JP5942560B2 - 鋼板のプレス成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複相組織を有する高強度鋼板を熱間プレス成形によって加工する鋼板のプレス成形方法に関する。
従来より、自動車の車体構造、例えばサイドシル、ピラー、ルーフメンバ等のように高い耐衝撃性が要求される強度部材には、車体重量の軽量化と衝突安全性確保の観点から、引張強度(TS)が590MPa以上である高強度鋼材(High Strength Steel)が多用されている。この高強度鋼材は、一般に降伏点が高く且つ弾性回復量が大きいため、スプリングバック現象による寸法不良を発生し易く、プレス成形時の加工性に課題が存在する。そのため、強度と加工性とを両立するための技術が種々提案されている。
特許文献1の温間プレス成形方法は、亜鉛を主体とする金属被膜(Zn−Ni合金めっき層)が形成された高強度鋼材の一種である析出強化型鋼板を650〜700℃まで加熱した後、200mm/s以上の平均成形速度でプレス成形している。この温間プレス成形方法によれば、プレス成形時、加熱により成形性が向上するため、高強度鋼板を素材としたプレス成形品を生産効率を低下することなく製造することができる。
前記析出強化型鋼板は、Mo,Ti,Nb等の添加剤を所定重量%含有し、この添加剤が組成中の炭素(C)と結合して鋼板の組織内に炭化物を析出することによって鋼板強度を増加している。
高強度鋼板には、前述の析出強化型鋼板の他に、Mn,P,Si等の添加剤を含有した固溶強化型鋼板や複相組織からなる変態強化型鋼板等が存在する。特に、変態強化型鋼板は、DP(Dual Phase: フェライト+マルテンサイト)鋼に代表され、このDP鋼は、軟質の主相であるフェライト相と硬質の第2相であるマルテンサイト相によって2相のミクロ組織を有している。
これにより、DP鋼は、同一強度の析出強化型や固溶強化型等の高強度鋼板に比べて低降伏比で且つ高い延性を備え、冷間プレス成形において加工性の厳しい用途に用いられている。
特開2011−230189号公報
一般に、鋼板のプレス成形は、大別して、深絞成形、張出成形、フランジ成形、曲げ成形等の加工形態に分類される。DP鋼は、延性に優れ、他の高強度鋼板に比べて冷間における加工性が優れているものの、組織中に硬質のマルテンサイト相を多量に含有するため、加工後の製品形状によっては冷間におけるプレス能力との関係から加工が難しい場合もあり、成形品が複雑な形状の場合、十分な加工性を確保できない虞がある。
特許文献1の温間プレス成形方法では、析出強化型鋼板を加熱して鋼板の強度を軟化することによってプレス加工性を向上している。そこで、特許文献1と同様の方法により、鋼板を加熱する温間プレスをDP鋼に対して適用することが考えられる。尚、温間プレスは加熱温度が低い熱間プレスの一種と分類されているため、以下、温間プレスを含めて熱間プレスと表す。
特許文献1のような熱間プレスでは、鋼板組成に変化を生じるような高温まで加熱しているため、加熱によってプレス加工後における成形品の大荷重強度や衝撃強度が影響を受ける虞がある。
そこで、本発明者は、加熱によるプレス成形品の大荷重強度や衝撃性と相関のある引張強度特性に対する影響を解明するため、熱間プレス後の状態をモデル化し、DP鋼を複数の目標温度まで加熱した後、冷却後の鋼板の引張強度と成分組成を検証する検証実験を実施した。
以下、検証実験について説明する。
DP鋼の試験材料として、以下の成分組成を備えたJSC980Y(JFS:日本鉄鋼連盟規格)のブランクを準備し、JIS5号の試験片a〜dを作成した。
この試験片を炉加熱し、空冷後、引張最大強度と各組成のミクロ組織の面積率を測定した。
次に、図7,図8に基づき検証実験の結果について説明する。
加熱しない(未加熱)試験片aの場合、フェライト相が11.8%、マルテンサイト相が88.2%の面積率であり、引張最大強度は960MPaであった。
特許文献1に開示された温度域に相当する700℃まで加熱した試験片bの場合、フェライト相が54.3%、パーライト相が45.7%の面積率であり、引張最大強度は802MPaであった。
800℃まで加熱した試験片cの場合、フェライト相が8.7%、マルテンサイト相が91.3%の面積率であり、引張最大強度は1042MPaであった。
