JP5935332B2 - 物理量センサー、物理量センサーの製造方法および電子機器 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に記載の物理量センサー素子は、基板と、基板に固定された一対の支柱部材と、可動電極を備え基板に対して変位可能な重錘体と、重錘体と各支柱部材とを連結する一対の梁部材と、基板に固定された固定電極とを有している。基板は、ガラス基板で構成されており、支柱部材、重錘体、梁部材および固定電極は、単一のシリコン基板をエッチングすることにより構成されている。
しかしながら、シリコン材料で構成された各固定電極や支柱部材は、電気抵抗が比較的高く、配線と各固定電極(可動電極についても同様)とが高い抵抗を持って電気的に接続される。したがって、物理量センサーの特性の安定化を図ることができないという問題がある。
本発明の物理量センサーは、ベース基板と、
前記ベース基板の上方に支持され、且つ、可動電極部を備えた可動構造体と、を備え、
前記ベース基板上には、
前記可動電極部に対向して配置された固定電極部と、
前記固定電極部に電気的に接続された第1配線と、
前記可動構造体に電気的に接続された第2配線と、が設けられ、
前記可動構造体および前記固定電極部は、前記ベース基板との接合面に不純物が拡散された不純物拡散部が設けられ、前記不純物拡散部を介して前記第1配線および前記第2配線に接続されていることを特徴とする。
これにより、第1配線と固定電極部および第2配線と可動構造体が、それぞれ、低い電気抵抗で電気的に接続されるため、安定したデバイス特性を発揮することのできる物理量センサーが得られる。
これにより、不純物拡散部の選択的な形成が不要となり、不純物拡散部の形成が容易となる。
本発明の物理量センサーでは、前記不純物拡散部は、前記可動構造体および前記固定電極部の前記ベース基板と反対側の面の全域に設けられていることが好ましい。
これにより、固定電極部および可動構造体の撓みを抑制することができる。
これにより、不純物拡散部の総面積を抑えることができる。また、固定電極部および可動構造体の撓みを抑制することができる。
これにより、不純物拡散部の総面積を抑えることができる。また、固定電極部および可動構造体の撓みを抑制することができる。
これにより、例えば、単一の部材をエッチング等によりパターニングすることで、簡単に、固定電極部および可動構造体を形成することができる。
本発明の物理量センサーでは、前記可動構造体および前記固定電極部は、半導体材料で構成され、
前記不純物拡散部に拡散された不純物は、ボロン、リンの少なくとも1つであることが好ましい。
これにより、電気抵抗の低い不純物拡散部を簡単に形成することができる。
前記固定電極部および前記可動構造体は、前記ベース基板に対して陽極接合法により接合されていることが好ましい。
これにより、固定電極部の撓みを効果的に抑制することができる。
本発明の物理量センサーでは、前記固定電極部は、前記ベース基板と対向する面の全域が前記ベース基板に支持されていることが好ましい。
これにより、固定電極部および可動構造体とベース基板とを強固に接合することができる。
前記不純物拡散部を前記第1配線および前記第2配線に接触させて、前記第1基板の前記主面に第2基板を接合する接合工程と、
前記第2基板をエッチングすることにより、可動電極部を備えた可動構造体および前記可動電極部に対向して配置された固定電極部を形成するエッチング工程と、を含むことを特徴とする。
これにより、安定したデバイス特性を発揮することのできる物理量センサーを簡単に製造することができる。
本発明の電子機器は、本発明の物理量センサーを備えたことを特徴とする。
これにより、信頼性に優れる電子機器が得られる。
また、本発明の物理量センサーは、ベース基板と、前記ベース基板の上方に支持され、且つ、可動電極部を備えた可動構造体と、を備え、前記ベース基板上には、前記可動電極部に対向して配置された固定電極部と、前記固定電極部に電気的に接続された第1配線と、前記可動構造体に電気的に接続された第2配線と、が設けられ、前記可動構造体および前記固定電極部は、前記ベース基板との接合面に不純物が拡散された不純物拡散部が設けられ、前記不純物拡散部を介して前記第1配線および前記第2配線に接続され、前記不純物拡散部は、前記可動構造体および前記固定電極部の前記ベース基板と対向する面のうち、平面視で前記ベース基板と重なり合う領域に設けられていることを特徴とする。
