JP5948951B2 - 超音波装置、超音波プローブ、電子機器及び診断装置 - Google Patents

超音波装置、超音波プローブ、電子機器及び診断装置 Download PDF

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Description

本発明は、超音波装置、超音波プローブ、電子機器及び診断装置等に関する。
対象物に向けて超音波を照射し、対象物内部における音響インピーダンスの異なる界面からの反射波を受信するための装置として、例えば人体の内部を検査するための超音波診断装置が知られている。超音波診断装置に用いられる超音波装置(超音波プローブ)として、特許文献1には圧電素子をマトリックスアレイ状に配列して超音波ビームを放射させる手法が開示されている。しかしながらこの手法では、ビームのスキャン方向は1方向に限定されるなどの問題があった。
特開2007−142555号公報
本発明の幾つかの態様によれば、簡素な構成で効率的な走査ができる超音波装置、超音波プローブ、電子機器及び診断装置等を提供できる。
本発明の一態様は、超音波素子アレイと、第1の方向に沿って配線される第1の配線とを含み、前記超音波素子アレイは、各超音波素子列において複数の超音波素子が前記第1の方向に沿って配置される第1の超音波素子列〜第n(nは2以上の整数)の超音波素子列と、前記第1の方向に沿って配線される第1の駆動電極線〜第nの駆動電極線と、前記第1の方向に交差する第2の方向に沿って配線される第1のコモン電極線〜第m(mは2以上の整数)のコモン電極線とを有し、前記第1の超音波素子列〜前記第nの超音波素子列は、前記第2の方向に沿って配置され、前記第1の超音波素子列〜前記第nの超音波素子列のうちの、第j(jは1≦j≦nである整数)の超音波素子列を構成する前記複数の超音波素子がそれぞれ有する第1の電極は、前記第1の駆動電極線〜前記第nの駆動電極線のうちの第jの駆動電極線に接続され、前記第jの超音波素子列を構成する前記複数の超音波素子がそれぞれ有する第2の電極は、前記第1のコモン電極線〜前記第mのコモン電極線のうちのいずれかに接続され、前記第1のコモン電極線〜前記第mのコモン電極線は、前記第1の配線に共通接続される超音波装置に関係する。
本発明の一態様によれば、超音波素子アレイにおいて、第jの超音波素子列を第jの駆動電極線によって駆動することができるから、各超音波素子を独立に駆動するよりも配線本数が少なくなり、超音波装置の構成を簡素にすることができる。
また本発明の一態様では、前記第1の超音波素子列〜前記第nの超音波素子列の前記各超音波素子列は、前記複数の超音波素子として、前記第1の方向に沿って配置される第1の超音波素子〜第mの超音波素子を有し、前記第1の超音波素子〜前記第mの超音波素子のうちの第i(iは1≦i≦mである整数)の超音波素子が有する前記第2の電極は、前記第1のコモン電極線〜前記第mのコモン電極線のうちの第iのコモン電極線に接続されてもよい。
このようにすれば、複数の超音波素子をm行n列のマトリックスアレイ状に配置することができる。そして第i行第j列の超音波素子の第1の電極は第jの駆動電極線に接続され、第2の電極は第iのコモン電極線に接続されるから、各超音波素子を独立に駆動するよりも配線本数が少なくなり、超音波装置の構成を簡素にすることができる。
また本発明の一態様では、前記第1の配線の一端に接続される第1のスイッチ回路を含み、前記第1のスイッチ回路は、オン状態である場合には、前記第1の配線にコモン電圧を供給し、オフ状態である場合には、前記第1の配線に前記コモン電圧を非供給にしてもよい。
このようにすれば、第1の配線の一端にコモン電圧を供給し、或いはコモン電圧を非供給にすることができるから、超音波素子を駆動する際のコモン電極線の電圧変動を第1の配線の一端側と他端側とで変化させることができる。
また本発明の一態様では、前記第1の配線の他端に接続される第2のスイッチ回路を含み、前記第2のスイッチ回路は、オン状態である場合には、前記第1の配線に前記コモン電圧を供給し、オフ状態である場合には、前記第1の配線に前記コモン電圧を非供給にしてもよい。
このようにすれば、第1の配線の他端にコモン電圧を供給し、或いはコモン電圧を非供給にすることができるから、超音波素子を駆動する際のコモン電極線の電圧変動を第1の配線の一端側から他端側に向かって徐々に大きく、又は小さくさせることができる。その結果、列内の超音波素子に印加される電圧を一端側から他端側に向かって徐々に小さく、又は大きくすることができるから、放射される超音波のビームのピーク位置を列の中心から一端側又は他端側へシフトさせることができる。
また本発明の一態様では、前記第1のスイッチ回路及び前記第2のスイッチ回路のオン・オフを制御するスイッチ信号生成回路を含み、前記スイッチ信号生成回路は、第1の状態では、前記第1のスイッチ回路をオン状態にして前記第2のスイッチ回路をオフ状態にし、第2の状態では、前記第1のスイッチ回路をオフ状態にして前記第2のスイッチ回路をオン状態にしてもよい。
このようにすれば、スイッチ信号生成回路の制御に基づいて、放射される超音波のビームのピーク位置を列の中心から一端側又は他端側へシフトさせることができる。
また本発明の一態様では、前記第1のスイッチ回路は、前記コモン電圧として第1のコモン電圧を、前記第1の配線に供給する第1のスイッチ素子と、前記コモン電圧として前記第1のコモン電圧とは異なる第2のコモン電圧を、前記第1の配線に供給する第2のスイッチ素子とを有してもよい。
このようにすれば、第1、第2のスイッチ素子をそれぞれオン・オフすることで、第1の配線の一端側から他端側に向かって徐々に電圧が高くなる、又は低くなる電圧勾配が生じる。こうすることで、列内の超音波素子に印加される電圧を一端側から他端側に向かって徐々に小さく、又は大きくすることができるから、放射される超音波のビームのピーク位置を列の中心から一端側又は他端側へシフトさせることができる。
