JP5945683B2 - 密閉型圧縮機およびこれを備えた冷凍装置 - Google Patents

密閉型圧縮機およびこれを備えた冷凍装置 Download PDF

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Description

本発明は、密閉型圧縮機の軸受の改良に関するものである。
近年、地球環境に対する要求から家庭用冷蔵庫やエアコンは、ますます省エネ化への動きが加速されている。
従来の密閉型圧縮機としては、主軸部に設けた同心穴等からなる給油機構を備えることで、潤滑油の供給量を増やし、潤滑性能を向上したものがある(例えば、特許文献1参照)。また、片持ち軸受の片当りを防止するため、軸受の端部と摺動する主軸表面の径を小さくした傾斜部を設けたものがある(例えば、特許文献2参照)。
以下、図面を参照しながら上記従来技術の密閉型圧縮機について説明する。なお以下の説明において、上下の関係は、密閉型圧縮機を正規の姿勢に設置した状態を基準としている。
図15は、特許文献1に記載された従来の密閉型圧縮機の縦断面図、図16は、同密閉型圧縮機における回転子取付け部近傍の拡大図である。
図15および図16において、密閉容器2の底部には潤滑油4を貯留しており、圧縮機本体6は、サスペンションスプリング8によって密閉容器2に対して弾性的に支持されている。
圧縮機本体6は、電動要素10と、電動要素10の上方に配設される圧縮要素12から構成されている。電動要素10は、固定子14および回転子16とから構成されている。
圧縮要素12のシャフト18は、主軸部20と、主軸部20の上側に延出する偏心軸部22を備えており、主軸部20は、シリンダブロック24の主軸受26に挿入されている。
主軸部20の外径面には、主軸受26の内径よりわずかに10〜20μm程度小さい直径を有する上摺動部50、および下摺動部52と、上摺動部50と下摺動部52の間に形成され、直径が上摺動部50や下摺動部52より200μm程度小さい中抜き部54が配置されている。そして、偏心軸部22に作用する圧縮荷重等を、主軸受26と上摺動部50、および下摺動部52との間に発生する油膜圧力で支持する片持ちの滑り軸受の構成となっている。
主軸部20は、各部摺動部への給油を行うため、内部に主軸部20の外径面と同心の円筒状の穴部58を有し、穴部58の上端80は、下摺動部52の長さの中間に位置している。また、この穴部58の上端80から、径方向外側の下摺動部52表面に連通する連通孔60と、円盤状に形成され、その中心部に穴部58より小径の孔を有し、穴部58の開口端に装着された絞り部64と、絞り部64の上部に隣接して穴部58内に圧入、固定された板体である攪拌子66で構成されている。
主軸受26の下部は、回転子16に設けた円筒状の凹部16aに収納され、主軸受26の下端と回転子16の凹部16aの底部16bとは、0.3mm程度の隙間を介して対向している。
図19は、特許文献2に記載された従来の密閉型圧縮機の縦断面図、図20は、特許文献2に記載された従来の密閉型圧縮機の要部断面図である。
図19および図20において、シャフト18の主軸部20の外表面が一定の外径を有する円筒部86と、円筒部86に比べて外径が小さい傾斜面70とからなり、傾斜面70は、ピストン30に作用する荷重が最大となるシャフト18の回転角の範囲において、圧縮機構部側の集中荷重部に配置されたものである。
以上のように構成された従来の密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
電動要素10に通電されると、回転子16は回転し、これに伴ってシャフト18も回転し、圧縮要素12は所定の圧縮動作を行う。
特開2009−270551号公報 特開平7−4355号公報
しかしながら、特許文献1に記載された従来の構成では、主軸部20に回転子16が嵌合されることにより、主軸部20が変形し、主軸部20と主軸受26の間の潤滑状態に悪影響を与える。
以下、図17および図18を用いて、従来の摺動部の状態について説明する。
図17は、回転子16が主軸部20に嵌合されることによる変形と、荷重を受けた際のシャフト18の傾きの状態を模式的に示したものである。
図17において、内部に穴部58を有し、薄肉形状となった主軸部20に回転子16が焼嵌め等の方法で嵌合されることにより、回転子16と接している主軸部20の外径が縮小するように変形している。この主軸部20の外径部の変形は、穴部58の周囲の薄肉部の範囲で発生し、穴部58の上端80(図16)の外径側の下摺動部52内に変形部の終端20aが位置する。そして、回転子16から離れるほど、直径が拡大し、終端20aで元の外径になる。
変形部の終端20aと、回転子16の嵌合部との距離は、概ね下摺動部52の摺動幅の半分と小さく、この狭い範囲で径変化が発生するため、変形部は大きく傾斜することになる。
片持ち軸受では、荷重が作用するとクリアランス内で、主軸部20が傾斜するが、回転子16を嵌合したことによる変形部の傾斜は、主軸の傾きより大きい。その結果、図17に示すように、下摺動部52においては、変形の終端20aが最も主軸受26に近接した油膜が薄い部分となり、終端20aより下側では隙間が大きくなる。
図18は、下摺動部52の油膜発生状態を模式的に示したものである。
図18に示すように、変形部の終端20aでは隙間が小さく発生するため、油膜圧力72が最大となる。一方、終端20aの上側および下側は、隙間が大きく発生する油膜圧力
が小さい。この結果、全体としては発生する油膜圧力が小さいので、変形部の終端20a近傍の油膜厚さが薄くなり、終端20aで局所的な金属接触が発生しやすくなり、摺動損失の増加による効率低下や摩耗等の発生による信頼性の低下が生じるという課題を有している。
