JP5946721B2 - りん酸肥料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、りん酸肥料の製造方法に関し、特に、下水処理施設の汚水に含まれるリン及び下水処理過程で発生する汚泥に含まれるリンからりん酸肥料を製造する方法に関する。
肥料の三要素の1つであるリンは、その原料をリン鉱石に依存し、鉱物資源の乏しいわが国ではその全量を輸入している。リン鉱石は将来枯渇することが予想されるなど、今後入手が極めて困難になる可能性があり、リンを多量に含む下水等から如何に効率的に質のよいリンを回収するか、循環利用するかが、今般のわが国における技術開発の課題となっている。
わが国の下水処理施設の中には、すでに溶融炉を所有しており、下水の脱水汚泥にカルシウム源又はマグネシウム源を添加して溶融温度を制御して溶融スラグ化しているところがある。しかしながら、この溶融スラグ化は肥料化を目的としたものではなく、路盤材などの土木資材化、あるいは単に最終処分量を削減するための減容化を目的としたものであり、リン資源の循環利用という上記課題は何ら考慮されてはいない。
そこで、肥料化を目的として、例えば、特許文献1には、鉄系凝集剤を汚水に添加し、汚水に含まれるリン成分を沈降させ、その沈降物を汚泥と共に収集し、これらを脱水、焼却してリン成分の濃度が高い汚泥焼却灰を得た後、この汚泥焼却灰に、コークス、酸化マグネシウム等を加えて溶融炉内で加熱し、溶融スラグを水砕槽へ選択的に出滓させて急冷して粒状とすることで、リン成分の濃度が高く、安全な肥料を製造する方法が記載されている。
特開2003−112988号公報
しかし、上記特許文献に記載のりん肥料製造方法等では、脱水汚泥を焼却灰にする焼却工程と溶融して肥料化する溶融工程とが別々であるため、汚泥焼却灰を得るために熱エネルギーを用い、さらに高温の溶融工程で多量の熱エネルギーを必要とし、大量のエネルギーを消費するため、製造コストが高騰するという問題があった。
そこで、本発明は、上記解決課題に鑑みてなされたものであって、下水に含まれるリンを有効活用して、低コストで優れた品質の肥料を得ることができるりん酸肥料の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、りん酸肥料の製造方法であって、下水処理施設で発生したリンを含む下水汚泥にカルシウム源を添加し、既設の下水処理施設の溶融炉を用いて、焼成温度1150℃以上1350℃以下で焼成することを特徴とする。
本発明によれば、既設の溶融炉を利用してりん酸肥料を焼成するため、初期投資コストを大幅に削減することができる。
すなわち、本発明は、既設の溶融炉を焼成炉として転用するだけであるから、カルシウム源又はマグネシウム源の添加設備も、既設のものをそのまま転用することができるため、追加の設備投資を必要としない。
また、従来ではリン回収物や下水汚泥を最終工程で溶融して肥料化していたが、本発明では、溶融より処理温度の低い焼成工程を採用したため、消費エネルギーを低減することができ、製造コストの大幅削減に繋がる。さらに、上記温度域で焼成することで、りん酸肥料のりん酸のく溶率(P 2 5 含有量のうちく溶性りん酸である割合)やけい酸の可溶率(SiO 2 含有量のうち可溶性けい酸である割合)を上昇させることができる。
上記りん酸肥料の製造方法において、前記りん酸肥料の酸化カルシウム(CaO)含有率を35質量%以上60質量%以下とすることができる。これによって、焼成によってでもりん酸可給性、けい酸可給性に優れたりん酸肥料を製造するのに好適な成分調整を行うことができる。
上記りん酸肥料の製造方法において、前記溶融炉を、コークスベッド炉、旋回溶融炉又は表面溶融炉とすることができる。
また、上記りん酸肥料の製造方法において、前記下水処理施設における汚水を濃縮し、濃縮した汚水にリン回収材を添加して該汚水中のリンを前記回収材と反応させた後、脱水して前記リン回収物及び下水汚泥を得ると共に、脱水により得られたリン回収物及び下水汚泥に前記カルシウム源を混合して焼成することもできる。
以上のように、本発明によれば、下水から低コストでリンを回収することのできるりん酸肥料の製造方法を提供することができる。
