以下、本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2に示すように、プレート式熱交換器1は、積層された複数の伝熱プレート2,…を含む本体部3を備える。また、プレート式熱交換器1は、本体部3を挟む一対のエンドプレート4,5を備える。
本体部3は、図3、図4、図5に示すように、第一流体Aを流通させる第一流路30と、第二流体Bを流通させる第二流路31と、前記第一流路30に連通する一対の第一連通路32,33であって、第一流路30に第一流体Aを流出入させる一対の第一連通路32,33と、第二流路31に連通する一対の第二連通路34,35であって、第二流路31に第二流体Bを流出入させる一対の第二連通路34,35とを有する。
なお、以下の説明において、一対の第一連通路32,33のうちの一方の第一連通路32を「第一流入連通路」とし、一対の第一連通路32,33のうちの他方の第一連通路33を「第一流出連通路」とする。また、一対の第二連通路34,35のうちの一方の第二連通路34を「第二流入連通路」とし、一対の第二連通路34,35のうちの他方の第二連通路35を「第二流出連通路」とする。
上述のように、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれは、互いに積層されている。そのため、第一流路30及び第二流路31は、伝熱プレート2を境にして交互に形成されている。また、第一連通路32,33及び第二連通路34,35のそれぞれは、伝熱プレート2を貫通して該伝熱プレート2の積層方向に延びて形成されている。
そして、プレート式熱交換器1では、第一流路30同士が連通して第一流入連通路32から第一流出連通路33に至るまでの第一流体Aの流路を形成し、第二流路31同士が連通して第二流入連通路34から第二流出連通路35に至るまでの第二流体Bの流路を形成する。
複数の伝熱プレート2,…のそれぞれは、図3及び図4に示すように、金属プレートをプレス成形したもので、第一流路30及び第二流路31を画定する伝熱部20と、伝熱部20と面交差する方向に該伝熱部20の外周から延出した環状の嵌合部21とを備える。
各伝熱プレート2,…の伝熱部20は、平面視長方形状に形成されている。そして、各伝熱プレート2,…において、伝熱部20の表裏には、図示しない複数の凹条及び凸条が交互に形成されている。そして、各伝熱プレート2,…の伝熱部20には、第一流入連通路32、第一流出連通路33、第二流入連通路34、第二流出連通路35を形成するための開口(採番しない)が形成されている。
なお、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、複数種類の伝熱プレート2,…を備えている。より具体的に説明する。プレート式熱交換器1は、第一流入連通路32、第一流出連通路33、第二流入連通路34、第二流出連通路35を形成するための開口に加えて、第一流路30同士のみを接続するための開口(後述する一次分岐路36a、二次分岐路36b、及び一次流通路37a、二次流通路37b、三次流通路37cを形成するための開口)や、第二流路31同士のみを接続するための開口(後述する一次接続路38aや、二次接続路38bを形成するための開口)が形成されている伝熱プレート2,…を備えている。
なお、本実施形態では、各伝熱プレート2に形成される開口の数や、配置、サイズに関する説明は割愛することとする。
本体部3は、複数の伝熱プレート2,…が互いに重ね合わされることで形成される。そのため、本体部3では、隣り合う伝熱プレート2,…の伝熱部20の凸条同士が交差衝合するとともに、隣り合う伝熱プレート2,…の嵌合部21同士が嵌合する。そして、本体部3では、隣り合う伝熱プレート2,…との密接部分がロウ付けによって封止され、本体部3が形成される。
