以下、図1〜13を参照して、本発明に係る開閉体のロック装置の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、この実施形態における開閉体のロック装置10(以下、「ロック装置10」という)は、車両のインストルメントパネルに設けられたグローブボックス1(本発明における「固定体」)の開口部2に、開閉可能に取付けられるリッド5(本発明における「開閉体」)を開閉ロックするために用いられるものである。
図12及び図13に示すように、前記グローブボックス1の開口部2の両側部内面には、凹状のロック部3,3が設けられている。また、図2に示すように、開口部2の上部周縁からは、前方に向かって押圧突起4が突設されている。更に図1に示すように、前記リッド5は、長孔状の取付孔6aが形成されたパネル6と、該パネル6の裏側上方に配設されたボックス7とを有し、その下部両側の支持片8を介して、グローブボックス1の開口部2に開閉可能に取付けられている。前記パネル6と前記ボックス7との間の内部空間に、ロック装置10が配置されるようになっている。また、ボックス7の幅方向両側には、ロッド挿出孔7a,7aがそれぞれ形成されている。
そして、この実施形態におけるロック装置10は、図1に示すように、前記リッド5に取付けられたベース部材20と、該ベース部材20に回転可能に取付けられた回転体40と、この回転体40に連結された一対のリンクロッド70,71と、これらのリンクロッド70,71のフック部73,73を、前記ロック部3,3に係合する方向となるように、前記回転体40を回転付勢するトーションバネ12と、前記回転体40の回転軸方向に沿って、ベース部材20に押し込み可能に取付けられた操作部材50と、前記ベース部材20に対して前記操作部材50を離れる方向に付勢する操作部材用バネ14と、リンクロッド70,71の各フック部73をロック部3に係合しない位置までスライドさせたときに、回転体40に係合して回転規制し、各フック部73をロック部3に係合する状態に戻るのを規制すると共に、リッド5を閉じたときに、回転体40との係合を解除して、各フック部73をロック部3に係合させるストッパ60と、該ストッパ60を前記回転体40に係合する方向に付勢するストッパ用バネ16と、から主として構成されている。
図4(A)に示すように、前記トーションバネ12は、コイル部12a及び両端部12a,12cとからなり、本発明における「付勢手段」をなしている。また、図1に示すように、一対のリンクロッド70,71の先端には、外面がテーパ状をなしたフック部73が形成され、基端部側には凹状の嵌合凹部75が形成されている。
図3(A),(B)に示すように、前記ベース部材20は横長箱状をなし、その周壁21の内部が仕切部23によって区切られて、回転体40や操作部材50等が収容配置される枠状部24と、キーシリンダ26が挿入配置される筒状部25とが幅方向に並列して設けられている。周壁21の外周には複数の取付片21aが延設され、これらによりベース部材20がリッド5に取付けられている。また、周壁21の前面側の外周からは、リッド5の取付孔6aの内周に係合するフランジ部21bが突設されている。
図3(B)に示すように、前記枠状部24の底部24aの前面側中央からは、円筒状の軸部27が前面開口側へ向けて突設されている。前記枠状部24の底部24aには、軸部27を中心にして周方向の対向位置に、円弧状のピン移動孔28,28が形成されている(図3(B)及び図12(B)参照)。一方のピン移動孔28の端部内周には、トーションバネ12の他端部12cが係止する、バネ係止部28aが形成されている(図7参照)。また、枠状部24の幅方向両側にガイド孔31,31が形成され、同枠状部24の四隅にガイド孔31aがそれぞれ形成されている(図12(B)参照)。
図3(B)に示すように、前記周壁21の天井面21cには、ベース部材20の前後方向に沿って伸びる長孔状のスライド孔30が、前記枠状部24の内部空間に連通して形成されており、前記ストッパ60の基部側がスライド可能に挿入される部分となっている。
また、このスライド孔30の長手方向両側周縁からは、ストッパ60のスライド動作をガイドするガイド壁33,33がそれぞれ立設されている。各ガイド壁33の前方側には切欠き部33aが形成され、また、ガイド壁33の内周であって、切欠き部33aよりも後方には、前後方向に沿ってガイド溝33bがそれぞれ形成されている。更に、前記スライド孔30の前面側周縁からは、ストッパ用バネ16の一端部を支持するバネ支持壁34が立設している。
次に、図4(A),(B)を参照して、ベース部材20に回転可能に取付けられる回転体40について説明する。