また本発明の一態様では、前記第1のスイッチ回路は、第1の抵抗素子と、前記第1の抵抗素子と直列に接続される第1のスイッチ素子と、前記第1の抵抗素子とは異なる抵抗値を有する第2の抵抗素子と、前記第2の抵抗素子と直列に接続される第2のスイッチ素子とを有してもよい。
このようにすれば、第1、第2のスイッチ素子をそれぞれオン・オフすることで、第1の配線の一端に接続される抵抗素子の抵抗値を可変に設定することができる。こうすることで、列内の超音波素子に印加される電圧を一端側から他端側に向かって徐々に小さく、又は大きくすることができるから、放射される超音波のビームのピーク位置を列の中心から一端側又は他端側へシフトさせることができる。
また本発明の一態様では、前記第1の配線にコモン電圧を供給するコモン電圧供給回路を含み、前記コモン電圧供給回路は、前記第1の配線の両端にコモン電圧を供給する、或いは一端にコモン電圧を供給し、他端にコモン電圧を非供給にしてもよい。
このようにすれば、列内の超音波素子に印加される電圧を一端側から他端側に向かって徐々に小さく、又は大きくすることができるから、放射される超音波のビームのピーク位置を列の中心から一端側又は他端側へシフトさせることができる。
また本発明の一態様では、前記コモン電圧供給回路は、前記第1の配線の一端と他端とにそれぞれ異なる電圧のコモン電圧を供給してもよい。
このようにすれば、第1の配線の一端側から他端側に向かって徐々に電圧が高くなる、又は低くなる電圧勾配が生じるから、放射される超音波のビームのピーク位置を列の中心から一端側又は他端側へシフトさせることができる。
また本発明の一態様では、前記第1の方向はスライス方向であり、前記第2の方向は位相走査のスキャン方向であってもよい。
このようにすれば、超音波ビームの第1の方向における位置を可変に設定することでスライス面の位置を可変に設定し、設定されたスライス面に沿って第2の方向に超音波ビームをスキャンすることができる。その結果、簡素な構成で2次元的なスキャンなどが可能になる。
また本発明の一態様では、前記超音波素子アレイは、アレイ状に配置された複数の開口を有する基板を含み、前記複数の開口の各開口ごとに設けられる前記各超音波素子は、前記各開口を塞ぐ振動膜と、前記振動膜の上に設けられる圧電素子部とを有し、前記圧電素子部は、前記振動膜の上に設けられる下部電極と、前記下部電極の少なくとも一部を覆うように設けられる圧電体膜と、前記圧電体膜の少なくとも一部を覆うように設けられる上部電極とを有し、前記第1の電極は、前記上部電極及び前記下部電極の一方であり、前記第2の電極は、前記上部電極及び前記下部電極の他方であってもよい。
このようにすれば、第1の電極の電圧と第2の電極の電圧との電圧差が圧電体膜に印加されるから、電圧差を変化させることで圧電体膜が伸縮し、超音波を発生させることができる。
本発明の他の態様は、上記いずれかに記載の超音波装置を含む超音波プローブに関係する。
本発明の他の態様は、上記いずれかに記載の超音波装置を含む電子機器に関係する。
本発明の他の態様は、上記いずれかに記載の超音波装置と、表示用画像データを表示する表示部とを含む診断装置に関係する。
本発明の他の態様によれば、超音波ビームのピーク位置をスライス方向に関して可変に設定することができるから、超音波ビームのスライス面を可変に設定することができる。その結果、簡素な構成で2次元的なスキャンが可能になり、超音波エコー画像を効率的に取得することなどが可能になる。
図1(A)、図1(B)は、超音波素子の基本的な構成例。 超音波装置の第1の構成例。 位相走査を説明する図。 共通コモン電極線及び超音波素子アレイの等価回路の一例。 超音波装置の第2の構成例。 超音波装置の第3の構成例。 超音波装置の第4の構成例。 図8(A)、図8(B)に、列内の超音波素子に印加される電圧のシミュレーション結果。 図9(A)、図9(B)は、音圧分布のシミュレーション結果。 超音波プローブ及び診断装置の基本的な構成例。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.超音波素子
図1(A)、図1(B)に本実施形態の超音波装置に含まれる超音波素子UEの基本的な構成例を示す。本実施形態の超音波素子UEは、振動膜(メンブレン、支持部材)MBと、圧電素子部とを有する。圧電素子部は、下部電極(第1電極層)EL1、圧電体膜(圧電体層)PE、上部電極(第2電極層)EL2を有する。なお、本実施形態の超音波素子UEは図1の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
図1(A)は、基板(シリコン基板)SUBに形成された超音波素子UEの、素子形成面側の基板に垂直な方向から見た平面図である。図1(B)は、図1(A)のA−A’に沿った断面を示す断面図である。
第1電極層EL1は、振動膜MBの上層に例えば金属薄膜で形成される。この第1電極層EL1は、図1(A)に示すように素子形成領域の外側へ延長され、隣接する超音波素子UEに接続される配線であってもよい。
圧電体膜PEは、例えばPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)薄膜により形成され、第1電極層EL1の少なくとも一部を覆うように設けられる。なお、圧電体膜PEの材料は、PZTに限定されるものではなく、例えばチタン酸鉛(PbTiO)、ジルコン酸鉛(PbZrO)、チタン酸鉛ランタン((Pb、La)TiO)などを用いてもよい。
第2電極層EL2は、例えば金属薄膜で形成され、圧電体膜PEの少なくとも一部を覆うように設けられる。この第2電極層EL2は、図1(A)に示すように素子形成領域の外側へ延長され、隣接する超音波素子UEに接続される配線であってもよい。
振動膜(メンブレン)MBは、例えばSiO薄膜とZrO薄膜との2層構造により開口CAVを塞ぐように設けられる。この振動膜MBは、圧電体膜PE及び第1、第2電極層EL1、EL2を支持すると共に、圧電体膜PEの伸縮に従って振動し、超音波を発生させることができる。
開口(空洞領域)CAVは、シリコン基板SUBの裏面(素子が形成されない面)側から反応性イオンエッチング(RIE)等によりエッチングすることで形成される。この空洞領域CAVの開口部OPより超音波が放射される。