本体部3では、伝熱プレート2,…を境にして、フロンやアンモニア等の相変化する第一流体Aを流通させる第一流路30と、水やブライン等の液状の第二流体Bを流通させる第二流路31とが交互に形成される。
また、本体部3では、複数の伝熱プレート2,…の開口が連なり、第一流入連通路32、第一流出連通路33、第二流入連通路34、及び第二流出連通路35のそれぞれが第一方向に延びて形成される。
第一流入連通路32は、伝熱部20の長手方向(第一方向と直交する方向:以下、第二方向とする)における伝熱プレート2,…の一端側に設けられている。第一流出連通路33は、第二方向における伝熱プレート2,…の他端側に設けられている。
第二流入連通路34は、第二方向における伝熱プレート2,…の他端側に設けられている。第二流出連通路35は、第二方向における伝熱プレート2,…の一端側に設けられている。
なお、図5では、便宜上、第一流入連通路32、第一流出連通路33、第二流入連通路34、第二流出連通路35を第二方向で並ぶように図示しているが、実際には、図3及び図4に示すように、第一流入連通路32と第二流出連通路35とが伝熱部20の短手方向(第一方向及び第二方向と直交する方向:以下、第三方向とする)で並んで設けられ、第一流出連通路33と第二流入連通路34が伝熱部20の第三方向で並んで設けられる。
一対のエンドプレート4,5のそれぞれは、金属プレートをプレス成形したもので、伝熱プレート2,…と略同形に形成される。すなわち、エンドプレート4,5は、伝熱部20と略同形に形成された封止部40,50と、封止部40,50に面交差する方向で該封止部40,50の外周全周から延出した環状の嵌合部41,51とを備える。
一方のエンドプレート(以下、第一エンドプレートとする)4は、隣り合う伝熱プレート2,…に形成された開口であって、第一流入連通路32、第一流出連通路33を形成するための開口と対応する開口(採番しない)を有する。すなわち、第一エンドプレート4は、封止部40の二箇所に開口が設けられている。これに伴い、第一エンドプレート4の封止部40の外面には、配管を接続するための筒状のノズル(採番しない)が各開口に対応した配置で接続されている(図1参照)。
これに対し、他方のエンドプレート(以下、第二エンドプレートとする)5は、隣り合う伝熱プレート2,…に形成された開口であって、第二流入連通路34、及び第二流出連通路35を形成するための開口と対応する開口(採番しない)を有する。すなわち、第二エンドプレート5は、封止部50の二箇所に開口が設けられている。これに伴い、第二エンドプレート5の封止部50の外面には、配管を接続するための筒状のノズル(採番しない)が各開口に対応した配置で接続されている(図2参照)。
そして、第一エンドプレート4及び第二エンドプレート5は、積層された複数の伝熱プレート2,…(本体部3)を挟み込むように、複数の伝熱プレート2,…に重ね合わされる。この状態で、第一エンドプレート4及び第二エンドプレート5のそれぞれの嵌合部21は、隣り合う伝熱プレート2,…の嵌合部21と嵌合する。これに伴い、第一エンドプレート4及び第二エンドプレート5のそれぞれと隣り合う伝熱プレート2,…(本体部3)との密接部分がロウ付けによって封止される。
ここで、第一流入連通路32から第一流出連通路33に至るまでの第一流体Aの流路(流通系統)について具体的に説明する。
図5に示すように、本体部3では、第一方向の途中位置にある所定の第一流路30(第一方向の中央位置にある単一の第一流路30)が第一流体Aの流路の分岐位置となる一次基準流路Raとされている。一次基準流路Raは、第一流入連通路32から第一流出連通路33に至るまでの第一流体Aの流路の始点となっている。
これに伴い、本体部3は、一次基準流路Raと該一次基準流路Raよりも第一方向の一端側にある少なくとも一つの第一流路30とを連通(接続)するとともに、一次基準流路Raと該一次基準流路Raよりも第一方向の他端側にある少なくとも一つの第一流路30とを連通させる少なくとも一対(本実施形態では、一対)の一次分岐路36a,36aを有する。