また、本発明の物理量センサーは、ベース基板と、前記ベース基板の上方に支持され、且つ、可動電極部を備えた可動構造体と、を備え、前記ベース基板上には、前記可動電極部に対向して配置された固定電極部と、前記固定電極部に電気的に接続された第1配線と、前記可動構造体に電気的に接続された第2配線と、が設けられ、前記可動構造体および前記固定電極部は、前記ベース基板との接合面に不純物が拡散された不純物拡散部が設けられ、前記不純物拡散部を介して前記第1配線および前記第2配線に接続され、前記不純物拡散部は、前記固定電極部と前記第1配線との接点部分、および前記可動構造体と前記第2配線との接点部分に設けられていることを特徴とする。
また、本発明の物理量センサーは、ベース基板と、前記ベース基板の上方に支持され、且つ、可動電極部を備えた可動構造体と、を備え、前記ベース基板上には、前記可動電極部に対向して配置された固定電極部と、前記固定電極部に電気的に接続された第1配線と、前記可動構造体に電気的に接続された第2配線と、が設けられ、前記可動構造体および前記固定電極部は、前記ベース基板との接合面に不純物が拡散された不純物拡散部が設けられ、前記不純物拡散部を介して前記第1配線および前記第2配線に接続されており、前記ベース基板はアルカリ金属イオンを含む材料で構成され、前記固定電極部および前記可動構造体は、前記ベース基板に対して直接的に接合されていることを特徴とする。
また、本発明の物理量センサーは、ベース基板と、前記ベース基板の上方に支持され、且つ、可動電極部を備えた可動構造体と、を備え、前記ベース基板上には、前記可動電極部に対向して配置された固定電極部と、前記固定電極部に電気的に接続された第1配線と、前記可動構造体に電気的に接続された第2配線と、が設けられ、前記可動構造体および前記固定電極部は、前記ベース基板との接合面に不純物が拡散された不純物拡散部が設けられ、前記不純物拡散部を介して前記第1配線および前記第2配線に接続されており、前記固定電極部は、前記ベース基板と対向する面の全域が前記ベース基板に支持されていることを特徴とする。
<第1実施形態>
まず、本発明の物理量センサーの第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る物理量センサーを示す斜視図、図2は、図1に示す物理量センサーを示す平面図、図3は、図2中のA−A線断面図、図4は、図3の部分拡大図(部分拡大断面図)、図5は、図2中のB−B線断面図、図6は、図5の部分拡大図(部分拡大断面図)である。
図1および図2に示す物理量センサー1は、絶縁基板であるベース基板2と、このベース基板2に接合・支持された素子片(基体)3と、素子片3に電気的に接続された導体パターン4と、素子片3を覆うように設けられた蓋部材5とを有する。以下、物理量センサー1を構成する各部を順次詳細に説明する。
ベース基板2は、素子片3を支持する機能を有する。このベース基板2は、板状をなし、その上面(一方の面)には、空洞部21が設けられている。この空洞部21は、ベース基板2を平面視したときに、後述する素子片3の可動部33、可動電極部36、37および連結部34、35を包含するように形成されていて、内底を有する。このような空洞部21は、素子片3の可動部33、可動電極部36、37および連結部34、35がベース基板2に接触するのを防止する逃げ部を構成する。これにより、素子片3の可動部33の変位を許容することができる。
なお、この逃げ部は、空洞部21(凹部)に代えて、ベース基板2をその厚さ方向に貫通する開口部であってもよい。また、本実施形態では、空洞部21の平面視形状は、四角形(具体的には長方形)をなしているが、これに限定されるものではない。
このように凹部22、23、24の一部の深さを深くすることにより、後述する物理量センサー1の製造時において、素子片3を形成する前の基板103を基板102Aに接合したとき、その基板103が電極44、45、46と接合してしまうのを防止することができる。
素子片3は、可動構造体3’と、固定電極部38、39とで構成されている。また、可動構造体3’は、一対の固定部31、32と、可動電極部36、37を備える可動部33と、固定部31、32と可動部33とを連結する一対の連結部34、35とにより構成されている。これら固定部31、32、可動部33、可動電極部36、37および連結部34、35は、一体的に形成されている。
このような2つの固定部31、32の間には、可動部33が設けられている。本実施形態では、可動部33は、X軸方向に延びる長手形状をなしている。なお、可動部33の形状は、素子片3を構成する各部の形状、大きさ等に応じて決められるものであり、上述したものに限定されない。
具体的に説明すると、連結部34は、2つの梁341、342で構成されている。そして、梁341、342は、それぞれ、Y軸方向に蛇行しながらX軸方向に延びる形状をなしている。言い換えると、梁341、342は、それぞれ、Y軸方向に複数回(本実施形態では3回)折り返された形状をなしている。なお、各梁341、342の折り返し回数は、1回または2回であってもよいし、4回以上であってもよい。
