次に、添付図面を参照して本発明に係る走行映像表示プログラム及び走行映像表示システムの実施形態としての運行状況管理システムについて詳細に説明する。ここで、上記走行映像表示プログラムは、以下に記述される実施形態では運行状況表示プログラムとして機能するものであるが、映像データ及び走行データを含む走行情報を何らかの形で表示するものであれば、これに限定されるものではない。また、上記走行映像表示システムは、以下に記述される実施形態では運行状況管理システムとして機能するものであるが、映像データ及び走行データを含む走行情報を何らかの形で管理するものであれば、これに限定されるものではない。なお、本発明に係る走行映像表示プログラム及び走行映像表示システムは、種々の走行車両において取得された取得情報に由来する走行車両の外部の走行路の映像を少なくとも一部に含む映像データに対応する再生映像を少なくとも表示するものであれば、如何なるものに対しても適用可能である。
[運行状況管理システム]
図1は、本発明に係る走行映像表示プログラム及び走行映像表示システムの実施形態である運行状況管理システムの全体構成を示す概略構成図、図2及び図3は本実施形態による処理手順を示す概略フローチャートである。本システムは、一般的にはコンピュータを利用して各種のプログラムを動作させることで構成できるものであるが、システムとしてはこれに限定されるものではない。
本実施形態の運行状況管理システムは、図1に示すように、走行車両に搭載され、走行車両の走行情報を取得するためのドライブレコーダ1(走行情報取得装置或いは映像データ取得装置)と、このドライブレコーダ1で取得された取得情報やこれに由来する映像データ及び走行データの少なくとも一部を含む走行情報を処理する取得情報処理装置2(走行情報処理装置或いは映像データ処理装置)と、上記走行情報を表示する運行状況表示装置3(走行情報表示装置)とを有する。
ドライブレコーダ1は、走行車両の進行方向(走行方向)の前方映像や走行車両の乗務員(運転者など)の映像などを撮影して映像データを出力する映像撮影手段と、音声を取り込んで音声データを出力する録音手段と、上記走行データ(例えば、GPSデータ等を含むもの)を出力するGPS検知手段と、各データを記録するための記録媒体及び当該記録媒体への記録を制御する制御部を含む記録手段とを備えている。ドライブレコーダ1では、映像データ、音声データ及び走行データを取得時刻とともに相互に関連付けられた形で含む取得情報MAを記録手段によって適宜の記録媒体に記録する運行記録処理が行われる(図2のSTEP1参照)。例えば、所定の単位時間(例えば1秒)ごとに、記録媒体のトラック0には音声データMa0、トラック1には映像データMa1、トラック2には時刻やGPSデータ等の走行データMa2が記録され、これらが取得時間にわたって繰り返し記録される。本明細書では、複数の取得情報MAを管理する場合には図1に示すようにMA(i)(iは自然数)という表現を用いる。
上記の取得情報MAはそのまま次の処理プロセスに用いることも可能であるが、本実施形態の運行状況管理システムでは、走行情報を容易に管理できるように、取得情報処理装置2において、取得情報MAを、走行データMb2を音声データMb0及び映像データMb1の最後尾にまとめて配置した取得情報MBに変換するデータ変換処理を実行する(図2のSTEP2参照)。ここで、音声データMb0は音声データMa0と実質的に同等であり、映像データMb1は映像データMa1と実質的に同等であり、走行データMb2は走行データMa2と実質的に同等である。このデータ変換処理は、例えば、データ変換プログラムをコンピュータにより実行することにより実現される。なお、データ変換プログラムは単に上述のように取得情報MAのデータ構造を変換するだけのものであるので説明を省略する。一般的には、取得情報MAはドライブレコーダ1によって例えばDRVファイル形式で記録され、データ変換後の取得情報MBは汎用の映像ファイル形式(例えば、ASFファイル形式)とされる。
