JP2010270358A - 破断分割性に優れた熱間鍛造部品 - Google Patents

破断分割性に優れた熱間鍛造部品 Download PDF

Info

Publication number
JP2010270358A
JP2010270358A JP2009122225A JP2009122225A JP2010270358A JP 2010270358 A JP2010270358 A JP 2010270358A JP 2009122225 A JP2009122225 A JP 2009122225A JP 2009122225 A JP2009122225 A JP 2009122225A JP 2010270358 A JP2010270358 A JP 2010270358A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hot
less
amount
size number
hot forged
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009122225A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5432590B2 (ja
Inventor
Akihiro Matsugasako
亮廣 松ケ迫
Goro Anami
吾郎 阿南
Takaaki Kondo
隆明 近藤
Yuichi Yamada
雄一 山田
Yoichi Murakami
陽一 村上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd, Nissan Motor Co Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2009122225A priority Critical patent/JP5432590B2/ja
Publication of JP2010270358A publication Critical patent/JP2010270358A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5432590B2 publication Critical patent/JP5432590B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Forging (AREA)

Abstract

【課題】C、V、P量を低減した場合であっても、良好な破断分割性を発揮できる熱間鍛造部品を提供する。
【解決手段】C:0.27〜0.50%(質量%の意味。化学成分組成について、以下同じ。)、Si:0.10〜2.0%、Mn:0.5〜1.5%、P:0.015〜0.07%、S:0.01〜0.2%、Cr:0.10〜1.0%、V:0.03〜0.20%未満、Ti:0.015〜0.1%、Al:0.05%以下(0%を含まない)を含有し、残部が鉄および不可避不純物であり、フェライト組織とパーライト組織の合計面積率が全組織に対して90%以上であるとともに、(フェライト粒度番号F)−(旧オーステナイト粒度番号A)≧ 3を満たすことを特徴とする破断分割性に優れた熱間鍛造部品。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車用内燃機関部品等に用いられる熱間鍛造部品に関するものであり、より詳細には、例えば熱間鍛造により部品形状に成形し、その後に衝撃を与えて破断して分割し、ボルトなどによって再締結される熱間鍛造部品に関する。以下では、熱間鍛造部品としてコネクティングロッド(以下、「コンロッド」と省略する場合がある。)を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
自動車エンジン等のコネクティングロッドは、最終製品の形状を持ったものを鍛造により一体に成型し、必要により仕上げの機械加工を行った後、機械加工によりキャップ部と小端−ロッド部とを切断分離する、という手順に従って製作されていた。しかし、二つの部分を機械的に切断する場合、切り代として失われる部分がある上に、切断後の切削や研磨を必要とし工数が多くかかる。すなわち従来の機械加工によるコンロッドの製造コストは高いものであった。
そこで、コネクティングロッドを低コストで製造する方法として、非調質鋼を使用することと並んで、機械的な切断に代えて破断分離を行うことが提案されてきた。これは鍛造部品の破断分離を行いたい部分に切欠きを設けておき、荷重を加えてこの切欠きを起点として破断分離を起こさせるという手法であり、例えば特許文献1〜3に開示されている。