900℃まで加熱した試験片dの場合、フェライト相が74.7%、パーライト相が25.3%の面積率であり、引張最大強度は848MPaであった。
試験片b,dは、組織中のマルテンサイト相が冷却後、フェライト相とパーライト相に相変化したため、引張強度が加熱前よりも低下したものと推測される。
試験片cは、組織中のマルテンサイト相が冷却後、再びマルテンサイト相に戻り、これに加えて、組織中のフェライト相がマルテンサイト相に相変化したため、引張強度が加熱前よりも増加したものと推測される。
以上の検証結果から、加工性を向上するため、フェライト相とマルテンサイト相からなる高強度鋼板(DP鋼)を熱間プレスする場合、加熱する目標温度によっては鋼板の組織が相変化を生じ、プレス成形品の引張強度が加熱(加工)前の鋼板の引張強度よりも低下することが知見された。即ち、高強度鋼板を素材としたプレス成形品であっても、成形後、強度部材として期待される大荷重強度や衝撃性を得ることができない虞がある。
また、鋼板用防錆処理の主流である亜鉛系金属被膜は、融点(約419℃)が低いため、加熱温度や加熱時間等の成形条件によっては被膜の溶融や気化を生じ、プレス成形品の塗装性不良を招く虞もある。
本発明の目的は、成形条件の調整によって、化成処理不良を招くことなく、複相組織を有する高強度鋼板の強度低下防止と加工性向上とを図ることができる鋼板のプレス成形方法を提供することである。
請求項1の鋼板のプレス成形方法は、質量%で、C:0.06〜0.17%、Si:0.2〜1.35%、Mn:1.25〜3.1%、P:0.009〜0.025%、S:0.002〜0.012%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物であって、ミクロ組織がフェライト相とマルテンサイト相の複相組織からなる鋼板を、Ac1変態点以上Ac3変態点未満の温度域まで加熱し且つこの温度域に予め設定された設定時間保持後、プレス成形を前記温度域で開始し、マルテンサイトが析出するような冷却速度にて冷却しながらプレス成形を行い且つマルテンサイト変態開始温度以下の温度域で型開きを行いプレス成形を終了し、前記プレス成形後の鋼板の組成が、面積率で5%以上のフェライト相と50%以上のマルテンサイト相を有することを特徴としている。
この鋼板のプレス成形方法では、ミクロ組織がフェライト相とマルテンサイト相の複相組織からなる鋼板を、Ac1変態点以上Ac3変態点未満の温度域まで加熱し且つこの温度域に予め設定された設定時間保持するため、塗装性不良を招くことなく、硬質のマルテンサイト相をオーステナイト化(軟化)した状態でプレス成形を開始することができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記プレス成形後の鋼板の組成が、面積率で8.7%のフェライト相と91.3%のマルテンサイト相を有することを特徴としている。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記冷却速度が、6℃/sであることを特徴としている。
請求項の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記プレス成形前の鋼板の引張強度が、590MPa以上であることを特徴としている。
請求項の発明は、請求項1〜の何れか1項の発明において、前記プレス成形前の鋼板が、その表面に亜鉛を主体とする金属被膜を有することを特徴としている
請求項1の発明によれば、成形条件の調整によって、塗装性不良を招くことなく、硬質のマルテンサイト相をオーステナイト化した状態でプレス成形を開始することができるため、成形時の加工性を向上することができ、マルテンサイトが析出するような冷却速度にて冷却するため、成形後において組織中に5%以上のフェライト相と50%以上のマルテンサイト相を形成することができる。
これにより、成形前に存在するマルテンサイト相を成形後においてフェライト相に相変化させないため、プレス成形品の強度低下を防止し、大荷重強度や衝撃性の確保を図ることができる。
また、プレス成形品の引張強度を増加でき、大荷重強度や衝撃性を一層向上することができる。
請求項2の発明によれば、引張強度、引張破断伸び及び成形性を向上できる。
請求項3の発明によれば、プレス成形後の加工性低下及び強度低下を抑制できる。