この実施形態における回転体40は、円筒状の筒部41を有しており、この筒部41内にベース部材20の軸部27が挿入されることで、回転体40がベース部材20に回転可能に支持されるようになっている。前記筒部41の外周の対向部分からは、アーム部43,43が延設されており、各アーム部43の先端部の後面側からピン44が突設され、基端部の前面側からカム突起45が突設されている。各カム突起45は、先端面45aが円弧状をなすと共に、基端部の両側にバネ係止溝45bが形成されている。
そして、前記トーションバネ12のコイル部12aを、回転体40の筒部41から挿出された軸部27の先端に外装すると共に(図4(A)参照)、その一端部12bをカム突起45のバネ係止溝45bに係止し、他端部12cをベース部材20のバネ係止部28a(図7参照)させることにより、回転体40が図7の矢印A1方向に回転付勢されるようになっている。
また、リンクロッド70,71の嵌合凹部75,75に、回転体40の各ピン44,44をそれぞれ嵌合させることで、一対のリンクロッド70,71は、回転体40の外周の対向する位置に、その基端側が枢着される(図1及び図7参照)。その結果、一対のリンクロッド70,71は、図7の矢印A1方向に回転付勢された回転体40を介して、グローブボックス1のロック部3,3に係合する方向となるように、フック部73,73が互いに離れるように付勢されるようになっている。
次に、図5(A),(B)を参照して、ベース部材20に押し込み可能に取付けられた操作部材50について説明する。
この操作部材50は横長板状の押圧部51を有し、その裏側中心からバネ支持部52が突設されている。該押圧部51の裏側の幅方向両側には、撓み可能な係止爪53aを有する係止片53,53が突設され、また、同押圧部51の裏側の角部にはガイド片54がそれぞれ突設されている。
そして、ベース部材20の軸部27に操作部材用バネ14の一端部を支持させ、他端部をバネ支持部52に支持させて、枠状部24に操作部材50を収容し、係止片53,53をガイド孔31,31に挿入すると共に、各ガイド片54を各ガイド孔31aに挿入する。その結果、操作部材50がスライドガイドされ、係止片53の係止爪53aがガイド孔31の端縁に係止して、ベース部材20に操作部材50が抜け止めされ、かつ、操作部材用バネ14によって、常時はベース部材20から離れる方向に付勢された状態で、操作部材50がベース部材20に押し込み可能に装着される。
前記押圧部51の裏側からは、円弧状をなした一対の壁部55,55が立設されている。各壁部55の端面は、周方向に沿って次第に高さが低く、かつ、周方向に沿って斜めにカットされたカム斜面55aをなし、これがカム突起45(図4参照)に当接して操作部材50の押し込み力を回転体40の回転力へと変換する部分となっている。
そして、操作部材用バネ14の付勢力に抗して、ベース部材20に対して操作部材50を押し込んでいくと、壁部55のカム斜面55aにより、カム突起45がそれぞれ押圧されてカム斜面55a上を摺動すると共に、トーションバネ12の回転付勢力に抗して、回転体40が矢印A2方向(図12(B)参照)に回転し、一対のリンクロッド70,71のフック部73,73が、グローブボックス1のロック部3,3に係合しない方向にスライドするようになっている(図13参照)。
次に、図2及び図6〜11を参照して、回転体40に係合し又は回転体40との係合を解除して、ロック部3に対するリンクロッド70,71のフック部73,73の係脱状態を規制するストッパ60について説明する。
この実施形態のストッパ60は、前記ベース部材20のスライド孔30(図3(B)参照)に挿入され、ベース部材20の前後方向にスライド可能とされた基部61と、該基部61の端部からグローブボックス1の開口部2側へ向けて、斜め上方に延出する延出部62と、該延出部62の端部から、操作部材50の押込み方向に沿って延設し、開口部2に設けた押圧突起4に押圧される先端部63とを有している。
図7及び図10に示すように、前記基部61の下端部は、前記スライド孔30を通してベース部材20の枠状部24の内部空間に入り込んでいる。また、基部61の両側には、前記ガイド壁33のガイド溝33b(図3(A)参照)に挿入されるガイドリブ61a(図6,7参照)が突設されていると共に、同基部61の前面側には、ストッパ用バネ16の他端部を支持するバネ支持凹部61b(図2参照)が設けられている。