超音波素子UEの第1の電極は、第1電極層EL1により形成され、第2の電極は、第2電極層EL2により形成される。具体的には、第1電極層EL1のうちの圧電体膜PEに覆われた部分が第1の電極を形成し、第2電極層EL2のうちの圧電体膜PEを覆う部分が第2の電極を形成する。即ち、圧電体膜PEは、第1の電極と第2の電極に挟まれて設けられる。
圧電体膜PEは、第1の電極と第2の電極との間、即ち第1電極層EL1と第2電極層EL2との間に電圧が印加されることで、面内方向に伸縮する。圧電体膜PEの一方の面は第1電極層EL1を介して振動膜MBに接合されているが、他方の面には第2電極層EL2が形成されるものの、第2電極層EL2上には他の層が形成されない。そのため圧電体膜PEの振動膜MB側が伸縮しにくく、第2電極層EL2側が伸縮し易くなる。従って、圧電体膜PEに電圧を印加すると、空洞領域CAV側に凸となる撓みが生じ、振動膜MBを撓ませる。圧電体膜PEに交流電圧を印加することで、振動膜MBが膜厚方向に対して振動し、この振動膜MBの振動により超音波が開口部OPから放射される。圧電体膜PEに印加される電圧は、例えば10〜30Vであり、周波数は例えば1〜10MHzである。
2.超音波装置
図2に、本実施形態の超音波装置200の第1の構成例を示す。第1の構成例の超音波装置200は、超音波素子アレイ100、第1の配線CCL、スイッチ回路SW1、SW2、及びスイッチ信号生成回路110を含む。超音波素子アレイ100は、基板SUB、第1の超音波素子列〜第n(nは2以上の整数)の超音波素子列UEC1〜UECn、第1〜第nの駆動電極線DL1〜DLn、第1〜第m(mは2以上の整数)のコモン電極線CL1〜CLmを含む。図2では、例としてm=8、n=12の場合を示すが、これ以外の値であってもよい。なお、本実施形態の超音波装置200は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
基板SUBは、図1に示したように、アレイ状に配置された複数の開口CAVを有する。
第1〜第nの超音波素子列UEC1〜UECnは、複数の開口の各開口ごとに、第1の方向D1に沿って配置される複数の超音波素子UEをそれぞれ有する。具体的には、各超音波素子列UECは、複数の超音波素子が第1の方向D1に沿って配置される第1の超音波素子〜第mの超音波素子を有する。
超音波素子UEは、例えば図1(A)、図2(B)に示した構成とすることができる。なお、以下の説明において、超音波素子UEのアレイ内での位置を特定する場合には、例えば第4行第6列に位置する超音波素子をUE46と表記する。例えば第6の超音波素子列UEC6は、UE16、UE26、・・・UE76、UE86の8個の超音波素子を含む。
第1〜第8(広義には第m)のコモン電極線CL1〜CL8は、超音波素子アレイ100において第1の方向D1に交差する第2の方向D2に沿って配線される。第jの超音波素子列UECjを構成する複数の超音波素子がそれぞれ有する第2の電極は、第1〜第mのコモン電極線CL1〜CLmのうちのいずれかに接続される。具体的には、例えば図2に示すように、第1〜第8のコモン電極線CL1〜CL8のうちの第i(iは1≦i≦8である整数)のコモン電極線CLiは、各超音波素子列UECの第iの超音波素子UEが有する第2の電極に接続される。
第1〜第12(広義には第n)の駆動電極線DL1〜DL12は、超音波素子アレイ100において第1の方向D1に沿って配線される。第1〜第12の駆動電極線DL1〜DL12のうちの第j(jは1≦j≦12である整数)の駆動電極線DLjは、第jの超音波素子列UECjを構成する複数の超音波素子がそれぞれ有する第1の電極に接続される。
具体的には、例えば図2に示す超音波素子UE11については、第1の電極が第1の駆動電極線DL1に接続され、第2の電極が第1のコモン電極線CL1に接続される。また、例えば図2に示す超音波素子UE46については、第1の電極が第6の駆動電極線DL6に接続され、第2の電極が第4のコモン電極CL4に接続される。
超音波素子UEの配置は、図2に示すm行n列のマトリックス配置に限定されない。例えば奇数番目の超音波素子列にm個の超音波素子が配置され、偶数番目の超音波素子列にm−1個の超音波素子が配置される、いわゆる千鳥配置であってもよい。
第1の配線CCLは、第1〜第8のコモン電極線CL1〜CL8に共通接続され、第1の方向D1に沿って配線される。なお、以下の説明では、第1の配線CCLを共通コモン電極線ともよぶ。
第1のスイッチ回路SW1は、共通コモン電極線(第1の配線)CCLの一端に接続され、オン状態である場合には、共通コモン電極線CCLにコモン電圧VCOMを供給し、オフ状態である場合には、共通コモン電極線CCLにコモン電圧VCOMを非供給にする。例えば図2では、スイッチ回路SW1は共通コモン電極線CCLの一端(CL1に近い方の端)に接続され、オン状態時に共通コモン電極線CCLにコモン電圧VCOMを供給する。
また第2のスイッチ回路SW2は、共通コモン電極線CCLの他端に接続され、オン状態である場合には、共通コモン電極線CCLにコモン電圧VCOMを供給し、オフ状態である場合には、共通コモン電極線CCLにコモン電圧VCOMを非供給にする。例えば図2では、第2のスイッチ回路SW2は共通コモン電極線CCLの他端(CL8に近い方の端)に接続され、オン状態時に共通コモン電極線CCLにコモン電圧VCOMを供給する。
図2に示す構成例では、第1、第2のスイッチ回路SW1、SW2が超音波装置200に含まれているが、超音波装置200と分離して設けてもよい。例えば、後述する図10の超音波ヘッドユニット220、或いは超音波プローブ300に設けてもよい。
スイッチ信号生成回路110は、第1のスイッチ回路SW1及び第2のスイッチ回路SW2のオン・オフを制御する。具体的には、スイッチ信号生成回路110は、第1の状態では、第1のスイッチ回路SW1をオン状態にして第2のスイッチ回路SW2をオフ状態にし、第2の状態では、第1のスイッチ回路SW1をオフ状態にして第2のスイッチ回路SW2をオン状態にする。さらに第3の状態では、第1のスイッチ回路SW1及び第2のスイッチ回路SW2の両方をオン状態にする。スイッチ信号生成回路110は、例えばCMOSロジック回路などにより実現することができる。