次に、取得情報処理装置2では、上記取得情報MBを表示する取得情報再生処理を行う(図2のSTEP3参照)。この取得情報再生処理では、取得情報MBの少なくとも映像データを映像再生表示領域に再生表示する。また、走行データに基づいて走行態様(移動態様)に相当する速度の時間変化を走行変化表示領域に速度グラフなどの態様で図形的に表示する。取得情報MBの再生表示は、後述する各処理に必須のものであり、走行態様の時間変化の図形表示は後述する各処理において操作者の作業を補助するものである。この処理は、例えば、後述するクリップ情報生成プログラムをコンピュータにより動作させることによって実行される。
次に、上記取得情報MBに対してクリップ期間の設定を行うクリップ情報設定処理(図2のSTEP4参照)と、設定されたクリップ期間の映像データ及び走行データを取得情報MBから取り出してクリップ情報CLを出力するクリップ情報出力処理(図2のSTEP5参照)を行う。ここで、一般的には、同一若しくは異なる走行車両において取得された複数の取得情報MB(1)、MB(2)、MB(3)、・・・が用いられるので、取得情報MB(i)(iは自然数)と表現する。また、この場合、一般的には各走行情報MB(i)からそれぞれ複数のクリップ情報CL(i,1)、CL(i,2)、・・・が取り出されるので、クリップ情報CL(i,j)(i,jはそれぞれ自然数)と表現する。上記のクリップ情報設定処理及びクリップ情報出力処理も、例えば、クリップ情報生成プログラムをコンピュータにより動作させることにより実行される。この処理において、コンピュータの操作者はクリップ情報CLとして取り出すべき走行情報MBのクリップ開始時刻とクリップ終了時刻で定められるクリップ期間を指定するクリップ情報設定操作及びクリップ情報出力操作を行い、コンピュータはクリップ情報設定操作に応じたクリップ期間でクリップ情報をクリップ情報出力操作に応じて出力する。
上記のように取り出されたクリップ情報CL(i,j)に基づいて、データベース構成処理によってクリップ情報データベースDBCLが構成される(図2のSTEP6参照)。このデータベース構成処理もまた上記クリップ情報生成プログラムをコンピュータにより動作させることにより実行される。このデータベース構成処理によって形成されるクリップ情報データベースDBCLは、複数のクリップ情報CL(i,j)を、複数の取得情報MB(i)を相互に識別するための取得情報識別コードIciと、或る取得情報MB(i)から得られた複数のクリップ情報CL(i,j)を相互に識別するためのクリップ情報識別コードIcjとにそれぞれ関連付けたものである。取得情報識別コードIciは、取得情報MBが得られた走行車両を特定する車両特定情報(走行車両の車番、車種などの特定情報)、当該走行車両の走行日時、当該走行車両の乗務員を特定する乗務員特定情報(乗務員の所属、従業員番号、氏名など)等に関する情報を記号、数値などで示すものである。また、クリップ情報識別コードIcjは、クリップ情報CL(i,j)が取り出されたクリップ期間の日時、クリップ期間内の判定項目の種別(発進、停止、右左折等の基本的走行態様、一時停止違反、停止線オーバー、速度違反、追越違反、徐行、ふらつき、わき見、信号無視、車間距離不良、事故等の交通違反など)、当該判定項目に対する管理者による判定結果(不可、不適、可、適、推奨など)、走行経路に相当する走行経路上の特定箇所の種別(交差点(四つ角、T字路、Y字路等)、停止線、踏切、合流点、40キロ制限道路、高速道、駐車場、構内など)等に関する情報を記号、数値などで示すものである。本発明に係るクリップ情報データベースDBCLは、クリップ情報CL(i,j)を上記の二種類の識別コードIci、Icjのみと関連付ける場合に限られない。しかし、クリップ情報CLを取得情報識別コードIciとクリップ情報識別コードIcjに関連付けることによって、例えば、複数のクリップ情報CL(i,j)を二次元のマトリックス状に分類して表示することが可能になる。