本発明にかかるりん酸肥料の製造方法を実施するシステムの一例を示す全体構成図である。 焼成物のCaO濃度と溶融開始温度との関係を示すグラフである。 本発明にかかるりん酸肥料の製造方法を実施するシステムの他の例を示す全体構成図である。
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明にかかるりん酸肥料の製造方法を実施するシステムの一例を示し、このりん酸肥料製造システム1は、大別して、下水処理場へ持ち込まれた下水S1を濃縮し、脱水汚泥S9と脱水ろ液W3とに分離する水処理設備2と、水処理設備2で分離された脱水汚泥S9と、組成調整剤A2とを混合して焼成し、焼成物を粉砕する粉砕、整粒する混合焼成設備4からなる。
水処理設備2は、下水S1中の沈殿し易い浮遊物や泥を濃縮して重力濃縮槽19へ送る最初沈殿池5と、沈殿処理を終えた最初沈殿池5からの有機物、窒素、リン等を含む汚水S2を微生物等で処理する生物処理槽6と、生物処理槽6で処理された活性汚泥S3を時間をかけて沈殿させ、上澄み水Dを放流する最終沈殿池7と、最終沈殿池7からの余剰汚泥S4をさらに遠心力により濃縮する遠心濃縮機8と、遠心濃縮機8からの濃縮汚泥S5及び重力濃縮槽19からの濃縮汚泥S6を分解するメタン発酵槽9と、メタン発酵槽9から排出された汚泥S7を貯留する貯槽10と、貯槽10から排出された汚泥S8を脱水汚泥S9と脱水ろ液W3とに固液分離する脱水機11とで構成される。
混合焼成設備4は、濃縮分離設備2で分離された脱水汚泥S9に、カルシウム源である組成調整剤A2を添加して混合する混合機14と、混合機14から供給される混合物Mを焼却するストーカ式焼却炉15と、本来焼却物Iを溶融させる目的で設置された表面溶融炉を、焼却物Iを焼成するために用いる焼成炉16と、焼成物B1を所望の大きさに粉砕する粉砕機17と、粉砕された焼成物B2に造粒補助剤A3を添加して造粒するパンペレタイザー18とで構成される。
ストーカ式焼却炉15は、脱水汚泥を焼却するために下水処理場に一般的に設置されているものであって、ストーカ式焼却炉15に代えて、流動床炉、多段炉等の焼却炉を利用することもできる。
本発明における下水汚泥は、前記脱水汚泥や下水処理施設の各種工程で得られた脱水する前の汚泥、脱水汚泥や前記汚泥を乾燥した乾燥汚泥、炭化した炭化汚泥、又は焼却した焼却汚泥である。
組成調整剤A2は、焼成可能なりん酸肥料を得るために添加されるカルシウム源であって、りん酸肥料の酸化カルシウム含有率を35質量%以上とするために用いられる。一般に、下水汚泥はカルシウムの含有率が低いため、カルシウム源を混合してりん酸肥料中のカルシウムを補う必要がある。下水汚泥等とカルシウム源を焼成すると、得られた焼成物(りん酸肥料)のりん酸のく溶率及びけい酸の可溶率が高くなる。一方、焼成物の酸化カルシウム含有率を60質量%以上とすると、りん酸肥料中のリン含有量自体が低くなって施肥効果が低下したり、農地に施肥した場合に土壌のpHが高くなり植物の生育を阻害するおそれがある。
上記カルシウム源として、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、石灰石、生石灰、消石灰、セメント、鉄鋼スラグ、石膏、生コンスラッジ(その乾燥物も含む。)、廃モルタル、廃コンクリート、鶏糞等の畜産糞等を使用することができる。これらの中でも、炭酸カルシウムと石灰石は、入手が容易でカルシウムの含有率が高いため好ましい。
組成調整剤A2に加えて、さらにシリカ源やマグネシウム源を添加してもよい。一般に、下水汚泥はシリカ(SiO)を多く含むためシリカ源を添加する場合は少ないが、けい酸の加給性も付与したいが下水汚泥のSiO含有量が少ない場合はシリカ源を補う必要がある。この場合のシリカ源は、珪石、珪砂、砂、珪藻土、シラス、生コンスラッジ、廃モルタル、廃コンクリート、酸性火山灰、酸性火山岩、及びケイ酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。
りん酸肥料に苦土成分を補填する場合は、マグネシウム源として、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシア、ドロマイト、フェロニッケルスラグ、橄欖岩、及び蛇紋岩等から選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。
