリレートフィルムがあげられる。
これらは、公知の方法により製造することができる。
さらに、本発明の偏光板総厚みは、60〜130μmであることが好ましく、70〜120μmであることがさらに好ましく、70〜100μmであることが特に好ましい。ここでの総厚みとは、偏光子、該偏光子の両側に貼り合わされる偏光板保護フィルムに加え、該偏光板保護フィルムを貼りあわせる接着剤層を含む趣旨である。
本発明の偏光板の具体的な構成については、特に制限はなく公知の構成を採用できるが、例えば、特開2008−262161号公報の図6に記載の構成を採用することができる。
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を少なくとも1枚含む。本発明の液晶表示装置は、本発明のフィルムを含む本発明の偏光板を含むことで、正面方向のコントラストならびに視野角方向の色味変化が顕著に改善されている。
本発明の液晶表示装置では、液晶セルを構成するガラスの厚さが50〜500μmであることが好ましい。このようなガラスを用いることにより、液晶表示装置の厚さを薄くすることが可能になる。
本発明の液晶表示装置は液晶セルと該液晶セルの両側に配置された一対の偏光板を有する液晶表示装置であって、前記偏光板の少なくとも一方が本発明の偏光板であることを特徴とするVA、IPS、またはOCBモードの液晶表示装置であることが好ましく、VAモードの液晶表示装置であることがより好ましい。
本発明の液晶表示装置の具体的な構成としては特に制限はなく公知の構成を採用できるが、例えば図2に記載の構成とした例を採用することができる。また、特開2008−262161号公報の図2に記載の構成も好ましく採用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<セルロースアセテートフィルムの製膜>
<<セルロースアセテートの調製>>
以下に示すセルロースアセテートドープを用い、溶液流延法によりフィルムを製膜し、各実施例および比較例に使用した。
セルロースアセテートドープ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアセテート:アセチル基置換度が下記表に記載のもの 100質量部
重縮合エステル:下記表に記載の種類のものを下記表に記載の量添加した
レターデーション調整剤H1: 3質量部
ジクロロメタン 406質量部
メタノール 61質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
重縮合エステルは、特開平05−155809号公報の記載に従って合成した。すなわち、下記表に記載のジカルボン酸とジオールを用い、下記表に記載の基で末端を封止した。
Figure 0005955257
表中、単位は質量%である。TPAはテレフタル酸、PAはフタル酸、AAはアジピン酸、SAはコハク酸、PGは1,2−プロピレングリコール、EGはエチレングリコール、Acはアセチル基を、Bzはベンゾイル基を、p−tolはパラートルイル基を、OHは水酸基を表す。
レターデーション調整剤H1
Figure 0005955257
セルロースアセテートドープには、セルロースアセテート100質量部に対して微粒子であるマット剤(AEROSIL R972、日本エアロジル(株)製、2次平均粒子サイズ1.0μm以下)が0.13質量部となる様にマット剤分散液を混合、攪拌した。
単層での溶液流延
上記の組成のドープをミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過し、セルロースアセテートドープを調製した。ドープをバンド流延機にて流延した。なお、バンドはSUS製であった。
バンドから剥ぎ取ったフィルムをクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いて、該テンター装置内で乾燥した
延伸ゾーンにおけるフィルムの膜面温度が表に記載の温度(延伸温度)となるように熱風を当てつつ、下記表に記載の延伸倍率で横方向(搬送方向に垂直な方向)にテンターで延伸を行った。その後、フィルムをテンター搬送からロール搬送に移行し、さらに下記表に記載の膜面温度(乾燥温度)で乾燥し、巻き取った。
各フィルムのRe、Rthは、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて測定した。測定波長は590nmとした。
<評価>
<<水接触試験による平衡含水率変化計測>>
加工したフィルムを3cm角に切り出し、40℃の水に16時間浸漬した。浸漬後、フィルムを取り出し、表面についた水をふき取った後、25℃80%相対湿度の環境で3時間調湿を行った。その後フィルムを密閉容器に入れ、カールフィッシャー水分測定装置(平沼産業(株)社製、AQ−2100)にて含水量を測定した。初期状態のフィルムの平衡含水率は、加工したフィルムを3cm角に切り出し、25℃80%相対湿度の環境で3時間調湿した後、同様の方法で計測した。水処理後の平衡含水率と初期状態の平衡含水率の差分の絶対値を平衡含水率変化量(単位:質量%)とした。
<<フィルムのRthばらつき評価>>
全幅1980mm幅に加工したフィルムの幅方向中央部分を0mmとし、幅方向±900mm(100mm間隔)および、長手方向±1000mm(100mm)間隔で切り出し、各点でのRe、RthをKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて測定した。全点データからRthの標準偏差を計算し、その値をRthばらつきとした。Rthばらつきの値を3段階にわけ、実用可能な程度をA、B、Cとした。
