JP5950562B2 - 粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化方法およびセシウム含有土壌の減容化処理システム - Google Patents

粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化方法およびセシウム含有土壌の減容化処理システム Download PDF

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Description

本発明は、放射性セシウムに汚染されたセシウム含有土壌の減容化方法およびセシウム含有土壌の減容化処理システムに関するものである。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災に起因する東京電力福島第一原子力発電所の事故により放射性物質が周囲に拡散し、広範囲にわたる土壌が放射性ヨウ素や放射性セシウム等の放射性物質により汚染されている。放射性ヨウ素(ヨウ素131)の半減期は8日と短いのでその汚染による問題は小さいが、放射性セシウムのうち、セシウム137の半減期は約30年と長く、セシウム137により汚染された土壌の除染は喫緊の問題となっている。
放射性物質による汚染土壌の除染は、一般的に土壌の表層を削りとることによって行われているが、その削り取った土を大量に保存する場所の確保は困難であり、汚染土壌の減容化技術が求められている。
ここで、セシウムは水溶性であり、紺青(プルシアンブルーとも称される)に吸着されることが知られている(例えば、特許文献1)。この知見に基き、放射性セシウム汚染土壌を水によって洗浄した後、その洗浄水に溶解したセシウムと、水に溶けていないセシウムを含む細粒分を、吸着剤としての紺青と高分子凝集剤等の沈殿剤を含む粉末泥水処理剤を用いて沈殿させて、前記汚染土壌の洗浄水中のセシウムを除去することが試みられている。
しかし、一般的に用いられる高分子凝集剤等の沈殿剤は、前記細粒分が少ない水(例えば、比重1.05〜1.10未満程度)にしか用いることができないため、セシウム汚染土壌の洗浄水の細粒分が多い、すなわち比重が大きく濃い泥水(例えば、比重が1.10以上)の場合には、更に水を加えて薄める必要がある。そのため、除染の対象となる処理水(セシウムを含む洗浄水)の量が増えてしまう問題がある。
特許文献2には、比重が1.10以上の泥水を薄めることなく、当該濃い泥水にそのまま添加して用いることができる粉末泥水処理剤が開示されている。特許文献2には、泥水の比重が1.10以上であっても、前記粉末泥水処理剤の添加によってフロックを形成できるということが記載されている限りであり、泥水中に含まれるセシウムが除去されることについては一切記載されていない。
特開2011−200856号公報 特開2007−152344号公報
本発明は、セシウムを含む洗浄水の比重が1.10以上の濃い泥水であっても希釈する必要がなく、直接粉末泥水処理剤を添加することにより簡便に処理することができる、粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化方法およびセシウム含有土壌の減容化処理システム、およびセシウム除去用粉末処理剤を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化方法は、セシウムを含む土壌に水を加えて前記土壌を洗浄する土壌洗浄工程と、前記洗浄工程後に礫、砂を含む洗浄土壌と、細粒分が分散した洗浄泥水とに分級する分級工程と、前記細粒分が分散した洗浄泥水に対し、吸着物質、炭酸塩、無機凝集剤および高分子凝集剤を含有する第1の粉末処理剤を添加、撹拌し、フロックを形成させる第1のフロック化工程と、前記第1のフロック化工程後に固液分離を行う第1の分離工程と、を含み、前記第1の粉末処理剤に含まれる高分子凝集剤は、第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の混合物であり、前記第1高分子凝集剤は、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物であり、前記第2高分子凝集剤は、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの共重合物であることを特徴とするものである。
セシウムを含む土壌を洗浄する洗浄工程を行うと、水溶性であるセシウムは、そのほとんどが細粒分が分散した洗浄泥水中に含まれる。従来は、この洗浄泥水中に含まれるセシウムを吸着剤により吸着し、更に沈殿剤を加えてセシウムを吸着した吸着材を沈殿させていたが、通常の沈殿剤は細粒分が少ない水(例えば、比重1.05〜1.10未満程度)に用いることを前提としているため、前記洗浄泥水の細粒分が多い、すなわち比重が大きく濃い泥水(例えば、比重が1.10以上)である場合には、大量の沈殿剤を添加するか、濃い泥水を水で薄めて比重を1.10未満にする必要があった。
ここで、本態様において用いる第1の粉末処理剤は、比重が1.10以上(例えば、比重1.10〜1.35)の濃い泥水であっても希釈する必要がなく、直接処理剤を添加することにより簡便に処理することができるものである。第1の粉末処理剤を用いることにより、前記洗浄泥水が濃い場合にも、直接添加して細粒分をフロック化(凝集)して処理し、該細粒分中に含まれるセシウムを当該細粒分とともに沈殿させ、その沈殿物を水と固液分離することによって減容化することができる。尚、第1の粉末処理剤を比重が1.10以上の濃い泥水に用いることができる理由は、後に詳述する。
更に、本発明者らは、この第1の粉末処理剤を用いると、メカニズムは定かではないが後述する実施例に示すように、細粒分をフロック化(凝集)して処理すると同時に、水中のセシウムも減少させることができる効果を見出した。したがって、前記洗浄泥水に対して第1の粉末処理剤を用いた処理を行うことによって、該洗浄泥水の比重に関わらず、効果的にセシウム除去を行うことができる。例えば、除染対象となるセシウムを含む土壌の細粒分の含有量が0〜40%程度であっても処理が可能となる。