また、特許文献2に記載された構成のように、圧縮機構部側の集中荷重部に傾斜面70を形成した場合でも、回転子16を嵌合した際の主軸部20の下摺動部52の変形という課題を解消することはできないので、下摺動部52に局所的な金属接触が起こりやすいという課題に変わりはない。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、回転子の嵌合に起因する主軸部の下摺動部の局所的な金属接触の発生を防止し、摺動損失を低減して効率を向上するとともに、摩耗の発生を防止し、信頼性を向上することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の密閉型圧縮機は、回転子が嵌合されることに伴う主軸部の下摺動部の変形を緩和する変形緩和手段を有するとともに、変形緩和手段を、主軸部の内部に設けた穴部の上端を中抜き部の位置まで配置することで構成したものである
これにより、回転子が嵌合されることによる主軸部の変形に起因する主軸受と、主軸部の局所的な金属接触の発生を防止するという作用を有する。
本発明の密閉型圧縮機は、摺動部での局所的な金属接触の発生を防止し、摩擦を小さくすることで、入力を低減し、効率を向上することができるとともに、局所的な金属接触に起因する主軸摺動部での傷つきや摩耗の発生を抑制し、信頼性を向上することができる。
本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態1における要部断面図 同実施の形態1における変形状態を示す模式図 同実施の形態1の摺動部の油膜圧力を示す模式図 本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態2における要部断面図 同実施の形態2における変形状態を示す模式図 同実施の形態2の摺動部の油膜圧力を示す模式図 本発明の実施の形態3における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態3における要部断面図 同実施の形態3における変形状態を示す模式図 本発明の実施の形態4における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態4における要部断面図 同実施の形態4における変形状態を示す模式図 従来例を示す密閉型圧縮機の縦断面図 同密閉型圧縮機の要部断面図 同密閉型圧縮機の摺動部の変形状態を示す模式図 同密閉型圧縮機の摺動部の油膜圧力を示す模式図 異なる従来例を示す密閉型圧縮機の縦断面図 同密閉型圧縮機の要部断面図
第1の発明は、潤滑油を貯溜した密閉容器内に、固定子と回転子を備えた電動要素と、前記電動要素の上方に配置された圧縮要素を収容し、前記圧縮要素を、内部に外径面と同心の円筒状の穴部を有し、外径面に前記回転子が嵌合された主軸部と偏心軸部を有するシャフトと、シリンダを備えたシリンダブロックと、前記シリンダの内部に往復動可能に挿設されたピストンと、前記ピストンと前記偏心軸部とを連結する連結手段と、前記シリンダブロックに形成され、前記シャフトの前記主軸部を軸支する主軸受を備えた構成とし、前記主軸部の外径面には、上摺動部と、下摺動部と、前記上摺動部と前記下摺動部との間で、前記上摺動部と前記下摺動部より直径が小さい中抜き部と、が配置され、前記穴部を有することにより、前記下摺動部の一部は、薄肉の筒状であり、圧縮動作に伴う荷重が前記シャフトに作用した際に、前記主軸部が前記主軸受の内部で傾斜したものであって、前記回転子が嵌合されることに伴う前記主軸部の前記下摺動部の変形を緩和する変形緩和手段を設け、前記変形緩和手段を、前記主軸部の内部に設けた穴部の上端を中抜き部の位置まで配置することで構成したものである。
かかる構成とすることにより、回転子の嵌合によって発生した変形による摺動部での局所的な金属接触の発生を防止し、摺動部の摩擦を小さくすることで、入力を低減し、効率を向上するとともに、摺動部での摩耗の発生を抑制し、信頼性を向上することができる。
また、かかる構成とすることで、前記回転子の嵌合による主軸部の下摺動部の変形の範囲が下摺動部全体を含むようにでき、下摺動部の変形による傾斜を緩やかにして、摺動部での局所的な金属接触の発生を防止することができる。その結果、摺動部の摩擦を小さくすることで、第1または第2の発明の効果に加えてさらに入力を低減し、効率を向上することができる。また、摺動部での摩耗の発生を抑制し、信頼性を向上することができるとともに、回転子の主軸部への嵌合部の幅を極端に小さくしなくても、変形による摺動面の傾斜を緩やかにでき、回転子の嵌合による主軸部への固定を確実にして回転子の脱落を防止し、信頼性を向上することができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記変形緩和手段を、回転子の主軸部との嵌合面の上部に設けた内径拡大部としたものである。
かかることにより、前記回転子との嵌合部を、主軸部の下摺動部から離すことにより、変形による下摺動部の摺動面の傾斜を緩やかにして、摺動部での局所的な金属接触の発生を防止することができる。その結果、摺動部の摩擦を小さくすることで入力を低減し、効率を向上するとともに、摺動部での摩耗の発生を抑制し、信頼性を向上することができる。
の発明は、第1の発明において、前記変形緩和手段を、前記シャフトは鉄であるとともに、前記回転子と主軸部の間に配置した少なくとも鉄よりも剛性が低い低剛性部材としたものである。
かかることにより、回転子の嵌合の際、低剛性部材が変形する一方、主軸部の変形が軽微となり、変形による下摺動部の摺動面の傾斜を緩やかにし、摺動部での局所的な金属接触の発生を防止することができる。その結果、摺動部の摩擦を小さくすることができ、入力を低減して効率を向上するとともに、摺動部での摩耗の発生を抑制し、信頼性を向上することができる。