また、上記取得情報処理装置2は、上記取得情報MBの走行データMb2によって示される上記走行経路上の特定の点データをチェック情報CHとして登録することもできる(図2のSTEP8参照)。このチェック情報CHは、例えば、上記走行経路上の重要箇所(交差点(四つ角、T字路、Y字路等)、停止線、踏切、合流点、40キロ制限道路、高速道、駐車場、構内など)等を示す点データ(点を示す位置データ或いは点範囲を示すデータ、或いはこれと共に走行方向を含むデータ)により構成される。また、このチェック情報CHは、上記点データ以外に、上記の取得情報識別コードIciやクリップ情報識別コードIcj、或いは、これらのコードに対応する種々の情報を含むことができる。このチェック情報登録処理は、例えば、上記クリップ情報生成プログラムをコンピュータにより動作させることにより実行される。この処理において、コンピュータの操作者は取得情報MBの特定の点データに対応するチェック情報登録操作を行い、コンピュータはチェック情報設定操作に応じてチェック情報を登録する。
また、上記取得情報処理装置2は、必要があれば、チェック情報入力操作に応じて外部よりチェック情報CHを入力するチェック情報入力処理を実行する(図2のSTEP7参照)。また、必要があれば、上記の登録された、或いは、入力されたチェック情報CHをチェック情報出力操作に応じて外部へ出力するチェック情報出力処理を実行する(図2のSTEP9参照)。これらのチェック情報入力処理やチェック情報出力処理は、例えば、上記クリップ情報生成プログラムをコンピュータにより動作させることにより実行される。
上記のクリップ情報データベースDBCLに基づいて、クリップ情報CL(i,j)は、上記運行状況表示装置3により表示される。運行状況表示装置3は、クリップ情報取込操作に応じて、当該操作により選択されたクリップ情報データベースDBCLに基づいて、複数のクリップ情報CL(i,j)が走行情報識別コードIciとクリップ情報識別コードIcjの異同により分類され、且つ、複数のクリップ情報CL(i,j)のうち一又は複数のクリップ情報が選択可能となるように表示されたクリップ分類表示領域を形成するクリップ分類表示処理を行う(図3のSTEP10参照)。そして、このクリップ分類表示領域の所定の表示分類に対して行われるクリップ情報選択操作に応じて、上記表示分類に属する一又は複数のクリップ情報を呼び出すクリップ情報呼出処理を行う(図3のSTEP11参照)。これらのクリップ分類表示処理及びクリップ情報呼出処理は、クリップ情報を取り込むための走行情報(クリップ情報)取込処理に相当する。この走行情報(クリップ情報)取込処理は、例えば、コンピュータにより後述する運行状況レポートプログラムを動作させることにより実行される。
次に、上述のように選択された一又は複数のクリップ情報CLを再生するクリップ情報再生処理を行う(図3のSTEP12参照)。このクリップ情報再生処理も、上記運行状況レポートプログラムをコンピュータにより動作させることにより実行される。クリップ情報取込処理により複数のクリップ情報が選択されて取り込まれた場合には、複数のクリップ情報の中からクリップ情報再生処理によって再生表示されるクリップ情報をさらに選択することができ、また、複数のクリップ情報を相前後して連続的に表示することも可能である。また、このクリップ情報再生処理においても、上述のように走行態様の時間変化を示す走行変化表示領域を形成して、この領域に速度の時間変化グラフ等の図形を表示することが好ましい。
上記運行状況レポートプログラムを動作させることにより、コンピュータは、コンピュータの操作者のクリップ情報編集操作に応じてクリップ情報編集処理を行う(図3のSTEP13参照)。具体的には、例えば、表示されたクリップ情報に対して上記編集操作に応じたコメントや判定結果などの種々の追加情報を付加する。また、コンピュータによる上記運行状況レポートプログラムの動作により、コンピュータの操作者の操作に応じて個別ファイル出力処理が行われる(図3のSTEP14参照)。この個別ファイル出力処理においては、上記クリップ情報選択操作に応じて選択された一又は複数のクリップ情報に関する書誌データなどを含む個別ファイルが出力される。
[クリップ情報生成プログラム]
次に、図4並びに図7乃至図23を参照して、本発明に係る走行映像表示プログラム及び走行映像表示システムの実施形態に相当するクリップ情報生成プログラムについて説明する。図4は、クリップ情報生成プログラムをコンピュータにより実行することにより実現される機能実現手段の構成を示す概略構成図、図7乃至図23は、クリップ情報生成プログラムをコンピュータにより実行する際に種々の手順において表れる表示画面の例を示す画面構成図である。