A:Rthばらつき1nm未満
B:Rthばらつき1nm以上2nm未満
C:Rthばらつき2nm以上4nm未満
D:Rthばらつき4nm以上
<<熱処理によるヘイズ上昇計測>>
延伸前のフィルムを採取しサンプルを20mm(幅手方向)×5mm(搬送方向)に切り出し、動的粘弾性測定によりフィルムの主鎖緩和温度Tαを求めた。アイティー計測制御株式会社製DVA−225を使用し、引張モードにて設定歪0.1%昇温速度5℃/分で25℃から200℃まで昇温したときに、tanδ値が最も大きくなるピーク(ポリマーの主鎖緩和に相当するピーク)を測定し、ピークトップの温度をTαとした。
次に延伸前のフィルムを10cm角に切り出し、4辺をSUS性の枠にクリップを用いて固定し、膜面温度が上記で求めたTgに到達するまで恒温槽で加熱した。加熱後のフィルムおよび加熱前のフィルムのヘイズ値を計測し、その差分を熱処理によるヘイズ上昇値とした。
<<ブリードアウト性評価>>
延伸後のフィルムサンプルの状態を目視で観察し以下のように3段階に分けた。実用上問題ない程度をA、B、Cとした。
A:テンターでフィルムを把持している部分、フィルム中央部ともに添加剤の泣き出しがない。
B:テンターでフィルムを把持している部分に若干の添加剤の泣き出しが見られるが、フィルム中央部には泣き出しがみられない。
C:テンターでフィルムを把持している部分に加えフィルム面内に添加剤の泣き出しが見られるが、テンターで把持していたフィルム幅に対して中央部分90%の幅の領域には泣き出しが見られない。
D:テンターでフィルムを把持している部分に加え、テンターで把持していたフィルム幅に対して中央部分90%の幅の領域にも泣き出しが見られる。
Figure 0005955257
表中、Acはアセチル基を、Bzはベンゾイル基を、p−tolはpートルイル基を、OHは水酸基を表す。
表から、本発明のフィルムは、平衡含水率変化が低く、ブリードアウトを抑制できることが分かる。さらに、Rthのばらつき、熱処理後のヘイズ変化が低いことがわかる。
<偏光板の作製>
特開2012−103657号公報の段落0165〜0175の記載を参考にして、以下のように作製した。
厚さ、60μmのポリビニルアルコールフィルムを、35℃の水で膨潤させこれをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム3g、ホウ酸7.5g、水100gからなる45℃の水溶液に浸漬し一軸延伸(温度55℃、延伸倍率5倍)した。これを水洗、乾燥し偏光子を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って偏光子と前記セルロースアセテートフィルムと、TD60UL(富士フイルム株製)を貼り合せて偏光板を作製した。
工程1:60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化したセルロースアセテートフィルムを得た。
工程2:前記偏光子を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理したセルロースエステルフィルムの上にのせて配置した。
工程4:工程3で積層したセルロースエステルフィルムと偏光子と裏面側セルロースエステルフィルムを圧力20〜30N/cm2、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:70℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光子とセルロースエステルフィルムとTD60ULとを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、それぞれ、セルロースエステルフィルムに対応する偏光板を作製した。
セルロースエステルフィルム以外のフィルムは、以下のようにして偏光子と貼り合わせた。
フィルム上に、下記紫外線(UV)硬化接着剤を、マイクログラビアコーター(グラビアロール:#300、回転速度140%/ライン速)を用いて、厚さ5μmになるように塗工した接着剤付きフィルムとした。次いで、これを、上記ポリビニルアルコール接着剤に浸漬した偏光子に、セルロースエステルフィルムとともにロール機で貼り合わせた。
貼り合わせたフィルムの両側から、電子線を照射して、偏光子の両側にフィルムを有する偏光板を得た。ライン速度は20m/min、加速電圧は250kV、照射線量は20kGyとした。
なお、保護フィルムとして下記表に示したフィルムを使用した。
PMMA1:ポリメチルメタクリレートフィルム 20μm(透湿度200g/m2/日)
PMMA2:ポリメチルメタクリレートフィルム 25μm(透湿度160g/m2/日)
PMMA3:ポリメチルメタクリレートフィルム 40μm(透湿度80g/m2/日)
PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム 40μm(透湿度15g/m2/日)
COP:シクロオレフィンフィルム 40μm:ゼオノアフィルムZF14−040日本ゼオン(株)製(透湿度1g/m2/日)
<<保護フィルムの透湿度の測定>>