の発明は、第1の発明において、前記変形緩和手段を、前記主軸部に回転子が嵌合される位置と下摺動部の間の主軸部外表面に設けた円周溝を備える構成としたものである。
かかる構成とすることにより、前記回転子を主軸部に嵌合する際に、前記円周溝の上側の主軸部の変形が軽減されるため、下摺動部の変形による傾斜を緩やかにして、摺動部での局所的な金属接触の発生を防止することができる。その結果、摺動部の摩擦を小さくすることができ、入力を低減して効率を向上するとともに、摺動部での摩耗の発生を抑制し、信頼性を向上することができる。
の発明は、第1の発明において、前記下摺動部は、外径が前記回転子に近づく方向に徐々に小さくなる傾斜面を有するものである。
の発明は、第1から第のいずれかの発明の密閉型圧縮機を備えた冷凍装置である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図、図2は、同実施の形態1における密閉型圧縮機の要部断面図である。
図1、図2において、密閉容器102の内部には、底部に潤滑油104を貯留し、また、圧縮機本体106がサスペンションスプリング108により、内部懸架されている。また、密閉容器102には、温暖化係数の低い冷媒であるR600a(イソブタン)が充填されている。
圧縮機本体106は、電動要素110と、これによって駆動される圧縮要素112を具備し、密閉容器102には、電動要素110に電源を供給するための電源端子113が取り付けられている。
まず、電動要素110について説明する。
電動要素110は、鋼板を積層した鉄心と巻線を有する固定子114と、固定子114の内径側に配置された回転子116を備えており、固定子114の巻線が、電源端子113を経由して密閉型圧縮機外の電源(図示せず)と導線により接続されている。
次に、圧縮要素112について説明する。
圧縮要素112は、電動要素110の上方に配設されている。そして、圧縮要素112を構成するシャフト118は、主軸部120と、主軸部120上端から延出し、主軸部120と平行な偏心軸部122を備えている。また、主軸部120は、内部に外径と同心の穴部158を有し、外径面に回転子116が焼嵌め等の方法で固定されている。
シリンダブロック124は、円筒形の内面を有する主軸受126を備え、主軸受126に主軸部120が回転自在な状態で挿入されることでシャフト118が支持されている。そして、圧縮要素112は、偏心軸部122に作用した荷重を、偏心軸部122の下側に配置された主軸部120と主軸受126で支持する片持ち軸受の構成になっている。
また、シリンダブロック124は、円筒状の穴部であるシリンダ134を備えており、ピストン130がシリンダ134に往復自在に挿入されている。
さらに、連結手段136は、両端に設けた穴部が、ピストン130に取り付けられたピストンピン138と偏心軸部122にそれぞれ嵌挿されることで、偏心軸部122とピストン130とを連結している。
シリンダ134の端面には、バルブプレート140が取り付けられ、シリンダ134およびピストン130とともに圧縮室142を形成する。さらに、バルブプレート140を覆って蓋をするようにシリンダヘッド144が固定されている。吸入マフラ146は、PBT等の樹脂で成型され、内部に消音空間を形成し、シリンダヘッド144に取り付けられている。
次に、主軸部120の詳細について説明する。
主軸部120の外径面には、主軸受126の内径より10〜20μm程度小さい直径を有する上摺動部150および下摺動部152と、上摺動部150と下摺動部152との間で、上摺動部150や下摺動部152より直径が200μm程度以上小さい、中抜き部154が配置されている。
また、主軸部120内部には、外径面と同心の円筒状の穴部158が設けられている。そして、穴部158の上端180には、主軸部120表面の下摺動部152において、螺旋状の給油溝174に連通する連通孔160を設けている。主軸部120の内部が穴部158になっている、下摺動部152の中間から下側の部分は、薄肉の筒状の形態をなす。
さらに、シャフト118の主軸部120の下端は、密閉容器102の底部に貯留された潤滑油104に浸漬しており、穴部158の内部には、円盤状に形成され、その中心部に穴部158より小径の孔を有し、穴部158の下側の開口端に装着された絞り部(図示せず)と、絞り部の上部に隣接して穴部158内に圧入、固定された板体である攪拌子(図示せず)が配置されている。
また、主軸受126の下部は、回転子116に設けた円筒状の凹部116aに収納され、主軸受126の下端と回転子116の凹部116aの底部116bとは、0.1〜1mm程度の隙間を介して対向している。なお、主軸受126の下端と回転子116の凹部116aの底部116bの隙間は、シャフト118の位置を規制し、他の部位で望ましくない部品同士の接触の発生を防止するように設定されている。
さらに、回転子116は、凹部116aの底部116bと、主軸部120との嵌合面116cとの間に、変形緩和手段176としての内径拡大部178を備えている。内径拡大部178の内径は、嵌合面116cより直径で0.2〜1mm程度大きく、上下方向の幅は1〜5mm程度の範囲である。
さらに詳述すると、回転子116の主軸部120との嵌合部は、板厚0.3〜0.5mmの電磁鋼板を積層して構成された鉄心部であり、内径拡大部178は、嵌合面116cより予め内径を大きく打ち抜かれた電磁鋼板を数枚積み重ねる方法で製造される。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
電源端子113より電動要素110に通電されると、固定子114に発生する磁界により、回転子116はシャフト118とともに回転する。主軸部120の回転に伴う偏心軸部122の偏心回転は、連結手段136により変換され、ピストン130をシリンダ134内で往復運動させる。そして、圧縮室142が容積変化することで、密閉容器102内の冷媒を圧縮室142内に吸入し、圧縮する圧縮動作を行う。
