JP5928413B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼の連続鋳造方法、特に、表面割れの発生を抑制した連続鋳造方法に関するものである。
鋼の強度を確保するために、C、V、NbおよびNiなどが添加されている。これらの成分を含有する鋼は、連続鋳造によって製造されることが一般的であるが、鋳造された鋳片で表面割れが発生する場合がある。この表面割れは、その後の圧延工程において拡大して製品での欠陥となるため、圧延前にグラインダー等による鋳片表面の手入れ処理を余儀なくされ、工数増大を招くばかりでなく、割れが手入れ処理によっても除去しきれない場合には鋳片を廃棄処分にする等、歩留まり低下の一因となっていた。
ここでの表面割れのひとつとして、旧オーステナイト(γ)粒界に沿った粒界割れがある。これは、連続鋳造の曲げ矯正点で鋳片を曲げた際の応力により、脆い旧γ粒界が開口するものと考えられている。従来の対応策としては、曲げ矯正点通過温度を高温脆化域である600〜850℃から外す方法が取られており、一般的には、鋳片を緩やかに冷却して850℃以上の高温側に外す方法が取られている。
それ以外の方法としては、例えば、特許文献1に、所定の成分の鋼を鋳造するに当たり、鋳型出口から矯正帯までの間に鋳片表面温度を550℃以下まで冷却し、その後、850℃以上に復熱させて矯正を行う方法が記載されている。即ち、550℃以下まで冷却してフェライトを生成させ、その後、復熱して再度オーステナイト化することにより、オーステナイト粒を微細化することが、提案されている。
特許第4445561号公報
特許文献1に記載の方法では、冷却および復熱時の鋳片温度を一義的に設定されているが、鋼の組成によっては、冷却や復熱の際の温度履歴が不足あるいは過剰になる場合があり、割れの抑制が確実に保証されない点、改善の余地があった。すなわち、鋼の組織を制御する際には、その組織に応じた熱履歴を付与する必要があり、当然、鋼の組成が変われば、必要な熱履歴も変わる点、考慮する必要がある。
そこで、本発明は、鋼の連続鋳造において、特に、連続鋳造機の曲げ矯正点付近での表面割れの発生を確実に防止するための手法について提案することを目的とする。
さて、上記鋳片の表面割れの発生を防止するためには、連続鋳造機の曲げ矯正点通過までに鋳片表層の旧γ粒を微細化することが効果的である。発明者らは、鋳型の直下における鋳片表層の熱履歴を当該鋼の組織に応じて厳密に規定することによって、上記旧γ粒を微細化でき、表面割れの発生を防止できると考えた。
そこで、高温引張試験機により鋼材に様々な熱履歴を与えた後、連続鋳造機の矯正帯での歪速度相当での引張試験を行い、粒界割れと変態温度および組織との関係を調査した。その結果、該鋼の連続冷却変態線図(以下、CCT線図)で、該鋳型直下での冷却過程において、鋼組織に応じた適切な条件の下に鋳片の表層部を冷却し、次いで、Ac3点以上の温度域までの復熱についても鋼組織に応じた適切な条件の下で行うことにより、通常の連続鋳造機での熱履歴の場合より旧γ粒が格段に小さくなることを確認し、割れ防止効果の高い手法を見出すに到った。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)C:0.08質量%以上0.80質量%未満を含む溶鋼を鋳型に装入し、該鋳型から直接鋳片を引き抜く連続鋳造方法であって、該鋳型の直下から曲げ矯正点の手前の冷却過程において、
前記溶鋼が下記式(1)を満足する場合は、当該溶鋼の連続冷却変態線図でのベイナイト、フェライトあるいはパーライト変態開始温度を下回る温度まで、鋳片の表層部を冷却し、次いで、Ac3点以上の温度まで3℃/s以上50℃/s以下にて復熱させること、
前記溶鋼が下記式(2)を満足する場合は、当該溶鋼を冷却速度0.2℃/sで冷却した際の[Ar点−100℃]を下回る温度まで、鋳片の表層部を冷却し、次いで、Ac3点以上の温度まで1.4℃/s以下にて復熱させること、
を特徴とする鋼の連続鋳造方法。


CP−[C]<0.04 …(1)
CP−[C]≧0.04 …(2)
ここに、
CP=[C]−0.0022[Si]+0.019[Mn]−0.179[P]+2.258[S]−0.1226[Al]+0.019[Cu]+0.025[Ni]−0.0022[Cr]−0.035[Mo]−0.058[V]−0.438[Nb]+0.376[N]