保護フィルムの透湿度はJISZ0208防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に規定される方法(40℃90%相対湿度)で測定した。
<液晶表示装置の評価>
<<液晶表示装置の水接触部正面ムラ評価>>
作製した各偏光板を10cm×10cmに切り出しVAモード液晶表示装置に貼り合わせた。作製した液晶表示装置を横に寝かした状態で、視認側偏光板表面中央部に1cm×8cmのベンコットM−3II(旭化成社製)を偏光板の吸収軸に対し45°になるようにのせた。マイクロピペットを用いて200μlの純水をベンコット上に滴下し、速やかにサランラップ(登録商標)(旭化成ホームプロダクツ製)で偏光板を覆い、周囲をカプトンテープ(日東電工社製)で貼り付け密閉した。この状態でパネルを点灯し16時間静置した。その後、サランラップ(登録商標)とベンコットを取り外し、フィルム表面についた水をふき取り、24時間点灯したのちパネルを暗室内で黒表示時に正面方向から観察し、ムラの有無を観察した。
さらに、暗室内で黒表示時に測定機(EZ−Contrast XL88、ELDIM社製)を用いて、水接触部及びその周辺部の黒輝度を計測した。
A:水接触部とその周辺との光漏れの差が0.01cd/m2以下(全く視認されない)
B:水接触部とその周辺との光漏れの差が0.01〜0.05cd/m2以下(ほとんど視認されない)
C:水接触部とその周辺との光漏れの差が0.05〜0.1cd/m2(わずかに見えるが、視認されづらい)
D:水接触部とその周辺との光漏れの差が0.1cd/m2以上(明確に視認される)
以上の結果を元に、実用可能な程度はAとBとした。
<斜め光漏れの評価>
作製した各偏光板を実装した液晶表示装置を暗室で点灯し、黒表示状態で観察し、極角60度方位角45度方向から観察したときの光漏れを以下の基準で観察した。
A:ほとんど光漏れが視認されない
B:やや光漏れが視認される
C:著しい光漏れが視認される
以上の結果を元に、実用可能な程度はAとBとした。
Figure 0005955257
1 静電気防止袋
2 偏光板
3 偏光子
4 セルロースアセテートブチレートフィルム
5 位相差フィルム
6 結露水
7 歪み
22 保護フィルム
12 視認側偏光子
15 位相差フィルム
13 液晶層
14 位相差フィルム
11 バックライト側偏光子
21 保護フィルム

Claims (7)

  1. アセチル置換度が2.40〜2.60であるセルロースアセテートと、芳香族ジカルボン酸残基および脂肪族ジオール残基を含む重縮合エステルとを有し、ジカルボン酸中の芳香族ジカルボン酸の割合が40mol%以上であり、重縮合エステルの末端および脂肪族ジオールの構造が下記式(1)または(2)を満たし、前記重縮合エステルを前記セルロースアセテート100質量部に対し60〜120質量部含み、40℃の純水に16時間浸漬する前後のフィルムの25℃80%相対湿度におけるカールフィッシャー法による水処理前後の平衡含水率変化が0.8質量%以下であることを特徴とするセルロースアセテートフィルム。
    (1)重縮合エステルの末端が酢酸、安息香酸、およびトルイル酸の少なくとも1種で封止されており、脂肪族ジオールの平均炭素数が2〜2.3である。
    (2)重縮合エステルの末端が水酸基であり、脂肪族ジオールの平均炭素数が2.4〜2.8である。
  2. 前記重縮合エステルの重量平均分子量が1500以下であり、前記重縮合エステル中の分子量が400以下の成分の比率が4質量%未満である、請求項1に記載のセルロースアセテートフィルム。
  3. フィルム主鎖緩和温度Tαで2分間熱処理した後のヘイズ上昇量が0.40%未満である、請求項1または2に記載のセルロースアセテートフィルム。
  4. セルロースアセテートフィルムを、150℃未満の延伸温度で延伸することを含み、前記セルロースアセテートフィルムが、アセチル置換度が2.40〜2.60であるセルロースアセテートと、芳香族ジカルボン酸残基および脂肪族ジオール残基を含む重縮合エステルとを有し、ジカルボン酸中の芳香族ジカルボン酸の割合が40mol%以上であり、重縮合エステルの末端および脂肪族ジオールの構造が下記式(1)または(2)を満たし、前記重縮合エステルが前記セルロースアセテート100質量部に対し60〜120質量部含み、40℃の純水に16時間浸漬する前後のフィルムの25℃80%相対湿度におけるカールフィッシャー法による水処理前後の平衡含水率変化が0.8質量%以下であることを特徴とするセルロースアセテートフィルムの製造方法。
    (1)重縮合エステルの末端が酢酸、安息香酸、およびトルイル酸の少なくとも1種で封止されており、脂肪族ジオールの平均炭素数が2〜2.3である。
    (2)重縮合エステルの末端が水酸基であり、脂肪族ジオールの平均炭素数が2.4〜2.8である。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースアセテートフィルムと、偏光子とを有する、偏光板。
  6. 透湿度が170g/m2・日未満である保護フィルムを有し、該保護フィルムが、前記偏光子の液晶セル側の面と反対側の面に配置される、請求項5に記載の偏光板。
  7. 請求項5または6に記載の偏光板を有することを特徴とする光学表示装置。
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