請求項の発明によれば、引張強度が590MPa以上のプレス成形品を得ることができる。
請求項の発明によれば、塗装性不良を生じることなく、亜鉛を主体とする金属被膜が施されたプレス成形品を得ることができる
本発明のプレス加工方法に係る鋼板温度と成形時間との成形条件の一例を示すグラフである。 鋼板を熱間プレスするためのプレス機の概略図である。 未加熱鋼板(鋼板A)の組織を示す図である。 700℃まで加熱した鋼板(鋼板E)の冷却後の組織を示す図である。 800℃まで加熱した鋼板(鋼板F)の冷却後の組織を示す図である。 900℃まで加熱した鋼板(鋼板G)の冷却後の組織を示す図である。 鋼板の加熱温度と引張最大強度との相関関係を示す検証結果のグラフである。 鋼板の加熱温度と組織の面積率との相関関係を示す検証結果のグラフである。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の鋼板は、下記成分組成を含み、ミクロ組織がフェライト相とマルテンサイト相の2相組織によって構成された一般的なDP(Dual Phase)鋼である。
まず、本発明において、鋼板の成分組成の限定範囲について説明する。尚、成分組成に関する%表示は、特に断りがない限り質量%を意味する。
C:0.06〜0.17%
Cは、オーステナイト化を安定させる元素であり、鋼板強度の向上に必要な元素である。C量が0.06%未満では所望の強度確保が難しく、0.17%を超えるとフェライト相が減少して加工性が低下する。これらの観点から、C量を0.06〜0.17%の範囲とする。
Si:0.2〜1.35%
Siは、Cと同様に、鋼板強度の向上に必要な元素であり、鋼板の延性確保に必要な元素である。Si量が0.2%未満では強度と延性のバランス改善やフェライト相の硬度確保が難しく、1.35%を超えると前記効果が飽和し、脆化や化成処理の阻害を引き起こす。これにより、Si量を0.2〜1.35%の範囲とする。
Mn:1.25〜3.1%
Mnは、鋼板強度の向上に有効な元素である。また、Ac3変態点を低下させると共にオーステナイト化を安定させ、第2層の分率調整に必要な元素である。Mn量が1.25%未満では鋼板の強度と延性の確保が難しく、3.1%を超えると焼入れ性が高まるため、マルテンサイト相が増加し延性が低下する。従って、Mn量を1.25〜3.1%の範囲とする。
P:0.009〜0.025%
Pは、鋼板の強化に有効な元素である。P量が0.025%を超えると、粒界偏析により脆化し、耐衝撃性を劣化させる。P量を0.009%未満にするには、製造コストが増加する。従って、P量を0.009〜0.025%の範囲とする。
S:0.002〜0.012%
Sは、MnSを生成して、耐衝撃性を劣化させるため、S量を極力低減することが好ましい。S量は0.012%までは許容され、0.002%未満にするには、製造コストが増加する。従って、S量を0.002〜0.012%の範囲とする。
本発明の鋼板において、前記以外の成分は、Fe及び不可避的に混入する不純物である。
この鋼板表面には、亜鉛を主体とした溶融亜鉛めっき処理又は亜鉛めっきの合金化処理が施されている。
尚、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、前記以外の成分の含有を拒むものではない。
次に、本発明のプレス成形方法について説明する。
図1,図2に示すように、本発明の熱間プレス成形の成形条件は、前記成分組成に調整されたDP鋼板1を加熱装置、例えば加熱炉や通電加熱装置等を用いてAc1変態点以上Ac3変態点未満の温度域まで加熱し、この温度域において予め設定された設定時間保持後、プレス機2の固定金型3上に載置し、可動金型4を下降移動させて前記温度域の状態で型閉めを開始し、マルテンサイトが析出するような冷却速度にて冷却しながらプレス成形を行い、マルテンサイト変態開始温度(MS点)以下の温度域で可動金型4を上昇移動させて型開きを行なう。その後、プレス成形品5を固定金型3から取り出す。
加熱最高温度をAc1変態点以上Ac3変態点未満としたのは、加熱温度がAc1変態点よりも低い場合、加熱前の組織中のマルテンサイト相がオーステナイト相に相変化しないため、プレス成形前の鋼板の軟化が十分ではなく加工性向上を図ることができない。また、加熱温度がAc3変態点以上の場合、組織全体がオーステナイト単相に相変化されるものの、鋼板表面の金属被膜が溶融・気化することにより塗装性不良を生じ、加熱時間やコストの面で生産性が低下する。