次に、第1の粉末処理剤が、比重が1.10以上の濃い泥水に対して直接添加して凝集反応を効果的に行うことができる理由について説明する。
前記第1の粉末処理剤に含まれる高分子凝集剤は、第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の二成分が混合されてなる。前記第1高分子凝集剤であるアクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物は、泥水中に含まれるカルシウムイオンなどの多価金属イオンや無機凝集剤由来の多価金属イオン(以下、凝集力低下原因物質と称する場合がある)が一定濃度以上になると、該凝集力低下原因物質との凝集力低下反応によって急激に凝集力が下降する性質を有し、前記凝集力低下原因物質が一定濃度以上存在する泥水、例えば高濃度の泥水に添加すると、凝集反応と前記凝集力低下反応との両反応が進行する。そして、該凝集反応によって、泥水中の汚濁物質がフロック化されて初期フロックを形成されると同時に、該凝集力低下反応によって前記第1高分子凝集剤が不溶化した物質が生成し、生成した不溶物質は泥水中に浮遊して存在する。
次に、前記第2高分子凝集剤であるアクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの共重合物は、その凝集力は前記第1高分子凝集剤の前記凝集力低下原因物質の影響を受けない状態での本来の凝集力よりも低いが、該凝集力低下原因物質の影響を受けて凝集力が低下しない。
このような性質の第1高分子凝集剤および第2高分子凝集剤を用いることにより、該第1高分子凝集剤の凝集反応によって形成された前記初期フロックを種フロックとして、該第2高分子凝集剤が、泥水中の汚濁物質を更にフロック化させる。加えて、第1高分子凝集剤と凝集力低下原因物質との凝集力低下反応によって生成した、第1高分子凝集剤が不溶化した物質も、泥水中の汚濁物質と共に、第2高分子凝集剤の凝集力によってフロック化させることができる。
即ち、前記凝集力低下原因物質との凝集力低下反応に起因する第1高分子凝集剤の凝集力の低下を、第2高分子凝集剤の凝集力によって補うことができる。
本発明の第2の態様に係る粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化方法は、セシウムを含む土壌に水を加えて前記土壌を洗浄する土壌洗浄工程と、前記洗浄工程後に礫、砂を含む洗浄土壌と、細粒分が分散した洗浄泥水とに分級する分級工程と、前記細粒分が分散した洗浄泥水に対し、吸着物質、炭酸塩、無機凝集剤および高分子凝集剤を含有する第1の粉末処理剤を添加、撹拌し、フロックを形成させる第1のフロック化工程と、前記第1のフロック化工程後に固液分離を行う第1の分離工程と、を含み、前記第1の粉末処理剤に含まれる高分子凝集剤は、第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の混合物であり、前記第1の粉末処理剤に含まれる高分子凝集剤は、第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の混合物であり、前記第1高分子凝集剤は、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物であり、前記第2高分子凝集剤は、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの三元共重合物であることを特徴とするものである。
本態様によれば、前記第1の粉末処理剤に含まれる高分子凝集剤を構成する第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤として、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物とアクリルアミドとアクリル酸ナトリウムと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの三元共重合物を用いることによって、第1の態様と同様の作用効果を奏する。
本発明の第3の態様に係る粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化方法は、第1の態様または第2の態様において、前記第1の分離工程において分離された液体成分に対し、紺青を添加、撹拌する紺青処理工程と、前記紺青処理工程後に前記紺青を沈殿させる高分子凝集剤を含有する第2の粉末処理剤を添加、撹拌し、フロックを形成させる第2のフロック化工程と、前記第2のフロック化工程後に固液分離を行う第2の分離工程と、を含むことを特徴とするものである。
紺青[ヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III):C18Fe18]は、水中に溶解したセシウムを吸着する。
本態様によれば、紺青によって水に溶解したセシウムを吸着した後、当該セシウムを吸着した紺青を第2の粉末処理剤によってフロック化して沈殿させて固液分離を行い、分離された固体成分中にセシウムを濃縮し、更なる減容化を図ることかできる。
通常、紺青によるセシウム除去処理は、比較的薄い泥水(比重1.05〜1.10程度まで)に対してしか行うことができないが、本態様によれば、前記第1の粉末処理剤によって細粒分とセシウムが除かれた液体成分(細粒分が少ない)に対して紺青を添加することができる。尚、第2の粉末処理剤としては、薄い泥水に対して用いることができる一般的な凝集剤を用いることができる。
本態様によれば、第1の態様または第2の態様の作用効果に加え、紺青によるセシウムの吸着除去の効果を高効率に得て、処理対象のセシウム含有土壌からセシウムを除去し、その大幅な減容化を達成することができる。また、第1の粉末処理剤によってセシウムが除去された後に紺青による吸着を行うので、紺青の使用量を少なくすることができる。