そして、ガイド壁33の切欠き部33a,33aに、基部61のガイドリブ61a,61aを整合させて、スライド孔30の上方から基部61を挿入し、ストッパ60をベース部材後方に向けてスライドさせて、ガイドリブ61a,61aをガイド壁33のガイド溝33b,33bに挿入すると共に、ストッパ用バネ16の一端部をバネ支持壁34に支持させ、他端部を基部61のバネ支持凹部61bに支持させることで、ストッパ用バネ16の付勢力により、常時はストッパ60がベース部材後方へ向けて付勢された状態で、ベース部材20にストッパ60がスライド可能に組み付けられるようになっている(図2参照)。
上記のように、ストッパ60がベース部材後方側にスライドした状態では、その基部61が回転体40のアーム部43の回転軌跡上に配置されて、回転体40のアーム部43の側面43aに係合し(図9〜11参照)、一方、ストッパ用バネ16の付勢力に抗してストッパ60がベース部材前方側へスライドすると、その基部61がアーム部43の回転軌跡上から離れて、回転体40のアーム部43の側面43aから外れるようになっている(図6及び図8参照)。
上記ストッパ60に関連して、回転体40及びリンクロッド70,71の動作について説明する。
すなわち、ベース部材20に対して操作部材50を押し込み、トーションバネ12の付勢力に抗して回転体40を図12(B)の矢印A2方向に回転させ、リンクロッド70,71のフック部73,73を、グローブボックス1のロック部3,3に係合しない位置にスライドさせ、リッド5が開く方向に回動すると、ストッパ用バネ16により付勢されたストッパ60がベース部材後方側へスライドして、その基部61が回転体40の一方のアーム部43の側面43aに係合する(図9〜11参照)。その結果、回転体40の回転規制がなされ、リンクロッド70,71のフック部73,73が、ロック部3,3に係合する方向へ戻ることが規制される。この実施形態では、リンクロッド70,71のフック部73,73がロック部3,3に係合しない状態に保持される(図13参照)。
一方、上記状態でグローブボックス1の開口部2をリッド5で閉じると、開口部2周縁の押圧突起4(図2参照)によりストッパ60の先端部63が押圧され、ストッパ用バネ16の付勢力に抗してストッパ60がベース部材前方側にスライドし、その基部61が回転体40のアーム部43の側面43aから離れて、回転体40との係合が解除される(図6〜8参照)。その結果、回転体40の回転が許容され、再度トーションバネ12により回転体40が図7の矢印A1方向に回転付勢され、リンクロッド70,71のフック部73,73を、ロック部3,3に係合させる方向に突出させるようになっている(図12参照)。
次に、上記構成部材からなるロック装置10の作用効果について説明する。
図12(A),(B)に示すように、グローブボックス1の開口部2がリッド5で閉塞された状態では、ストッパ60がベース部材前方側にスライドして、基部61と回転体40のアーム部43との係合が解除され(図6〜8参照)、トーションバネ12により回転体40が図7の矢印A1方向に回転付勢されて、リンクロッド70,71のフック部73,73が、グローブボックス1のロック部3,3に係合した状態となっている。また、ストッパ60の基部61が回転体40のアーム部43の前面43bに当接した状態に保持されている(図6及び図8参照)。
この状態でグローブボックス1の開口部2からリッド5を開く場合には、操作部材用バネ14の付勢力に抗し、ベース部材20に対して操作部材50を押し込む。すると、操作部材50の各壁部55のカム斜面55aにより、回転体40の各カム突起45がそれぞれ押圧されて、カム突起45がカム斜面55a上を摺動すると共に、ストッパ60の基部61にアーム部43の前面43bが摺接しつつ、トーションバネ12の回転付勢力に抗して、回転体40が図12(B)の矢印A2方向に回転していく。
そして、ストッパ60の基部61からアーム部43の前面43bが離れるまで、回転体40が回転すると、図9〜11に示すように、ストッパ用バネ16によりストッパ60が付勢されてベース部材後方側へスライドし、その基部61が回転体40のアーム部43の側面43aに係合して、回転体40の回転規制がなされるので、リンクロッド70,71のフック部73,73がロック部3,3に係合する方向に戻るのを規制して、フック部73,73がロック部3,3に係合しない状態に保持され(図13参照)、グローブボックス1の開口部2からリッド5を移動させて、開口部2を開くことができる。
その後、グローブボックス1の開口部2を再度閉じるべく、リッド5を押し込んでいくと、開口部2側の押圧突起4(図2参照)によって、ストッパ60の先端部63が押圧されて、ストッパ用バネ16の付勢力に抗してストッパ60がベース部材前方側にスライドして、基部61が回転体40のアーム部43の側面43aから離れて、回転体40との係合が解除されるので(図6〜8参照)、再度トーションバネ12によって回転体40が図7の矢印A1方向に回転付勢され、リンクロッド70,71のフック部73,73がロック部3,3にそれぞれ係合して、グローブボックス1の開口部2をリッド5で閉じた状態にロックすることができる(図12参照)。