切欠きについては機械による加工とレーザー等の熱源を用いた加工があるが、レーザー等によるノッチはノッチ周りがマルテンサイト化するため、一般的には機械ノッチよりも割れやすくなる。しかし、レーザー等によるノッチを施した場合であっても、V等の合金元素を添加しない場合は、C量を0.70%程度まで高めた上で組織をパーライト組織としなければ、良好な破断分割性を発揮することができない。一方、C量を0.70%程度含む鋼材は被削性が悪く生産性を阻害するため、高価なV等を添加しないことによるコストダウン効果が十分に発揮されない。
このような被削性の問題を解消するため、C量を低減した場合は、破断分割性を確保するためにVやPなどの元素を多量に添加する必要がある。しかしPの過剰添加は、鋳造時の割れを引き起こすため好ましくなく、またVの過剰添加はコストが高くなってしまう。さらにTiを添加することも破断分割性の向上には有効であるが、Ti量の過剰添加は被削性が低下し、コストも高くなる。
例えば特許文献4には、Mn量を抑制するとともに、Tiを少量添加して破断分割性を高めた機械構造用鋼が開示されている。しかし、Vが0.2%超と多量に添加されており、コストダウンすることは難しい。また特許文献5はレーザーノッチを設けることが開示されているが、C量が0.5%超か、またはP量が0.07%超である例では、前述の被削性や鋳造時の割れの問題が解決できず、一方、C、P量が抑制されている例ではVやTiが添加されておらず破断分割性が確保できない。
特開平9−3589号公報 特開平9−176787号公報 特開平9−178785号公報 特許第3355132号公報 特開2002−275578号公報
本発明は、被削性を確保するためにC量を低減し、コスト高の一因となる高価なVを抑制し、さらに鋳造時の割れの発生を防ぐためP量を抑制した場合であっても、レーザー等によるノッチを設けた際に良好な破断分割性を確保できる熱間鍛造部品を提供することを目的とする。
本発明者らは、Cを低減した場合において、VやPなどの元素を多量に添加しなくとも、良好に破断分割できる熱間鍛造部品を実現するため、鋭意研究を重ねた。その結果、少量のTiを添加した上で、熱間鍛造前に一定温度以上に加熱してTiを十分固溶させて、フェライト粒度番号Fと旧オーステナイト粒度番号Aの差を大きくした場合に、優れた破断分割性を発揮できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る熱間鍛造部品は、C:0.27〜0.50%(質量%の意味。化学成分組成について、以下同じ。)、Si:0.10〜2.0%、Mn:0.5〜1.5%、P:0.015〜0.07%、S:0.01〜0.2%、Cr:0.10〜1.0%、V:0.03〜0.20%未満、Ti:0.015〜0.1%、Al:0.05%以下(0%を含まない)を含有し、残部が鉄および不可避不純物であり、フェライト組織とパーライト組織の合計面積率が全組織に対して90%以上であるとともに、(フェライト粒度番号F)−(旧オーステナイト粒度番号A)≧ 3を満たしている。このような熱間鍛造部品は破断分割性に優れている。
前記熱間鍛造部品は、更に(i)Ca:0.01%以下(0%を含まない)、(ii)Bi:0.2%以下(0%を含まない)および/またはPb:0.3%以下(0%を含まない)、を適宜添加してもよい。また前記熱間鍛造部品は、熱間鍛造後に600℃以上の温度で熱間コイニングを行うことも好ましい態様である。
本発明は、さらに上記熱間鍛造部品を破断分割して得られる自動車用内燃機関部品、特にコネクティングロッドを含む。
本発明の熱間鍛造部品は熱間鍛造前の加熱によりTiを十分に固溶させているため、(フェライト粒度番号F)−(旧オーステナイト粒度番号A)≧ 3とすることができ、破断分割性を向上できる。
図1は、破断分割試験に用いる試験片の形状を示す図であり、図1(a)は上面図、図1(b)は側面図を示す。 図2は、破断分割試験前後の試験片の状態を模式的に表した図である。 図3は、(F−A)値と破断分割時の変形量(μm)の関係を示すグラフである。
本発明者らの検討により、C量を0.50%以下に低減し、VやPを抑制した場合、少量のTiを添加するだけでは破断分割性を向上させることができないことが判明した。すなわち、熱間鍛造前の加熱により、添加した少量のTiを十分に固溶させることによって初めて良好な破断分割性が達成できる。
固溶したTiによって破断分割性が向上できるのは、(i)熱間鍛造前の加熱で十分に固溶したTiが熱間鍛造後の冷却過程でTi系析出物として析出することによって析出強化できること、および(ii)固溶Tiはフェライトの成長を抑制する効果があること、などが原因として考えられる。