本発明の第4の態様に係る粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化処理システムは、セシウムを含む土壌に水を加えて前記土壌を洗浄する土壌洗浄部と、 前記土壌洗浄部における洗浄後に礫、砂を含む洗浄土壌と、細粒分が分散した洗浄泥水とに分級する分級部と、前記細粒分が分散した洗浄泥水に対し、吸着物質、炭酸塩、無機凝集剤および高分子凝集剤を含有する第1の粉末処理剤を添加、撹拌し、フロックを形成させる第1の反応部と、前記第1の反応部におけるフロック形成後に固液分離を行う第1の分離部と、を備え、前記第1の粉末処理剤に含まれる高分子凝集剤は、第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の混合物であり、前記第1高分子凝集剤は、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物であり、前記第2高分子凝集剤は、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの共重合物であることを特徴とするものである。
本態様によれば、前記第1の粉末処理剤に含まれる高分子凝集剤を構成する第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤が、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物とアクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの共重合物である粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化方法を実行し、第1の態様と同様の作用効果を得て、セシウム含有土壌の大幅な減容化を達成することができる。
本発明の第5の態様に係る粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化処理システムは、セシウムを含む土壌に水を加えて前記土壌を洗浄する土壌洗浄部と、前記土壌洗浄部における洗浄後に礫、砂を含む洗浄土壌と、細粒分が分散した洗浄泥水とに分級する分級部と、前記細粒分が分散した洗浄泥水に対し、吸着物質、炭酸塩、無機凝集剤および高分子凝集剤を含有する第1の粉末処理剤を添加、撹拌し、フロックを形成させる第1の反応部と、前記第1の反応部におけるフロック形成後に固液分離を行う第1の分離部と、を備え、前記第1の粉末処理剤に含まれる高分子凝集剤は、第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の混合物であり、前記第1高分子凝集剤は、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物であり、前記第2高分子凝集剤は、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの三元共重合物であることを特徴とするものである。
本態様によれば、前記第1の粉末処理剤に含まれる高分子凝集剤を構成する第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤が、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物とアクリルアミドとアクリル酸ナトリウムと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの三元共重合物である粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化方法を実行し、第2の態様と同様の作用効果を得て、セシウム含有土壌の大幅な減容化を達成することができる。
本発明の第6の態様に係る粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化処理システムは、第4の態様または第5の態様において、前記第1の分離部において分離された液体成分に対し、紺青を添加、撹拌する紺青処理部と、紺青を添加、撹拌後に該紺青を沈殿させる高分子凝集剤を含有する第2の粉末処理剤を添加、撹拌し、フロックを形成させる第2の反応部と、前記第2の反応部におけるフロック形成後に固液分離を行う第2の分離部と、を備えたことを特徴とするものである。
本態様によれば、第3の態様の粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化方法を実行し、第3の態様と同様の作用効果を得て、セシウム含有土壌の大幅な減容化を達成することができる。
本発明の第7の態様に係るセシウム除去用粉末処理剤は、セシウムを含む水または泥水中のセシウム除去に用いられ、吸着物質、炭酸塩、無機凝集剤および高分子凝集剤を含有するセシウム除去用粉末処理剤であって、前記高分子凝集剤は、第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の混合物であり、前記第1高分子凝集剤は、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物であり、前記第2高分子凝集剤は、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの共重合物であることを特徴とするものである。
本態様に係るセシウム除去用粉末処理剤は、セシウムを含む比重1.10以上の濃い泥水の他、セシウムを含む水(比重1.0)に対しても用いることができる。本態様によれば、セシウムを含む水または泥水に添加することによって、細粒分を含む泥水の場合には、当該細粒分をフロック化して沈殿させるとともに、水中に含まれるセシウムも吸着して除去することができる。
本発明の第8の態様に係るセシウム除去用粉末処理剤は、セシウムを含む水または泥水中のセシウム除去に用いられ、吸着物質、炭酸塩、無機凝集剤および高分子凝集剤を含有するセシウム除去用粉末処理剤であって、前記高分子凝集剤は、第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の混合物であり、前記第1高分子凝集剤は、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物であり、前記第2高分子凝集剤は、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの三元共重合物であることを特徴とするものである。