本実施形態のクリップ情報生成プログラムP1では、プログラムを起動すると図7に示す表示画面(実際には表示ウィンドウ、以下同様。)G1が形成される。この表示画面G1には、画面左側に入力ファイル指定領域g11が設けられる。入力ファイル指定領域g11には、入力フォルダを指定するための入力フォルダ指定部g11aと、入力フォルダ内の上記取得情報MBを格納した取得情報ファイル(ASFファイル)を表示する入力ファイル表示部g11bと、上記クリップ情報CLを格納した後述するクリップ情報ファイルの保存フォルダを指定する出力フォルダ指定部g11cとが形成される。
入力フォルダ指定部g11aに対してマウスによるダブルクリック操作等のフォルダ指定操作が行われると、図8に示す入力フォルダ指定ダイアログg11dを表示し、取得情報MB(i)が格納された入力フォルダの指定操作が行われると、これに応じて入力フォルダ(ASFフォルダ)を設定する。このように入力フォルダを設定すると、図9に示すように、当該入力フォルダに格納されている取得情報MB(i)を備えた一又は複数の取得情報ファイルを読み込み、上記入力フォルダ指定部g11aの下方に形成された入力ファイル表示部g11bに所定の順番(図示例ではファイル名で示される記録日時に応じた順番)で表示する。
また、上記入力ファイル表示部g11bに表示された一又は複数の取得情報ファイルはマウスによるクリック操作等により個々に選択可能に構成されている。この入力ファイル選択操作が行われると、取得情報ファイルは例えば反転表示されることで他と区別された態様とされ、これにより特定の取得情報ファイルが選択されていることが示される。以上の動作は、入力ファイル指定領域g11に対する上述の入力フォルダ指定操作、入力ファイル選択操作に応じて、図4に示す取得情報取込手段P1aによって実行される。なお、この取得情報取込手段P1aは取得情報MB(i)内に含まれる映像データMb1を取り込むもので、本発明に係る上記映像データ取込手段に相当する。
図7に示すように、上記入力フォルダ指定部g11a及び入力ファイル表示部g11bの右側には、矩形状の映像再生表示領域g12が形成される。この映像再生表示領域g12には、上記の選択された取得情報ファイルの映像データMb1が再生可能に構成される。図示例では、映像再生表示領域g12内に前方映像と車内映像が左右に並んで表示されているが、単一の映像のみを表示してもよく、3以上の映像を同時に表示してもよい。これらの表示態様は、映像データMb1の構成に応じて適宜に構成される。また、当該取得情報ファイルの音声データMb0も再生可能に構成される。映像再生表示領域g12の下方には再生操作入力部g12sが設けられる。この再生操作入力部g12sには、左側から右側へ向けて順に、音声データ及び映像データMb0の再生動作に対する巻戻ボタン、停止ボタン、再生ボタン、一時停止ボタン、送りボタンが配置される。これらの各ボタンに対する操作(本発明に係る上記映像再生操作に相当する。)に応じて、上記映像再生表示領域g12の再生状態が制御される。
また、再生操作入力部g12sの右側には、上記ファイル表示部g11bに表示された複数の走行情報ファイルを連続して再生する連続再生モードと、選択された走行情報ファイルのみを再生する個別再生モードとを交互に切り替え可能な連続再生ボタンg12tが配置される。図15は連続再生モードが選択操作された結果、連続再生ボタンg12tが強調表示された状態を示している。さらに、図7に示すように、映像再生表示領域g12の右下には音量調整操作部g12aが形成される。なお、上記再生操作入力部g12sの図示右側には、上記映像再生表示領域g12において再生される再生速度(図示例では「×1」=1倍速が選択されているが、「×2」=2倍速、「×5」=5倍速、「×10」=10倍速等も選択可能である。)を選択できる再生速度設定部g12qが形成される。上記の再生操作入力部g12sに対する再生操作の入力により、上記映像再生表示領域g12における映像データMb1の再生動作は、図4に示す映像再生表示手段P1bによって実行される。