尚、各原料を調合する方法として、例えば、下水汚泥の一部を電気炉等で焼成した後、該焼成灰中の酸化物を定量し、該定量値と所定の配合に基づき、各原料を混合する方法が挙げられる。該酸化物の定量は、蛍光X線装置を用いてファンダメンタルパラメーター法により行うことができる。下水汚泥の灰分率及び灰分の化学組成は日々変動するため、これらの年間の変動幅、下水処理条件との相関を予め把握してから、下水汚泥に対する酸化カルシウムの添加率を決定することが望ましい。但し、正確を期すために、できるだけ高い頻度で下水汚泥の一部を電気炉等で焼成して、該焼成物中の化学組成に基づいて、目的とするりん酸肥料中の酸化カルシウム含有率になるように添加率を修正することが好ましい。
また、前記りん酸のく溶率とは、りん酸肥料中の全りん酸に対するく溶性りん酸の質量比(%)であり、前記けい酸の可溶率とは、りん酸肥料中の全けい酸に対する可溶性けい酸の質量比(%)である。く溶性りん酸量は肥料分析法(農林水産省 農業環境技術研究所法)に規定されているバナドモリブデン酸アンモニウム法により、可溶性けい酸量は同法に規定されている過塩素酸法により測定することができる。尚、原料やりん酸肥料中の酸化物の定量は、蛍光X線装置を用いてファンダメンタルパラメーター法により行うことができる。
図2は、下水汚泥焼却灰a、下水汚泥焼却灰b及び下水汚泥焼却灰cについて、焼成物の酸化カルシウム(CaO)濃度と溶融開始温度との関係を示している。下水汚泥焼却灰aとは、CaO含有率が7.6質量%、P含有率が15.6質量%であり、下水汚泥焼却灰bとは、CaO含有率が12.6質量%、P含有率が25.5質量%であり、下水汚泥焼却灰cとは、CaO含有率が10.8質量%、P含有率が38.9質量%である。溶融開始温度は、上記下水汚泥焼却灰に炭酸カルシウムを添加して、円柱状に加圧成形した粉体ペレットの上部平坦面が、加熱により半球化した温度である。
このグラフから明らかなように、焼成物の酸化カルシウム濃度が高くなるにつれて溶融開始温度が上昇し、焼成物の酸化カルシウム含有率を35質量%以上に高めれば、溶融させずに焼成物として取り出すことができる。
焼成炉16には、上述のように、例えば、この下水処理施設に設置された既設の表面溶融炉を利用する。コークスベッド炉、旋回溶融炉等が設置されている場合には、表面溶融炉に代えてこれらの炉を利用することもできる。これらの溶融炉は、本来溶融物を得るために上記焼成温度よりも高い温度で運転されていたため、焼成に利用しても耐熱構造としては問題ないが、本発明では、溶融物ではなく焼成物を得るため、必要であれば、混合物Mが炉内で滞留することがなく、炉内で均一に加熱され、円滑に焼成物が炉外に排出されるような構成に改変する必要がある。
特に、旋回溶融炉や表面溶融炉を焼成炉として使用するにあたっては、焼成物を炉外に押し出すあるいは掻き出すための耐火性の高い可動装置を具備させる必要がある。また、コークスベッド炉を焼成炉として使用するにあたっては、焼成物自身の自重により炉の上部から下部に順次移動するため、排出口を大きく改造する必要がないため好ましい。この焼成炉16は、1150℃以上1350℃以下、好ましくは1200℃以上1300℃以下で下水汚泥等を焼成することができる。
必要に応じて焼成前の原料は、排出口からの流出防止や排出安定化のために造粒を行ってもよい。造粒装置として、例えば、パン型ペレタイザー、パン型ミキサー、撹拌造粒機、ブリケットマシン、ロールプレス、及び押出成形機等が挙げられるが、特に、利便性や生産効率に優れる点で、パン型ペレタイザーが好適である。尚、造粒性(成形性)を高めるため、造粒前の粉末状の焼成物にポリビニルアルコール、メチルセルロース等の賦形剤を添加してもよい。但し、これらの賦形剤は焼成炉16での焼成により燃焼消失する。焼成前の造粒は、焼結反応や焼成炉16からの排出性などを考慮して任意に選択される工程である。