前記(ii)について、熱間鍛造前にTiが固溶していたか否かは、熱間鍛造部品の組織を観察することで判断できる。一般に、Tiは炭化物や炭窒化物を形成し、ピンニング効果により結晶粒を微細化できることが広く知られているが、Tiを十分固溶させた場合にはこのピンニング効果が発揮されないため結晶粒は粗大化し、すなわち旧オーステナイト粒度番号A(以下、「Gf粒度番号A」と呼ぶ場合がある。)は小さくなる。さらに、固溶Tiによってフェライトの成長が抑制されると、フェライト粒径は小さくなり、フェライト粒度番号Fは大きくなる。したがって、熱間鍛造部品のフェライト粒度番号FとGf粒度番号Aの差が大きい場合には、熱間鍛造前にTiが固溶していたと判断できる。
後記する実施例のデータについて、フェライト粒度番号FとGf粒度番号Aの差(以下、「(F−A)値」と呼ぶ場合がある。)と、破断分割時の変形量の関係を図3に示す。本発明において、破断分割性は、欧州で破断分割型コンロッド用鋼として普及しているDIN規格のC70S6を基準として評価する。後記する実施例で鋼種Xとして示すC70S6は、破断分割した時の変形量が100μmであったため、本発明では破断分割時の変形量が100μm以下の場合を破断分割性に優れると評価している。図3から明らかな通り、(F−A)値が3以上である場合に変形量が100μm以下を達成できており、さらに(F−A)値が大きくなるほど変形量は減少する(すなわち破断分割性が良好になる)傾向にある。そこで(F−A)値を3以上とし、好ましくは3.5以上、より好ましくは4以上(特に4.5以上)とする。破断分割性を高める観点からは(F−A)値の上限は特に限定されないが、実現可能な(F−A)値の上限は10程度である。
また固溶Tiの作用により、フェライト粒度番号Fは例えば9〜13であり、Gf粒度番号Aは例えば3〜9である。
本発明に係る熱間鍛造部品の組織は、フェライト組織とパーライト組織の合計面積率が90%以上である。フェライトおよびパーライト組織以外の残部組織は、ベイナイト、マルテンサイト等の組織であっても良いが、強度および被削性の観点からできるだけ低減されることが好ましい。そこでフェライト組織とパーライト組織の合計面積率は好ましくは95%以上であり、より好ましくは97%以上(特に100%であってもよい)である。
また後記する実施例(実験No.30、31)で示すように、Tiを添加することによってパーライト分率、および硬さが上昇し、これらの相乗効果によっても破断分割性が向上しているものと考えられる。特にパーライト分率は、Tiを添加することでおおよそ5〜15%上昇する。本発明におけるパーライト分率は75%以上が好ましい。
上記したような固溶Tiの効果を有効に発揮するため、Ti量は0.015%以上とする。一方Ti量が過剰になると被削性が劣化するため0.1%以下とする。Ti量の好ましい範囲は0.018〜0.08%であり、より好ましい範囲は0.020〜0.07%である。
本発明の熱間鍛造部品は、上述したTiの他、C、Si、Mn、P、S、Cr、V、Alを必須元素として含有している。各元素の添加量および添加理由について以下に説明する。
C:0.27〜0.50%
Cは熱間鍛造の後の冷却後に、熱間鍛造部品のパーライト組織を増大させ、所望の強度を確保するのに寄与する元素である。またCは破断分割性の向上にも寄与する。一方、C量が過剰になると、被削性が低下する。そこでC量は0.27〜0.50%であり、強度と被削性のバランスを考慮すれば、好ましくは0.30〜0.48%、さらに好ましくは0.33〜0.45%である。
Si:0.10〜2.0%
Siは鋼の溶製時に脱酸元素として作用する他、鋼材のフェライト組織に固溶して熱間鍛造の後の冷却後に、熱間鍛造部品を強化するのに有効な元素である。一方、Si量が過剰になると、被削性および熱間加工性が劣化する。そこでSi量は0.10〜2.0%とし、好ましくは0.15〜1.0%、より好ましくは0.20〜0.7%である。
Mn:0.5〜1.5%
Mnは鋼の溶製時における脱酸および脱硫元素として作用する。また、Mnは熱間鍛造部品のパーライト焼入性を高めてパーライト量を増加させ、パーライト中のラメラー間隔を細かくすることにより耐力や疲労強度等の強度を向上させるのに有効である。さらに、Sと結合してMnSを形成することによって、破断分割時の切欠効果を発揮することができる。一方、Mn量が過剰になるとベイナイト組織が生成し、被削性が低下する。そこでMn量は0.5〜1.5%、好ましくは0.70〜1.2%、より好ましくは0.85〜1.1%である。
P:0.015〜0.07%
Pは粒界に偏析することにより靭延性を低下させるのに有効な元素である。一方、P量が過剰になると鋳造時に割れが発生して製造性が低下する。そこでP量は0.015〜0.07%であり、好ましくは0.020〜0.06%、より好ましくは0.025〜0.05%である。
S:0.01〜0.2%
SはMnと結合してMnSを形成し、破断分割時の切欠効果を発揮するとともに、被削性の向上にも寄与する元素である。一方、S量が過剰になると圧延時や熱間鍛造時に割れが発生するなどの弊害が生じる。そこでS量は0.01〜0.2%であり、好ましくは0.020〜0.1%、より好ましくは0.030〜0.070%である。