但し、[ ]は該括弧内元素の含有量(質量%)
ここで、鋳片の表層部とは、表面から5mmの深さにわたる領域をいう。
(2)前記溶鋼は、Si:0.05−1.0mass%、Mn:0.4−2.0mass%およびAl:0.02−0.06mass%を含有し、残部Feおよび不可避不純物の成分組成を有することを特徴とする前記(1)に記載の連続鋳造方法。
(3)前記溶鋼は、さらに、Mo:0.6mass%以下、Ti:0.030mass%以下、Cr:1.0mass%以下、V:0.1mass%以下、Cu:1.0mass%以下、Nb:0.05mass%以下、Ni:1.0mass%以下およびB:0.004mass%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(2)に記載の連続鋳造方法。
本発明によれば、C、V、NbおよびNiなどの、表面割れが発生しやすい成分を添加した鋼材を連続鋳造する際にも、該鋳片の表面割れの発生を抑止することができる。
連続鋳造機を示す図である。 模式的な連続冷却変態線図である。 模式的な連続冷却変態線図である。
以下、本発明の連続鋳造方法について、図面を参照して、詳しく説明する。
さて、溶鋼は、垂直ベンディング型または、図1に示すような湾曲型の連続鋳造機を用いて連続鋳造されるが、その際、特に曲げ矯正点での矯正時に表面割れを誘発させないために、少なくとも鋳型直下の冷却帯において、以下に示す鋼の成分組成に応じた冷却パターンを経ることが肝要である。
なお、図1において、符号1は取鍋2内に装入した溶鋼であり、溶鋼1は取鍋2からロングノズル3、タンディッシュ4そして浸漬ノズル5を介して、水冷鋳型6内に供給される。この水冷鋳型6にて冷却された溶鋼1は、凝固殻を生成しながら鋳型6の出側へ導かれて鋳型6から引き抜かれ、鋳型6直下の2次冷却帯7にてさらに冷却されて凝固殻の成長を促進され、湾曲を強制されて水平方向に導かれてから、引き抜き矯正帯(曲げ矯正点)8において曲げの矯正がなされて連続鋳造鋳片9となる。
すなわち、前記鋳型の直下において、より具体的には、2次冷却帯の開始点から矯正帯までの区間において、前記鋳型内の溶鋼が下記式(1)を満足する場合は、図2に示すように、当該溶鋼の連続冷却変態線図(以下、CCT線図と示す)から読み取れる、ベイナイト、フェライトあるいはパーライト変態開始温度を下回る温度まで、鋳片の表層部を冷却し、次いで、Ac3点以上の温度まで3℃/s以上50℃/s以下にて復熱させる。
一方、前記溶鋼が下記式(2)を満足する場合は、図3に示すように、当該溶鋼を冷却速度0.2℃/sで冷却した際の[Ar点−100℃]まで、鋳片の表層部を冷却し、次いで、Ac3点以上の温度まで1.4℃/s以下にて復熱させる。

CP−[C]<0.04 …(1)
CP−[C]≧0.04 …(2)
ここに、
CP=[C]−0.0022[Si]+0.019[Mn]−0.179[P]+2.258[S]−0.1226[Al]+0.019[Cu]+0.025[Ni]−0.0022[Cr]−0.035[Mo]−0.058[V]−0.438[Nb]+0.376[N]
但し、[ ]は該括弧内元素の含有量(質量%)
かような冷却および復熱を、2次冷却帯の開始点から矯正帯までの区間、より具体的には鋳型直下それも鋳型直下5mまでの区間にて、完了することが好ましい。
なお、CCT線図は、連続鋳造に供する溶鋼に応じたCCT線図を用いることは勿論であり、連続鋳造に供する溶鋼種毎にCCT線図を導入すればよい。具体的には、連続鋳造に供する溶鋼を用いて、1400℃以上の温度から冷却した際のCCT線図を作成する。例えば、900℃などの低い温度から冷却した時のCCT線図では、旧γ粒径が小さくなるため、フェライト−パーライトノーズおよびベイナイトノーズが短時間側に移動し、鋳造時の挙動を表す正確な冷却速度や温度を得ることができない。また、鋳型直下の2次冷却帯においては、1400℃以上の温度からの冷却になるため、1400℃以上の温度から冷却した際のCCT線図を作成する。
さて、本発明において対象となる溶鋼は、C:0.08質量%以上0.80質量%未満を含む成分系とする。すなわち、本発明は、CCT線図の形状に従う適正な熱履歴を経ることによって、連続鋳造における鋳片の表面割れを抑制するものであるから、このCCT線図の形状を決定する必要がある。そのためには、まず、CCT線図の形状に最も影響を及ぼすC含有量を規定するとともに、合金鋼においては他元素の影響も考慮する必要があることから、炭素当量(carbon equivalent for the peritectic reaction:CP)について規定する。