本体部3では、各第一流路30のうち、一次基準流路Raのみが第一流入連通路32に連通している。すなわち、第一流入連通路32は、一次基準流路Raのみに連通している。これに対し、第一流出連通路33は、一次基準流路Raの数よりも多い複数の第一流路30,…であって、一次基準流路Raを始点として形成される第一流体Aの流路の終端となる複数の第一流路30,…のみに連通している。
一方の一次分岐路30aは、一次基準流路Raと該一次基準流路Raよりも第一方向の一端側にある少なくとも一つの第一流路30とを連通させる。そして、他方の一次分岐路30aは、一次基準流路Raと該一次基準流路Raよりも第一方向の他端側にある少なくとも一つの第一流路30とを連通させる。さらに、一対の一次分岐路36a,36aは、第二方向における伝熱部20の中央部を貫通して設けられる。
本体部3は、二つ以上のブロックB1,B2に区分けされる。本実施形態に係る本体部3では、一次基準流路Raを境にして第一方向における一端側全体が単一のブロック(以下、このブロックを第一大ブロックB1とする)として区画されるとともに、一次基準流路Raを境にして第一方向における他端側全体が単一のブロック(以下、このブロックを第二大ブロックB2とする)として区分けされている。
そして、本体部3では、第一大ブロックB1及び第二大ブロックB2のそれぞれの第一方向の途中位置(本実施形態では、中央位置)にある第一流路30が第一流体Aの流路の分岐位置となる二次基準流路Rbとされている。
これに伴い、第一大ブロックB1及び第二大ブロックB2のそれぞれは、二次基準流路Rbを境にして第一方向における一端側のブロック(以下、第一小ブロックとする)B1a,B2aと、二次基準流路Rbを境にして第一方向における他端側のブロック(以下、第二小ブロックとする)B1b,B2bとに区画されている。
一対の一次分岐路36a,36aは、二次基準流路Rbに連通している。より具体的に説明する。一方の一次分岐路36aは、第一大ブロックB1における第一小ブロックB1bを貫通し、該第一大ブロックB1の二次基準流路Rbに連通している。他方の一次分岐路36aは、第二大ブロックB2における第二小ブロックB2aを貫通し、該第二大ブロックB2の二次基準流路Rbに連通している。
さらに、本体部3は、二次基準流路Rbと、該二次基準流路Rbよりも第一方向の一端側及び他端側のそれぞれにある少なくとも一つの第一流路30とを連通させる(接続する)少なくとも一対(本実施形態では、一対)の二次分岐路36b,36bを有する。本実施形態において、一対の二次分岐路36b,36bのそれぞれは、二次基準流路Rbと、二次基準流路Rbと隣り合う第一流路30とを連通させている。
すなわち、一方の二次分岐路36bは、第一大ブロックB1の二次基準流路Rbと、第一小ブロックB1a,B2aにおける第一流路30であって、該二次基準流路Rbに対して伝熱プレート2を介して隣接する第一流路30とを連通させる。そして、他方の二次分岐路36bは、第二大ブロックB2の二次基準流路Rbと、第二小ブロックB2a,B2bにおける第一流路30であって、該二次基準流路Rbに対して伝熱プレート2を介して隣接する第一流路30とを連通させる。
さらに、本体部3は、第一小ブロックB1a,B1b及び第二小ブロックB2a,B2bのそれぞれにおいて、隣り合う第一流路30同士を連通させる流通路37a,37b,37cを有する。
第一小ブロックB1a及び第二小ブロックB2aにある流通路37a(以下、一次流通路37aとする)は、二次分岐路36bと連通する単一の第一流路30と、該第一流路30に対して二次基準流路Rb側とは反対側で隣り合う単一の第一流路30とを連通させる
。
そして、第一小ブロックB1b及び第二小ブロックB2bにある流通路37a(以下、一次流通路37aとする)は、二次分岐路36bと連通する単一の第一流路30と、該第一流路30に対して二次基準流路Rb側とは反対側で隣り合う単一の第一流路30とを連通させる。