Cr:0.10〜1.0%
Crは、上述したMnと同様にパーライト焼入性を向上させ、耐力や疲労強度等の強度上昇に寄与する元素である。一方、Cr量が過剰になると硬さが大幅に上昇したり、金属組織中にベイナイトが生成して被削性に悪影響を及ぼす。そこでCr量は0.10〜1.0%とし、好ましくは0.13〜0.7%、より好ましくは0.15〜0.5%である。
V:0.03〜0.20%未満
Vは、微細な炭化物や窒化物を形成してフェライト地に析出し、耐力や疲労強度等の強度上昇に寄与する元素である。また破断分割性の向上への寄与も非常に大きい。一方、Vは近年価格が高騰しており、過剰に添加すると熱間鍛造部品のコスト増大を招く。そこでV量は0.03〜0.20%未満とし、好ましくは0.04〜0.15%、より好ましくは0.05〜0.10%である。
Al:0.05%以下(0%を含まない)
Alは、結晶粒を微細化して疲労特性の向上に寄与する元素である。一方、過剰に添加しても前記効果が飽和してしまう他、熱間加工性に悪影響を及ぼしてしまう。そこでAl量は0.05%以下とし、好ましくは0.005〜0.04%、より好ましくは0.010〜0.035%である。
本発明の熱間鍛造部品は、必要に応じてCaを以下の範囲で添加してもよい。
Ca:0.01%以下(0%を含まない)
Caは、硫化物系介在物を球状化してアスペクト比を小さくすることにより、破断分割性を向上させる作用を有する元素である。さらに、Caは熱間加工性を向上させ、圧延時や熱間鍛造時の割れ防止作用も得られる。但し、過剰に添加してもその効果が飽和し、コスト上昇を招く。そこでCa量は0.01%以下とすることが好ましい。Ca量はより好ましくは0.0005〜0.008%であり、さらに好ましくは0.001〜0.005%である。
さらに本発明の熱間鍛造部品は、上記元素の他に、Bi:0.2%以下(0%を含まない)、Pb:0.3%以下(0%を含まない)、を含有していても良い。Bi、Pbは鋼材の分野においては被削性を向上させる元素としてよく知られている。一方、Bi、Pbが過剰になると熱間加工性に悪影響を及ぼす。そこでBi量は好ましくは0.2%以下、より好ましくは0.05〜0.18%、さらに好ましくは0.10〜0.16%である。Pb量は好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.02〜0.25%、さらに好ましくは0.04〜0.20%である。Bi、Pbは単独で添加しても良いし、併用しても構わない。
本発明の熱間鍛造部品では、上記以外の成分(残部)は通常、鉄および不可避不純物である。なお、不可避不純物とは、原料(主原料、副原料など)や製造設備から混入してくる不純物を意味する。
本発明の熱間鍛造部品は、例えば常法によって溶製した鋼を、鋳造し、熱間鍛造し、必要により熱間コイニングを行うことによって製造できる。さらに、本発明の熱間鍛造部品の、分離すべき部分にレーザー等の熱源によって切欠きを設け、荷重を加えることによって、その切欠きを起点にして容易に破断が生じて2個以上の部品に分離することができ、例えば自動車用内燃機関部品(例えばコンロッド)などを製造することができる。
本発明の熱間鍛造部品において、上述したような固溶Tiの効果を有効に発揮させるためには、特に、熱間鍛造前に誘導加熱によって1150〜1300℃に加熱した後、熱間鍛造することが推奨される。
本発明で誘導加熱が推奨される理由は、炉加熱では加熱効率が悪く、加熱するのに時間がかかるため、表面が脱炭し、例えばコンロッド等としての部品特性(特に、疲労強度)が悪化するためである。誘導加熱による昇温速度は概ね20〜30℃/s程度である。前記の昇温速度を達成できる限り、誘導加熱の他、赤外線加熱等によって加熱してもよい。
また、熱間鍛造前の加熱温度が1150℃未満では、添加したTiが十分に固溶せず、上述した固溶Tiの効果(Ti系析出物による析出強化、およびフェライト組織の成長抑制)を十分に発揮することができない。そこで熱間鍛造前の加熱温度は1150℃以上であることが好ましく、より好ましくは1200℃以上である。また、加熱温度の上限は特に限定されないが、スケールの過度な生成防止の観点から1300℃以下とすることが好ましく、より好ましくは1250℃以下である。前記加熱温度において、一定時間保持しても良いし、保持しなくてもよいが、概ね5〜15秒程度保持することが、Tiを十分に固溶させる上で推奨される。保持は、一定温度(加熱温度)である必要はなく、1150〜1300℃の温度範囲であればよいが、保持中に鋼材の温度が加熱温度より50℃以上下がる場合は保持炉にて保温し、加熱した温度にて保持することが好ましい。
本発明では、必要により、熱間鍛造後に600℃以上の温度で熱間コイニングを行うことが推奨される。これによって鍛造精度を向上させることができる。