コモン電圧VCOMは、一定の直流電圧であって、必ずしも接地電位(グランド電位、0V)である必要はない。
図2に示す構成例では、スイッチ信号生成回路110が超音波装置200に含まれているが、超音波装置200と分離して設けてもよい。例えば、後述する図10の超音波ヘッドユニット220、或いは超音波プローブ300に設けてもよい。
駆動電極線DL1〜DL12には、図示していない駆動回路により、所定の周波数で電圧が変化する駆動信号がそれぞれ供給される。駆動信号電圧とコモン電圧VCOMとの差の電圧が各超音波素子UEに印加され、所定の周波数の超音波が放射される。例えば、図2の超音波素子UE11には、駆動電極線DL1に供給される駆動信号電圧V(DL1)とコモン電圧VCOMとの差V(DL1)−VCOMが印加される。同様に、超音波素子UE46には、駆動電極線DL6に供給される駆動信号電圧V(DL6)とコモン電圧VCOMとの差V(DL6)−VCOMが印加される。
駆動電極線DL1〜DL12に供給される12の駆動信号の位相が一致している場合には、各超音波素子からそれぞれ放射される超音波が合成されて、超音波素子アレイ100に垂直な方向(アレイ面の法線方向)に放射される超音波が形成される。一方、駆動電極線DL1〜DL12に供給される12の駆動信号が互いに位相差をもつ場合には、合成された超音波は位相差に応じてアレイ面の法線方向からずれた方向に放射される。この現象を利用すれば、各駆動信号の位相差を変化させることで超音波の放射方向を変化させることができる。各駆動信号の位相差を制御することで、超音波の放射方向(ビーム方向)を走査することを「位相走査」と呼ぶ。
図3は、位相走査を説明する図である。簡単にするために、図3では4個の超音波素子UE1〜UE4について説明する。UE1〜UE4は、等間隔dで配置されている。そして供給される駆動信号の位相はUE1が最も早く、UE2、UE3、UE4の順に所定の位相差だけ位相が遅くなる。即ち、駆動信号は、UE1、UE2、UE3、UE4の順に所定の時間差を伴って供給される。
図3には、各超音波素子UE1〜UE4から放射された超音波の或る時刻における波面W1〜W4を示す。各超音波素子から放射された超音波は合成されて、合成された超音波の波面WTを形成する。この波面WTの放線方向DTが合成された超音波の放射方向(ビーム方向)となる。ビーム方向DTとアレイ面の法線方向との成す角度θsは、
sinθs=c×Δt/d (1)
で与えられる。ここでcは音速、Δtは駆動信号の時間差、dは素子間隔である。
このように位相走査、即ち各超音波素子に供給する駆動信号の位相差(時間差)を変化させることで、ビーム方向を変化させることができる。具体的には、例えば図2に示す構成例では、駆動電極線DL1〜DL12のそれぞれに供給する駆動信号の位相差(時間差)を変化させることで、ビーム方向を第2の方向D2に沿って走査(スキャン)させることができる。即ち、第2の方向D2は位相走査のスキャン方向であり、第1の方向D1はスライス方向である。
次に、共通コモン電極線CCLの一端及び他端に接続されるスイッチ回路SW1、SW2の効果について説明する。
図4に、共通コモン電極線CCL及び超音波素子アレイ100の等価回路の一例を示す。共通コモン電極線CCLの一端のノードをNA、他端のノードをNBとする。
図4に示すように、共通コモン電極線CCLは配線抵抗RE1、RE2、R1〜R7を含む。RE1は一端のノードNAとコモン電極線CL1の接続ノードとの間の配線抵抗を示し、RE2は他端のノードNBとコモン電極線CL8との間の配線抵抗を示す。R1〜R7はコモン電極線CL1〜CL8との各接続ノード間の配線抵抗を示す。また、各超音波素子UEは電気的にはキャパシターCEとみなすことができる。
供給されるコモン電圧VCOMは一定の電圧に保持されているから、直流的にはコモン電極線CL1〜CL8の電圧は同一の電圧VCOMに保持されている。しかし駆動電極線DL1〜DL12に供給される駆動信号は交流成分を含むから、その電圧変動が超音波素子UEのキャパシターCEを介してコモン電極線CL1〜CL8の電圧を一時的に変動させる。ノードNA(又はノードNB)からそのコモン電極線との接続ノードまでの配線抵抗値が大きいほど、コモン電極線の電圧変動は大きくなる。
例えば、SW1がオン状態、SW2がオフ状態である場合には、ノードNAにコモン電圧VCOMが供給され、ノードNBにはコモン電圧VCOMが供給されないから、CL1の電圧変動よりもCL8の電圧変動の方が大きくなる。具体的には、例えば駆動電極線DL1の電圧が上昇することで、DL1に接続されるキャパシターCE(超音波素子UE)を介してコモン電極線CL1〜CL8の電圧も一時的に上昇するが、その変動量はCL1からCL8に向かって徐々に大きくなる。同様にDL1の電圧が降下する時には、CL1〜CL8の電圧も一時的に降下するが、その変動量はCL1からCL8に向かって徐々に大きくなる。
超音波素子に印加される電圧は、駆動信号電圧とコモン電極線電圧との差であるから、DL1に接続された8個の超音波素子のうち、CL1に接続されたUE11に印加される電圧が最も大きく、CL8に接続された超音波素子UE81に印加される電圧が最も小さくなる。超音波素子UEに印加される電圧が大きいほど、放射される超音波の強度が大きくなるから、UE11から放射される超音波強度が最も大きく、UE81に向かって超音波強度が徐々に小さくなる。その結果、合成された超音波のスライス方向D1に対する強度のピーク(ビームのピーク)は中心からCL1側にシフトすることになる。
上記とは反対に、SW1がオフ状態、SW2がオン状態である場合には、ノードNBにコモン電圧VCOMが供給され、ノードNAにはコモン電圧VCOMが供給されないから、UE11から放射される超音波強度が最も小さく、UE81に向かって超音波強度が徐々に大きくなる。その結果、合成された超音波のスライス方向D1に対するビームのピークは中心からCL8側にシフトすることになる。