第一小ブロックB1a及び第二小ブロックB2aにある流通路37b(以下、二次流通路37bとする)は、一次流通路37aを介して二次基準流路Rbと連通する第一流路30と、該第一流路30に対して二次基準流路Rb側とは反対側で隣り合う単一の第一流路30とを連通させる。
そして、 第一小ブロックB1b及び第二小ブロックB2bにある流通路37b(以下、二次流通路37bとする)は、一次流通路37aを介して二次基準流路Rbと連通する第一流路30と、該第一流路30に対して二次基準流路Rb側とは反対側で隣り合う単一の第一流路30とを連通させる。
第一小ブロックB1a及び第二小ブロックB2aにある流通路37c(以下、三次流通路37cとする)は、一次流通路37aと二次流通路37bとに連通する第一流路30と、該第一流路30に対して二次基準流路Rb側とは反対側にある第一流路30(本実施形態では、二つの第一流路30,30)とを連通させる。
そして、第一小ブロックB1b及び第二小ブロックB2bにある流通路37c(以下、三次流通路37cとする)は、一次流通路37aと二次流通路37bとに連通する第一流路30と、該第一流路30に対して二次基準流路Rb側とは反対側にある第一流路30(本実施形態では、二つの第一流路30,30)とを連通させる。
各一次流通路37a、各二次流通路37b、各三次流通路37cは、第二方向に間隔をあけて配置される。そして、各一次流通路37a及び各三次流通路37cは、第二方向における伝熱プレート2(伝熱部20)の一端部を貫通し、各二次流通路37bは、第二方向における伝熱プレート2(伝熱部20)の他端部を貫通している。従って、第一流体Aの流路は、第二方向で流通方向を切り換える蛇行流路になっている。
また、本実施形態において、第一流入連通路32は、第一方向の一端から該第一方向の
途中位置にある一次基準流路Raにまで延び、該一次基準流路Raのみに連通するように
形成されている。
これに対し、第一流出連通路33は、第一方向の一端から他端にまで延びている。そして、第一流出連通路33は、第一大ブロックB1及び第二大ブロックB2において、第一方向の一端側にある二つの第一流路30,30と、第一方向の他端側にある二つの第一流路30,30とに連通している。すなわち、第一流出連通路33には、八つの第一流路30,…が連通している。このように、第本実施形態では、第一大ブロックB1及び第二大ブロックB2における第一流体Aの流路の終端が第一流出連通路33と連通している。
続いて、第二流入連通路34から第二流出連通路35に至るまでの第二流体Bの流路(流通系統)について具体的に説明する。
プレート式熱交換器1では、一次基準流路Raに伝熱プレート2(伝熱部20)を介して隣接する第二流路31が一次隣接流路Saとされている。本実施形態に係るプレート式熱交換器1において、一次隣接流路Saは、一次基準流路Raに対して伝熱プレート2(伝熱部20)を介して隣接する第二流路31に加えて、第二流体Bの流路の終端となる第一流路30に対して伝熱プレート2(伝熱部20)を介して隣接する第二流路31を含む。
より具体的に説明する。一次隣接流路Saは、第一方向において一次基準流路Raの両側にある一対の第二流路31,31を含む。
また、一次隣接流路Saは、第一小ブロックB1aにおいて第一流出連通路33に連通する二つの第一流路30,30のそれぞれに対して第一方向における一端側で隣接する一対の第二流路31,31を含み、第一小ブロックB1bにおいて第一流出連通路33に連通する二つの第一流路30,30の間にある第一流路30を含む。
そして、一次隣接流路Saは、第二小ブロックB2aにおいて第一流出連通路33に連通する二つの第一流路30,30の間にある第二流路31を含み、第二小ブロックB2bにおいて第一流出連通路33に連通する二つの第一流路30,30のそれぞれに対して第一方向における他端側で隣接する一対の第一流路30,30を含む。