圧縮動作に伴う吸入行程において、密閉容器102内の冷媒は、吸入マフラ146を介して圧縮室142内に間欠的に吸入され、圧縮室142内で圧縮された後、高温高圧の冷媒は、吐出配管148等を経由して密閉容器102から冷凍サイクル(図示せず)へ送られる。
また、シャフト118の回転に伴い、絞り部の中央に設けた穴から、穴部158内部に導入された潤滑油104は、攪拌子によりシャフト118と同じ速度で回転し、遠心力が作用することで、穴部158内の外周面の上方へ移動する。そして、連通穴160から主軸部120の給油溝174へ供給されることで、主軸受126と主軸部120の摺動部を
潤滑しながら、さらに上方へ搬送される。
また、圧縮動作に伴う荷重が、連結手段136よりシャフト118の偏心軸部122に作用し、偏心軸部122の下側に配置された主軸部120と主軸受126で、シャフト118を支持し、この際、主軸部120は、主軸受126のクリアランス内で傾斜する。
図3は、シャフト118に荷重が作用した際の傾きと、回転子116を主軸部120へ焼嵌めにより嵌合する場合の変形を模式的に示したものである。
内部に穴部158を有し、薄肉形状となった主軸部120に回転子116が焼嵌め等の方法で嵌合されることにより、回転子116と接している主軸部120の外径が縮小している。この外径部の変形は、主軸部120と回転子116の接触部分から主軸部120が薄肉形状となっている範囲で続いており、回転子116から離れるほど元の外径に近づくことになる。また、この変形範囲の上端は、穴部158の上端180の外径側に位置する終端120aであり、下摺動部152の中間に位置する。
また、この変形範囲の下端は、凹部116aの底部116bではなく、底部116bの下方に設けた内径拡大部178の下端であり、内径拡大部178がない場合に比べ、長い幅で次第に直径が変化することになり、なだらかな傾斜面が形成される。
このように変形した主軸部120が、主軸受126の内部で傾斜した場合の油膜圧力の状態について、図4を用いて説明する。
図4は、主軸部120が主軸受126内で傾斜した際の、下摺動部152での油膜分布を模式的に示したものである。
図4において、下摺動部152には、変形部の終端120aの下側が徐々に外径が小さくなる傾斜面が形成されている。この傾斜面の傾きが、クリアランス内の主軸部120の傾きに近いので、変形部は、主軸受126内径面とほぼ平行な面を形成し、広い幅で油膜圧力172が発生する。その結果、この部位での油膜厚さを大きくすることができ、局所的な金属接触の発生を防止することができる。したがって、摺動損失の増加による効率低下を防止し、また、金属接触の発生も防止できるので、摩耗等の発生による信頼性の低下を防止することができる。
なお、本実施の形態1では、内径拡大部178を積層する鉄板の形状を変更することで形成したが、積層後に加工を施して設けてもよい。また、内径拡大部178の断面形状を矩形としたが、変形部の傾斜をなだらかにすることを妨げない範囲で、三角形や曲面で形成してもよい。
なお、本実施の形態1では、穴部158を主軸部120外径と同心としたが、同心でない場合であっても、薄肉部の変形に対しては同様の効果を得ることができる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の縦断面図、図6は、同実施の形態2における密閉型圧縮機の要部断面図である。
図5、図6において、密閉容器202の内部には、底部に潤滑油204を貯留し、また、圧縮機本体206がサスペンションスプリング208により、内部懸架されている。また、密閉容器202には、温暖化係数の低い冷媒であるR600a(イソブタン)が充填されている。
圧縮機本体206は、電動要素210と、これによって駆動される圧縮要素212を具備し、密閉容器202には、電動要素210に電源を供給するための電源端子213が取り付けられている。
まず、電動要素210について説明する。
電動要素210は、鋼板を積層した鉄心と巻線を有する固定子214と、固定子214の内径側に配置された回転子216とを備えており、固定子214の巻線が、電源端子213を経由して密閉型圧縮機外の電源(図示せず)と導線により接続されている。
次に、圧縮要素212について説明する。
圧縮要素212は、電動要素210の上方に配設されている。そして、圧縮要素212を構成するシャフト218は、主軸部220と、主軸部220上端から延出し、主軸部220と平行な偏心軸部222を備えている。また、主軸部220は、内部に外径と同心の穴部258を有し、外径面に回転子216が焼嵌め等の方法で固定されている。
シリンダブロック224は、円筒形の内面を有する主軸受226を備え、主軸受226に主軸部220が回転自在な状態で挿入されることでシャフト218が支持されている。そして、圧縮要素212は、偏心軸部222に作用した荷重を、偏心軸部222の下側に配置された主軸部220と主軸受226で支持する片持ち軸受の構成になっている。
また、シリンダブロック224は、円筒状の穴部であるシリンダ234を備えており、ピストン230がシリンダ234に往復自在に挿入されている。
さらに、連結手段236は、両端に設けた穴部が、ピストン230に取り付けられたピストンピン238と偏心軸部222にそれぞれ嵌挿されることで、偏心軸部222とピストン230とを連結している。
シリンダ234の端面には、バルブプレート240が取り付けられ、シリンダ234およびピストン230とともに圧縮室242を形成する。さらに、バルブプレート240を覆って蓋をするようにシリンダヘッド244が固定されている。吸入マフラ246は、PBT等の樹脂で成型され、内部に消音空間を形成し、シリンダヘッド244に取り付けられている。