本態様によれば、高分子凝集剤を構成する第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤として、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物とアクリルアミドとアクリル酸ナトリウムと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの三元共重合物を用いることによって、第8の態様と同様の作用効果を奏する。
本発明の第9の態様に係るセシウム除去用粉末処理剤は、第7の態様または第8の態様において、吸着物質はベントナイト、炭酸塩は炭酸水素ナトリウム、無機凝集剤はポリ塩化アルミニウムの微粉末であることを特徴とするものである。
本態様によれば、吸着物質としてベントナイト、炭酸塩として炭酸水素ナトリウム、無機凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの微粉末を組み合わせることにより、第7の態様または第8の態様と同様の作用効果が一層効果的に得られる。
本発明に係る粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化処理方法の一例を説明するフローチャートである。 本発明に係る粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化処理方法の他の例を説明するフローチャートである。 本発明に係る粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化処理システムの概略図である。
以下において、本発明について実施例に基づき詳細に説明する。尚、本発明はこれらによって制約されるものではない。
〔実施例1〕
図1は、本発明に係る粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化処理方法の一例を説明するフローチャートである。図1に基いて、本発明に係る粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化処理方法について説明する。
まず、放射性セシウムに汚染されたセシウム含有土壌に対して、水によって洗浄する土壌洗浄工程(S1)を行う。土壌洗浄工程は、ジェット洗浄水を用いる、ふるい等による振動を与える、たわし等によってこするなどしてしっかりと洗浄される。
土壌洗浄工程(S1)後の洗浄物を分級する分級工程(S2)を行う。分級はサイクロンや振動ふるい等を用いて行う。前記洗浄工程後に礫、砂等を含む洗浄土壌と、細粒分が分散した洗浄泥水とに分級される。尚、比較的大きい礫は、前記土壌洗浄工程の途中で除いてもよい。前記洗浄土壌は、そのセシウム含有量が基準値以下であれば所定の場所に廃棄することができる。基準値以上の場合には、再度土壌洗浄工程(S1)を行う。
細粒分が分散した洗浄泥水は、第1の粉末処理剤を用いて行う第1のフロック化工程(S3)に送られる。
前記細粒分が分散した洗浄泥水には、水溶性であるセシウムが溶けているので、元のセシウム含有土壌に含まれていたセシウムのほとんどが含まれていると考えられる。セシウムは水中だけでなく、細粒分に吸着している場合もある。この細粒分が分散した洗浄泥水に対し、吸着物質、炭酸塩、無機凝集剤および高分子凝集剤を含有する第1の粉末処理剤を添加、撹拌し、フロックを形成させる。第1のフロック化工程(S3)によって、セシウムが吸着した細粒分がフロック化して沈殿する。更に、メカニズムは不明であるが、水中に溶けているセシウムも減少する。すなわち、フロック(凝集物)に水中のセシウムが吸着されて、共に沈殿していると考えられる。尚、第1の粉末処理剤については後に詳述する。
次に、第1の粉末処理剤による処理(第1のフロック化工程)を行った後、固液分離する第1の分離工程(S4)を行う。第1の分離工程によって、上述のようにセシウムを多く含むフロック(凝集物)とセシウムが減少した液体成分とに分離される。
液体成分中のセシウム含有量が基準値以下であれば、放流または前記土壌洗浄工程(S1)用の洗浄水等として再利用することができる。
固体成分にはセシウムが含まれるが、その容量は元のセシウム含有土壌に含まれる細粒分に相当する容量程度にまで減容化することができる。
本実施例によれば、元のセシウム含有土壌中の細粒分が多く、洗浄泥水の比重が高くなった場合でも、その洗浄泥水を薄めることなく第1の粉末処理剤によってその洗浄泥水中の細粒分をフロック化するとともに、水中のセシウムも減少させることができる。したがって、処理対象となる液体成分を増やすことなく、効率的にセシウム含有土壌の大幅な減容化を達成することができる。
<第1の粉末処理剤について>
本発明に係る粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化処理方法に用いる第1の粉末処理剤について説明する。本発明に係る第1の粉末処理剤は、吸着物質、炭酸塩、無機凝集剤および高分子凝集剤を含有した粉末泥水処理剤であって、前記高分子凝集剤は、第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の混合物であるものである。
前記吸着物質としては、例えば、ベントナイト、活性炭、ゼオライト、などが挙げられる。前記吸着物質はアニオン性またはイオン性を持たない物質である。アニオン性のものは泥水中に含まれる汚濁物質と共に無機凝集剤によって中和される。これらの吸着剤は、高分子凝集剤によってフロック化されるための核になるものである。
吸着物質は、前記粉末泥水処理剤に45〜75wt%の割合で含まれている。
前記炭酸塩としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、などが挙げられる。炭酸塩はpH調整剤として用いられるものである。凝集剤による凝集反応には最適なpH範囲があり、使用する凝集剤に応じて処理泥水の原水のpHを調整する必要がある。炭酸塩は原水のpHと、使用する凝集剤の種類によって選択することができる。