まず、鉄−炭素系状態図において包晶反応が起こるC量域は、0.08質量%以上0.80質量%未満である。すなわち、C量が0.80質量%以上になると組織が完全にパーライト又は、パーライトとセメンタイトとの2相組織になって、上記の(1)及び(2)式が適用できる範囲を超えることから、C量を0.8質量%未満とした。C量が0.80質量%未満の鋼では、高温域において存在するδ鉄と液相(L)とが冷却過程にてγ+Lまたはγ+δへ変態するが、C量が0.08質量%未満になると、完全にδ鉄に変態してからγ鉄に変態する態様に変わるため、上記のCPに関する式が冷却を制御する際の指標として適合しなくなる。従って、C量は0.08質量%以上とする。
上記の範囲にC量を固定した際、次に組織に影響を及ぼすのは微量の添加元素であり、これはCP−[C]にて示される。例えば、ベイナイトの生成を助長するMoやNbが多く添加されるとCP−[C]は小さくなり、逆にSiのようにフェライトの生成を助長する元素が添加されるとCP−[C]は高くなる。かような観点から、CP−[C]の値を指標とすれば、連続鋳造後の鋳片における組織を上記(1)式が成立する場合はCCT線図上にフェライト−パーライトノーズのないベイナイト主体組織に、上記(2)式が成立する場合はCCT線図上にフェライト−パーライトノーズのある組織に、区分可能となることから、CP−[C]を0.04の境界値をもって区分した。すなわち、様々な鋼種においてCCT線図を作成して検討したところ、フェライト−パーライトノーズが現れる場合と、主にベイナイトが主体として現れる場合とに分類され、両者の境界がCP−[C]:0.04にあることを見出した。
以下、この区分毎の冷却態様について詳しく説明する。
CP−[C]<0.04
すなわち、CP−[C]<0.04の場合は、フェライト−パーライトノーズのないベイナイト主体組織であるから、CP−[C]<0.04を満足する鋼種のCCT線図を図2に示すように、ベイナイト変態開始温度を下回る温度まで、鋳片の表層部を冷却し、次いで、Ac3点以上の温度まで3℃/s以上50℃/s以下にて復熱させることが肝要である。
ここで、ベイナイト変態開始温度を下回る温度まで冷却するのは、ベイナイト変態開始温度以上で冷却を停止すると、等温保持時または復熱時にベイナイト変態を起こさせることができず、鋳片表層部に微細なフェライト−パーライトを生成することができないからである。
なお、ベイナイト変態開始温度とは、CCT線図のベイナイト領域の高温側の境界温度を指す。そして、ベイナイト変態開始温度を下回る温度とは、該変態開始温度未満であればよく、該変態開始温度−100℃の範囲内で冷却を終了すればよい。その際、冷却速度は特に限定する必要はない。
その後、Ac3点以上の温度まで鋳片内未凝固溶鋼の熱により復熱する。この復熱は連続鋳造機の曲げ矯正帯、即ち、垂直曲げ型であれば曲げ帯、湾曲型であれば矯正帯までに完了することが好ましい。一旦、Ac3点以上に復熱しさえすれば、その後、温度が低下することは問題にならない。
この復熱において、復熱速度を3℃/s以上50℃/s以下とすることが、割れ抑制の観点から重要である。すなわち、復熱中にFCCからBCCへの変態が起こるが、CP−[C]<0.04を満足する鋼は、この変態がベイナイト変態、つまり、せん断変形的要素が強い変態である。従って、変態を短時間で完了させることが可能であり、復熱速度を速めることが可能である。しかし、復熱の速度が50℃/sを超えると、十分にFCCからBCCへの変態が完了せず、表面近傍の組織全体を均一な微細組織にすることはできない。
また、CP−[C]<0.04を満足する鋼は、例えば3℃/sから10℃/sの速度で冷却した際の変態開始温度は600℃より低くなることがほとんどである。次いで、かように低い温度域から復熱させる際、復熱速度を3℃/sより低くするには多量の水を供給しながら復熱させることになるが、その場合に、鋳片の表面が過冷却されてAc3点以上に復熱させることができなくなる、おそれがある。従って、冷却後の復熱速度は3℃/s以上とする必要がある。
CP−[C]≧0.04