また、SW1、SW2が共にオン状態である場合には、ノードNAとノードNBの両方にコモン電圧VCOMが供給されるから、コモン電極線CL1〜CL8の電圧変動量はCL1側とCL8側で対称となるから、合成された超音波のスライス方向D1に対するビームのピークは中心に位置する。
このように本実施形態の超音波装置200の第1の構成例(図2)によれば、スイッチ回路SW1、SW2をオン状態又はオフ状態にすることで、スライス方向D1に対するビームのピーク位置を中心、或いは中心からCL1側又はCL8側へシフトした位置に設定することができる。こうすることで、超音波ビームのピーク位置をスライス方向に関して可変に設定することができるから、超音波ビームのスライス面を可変に設定することができる。
図5に、本実施形態の超音波装置200の第2の構成例を示す。第2の構成例の超音波装置200は、超音波素子アレイ100、第1の配線CCL、スイッチ回路SW1、抵抗素子RA1、RA2、RA3、RB及びスイッチ信号生成回路110を含む。図5では、例としてm=8、n=12の場合を示すが、これ以外の値であってもよい。なお、本実施形態の超音波装置200は図5の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
超音波素子アレイ100及び第1の配線(共通コモン電極線)CCLは、第1の構成例(図2)と同じであるから、ここでは詳細な説明を省略する。
第2の構成例では、スイッチ回路SW1は複数のスイッチ素子S1、S2、S3を含み、それぞれが異なる抵抗値を有する複数の抵抗素子RA1、RA2、RA3と直列に接続される。スイッチ素子S1、S2、S3をそれぞれオンすることで、抵抗素子RA1、RA2、RA3を介してコモン電圧VCOMが共通コモン電極線CCLの一端のノードNAにそれぞれ供給される。
抵抗素子RA1、RA2、RA3は、互いに抵抗値が異なり、各抵抗素子の一端はスイッチ素子S1、S2、S3にそれぞれ接続され、他端は共通コモン電極線CCLの一端のノードNAに共通接続される。抵抗素子RBは、一端がコモン電圧ノードVCOMに、他端が共通コモン電極線CCLの他端のノードNBに接続される。
スイッチ信号生成回路110は、スイッチ素子S1、S2、S3のオン・オフを制御する。図示していないが、スイッチ信号生成回路110からスイッチ素子S1、S2、S3へオン・オフ制御のための制御信号が出力される。
例えば各抵抗素子の抵抗値が、RA1<RA2<RA3、RB=RA2である場合について、第2の構成例の動作を説明する。
S2がオンであり、S1、S3がオフである場合には、ノードNAとノードNBには同じ抵抗値の抵抗素子を介してコモン電圧VCOMが供給される。従って、上述したようにコモン電極線CL1〜CL8の電圧変動量はCL1側とCL8側で対称となるから、合成された超音波のスライス方向D1に対するビームのピークは中心に位置する。
S1がオンであり、S2、S3がオフである場合には、ノードNBにはノードNAよりも高い抵抗値の抵抗素子を介してVCOMが供給される。従って、コモン電極線CL1〜CL8の電圧変動量はCL1からCL8に向かって徐々に大きくなる。その結果、合成された超音波のスライス方向D1に対する強度のピーク(ビームのピーク)は中心からCL1側にシフトする。
反対に、S3がオンであり、S1、S2がオフである場合には、ノードNAにはノードNBよりも高い抵抗値の抵抗素子を介してVCOMが供給される。従って、コモン電極線CL1〜CL8の電圧変動量はCL8からCL1に向かって徐々に大きくなる。その結果、合成された超音波のスライス方向D1に対する強度のピーク(ビームのピーク)は中心からCL8側にシフトする。
このように本実施形態の超音波装置200の第2の構成例によれば、スイッチ素子S1、S2、S3をオン・オフすることで、スライス方向D1に対するビームのピーク位置を中心、或いは中心からCL1側又はCL8側にシフトした位置に設定することができる。
なお、図5の構成例では、第1のスイッチ回路SW1が複数のスイッチ素子を含むが、第2のスイッチ素子SW2が複数のスイッチ素子を含む構成にしてもよい。
図6に、本実施形態の超音波装置200の第3の構成例を示す。第3の構成例の超音波装置200は、超音波素子アレイ100、第1の配線CCL、スイッチ回路SW1及びスイッチ信号生成回路110を含む。図6では、例としてm=8、n=12の場合を示すが、これ以外の値であってもよい。なお、本実施形態の超音波装置200は図6の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
超音波素子アレイ100及び第1の配線(共通コモン電極線)CCLは、第1の構成例(図2)と同じであるから、ここでは詳細な説明を省略する。
第3の構成例では、スイッチ回路SW1は複数のスイッチ素子S1、S2、S3を含み、電圧の異なるコモン電圧VCOM1、VCOM2、VCOM3をそれぞれ供給する。スイッチ素子S1、S2、S3をそれぞれオンすることで、コモン電圧VCOM1、VCOM2、VCOM3が共通コモン電極線CCLの一端のノードNAに供給される。
スイッチ信号生成回路110は、スイッチ素子S1、S2、S3のオン・オフを制御する。図示していないが、スイッチ信号生成回路110からスイッチ素子S1、S2、S3へオン・オフ制御のための制御信号が出力される。
コモン電圧VCOM1、VCOM2、VCOM3の電圧値が、VCOM1<VCOM2<VCOM3である場合について、第3の構成例の動作を説明する。
S1がオンであり、S2、S3がオフである場合には、ノードNAにはVCOM1が供給され、ノードNBにはVCOM1より高い電圧VCOM2が供給される。従って、CL1からCL8に向かって徐々に電圧が高くなる電圧勾配が生じる。超音波素子UEに印加される電圧は駆動信号電圧とコモン電極線電圧との差であるから、CL8側よりもCL1側の方が超音波素子UEに印加される電圧が大きくなる。その結果、合成された超音波のスライス方向D1に対する強度のピーク(ビームのピーク)は中心からCL1側にシフトする。
一方、S3がオンであり、S1、S2がオフである場合には、ノードNAにはVCOM3が供給され、ノードNBにはVCOM1より低い電圧VCOM2が供給される。従って、CL1からCL8に向かって徐々に電圧が低くなる電圧勾配が生じて、CL1側よりもCL8側の方が超音波素子UEに印加される電圧が大きくなる。その結果、合成された超音波のスライス方向D1に対する強度のピーク(ビームのピーク)は中心からCL8側にシフトする。
またS2がオンであり、S1、S3がオフである場合には、ノードNAとノードNBには同じ電圧のコモン電圧VCOM2が供給される。コモン電極線CL1〜CL8の電圧はCL1側とCL8側とで同一であるから、超音波素子UEに印加される電圧もCL1側とCL8側とで同一になる。その結果、合成された超音波のスライス方向D1に対するビームのピークは中心に位置する。
このように本実施形態の超音波装置200の第3の構成例によれば、スイッチ素子S1、S2、S3をオン・オフすることで、スライス方向D1に対するビームのピーク位置を中心、或いは中心からCL1側又はCL8側にシフトした位置に設定することができる。
なお、図6の構成例では、第1のスイッチ回路SW1が複数のスイッチ素子を含むが、第2のスイッチ素子SW2が複数のスイッチ素子を含む構成にしてもよい。
図7に、本実施形態の超音波装置200の第4の構成例を示す。第4の構成例の超音波装置200は、超音波素子アレイ100、第1の配線CCL及びコモン電圧供給回路120を含む。図7では、例としてm=8、n=12の場合を示すが、これ以外の値であってもよい。なお、本実施形態の超音波装置200は図7の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
超音波素子アレイ100及び第1の配線(共通コモン電極線)CCLは、第1の構成例(図2)と同じであるから、ここでは詳細な説明を省略する。
第4の構成例では、共通コモン電極線CCLにコモン電圧VCOMを供給するコモン電圧供給回路120を含む。コモン電圧供給回路120は、共通コモン電極線CCLの両端(ノードNA及びノードNB)にコモン電圧VCOMを供給する、或いは一端にコモン電圧VCOMを供給し、他端にコモン電圧VCOMを非供給にすることができる。また、コモン電圧供給回路120は、共通コモン電極線CCLの一端(ノードNA)と他端(ノードNB)とにそれぞれ異なる電圧のコモン電圧VCOM1、VCOM2を供給することもできる。
ノードNAとノードNBに共に同じ電圧のコモン電圧VCOMを供給する場合には、コモン電極線CL1〜CL8の電圧はCL1側とCL8側とで同一であるから、超音波素子UEに印加される電圧もCL1側とCL8側とで同一になる。その結果、合成された超音波のスライス方向D1に対するビームのピークは中心に位置する。
ノードNAにコモン電圧VCOMを供給し、ノードNBにはコモン電圧VCOMを供給しない場合には、上述した第1の構成例においてSW1をオン、SW2をオフに設定する場合と同様になる。従って、合成された超音波のスライス方向D1に対する強度のピーク(ビームのピーク)は中心からCL1側にシフトする。
一方、ノードNBにコモン電圧VCOMを供給し、ノードNAにはコモン電圧VCOMを供給しない場合には、上述した第1の構成例においてSW1をオフ、SW2をオンに設定する場合と同様になる。従って、合成された超音波のスライス方向D1に対するビームのピークは中心からCL8側にシフトする。
また、ノードNAにVCOM1を供給し、ノードNBにVCOM1より高い電圧VCOM2を供給する場合には、CL1からCL8に向かって徐々に電圧が高くなる電圧勾配が生じる。その結果、第3の構成例で説明したように、合成された超音波のスライス方向D1に対する強度のピーク(ビームのピーク)は中心からCL1側にシフトする。
一方、ノードNAにVCOM1を供給し、ノードNBにVCOM1より低い電圧VCOM2を供給する場合には、CL1からCL8に向かって徐々に電圧が低くなる電圧勾配が生じる。その結果、第3の構成例で説明したように、合成された超音波のスライス方向D1に対する強度のピーク(ビームのピーク)は中心からCL8側にシフトする。
このように本実施形態の超音波装置200の第4の構成例によれば、スライス方向D1に対するビームのピーク位置を中心、或いは中心からCL1側又はCL8側にシフトした位置に設定することができる。さらに2つのコモン電圧VCOM1、VCOM2の一方又は両方の電圧を可変に設定することで、ビームのピーク位置を可変に設定することができる。
図8(A)、図8(B)には、列内の超音波素子に印加される電圧のシミュレーション結果を示す。このシミュレーションは、1列に10個の超音波素子が配置される場合について、駆動周波数3.5MHzで行った。図8(A)は共通コモン電極線CCLの両端からコモン電圧VCOMを供給する場合、図8(B)は共通コモン電極線CCLの一端からコモン電圧VCOMを供給し、他端にはコモン電圧VCOMを供給しない場合を示す。
図8(A)から分かるように、共通コモン電極線CCLの両端からコモン電圧VCOMを供給する場合では、超音波素子に印加される電圧は中央の素子を中心として対称になる。
一方、図8(B)から分かるように、共通コモン電極線CCLの一端からコモン電圧VCOMを供給し、他端にはコモン電圧VCOMを供給しない場合では、印加電圧は一端側で最も大きく他端側に向かって減少する。
図9(A)、図9(B)は、1列10個の超音波素子から放射される超音波(周波数3.5MHz)の音圧分布のシミュレーション結果である。図9(A)は共通コモン電極線CCLの両端からコモン電圧VCOMを供給する場合、図9(B)は共通コモン電極線CCLの一端からコモン電圧VCOMを供給し、他端にはコモン電圧VCOMを供給しない場合を示す。
図9(A)から分かるように、両端からVCOMを供給する場合では、音圧のピークは列の中央に位置している。一方、図8(B)から分かるように、一端からVCOMを供給し、他端にはコモン電圧VCOMを供給しない場合では、音圧のピークは列の中央から一端側にシフトしている。