次に、主軸部220の詳細について説明する。
主軸部220の外径面には、主軸受226の内径より10〜20μm程度小さい直径を有する上摺動部250および下摺動部252と、上摺動部250と下摺動部252との間で、上摺動部250や下摺動部252より直径が200μm程度以上小さい、中抜き部254が配置されている。
また、主軸部220内部には、外径面と同心の円筒状の穴部258が設けられている。そして、穴部258の上端280は、中抜き部254の内径側に位置している。
さらに、穴部258の下摺動部252の内径部から、主軸部220の外表面の螺旋状の給油溝274に連通する連通孔260を設けている。主軸部220の内部が穴部258になっている、中抜き部254の中間から下側の部分、すなわち、下摺動部252全体が薄肉の筒状の形態をなす。
また、シャフト218の主軸部220の下端は、密閉容器202の底部に貯留された潤滑油204に浸漬しており、穴部258の内部には、円盤状に形成され、その中心部に穴部258より小径の孔を有し、穴部258の下側の開口端に装着された絞り部(図示せず)と、絞り部の上部に隣接して穴部内に圧入、固定された板体である攪拌子(図示せず)が配置されている。
また、主軸受226の下部は、回転子216に設けた円筒状の凹部216aに収納され、主軸受226の下端と回転子216の凹部216aの底部216bとは、0.1〜1mm程度の隙間を介して対向している。なお、主軸受226の下端と回転子216の凹部216aの底部216bの隙間は、シャフト218の位置を規制し、他の部位で望ましくない部品同士の接触の発生を防止するように設定されている。
さらに、回転子216は、凹部216aの底部216bと、主軸部220との嵌合面216cとの間に、内径拡大部278を備えている。内径拡大部278の内径は、嵌合面216cより直径で0.2〜1mm程度大きく、上下方向の幅は1〜5mm程度の範囲である。
さらに詳述すると、回転子216の主軸部220との嵌合部は、板厚0.3〜0.5mmの電磁鋼板を積層して構成された鉄心部であり、内径拡大部278は、嵌合面216cより予め内径を大きく打ち抜かれた電磁鋼板を数枚積み重ねる方法で製造される。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
電源端子213より電動要素210に通電されると、固定子214に発生する磁界により回転子216はシャフト218とともに回転する。主軸部220の回転に伴う偏心軸部222の偏心回転は、連結手段236により変換され、ピストン230をシリンダ234内で往復運動させる。そして、圧縮室242が容積変化することで、密閉容器202内の冷媒を圧縮室242内に吸入し、圧縮する圧縮動作を行う。
圧縮動作に伴う吸入行程において、密閉容器202内の冷媒は、吸入マフラ246を介して圧縮室242内に間欠的に吸入され、圧縮室242内で圧縮された後、高温高圧の冷媒は、吐出配管248等を経由して密閉容器202から冷凍サイクル(図示せず)へ送られる。
また、シャフト218の回転に伴い、絞り部の中央に設けた穴から、穴部258内部に導入された潤滑油204は、攪拌子によりシャフト218と同じ速度で回転し、遠心力が作用することで、穴部258内の外周面の上方へ移動する。そして、連通穴260から主軸部220の給油溝274へ供給されることで、主軸受226と主軸部220の摺動部を潤滑しながら、さらに上方へ搬送される。
また、圧縮動作に伴う荷重が、連結手段236よりシャフト218の偏心軸部222に作用し、偏心軸部222の下側に配置された主軸部220と主軸受226で、シャフト218を支持し、この際、主軸部220は、主軸受226のクリアランス内で傾斜する。
図7は、シャフト218に荷重が作用した際の傾きと、回転子216を主軸部220へ焼嵌めにより嵌合する場合の変形を模式的に示したものである。
内部に穴部258を有し、薄肉形状となった主軸部220に回転子216が焼嵌め等の方法で嵌合されることにより、回転子216と接している主軸部220の外径が縮小して
いる。この外径部の縮小は、主軸部220と回転子216の接触部分から主軸部220が薄肉形状となっている範囲で続いており、回転子216から離れるほど元の外径に近づくことになる。また、この変形範囲の上端は、穴部258の上端280の外径側の中抜き部254に位置し、下摺動部252全体がこの変形範囲に含まれる。
また、この変形範囲の下端は、凹部216aの底部216bではなく、底部216bの下方に設けた内径拡大部278の下端であり、内径拡大部278がない場合に比べ、長い幅で次第に直径が変化することになり、なだらかな傾斜面が形成される。
このような主軸部220が、主軸受226の内部で傾斜した場合の油膜圧力の状態について、図8を用いて説明する。
図8は、主軸部220が主軸受226内で傾斜した際の、下摺動部252での油膜分布を模式的に示したものである。
図8において、下摺動部252は、全体が変形部に含まれ、下へ行くほど徐々に外径が小さくなる傾斜面を形成している。この傾斜面の傾きが、クリアランス内の主軸部220の傾きに近いので、下摺動部252全体の油膜厚さが均等になり、下摺動部252に亘って油膜圧力272が発生する。そのため、局所的に油膜厚さが小さい部分がなく、局所的な金属接触の発生を防止することができる。したがって、摺動損失の増加による効率低下を防止し、また、金属接触の発生も防止できるので、摩耗等の発生による信頼性の低下を防止することができる。
また、本実施の形態2においては、変形緩和手段276として、内径拡大部278を備え、局所的な金属接触の発生を防止すると同時に、穴部258の上端280の位置を中抜き部254の位置まで配置しているので、回転子216の嵌合による変形の傾斜をさらに小さくでき、局所的な金属接触の発生を防止することができる。