炭酸塩は、前記粉末泥水処理剤に10〜20wt%の割合で含まれている。
前記無機凝集剤としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸アルミニウムなどのアルミニウム塩や、塩化第二鉄、ポリ硫酸鉄などの鉄塩などが挙げられる。前記無機凝集剤は、汚濁物質のマイナスの表面電荷を中和し、該汚濁物質が高分子凝集剤によってフロック化され易くするものである。
無機凝集剤は、前記粉末泥水処理剤に10〜20wt%の割合で含まれている。
前記高分子凝集剤は、第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の二成分が混合されてなる。高分子凝集剤は、前記粉末泥水処理剤に5〜15wt%の割合で含まれている。
第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の組み合わせは、第1高分子凝集剤が、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物であり、第2高分子凝集剤は、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの共重合物であるものを用いる。
前記第1高分子凝集剤であるアクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物と、前記第2高分子凝集剤であるアクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの共重合物は、それぞれ一般式(1)及び一般式(2)で表される。
Figure 0005950562
Figure 0005950562
一般式(1)で表される第1高分子凝集剤である、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物は、アクリルアミド部分が95〜60mol%(60≦m≦95)含まれ、アクリル酸ナトリウム部分が5〜40mol%(5≦n≦40)含まれるものが、第1高分子凝集剤として好ましい凝集力を有している。
一般式(2)で表される第2高分子凝集剤である、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの共重合物は、アクリルアミド部分が99〜80mol%(80≦m≦99)含まれ、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウム部分が1〜20mol%(1≦n≦20)含まれるものが好ましい。
第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の混合割合x:yは、0<x≦50、50≦y<100の範囲でx+y=100となるような任意の割合であることが好ましい。前記混合割合は泥水の比重や性質によって調整することができる。
第1高分子凝集剤であるアクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物は、凝集力は強いが、泥水中のアルミニウムやカルシウムイオンなどの多価金属イオンと結合して不溶化する性質がある。そのため、泥水に添加後、前記凝集反応によって初期フロックを形成すると共に、泥水中の多価金属イオンと結合して不溶化し、短時間でその凝集力が低下してしまう。
ここで、前記カルシウムイオンなどの多価金属イオンや無機凝集剤由来の多価金属イオンが、第1高分子凝集剤であるアクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物の凝集力低下原因物質に相当する。
泥水中のアニオン化した土粒子等の汚濁物質の濃度が高くなれば、泥水中に含まれる多価金属イオン(カチオン)の濃度も高くなる。更に、前記アニオン化した汚濁物質を中和するための無機凝集剤の添加量を多くしなければならないため、無機凝集剤由来の多価金属イオンも多くなる。
従って、泥水中の汚濁物質の濃度が高くなれば、泥水全体に含まれる多価金属イオンの濃度も高くなり、第1高分子凝集剤は高濃度の多価金属イオンの影響を受けて短時間に劣化し、前記凝集反応も短時間で終わってしまう。
一方、第2高分子凝集剤であるアクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの共重合物は、前記多価金属イオンと結合しても不溶化しないため、泥水に添加した後に凝集力が低下することなく、初期の凝集力が維持される。
従って、泥水に粉末泥水処理剤を添加した直後は、第1高分子凝集剤である凝集力の高いアクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物が積極的に作用して、初期フロックを形成する。その後、該アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物が泥水中の多価金属イオンと結合して不溶化して、短時間でその凝集力が低下しても、第2高分子凝集剤であるアクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの共重合物の凝集力は、多価金属イオンの影響を受けて低下しないため、前記初期フロックを種フロックとして、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物によって処理し切れなかった成分をフロック化する。そのため、従来よりも高濃度の泥水を処理することができる。
これにより、泥水処理の際、通常処理可能な比重1.05〜1.10の泥水よりも高濃度である、比重1.10以上(例えば、比重1.10〜1.35程度)の濃い泥水であっても、原水を希釈する必要がなく、直接原水に処理剤を添加することにより簡便に処理することができる。
また、第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の組み合わせが、第1高分子凝集剤が、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物であり、第2高分子凝集剤は、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの三元共重合物であってもよい。