焼成炉16(溶融炉)から排出される焼成物は、大きなものでは10cm程度小さなものでは1mm程度、平均で5cm程度の粒径を有する塊状の焼結物である。この粒径のままでは肥料製品として流通することができないため、粒度範囲を1mmから5mmの間が中心となるように粉砕機17で粗粉砕し、篩い分け等による整粒を行う。粉砕機17として、例えば、ジョークラッシャー、ハンマークラッシャー等が、焼成物が過度に粉砕されることを防止できるため好ましい。篩い分け操作には汎用の振動ふるいを用いることができる。
前記焼成工程や前記粉砕工程においては粒径1mm以下の部分が発生する。そのような場合には、前記の整粒工程のふるい通過分、あるいは焼成物の全量を粉砕したものをパンペレタイザーにより粒度範囲を1mmから5mmの間が中心となるように造粒し、篩い分け等による整粒を行う。
パンペレタイザー18に代えて、これと同様の造粒効果が期待できる装置を使用することができ、パン型ミキサー、撹拌造粒機、ブリケットマシン、ロールプレス又は押出成形機等を用いてもよい。利便性や生産効率に優れる点で、パン型ペレタイザーが好適である。造粒を行う場合は、整粒工程のふるい通過分、あるいは焼成物の全量を汎用のボールミルにて粒径100μm以下とするのが好適である。
造粒補助剤A3には、ポリビニルアルコール、メチルセルロース等を用いることができる。また、該工程において、肥料の用途に応じて、適宜、けい酸やりん酸の成分を追加したり、窒素、加里、苦土等のその他の肥料成分を新たに添加することができる。整粒装置には市販の振動ふるい装置を用いることができる。
該造粒成型や整粒工程は、農用地へ施肥する際に粉塵の発生を抑制して肥料の取り扱いを容易にするためや、肥料効果を十分に発揮させるために、肥料の粒度を調整する必要がある場合に選択される任意の工程である。
次に、上記構成を有するりん酸肥料製造システム1の動作について、図1を参照しながら説明する。
りん酸肥料製造システム1に流入した下水S1を最初沈殿池5に導き、最初沈殿池5で沈殿し易い浮遊物や泥を濃縮して重力濃縮槽19へ送ると共に、有機物等を含む汚水S2を生物処理槽6に供給して微生物等で処理する。
生物処理槽6で生成された活性汚泥S3を最終沈殿池7で時間をかけて沈殿させ、沈殿した汚泥を余剰汚泥S4として遠心濃縮機8に供給すると共に、最終沈殿池7で得られた上澄み水Dを放流する。尚、通常余剰汚泥S4の一部は生物処理槽6へ返流される。
最終沈殿池7からの余剰汚泥S4を遠心濃縮機8で濃縮し、重力濃縮槽19に貯留された濃縮汚泥S6と共に、メタン発酵槽9に供給する。メタン発酵槽9で、濃縮汚泥S5、S6を微生物によって分解し、発生した汚泥S7を貯槽10に一旦貯留した後、汚泥S8を脱水機11に供給し、固液分離して脱水汚泥S9を得る。
次に、脱水汚泥S9を、カルシウム源としての組成調整剤A2と共に混合機14へ供給して混合する。均質化した混合物Mをストーカ式焼却炉15に供給して焼却した後、焼却物Iを1150℃以上1350℃以下、好ましくは1200℃以上1300℃以下の温度域内で焼成炉16で焼成する。これらの温度域で焼成することで、得られたりん酸肥料のりん酸のく溶率やけい酸の可溶率が高まる。次に、焼成物B1を粉砕機17で粉砕し、後段のパンペレタイザー18で造粒補助剤A3と共に、所望の寸法となるように造粒成形する。
尚、混合機14に投入する脱水汚泥S9は、乾燥や炭化、焼却した下水汚泥であってもよい。
また、脱水汚泥S9と組成調整剤A2を混合してから焼却するのではなく、脱水汚泥を焼却してから組成調整剤A2を混合し、焼成炉16で焼成することもできる。
さらに、乾燥や炭化された下水汚泥に対しては混合機14にて組成調整剤A2を混合し、ストーカ式焼却炉15で焼却することなく直接焼成炉16で焼成することもできる。
次に、本発明にかかるりん酸肥料の製造方法を実施するシステムの他の例について、図3を参照しながら説明する。
具体的には、図3に記載のシステム21では、貯槽10に回収材A1を添加する。貯槽10に貯留されている汚泥S7は、システム21内の他の場所よりもリン濃度が高いため効率よくリンを回収することができる。尚、メタン発酵槽9で炭酸が発生し、炭酸を含む汚泥S7に回収材A1を添加するような場合には、回収材A1によるリン回収性能が低下するが、回収材A1を増量すること、又は汚泥S7に回収材A1を投入する前に、アルカリにより汚泥S7のpHを調整することなどで対処することができる。