また、変形緩和手段276として、穴部258の上端280の位置を中抜き部254の位置まで配置することで、内径拡大部278の上下方向の幅を小さくしても、下摺動部252をなだらかな傾斜面にすることができる。その結果、回転子216と主軸部220の接触幅を十分に確保し、回転子216を確実に嵌合固定することができ、信頼性が向上する。
なお、本実施の形態2では、穴部258を外径と同心としたが、同心でない穴部であっても、薄肉部の変形に対しては同様の効果を得ることができる。
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3における密閉型圧縮機の縦断面図、図10は、同実施の形態3における密閉型圧縮機の要部断面図である。
図9、図10において、密閉容器302の内部には、底部に潤滑油304を貯留し、また、圧縮機本体306がサスペンションスプリング308により、内部懸架されている。また、密閉容器302には、温暖化係数の低い冷媒であるR600a(イソブタン)が充填されている。
圧縮機本体306は、電動要素310と、これによって駆動される圧縮要素312を具備し、密閉容器302には、電動要素310に電源を供給するための電源端子313が取り付けられている。
まず、電動要素310について説明する。
電動要素310は、鋼板を積層した鉄心と巻線を有する固定子314と、固定子314の内径側に配置された回転子316とを備えており、固定子314の巻線が、電源端子313を経由して密閉型圧縮機外の電源(図示せず)と導線により接続されている。
次に、圧縮要素312について説明する。
圧縮要素312は、電動要素310の上方に配設されている。そして、圧縮要素312を構成するシャフト318は、主軸部320と、主軸部320上端から延出し、主軸部320と平行な偏心軸部322を備えている。また、主軸部320は、内部に外径と同心の穴部358を有し、外径面に変形緩和手段376としての低剛性部材382を介して回転子316が固定されている。低剛性部材382は、例えば、シャフト318や回転子316の材料である鉄よりも剛性の低く、望ましくは弾性を有する材料で形成され、具体的にはアルミ等の材料で形成された略筒型形状の部材である。
シリンダブロック324は、円筒形の内面を有する主軸受326を備え、主軸受326に主軸部320が回転自在な状態で挿入されることでシャフト318が支持されている。そして、圧縮要素312は、偏心軸部322に作用した荷重を、偏心軸部322の下側に配置された主軸部320と主軸受326で支持する片持ち軸受の構成になっている。
また、シリンダブロック324は、円筒状の穴部であるシリンダ334を備えており、ピストン330がシリンダ334に往復自在に挿入されている。
さらに、連結手段336は、両端に設けた穴部が、ピストン330に取り付けられたピストンピン338と偏心軸部322にそれぞれ嵌挿されることで、偏心軸部322とピストン330とを連結している。
シリンダ334の端面には、バルブプレート340が取り付けられ、シリンダ334およびピストン330とともに圧縮室342を形成する。さらに、バルブプレート340を覆って蓋をするようにシリンダヘッド344が固定されている。吸入マフラ346は、PBT等の樹脂で成型され、内部に消音空間を形成し、シリンダヘッド344に取り付けられている。
次に、主軸部320の詳細について説明する。
主軸部320の外径面には、主軸受326の内径より10〜20μm程度小さい直径を有する上摺動部350および下摺動部352と、上摺動部350と下摺動部352との間で、直径が上摺動部350や下摺動部352より200μm程度以上小さい、中抜き部354が配置されている。
また、主軸部320内部には、外径面と同心の円筒状の穴部358が設けられている。そして、穴部358の上端380は、下摺動部352の内径側に位置している。
さらに、穴部358の下摺動部352の内径部から、主軸部320の外表面の螺旋状の給油溝374に連通する連通孔360を設けている。主軸部320の内部が穴部358になっている、下摺動部352の中間から下側の部分が薄肉の筒状の形態をなす。
また、シャフト318の主軸部320の下端は、密閉容器302の底部に貯留された潤滑油304に浸漬しており、穴部358の内部には、円盤状に形成され、その中心部に穴
部358より小径の孔を有し、穴部358の下側の開口端に装着された絞り部364と、絞り部364の上部に隣接して穴部358内に圧入、固定された板体である攪拌子366が配置されている。
さらに、主軸受326の下部は、回転子316に設けた円筒状の凹部316aに収納され、主軸受326の下端と回転子316の凹部316aの底部316bとは、0.1〜1mm程度の隙間を介して対向している。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
電源端子313より電動要素310に通電されると、固定子314に発生する磁界により回転子316はシャフト318とともに回転する。主軸部320の回転に伴う偏心軸部322の偏心回転は、連結手段336により変換され、ピストン330をシリンダ334内で往復運動させる。そして、圧縮室342が容積変化することで、密閉容器302内の冷媒を圧縮室342内に吸入し、圧縮する圧縮動作を行う。
圧縮動作に伴う吸入行程において、密閉容器302内の冷媒は、吸入マフラ346を介して圧縮室342内に間欠的に吸入され、圧縮室342内で圧縮された後、高温高圧の冷媒は、吐出配管348等を経由して密閉容器302からの冷凍サイクル(図示せず)へ送られる。
また、シャフト318の回転に伴い、絞り部の中央に設けた穴から、穴部358内部に導入された潤滑油304は、攪拌子によりシャフト318と同じ速度で回転し、遠心力が作用することで、穴部358内の外周面の上方へ移動する。そして、連通穴360から主軸部320の給油溝374へ供給されることで、主軸受326と主軸部320の摺動部を潤滑しながら、さらに上方へ搬送される。
また、圧縮動作に伴う荷重が、連結手段336よりシャフト318の偏心軸部322に作用し、偏心軸部322の下側に配置された主軸部320と主軸受326で、シャフト318を支持し、この際、主軸部320は、主軸受326のクリアランス内で傾斜する。
図11は、シャフト318に荷重が作用した際の傾きと、回転子316を主軸部320に焼嵌めにより嵌合する場合の変形を模式的に示したものである。
内部に穴部358を有し、薄肉形状となった主軸部320に回転子316が取り付けられる際に、低剛性部材382を介して固定されることで、焼嵌めによる締め付け力により、低剛性部材382は大きく変形するものの、主軸部320の変形は軽微である。
その結果、回転子316の嵌合による主軸部320の変形に伴った下摺動部352の摺動面の傾斜を緩やかにして、摺動部での局所的な金属接触の発生を防止し、摺動部の摩擦を小さくすることで、入力を低減し、効率を向上するとともに、摺動部での摩耗の発生を抑制し、信頼性を向上することができる。
(実施の形態4)
図12は、本発明の実施の形態4における密閉型圧縮機の縦断面図、図13は、同実施の形態4における密閉型圧縮機の要部断面図である。
図12、図13において、密閉容器402の内部には、底部に潤滑油404を貯留し、また、圧縮機本体406がサスペンションスプリング408により、内部懸架されている。また、密閉容器402には、温暖化係数の低い冷媒であるR600a(イソブタン)が
充填されている。
圧縮機本体406は、電動要素410と、これによって駆動される圧縮要素412を具備し、密閉容器402には、電動要素410に電源を供給するための電源端子413が取り付けられている。
まず、電動要素410について説明する。
電動要素410は、鋼板を積層した鉄心と巻線を有する固定子414と、固定子414の内径側に配置された回転子416とを備えており、固定子414の巻線が、電源端子413を経由して密閉型圧縮機外の電源(図示せず)と導線により接続されている。
次に、圧縮要素412について説明する。
圧縮要素412は、電動要素410の上方に配設されている。そして、圧縮要素412を構成するシャフト418は、主軸部420と、主軸部420上端から延出し、主軸部420と平行な偏心軸部422を備えている。また、主軸部420は、内部に外径と同心の穴部458を有し、外径面に回転子416が焼嵌め等の方法で嵌合されている。
シリンダブロック424は、円筒形の内面を有する主軸受426を備え、主軸受426に主軸部420が回転自在な状態で挿入されることでシャフト418が支持されている。そして、圧縮要素412は、偏心軸部422に作用した荷重を、偏心軸部422の下側に配置された主軸部420と主軸受426で支持する片持ち軸受の構成になっている。
また、シリンダブロック424は円筒状の穴部であるシリンダ434を備えており、ピストン430がシリンダ434に往復自在に挿入されている。
さらに、連結手段436は、両端に設けた穴部が、ピストン430に取り付けられたピストンピン438と偏心軸部422にそれぞれ嵌挿されることで、偏心軸部422とピストン430とを連結している。
シリンダ434の端面には、バルブプレート440が取り付けられ、シリンダ434およびピストン430とともに圧縮室442を形成する。さらに、バルブプレート440を覆って蓋をするようにシリンダヘッド444が固定されている。吸入マフラ446は、PBT等の樹脂で成型され、内部に消音空間を形成し、シリンダヘッド444に取り付けられている。
次に、主軸部420の詳細について説明する。
主軸部420の外径面には、主軸受426の内径より10〜20μm程度小さい直径を有する上摺動部450および下摺動部452と、上摺動部450と下摺動部452との間で、直径が上摺動部450や下摺動部452より200μm程度以上小さい、中抜き部454が配置されている。
また、主軸部420内部には、外径面と同心の円筒状の穴部458が設けられている。そして、穴部458の上端480は、下摺動部452の内径側に位置している。
さらに、穴部458の下摺動部452の内径部から、主軸部420の外表面の螺旋状の給油溝474に連通する連通孔460を設けている。主軸部420の内部が穴部458になっている、下摺動部452の中間から下側の部分が薄肉の筒状の形態をなす。
また、シャフト418の主軸部420の下端は、密閉容器402の底部に貯留された潤滑油404に浸漬しており、穴部458の内部には、円盤状に形成され、その中心部に穴部458より小径の孔を有し、穴部458の下側の開口端に装着された絞り部464と、絞り部464の上部に隣接して穴部458内に圧入、固定された板体である攪拌子466が配置されている。
さらに、主軸受426の下部は、回転子416に設けた円筒状の凹部416aに収納され、主軸受426の下端と回転子416の凹部416aの底部416bとは、0.1〜1mm程度の隙間を介して対向している。
さらに、主軸部420の外表面の下摺動部452と回転子416の嵌合部面との間に、変形緩和手段476としての環状の円周溝484を設けている。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
電源端子413より電動要素410に通電されると、固定子414に発生する磁界により回転子416はシャフト418とともに回転する。主軸部420の回転に伴う偏心軸部422の偏心回転は、連結手段436により変換され、ピストン430をシリンダ434内で往復運動させる。そして、圧縮室442が容積変化することで、密閉容器402内の冷媒を圧縮室442内に吸入し、圧縮する圧縮動作を行う。
圧縮動作に伴う吸入行程において、密閉容器402内の冷媒は、吸入マフラ446を介して圧縮室442内に間欠的に吸入され、圧縮室442内で圧縮された後、高温高圧の冷媒は、吐出配管448などを経由して密閉容器402からの冷凍サイクル(図示せず)へ送られる。
また、シャフト418の回転に伴い、絞り部の中央に設けた穴から、穴部458内部に導入された潤滑油404は、攪拌子によりシャフト418と同じ速度で回転し、遠心力が作用することで、穴部458内の外周面の上方へ移動する。そして、連通穴460から主軸部420の給油溝474へ供給されることで、主軸受426と主軸部420の摺動部を潤滑しながら、さらに上方へ搬送される。
また、圧縮動作に伴う荷重が、連結手段436よりシャフト418の偏心軸部422に作用し、偏心軸部422の下側に配置された主軸部420と主軸受426で、シャフト418を支持し、この際、主軸部420は、主軸受426のクリアランス内で傾斜する。
図14は、シャフト418に荷重が作用した際の傾きと、回転子416を主軸部420に焼嵌めにより嵌合する場合の変形を模式的に示したものである。
内部に穴部458を有し、薄肉形状となった主軸部420に回転子416が取り付けられる際に、主軸部420は、焼嵌めによる締め付け力により、直径が縮むように変形する。ところが、回転子416の取付け部の上側には円周溝484を設けており、円周溝484の部分は、シャフト418の剛性が低くなっている。そのため、回転子416の嵌合による歪を吸収することで、円周溝484の上側の下摺動部452ではほとんど変形が生じない。
その結果、下摺動部452において、主軸部420の下端で油膜圧力が発生しないといった問題の発生を防止し、主軸受426の長さを有効に利用できるので、下摺動部452の平均的な面圧を低くすることができる。したがって、局所的な金属接触の発生に伴う摺
動損失の増加による効率低下を防止し、摩耗等の発生による信頼性の低下も防止することができる。
以上のように、本発明にかかる密閉型圧縮機は、変形緩和手段により、回転子の取付け時における主軸摺動部の変形を防止し、効率と信頼性を向上できるので、家庭用電気冷凍冷蔵庫に限らず、エアーコンディショナー、自動販売機やその他の冷凍装置等に広く適用できる。
102、202、302、402 密閉容器
104、204、304、404 潤滑油
110、210、310、410 電動要素
112、212、312、412 圧縮要素
114、214、314、414 固定子
116、216、316、416 回転子
118、218、318、418 シャフト
120、220、320、420 主軸部
122、222、322、422 偏心軸部
124、224、324、424 シリンダブロック
126、226、326、426 主軸受
130、230、330、430 ピストン
134、234、334、434 シリンダ
136、236、336、436 連結手段
150、250、350、450 上摺動部
152、252、352、452 下摺動部
154、254、354、454 中抜き部
158、258、358、458 穴部
176、276、376、476 変形緩和手段
178、278 内径拡大部
280 上端
382 低剛性部材
484 環状溝

Claims (6)

  1. 潤滑油を貯溜した密閉容器内に、固定子と回転子を備えた電動要素と、前記電動要素の上方に配置された圧縮要素を収容し、
    前記圧縮要素を、内部に外径面と同心の円筒状の穴部を有し、外径面に前記回転子が嵌合された主軸部と偏心軸部を有するシャフトと、シリンダを備えたシリンダブロックと、前記シリンダの内部に往復動可能に挿設されたピストンと、前記ピストンと前記偏心軸部とを連結する連結手段と、前記シリンダブロックに形成され、前記シャフトの前記主軸部を軸支する主軸受を備えた構成とし、
    前記主軸部の外径面には、上摺動部と、下摺動部と、前記上摺動部と前記下摺動部との間で、前記上摺動部と前記下摺動部より直径が小さい中抜き部と、が配置され、
    前記穴部を有することにより、前記下摺動部の一部は、薄肉の筒状であり、
    圧縮動作に伴う荷重が前記シャフトに作用した際に、前記主軸部が前記主軸受の内部で傾斜したものであって、
    前記回転子が嵌合されることに伴う前記主軸部の前記下摺動部の変形を緩和する変形緩和手段を設け
    前記変形緩和手段を、前記主軸部の内部に設けた穴部の上端を中抜き部の位置まで配置することで構成した密閉型圧縮機。
  2. 前記変形緩和手段を、回転子の主軸部との嵌合面の上部に設けた内径拡大部とした請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  3. 前記シャフトは鉄であるとともに、前記変形緩和手段を、前記回転子と主軸部の間に配置した少なくとも鉄よりも剛性が低い低剛性部材とした請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  4. 前記変形緩和手段を、前記主軸部に回転子が嵌合される位置と下摺動部の間の主軸部外表面に設けた円周溝を備える構成とした請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  5. 前記下摺動部は、外径が前記回転子に近づく方向に徐々に小さくなる傾斜面を有する請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  6. 請求項1からのいずれか一項に記載の密閉型圧縮機を備えた冷凍装置。
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