以上説明したように、本実施形態の超音波装置200によれば、放射される超音波のビームのピーク位置をスライス方向に関して可変に設定することができる。こうすることで、ビームのスライス面を可変に設定することができるから、例えば超音波診断装置等に用いた場合に、簡素な構成で2次元的なスキャンが可能になる。その結果、超音波エコー画像を効率的に取得することなどが可能になる。
本実施形態の超音波装置200によらずに2次元的なスキャンを実現しようとすると、超音波素子アレイの各超音波素子を個別に駆動する必要があるため、素子数の多いアレイでは駆動電極線の配線が困難になる。例えばm行n列のアレイの場合にはm×n本の駆動電極線が必要であり、アレイ内で素子を迂回しながら配線を引き回すことはレイアウト上の大きな問題となる。これに対して、本実施形態の超音波装置200では、上述したようにn本の駆動電極線でよいから、上記の問題は生じない。
3.超音波プローブ及び診断装置
図10に、本実施形態の超音波装置200を含む超音波プローブ300及び診断装置(電子機器)400の基本的な構成例を示す。超音波プローブ300は、超音波ヘッドユニット220、マルチプレクサーMUX、駆動信号発生器HV_P、制御回路CNTL、送受信切換スイッチT/R_SW、アナログフロントエンドAFEを含む。超音波ヘッドユニット220は、超音波装置200及び接続部210を含む。
超音波ヘッドユニット220は、接続部210を介して脱着可能であり、診断対象に合わせて交換することができる。接続部210は、超音波ヘッドユニット220と超音波ヘッドユニット220本体とを電気的に接続するためのものであって、例えばフレキシブル基板とコネクターなどで構成することができる。
マルチプレクサーMUXは、駆動信号及び受信信号のチャネル切換を行う。例えば駆動信号発生器HV_P、送受信切換スイッチT/R_SW及びアナログフロントエンドAFEが8チャネル分の信号に対応する構成である場合には、マルチプレクサーMUXがこの8チャネル分の信号を超音波素子アレイ100の駆動電極線DL1〜DLnに分配する。
駆動信号発生器HV_Pは、制御回路CNTLの制御に基づいて、超音波素子UEを駆動するための信号(パルス)を生成する。
送受信切換スイッチT/R_SWは、送信時及び受信時の信号の切換を行う。受信時にはマルチプレクサーMUXとアナログフロントエンドAFEとを電気的に接続して、超音波ヘッドユニット220からの受信信号をアナログフロントエンドAFEに出力する。送信時には、マルチプレクサーMUXとアナログフロントエンドAFEとを電気的に非接続にして、駆動信号がアナログフロントエンドAFEに入力することを防止する。
アナログフロントエンドAFEは、受信信号の増幅、ゲイン設定、周波数設定、A/D変換(アナログ/デジタル変換)などを行い、検出データ(検出情報)として処理部320に出力する。アナログフロントエンドAFEは、例えば低雑音増幅器、電圧制御アッテネーター、プログラマブルゲインアンプ、ローパスフィルター、A/Dコンバーターなどで構成することができる。
制御回路CNTLは、駆動信号発生器HV_Pに対して駆動信号の位相、周波数の制御を行い、アナログフロントエンドAFEに対して受信信号の周波数設定の制御を行う。制御回路CNTLは、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)で実現することができる。
診断装置400は、超音波プローブ300、制御部310、処理部320、UI(ユーザーインターフェース)部330、表示部340を含む。
制御部310は、超音波プローブ300に対して超音波の送受信制御を行い、処理部320に対して検出データの画像処理等の制御を行う。処理部320は、アナログフロントエンドAFEからの検出データを受けて、必要な画像処理や表示用画像データの生成などを行う。UI(ユーザーインターフェース)部330は、ユーザーの行う操作(例えばタッチパネル操作など)に基づいて制御部310に必要な命令(コマンド)を出力する。表示部340は、例えば液晶ディスプレイ等であって、処理部320からの表示用画像データを表示する。
なお、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また超音波装置、超音波プローブ、電子機器及び診断装置の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
100 超音波素子アレイ、110 スイッチ信号生成回路、
120 コモン電圧供給回路、200 超音波装置、210 接続部、
220 超音波ヘッドユニット、300 超音波プローブ、310 制御部、
320 処理部、330 UI部、340 表示部、
UE 超音波素子、CL1〜CL8 コモン電極線、DL1〜DL12 駆動電極線、
CCL 第1の配線(共通コモン電極線)、VCOM コモン電圧

Claims (13)

  1. 超音波素子アレイと、
    第1の方向に沿って配線される第1の配線と
    前記第1の配線の一端に接続される第1のスイッチ回路とを含み、
    前記超音波素子アレイは、
    各超音波素子列において複数の超音波素子が前記第1の方向に沿って配置される第1の超音波素子列〜第n(nは2以上の整数)の超音波素子列と、
    前記第1の方向に沿って配線される第1の駆動電極線〜第nの駆動電極線と、
    前記第1の方向に交差する第2の方向に沿って配線される第1のコモン電極線〜第m(mは2以上の整数)のコモン電極線とを有し、
    前記第1の超音波素子列〜前記第nの超音波素子列は、前記第2の方向に沿って配置され、
    前記第1の超音波素子列〜前記第nの超音波素子列のうちの、第j(jは1≦j≦nである整数)の超音波素子列を構成する前記複数の超音波素子がそれぞれ有する第1の電極は、前記第1の駆動電極線〜前記第nの駆動電極線のうちの第jの駆動電極線に接続され、
    前記第jの超音波素子列を構成する前記複数の超音波素子がそれぞれ有する第2の電極は、前記第1のコモン電極線〜前記第mのコモン電極線のうちのいずれかに接続され、
    前記第1のコモン電極線〜前記第mのコモン電極線は、前記第1の配線に共通接続され
    前記第1のスイッチ回路は、
    オン状態である場合には、前記第1の配線にコモン電圧を供給し、
    オフ状態である場合には、前記第1の配線に前記コモン電圧を非供給にすることを特徴とする超音波装置。
  2. 請求項1において、
    前記第1の超音波素子列〜前記第nの超音波素子列の前記各超音波素子列は、
    前記複数の超音波素子として、
    前記第1の方向に沿って配置される第1の超音波素子〜第mの超音波素子を有し、
    前記第1の超音波素子〜前記第mの超音波素子のうちの第i(iは1≦i≦mである整数)の超音波素子が有する前記第2の電極は、前記第1のコモン電極線〜前記第mのコモン電極線のうちの第iのコモン電極線に接続されることを特徴とする超音波装置。
  3. 請求項1又は2において、
    前記第1の配線の他端に接続される第2のスイッチ回路を含み、
    前記第2のスイッチ回路は、
    オン状態である場合には、前記第1の配線に前記コモン電圧を供給し、
    オフ状態である場合には、前記第1の配線に前記コモン電圧を非供給にすることを特徴とする超音波装置。
  4. 請求項において、
    前記第1のスイッチ回路及び前記第2のスイッチ回路のオン・オフを制御するスイッチ信号生成回路を含み、
    前記スイッチ信号生成回路は、
    第1の状態では、前記第1のスイッチ回路をオン状態にして前記第2のスイッチ回路をオフ状態にし、
    第2の状態では、前記第1のスイッチ回路をオフ状態にして前記第2のスイッチ回路をオン状態にすることを特徴とする超音波装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    前記第1のスイッチ回路は、
    前記コモン電圧として第1のコモン電圧を、前記第1の配線に供給する第1のスイッチ素子と、
    前記コモン電圧として前記第1のコモン電圧とは異なる第2のコモン電圧を、前記第1の配線に供給する第2のスイッチ素子とを有することを特徴とする超音波装置。
  6. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    前記第1のスイッチ回路は、
    第1の抵抗素子と、
    前記第1の抵抗素子と直列に接続される第1のスイッチ素子と、
    前記第1の抵抗素子とは異なる抵抗値を有する第2の抵抗素子と、
    前記第2の抵抗素子と直列に接続される第2のスイッチ素子とを有することを特徴とする超音波装置。
  7. 超音波素子アレイと、
    第1の方向に沿って配線される第1の配線と
    前記第1の配線にコモン電圧を供給するコモン電圧供給回路とを含み、
    前記超音波素子アレイは、
    各超音波素子列において複数の超音波素子が前記第1の方向に沿って配置される第1の超音波素子列〜第n(nは2以上の整数)の超音波素子列と、
    前記第1の方向に沿って配線される第1の駆動電極線〜第nの駆動電極線と、
    前記第1の方向に交差する第2の方向に沿って配線される第1のコモン電極線〜第m(mは2以上の整数)のコモン電極線とを有し、
    前記第1の超音波素子列〜前記第nの超音波素子列は、前記第2の方向に沿って配置され、
    前記第1の超音波素子列〜前記第nの超音波素子列のうちの、第j(jは1≦j≦nである整数)の超音波素子列を構成する前記複数の超音波素子がそれぞれ有する第1の電極は、前記第1の駆動電極線〜前記第nの駆動電極線のうちの第jの駆動電極線に接続され、
    前記第jの超音波素子列を構成する前記複数の超音波素子がそれぞれ有する第2の電極は、前記第1のコモン電極線〜前記第mのコモン電極線のうちのいずれかに接続され、
    前記第1のコモン電極線〜前記第mのコモン電極線は、前記第1の配線に共通接続され
    前記コモン電圧供給回路は、
    前記第1の配線の両端にコモン電圧を供給する、或いは一端にコモン電圧を供給し、他端にコモン電圧を非供給にすることを特徴とする超音波装置。
  8. 請求項において、
    前記コモン電圧供給回路は、
    前記第1の配線の一端と他端とにそれぞれ異なる電圧のコモン電圧を供給することを特徴とする超音波装置。
  9. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    前記第1の方向はスライス方向であり、
    前記第2の方向は位相走査のスキャン方向であることを特徴とする超音波装置。
  10. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    前記超音波素子アレイは、アレイ状に配置された複数の開口を有する基板を含み、
    前記複数の開口の各開口ごとに設けられる前記各超音波素子は、
    前記各開口を塞ぐ振動膜と、
    前記振動膜の上に設けられる圧電素子部とを有し、
    前記圧電素子部は、
    前記振動膜の上に設けられる下部電極と、
    前記下部電極の少なくとも一部を覆うように設けられる圧電体膜と、
    前記圧電体膜の少なくとも一部を覆うように設けられる上部電極とを有し、
    前記第1の電極は、前記上部電極及び前記下部電極の一方であり、
    前記第2の電極は、前記上部電極及び前記下部電極の他方であることを特徴とする超音波装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の超音波装置を含むことを特徴とする超音波プローブ。
  12. 請求項1乃至10のいずれかに記載の超音波装置を含むことを特徴とする電子機器。
  13. 請求項1乃至10のいずれかに記載の超音波装置と、
    表示用画像データを表示する表示部とを含むことを特徴とする診断装置。
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