このとき、図9〜11に示すように、ストッパ60の基部61が回転体40のアーム部43の側面43aに係合して、回転体40の回転規制がなされて、リンクロッド70,71のフック部73,73のロック部3への戻りが規制されて、フック部73,73がロック部3,3に係合しない状態に保持されるようになっているので、開口部2に対してリッド5を押し込んでいく際に、リンクロッド70,71のフック部73,73が、開口部2の両側内周面に摺接することを防止して、リッド5を抵抗なくスムーズに閉じることができると共に、その際の打音を低減することができる。
そして、このロック装置10においては、ストッパ60を回転体40に係合させ、又は、回転体40との係合を解除させて、回転体40の回転動作を規制するように構成されているので、ストッパ60を回転体40に係合させたときに、回転体40に連動する一対のリンクロッド70,71のフック部73,73を、ロック部3,3に対して均等に引き込むことができ、一方、ストッパ60と回転体40との係合を解除したときには、リンクロッド70,71のフック部73,73を均等に突出させることができる。その結果、一対のリンクロッド70,71のフック部73,73の引込み量や突出量の、左右でのばらつきを抑制することができるので、どちらか一方のリンクロッドのフック部73が、開口部2の内周に引っ掛かったりすること等を防止して、リッド5をスムーズに閉じることができ、その操作性を向上させることができる。
また、この実施形態においては、回転体40から延出したアーム部43,43に、一対のリンクロッド70,71の基端側を枢着させ、このアーム部43を利用して、その側面43aにストッパ60を係合させて、回転体40の回転規制が図られるようになっているので、回転体40にストッパ60が係合する部分を特に設ける必要がなく、回転体40を簡単な構造にすることができる。
更に、この実施形態においては、回転体40及びストッパ60は、リッド5に取付けられた共通のベース部材20に組み付けられるようになっているので、ベース部材20に回転体40及びストッパ60を一まとめにしてコンパクトに組み付けることができ、組立作業性を向上させると共に、省スペース化を図ることができる。
また、この実施形態においては、回転体40及びストッパ60が組み付けられたベース部材20に、操作部材50も組み付けられるようになっているので、操作部材50を回転体40やストッパ60に位置合わせした状態で、共通するベース部材20に組み付けることができ、ロック装置10の組立作業性を更に向上できると共に、ロック装置10をよりコンパクトにすることができる。
図14〜17には、本発明に係る開閉体のロック装置の第2実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
この実施形態の開閉体のロック装置10a(以下、「ロック装置10a」)は、ベース部材20aの前面側に、操作部材50aが上下方向に回動可能に取付けられた構造をなしている。図16に示すように、前記ベース部材20aに回転可能に取付けられた回転体40aの前面側には、ピン状の受け部46が設けられていると共に、前面周縁の所定位置から略扇状の係合片47が外径方向に突設されている。
図14に示すように、前記ベース部材20aの前面側上方には、操作部材50a裏面の押圧子57を挿入する切欠き孔29が形成され、また、天井面21cの後部側の幅方向中央に溝部32が形成され、その両側周縁から支持片32a,32aが立設されており、更に、前記ベース部材20a内には、トーションバネ状のストッパ用バネ17の設置用のバネ配置壁35が設けられている。
そして、ベース部材20aの前面に取付けられた操作部材50aを上方に引き上げると、ベース部材20aの切欠き孔29を通して、押圧子57が回転体40aの受け部46を押圧し、トーションバネ12の回転付勢力に抗して回転体40aを図16の矢印B1方向に回転させ、リンクロッド70,71のフック部73,73をグローブボックスのロック部に係合しない方向にスライドさせるようになっている。
一方、ストッパ60aは、基部61の前面側に係合凸部64が設けられていると共に、同基部61の一側面からバネ支持ピン65が突設され、更に長手方向途中の両側面から支軸66,66が突設されている。これらの支軸66,66を各支持片32aの軸孔32bに軸支させることで、ストッパ60aがベース部材20aの前後方向に回動可能となるように組み付けられるようになっている。また、ストッパ用バネ17の一端部17aが、ストッパ60aのバネ支持ピン65に係止されて、図14の矢印B2に示すように、ストッパ60aの基部61側がベース部材20aの前方に向けて付勢されている。