回収材A1には、カルシウムを含む回収材、例えば、非晶質ケイ酸カルシウムを好適に用いることができ、この非晶質ケイ酸カルシウムは、リンとの親和性が高く、多孔質で比表面積が大きいため、リンの吸着能力が高く、選択的に効率よくリンを吸着することができる。その他に、水酸化カルシウム、塩化カルシウム等を用いることもできる。
次に、上記構成を有するりん酸肥料製造システム21の動作について、図3を参照しながら説明する。尚、メタン発酵槽9までの動作は、図1に記載のりん酸肥料製造システム1と同様であるため、その説明は割愛する。
メタン発酵槽9で発生した汚泥S7を貯槽10へ供給し、貯槽10にリン回収材A1を添加し、汚泥S7に含まれるリンをリン回収材A1に吸着させて沈降させる。次に、貯槽10からの汚泥S8を脱水機11に供給し、固液分離して脱水汚泥S9及びリン回収物APを得ると共に、得られた脱水ろ液W3は重力濃縮槽19からの返送水W1等と共に、最初沈殿池5へ返送する。
固液分離して得た脱水汚泥S9及びリン回収物APは、組成調整剤A2と共に混合機14で混合し、混合物Mをストーカ式焼却炉15に供給して焼却した後、焼却物Iを1150℃以上1350℃以下、好ましくは1200℃以上1300℃以下の温度域内で焼成する。これによって、得られたりん酸肥料のりん酸のく溶率やけい酸の可溶率が高まる。その後、焼成物B1を粉砕機17で粉砕し、後段のパンペレタイザー18で造粒補助剤A3と共に、所望の寸法となるように造粒成形や整粒を行う。
上記例では、効率的にリンを回収し得る貯槽10にリン回収材A1を添加する場合について説明したが、本発明は、この添加場所に限定されるものではなく、この下水処理施設のさらに上流の工程とすることも可能である。例えば、メタン発酵槽9内、最終沈殿池7から遠心濃縮機8へ運ばれる余剰汚泥S4、生物処理槽6から最終沈殿池7へ運ばれる活性汚泥S3又は重力濃縮槽19からの返送水W1に添加することもできる。
また、汚水に回収材A1を添加するのではなく、システム1における他の場所よりもリン濃度の高い脱水ろ液W3に回収材A1を添加し、回収材A1に脱水ろ液W3に含まれるリンを吸着させ、リンを吸着したリン回収物APを固液分離するなどして得て、リン回収物APと脱水汚泥S9とを組成調整剤A2と共に混合機14へ供給することもできる。
また、これらのシステムにおいて組成調整剤A2の添加位置は、混合機14に限定されず、貯槽10と脱水機11との間の汚泥S8に添加してもよく、その場合には、組成調整剤A2も脱水機11で固液分離の対象となるが、組成調整剤A2の添加量と汚泥S8の含水率を考慮すると脱水機11の負荷の増加は問題となる程度ではない。また、混合機14は不要となる。
尚、本発明では、リン回収物等を焼成してりん酸肥料を製造するため、溶融法に比べて低い温度で加熱処理することに加えて、塩素等を含有しないカルシウム系の成分調整剤を用いているため、焼成炉16の腐食が低減される。
1、21 りん酸肥料製造システム
2 水処理設備
4 混合焼成設備
5 最初沈殿池
6 生物処理槽
7 最終沈殿池
8 遠心濃縮機
9 メタン発酵槽
10 貯槽
11 脱水機
14 混合機
15 ストーカ式焼却炉
16 焼成炉
17 粉砕機
18 パンペレタイザー
19 重力濃縮槽

Claims (4)

  1. 下水処理施設で発生した下水汚泥と、カルシウム源とを既設の下水処理施設の溶融炉を用いて、焼成温度1150℃以上1350℃以下で焼成することを特徴とするりん酸肥料の製造方法。
  2. 前記りん酸肥料の酸化カルシウム含有率が35質量%以上60質量%以下であることを特徴する請求項1に記載のりん酸肥料の製造方法。
  3. 前記溶融炉は、コークスベッド炉、旋回溶融炉又は表面溶融炉であること特徴とする請求項1又は2に記載のりん酸肥料の製造方法。
  4. 前記下水処理施設における汚水を濃縮し、
    濃縮した汚水に回収材を添加して該汚水中のリンを前記回収材と反応させた後、脱水してリン回収物及び下水汚泥を得ると共に、
    脱水により得られた前記リン回収物及び下水汚泥に前記カルシウム源を混合して焼成することを特徴とする請求項1、2又は3に記載のりん酸肥料の製造方法。
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