さらに、本発明では熱間鍛造部品に、破断分離時の割れを誘導するノッチとして、機械加工ではなく、レーザー等の熱源によるノッチを設ける。レーザーノッチの他、熱源を用いた加工は、例えばワイヤカット放電加工などが挙げられる。レーザー等による加工をすると高アスペクト比のノッチが加工でき、さらにノッチ周りがマルテンサイト化するため、切欠き係数の高いノッチを形成できる。したがって、機械加工に比べてより良好な破断分割性を実現することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
表1に示す化学成分組成の鋼を、通常の溶製方法に従って溶解し、鋳造、分塊した後、開始温度1050℃、終了温度900℃の圧延を行って、φ50mmの棒鋼を得た。その後、棒鋼を長さ155mmに切断し高周波誘導加熱により表2、3に示す加熱温度まで約20℃/sの昇温速度で加熱し、その後約5〜15秒程度保持した。さらに、棒鋼を厚さ22mmに平潰し鍛造加工した後、空冷処理した。得られた平板体の特性を下記の方法によって測定した。
(1)Gf粒度番号Aおよびフェライト粒度番号Fの測定、並びに組織分率の測定
後述する破断分割試験で使用する試験片の、ノッチ底付近に相当する位置で、平板体の長手方向に垂直な断面から約13mm(幅)×20mm(長さ)×5mm(高さ)の試験片を採取した。粒度番号、組織分率の測定は、光学顕微鏡を用い、倍率400倍で観察することにより行った。組織分率は、前記試験片を画像解析することにより求めた。また、Gf粒度番号AはJIS G0551の徐冷法に準じて測定した。さらに、フェライト粒度番号は、まず、前記試験片においてフェライトの個数nをカウントし、前述の方法によって求めたフェライト分率Sを用いて、平均面積a=S/nを求めた。フェライトの個数測定に際し、視野から一部外れるものについてはJIS G0551に準じて1/2個とカウントした。測定には60mm×45mmの写真を用い、フェライトの平均面積a=S/nより、JIS G0551の附属書Cの表1を用いてフェライト粒度番号Fを求めた。
(2)破断分割性の測定
上記平板体を切削し、図1に示すような試験片に加工した。図1中、(a)は試験片の上面図、(b)は試験片の側面図を示す。図1に示した試験片に、図2に示すような方向に荷重をかけ(室温)、破断分離させた。破断分割性は、破断分割後の、圧延方向の変形量と、ノッチ方向(圧延方向と垂直な方向)の変形量との差で評価した。表1において鋼種Xは、欧州のDIN規格のC70S6であり、C70S6を上述の方法によって破断分割したときの変形量は100μmであったため、変形量が100μm以下である場合を破断分割性に優れると評価した。測定は各実験No.につきn=10で実施し、n=10のうち最大のものをその実験No.の変形量とした。
また実験No.30、31については、上記平板体の上面をロックウェル硬度計(株式会社ミツトヨ製 型式:ATK−600、荷重:150kgf)で測定した。
結果を表2、表3に示す。
実験No.1は、上述したC70S6を破断分割した結果を示したものであり、破断分割後の変形量は100μmであった。
No.2〜8の結果から、熱間鍛造前の加熱温度が破断分割性に与える影響をみることができる。すなわち、加熱温度が低かったNo.2〜4は、Tiが固溶しなかったためピンニング効果によってGf粒度番号が大きくなり、(F−A)値が小さくなった結果、破断分割後の変形量が大きかったか、または破断分割することができなかった。一方、熱間鍛造前に適切な温度で加熱したNo.5〜8は(F−A)値を3以上とできた結果、良好な破断分割性を達成している。
No.9〜29の結果から、熱間鍛造部品の成分組成が破断分割性に与える影響をみることができる。すなわち、No.9〜23は成分組成が本発明範囲内に調整されており、熱間鍛造前の加熱温度も1200℃であるため、(F−A)値を3以上とすることができ、良好な破断分割性を達成している。
一方、No.24はTi量が過剰であったために、固溶せずに残存したTi系介在物のピンニング効果によりGf粒度番号が大きくなり、(F−A)値が3未満となった結果、破断分割性が低下している。
また、No.25〜29はTiを添加しなかった例であり、Ti系析出物による析出強化の効果が得られないため、破断分割性が低下している。またMn量が過剰であったNo.26、Cr量が過剰であったNo.27では、ベイナイトが生成したことも破断分割性を低下させる要因となっている。
さらに、No.30、31の結果からTi添加によるパーライト分率への影響および硬さへの影響をみることができる。Ti無添加のNo.31に比べて、Tiを適切な範囲で含有しているNo.30はパーライト分率が増加し、硬さも上昇していることがわかる。
本発明の熱間鍛造部品は、破断分割性に優れるため、例えばコンロッドなどのボルト締結を行う自動車用内燃機関部品に好適に用いられる。