そして、このロック装置10aの場合、グローブボックスの開口部がリッド5で閉塞された状態では、ストッパ60aの基部61側がベース部材後方側に回動し、基部61と回転体40aとの係合が解除され(図16参照)、トーションバネ12により回転体40aが回転付勢され、リンクロッド70,71のフック部73,73がグローブボックスのロック部に係合した状態となっている。
上記状態で操作部材50aを上方に引き上げると、押圧子57が受け部46を押圧し、トーションバネ12の回転付勢力に抗して、回転体40aが図16の矢印B1方向に回転すると共に、ストッパ用バネ17によりストッパ60aの基部61がベース部材前方に押し出されて、図17に示すように、係合凸部64の上面64aに係合片47が係合して、回転体40aの回転規制がなされ、リンクロッド70,71のフック部73,73が、グローブボックスのロック部に係合する方向へ戻るのが規制され、ロック部に係合しない状態に保持されるので、グローブボックスの開口部からリッド5を開くことができる。
一方、上記状態でリッド5を押し込むと、押圧突起4(図2参照)によりストッパ60aの先端部63が押圧され、ストッパ用バネ17の付勢力に抗してストッパ60aの基部61がベース部材後方に回動し、図16に示すように、係合凸部64の上面64aから係合片47が離れて、回転体40aとの係合が解除され、トーションバネ12により回転体40aが回転付勢されて、リンクロッド70,71のフック部73,73がグローブボックスのロック部に係合する方向に押し出されて、グローブボックスの開口部をリッド5で閉じることができる。
図18〜20には、本発明に係る開閉体のロック装置の第3実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
この実施形態の開閉体のロック装置10b(以下、「ロック装置10b」)は、リンクロッド71の先端側に、ケース36に内蔵された押込み式の操作部材50bが設置されており、回転体40bと操作部材50bとが別体となっている。
前記回転体40bは長板状をなし、その一端部の前面側からL字状の係合片48が設けられている。また、ストッパ60bの基部側に空隙67が形成され、その内部にストッパ用バネ17が介装されている。更に、長板状のベース部材20bの上部に支持片37,37が突設されており、その軸孔37a,37aにストッパ60bの支軸66,66を軸支させることで、ストッパ60bの基部61がベース部材20bに近接離反するように、ストッパ60bがベース部材20bに回動可能に組み付けられている。また、ストッパ用バネ17により、ストッパ60aの基部61側がベース部材20bに近接する方向(図18矢印C1参照)に付勢されている。
そして、このロック装置10bの場合、グローブボックスの開口部がリッド5で閉塞された状態では、ストッパ60aの基部61側がベース部材20bから離れて、基部61と回転体40bとの係合が解除され(図19参照)、トーションバネ12により回転体40bが回転付勢され、リンクロッド70,71のフック部73,73がグローブボックスのロック部に係合した状態となっている。
上記状態で、リンクロッド71先端側に設置された操作部材50bを押し込むと(図18矢印C2参照)、図示しないカム面が形成された受け部77を介して、リンクロッド71がリッド内方に押圧されて、トーションバネ12の回転付勢力に抗して回転体40bが図18,19の矢印C3方向に回転し、リンクロッド71,70がリッド内方に引き込まれる。それと共に、ストッパ用バネ17によりストッパ60bの基部61がベース部材20bに近接する方向に押し出され、図20に示すように、L字状の係合片48の側面48aがストッパ60bの基部61の側面61cに係合して、回転体40bの回転規制がなされ、リンクロッド70,71のフック部73,73が、グローブボックスのロック部に係合する方向へ戻るのが規制され、ロック部に係合しない状態に保持されるので、グローブボックスの開口部からリッド5を開くことができる。
一方、上記状態でリッド5を押し込むと、押圧突起4(図2参照)によりストッパ60bの先端部63が押圧され、ストッパ用バネ17の付勢力に抗してストッパ60aの基部61がベース部材20bから離れる方向に回動し、図19に示すように、基部61の側面61cから係合片48の側面48aが離れて、回転体40bとの係合が解除され、トーションバネ12により回転体40bが回転付勢されて、リンクロッド70,71のフック部73,73がグローブボックスのロック部に係合する方向に付勢されて、グローブボックスの開口部をリッド5で閉じることができる。