一方、溶鋼がCP−[C]≧0.04を満足する場合には、CP−[C]≧0.04を満足する鋼種のCCT線図を図3に示すように、CCT線図上にフェライト−パーライトノーズのある組織であるから、当該溶鋼を冷却速度0.2℃/sで冷却した際の[Ar点−100℃]を下回る温度まで、鋳片の表層部を冷却し、次いで、Ac3点以上の温度まで1.4℃/s以下にて復熱させることが肝要である。
ここで、溶鋼を冷却速度0.2℃/sで冷却した際の[Ar点−100℃]以上で冷却を停止すると、等温保持時または復熱時にFCCからBCCへの変態を起こさせることができず、鋳片表層部に微細なフェライト−パーライトを生成することができない。
なお、冷却速度0.2℃/sで冷却した際の[Ar点−100℃]を下回る温度とは、同[Ar点−100℃]より低い温度であればよい。その際の冷却速度は、特に限定する必要はない。
その後、Ac3点以上の温度まで鋳片内未凝固溶鋼の熱により復熱する。この復熱は連続鋳造機の曲げ矯正帯、即ち、垂直曲げ型であれば曲げ帯、湾曲型であれば矯正帯までに完了することが好ましい。一旦、Ac3点以上に復熱しさえすれば、その後、温度が低下することは問題にならない。
さて、CP−[C]≧0.04を満足する鋼種では、例えば冷却速度0.2℃/sで冷却した場合に、フェライトまたはパーライト変態が起こるが、このフェライトまたはパーライト変態は拡散変態であり、変態に十分な時間が必要である。かように変態の進行が遅い場合に、冷却後の復熱速度が1.4℃/sより速いと、変態が進まないうちにAc3点以上に復熱してしまう。このような熱履歴を受けると、FCC→BCC→FCCの変態が起こる範囲が狭くなり、組織微細化が起こりにくくなる。なぜなら、復熱時のFCCからBCCへの変態は、Ac3点以上に温度が上昇してしまうと停止するためである。従って、CP−[C]≧0.04を満足する鋼種では、復熱速度を1.4℃/s以下とする必要がある。
なお、実際に鋳片を冷却するに当たり、鋳片に熱電対を取り付けて測温しながら冷却を施すのが通例である。その際、測定温度が急上昇や急降下を繰り返すような現象が観測される。これは、熱電対に水が直接かかったりかからなかったりすることが原因と考えられる。鋳片表面から1mm以上深い部分では、このような急上昇、急降下は考えにくいため、例えば0.2秒ピッチで温度データを取り、その10秒分の移動平均を取って、その移動平均値で冷却速度や復熱速度を求めるなど、温度データを平滑化することが好ましい。
さらに、冷却や復熱時の鋳片表面温度は、予め、冷却、復熱条件を変えた鋳造時に鋳片と共に熱電対を装入し、鋳片表面温度履歴を測定しておき、実際に鋳造時に、必要な温度履歴となる条件を選択すれば良い。
ちなみに、曲げ矯正点での温度は、本発明の熱履歴を辿っていれば、鋳片表層の組織は微細になっており表面割れは発生しにくいため、特に限定する必要はないが、脆化域である850℃以下の温度域は避けた方がより好ましい。
また、溶鋼は、上記したCのほかに、次の成分組成を有することが好ましい。
すなわち、Si:0.05−1.0mass%、Mn:0.4−2.0mass%およびAl:0.02−0.06mass%を含有し、さらに必要に応じて、Mo:0.6mass%以下、Ti:0.030mass%以下、Cr:1.0mass%以下、V:0.1mass%以下、Cu:1.0mass%以下、Nb:0.05mass%以下、Ni:1.0mass%以下およびB:0.004mass%以下の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物の成分組成を有することが好ましい。
以下、基本成分から順に、含有量の限定理由について説明する。
Si:0.05−1.0mass%
Siは、脱酸剤として作用するとともに、強度を増加させるのに有効であるため、0.05mass%以上は必要であるが、1.0mass%を超えると、被削性および鍛造性を劣化する、おそれがあるから、1.0mass%以下とする。
Mn:0.4−2.0mass%
Mnは、強度を増加するため0.4mass%以上は必要であるが、2.0mass%を超えると、被削性および鍛造性を劣化する、おそれがあるから、2.0mass%以下とする。
Al:0.02−0.06mass%
Alは、鋼の脱酸剤として作用する他、加熱時のγ粒成長を抑制する効果があるため、0.02mass%以上は必要であるが、0.06mass%を超えると、被削性および疲労強度を劣化する、おそれがあるから、0.06mass%以下とする。
