JP5950176B2 - 合成樹脂製壜体 - Google Patents
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Description
たとえば、特許文献1には胴部に中心軸に対して軸対称に、6ケの縦長の減圧吸収パネルを凹状に陥没形成した丸形壜体に係る発明が記載されている。
胴部104の略全高さ範囲に亘って縦長の6ケの減圧吸収パネル111が並列状に陥没形成されており、また胴部104の上端と下端には周溝107が配設されており、胴部104はシュリンクフィルム21で外装されている。
しかし、凹状部分の膨出により壜体が歪な形状になり美観が大きく損なわれる等の問題がある。
水を主成分とした内容液を凍結させて使用する用途向けの口筒部、筒状の胴部、そして底部を有する合成樹脂製壜体において、
胴部が上半部と下半部とを有し、
一方が周壁を円筒状とした円筒状領域を備え、
他方が壜体の中心軸に対して一定方向に傾斜した4ケあるいは5ケの傾斜パネルを並列状にして周壁の平断面形状を角部を円弧状に角取りした正四角形状あるいは正五角形状とした傾斜パネル領域を備え、
傾斜パネル領域の周壁が上端及び下端から中央高さ位置に向けて緩やかに縮径する構成とする、
と云うものである。
一方が円筒状領域を備えてシュリンクラベルの外装による表示や装飾機能を十分にかつ明確に発揮させる領域をなし、他方が傾斜パネル領域を備えて減圧吸収機能と内容液の凍結時における体積増加吸収機能を十分に発揮させる領域をなし、それぞれの領域で機能を分担させようとしたものである。
凍結時にも周壁の膨張はなく、シュリンクフィルムが伸び変形することもないのでバーコード等の表示機能を、損なうことなく明確に発揮させることができる。
一方、内容液が凍結する際には傾斜パネル領域の周壁は、その平断面形状の周長を一定に保持しながら角部を円弧状に角取りした正四角形状あるいは正五角形状から円形状に変形し、平断面の面積が増加し、体積増加吸収機能が発揮される。
すなわち、このRs値は平断面形状が真円形であれば1であり、たとえばRs値が1.2であれば真円形に変形させることにより面積が1.2倍になることが予測され、この値を目安にしてどの程度、内容液の凍結による体積増加分を吸収できるかを予測することができ、
内容液の充填時のヘッドスペースによる吸収機能も考慮しながら、前述した凍結時の内容液の体積増加、1.09倍を吸収できるように、Rs値を目安に胴部全体の断面形状を設計することが可能となる。
勿論、実際の壜体では、その断面形状や周壁の肉厚の分布の影響により、自由な変形が制約されるので、上記の幾何学的に算出された値から予測されるよりも体積増加吸収機能を低く見積もる必要があるし、外観状の美観という点からどの程度まで膨出変形が許容されるのかを考慮する必要もある。
傾斜パネル領域を4ケあるいは5ケの傾斜パネルを並列状に配設して周壁を形成し、その平断面形状を正四角形状あるいは正五角形状とすることにより、Rs値を上記したように1.27あるいは1.16と十分大きくすることができ、円筒状領域を除く限られた領域、さらには変形に係る制約を考慮しても、内容液を凍結した場合の1.09倍と云う体積増加に対して、十分に体積増加吸収機能を発揮させることができる。
また上記構成で、上半部と下半部は、上下それぞれ1/2の領域を指すものではなく、単に上下に分割した上部と下部を指すものである。
一方、正三角形にするとRs値を1.62と大きくすることできるが、円筒状領域との組み合わせで形状的な違和感が大きくなるし、また壜体の容量が小さくなってしまうと云う問題がある。
また、平断面形状が3角形であると、減圧時、周壁の陥没変形に係る変形の自由度が小さく、減圧吸収機能を十分に発揮させることができなくなる、と云う問題もある。
前述したように、傾斜パネル領域の平断面形状は角部を円弧状に角取りした正四角形状あるいは正五角形状で、平断面でみるとシュリンクフィルムはこの角部を円弧状に角取りした正四角形状あるいは正五角形状の形状に沿って略密着状に外装されるので、内容液が凍結する際、傾斜領域の周壁が角部を円弧状に角取りした正四角形状あるいは正五角形状からその周長を保持しながら円形状に変形するのに伴って、シュリンクフィルムも変形するため、シュリンクフィルムに引張り応力が作用したりすることもなく、その破断を心配する必要はない。
また、内容液の凍結時における周壁の膨張変形に際して、傾斜パネル領域の、変形に対する拘束力の作用が小さい中央高さ位置で変形が大きくなり、傾斜パネル領域がビア樽状になり易く、外観を損なう恐れがあるが、
傾斜パネル領域の周壁が上端及び下端から中央高さ位置に向けて緩やかに縮径する構成とし、中央高さ位置を予め縮径しておくことにより、このような外観の低下を抑制することが可能となる。
すなわち本発明の主たる構成を有する合成樹脂製壜体にあっては、
一方が円筒状領域を備えてシュリンクラベルの外装による表示や装飾機能を十分にかつ明確に発揮させる領域をなし、他方が傾斜パネル領域を備えて減圧吸収機能と内容液の凍結時における体積増加吸収機能を発揮させる領域をなし、それぞれの領域で機能を分担させようとしたものであり、