Claims (6)

  1. C :0.27〜0.50%(質量%の意味。化学成分組成について、以下同じ。)、
    Si:0.10〜2.0%、
    Mn:0.5〜1.5%、
    P :0.015〜0.07%、
    S :0.01〜0.2%、
    Cr:0.10〜1.0%、
    V :0.03〜0.20%未満、
    Ti:0.015〜0.1%、
    Al:0.05%以下(0%を含まない)
    を含有し、残部が鉄および不可避不純物であり、
    フェライト組織とパーライト組織の合計面積率が全組織に対して90%以上であるとともに、
    (フェライト粒度番号F)−(旧オーステナイト粒度番号A)≧ 3を満たすことを特徴とする破断分割性に優れた熱間鍛造部品。
  2. 更に、Ca:0.01%以下(0%を含まない)を含有する請求項1に記載の熱間鍛造部品。
  3. 更に、Bi:0.2%以下(0%を含まない)および/またはPb:0.3%以下(0%を含まない)を含有する請求項1または2に記載の熱間鍛造部品。
  4. 熱間鍛造後に600℃以上の温度で熱間コイニングを行うものである請求項1〜3のいずれかに記載の熱間鍛造部品。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱間鍛造部品を破断分割して得られたものである自動車用内燃機関部品。
  6. コネクティングロッドである請求項5に記載の自動車用内燃機関部品。
JP2009122225A 2009-05-20 2009-05-20 破断分割性に優れた熱間鍛造部品とその製造方法、および自動車用内燃機関部品 Expired - Fee Related JP5432590B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009122225A JP5432590B2 (ja) 2009-05-20 2009-05-20 破断分割性に優れた熱間鍛造部品とその製造方法、および自動車用内燃機関部品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009122225A JP5432590B2 (ja) 2009-05-20 2009-05-20 破断分割性に優れた熱間鍛造部品とその製造方法、および自動車用内燃機関部品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010270358A true JP2010270358A (ja) 2010-12-02
JP5432590B2 JP5432590B2 (ja) 2014-03-05