なお、連結部34、35は、可動部33をベース基板2に対して変位可能に支持するものであれば、上述したものに限定されず、例えば、可動部33の両端部から+Y方向および−Y方向にそれぞれ延出する1対の梁で構成されていてもよい。
可動電極部36は、可動部33から+Y方向に突出し、櫛歯状をなすように並ぶ複数の可動電極指361〜365を備えている。この可動電極指361、362、363、364、365は、−X方向側から+X方向側へ、この順に並んでいる。同様に、可動電極部37は、可動部33から−Y方向に突出し、櫛歯状をなすように並ぶ複数の可動電極指371〜375を備える。この可動電極指371、372、373、374、375は、−X方向側から+X方向側へ、この順に並んでいる。
このような可動電極部36は、固定電極部38に対して間隔を隔てて対向する。また、可動電極部37は、固定電極部39に対して間隔を隔てて対向する。
これにより、固定部31、32、可動部33、連結部34、35、複数の固定電極指381〜388、391〜398および複数の可動電極指361〜365、371〜375の厚さを厚くすることができる。また、これらの厚さを簡単かつ高精度に揃えることができる。このようなことから、物理量センサー1の高感度化を図ることができるとともに、物理量センサー1の耐衝撃性を向上させることができる。
すなわち、固定部31、32、可動部33、連結部34、35、複数の固定電極指381〜388、391〜398および複数の可動電極指361〜365、371〜375は、それぞれ、シリコンを主材料として構成されているのが好ましい。
例えば、素子片3をシリコン材料で構成した場合などは、不純物拡散部30は、素子片3の下面に、ボロン、リン等の不純物を拡散することにより形成することができる。このような不純物拡散部30を形成することにより、素子片3の導電性を向上させることができる。特に、不純物として、上述したようなボロン、リン等を用いることにより、不純物拡散部30を簡単に形成することができるとともに、素子片3の導電性を効果的に向上させることができる。なお、不純物拡散部30の形成方法、すなわち素子片3への不純物の拡散方法としては、特に限定されず、例えば、熱拡散法、イオン注入法などを用いることができる。
また、不純物の素子片3への拡散量(ドープ量)としては、特に限定されないが、1.0×1020atoms/cc以上であるのが好ましい。これにより、不純物拡散部30の電気抵抗をより小さくすることができる。
また、本実施形態では、前述したように、素子片3の下面全域に不純物拡散部30が形成されている。これにより、不純物拡散部30を選択的に形成する必要がないため、不純物拡散部30の形成が容易となる。
導体パターン4は、前述したベース基板2の上面上に設けられている。この導体パターン4は、図2に示すように、配線41、42、43と、電極44、45、46とで構成されている。
配線(第1の配線)41は、前述したベース基板2の空洞部21の外側に設けられ、空洞部21の外周に沿うように形成されている。そして、配線41の一端部は、ベース基板2の上面の外周部上において、電極44に接続されている。
このような配線42は、素子片3の第2固定電極指である各固定電極指381、383、385、387および各固定電極指391、393、395、397に電気的に接続されている。なお、前述したように、各固定電極指381、383、385、387、391、393、395、397の下面には不純物拡散部30が形成されているため、これら各固定電極指381、383、385、387、391、393、395、397と配線42とは、低い電気抵抗で電気的に接続される。
このような配線43は、素子片3の固定部31に電気的に接続されている。なお、前述したように、固定部31の下面には不純物拡散部30が形成されているため、固定部31と配線43とは、低い電気抵抗で電気的に接続される。
また、電極44〜46の構成材料としては、それぞれ、前述した配線41〜43と同様、導電性を有するものであれば、特に限定されず、各種電極材料を用いることができる。本実施形態では、電極44〜46の構成材料として、後述する突起471、472、481、482の構成材料と同じものが用いられている。
また、このような配線41、42は、ベース基板2の上面上に設けられているので、固定電極部38、39に対する電気的接続およびその位置決めが容易である。そのため、物理量センサー1の信頼性(特に、耐衝撃性および検出精度)を向上させることができる。