前記第1高分子凝集剤であるアクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物は、上述の一般式(1)、第2高分子凝集剤であるアクリルアミドとアクリル酸ナトリウムと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの三元共重合物は一般式(3)で表される。
Figure 0005950562
第2高分子凝集剤としてアクリルアミドとアクリル酸ナトリウムと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの三元共重合物を用いれば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムのスルフォン基の存在により、多価金属イオンとの結合による不溶化が起こり難くできる上、アクリル酸ナトリウムのカルボキシル基の存在により、第2高分子凝集剤の凝集作用を高めることができる。
一般式(3)で表される第2高分子凝集剤である、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの三元共重合物は、アクリルアミド部分が50〜99mol%未満(50≦l<99)、アクリル酸ナトリウム部分が0より大きく30mol%未満(0<m≦30)、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウム部分が1〜20mol%(1≦n≦20)含まれるものが好ましい。
第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の混合割合x:yは、実施例1と同様、0<x≦50、50≦y<100の範囲でx+y=100となるような任意の割合であることが好ましい。前記混合割合は泥水の比重や性質によって調整することができる。
第1の粉末処理剤は、後述する実施例に示すように、泥水中の細粒分をフロック化して沈殿除去すると同時に、水中に溶解したセシウムを減少させる作用を奏するので、セシウム除去用粉末処理剤として用いることができる。
〔実施例2〕
図2は、本発明に係る粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化処理方法の他の例を説明するフローチャートである。図2に基いて、本発明に係る粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化処理方法の他の例について説明する。
実施例2は、実施例1において、第1の分離工程(S4)後の液体成分に基準値以上のセシウムが含まれている場合に行うことができる。土壌洗浄工程(S1)〜第1の分離工程(S4)については、実施例1と同様であるためその説明は省略する。
第1の分離工程(S4)後の液体成分に基準値以上のセシウムが含まれている場合には、該液体成分に対し、紺青を添加、撹拌する紺青処理工程(S5)を行う。前述のように、紺青は、水溶性のセシウムを吸着するので、液体成分中に含まれるセシウムは紺青に吸着される。
次に、紺青処理工程(S5)後に前記紺青を沈殿させる高分子凝集剤を含有する第2の粉末処理剤を添加、撹拌し、フロックを形成させる第2のフロック化工程(S6)を行う。これにより、セシウムを吸着した紺青がフロック化して沈殿する。
第2のフロック化工程(S6)を行った後、固液分離する第2の分離工程(S7)を行う。第2の分離工程によって、セシウムを吸着した紺青を含むフロック(凝集物)と更にセシウムが減少した液体成分とに分離される。
第2の分離工程後の液体成分中のセシウム含有量が基準値以下であれば、放流または前記土壌洗浄工程(S1)用の洗浄水等として再利用することができる。
本実施例によれば、元のセシウム含有土壌中の細粒分が多く、洗浄泥水の比重が高くなった場合でも、その洗浄泥水を薄めることなく第1の粉末処理剤によってその洗浄泥水中の細粒分をフロック化するとともに、水中のセシウムも減少させることができる上、第1の分離工程(S4)後の液体成分は比重が小さくなっているので、、紺青によるセシウムの吸着除去の効果を高効率に得ることができる。以って、処理対象のセシウム含有土壌から高効率にセシウムを除去し、その大幅な減容化を達成することができる。
尚、第1の分離工程(S4)後の液体成分に基準値以上のセシウムが含まれている場合、紺青によるセシウムの吸着除去に限らず、セシウム吸着能を有する他の吸着剤を用いたセシウム除去工程を行うことも可能である。セシウム吸着能を有する他の吸着剤としては、例えば、ゼオライト等が挙げられる。
〔実施例3〕
図3を用いて、本発明に係る粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化処理システム1について説明する。
粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化処理システム1は、セシウムを含む土壌が送られて、セシウムを含む土壌(セシウム含有土壌10)に水を加えて前記土壌を洗浄する土壌洗浄部11を備えている。土壌洗浄部11は、例えば、ジェット洗浄を行ったり、振動ふるいによるふるい洗浄を行うことができるように構成されている。大きな礫20は、この土壌洗浄部11において除かれるように構成されている。
セシウム含有土壌10を洗浄後、分級部12において、礫、砂等を含む洗浄土壌21と細粒分が分散した洗浄泥水22とに分級する。分級部12としては、サイクロンや振動ふるい等を用いることができる。ふるいによる分級を行った場合には、セシウム除去後の固体成分をその大きさに応じて再利用可能であり、より効果的な有効利用が可能となる。
前記細粒分が分散した洗浄泥水22は第1の反応部13に送られ、前述した第1の粉末処理剤を添加、撹拌されるように構成されている。第1の粉末処理剤の反応によってフロックが形成されたら、第1の分離部14において固液分離を行う。
第1の分離部14の固液分離は、サイクロン、遠心分離、スクリュープレス、大型土嚢等の袋を用いた自然ろ過などによって行うことができる。