さらに、必要に応じて、Mo:0.6mass%以下、Ti:0.030mass%以下、Cr:1.0mass%以下、V:0.1mass%以下、Cu:1.0mass%以下、Nb:0.05mass%以下、Ni:1.0mass%以下およびB:0.004mass%以下の1種または2種以上を含有することが可能である。
Mo:0.6mass%以下
Moは、強度を確保する上で有効であるが、0.6mass%を超えて添加すると、被削性を劣化する、おそれがある。
Ti:0.030mass%以下
Tiは、TiNとしてピンニングにより組織の微細化をはかる上で有効であり、好ましく0.005mass%以上で添加するが、0.030mass%を超えて添加すると、耐労強度を劣化する、おそれがある。
Cr:1.0mass%以下
Crは、焼入れ性の向上に有効であるが、1.0mass%を超えて添加すると、耐疲労強度を劣化する、おそれがある。
V:0.1mass%以下
Vは、炭化物を生成することにより、鋼材の強度を向上するのに有効であるが、0.1mass%を超えて添加すると、粗大な炭窒化物が生成して強度を低下させる、おそれがある。
Cu:1.0mass%以下
Cuは、固溶強化および析出強化による強度上昇に有効であり、かつ焼入れ性の向上に寄与するが、1.0mass%を超えて添加すると、被削性を劣化する、おそれがある。
Nb:0.05mass%以下
Nbは、析出によりγ粒をピンニングする効果があるが、0.05mass%を超えると効果が飽和するため、経済性の観点から0.05mass%以下とすることが好ましい。
Ni:1.0mass%以下
Niは、強度および靭性の確保に有効であるが、1.0mass%を超えると効果が飽和するため、経済性の観点から1.0mass%以下とすることが好ましい。
B:0.004mass%以下
Bは、粒界強化により耐疲労特性を向上し、また焼入れ性を高めて強度上昇に寄与する成分であるが、0.004mass%を超えると効果が飽和するため、経済性の観点から0.004mass%以下とすることが好ましい。
C:0.12mass%、Si:0.18ass%、Mn:1.0mass%、Al:0.050mass%、Cr:0.6mass%およびMo:0.4mass%を含有し、残部Feおよび不可避不純物の成分(CP−[C]=−0.017<0.04)に調整した鋼から試験片を採取し、この鋼のCCT線図を、上述の要領にて作成した。このCCT線図は、図2に示すように、ベイナイトが広範囲の冷却速度で存在し、フェライト−パーライトノーズは存在しないものであった。このCCT線図から、0.2℃/sで冷却したときのベイナイト変態開始温度を650℃と読み取り、さらに加熱時の膨張曲線からAc3点を860℃と読み取った。
次いで、表1に示す各条件に従って、湾曲型連鋳機を用いて鋳造速度1.0m/minで連続鋳造を行った。この鋳造後の鋳片からサンプルを採取し、該鋳片の表層近傍の組織並びに割れの有無を調査した。その結果を表1に併記する。
ここで、発明例1〜3は、鋳型直下でベイナイト変態開始温度未満まで冷却し、その後、Ac3点以上まで速度を変えて復熱した例である。
比較例1はベイナイト変態開始温度よりも高い700℃程度まで冷却し、その温度をほぼ一定に保つような温度パターンを取るように冷却した事例、比較例2はベイナイト変態開始温度よりも高い700℃まで冷却し、Ac3点以上に復熱した例である。比較例3はベイナイト変態開始温度未満まで冷却し、その後、復熱速度が50℃/sを超える 70℃/sでAc3点以上に復熱させた事例、比較例4はベイナイト変態開始温度未満まで冷却し、その後、復熱速度が3℃/s未満の1.0℃/sでAc3点以上に復熱させた事例である。
表1に示すように、本発明例では鋳片表面に割れは観察されず、組織も微細な旧γ粒になっていた。一方、比較例はいずれも、鋳片表面で割れが観察された。また、比較例1、2および4では粗大な旧γ粒が観察され、比較例3も一部に粗大な旧γ粒が観察された。
Figure 0005928413