図21〜23には、本発明に係る開閉体のロック装置の第4実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
この実施形態の開閉体のロック装置10c(以下、「ロック装置10c」)は、本発明の「開閉体」であるリッド5の幅方向両側に凹状のロック部が形成され、本発明の「固定体」であるグローブボックスの天井面1aにベース部材20cが取付けられている。このベース部材20cに回転体40cが回転可能に取付けられると共に、同回転体40cに一対のリンクロッド70,71がスライド可能に連結されている。なお、リンクロッド70の先端部側には、図示しない操作部材が設置されている。
前記ベース部材20cには、ストッパ用バネ16の一端部を支持するバネ支持壁34a、ストッパ60cをスライドガイドするガイド壁33c,33c、及び、ストッパ60cを保持する保持枠38が立設しており、ストッパ60cは、ストッパ用バネ16によって、その先端部63をリッド5側に向けて(図22の矢印D1参照)付勢されている。また、回転体40cの一方のアーム部43には係合片43cが立設し、これがベース部材20cに設けた円弧状の切欠き孔39に移動可能に挿入されている。更に、ストッパ60cの基部側には、前記係合片43cが入り込む凹部68が形成されている。
そして、このロック装置10cの場合、グローブボックスの開口部がリッド5で閉塞された状態では、ストッパ60cがグローブボックス後方側にスライドして、その凹部68に回転体40cの係合片43cが入り込み、基部61と回転体40cとの係合が解除されて、トーションバネ12により回転体40cが回転付勢され、リンクロッド70,71のフック部73,73が、リッド5側のロック部に係合した状態となっている。
上記状態で、リンクロッド70先端側に設置された図示しない操作部材を押し込むと、リンクロッド70先端の受け部77が押されて、トーションバネ12の回転付勢力に抗して回転体40cが回転して、リンクロッド71,70がグローブボックス内方に引き込まれる。それと共に、ストッパ用バネ16によりストッパ60cが付勢されてリッド側にスライドし、図22,23に示すように、回転体40cのアーム部43の係合片43cの側面43dが、ストッパ60cの基部61の側面61cに係合して、回転体40cの回転規制がなされ、リンクロッド70,71のフック部73,73が、リッド5のロック部に係合する方向へ戻るのが規制され、ロック部に係合しない状態に保持されるので、グローブボックスの開口部からリッド5を開くことができる。
一方、上記状態でリッド5を押し込んで、リッド5の押込み孔5a内に挿入されて(図22参照)、ストッパ60cの先端部63が押圧されると、ストッパ用バネ16の付勢力に抗して、ストッパ60cがグローブボックス後方側に押し込まれて、その凹部68(図23参照)内に回転体40cの係合片43cが入り込んで、ストッパ60cと回転体40cとの係合が解除されると共に、回転体40cを介してリンクロッド70,71のフック部73,73がリッド5のロック部に係合する方向に付勢されて、グローブボックスの開口部をリッド5で閉じることができる。
以上説明した各実施形態においては、トーションバネ12を用いて回転体を回転付勢させることで、回転体を介して間接的に一対のリンクロッドをスライド付勢させたが、例えば、引張りばねやコイルスプリング等を用いて、一対のリンクロッドの一方又は両方を、そのフック部がロック部に係合する方向となるように、直接的にスライド付勢してもよい。同じく引張りばねやコイルスプリング等を用いて、回転体を回転付勢させてもよい。この場合、引張りばねやコイルスプリング等が、本発明における「付勢手段」をなす。
また、上記実施形態では、開閉体のロック装置を、グローブボックス1の開口部2にリッド5が開閉可能に取付けられた構造に適用したが、これに限定されず、例えば、インストルメントパネルの開口部にグローブボックスが回動可能に取付けられた構造や(インストルメントパネルが「固定体」、グローブボックスが「開閉体」をなす)、インストルメントパネルの開口部にリッドが開閉可能に取付けられた構造(インストルメントパネルが「固定体」、リッドが「開閉体」をなす)等に適用してもよく、固定体の開口部を開閉する各種の開閉体に広く用いることができる。
更に、上記実施形態では、一対のリンクロッド70,71は、回転体に枢着される基端部側と、フック部を含む部分とが連続して設けられた一体成形品となっているが、回転体に枢着される基端部側と、それ以外の部分とを別体で形成して、連結するようにしてもよく、特に限定されるものではない。