第1の分離部14において分離された液体成分23は、処理水槽16に溜められる。第1の分離部14において分離された固体成分は、フィルタープレス等の脱水施設15で更に脱水されることが望ましい。脱水施設15で回収された水は、処理水槽16に溜められる。フィルタープレス等により脱水することにより得られる固体成分26(セシウムが含まれている)は、元のセシウム含有土壌10に含まれる細粒分に相当する容量程度にまで減容化することができる。
処理水槽16に溜められた水は、例えばセシウム含有量測定部27においてセシウム含有量を測定して、基準値以下であれば、放流または土壌洗浄部11における洗浄水等に再利用することができる。基準値以上である場合には、紺青処理部17に送られ、紺青を添加、撹拌する。これにより、残留しているセシウムが紺青に吸着される。
次に、第2の反応部18において紺青を沈殿させる高分子凝集剤を含有する第2の粉末処理剤を添加、撹拌し、セシウムを吸着した紺青を含むフロックを形成させるように構成されている。その後、第2の分離部19において固液分離を行い、セシウム含有量が基準値以下になった液体成分28は放流または土壌洗浄部11における洗浄水等に再利用する。固体成分29(セシウムが含まれている)は脱水施設15に送られて、更なる減容化が図られる。
尚、第2の分離部19の固液分離は、サイクロン、遠心分離、スクリュープレス、大型土嚢等の袋を用いた自然ろ過等によって行うことができる。
〔セシウム除去試験1〕
次に、本実施例の粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化方法によるセシウム除去試験を行った。尚、セシウム除去試験は放射性セシウムではなく、非放射性セシウムを用いて行った。
本試験では、第1の粉末処理剤の第1高分子凝集剤として、アクリル酸ナトリウム部分が20mol%含まれるアクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物を用いた。また第2高分子凝集剤として、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの三元共重合物を用いた。
本試験に使用する第1の粉末処理剤の組成を以下に示す。
ベントナイト 60wt%
炭酸水素ナトリウム 15wt%
ポリ塩化アルミニウム 15wt%
第1高分子凝集剤 5wt%
第2高分子凝集剤 5wt%
試験方法
処理対象土壌(粘性土22.7%、砂75.8%、礫分1.5%:宮城県)に対し、非放射性セシウム1ppm水溶液を添加した。これをセシウム含有土壌とし、該セシウム含有土壌を、モルタルミキサを用いて水で洗浄した後に、ふるいにより分級して得られる洗浄泥水(粘性土等の細粒分が分散)に、上記第1の粉末処理剤を添加、撹拌後、形成されたフロックを固液分離した。
洗浄後の処理対象土壌、第1の粉末処理剤による処理後の固体成分および液体成分について、セシウム含有量を測定した。その結果を表1に示す。セシウム含有量の測定は、「固体試料含有試験・酸分解ICP質量分析法(Cs換算)」により行った。尚、本測定方法による定量下限値は、固体が5mg/kg、液体が0.001mg/Lである。
Figure 0005950562
本試験に用いた処理対象土壌は、粘性土22.7%と粘性土の割合が高く、洗浄泥水の比重は高くなる(比重1.10以上)。したがって、前記第1の粉末処理剤に含まれる吸着物質(ベントナイト)、炭酸塩(炭酸水素ナトリウム)、無機凝集剤(ポリ塩化アルミニウム)に、一般的な高分子凝集剤を用いた粉末処理剤では、十分なフロック化が行われないため、効率的にセシウムを除去することができないと考えられる。
〔セシウム除去試験2〕
放射性セシウム(セシウム137)に汚染された道路の洗浄水に対して、セシウム除去試験1に用いた第1の粉末処理剤と同様の組成の粉末処理剤をセシウム除去用粉末処理剤として添加し、セシウム除去処理を行った。尚、前記道路の洗浄水は薄い濁水であった。
このセシウム除去処理によって、汚染された道路の洗浄水中の137Csは300Bq/l台から10Bq/l以下の値に減少した。
〔セシウム除去試験3〕
細粒分含有率23%の非放射性セシウム含有土壌に対し、水による洗浄を行った後、洗浄泥水に対してセシウム除去試験1に用いたものと同様の第1の粉末処理剤を用い、フロックを形成させ、固液分離を行った。処理対象土壌のセシウム含有量は、1kgに対して1ppm、10ppmの場合について行った。
水洗浄後の土壌(洗浄土壌)からは、セシウムは検出下限値(5mg/kg)以下であった。処理対象土壌のセシウム含有量が1ppmの場合、第1の粉末処理剤による処理後の液体成分に含まれるセシウムは、検出下限値(0.001mg/L)以下であった。
処理対象土壌のセシウム含有量が10ppmの場合、第1の粉末処理剤による処理後の液体成分に含まれるセシウムは、0.002ppm(mg/L)であった。
このように、第1の粉末処理剤を用いることによって、洗浄泥水中のセシウムの99%以上を除去することができることが分かった。第1の粉末処理剤による処理後の液体成分に、基準値以上のセシウムが含まれる場合には、紺青によるセシウム吸着を行うことによって、更なるセシウムの除去を行うことができる。以って、液体成分中から高効率にセシウムを除去し、以って、セシウム含有土壌の減容化を効果的に行うことができる。
1 粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化処理システム、
10 セシウム含有土壌、 11 土壌洗浄部、 12 分級部、
13 第1の反応部、 14 第1の分離部、
15 脱水施設、 16 処理水槽、 17 紺青処理部、
18 第2の反応部、 19 第2の分離部、 20 礫、
21 洗浄土壌、 22 洗浄泥水

Claims (6)

  1. セシウムを含む土壌に水を加えて前記土壌を洗浄する土壌洗浄工程と、
    前記洗浄工程後に礫、砂を含む洗浄土壌と、セシウムを含む細粒分が分散した洗浄泥水とに分級する分級工程と、
    前記細粒分が分散した洗浄泥水に対し、吸着物質、炭酸塩、無機凝集剤および高分子凝集剤を含有する第1の粉末処理剤を添加、撹拌し、前記セシウムを含む細粒分が凝集したフロックを形成させる第1のフロック化工程と、