すなわち、一次隣接流路Saには、八つの第二流路31,…が含まれている。これにより、プレート式熱交換器1では、第一流体Aの流路を流れる第一流体Aのうちの最も上流側を流れる第一流体Aと、第二流体Bの流路を流れる第二流体Bのうちの最も上流側を流れる第二流体Bとが熱交換するようになっている。また、プレート式熱交換器1では、第一流体Aの流路を流れる第一流体Aのうちの第一流出連通路33と連通する第一流路30を流れる第一流体Aと、第二流体Bの流路を流れる第二流体Bのうちの最も上流側を流れる第二流体Bとが熱交換するようになっている。
さらに、プレート式熱交換器1では、二次基準流路Rbに伝熱プレート2(伝熱部20)を介して隣接する第二流路31が二次隣接流路Sbとされている。
また、二次隣接流路Sbは、第一小ブロックB1aにおいて、第一流出連通路33と連通する第一流路30のうち一次基準流路Ra側にある第一流路30に対して、第一方向における他端側で伝熱プレート2(伝熱部20)を介して隣接する第二流路31を含む。
そして、二次隣接流路Sbは、第一小ブロックB1bにおいて、第一流出連通路33と連通する第一流路30のうち一次基準流路Ra側とは反対側にある第一流路30に対して、第一方向における一端側で伝熱プレート2(伝熱部20)を介して隣接する第二流路31を含む。
さらに、二次隣接流路Sbは、第二小ブロックB2aにおいて、第一流出連通路33と連通する第一流路30のうち一次基準流路Ra側とは反対側にある第一流路30に対して、第一方向における他端側で伝熱プレート2(伝熱部20)を介して隣接する第二流路31を含む。
また、二次隣接流路Sbは、第二小ブロックB2bにおいて、第一流出連通路33と連通する第一流路30のうち一次基準流路Ra側にある第一流路30に対して、第一方向における一端側で伝熱プレート2(伝熱部20)を介して隣接する第二流路31を含む。従って、二次隣接流路Sbは、八つの第二流路31,…を含む。
これに伴い、本体部3は、一次隣接流路Saと二次隣接流路Sbとを接続する一対の一次接続路38a,38aを有する。すなわち、本体部3は、第一大ブロックB1において一次隣接流路Sa及び二次隣接流路Sbを接続する一次接続路38aと、第二大ブロックB2において一次隣接流路Sa及び二次隣接流路Sbを接続する一次接続路38aとを有する。
各一次接続路38aは、一次隣接流路Saを介して第二流入連通路34に連通する。また、本実施形態では、一対の一次接続路38a,38aのそれぞれが互いに連通している。すなわち、一対の一次接続路38a,38aは、第一方向における一端から他端にまで延びる一つの流路を構成している。
なお、図5では、便宜上、一次接続路38aを第二流入連通路34や、第二流出連通路35等と第二方向で並ぶように図示しているが、実際には、図3及び図4に示すように、一次接続路38aは、第二流出連通路35と第三方向で並んで設けられる。
そして、本体部3は、二次隣接流路Sbと、第二流体B流路の終端となる複数の第二流路31とを接続する一対の二次接続路38bをさらに有する。すなわち、本体部3は、第一大ブロックB1にある二次隣接流路Sa及び第二流体B流路の終端となる複数の第二流路31,…を接続する二次接続路38bと、第二大ブロックB2にある二次隣接流路Sa及び第二流体Bの流路の終端となる複数の第二流路31,…を接続する二次接続路38bとを有する。
本実施形態では、一対の二次接続路38b,38bのそれぞれが互いに連通している。すなわち、一対の二次接続路38bは、第一方向における一端から他端にまで延びる一つの流路を構成している。
なお、図5では、便宜上、二次接続路38bも第二流入連通路34や、第二流出連通路35等と第二方向で並べて図示しているが、実際には、図3及び図4に示すように、二次接続路38bは、第二流入連通路34と第三方向で並んで設けられる。