特に、配線41上には、導電性を有する複数の突起481および複数の突起482が設けられている。複数の突起481は、固定電極指382、384、386、388に対応して設けられ、複数の突起482は、固定電極指392、394、396、398に対応して設けられている。そして、突起481を介して固定電極指382、384、386、388と配線41とが電気的に接続されるとともに、突起482を介して固定電極指392、394、396、398と配線41とが電気的に接続されている。これにより、配線41と他の部位との不本意な電気的接続(短絡)を防止しつつ、各固定電極指382、384、386、388、392、394、396、398と配線41との電気的接続を行うことができる。
同様に、配線43上には、導電性を有する突起50が設けられている。突起50は、固定部31に対応して設けられている。そして、突起50を介して固定部31と配線43とが電気的に接続されている。これにより、配線43と他の部位との不本意な電気的接続を防止しつつ、固定部31と配線43との電気的接続を行うことができる。
また、配線41〜43上には、絶縁膜9が設けられている。そして、前述した各突起471、472、481、482、50上の絶縁膜9は形成せずに突起の表面が露出している。この絶縁膜9は、導体パターン4と素子片3との不本意な電気的接続を防止する機能を有する。
蓋部材5は、前述した素子片3を保護する機能を有する。
この蓋部材5は、板状をなし、その一方の面(下面)に凹部51が設けられている。この凹部51は、素子片3の可動部33および可動電極部36、37等の変位を許容するように形成されている。
そして、蓋部材5の下面の凹部51よりも外側の部分は、前述したベース基板2の上面に接合されている。本実施形態では、前述した絶縁膜9を介してベース基板2と蓋部材5とが接合されている。
また、蓋部材5の構成材料としては、前述したような機能を発揮し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、シリコン材料、ガラス材料等を好適に用いることができる。
次に、本発明の物理量センサーの製造方法を説明する。なお、以下では、前述した物理量センサー1を製造する場合の一例を説明する。
図7〜図9は、それぞれ、図1に示す物理量センサー1の製造方法を説明するための断面図である。なお、図7〜図9は、それぞれ、図2中のB−B線断面に対応する断面を示す。また、以下では、ベース基板2がアルカリ金属イオンを含むガラス材料で構成され、かつ、素子片3がシリコンで構成されている場合を例に説明する。
[1−1]ベース基板製造工程
まず、図7(a)に示すように、第1基板である基板102を用意する。この基板102は、後述する工程を経てベース基板2となるものである。また、基板102は、アルカリ金属を含むガラス材料で構成されている。
空洞部21と凹部22〜24の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、プラズマエッチング、ビームエッチング、等の物理的エッチング法、リアクティブイオンエッチング、光アシストエッチング、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、以下の各工程におけるエッチングにおいても、同様の方法を用いることができる。
なお、マスクとして、例えば、グレースケールマスクを用いることにより、空洞部21と凹部22〜24(深さの異なる複数の凹部)を一括形成してもよい。
次に、図7(c)に示すように、基板102Aの上面上に、導体パターン4を形成する。その後、図7(c)では図示しないが、絶縁膜を形成する。ここで、絶縁膜は、後述する個片化を経て絶縁膜9となるものである。
まず、図7(d)に示すように、第2基板である基板103を用意する。この基板103は、後述するような薄肉化、パターンニングおよび個片化を経て素子片3となるものである。また、基板103は、シリコン基板である。また、基板103の厚さは、素子片3の厚さよりも厚くなっている。これにより、基板103の取り扱い性を向上させることができる。なお、基板103の厚さが素子片3の厚さと同じであってもよい。この場合、後述する薄肉化の工程を省略すればよい。
次に、図7(e)に示すように、基板103の下面(一方の面)の全域に、ボロン(不純物)を拡散させ、基板103の下面側に不純物拡散部30を形成する。ボロンの拡散方法としては、熱拡散法、イオン注入法等が挙げられるが、熱拡散法を用いるのが好ましい。これにより、簡単に、不純物拡散部30を形成することができる。
まず、図8(a)に示すように、前述した工程[1−1]によって得られた導体パターン4および絶縁膜9が形成された基板102Aの上面に、工程[1−2]で得られた基板103を、不純物拡散部30が基板102A側に位置するように載置する。次に、基板103を基板102Aに陽極接合法により接合する。これにより、基板103と各突起471、472、50とが接続される。
次に、基板103をその上面側から薄肉化して、図8(b)に示すように、基板103Aを得る。この薄肉化は、基板103Aの厚さが素子片3の厚さと同じになるように行われる。また、基板103の薄肉化方法は、特に限定されないが、例えば、CMP法、ドライポリッシュ法を好適に用いることができる。
次に、基板103Aをエッチングすることにより、図8(c)に示すように、素子片3を得る。エッチング方法としては、特に限定されず、前述したような各種エッチングを用いることができる。
[4]蓋部配設工程
次に、図9(a)に示すように、基板102Aの上面に、凹部51を有する蓋部材105を接合する。これにより、基板102Aと蓋部材105とが素子片3を収納するようにして接合された接合体101が得られる。この蓋部材105は、後述する個片化を経て蓋部材5となるものである。
次に、接合体101を個片化(ダイシング)することにより、図9(b)に示すように、物理量センサー1が得られる。
以上説明した第1実施形態に係る物理量センサー1の製造方法によれば、簡単に不純物拡散部30を有する素子片3を形成することができ、そのため、物理量センサー1の製造の容易化を図ることができる。
次に、本発明の物理量センサーの第2実施形態について説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係る物理量センサーを示す断面図、図11は、図10に示す物理量センサーの製造方法を説明するための断面図である。なお、図10、図11は、図2中のA−A線断面に対応する断面を示す。
なお、以下の説明では、第2実施形態の物理量センサーに関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図10では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
本実施形態の物理量センサー1Aでは、素子片3の下面全域に加えて、上面の全域にも不純物拡散部30が形成されている。ここで、第1実施形態のように、素子片3の下面のみに不純物拡散部30を形成した場合、不純物拡散部30に引っ張り応力が発生し、素子片3にZ方向の撓みが発生する場合がある。そこで、本実施形態のように、素子片3の下面および上面の両面に不純物拡散部30を形成することにより、下面側の不純物拡散部30に発生する引っ張り応力と、上面側の不純物拡散部30に発生する引っ張り応力とを相殺することができ、素子片3の撓みを効果的に防止することができる。その結果、可動電極部36、37と、固定電極部38、39との重なり合いのズレがなくなり、所望の特性を発揮することのできる物理量センサー1Aとなる。
次に、物理量センサー1Aの製造方法について説明する。本実施形態の製造方法は、[2]接合工程が異なる以外は、前述した第1実施形態の製造方法と同様である。そのため、以下では、接合工程のみについて、その他の工程については、その説明を省略する。
まず、図11(a)に示すように、導体パターン4および絶縁膜9が形成された基板102Aの上面に、基板103を、不純物拡散部30が基板102A側に位置するように載置する。次に、基板103を基板102Aに陽極接合法により接合する。これにより、基板103と各突起471、472、50とが接続される。
次に、基板103Aの上面の全域に、ボロン(不純物)を拡散させ、基板103Aの上面側に不純物拡散部30を形成する。ボロンの拡散方法としては、熱拡散法、イオン注入法等が挙げられるが、イオン注入法を用いるのが好ましい。これにより、簡単に、不純物拡散部30を形成することができる。なお、熱拡散法を用いた場合には、その過程にて基板102Aが熱により溶けたり変形したりする場合があるため、イオン注入法を用いることにより、このような問題の発生を確実に防止することもできる。
以上説明したような第2実施形態に係る物理量センサー1Aによっても、前述した第1実施形態に係る物理量センサー1と同様の効果を発揮することができる。
次に、本発明の物理量センサーの第3実施形態について説明する。
図12および図13は、本発明の第3実施形態に係る物理量センサーを示す断面図、図14は、図12に示す物理量センサーの製造方法を説明するための断面図である。なお、図12、図14は、図2中のA−A線断面に対応する断面を示し、図13は、図2中のB−B線断面に対応する断面を示す。
なお、以下の説明では、第3実施形態の物理量センサーに関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図12、図13では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図12および図13に示すように、本実施形態の物理量センサー1Bでは、素子片3の下面のうち、ベース基板2と重なり合っている領域に、不純物拡散部30が形成されている。具体的には、各固定電極指381〜388、391〜398の基端部の下面と、固定部31の下面とに、不純物拡散部30が形成されている。
次に、物理量センサー1Bの製造方法について説明する。本実施形態の製造方法は、[1−2]第2基板準備工程が異なる以外は、前述した第1実施形態の製造方法と同様である。そのため、以下では、第2基板準備工程のみについて、その他の工程については、その説明を省略する。
まず、図14(a)に示すように、第2基板である基板103を用意する。この基板103は、後述するような薄肉化、パターンニングおよび個片化を経て素子片3となるものである。基板103の厚さは、素子片3の厚さよりも厚くなっている。
以上説明したような第3実施形態に係る物理量センサー1Bによっても、前述した第1実施形態に係る物理量センサー1と同様の効果を発揮することができる。
次に、本発明の物理量センサーの第4実施形態について説明する。
図15および図16は、それぞれ、本発明の第4実施形態に係る物理量センサーを示す断面図である。なお、図15は、図4に対応する断面を示し、図16は、図6に対応する断面を示す。
なお、以下の説明では、第4実施形態の物理量センサーに関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図15では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図15および図16に示すように、本実施形態の物理量センサー1Cでは、素子片3の下面のうち、各突起471、472、481、482、50と重なり合っている領域(配線41、42、43との接点部分)に、不純物拡散部30が形成されている。具体的には、各固定電極指381〜388、391〜398の基端部の下面の一部と、固定部31の下面の一部とに、不純物拡散部30が形成されている。
以上説明したような第4実施形態に係る物理量センサー1Cによっても、前述した第1実施形態に係る物理量センサー1と同様の効果を発揮することができる。
次に、本発明の物理量センサーの第5実施形態について説明する。
図17および図18は、それぞれ、本発明の第5実施形態に係る物理量センサーを示す断面図である。なお、図17は、図2中のA−A線断面に対応する断面を示し、図18は、図2中のB−B線断面に対応する断面を示す。
なお、以下の説明では、第5実施形態の物理量センサーに関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図17、図18では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図17および図18に示すように、本実施形態の物理量センサー1Dでは、各固定電極指381〜388、391〜398の先端側が自由端となっておらず、その全域がベース基板2Dに支持(接合)されている。すなわち、ベース基板2Dは、空洞部21に突出し、各固定電極指381〜388、391〜398に対応した形状をなす突出部29Dを有し、各突出部29Dとそれに対応する固定電極指とが接合されている。
以上説明したような第5実施形態に係る物理量センサー1Dによっても、前述した第1実施形態に係る物理量センサー1と同様の効果を発揮することができる。
次に、図19に基づいて、本発明の物理量センサーを適用したセンサー装置の一例を説明する。
図19に示すセンサー装置200は、前述した物理量センサー1と、物理量センサー1に電気的に接続された電子部品201とを有する。
電子部品201は、例えば集積回路素子(IC)であり、物理量センサー1を駆動する機能を有する。この電子部品201に角速度検出回路や加速度検出回路を形成することによりセンサー装置200をジャイロセンサーや加速度センサーとして構成することができる。
このようなセンサー装置200は、感度および耐衝撃性の優れた物理量センサー1を備えるので、優れた信頼性を有する。
次に、本発明の電子機器を説明する。
図20は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このようなパーソナルコンピューター1100には、物理量センサー1が内蔵されている。
この図において、携帯電話機1200は、アンテナ(図示せず)、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部が配置されている。
このような携帯電話機1200には、物理量センサー1が内蔵されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリ1308に転送・格納される。
このようなディジタルスチルカメラ1300には、物理量センサー1が内蔵されている。
このような電子機器は、高感および耐衝撃性に優れた物理量センサー1を備えるので、優れた信頼性を有する。
例えば、固定電極部は、櫛歯状をなすように並ぶ複数の固定電極指の少なくとも1つの固定電極指がその他の固定電極指に対してベース基板上で分離していれば、前述した実施形態に限定されない。
また、可動部をY軸方向に変位させるように構成してもよいし、可動部をX軸に平行な軸線まわりに回動させるように構成してもよい。この場合、可動電極指と固定電極指との対向面積の変化による静電容量変化に基づいて物理量を検出すればよい。
Claims (10)
- ベース基板と、
前記ベース基板の上方に支持され、且つ、可動電極部を備えた可動構造体と、を備え、
前記ベース基板上には、
前記可動電極部に対向して配置された固定電極部と、
前記固定電極部に電気的に接続された第1配線と、
前記可動構造体に電気的に接続された第2配線と、が設けられ、
前記可動構造体および前記固定電極部は、前記ベース基板との接合面に不純物が拡散された不純物拡散部が設けられ、前記不純物拡散部を介して前記第1配線および前記第2配線に接続され、
前記不純物拡散部は、前記可動構造体および前記固定電極部の前記ベース基板と対向する面のうち、平面視で前記ベース基板と重なり合う領域に設けられていることを特徴とする物理量センサー。 - ベース基板と、
前記ベース基板の上方に支持され、且つ、可動電極部を備えた可動構造体と、を備え、
前記ベース基板上には、
前記可動電極部に対向して配置された固定電極部と、
前記固定電極部に電気的に接続された第1配線と、
前記可動構造体に電気的に接続された第2配線と、が設けられ、
前記可動構造体および前記固定電極部は、前記ベース基板との接合面に不純物が拡散された不純物拡散部が設けられ、前記不純物拡散部を介して前記第1配線および前記第2配線に接続され、
前記不純物拡散部は、前記固定電極部と前記第1配線との接点部分、および前記可動構造体と前記第2配線との接点部分に設けられていることを特徴とする物理量センサー。 - ベース基板と、
前記ベース基板の上方に支持され、且つ、可動電極部を備えた可動構造体と、を備え、
前記ベース基板上には、
前記可動電極部に対向して配置された固定電極部と、
前記固定電極部に電気的に接続された第1配線と、
前記可動構造体に電気的に接続された第2配線と、が設けられ、
前記可動構造体および前記固定電極部は、前記ベース基板との接合面に不純物が拡散された不純物拡散部が設けられ、前記不純物拡散部を介して前記第1配線および前記第2配線に接続されており、
前記ベース基板はアルカリ金属イオンを含む材料で構成され、
前記固定電極部および前記可動構造体は、前記ベース基板に対して直接的に接合されていることを特徴とする物理量センサー。 - ベース基板と、
前記ベース基板の上方に支持され、且つ、可動電極部を備えた可動構造体と、を備え、
前記ベース基板上には、
前記可動電極部に対向して配置された固定電極部と、
前記固定電極部に電気的に接続された第1配線と、
前記可動構造体に電気的に接続された第2配線と、が設けられ、
前記可動構造体および前記固定電極部は、前記ベース基板との接合面に不純物が拡散された不純物拡散部が設けられ、前記不純物拡散部を介して前記第1配線および前記第2配線に接続されており、
前記固定電極部は、前記ベース基板と対向する面の全域が前記ベース基板に支持されていることを特徴とする物理量センサー。 - 前記不純物拡散部は、前記可動構造体および前記固定電極部の前記ベース基板と対向する面の全域に設けられている請求項1ないし4のいずれか一項に記載の物理量センサー。
- 前記不純物拡散部は、前記可動構造体および前記固定電極部の前記ベース基板と反対側の面の全域に設けられている請求項5に記載の物理量センサー。
- 前記可動構造体および前記固定電極部は、単一の部材から構成されている請求項1ないし6のいずれか一項に記載の物理量センサー。
- 前記可動構造体および前記固定電極部は、半導体材料で構成され、
前記不純物拡散部に拡散された不純物は、ボロン、リンの少なくとも1つである請求項1ないし7のいずれか一項に記載の物理量センサー。 - 第1配線および第2配線が形成された第1基板と、不純物を拡散した不純物拡散部が主面の少なくとも一部に形成された第2基板と、を用意する準備工程と、
前記不純物拡散部を前記第1配線および前記第2配線に接触させて、前記第1基板の前記主面に第2基板を接合する接合工程と、
前記第2基板をエッチングすることにより、可動電極部を備えた可動構造体および前記可動電極部に対向して配置された固定電極部を形成するエッチング工程と、を含むことを特徴とする物理量センサーの製造方法。 - 請求項1ないし8のいずれか一項に記載の物理量センサーを備えたことを特徴とする電子機器。
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