C:0.49mass%、Si:0.23mass%、Mn:1.55mass%、Al:0.030mass%、Cr:0.19mass%、V:0.022mass%、P:0.012mass%およびS:0.017mass%を含有し、残部Feおよび不可避不純物の成分(CP−[C]=0.061≧0.04)に調整した鋼から試験片を採取し、この鋼のCCT線図を、上述の要領にて作成した。このCCT線図(図3参照)より、鋳造初期の冷却速度(およそ5℃/s)ではベイナイト、フェライトまたはパーライトに変態せず、0.2℃/sでの冷却ではフェライト−パーライト変態することが分かった。また、冷却速度0.2℃/sで冷却した際の膨張曲線から、オーステナイトからフェライトへの変態開始温度Ar3点は630℃、さらに加熱時の膨張曲線からAc3点を780℃と読み取った。
次いで、表2に示す各条件に従って、湾曲型連鋳機を用いて鋳造速度0.8m/minで連続鋳造を行った。この鋳造後の鋳片からサンプルを採取し、該鋳片の表層近傍の組織並びに割れの有無を調査した。その結果を表2に併記する。
ここで、発明例1及び2は鋳型直下で[Ar3点−100℃]未満まで冷却し、その後、Ac3点以上まで速度を変えて復熱した例である。
また、比較例1は[Ar3点−100℃]を超える700℃まで冷却し、その温度をほぼ一定に保つような温度パターンを取るように冷却した事例、比較例2は[Ar3点−100℃]を超える600℃まで冷却した後、Ac3点以上まで速度1.8℃/sで復熱した事例である。比較例3は、[Ar3点−100℃]未満の515℃まで冷却し、復熱速度1.6℃/sでAc3点を超える800℃に復熱させた事例、比較例4は、[Ar3点−100℃]未満の515℃まで冷却し、復熱速度1.3℃/sでAc3点未満の755℃に復熱させた事例、比較例5は、[Ar3点−100℃]未満の515℃まで冷却し、復熱速度1.4℃/sでAc3点未満の755℃に復熱させた事例である。
表2に示すように、本発明例では鋳片表面に割れは観察されず、組織も微細な旧γ粒になっていた。一方、比較例では、鋳片表面で割れが観察され、比較例1および2粗大な旧γ粒が観察され、比較例3〜5では微細な組織も観察されるが、粗大な粒も残存していた。
Figure 0005928413
1 溶鋼
2 取鍋
3 ロングノズル
4 タンディッシュ
5 浸漬ノズル
6 水冷鋳型
7 2次冷却帯
8 引き抜き矯正帯
9 鋳片
10 スプレーノズル

Claims (3)

  1. C:0.08質量%以上0.80質量%未満を含む溶鋼を鋳型に装入し、該鋳型から直接鋳片を引き抜く連続鋳造方法であって、該鋳型の直下から曲げ矯正点の手前の冷却過程において、
    前記溶鋼が下記式(1)を満足する場合は、当該溶鋼の連続冷却変態線図でのベイナイト、フェライトあるいはパーライト変態開始温度を下回る温度まで、鋳片の表層部を冷却し、次いで、Ac3点以上の温度まで3℃/s以上50℃/s以下にて復熱させること、
    前記溶鋼が下記式(2)を満足する場合は、当該溶鋼を冷却速度0.2℃/sで冷却した際の[Ar点−100℃]を下回る温度まで、鋳片の表層部を冷却し、次いで、Ac3点以上の温度まで1.4℃/s以下にて復熱させること、
    を特徴とする鋼の連続鋳造方法。

    CP−[C]<0.04 …(1)
    CP−[C]≧0.04 …(2)
    ここに、
    CP=[C]+0.0022[Si]−0.019[Mn]−0.179[P]+2.258[S]−0.1226[Al]+0.019[Cu]+0.025[Ni]−0.0022[Cr]−0.035[Mo]−0.058[V]−0.438[Nb]+0.376[N]
    但し、[ ]は該括弧内元素の含有量(質量%)
  2. 前記溶鋼は、Si:0.05−1.0mass%、Mn:0.4−2.0mass%およびAl:0.02−0.06mass%を含有し、残部Feおよび不可避不純物の成分組成を有することを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造方法。
  3. 前記溶鋼は、さらに、Mo:0.6mass%以下、Ti:0.030mass%以下、Cr:1.0mass%以下、V:0.1mass%以下、Cu:1.0mass%以下、Nb:0.05mass%以下、Ni:1.0mass%以下およびB:0.004mass%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項2に記載の連続鋳造方法。
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