映像再生表示領域g12のさらに右側には、再生ファイル情報表示領域g13が設けられる。この再生ファイル情報表示領域g13には、図9に示すように、選択されたり再生されたりした取得情報ファイルの書誌事項、すなわち、走行日時、走行時刻、車番(走行車両の特定情報)などを表示するファイル情報表示部g13aと、映像再生表示領域g12において再生されている映像(及び音声)の再生時刻(映像(及び音声)の再生時点)、再生時間(映像(及び音声)の再生開始後の経過時間)などを表示する再生情報表示部g13bとが形成されている。
上記映像再生表示領域g12の下方には、上記取得情報ファイルに格納された取得情報MB(i)の走行データMb2に基づいて走行態様の時間変化を表示する走行変化表示領域g14(走行態様の時間変化を表示する上記走行変化表示領域に相当する。)が形成される。この走行変化表示領域g14は、上記走行態様の時間変化を図形で表示するものであり、図示例では縦軸に速度をとり、横軸に時間をとった折れ線グラフにより速度変化を表示している。ただし、走行変化表示領域g14の図形表示は、折れ線グラフに限らず、棒グラフなどの他の図形であってもよい。また、走行態様としては、速度に限らず、走行経路上の位置(この場合、地図上などに表示するものが考えられる。)や加速度であってもよい。なお、走行変化表示領域g14の左上には再生時点における速度値を表示する速度値表示部g14pが形成されている。
上記走行変化表示領域g14には、図9に示すように、上記映像データMb1(及び音声データMb0)の再生時点に対応する位置を示す縦の再生位置指示線g14nが表示される。この再生位置指示線g14nは、上記映像再生表示領域g12に表示される再生映像の進行に伴って図示右側へ移動し、上記再生操作入力部g12sに対する操作に応じて再生映像の停止、巻戻、又は、送りが生じた場合には、これらに伴って停止し、図示左側へ移動し、又は、図示右側へ移動する。すなわち、図9及び図10に示すように、再生位置指示線g14nは常に上記映像再生表示領域g12の再生時点に対応する走行変化表示領域g14上の位置を指示するようになっている。また、走行変化表示領域g14には、クリップ情報設定操作に応じて、設定されたクリップ期間のクリップ開始時刻に対応する上記走行変化表示領域g14上の位置を指示する開始位置指示線g14sと、同クリップ期間のクリップ終了時刻に対応する同位置を指示する終了位置指示線g14fとが、後述するクリップ設定領域g16の設定操作の態様に応じて表示できるようになっている。
また、上記走行変化表示領域g14内は全てマウスによるクリック操作等の位置入力操作を受け入れる入力位置検出領域とされている。そして、図11に示すように、上記位置入力操作により走行変化表示領域g14内の位置が指示されると、当該位置に上記再生位置指示線g14nが移動し、上記映像再生表示領域g12において再生されている映像(及び音声)は、当該再生位置指示線g14nの位置に対応する再生時点に移行するようになっている。
また、図9に示すように、上記走行変化表示領域g14の図示左側には走行変化表示設定部g15が形成される。この走行変化表示設定部g15には、上記走行変化表示領域g14の横軸の表示倍率を設定するための時間表示設定部g15aと、縦軸の表示倍率(最高速度)を設定するための速度表示設定部g15bと、走行態様の変化(速度変化)を示すグラフの表示態様をなめらかにする表示フィルタ機能のチェックボックスを有する表示態様設定部g15cとが設けられる。また、この走行変化表示設定部g15には時間表示設定と速度表示設定を既定値に戻すボタンが形成される。この走行変化表示設定部g15に対する操作や前述の各種操作に応じて、上記の走行変化表示領域g14における表示動作は、図4の走行変化表示手段P1cによって実行される。
上記映像再生表示領域g12の図示右下にはクリップ情報設定領域g16が形成される。このクリップ情報設定領域g16には、クリップ期間を示す上記開始指示線g14sと終了指示線g14fとからなるインジケータを表示するか否かを設定するインジケータ表示設定部g16aと、クリップ期間の時間幅を固定するか否かを設定するクリップ期間幅設定表示部g16bと、上記クリップ開始時刻を設定する設定ボタンA及び上記クリップ終了時刻を設定する設定ボタンB、並びに、設定されたクリップ開始時刻及びクリップ終了時刻をそれぞれ表示する時刻表示を備えたクリップ期間設定表示部g16cと、上記クリップ期間に対応する走行車両の走行距離を示すクリップ走行距離表示部g16dと、を備えている。