円筒状領域では減圧時にも内容液の凍結中にも周壁の平断面形状は変形することなく円形で一定の形状が保持されるため、外装されるシュリンクフィルムに皺やズレの発生がないので、装飾的な美観を十分に発揮させることは勿論、凍結時にも周壁の膨張はなく、シュリンクフィルムが伸び変形することもないのでバーコード等の表示機能を、損なうことなく明確に発揮させることができる。
また、4ケあるいは5ケの傾斜パネルを並列状にした傾斜パネル領域の平断面形状は角部を円弧状に角取りした正四角形状あるいは正五角形状であるが、壜体の軸線に対して一定方向に傾斜して4ケあるいは5ケの傾斜パネルが配設されるため、円筒状部と四角筒状部あるいは五角筒状部を継ぎ足したような違和感を与えることなく、肩部や底部も含めて全体として丸形壜体としての外観を現出させることができる。
図1〜図4は本発明の合成樹脂製壜体の一実施例を示すものであり、図1は全体正面図、図2は側面図、図3は図1中のA−A線、B−B線、C−C線に沿って示す平断面図、図4は底面図である。なお、図3中の一点鎖線で示した円は胴部4の最外周面を示している。
本実施例の壜体1は、PET樹脂製の2軸延伸ブロー成形品で、口筒部2、テーパー筒状の肩部3、円筒状の胴部4、そして底部5から構成され、全高さが215mm、胴部4の最大径が68mm、通称容量が500mlのものである。
そして、円筒状領域Pcと短円筒部6や有底円筒状の底部5で傾斜パネル領域Psを上下から挟むことにより、全体として違和感無く、丸形壜体としての外観としている。
また、傾斜パネル領域Psの上端及び下端から中央高さ位置に向けて緩やかに縮径する構成としている。
また図1の正面図で、傾斜パネル領域Psの上端および下端の横幅は62mm、中央高さ位置であるC−C線の高さ位置での横幅は46mmである。
なお、20℃でのヘッドスペースが17mlになるように水を充填した。凍結時にはこのヘッドスペースの圧縮により水の体積増加の一部を吸収することが可能であるが、勿論、ヘッドスペースを大きくすると内容液が十分に充填されていない商品になってしまうので、ヘッドスペースによる体積増加吸収機能については自ずとその限界がある。
この図5(a)に示されるように、減圧度が上昇するに従ってまず角部12を起点として傾斜パネル11が図中の白抜き矢印の方向に陥没状に変形し、さらにこの陥没状の変形の進行に伴って、傾斜パネル領域Psで周壁が図中、黒塗り矢印印の方向に捻り変形しその結果、縮径変形する。
そしてこの陥没状の変形と縮径変形により、図中二点鎖線で示される変形態様となり、減圧吸収機能が十分に発揮される。
この際、本実施例では正四角形の角部12を、二点鎖線で示した円の半径に近い曲率半径の円弧で角取りした形状とした点も相俟って、正四角形から円形に向かって周壁をスムーズに変形させることができた。
そして、傾斜パネル領域Psを変形のない円筒状領域Pcと短円筒部6や有底短円筒状の底部5で上下から挟むことにより、凍結時における膨出変形を目立たなくすることができ、凍結に伴う膨出変形により商品性を損なうこともなかった。
たとえば、本発明の壜体はPET樹脂製の2軸延伸ブロー成形品に限定されることなく、従来から一般的に使用されているポロプロピレン樹脂製等の他の合成樹脂製のものとすることができる。
また、本実施例では円筒状領域Pc近傍だけをシュリンクフィルムで外装する例を示したが、傾斜パネル領域Psも含めて胴部の全高さを外装する構成とすることもできる。
この場合もシュリンクフィルムでの伸び変形の発生や、皺やズレの発生に大きく影響されるバーコード等の表示は円筒状領域Pcに配設すればよい。
また、本実施例とは逆に上半部が傾斜パネル領域Psを、下半部が円筒状領域Pcを備えた胴部とすることも可能である。
2、102;口筒部
3、103;肩部
4、104;胴部
5、105;底部
6 ;短円筒部
7、107;周溝
11;傾斜パネル
12;角部
13;周溝
21;シュリンクフィルム
111;減圧吸収パネル
Ax;中心軸
Pc;円筒領域
Ps;傾斜領域
Claims (2)
- 口筒部(2)、筒状の胴部(4)、そして底部(5)を有する合成樹脂製壜体であって、前記胴部(4)は上半部と下半部とを有し、一方が周壁を円筒状とした円筒状領域(Pc)を備え、他方が前記壜体の中心軸(Ax)に対して一定方向に傾斜した4ケあるいは5ケの傾斜パネル(11)を並列状にして周壁の平断面形状を角部を円弧状に角取りした正四角形状あるいは正五角形状とした傾斜パネル領域(Ps)を備え、該傾斜パネル領域(Ps)の周壁が上端及び下端から中央高さ位置に向けて緩やかに縮径する構成としたことを特徴とする水を主成分とした内容液を凍結させて使用する用途向けの合成樹脂製壜体。
- 上半部が円筒状領域(Pc)を、下半部が傾斜パネル領域(Ps)を備えた請求項1記載の合成樹脂製壜体。
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