第二流出連通路35及び二次接続路38bは、第二方向における伝熱プレート2(伝熱部20)の一端部を貫通し、第二流入連通路34及び一次接続路38aは、第二方向における伝熱プレート2(伝熱部20)の他端部を貫通している。
そして、第二流入連通路34は、一次隣接流路Saのみに連通し、他方の第二流出連通路35は、第二流体Bの流路の終端となる第二流路31のみに連通しているため、第二流体Bの流路も、第二方向で流通方向を切り換える蛇行流路になっている。
以上のように、本実施形態に係るプレート式熱交換器1によれば、第一流入連通路32が伝熱プレート2,…の積層方向の途中位置にある一次基準流路Ra(所定の第一流路30)のみに連通している。これにより、第一流入連通路32が伝熱プレート2,…の積層方向における途中位置までにしか形成されないため、第一流入連通路32での第一流体Aの圧力損失の増大を抑えることができる。
そして、一対の一次分岐路36a,36aが、一次基準流路Raと伝熱プレート2,…の積層方向における一次基準流路Raよりも一端側及び他端側のそれぞれにある少なくとも一つの第一流路30とを連通させるため、本体部3内には、第一流体Aの流路として、一次基準流路Raに連通した一方の一次分岐路36aを含む系統と、一次基準流路Raに連通した他方の一次分岐路36aを含む系統との二系統が形成される。
従って、第一流入連通路32から第一流出連通路33に至るまでの第一流体Aの流路の長さ(一系統当りの流路長)が短くなるため、第一流体Aの流路全体での圧力損失の増大を抑えることができ、高い熱交換性能を得ることができる。
さらに、第一流体Aの流路における第一流入連通路32側(始端側)を流れる第一流体Aに作用する圧力は、第一流体Aの流路における第一流出連通路33側(終端側)を流れる第一流体Aに作用する圧力よりも高くなる。そのため、第一流体Aの流路における第一流入連通路32側を流れる第一流体Aは、第一流体Aの流路における第一流出連通路33側を流れる第一流体Aよりも温度が高くなる。
そして、一次基準流路Raに伝熱プレート2,…を介して隣接する第二流路31を一次隣接流路Saとし、第二流入連通路34を該一次隣接流路Saのみに連通させるため、第一流体Aの流路における上流側を流れる第一流体Aと第二流体Bの流路における上流側を流れる第二流体Bとを熱交換させることができる。すなわち、熱交換によって熱量(温度)が変化し始める段階の第一流体Aと第二流体Bとを熱交換させることができる。
これにより、第一流体Aの流路における上流側を流れる第一流体Aの温度と、第二流体Bの流路における上流側を流れる第二流体Bの温度とが接近することを避けることができ、第二流体Bの熱量を第一流体Aとの熱交換に有効に利用できる。従って、熱交換性能を高めることができる。
このように、プレート式熱交換器1では、第一流体Aを流通させる複数の第一流路30での圧力損失の増大を抑えつつ、複数の第一流路30に第一流体Aを均等に供給することができ且つ第一流体Aと第二流体Bとの熱交換を効率よく行うことができるという優れた効果を奏し得る。
また、一次分岐路36aは、伝熱プレート2,…の積層方向における一次基準流路Raよりも一端側及び他端側のそれぞれにおいて、伝熱プレート2,…の積層方向の途中位置にある二次基準流路Rb(所定の第一流路30)のみに連通する。そのため、伝熱プレート2,…の積層方向における一次基準流路Raよりも一端側及び他端側のそれぞれにおいて、一次分岐路36aが伝熱プレート2,…の積層方向における途中位置までにしか形成されないため、一次分岐路36aでの第一流体Aの圧力損失の増大をさらに抑えることができる。
さらに、本体部3の伝熱プレート2,…の積層方向における一次基準流路Raよりも一端側及び他端側のそれぞれにおいて、第一流体Aの流路として、二次基準流路Rbに連通した一方の二次分岐路36bを含む系統と、二次基準流路Rbに連通した他方の二次分岐路36bを含む系統との二系統が形成される。