Family

ID=43418616

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009122225A Expired - Fee Related JP5432590B2 (ja) 2009-05-20 2009-05-20 破断分割性に優れた熱間鍛造部品とその製造方法、および自動車用内燃機関部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5432590B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20140000409A (ko) * 2012-06-22 2014-01-03 현대자동차주식회사 비조질강 조성물, 이를 포함하는 강도가 향상된 열간 단조 부품 및 이의 제조방법
JP2014025105A (ja) * 2012-07-26 2014-02-06 Nippon Steel & Sumitomo Metal コネクティングロッド用鋼及びコネクティングロッド
JP2016180165A (ja) * 2015-03-25 2016-10-13 株式会社神戸製鋼所 破断分離型コネクティングロッド用成型部品及び破断分離型コネクティングロッド、並びにこれらの製造方法
JP2017101272A (ja) * 2015-11-30 2017-06-08 株式会社神戸製鋼所 破断分割型コネクティングロッドの製造方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4264460B1 (ja) * 2007-12-03 2009-05-20 株式会社神戸製鋼所 破断分割性および被削性に優れた破断分割型コネクティングロッド用鋼

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4264460B1 (ja) * 2007-12-03 2009-05-20 株式会社神戸製鋼所 破断分割性および被削性に優れた破断分割型コネクティングロッド用鋼

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20140000409A (ko) * 2012-06-22 2014-01-03 현대자동차주식회사 비조질강 조성물, 이를 포함하는 강도가 향상된 열간 단조 부품 및 이의 제조방법
KR101882495B1 (ko) * 2012-06-22 2018-07-27 현대자동차주식회사 비조질강 조성물, 이를 포함하는 강도가 향상된 열간 단조 부품 및 이의 제조방법
JP2014025105A (ja) * 2012-07-26 2014-02-06 Nippon Steel & Sumitomo Metal コネクティングロッド用鋼及びコネクティングロッド
JP2016180165A (ja) * 2015-03-25 2016-10-13 株式会社神戸製鋼所 破断分離型コネクティングロッド用成型部品及び破断分離型コネクティングロッド、並びにこれらの製造方法
JP2017101272A (ja) * 2015-11-30 2017-06-08 株式会社神戸製鋼所 破断分割型コネクティングロッドの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5432590B2 (ja) 2014-03-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5245997B2 (ja) 靭性に優れた高強度熱間鍛造非調質鋼及びその製造方法
JP5503195B2 (ja) 摩擦圧接に適した機械構造用鋼材およびその製造方法、摩擦圧接部品
JP5716640B2 (ja) 熱間鍛造用圧延棒鋼
US10066281B2 (en) Age-hardenable steel
JP5563926B2 (ja) 摩擦圧接に適した機械構造用鋼材および衝撃特性、曲げ疲労特性に優れた摩擦圧接部品
JP5655366B2 (ja) ベイナイト鋼
JP5432590B2 (ja) 破断分割性に優れた熱間鍛造部品とその製造方法、および自動車用内燃機関部品
JP2006274373A (ja) 靭性および冷間加工性に優れた高強度ねじ用鋼および高強度ねじの製造方法
JP5319374B2 (ja) 一体型クランク軸およびその製造方法
JP6620490B2 (ja) 時効硬化性鋼
JP5304507B2 (ja) 高周波焼入れ用非調質鋼
JP2007231337A (ja) 熱延鋼板および鋼部品
JP2009221590A (ja) 破断分離型コンロッド及びそれに用いる非調質鋼
JP2015134945A (ja) 浸炭用鋼
JP4835178B2 (ja) 耐焼き割れ性に優れた部品の製造方法
EP2985361B1 (en) Age-hardening steel
JP5916553B2 (ja) コネクティングロッド用鋼及びコネクティングロッド
JP5737152B2 (ja) 熱間鍛造用圧延棒鋼
JP2007146220A (ja) 靭性に優れた厚鋼板の製造方法
JP6256416B2 (ja) 肌焼鋼
WO2017094446A1 (ja) 破断分離型コネクティングロッド用鋼、破断分離型コネクティングロッド、およびこれらの製造方法
JP5755965B2 (ja) コネクティングロッド用鋼及びコネクティングロッド
JP2017179475A (ja) 破断分離型コネクティングロッド用成型部品、及びコネクティングロッド、並びに該コネクティングロッドの製造方法
JP7132000B2 (ja) 熱間鍛造用非調質鋼
JP6620822B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110930

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130820

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131021

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131112

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131206

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5432590

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees