JP5928163B2 - 静電容量型センサ、音響センサ及びマイクロフォン - Google Patents

静電容量型センサ、音響センサ及びマイクロフォン Download PDF

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Description

本発明は、静電容量型センサ、音響センサ及びマイクロフォンに関する。具体的に言うと、本発明は、振動電極板(ダイアフラム)と固定電極板からなるコンデンサ構造によって構成された静電容量型センサに関する。また、本発明は、音響振動を電気信号に変換して出力する音響センサ(音響トランスデューサ)と、該音響センサを用いたマイクロフォンに関する。特に、本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いて製作される微小サイズの静電容量型センサや音響センサに関するものである。
携帯電話機などに搭載される小型のマイクロフォンとしては、これまではエレクトレット・コンデンサマイク(Electret Condenser Microphone)が広く使用されてきた。しかし、エレクトレット・コンデンサマイクは熱に弱く、また、デジタル化への対応、小型化、高機能・多機能化、省電力といった点で、MEMSマイクロフォンに劣る。そのため、現在では、MEMSマイクロフォンが普及しつつある。
MEMSマイクロフォンは、音響振動を検出して電気信号(検出信号)に変換する音響センサ(音響トランスデューサ)と、該音響センサに電圧を印加する駆動回路と、音響センサからの検出信号に対し増幅などの信号処理を行って外部に出力する信号処理回路とを備えている。MEMSマイクロフォンに用いられる音響センサは、MEMS技術を利用して製造された静電容量型の音響センサである。また、上記駆動回路および上記信号処理回路は、半導体製造技術を利用してASIC(Application Specific Integrated Circuit)として一体に製造される。
近時、マイクロフォンは、小さな音圧から大きな音圧までの音を高感度で検出することが求められている。一般に、マイクロフォンの最大入力音圧は、高調波歪み率(Total Harmonic Distortion)によって制限される。これは、大きな音圧の音をマイクロフォンで検出しようとすると、出力信号に高調波歪みが発生し、音質や精度を損ねてしまうためである。よって、高調波歪み率を小さくすることができれば、最大入力音圧を大きくしてマイクロフォンの検出音圧域(以下、ダイナミックレンジという。)を広くすることができる。
しかしながら、一般的なマイクロフォンでは、音響振動の検出感度向上と高調波歪み率の低減とがトレードオフの関係にある。このため、小音量(小音圧)の音を検出することのできる高感度のマイクロフォンでは、大音量の音が入ってきたときに出力信号の高調波歪み率が大きくなり、そのために最大検出音圧が制限される。これは、高感度のマイクロフォンは出力信号が大きくなり、高調波歪みが発生し易いからである。反対に、出力信号の高調波歪みを低減することによって最大検出音圧を大きくしようとすると、マイクロフォンの感度が悪くなり、小音量の音を高品質で検出することが困難になる。この結果、一般的なマイクロフォンでは、小音量(小音圧)から大音量(大音圧)の音まで広いダイナミックレンジを持たせることが困難であった。
このような技術的背景のもとで、広いダイナミックレンジを有するマイクロフォンを実現する方法として、検出感度の異なる複数の音響センサを利用したマイクロフォンが検討されている。このようなマイクロフォンとしては、たとえば特許文献1−4に開示されたものがある。
特許文献1、2には、複数の音響センサを設け、複数の音響センサからの複数の信号を、音圧に応じて切り替える、或いは融合させるマイクロフォンが開示されている。このようなマイクロフォンでは、たとえば検出可能な音圧レベル(SPL)が約30dB−115dBである高感度の音響センサと、検出可能な音圧レベルが約60dB−140dBである低感度の音響センサとを切り替えて利用することにより、検出可能な音圧レベルが約30dB−140dBであるマイクロフォンを構成できる。また、特許文献3、4には、1つのチップに、独立した複数の音響センサを形成したものが開示されている。
図1Aは、特許文献1の高感度の音響センサにおける高調波歪み率と音圧との関係を示す。図1Bは、特許文献1の低感度の音響センサにおける高調波歪み率と音圧との関係を示す。また、図2は、特許文献1の高感度の音響センサと低感度の音響センサにおけるダイアフラムの平均変位量と音圧との関係を示す。いま、許容される高調波歪み率が20%であるとすれば、高感度の音響センサの最大検出音圧は約115dBとなる。また、高感度の音響センサでは、音圧が約30dBよりも小さくなるとS/N比が劣化するので、その最小検出音圧は約30dBとなる。よって、高感度の音響センサのダイナミックレンジは、図1Aに示すように、約30dB−115dBとなる。同様に、許容される高調波歪み率が20%であるとすれば、低感度の音響センサの最大検出音圧は約140dBとなる。また、低感度の音響センサは高感度の音響センサよりもダイアフラムの面積が小さく、図2に示すようにダイアフラムの平均変位量も高感度の音響センサより小さい。よって、低感度の音響センサの最小検出音圧は、高感度の音響センサよりも大きくなり、約60dBとなる。その結果、低感度の音響センサのダイナミックレンジは、図1Bに示すように、約60dB−140dBとなる。このような高感度の音響センサと低感度の音響センサを組み合わせると、検出可能な音圧域は、図1Cに示すように、約30dB−140dBというように広くなる。
なお、高調波歪み率とは、以下のように定義される。図3Aに実線で示す波形は、基本となる周波数f1の正弦波形である。この基本正弦波形をフーリエ変換すると、周波数f1の位置のみにスペクトル成分が現れる。図3Aの基本正弦波形が何らかの原因で図3Aに破線で示す波形のように歪んだとする。この歪み波形をフーリエ変換したとき、図3Bのような周波数スペクトルが得られたとする。すなわち、歪み波形が周波数f1、f2、…、f5にそれぞれV1、V2、…、V5のFFT強度(高速フーリエ変換強度)を有しているとする。このとき、当該歪み波形の高調波歪み率THDは、次の数式1で定義される。
米国特許出願公開第2009/0316916号明細書 米国特許出願公開第2010/0183167号明細書 特開2008−245267号公報 米国特許出願公開第2007/0047746号明細書
しかしながら、特許文献1−4に記載されたマイクロフォンにおいては、複数の音響センサが別々のチップに形成されている場合であっても、複数の音響センサが1つのチップ(基板)に一体に形成されている場合であっても、各音響センサは互いに独立したコンデンサ構造を有している。そのため、これらのマイクロフォンでは、音響特性にバラツキおよびミスマッチングが発生することになる。ここで、音響特性のバラツキとは、チップ間における音響センサどうしの音響特性のズレをいう。また、音響特性のミスマッチングとは、同一チップ内における複数の音響センサどうしの音響特性のズレをいう。
具体的に言えば、各音響センサが別々のチップに形成されている場合では、作製されるダイアフラムの反りや厚みのバラツキなどのため、検出感度に関するチップ間のバラツキが発生する。その結果、音響センサ間の検出感度の差に関するチップ間のバラツキが大きくなる。また、独立した各音響センサが共通のチップに一体に形成されている場合でも、MEMS技術を用いて各音響センサのコンデンサ構造を作製する際に、ダイアフラムと固定電極との間のギャップ距離にバラツキが生じやすい。さらに、バックチャンバおよびベントホールが個別に形成されることになるので、該バックチャンバおよびベントホールによって影響を受ける周波数特性、位相などの音響特性にチップ内のミスマッチングが発生することになる。
本発明は、上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、感度の異なる複数のセンシング部を一体に形成することによってダイナミックレンジが広くてセンシング部間でのミスマッチングも小さく、さらに高調波歪みを低減することができる静電容量型センサ及び音響センサを提供することにある。
本発明に係る静電容量型センサは、基板の上方に形成された振動電極板と、前記振動電極板を覆うようにして前記基板の上方に形成されたバックプレートと、前記振動電極板と対向させるようにして前記バックプレートに設けた固定電極板とを備えた静電容量型センサにおいて、前記振動電極板と前記固定電極板のうち少なくとも一方が複数領域に分割されていて、分割された各領域毎にそれぞれ前記振動電極板と前記固定電極板からなるセンシング部が形成され、前記センシング部どうしを区切るようにして、前記バックプレートに、振動の伝搬を抑制するための隔離部を設けたことを特徴とする。
本発明の静電容量型センサによれば、振動電極板および固定電極板の少なくとも一方が分割されているので、振動電極板および固定電極板の間に複数のセンシング部(可変コンデンサ構造)が形成される。したがって、分割された各センシング部からそれぞれ電気信号が出力され、音響振動などの圧力変化を複数の電気信号に変換して出力することができる。このような静電容量型センサによれば、たとえば振動電極板毎に面積を異ならせたり、振動電極板毎に変位量を異ならせたりすることにより、各センシング部の検知域や感度を異ならせることができ、信号を切り替えたり組み合わせたりすることによって感度を低下させることなく検知域を広げることができる。
また、上記複数のセンシング部は、同時に作製された振動電極板又は固定電極板を分割して形成されているので、別々に作製されていて互いに独立した複数のセンシング部を有する従来技術に比べて、各センシング部どうしの特性バラツキが小さくなる。その結果、各センシング部どうしの検出感度の差に起因する特性バラツキを小さくすることができる。また、各センシング部は、振動電極板と固定電極板を共用しているので、周波数特性、位相などの特性に関するミスマッチングを低減することができる。
また、本発明の静電容量型センサにおいては、振動電極板又は固定電極板の分割された各領域毎にそれぞれセンシング部が形成され、センシング部どうしを区切るようにしてバックプレートに、振動の伝搬を抑制するための隔離部が形成されているので、ある領域のセンシング部でダイアフラムがバックプレートに衝突して歪み振動を発生しても、そのバックプレートは他のセンシング部とは隔離部によって分離されているので、歪み振動が他のセンシング部へ伝わりにくい。その結果、あるセンシング部で発生した歪み振動がバックプレートを通じて他のセンシング部へ広がり、他のセンシング部の高調波歪み率を悪化させにくい。特に、本発明の静電容量型センサによれば、高感度側のセンシング部で発生した歪み振動が低感度側のセンシング部へ伝わりにくくなるので、低感度側のセンシング部の高調波歪み率が悪化するのを防ぐことができ、低感度側のセンシング部のダイナミックレンジが狭くなるのを防ぐことができる。
本発明に係る静電容量型センサのある実施態様は、前記隔離部が、前記バックプレートに形成された1本又は2本以上のスリットであることを特徴とする。かかる実施態様によれば、バックプレートの成膜時にバックプレートにスリットを形成するだけでよく、MEMS技術によって容易に隔離部を作製することができる。
本発明に係る静電容量型センサの別な実施態様は、隔離部がバックプレートのスリットである静電容量型センサにおいて、前記バックプレートのスリットが、前記バックプレートの上面から下面まで貫通していることを特徴とする。かかる実施態様によれば、センシング部間で歪み振動がより伝わりにくくなり、高調波歪みの抑制効果がより高くなる。また、バックプレートのスリットが貫通しているので、センシング部内の空気分子をバックプレートのスリットから外部へ逃すことができ、熱雑音によるノイズを低減できる。
本発明に係る静電容量型センサのさらに別な実施態様は、隔離部がバックプレートのスリットである静電容量型センサにおいて、前記バックプレートのスリットの終端にノッチを形成していることを特徴とする。かかる実施態様によれば、バックプレートのスリットの終端にノッチを設けているので、バックプレートのスリットの端に応力が集中しにくく、バックプレートのスリットが残留応力や落下衝撃などによって破損しにくくなる。
本発明に係る静電容量型センサのさらに別な実施態様は、前記ノッチの直径が、前記バックプレートのスリットの幅よりも大きいことを特徴とする。ノッチの直径は、バックプレートのスリットの幅よりも大きくしておくことにより、応力集中を緩和する効果が高くなる。
また、前記バックプレート及び前記固定電極板に複数個の孔が開口されている場合には、前記バックプレートのスリットの形態としては、(1)バックプレートのスリットが、前記孔を避けて直線状に延びていてもよく、(2)バックプレートのスリットが、前記孔を通過して直線状に延びていてもよい。また、(3)バックプレートのスリットが、前記孔を通過してジグザグに延びていてもよく、(4)バックプレートのスリットが、前記孔と前記孔の間を結ぶように不連続に形成されていてもよい。
さらに、前記バックプレートに形成された複数のスリットは、前記センシング部どうしを区切るようにして飛び飛びに形成されていてもよい。バックプレートのスリットを飛び飛びに形成すれば、前記センシング部間でバックプレートの強度が低下しにくくなる。
なお、隔離部はバックプレートのスリットに限らず、振動の伝搬を抑制することのできる材料や構造によって形成することができる。
本発明に係る静電容量型センサのさらに別な実施態様は、前記隔離部の周辺部分において、前記バックプレートの下面にストッパを突設したことを特徴とする。バックプレートに隔離部、たとえばスリットを設けていると、バックプレートにおける隔離部の縁が撓みやすくなり、バックプレートとダイアフラムが固着する恐れがある。したがって、当該実施形態のように、隔離部の周辺部分において、バックプレートの下面にストッパを突設し、バックプレートとダイアフラムが固着しにくくすることが望ましい。
本発明に係る静電容量型センサのさらに別な実施態様は、前記振動電極板がスリットによって複数領域に分割されており、前記隔離部が、前記振動電極板のスリットの直上に位置していることを特徴とする。振動電極板に隔離部が設けられていると、振動電極板のスリット付近は、振動電極板がバックプレートに衝突しやすい箇所と衝突しにくい箇所との境界となる。よって、振動電極板の直上においてバックプレートに隔離部を設けて、衝突しやすい領域から衝突しにくい領域へ衝突による歪み振動が伝わりにくくすることが好ましい。
本発明に係る音響センサは、本発明に係る静電容量型センサを利用した音響センサであって、前記バックプレート及び前記固定電極板には、音響振動を通過させるための複数個の孔が形成され、音響振動に感応した前記振動電極板と前記固定電極板との間の静電容量の変化により、前記センシング部から信号を出力することを特徴とする。
複数のセンシング部を有する音響センサでは、大きな音圧の音響振動が加わった場合には、感度の高いセンシング部で振動電極板がバックプレートに衝突して歪み振動が発生しやすい。しかし、本発明の音響センサでは、バックプレートに隔離部を設けて歪み振動が感度の低いセンシング部へ伝わりにくくしている。よって、高感度側で発生した歪み振動によって低感度側のセンシング部の高調波歪みが大きくなるのを防ぐことができ、音響センサのダイナミックレンジが狭くなるのを防ぐことができる。
本発明に係るマイクロフォンは、本発明に係る音響センサと、前記音響センサからの信号を増幅して外部に出力する回路部とを備えたものである。本発明のマイクロフォンでは、高感度側で発生した歪み振動によって低感度側のセンシング部の高調波歪みが大きくなるのを防ぐことができ、マイクロフォンのダイナミックレンジが狭くなるのを防ぐことができる。
なお、本発明における前記課題を解決するための手段は、以上説明した構成要素を適宜組み合せた特徴を有するものであり、本発明はかかる構成要素の組合せによる多くのバリエーションを可能とするものである。
図1Aは、特許文献1の高感度の音響センサにおける高調波歪み率と音圧との関係を示す図である。図1Bは、特許文献1の低感度の音響センサにおける高調波歪み率と音圧との関係を示す図である。図1Cは、特許文献1の高感度の音響センサと低感度の音響センサを組み合わせた場合における、高調波歪み率と音圧との関係を示す図である。 図2は、特許文献1の高感度の音響センサと低感度の音響センサにおけるダイアフラムの平均変位量と音圧との関係を示す図である。 図3Aは、基本波形と歪みを含んだ波形を示す図である。図3Bは、図3Aに示す歪んだ波形の周波数スペクトル図である。 図4は、本発明の実施形態1による音響センサの分解斜視図である。 図5は、本発明の実施形態1による音響センサの断面図である。 図6Aは、本発明の実施形態1による音響センサの平面図である。図6Bは、図6AのX部拡大図である。 図7は、図6Aに示した音響センサからバックプレートや保護膜などを除いた状態を示す平面図である。 図8Aは、本発明の実施形態1による音響センサと信号処理回路をケーシング内に納めたマイクロフォンの一部破断した平面図である。図8Bは、当該マイクロフォンの縦断面図である。 図9は、本発明の実施形態1によるマイクロフォンの回路図である。 図10は、比較例の音響センサにおいて、高感度側のダイアフラムがバックプレートに衝突した様子を示す概略断面図である。 図11Aは、図10の音響センサにおいて、高感度側のダイアフラムがバックプレートに衝突したときの高感度側のバックプレートに発生する振動を示す図である。図11Bは、図10の音響センサにおいて、高感度側のダイアフラムがバックプレートに衝突したときの低感度側のバックプレートに伝搬する振動を示す図である。図11Cは、低感度側のダイアフラムの振動を示す図である。図11Dは、図10の音響センサにおいて、高感度側のダイアフラムがバックプレートに衝突したときの高感度側のダイアフラムと固定電極板との間のギャップの変化を示す図である。 図12は、本発明の実施形態1による音響センサにおいて、高感度側のダイアフラムがバックプレートに衝突した様子を示す概略断面図である。 図13Aは、図12の音響センサにおいて、高感度側のダイアフラムがバックプレートに衝突したときの高感度側のバックプレートに発生する振動を示す図である。図13Bは、図12の音響センサにおいて、高感度側のダイアフラムがバックプレートに衝突したときの低感度側のバックプレートに伝搬する振動を示す図である。図13Cは、低感度側のダイアフラムの振動を示す図である。図13Dは、図12の音響センサにおいて、高感度側のダイアフラムがバックプレートに衝突したときの高感度側のダイアフラムと固定電極板との間のギャップの変化を示す図である。 図14は、バックプレートに設けたバックプレートのスリットの長さとダイアフラムの平均変位量との関係を示す図である。 図15は、バックプレートのスリットの長さと低感度側の音響センシング部の高調波歪み率との関係を示す図である。 図16は、バックプレートにバックプレートのスリットを設けていないモデルIの、圧力印加時における変位量の分布を示す図である。 図17は、バックプレートに長さ320μmのバックプレートのスリットを設けたモデルIIの、圧力印加時における変位量の分布を示す図である。 図18は、バックプレートに長さ540μmのバックプレートのスリットを設けたモデルIIIの、圧力印加時における変位量の分布を示す図である。 図19は、バックプレートに長さ720μmのバックプレートのスリットを設けたモデルIVの、圧力印加時における変位量の分布を示す図である。 図20Aは、バックプレートのスリットの縁に設けたストッパを示す下面図である。図20Bは、バックプレートのスリットの縁に設けたストッパを示す、バックプレートの断面図である。 図21A及び図21Bは、バックプレートのスリットの種々の形態を示す図である。 図22A及び図22Bは、バックプレートのスリットの種々の形態を示す図である。 図23は、本発明の実施形態2による音響センサの平面図である。 図24Aは、図23の音響センサの固定電極板を示す平面図である。図24Bは、図23の音響センサのダイアフラムを示す平面図である。 図25Aは、本発明の実施形態3による音響センサの平面図である。図25Bは、実施形態3の音響センサにおける固定電極板とダイアフラムを示す平面図である。 図26Aは、本発明の実施形態3の変形例による音響センサを示す平面図である。図26Bは、実施形態3の変形例による音響センサにおける固定電極板とダイアフラムを示す平面図である。 図27Aは、本発明の実施形態3の別な変形例による音響センサを示す平面図である。図27Bは、実施形態3の別な変形例による音響センサにおける固定電極板とダイアフラムを示す平面図である。 図28は、本発明の実施形態4による音響センサを示す平面図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々設計変更することができる。特に、以下においては音響センサ及びマイクロフォンを例にとって説明するが、本発明は音響センサ以外に、圧力センサなどの静電容量型センサにも適用できるものである。
(実施形態1)
以下、図4−7を参照して本発明の実施形態1による音響センサの構造を説明する。図4は、本発明の実施形態1による音響センサ11の分解斜視図である。図5は、音響センサ11の断面図である。図6Aは、音響センサ11の平面図である。図6Bは、図6AのX部拡大図である。図7は、バックプレート18や保護膜30などを除いた音響センサ11の平面図であって、シリコン基板12の上方でダイアフラム13と固定電極板19が重なった様子を表している。ただし、これらの図は、音響センサ11のMEMSによる製造工程を反映したものではない
この音響センサ11は、MEMS技術を利用して作製された静電容量型素子である。図4及び図5に示すように、この音響センサ11は、シリコン基板12(基板)の上面にアンカー16a、16bを介してダイアフラム13を設け、ダイアフラム13の上方に微小なエアギャップ20(空隙)を介して天蓋部14を配し、シリコン基板12の上面に固定したものである。
単結晶シリコンからなるシリコン基板12には、表面から裏面に貫通したチャンバ15(空洞部)が開口されている。図示のチャンバ15は、(100)面シリコン基板の(111)面及び(111)面と等価な面によって形成された傾斜面で壁面が構成されているが、チャンバ15の壁面は垂直面であってもよい。
ダイアフラム13は、チャンバ15の上方を覆うようにしてシリコン基板12の上方に配置されている。図4及び図7に示すように、ダイアフラム13は、略矩形状に形成されている。ダイアフラム13は、導電性を有するポリシリコン薄膜によって形成されていてダイアフラム13自体が振動電極板となっている。ダイアフラム13は、短辺と平行な方向に延びた略直線状のスリット17によって大小2つの領域に分割されている。ただし、ダイアフラム13はスリット17によって完全に2分割されているというのではなく、スリット17の端部付近で機械的及び電気的につながっている。以下においては、スリット17によって分割された2つの領域のうち、面積の大きな略矩形領域を第1ダイアフラム13aと呼び、第1ダイアフラム13aよりも面積の小さな略矩形領域を第2ダイアフラム13bと呼ぶ。
第1ダイアフラム13aは、シリコン基板12の上面で、各コーナー部に設けられた脚片26をアンカー16aによって支持されており、シリコン基板12の上面から浮かせて支持されている。隣接するアンカー16a間において、第1ダイアフラム13aの外周部下面とシリコン基板12の上面との間には、音響振動を通過させるための狭いベントホール22aが形成されている。
第2ダイアフラム13bは、シリコン基板12の上面で、その両短辺をアンカー16bによって支持されており、シリコン基板12の上面から浮かせて支持されている。第2ダイアフラム13bの長辺下面とシリコン基板12の上面との間には、音響振動を通過させるための狭いベントホール22bが形成されている。
第1ダイアフラム13aと第2ダイアフラム13bは、いずれもシリコン基板12の上面から等しい高さにある。すなわち、ベントホール22aとベントホール22bは等しい高さの隙間となっている。また、ダイアフラム13には、シリコン基板12の上面に設けられた引出配線27が接続される。さらに、シリコン基板12の上面には、ダイアフラム13を囲むようにして帯状の土台部21が形成されている。アンカー16a、16b及び土台部21は、SiOによって形成されている。
図5に示すように、天蓋部14は、SiNからなるバックプレート18の下面にポリシリコンからなる固定電極板19を設けたものである。天蓋部14は、ドーム状に形成されていてその下に空洞部分を有しており、その空洞部分でダイアフラム13a、13bを覆っている。天蓋部14の下面(すなわち、固定電極板19の下面)とダイアフラム13a、13bの上面との間には微小なエアギャップ20(空隙)が形成されている。
固定電極板19は、第1ダイアフラム13aと対向する第1固定電極板19aと、第2ダイアフラム13bと対向する第2固定電極板19bとに分割されていて、固定電極板19a、19bどうしは電気的に分離している。第1固定電極板19aは、第2固定電極板19bよりも大きな面積を有している。第1固定電極板19aからは引出配線28が引き出されており、第2固定電極板19bからは引出配線29が引き出されている。
エアギャップ20を挟んで対向する第1ダイアフラム13aと第1固定電極板19aによってコンデンサ構造の第1音響センシング部23aが形成されている。また、エアギャップ20を挟んで対向する第2ダイアフラム13bと第2固定電極板19bによってコンデンサ構造の第2音響センシング部23bが形成されている。第1音響センシング部23aにおけるエアギャップ20のギャップ距離と、第2音響センシング部23bにおけるエアギャップ20のギャップ距離は等しい。なお、第1及び第2ダイアフラム13a、13bの分割位置と、第1及び第2固定電極板19a、19bの分割位置は、図示例では一致しているが、ずれていても差し支えない。
第1音響センシング部23aにおいて、天蓋部14(すなわち、バックプレート18と第1固定電極板19a)には、上面から下面に貫通するようにして、音響振動を通過させるためのアコースティックホール24(音響孔)が多数穿孔されている。第2音響センシング部23bにおいても、天蓋部14(すなわち、バックプレート18と第2固定電極板19b)には、上面から下面に貫通するようにして、音響振動を通過させるためのアコースティックホール24(音響孔)が多数穿孔されている。なお、図示例においては、第1音響センシング部23aと第2音響センシング部23bで、アコースティックホール24の孔径とピッチが等しくなっているが、両音響センシング部23a、23bでアコースティックホールの孔径やピッチが異なっている場合もある。
図6及び図7に示すように、アコースティックホール24は、両音響センシング部23a、23bにおいて、それぞれ規則的に配列されている。図示例では、アコースティックホール24は、互いに120°の角度を成す3方向に沿って三角形状に配列されているが、矩形状や同心円状などに配置されていてもよい。
バックプレート18には、第1音響センシング部23aと第2音響センシング部23bを区切るようにして隔離部、すなわちバックプレート・スリット34(以下、ダイアフラムのスリットと混同する恐れがない場合には、単にスリット34と呼ぶことがある。)が設けられている。スリット34は、第1固定電極板19aと第2固定電極板19bの間を通過しており、バックプレート18の上面から下面へ貫通している。以下においては、バックプレート18のうち、スリット34によって分割された第1音響センシング部23a側の領域をバックプレート18aで表し、スリット34によって分割された第2音響センシング部23b側の領域をバックプレート18bで表す。また、スリット34の両端には、直径がスリット34の幅Wよりも大きくて、上下に貫通した円形のノッチ35(切欠き)が形成されている。なお、図示例では、スリット34はバックプレート18の上面から下面へ貫通しているが、スリット34内にバックプレート18の一部が残っていてスリット34の長さ方向と垂直な断面が凹状に形成されていてもよい。図示例では、バックプレート18aとバックプレート18bは一部でつながっているが、両バックプレート18a、18bがスリット34によって完全に分離されていてもよい。
図5に示すように、第1音響センシング部23aでも第2音響センシング部23bでも、天蓋部14の下面には、円柱状をした微小なストッパ25(突起)が突出している。ストッパ25は、バックプレート18の下面から一体に突出しており、第1及び第2固定電極板19a、19bを貫通して天蓋部14の下面に突出している。ストッパ25はバックプレート18と同じくSiNからなるので、絶縁性を有する。このストッパ25は、静電気力によって各ダイアフラム13a、13bが各固定電極板19a、19bに固着して離れなくなるのを防ぐためのものである。
天蓋状をしたバックプレート18の外周縁からは、全周にわたって保護膜30が連続的に延出している。保護膜30は、土台部21とその外側のシリコン基板表面を覆っている。
保護膜30の上面には、共通電極パッド31、第1電極パッド32a、第2電極パッド32b及び接地電極パッド33が設けられている。ダイアフラム13に接続された引出配線27の他端は、共通電極パッド31に接続されている。第1固定電極板19aから引き出された引出配線28は、第1電極パッド32aに接続され、第2固定電極板19bから引き出された引出配線29は、第2電極パッド32bに接続されている。また、電極パッド33は、シリコン基板12に接続されていて、接地電位に保たれる。
この音響センサ11にあっては、音響振動がチャンバ15(フロントチャンバ)に入ると、薄膜である各ダイアフラム13a、13bが音響振動によって同じ位相で振動する。各ダイアフラム13a、13bが振動すると、各音響センシング部23a、23bの静電容量が変化する。この結果、各音響センシング部23a、23bにおいては、ダイアフラム13a、13bが感知している音響振動(音圧の変化)がダイアフラム13a、13bと固定電極板19a、19bの間の静電容量の変化となり、電気的な信号として出力される。また、異なる使用形態、すなわちチャンバ15をバックチャンバとする使用形態の場合には、音響振動がアコースティックホール24a、24bを通過して天蓋部14内のエアギャップ20に入り、薄膜である各ダイアフラム13a、13bを振動させる。
また、第2ダイアフラム13bの面積は第1ダイアフラム13aの面積よりも小さくなっているので、第2音響センシング部23bは中音量〜大音量までの音圧域用の低感度の音響センサとなっており、第1音響センシング部23aは小音量〜中音量までの音圧域用の高感度の音響センサとなっている。したがって、両音響センシング部23a、23bをハイブリッド化して後述の処理回路によって信号を出力させることにより音響センサ11のダイナミックレンジを広げることができる。たとえば、第1音響センシング部23aのダイナミックレンジを約30−120dBとし、第2音響センシング部23bのダイナミックレンジを約50−140dBとすれば、両音響センシング部23a、23bを組み合わせることでダイナミックレンジを約30−140dBに広げることができる。また、音響センサ11を小音量〜中音量までの第1音響センシング部23aと中音量〜大音量までの第2音響センシング部23bに分けてあれば、第1音響センシング部23aの出力を大音量では使用しないようにでき、第1音響センシング部23aは大きな音圧域で高調波歪みが大きくなっても差し支えない。よって、第1音響センシング部23aの小音量に対する感度を高くすることができる。
さらに、この音響センサ11では、第1音響センシング部23aと第2音響センシング部23bが同一基板上に形成されている。しかも、第1音響センシング部23aと第2音響センシング部23bが、ダイアフラム13を分割した第1ダイアフラム13a及び第2ダイアフラム13bと、固定電極板19を分割した第1固定電極板19a及び第2固定電極板19bとによって構成されている。すなわち、本来1つのセンシング部となるものを2つに分割して第1音響センシング部23aと第2音響センシング部23bをハイブリッド化しているので、1つの基板に独立した2つのセンシング部を設けた従来例や別々の基板にそれぞれセンシング部を設けた従来例に比較して、第1音響センシング部23aと第2音響センシング部23bは、検出感度に関するバラツキが類似することになる。その結果、両音響センシング部23a、23b間の検出感度バラツキを小さくできる。また、両音響センシング部23a、23bは、上記ダイアフラムと固定電極板を共用しているので、周波数特性、位相などの音響特性に関するミスマッチングを抑制することができる。
図8Aは、実施形態1の音響センサ11を内蔵したマイクロフォン41の一部破断した平面図であって、カバー43の上面を除去して内部を表している。図8Bは、当該マイクロフォン41の縦断面図である。
このマイクロフォン41は、回路基板42とカバー43からなるパッケージ内に音響センサ11と信号処理回路44(ASIC)を内蔵したものである。音響センサ11と信号処理回路44は、回路基板42の上面に実装されている。回路基板42には、音響センサ11内に音響振動を導き入れるための音導入孔45が開口されている。音響センサ11は、チャンバ15の下面開口を音導入孔45に合わせ、音導入孔45を覆うようにして回路基板42の上面に実装されている。したがって、音響センサ11のチャンバ15がフロントチャンバとなっており、パッケージ内の空間がバックチャンバとなっている。
音響センサ11の電極パッド31、32a、32b及び33は、それぞれボンディングワイヤ46によって信号処理回路44の各パッド47に接続されている。回路基板42の下面にはマイクロフォン41を外部と電気的接続するための端子48が複数個設けられ、回路基板42の上面には端子48と導通した各電極部49が設けられている。回路基板42に実装された信号処理回路44の各パッド50は、それぞれボンディングワイヤ51によって電極部49に接続されている。なお、信号処理回路44のパッド50は、音響センサ11へ電源を供給する機能や、音響センサ11の容量変化信号を外部へ出力する機能を有するものである。
回路基板42の上面には、音響センサ11及び信号処理回路44を覆うようにしてカバー43が取り付けられる。パッケージは電磁シールドの機能を有しており、外部からの電気的な外乱や機械的な衝撃から音響センサ11や信号処理回路44を保護している。
こうして、音導入孔45からチャンバ15内に入った音響振動は、音響センサ11によって検出され、信号処理回路44によって増幅及び信号処理された後に出力される。このマイクロフォン41では、パッケージ内の空間をバックチャンバとしているので、バックチャンバの容積を大きくでき、マイクロフォン41を高感度化することができる。
なお、このマイクロフォン41においては、パッケージ内に音響振動を導き入れるための音導入孔45をカバー43の上面に開口していてもよい。この場合には、音響センサ11のチャンバ15がバックチャンバとなり、パッケージ内の空間がフロントチャンバとなる。
図9は、図8に示すMEMSマイクロフォン41の回路図である。図9に示すように、音響センサ11は、音響振動によって容量が変化する高感度側の第1音響センシング部23aと低感度側の第2音響センシング部23bを備えている。
また、信号処理回路44は、チャージポンプ52、低感度用アンプ53、高感度用アンプ54、ΣΔ(ΔΣ)型ADC(Analog-to-Digital Converter)55、56、基準電圧発生器57、およびバッファ58を備える構成である。
チャージポンプ52は、第1音響センシング部23a及び第2音響センシング部23bに高電圧HVを印加しており、第2音響センシング部23bから出力された電気信号は低感度用アンプ53によって増幅され、また第1音響センシング部23aから出力された電気信号は高感度用アンプ54によって増幅される。低感度用アンプ53で増幅された信号は、ΣΔ型ADC55においてデジタル信号に変換される。同様に、高感度用アンプ54で増幅された信号は、ΣΔ型ADC56においてデジタル信号に変換される。ΣΔ型ADC55、56において変換されたデジタル信号は、バッファ58を介してPDM(パルス密度変調)信号として外部に出力される。また、図示しないが、バッファ58から出力された信号の強度が大きい場合(すなわち、音圧が大きい場合)には、ΣΔ型ADC55の出力がオンに保たれ、ΣΔ型ADC56の出力がオフになる。したがって、第2音響センシング部23bで検出された音圧の大きな音響振動の電気信号がバッファ58から出力される。反対に、バッファ58から出力された信号の強度が小さい場合(すなわち、音圧が小さい場合)には、ΣΔ型ADC56の出力がオンに保たれ、ΣΔ型ADC55の出力がオフになる。したがって、第1音響センシング部23aで検出された音圧の小さな音響振動の電気信号がバッファ58から出力される。こうして、音圧に応じて第1音響センシング部23aと第2音響センシング部23bが自動的に切り替えられる。
なお、図9の例では、ΣΔ型ADC55、56にて変換された2つのデジタル信号を混載して、1つのデータ線上に出力しているが、上記2つのデジタル信号を別々のデータ線上に出力してもよい。
ところで、高感度用と低感度用の音響センシング部を設けた音響センサ、あるいはその音響センサを内蔵したマイクロフォンでは、高感度側(小音量側)の音響センシングと低感度側(大音量側)の音響センシング部との干渉によって低感度側の音響センシング部の高調波歪みが大きくなり、その結果、音響センサの最大検出音圧が低下してダイナミックレンジが狭くなるおそれがある。本発明の実施形態1による音響センサ11によれば、このような高調波歪みの増大を防ぐことができる。この理由は次の通りである。
高感度側の第1ダイアフラム13aは、低感度側の第2ダイアフラム13bよりも面積が大きくて柔軟である。そのため、音響センサに大音圧の音響振動が加わった場合には、図10に示すように、第1ダイアフラム13aがバックプレート18aに衝突することがある。図10は、比較例の音響センサにおいて、大音圧により第1ダイアフラム13aがバックプレート18aに衝突した場合を示す。ここに示す比較例は、バックプレート18にバックプレート・スリットが形成されておらず、第1音響センシング部23aのバックプレート18aと第2音響センシング部23bのバックプレート18bとが連続していて一体に形成されたものである。
図10のように第1ダイアフラム13aがバックプレート18aに衝突すると、その衝撃によってバックプレート18aの振動が歪み、図11Aのような歪み振動を生じる。なお、バックプレートもダイアフラムと同様に音響振動によって振動するが、バックプレートの振幅はダイアフラムの振幅の1/100程度であるので、図11には表していない。バックプレート18aで発生した歪み振動は、バックプレート18bへ伝達するので、第1ダイアフラム13aの衝突によってバックプレート18bにも図11Bのような歪み振動が生じる。一方、第2ダイアフラム13bは第1ダイアフラム13aに比べて変位が小さいので、バックプレート18bに衝突せず、たとえば図11Cのような正弦波振動をしているとする。この第2ダイアフラム13bの正弦波振動にバックプレート18bの歪み振動が加わると、第2音響センシング部23bにおけるバックプレート18bと第2ダイアフラム13bの間のギャップ距離は図11Dのように変化することになる。この結果、第2音響センシング部23bからの出力信号が歪み、第2音響センシング部23bの高調波歪み率が悪化する。
これに対し、実施形態1の音響センサ11の場合には、図12に示すように、高感度側のバックプレート18aと低感度側のバックプレート18bとがスリット34によって分離されている。そのため、大音圧によって第1ダイアフラム13aがバックプレート18aに衝突し、図13Aのような歪み振動が発生しても、その歪み振動は図13Bに示すようにスリット34を越えてバックプレート18bに伝わりにくい。その結果、音響振動による第1ダイアフラム13aの振動波形が図13Cのようであれば、第2ダイアフラム13bとバックプレート18bの間のギャップ距離は図11Dに示すような同じ波形となる。よって、第1音響センシング部23aで歪み振動が発生しても、その歪み振動は第2音響センシング部23bに伝わりにくく、第2音響センシング部23bから出力される信号が歪みを含みにくいので、第2音響センシング部23bの高調波歪み率が悪化しにくくなる。この結果、第1音響センシング部23aにおける歪み振動によって音響センサ11のダイナミックレンジが狭くなることを防止できる。
スリット34の長さL2は、固定電極板19の幅L1より短くても歪み振動を遮断する効果は得られるが、第1音響センシング部23a側の振動と第2音響センシング部23b側の振動を十分に分離し、第2電極パッド32bを歪み振動から十分に遮断するためには、図6に示すように、スリット34の長さL2は、固定電極板19の幅L1よりも長いことが望ましい。音響センサ11のサイズは、長さ1.6mm、幅1.35mm、厚み0.4mmであって、固定電極板19の幅L1は約700μmであるので、スリット34は長さL2が700μm以上あることが望ましい。また、スリット34の幅Wについては、MEMSプロセスによるバックプレート・スリットの加工精度、省スペース化、バックプレート・スリットの対向する壁面どうしの衝突防止などを考慮すれば、約4μm以上10μm以下が好ましい。
また、スリット34は、ダイアフラム13のスリット17の直上に位置していることが望ましい。ダイアフラム13のスリット17付近は、ダイアフラム13の変位量の差が大きい場所である。よって、ダイアフラム13のスリット17付近は、ダイアフラム13がバックプレート18に衝突しやすい箇所(第1ダイアフラム13a)と衝突しにくい箇所(第2ダイアフラム13b)の境界になるため、この直上にバックプレート・スリット34を設けて歪みを含んだ振動の伝達を遮るようにするのが好ましい。また、ダイアフラム13にスリット17を設けると、第1音響センシング部23aと第2音響センシング部23bの感度差を大きくできる効果がある。よって、ダイアフラム13のスリット17を、両音響センシング部23a、23b間の境界とすることが特性上好ましく、バックプレート18のスリット34もスリット17に合わせることが望ましい。
つぎに、モデルI−IVのバックプレート18において、高感度側のバックプレート18aに200Paの圧力を印加し、そのときにバックプレート18a及びバックプレート18bに生じる変位をシミュレーションにより求め、バックプレート18a側の変位がバックプレート18b側に伝わっているかどうかを評価した。用いたモデルIは、幅が約700μmの固定電極板19a、19bと直径が17μmの多数のアコースティックホール24を備えたバックプレート18で、スリット34の存在しないものである。モデルIIは、幅が約700μmの固定電極板19a、19bと直径が17μmの多数のアコースティックホール24を備えたバックプレート18で、長さが320μmのスリット34を有するものである。モデルIIIは、幅が約700μmの固定電極板19a、19bと直径が17μmの多数のアコースティックホール24を備えたバックプレート18で、長さが540μmのスリット34を有するものである。モデルIVは、幅が約700μmの固定電極板19a、19bと直径が17μmの多数のアコースティックホール24を備えたバックプレート18で、長さが720μmのスリット34を有するものである。
図16−図19は、いずれも、バックプレート18aに200Paの圧力を印加した場合の、バックプレート18a、18bにおける変位を白黒の濃淡で表したものである。いずれも、最も黒い領域は変位がゼロで、白くなるに従って次第に変位量が大きくなっている。図16は、モデルIのバックプレート18を用いた場合である。図17は、モデルIIのバックプレート18を用いた場合である。図18は、モデルIIIのバックプレート18を用いた場合である。図19は、モデルIVのバックプレート18を用いた場合である。図16−図19を比較すれば分かるように、スリット34が長くなるに従って、バックプレート18の最大変位箇所が次第にスリット34側へ移動するとともに、バックプレート18bの変位が次第に小さくなっている。特に、図19のように、スリット34の長さがダイアフラム13a、13bの幅よりも大きくなると、バックプレート18bにほとんど変位が生じていない。
図14は、図16−図19の各モデルについて、低感度側のバックプレート18bの平均変位量を比較した図である。図14によれば、スリット34が設けられていない場合に比較して、長さ720μmのスリット34を設けた場合には、バックプレート18bの平均変位量が82%減少しており、スリット34による効果の高いことが示されている。
また、図15は、モデルI−IVのバックプレート18を備えた各音響センサの高調波歪み率をシミュレーションにより求めたものである。図15によれば、音圧の大きな領域では大きな高調波歪みが発生している。この大音圧域における高調波歪みは、スリットのないモデルIで最も大きく、モデルII、III、IVとスリット34の長さが長くなるに従って高調波歪み率が減少している。特に、モデルIVは理想的な高調波歪み率の曲線に近くなっている。ここで、理想的な高調波歪み率とは、バックプレート18を伝ってバックプレート18aからバックプレート18bに歪み振動が伝搬していない場合の高調波歪み率である。
また、スリット34は、高調波歪み率の改善以外にも、以下のような作用効果をもたらす。ダイアフラム13a、13bと固定電極板19a、19bとの間の空気がギャップ内に閉じ込められていると、空気の揺らぎ(空気分子の熱運動)によって熱雑音が発生し、信号のS/N比が低下する。これに対し、バックプレート18にスリット34があいていると、ギャップ内の空気分子がスリット34から外部へ逃げることができるので、熱雑音によるノイズが低減する。
スリット34が設けられていない場合には、第1固定電極板19aと第2固定電極板19bの間には、SiNからなるバックプレート18の一部が位置している。しかし、スリット34を設けた場合には、固定電極板19a、19b間の物質は空気となり、誘電率が下がる。そのため、スリット34を設けた場合には、固定電極板19a、19b間の寄生容量が低減し、音響センサ11の感度が向上する。
また、実施形態1の音響センサ11では、図6A及び図6Bに示すように、スリット34の終端に、スリット34の幅Wよりも直径の大きな円形のノッチ35を設けている。そのため、音響センサ11の製造プロセスで生じるスリット34の端部における残留応力や落下衝撃などによる応力集中を緩和し、バックプレート18の破損を防止することができる。
また、実施形態1の音響センサ11では、図20A及び図20Bに示すように、スリット34の縁に沿ってバックプレート18の下面にストッパ25を突出させている。バックプレート18にスリット34を設けると、スリット34の周辺が撓みやすくなるので、撓みやすくなったバックプレート18とダイアフラム13a、13bがスティック(固着)しやすくなる。そのため、スリット34の縁に沿ってストッパ25を設け、バックプレート18とダイアフラム13a、13bのスティックを防止している。
(実施形態1の変形例)
図21A、図21B、図22A及び図22Bは、スリット34の種々の形態を示す。図21Aは、アコースティックホール24を避けて略直線状のスリット34を設けた場合である。かかる形態によれば、アコースティックホール24を従来どおりの配置に維持したままでスリット34を設けることができる。図21Bは、アコースティックホール24を利用して直線状のスリット34を形成したものである。かかる形態によれば、スリット34を配置するための面積を省スペース化することができる。図22Aは、アコースティックホール24を利用してジグザグ状のスリット34を形成したものである。かかる形態によれば、スリット34を配置するための面積を省スペース化することができる。図22Bは、アコースティックホール24を利用して傾斜した複数本のスリット34を区分的に形成したものである。かかる形態によれば、スリット34の近傍におけるバックプレート18の剛性を維持しつつ、音響センシング部23a、23b間においてバックプレート18の振動による干渉を低減し、高調波歪みを抑制できる。
(実施形態2)
図23は本発明の実施形態2による音響センサ61を示す平面図である。図24Aは、音響センサ61の固定電極板19を示す平面図である。図24Bは、音響センサ61のダイアフラム13a、13bを示す平面図である。
実施形態2の音響センサ61においては、図24Bに示すように、ダイアフラム13は、スリット17によって完全に2つの領域、すなわち第1ダイアフラム13aと第2ダイアフラム13bに分離されている。一方、図24Aに示すように、第1固定電極板19aと第2固定電極板19bは、連結部62によって一体につながっている。バックプレート18及び固定電極板19の連結部62には、図23及び図24Aに示すように、連結部62の幅よりも長さの短いスリット34があいている。他の構造は本発明の実施形態1と同様であるので、説明は省略する。
実施形態2のような音響センサ61にあっても、実施形態1と同様に、第2音響センシング部23bにおける高調波歪み率を小さくすることができる。また、熱雑音を低減する効果や寄生容量を小さする効果も奏する。
(実施形態3)
図25Aは本発明の実施形態3による音響センサ71を示す平面図である。図25Bは、音響センサ71の固定電極板19a、19bとダイアフラム13を示す平面図である。
実施形態3の音響センサ71においては、略矩形状のダイアフラム13を用いている。このダイアフラム13は一体に形成されていて、実施形態1のようなスリット17は備えていない。バックプレート18の下面に設けられた固定電極板19は、図25Bに示すように、外周部の第2固定電極板19bとその内側の第1固定電極板19aに完全に分離されている。よって、ダイアフラム13と第1固定電極板19aとによって第1音響センシング部23aが構成され、ダイアフラム13と第2固定電極板19bによって第2音響センシング部23bが構成される。第1固定電極板19aの面積は、第2固定電極板19bの面積よりも十分に大きく、第1音響センシング部23aが高感度で小音量用のセンシング部となっており、第2音響センシング部23bが低感度で大音量用のセンシング部となっている。また、バックプレート18は、図25Aに示すように、第1固定電極板19aと第2固定電極板19bの境界部分に沿ってバックプレート・スリット34を設けられていて、バックプレート18aとバックプレート18bに分割されている。このスリット34は、略環状(一部を欠いた環状)をしていて上下に貫通しているので、バックプレート18aとバックプレート18bは一箇所でつながっている。
なお、図25Aに示す電極パッド72は、第2固定電極板19bに導通している。また、電極パッド73は、第1固定電極板19aに導通している。電極パッド74は、ダイアフラム13に導通している。
この音響センサ71でも、大音量(大音圧)の音響振動が加わった場合には、変位したダイアフラム13が内側の第1固定電極板19aに衝突することがある。ダイアフラム13が第1固定電極板19aに衝突すると、高感度側の第1音響センシング部23aから低感度側の第2音響センシング部23bに歪み振動が伝わる恐れがある。しかし、この音響センサ71でも、第1音響センシング部23aと第2音響センシング部23bは、バックプレート18にスリット34を設けて分割されているので、第1音響センシング部23aから第2音響センシング部23bへ歪み振動が伝わるのを阻害することができ、第2音響センシング部23bの高調波歪み率を抑制することができる。
(実施形態3の変形例)
図26Aは本発明の実施形態3の変形例による音響センサ75を示す平面図である。図26Bは、音響センサ75の固定電極板19a、19bとダイアフラム13を示す平面図である。
実施形態3の音響センサ71では、バックプレート18aとバックプレート18bは一部分だけでつながっていて、スリット34は略環状に形成されている。そのため、内側のバックプレート18aは、バックプレート18bに片持ち状に支持されていて不安定になるおそれがある。
このような場合には、図26Aに示すように、バックプレート18に短いスリット34を飛び飛びに設けて適宜間隔でバックプレート18aを支持するようにしてもよい。
また、バックプレート18aとバックプレート18bを2〜4箇所でつなぐようにしてもよい。
図27Aは本発明の実施形態3の別な変形例による音響センサ76を示す平面図である。図27Bは、音響センサ76の固定電極板19a、19bとダイアフラム13を示す平面図である。これは、円形のダイアフラム13を有する音響センサ76に実施形態3の構成を適用したものである。
(実施形態4)
図28は、本発明の実施形態4による音響センサ77の構造を示す平面図である。この音響センサ77は、3つの音響センシング部23a、23b、23cを有している。第1音響センシング部23aは、ダイアフラム13aと固定電極板19aによって構成されたコンデンサ構造であって、小音量用の高感度のセンシング部である。第2音響センシング部23bは、ダイアフラム13bと固定電極板19bによって構成されたコンデンサ構造であって、大音量用の低感度のセンシング部である。第3音響センシング部23cは、ダイアフラム13cと固定電極板19cによって構成されたコンデンサ構造であって、中音量用の中感度のセンシング部である。
この音響センサ77にあっては、シリコン基板12のチャンバ15の上方に略矩形状のダイアフラム13が配設されている。ダイアフラム13は、2本のスリット(図示せず)によって、略矩形状の第1ダイアフラム13aと、その両側に位置する略矩形状の第2ダイアフラム13b及び第3ダイアフラム13cに分割されている。第3ダイアフラム13cの面積は、第1ダイアフラム13aの面積よりも小さくなっている。さらに、第2ダイアフラム13bの面積は、第3ダイアフラム13cの面積よりも小さくなっている。また、第1ダイアフラム13aに対向させて第1固定電極板19aが配置されている。同様に、第2ダイアフラム13bに対向させて第2固定電極板19bが配置されている。第3ダイアフラム13cには、第3固定電極板19cが対向している。固定電極板19a、19b及び19cは、互いに分離しており、ダイアフラム13を覆うようにしてシリコン基板12の上面に固定されたバックプレート18の下面に設けられている。
バックプレート18には、第1固定電極板19aと第2固定電極板19bの間を通過するようにしてバックプレート・スリット34aが設けられており、また第1固定電極板19aと第3固定電極板19cの間を通過するようにしてバックプレート・スリット34bが設けられている。この結果、バックプレート18は、スリット34a、34bによって、第1音響センシング部23aに位置するバックプレート18aと、第2音響センシング部23bに位置するバックプレート18bと、第3音響センシング部23cに位置するバックプレート18cに分離されており、互いに独立性が高くなっていて振動が伝搬しにくくなっている。また、各音響センシング部23a、23b及び23cにおいて、各バックプレート18a、18b及び18cと各固定電極板19a、19b及び19cにはそれぞれアコースティックホール24が開口されている。
この音響センサ77のように、3つ(あるいは、3つ以上)の音響センシング部を設けた場合には、1つの音響センサ77から3つ(あるいは、3つ以上)の検知信号を出力させることが可能になり、音量センサ77のダイナミックレンジをさらに広げることができるとともに、各音域でのS/N比を向上させることができる。また、第1音響センシング部23aで発生した歪み振動がバックプレート18を通じて第2音響センシング部23bや第3音響センシング部23cに伝わりにくくなり、音響センシング部23b、23cの音響歪み率が低下する。
(その他)
なお、上記各実施形態においては、第1ダイアフラム13aの面積と第2ダイアフラム13bの面積を異ならせることにより、同じ音圧が加わったときの各ダイアフラム13a、13bの変位量を異ならせ、それによって第1音響センシング部23aと第2音響センシング部23bの感度を異ならせている。これ以外にも、たとえば第2ダイアフラム13bの膜厚を第1ダイアフラム13aの膜厚よりも厚くすることによって第2ダイアフラム13bの変位を小さくし、第2音響センシング部23bの感度を低くしてあってもよい。また、第2ダイアフラム13bの固定ピッチを第1ダイアフラム13aの固定ピッチよりも小さくすることによって第2ダイアフラム13bの変位を小さくし、第2音響センシング部23bの感度を低くしてあってもよい。さらに、第1ダイアフラム13aを梁構造によって支持することで第1ダイアフラム13aの変位を大きくし、第1音響センシング部23aの感度を高くしてあってもよい。
また、隔離部としては、バックプレート18に振動をダンピングさせるための材料、たとえばバックプレート18よりも質量の大きな材料や柔らかい材料で形成したものであってもよい。
以上においては、音響センサ及び該音響センサを用いたマイクロフォンについて説明したが、本発明は圧力センサなどの音響センサ以外の静電容量センサについても適用することができる。
11、61、71、75−77 音響センサ
12 シリコン基板
13 ダイアフラム
13a 第1ダイアフラム
13b 第2ダイアフラム
13c 第3ダイアフラム
17 スリット
18、18a、18b、18c バックプレート
19 固定電極板
19a 第1固定電極板
19b 第2固定電極板
19c 第3固定電極板
23a 第1音響センシング部
23b 第2音響センシング部
23c 第3音響センシング部
24 アコースティックホール
25 ストッパ
34、34a、34b バックプレート・スリット
35 ノッチ
41 マイクロフォン
42 回路基板
43 カバー
44 信号処理回路
45 音導入孔

Claims (14)

  1. 基板の上方に形成された振動電極板と、
    前記振動電極板を覆うようにして前記基板の上方に形成されたバックプレートと、
    前記振動電極板と対向させるようにして前記バックプレートに設けた固定電極板とを備えた静電容量型センサにおいて、
    前記振動電極板と前記固定電極板のうち少なくとも一方が複数領域に分割されていて、分割された各領域毎にそれぞれ前記振動電極板と前記固定電極板からなるセンシング部が形成され、
    前記センシング部どうしを区切るようにして、前記バックプレートに、振動の伝搬を抑制するための隔離部を設けたことを特徴とする静電容量型センサ。
  2. 前記隔離部は、前記バックプレートに形成された1本又は2本以上のスリットであることを特徴とする、請求項1に記載の静電容量型センサ。
  3. 前記バックプレートのスリットは、前記バックプレートの上面から下面まで貫通していることを特徴とする、請求項2に記載の静電容量型センサ。
  4. 前記バックプレートのスリットの終端にノッチを形成していることを特徴とする、請求項2に記載の静電容量型センサ。
  5. 前記ノッチの直径が、前記バックプレートのスリットの幅よりも大きいことを特徴とする、請求項4に記載の静電容量型センサ。
  6. 前記バックプレート及び前記固定電極板には、複数個の孔が開口され、
    前記バックプレートのスリットは、前記孔を避けて直線状に延びていることを特徴とする、請求項2に記載の静電容量型センサ。
  7. 前記バックプレート及び前記固定電極板には、複数個の孔が開口され、
    前記バックプレートのスリットは、前記孔を通過して直線状に延びていることを特徴とする、請求項2に記載の静電容量型センサ。
  8. 前記バックプレート及び前記固定電極板には、複数個の孔が開口され、
    前記バックプレートのスリットは、前記孔を通過してジグザグに延びていることを特徴とする、請求項2に記載の静電容量型センサ。
  9. 前記バックプレート及び前記固定電極板には、複数個の孔が開口され、
    前記バックプレートのスリットは、前記孔と前記孔の間を結ぶように不連続に形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の静電容量型センサ。
  10. 前記バックプレートに形成された複数のスリットが、前記センシング部どうしを区切るようにして飛び飛びに形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の静電容量型センサ。
  11. 前記隔離部の周辺部分において、前記バックプレートの下面にストッパを突設したことを特徴とする、請求項1に記載の静電容量型センサ。
  12. 前記振動電極板がスリットによって複数領域に分割されており、
    前記隔離部が、前記振動電極板のスリットの直上に位置していることを特徴とする、請求項1に記載の静電容量型センサ。
  13. 請求項1から12のうちいずれか1項に記載の静電容量型センサを利用した音響センサであって、
    前記バックプレート及び前記固定電極板には、音響振動を通過させるための複数個の孔が形成され、
    音響振動に感応した前記振動電極板と前記固定電極板との間の静電容量の変化により、前記センシング部から信号を出力することを特徴とする音響センサ。
  14. 請求項13に記載の音響センサと、前記音響センサからの信号を増幅して外部に出力する回路部とを備えたマイクロフォン。
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