従って、本体部3の伝熱プレート2,…の積層方向における一次基準流路Raよりも一端側及び他端側のそれぞれにおいて、一次分岐路36aから第一流出連通路33に至るまでの第一流体Aの流路の長さ(一系統当りの流路長)が短くなる。これにより、第一流体Aの流路全体での圧力損失の増大を抑えることができ、さらに高い熱交換性能を得ることができる。
さらに、二次基準流路Rbに伝熱プレート2,…を介して隣接する第二流路31を二次隣接流路とし、一次隣接流路Saと二次隣接流路Sbとを一次接続路38aで接続する。すなわち、プレート式熱交換器1では、一次基準流路Raを流れる第一流体Aに次いで熱交換による温度の変化量が小さい第一流体Aが流れる第一流路30に対して、一次隣接流路Saを流れる第二流体Bに次いで熱交換による温度の変化量が小さい第二流体Bが流れる第二流路31を隣接させる。
これにより、二次基準流路Rbを流れる第一流体Aと、該第一流体Aと熱交換される第二流体Bの温度とが接近することを避けることができ、第二流体Bの熱量を第一流体Aとの熱交換に有効に利用できる。従って、熱交換性能をさらに高めることができる。
さらに、一次隣接流路Saが第一流体Aの流路の終端となる第一流路30に伝熱プレート2,…を介して隣接する第二流路31を含むため、第一流体Aの流路の終端となる第一流路30を流れる第一流体Aと、熱交換し始める段階の第二流体Bとを熱交換させることができる。
従って、プレート式熱交換器1が第一流体Aの流路の終端で該第一流体Aの温度を変化させるように構成されていても、第一流体Aの流路の終端となる第一流路30を流れる第一流体Aの温度と、該第一流体Aと熱交換される第二流体Bの温度とが接近することを避けることで第二流体Bの熱量を第一流体Aとの熱交換に有効に利用でき、熱交換性能を高めることができる。
より具体的に説明すると、例えば、プレート式熱交換器1が冷凍サイクルにおける蒸発器として使用される場合、該プレート式熱交換器1から未蒸発の液体を含む第一流体Aが排出されると、該第一流体Aを吸入した圧縮機が破損する虞がある。そのため、プレート式熱交換器1は、完全に蒸発させた第一流体Aを更に加熱した後に排出するように構成されることがある。
このような場合、プレート式熱交換器1では、第一流体Aの流路の上流側を流れる第一流体Aの温度に加えて、第一流体Aの流路の下流側を流れる第一流体Aの温度も高くなる。しかしながら、第一流体Aの流路の下流側を流れる第一流体Aと、熱交換し始める段階の第二流体Bとを熱交換させることができるため、第一流体Aの流路の終端となる第一流路30を流れる第一流体Aの温度と、該第一流体Aと熱交換される第二流体Bの温度とが接近することを避けることができる。従って、第二流体Bの熱量を第一流体Aとの熱交換に有効に利用でき、熱交換性能を高めることができる。
このように、本実施形態に係るプレート式熱交換器1では、第一流路30を流れる第一流体Aと第二流路31を流れる第二流体Bとを熱交換による温度の変化が小さいものから順に熱交換させるようになっている。
尚、本発明に係るプレート式熱交換器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更を加え得ることは勿論である。
プレート式熱交換器1において、第一流体Aの流路と、第二流体Bの流路とは、図5に示す態様のものに限定されない。例えば、第一大ブロックB1における第一流体Aの流路と、第二大ブロックB2における第一流体Aの流路とが、一次基準流路Raを基準に対称的に形成されたが、これに限定されない。第一大ブロックB1における第一流体Aの流路と、第二大ブロックB2における第一流体Aの流路とが、一次基準流路Raを基準に非対称な形態で形成されてもよい。すなわち、第一流路30,…の数、二次基準流路Rbの配置、二次分岐路36bの配置等が二次分岐路に第一大ブロックB1と第二大ブロックB2とで異なってもよい。
そして、第一大ブロックB1における第一流体Aの流路と、第二大ブロックB2における第一流体Aの流路とが、一次基準流路Raを基準に非対称な形態で形成されている場合において、一次基準流路Raが第一方向において本体部3の中央位置からずれた位置にあるときは、該一次基準流路Raの位置に応じて一次隣接流路Saの位置を変更し、一次隣接流路Saが一次基準流路Raに隣接するようにすればよい。
さらに、二次基準流路Rbが第一大ブロックB1及び第二大ブロックB2の第一方向における中央位置からずれた位置にある場合においても、該二次基準流路Rbの位置に応じて二次隣接流路Sbの位置を変更し、二次隣接流路Sbが二次基準流路Rbに隣接するようにすればよい。
上記実施形態において、一次隣接流路Saは、一次基準流路Raに対して伝熱プレート2(伝熱部20)を介して隣接する第二流路31に加えて、第二流体Bの流路の終端となる第一流路30に対して伝熱プレート2(伝熱部20)を介して隣接する第二流路31を含んでいたが、これに限定されない。例えば、一次隣接流路Saは、一次基準流路Raに対して伝熱プレート2(伝熱部20)を介して隣接する第二流路31のみを含むようにしてもよい。
上記実施形態において、一対の一次接続路38a,38aのそれぞれは、互いに連通していたが、これに限定されない。例えば、一対の一次接続路38a,38aのそれぞれは、互いに連通していなくてもよい。
上記実施形態において、本体部3は、一対の一次分岐路36a,36aを有するように構成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、本体部3は、二対以上の一次分岐路36a,36a…を有するように構成されていてもよい。
この場合、各一次分岐路36aは、互いに異なる第一流路30のそれぞれに接続されていてもよい。また、本体部3は、各対の一次分岐路36aにおける一方の一次分岐路36aのそれぞれが互いに同じ第一流路30に接続されていてもよい。そして、本体部3は、各対の一次分岐路36aにおける他方の一次分岐路36aのそれぞれも互いに同じ第一流路30に接続されていてもよい。
さらに、本実施形態において、本体部3は、上述のように、積層方向における一次基準流路Raよりも一端側及び他端側のそれぞれにおいて、三つ以上の第一流路30,30…のうちの積層方向の途中位置にある第一流路30が第一流体Aの流路の分岐位置となる二次基準流路Rbとされている。
そのため、本体部3が二対以上の一次分岐路36a,36a…を有するように構成される場合、各対の一次分岐路36aにおける一方の一次分岐路36aのそれぞれは、互いに同じ二次基準流路Rbに接続されていてもよい。そして、各対の一次分岐路36aにおける他方の一次分岐路36aのそれぞれは、互いに同じ二次基準流路Rbに接続されていてもよい。
また、本実施形態に係る本体部3は、一対の二次基準流路Rbを有するように構成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、一次分岐路36aの数に応じて、二対以上の二次基準流路Rb,Rb…を有するように構成されていてもよい。この場合、各一次分岐路36aは、互いに異なる二次基準流路Rbに接続されていてもよい。
上記実施形態において、本体部3は、一つの二次基準流路Rbに対して一対の二次分岐路36b,36bが接続されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、一つの二次基準流路Rbに対して二対以上の二次分岐路36b,36b…が接続されていてもよい。
この場合、各一次分岐路36aは、互いに異なる第一流路30のそれぞれに接続されていてもよい。また、本体部3は、各対の一次分岐路36aにおける一方の一次分岐路36aのそれぞれが互いに同じ第一流路30に接続されていてもよい。そして、各対の一次分岐路36aにおける他方の一次分岐路36aのそれぞれも、互いに同じ第一流路30に接続されていてもよい。