前記Ac1変態点以上Ac3変態点未満の温度域において、鋼板を設定時間、例えば0.1〜6000秒間保持している。
保持時間が0.1秒よりも短い場合、加熱前の組織中のマルテンサイト相やフェライト相がオーステナイト相に十分に相変化しないため、加工(プレス)時における鋼板の軟化が不足し加工性向上を図ることができない。また、保持時間が6000秒よりも長い場合、鋼板表面の金属被膜が溶融・気化することによる塗装性不良を生じ、加熱時間やコストの面で生産性が低下する。加工性の観点から、5秒以上の保持時間が好ましい。
プレス加工中は、マルテンサイトを析出する冷却速度、例えば5〜200℃/secの冷却速度で鋼板を冷却する。冷却速度を5〜200℃/secとしたのは、冷却速度が5℃/secよりも遅い場合、加熱によってマルテンサイトから相変化したオーステナイト相が焼入れ(プレス成形)後、パーライト相に相変化し、成形品の強度が低下する。また、冷却速度が200℃/secよりも速い場合、フェライト相が5%未満になり、後工程における加工性が低下し、冷却水制御等に関わるコストの面で生産性が低下する。尚、プレス成形中、DP鋼板1が成形金型3,4との接触により前記冷却速度の範囲内に維持される場合、自然放冷で良く、プレス機2が備えている冷却水制御機構(図示略)を用いてDP鋼板1の冷却速度を前記温度範囲に適合するように温度制御しても良い。
Ac1変態点以上Ac3変態点未満の温度域(例えば800℃近傍)でプレス成形を開始し、MS点以下の温度域(例えば300℃近傍)でプレス成形を終了している。
これにより、硬質のマルテンサイト相が軟質のオーステナイト相に相変化している期間内においてプレス成形が開始され(型閉開始)、前記温度域の間型閉じ状態を維持し、オーステナイト相がマルテンサイト相へ相変化を開始する期間においてプレス成形を終えるため(型開開始)、成形前の鋼板の強度や成形後のプレス成形品の強度に拘わらず、スプリングバックの発生を抑えた高い加工性を確保でき、複相組織からなるDP鋼であっても複雑な形状をプレス加工することができる。プレス成形終了後、例えば200℃近傍でプレス成形品5を成形金型3,4から取り出している。
次に、実施例で本発明をより詳細に説明する。
表1に示すように、2種類の590MPa級以上(980MPa,792MPa)のDP鋼(JSC980Y,JAC780Y−45/45(JFS))を素材として鋼板A〜鋼板Tを準備した。これら鋼板A〜Tを、加熱炉又は通電加熱装置により夫々の目標加熱温度まで加熱し、熱間プレス成形状態を模擬的に再現するように、目標加熱温度からマルテンサイトを析出する冷却速度で冷却を開始(プレス成形開始に相当)し、MS点以下の温度域で冷却を終了(プレス成形終了に相当)した。これら冷却終了後の鋼板A〜Tについて、引張試験と面積率評価と成形性評価とを行った。
尚、鋼板N〜Tの表面には、防錆用の合金化溶融亜鉛めっき処理を施している。
炉加熱は、炉内雰囲気温度が目標加熱温度よりも高い目標設定温度になったとき、鋼板A〜G,鋼板N〜Tを投入して加熱速度1.5℃/sで加熱する。鋼板A〜G,鋼板N〜Tが各目標加熱温度まで加熱された時点で炉から取り出し、冷却速度6℃/sで冷却する。
通電加熱は、鋼板H〜Mが加熱速度150℃/sで目標加熱温度になるように電流量と通電時間を調整し、鋼板H〜Mが各目標加熱温度まで加熱された時点で通電加熱装置から取り外し、冷却速度6℃/sで冷却する。
引張試験は、鋼板A〜TによりJIS5号試験片を作成し、JIS規格に準拠して行った。鋼板A〜Tの引張強度(MPa)と引張破断伸び(%)を測定した。
面積率評価は、鋼板A,E〜Gの3000倍程度の断面組織の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を3視野以上撮影し、各視野中で観察されたフェライト相、マルテンサイト相、パーライト相の夫々の面積を画像解析により測定し、測定値の積算後、測定視野面積で除算した。
成形性の評価は、590MPa級高強度鋼板の冷間プレスにおける成形性と比較し、同等の成形性の場合、良好と判定した。
図5に示す鋼板F(発明例)は、フェライトF(8.7%)とマルテンサイトM(91.3%)の2相組織であり、図3に示す鋼板A(未加熱)のマルテンサイトM(88.2%)の面積率と同等以上のマルテンサイトMの面積率を有している。尚、図4,図6に示すように、鋼板E,Gは、何れもがフェライトFとパーライトPの2相組織に相変化しており、鋼板A,Fに比べて引張強度が低下している。
表1から明らかなように、本発明の成形条件を満足する鋼板F,L,Sは、引張強度、引張破断伸び及び成形性の何れもが良好であった。
鋼板Sは、鋼板Nに比べて引張強度が若干劣るものの、引張破断伸び及び成形性が良好であり、プレス成形品としての大荷重強度や衝撃性は満足できるものであった。しかも、鋼板Sでは、鋼板Tに比べて溶融亜鉛めっきの溶融や気化の発生が見られなかった。
次に、実施例1に係る鋼板のプレス成形方法の作用・効果について説明する。
この鋼板のプレス成形方法によれば、成形条件の調整によって、塗装性不良を招くことなく、硬質のマルテンサイト相をオーステナイト化した状態でプレス加工することができるため、成形時の加工性を向上することができ、マルテンサイトが析出するような冷却速度にて冷却するため、成形後において組織中にマルテンサイト相を形成することができる。これにより、成形前に存在するマルテンサイト相を成形後においてフェライト相に相変化させないため、プレス成形品5の強度低下を防止し、大荷重強度や衝撃性の確保を図ることができる。
プレス成形後の鋼板の組成が、面積率で5%以上のフェライト相と50%以上のマルテンサイト相を有しているため、プレス成形品5の引張強度を増加でき、大荷重強度や衝撃性を一層向上することができる。
プレス成形前の鋼板1の引張強度が、590MPa以上であるため、引張強度が590MPa以上のプレス成形品5を得ることができる。
プレス成形前の鋼板1が、その表面に亜鉛を主体とする金属被膜を有するため、化成処理不良を生じることなく、亜鉛を主体とする金属被膜が施されたプレス成形品5を得ることができる。
当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
本発明は、複相組織を有する高強度鋼板を熱間プレス成形によって加工する鋼板のプレス成形方法において、マルテンサイト相がオーステナイト相に相変化している期間にプレス成形を行い、オーステナイト相がマルテンサイト相へ相変化を開始する時点でプレス成形を終えることにより、成形条件の調整によって、塗装性不良を招くことなく、複相組織を有する高強度鋼板の強度低下防止と加工性向上とを図ることができる。
1 鋼板
2 プレス機
5 プレス成形品

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.06〜0.17%、Si:0.2〜1.35%、Mn:1.25〜3.1%、P:0.009〜0.025%、S:0.002〜0.012%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物であって、ミクロ組織がフェライト相とマルテンサイト相の複相組織からなる鋼板を、
    Ac1変態点以上Ac3変態点未満の温度域まで加熱し且つこの温度域に予め設定された設定時間保持後、
    プレス成形を前記温度域で開始し、マルテンサイトが析出するような冷却速度にて冷却しながらプレス成形を行い且つマルテンサイト変態開始温度以下の温度域で型開きを行いプレス成形を終了し、
    前記プレス成形後の鋼板の組成が、面積率で5%以上のフェライト相と50%以上のマルテンサイト相を有することを特徴とする鋼板のプレス成形方法。
  2. 前記プレス成形後の鋼板の組成が、面積率で8.7%のフェライト相と91.3%のマルテンサイト相を有することを特徴とする請求項1に記載の鋼板のプレス成形方法。
  3. 前記冷却速度が、6℃/sであることを特徴とする請求項に記載の鋼板のプレス成形方法。
  4. 前記プレス成形前の鋼板の引張強度が、590MPa以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の鋼板のプレス成形方法。
  5. 前記プレス成形前の鋼板が、その表面に亜鉛を主体とする金属被膜を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の鋼板のプレス成形方法
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