    前記第1のフロック化工程後に固液分離を行う第1の分離工程と、を含み、
    前記第1の粉末処理剤に含まれる高分子凝集剤は、第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の混合物であり、
    前記第1高分子凝集剤は、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物であり、
    前記第2高分子凝集剤は、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの共重合物であることを特徴とする、粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化方法。
  2. セシウムを含む土壌に水を加えて前記土壌を洗浄する土壌洗浄工程と、
    前記洗浄工程後に礫、砂を含む洗浄土壌と、セシウムを含む細粒分が分散した洗浄泥水とに分級する分級工程と、
    前記細粒分が分散した洗浄泥水に対し、吸着物質、炭酸塩、無機凝集剤および高分子凝集剤を含有する第1の粉末処理剤を添加、撹拌し、前記セシウムを含む細粒分が凝集したフロックを形成させる第1のフロック化工程と、
    前記第1のフロック化工程後に固液分離を行う第1の分離工程と、を含み、
    前記第1の粉末処理剤に含まれる高分子凝集剤は、第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の混合物であり、
    前記第1の粉末処理剤に含まれる高分子凝集剤は、第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の混合物であり、
    前記第1高分子凝集剤は、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物であり、
    前記第2高分子凝集剤は、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの三元共重合物であることを特徴とする、粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化方法。
  3. 請求項1または2に記載の粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化方法において、
    前記第1の分離工程において分離された液体成分に対し、紺青を添加、撹拌する紺青処理工程と、
    前記紺青処理工程後に前記紺青を沈殿させる高分子凝集剤を含有する第2の粉末処理剤を添加、撹拌し、フロックを形成させる第2のフロック化工程と、
    前記第2のフロック化工程後に固液分離を行う第2の分離工程と、
    を含むことを特徴とする、粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化方法。
  4. セシウムを含む土壌に水を加えて前記土壌を洗浄する土壌洗浄部と、
    前記土壌洗浄部における洗浄後に礫、砂を含む洗浄土壌と、セシウムを含む細粒分が分散した洗浄泥水とに分級する分級部と、
    前記細粒分が分散した洗浄泥水に対し、吸着物質、炭酸塩、無機凝集剤および高分子凝集剤を含有する第1の粉末処理剤を添加、撹拌し、前記セシウムを含む細粒分が凝集したフロックを形成させる第1の反応部と、
    前記第1の反応部におけるフロック形成後に固液分離を行う第1の分離部と、を備え、
    前記第1の粉末処理剤に含まれる高分子凝集剤は、第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の混合物であり、
    前記第1高分子凝集剤は、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物であり、
    前記第2高分子凝集剤は、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの共重合物であることを特徴とする、粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化処理システム。
  5. セシウムを含む土壌に水を加えて前記土壌を洗浄する土壌洗浄部と、
    前記土壌洗浄部における洗浄後に礫、砂を含む洗浄土壌と、セシウムを含む細粒分が分散した洗浄泥水とに分級する分級部と、
    前記細粒分が分散した洗浄泥水に対し、吸着物質、炭酸塩、無機凝集剤および高分子凝集剤を含有する第1の粉末処理剤を添加、撹拌し、前記セシウムを含む細粒分が凝集したフロックを形成させる第1の反応部と、
    前記第1の反応部におけるフロック形成後に固液分離を行う第1の分離部と、を備え、
    前記第1の粉末処理剤に含まれる高分子凝集剤は、第1高分子凝集剤と第2高分子凝集剤の混合物であり、
    前記第1高分子凝集剤は、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物であり、
    前記第2高分子凝集剤は、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸ナトリウムの三元共重合物であることを特徴とする、粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化処理システム。
  6. 請求項4または5に記載の粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化処理システムにおいて、
    前記第1の分離部において分離された液体成分に対し、紺青を添加、撹拌する紺青処理部と、
    紺青を添加、撹拌後に該紺青を沈殿させる高分子凝集剤を含有する第2の粉末処理剤を添加、撹拌し、フロックを形成させる第2の反応部と、
    前記第2の反応部におけるフロック形成後に固液分離を行う第2の分離部と、
    を備えたことを特徴とする、粉末処理剤を用いたセシウム含有土壌の減容化処理システム。
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