上記クリップ期間幅設定表示部g16bでは、上記設定ボタンA又はBを操作すると、その操作時における再生時点、すなわち再生位置指示線g14nに対応する時刻に、クリップ開始時刻又はクリップ終了時刻が設定される。このとき、図示右側の時間表示ボックス内に数字を入れてクリップ期間の時間幅を設定し、図示左側のチェックボックスをチェックしてクリップ期間を固定した場合には、クリップ開始時刻とクリップ終了時刻のいずれか一方の時刻を指定すると、他方の時刻は上記クリップ期間の時間幅により自動的に設定される。また、上記チェックボックスのチェックを外した場合には、上記設定ボタンAとBをそれぞれ操作することによりクリップ開始時刻とクリップ終了時刻を別々に設定することができ、両時刻が設定されると上記時間表示ボックス内にクリップ期間の時間幅が自動的に計算されて表示される。ここで、上記のクリップ情報設定動作は、クリップ期間幅設定表示部16bに対する操作やその他の操作に応じて、図4に示すクリップ情報設定手段P1dにより実行される。
また、上記クリップ情報設定領域g16には、設定されたクリップ期間のみを再生するプレビューボタンg16eと、設定されたクリップ期間の音声データMb0、映像データMb1及び走行データMb2を切り出したクリップ情報CL(i,j)を含むクリップ情報ファイルを出力し、保存するための二種のクリップ出力ボタンg16f及びg16gが設けられている。さらに、上記入力ファイル指定領域g11と上記走行変化表示設定部g15との間に配置された上記出力フォルダ指定部g11cでは、図12に示すように、マウスのダブルクリック等の特定の出力フォルダ指定操作が入力されると、出力フォルダ指定ダイアログg11eを表示し、上記クリップ情報設定領域16に対するクリップ情報設定操作に応じたクリップ期間を備えたクリップ情報ファイルの保存フォルダを指定することができる。
上記のクリップ出力ボタンg16f「CLIP1」を選択操作すると、図17に示すクリップ出力ダイアログg16hが表示される。そして、図18に示すように、図示左側の入力アシストボックス内の所定の判定情報(図示例ではクリップ情報識別コードである判定結果)をマウスのクリック操作等により選択すると、上記保存フォルダ内の複数のサブフォルダが表示された図示右側のサブフォルダボックス内において、上記判定情報に対応するサブフォルダが自動的に指定され、その下方の指定ボックス内に表示される。ここで、保存ボタンをマウスのクリック操作等で操作することで、図19に示すように、上記所定の判定情報をファイル名とするクリップ情報ファイルが上記サブフォルダ内に保存される。なお、上記のクリップ出力ボタンg16g「CLIP2」を選択操作すると、図20に示すように、出力フォルダ指定ダイアログg16iが開くため、図21に示すように、フォルダを直接指定してクリップ情報ファイルを保存することができる。上記のクリップ情報ファイルの出力動作は、図4に示すクリップ情報出力手段P1eによって実行される。
上記クリップ情報出力手段P1eによって実行されるクリップ情報ファイルの出力動作は、特に、図2に示すデータベース構成処理STEP6を伴うことが好ましい。このデータベース構成処理STEP6は、上記のクリップ情報データベースDBCLを形成する処理である。図6には、クリップ情報データベースの具体的な構成例を示す。この構成例では、本実施形態のクリップ情報生成プログラムP1によって出力されるクリップ情報ファイルがルートフォルダRFCL内に格納されるように設定されている。図示例では、ルートフォルダRFCL内に複数階層(図示例では3階層まで)のサブフォルダCLA、CLB、CLC、CLa1、CLa2、CLc1、CLa1aが形成され、最下層のサブフォルダCLa1a、CLa2、CLB、CLc1内に上記のクリップ情報データベースDBCLがそれぞれ構成される。
クリップ情報データベースDBCLは、例えば、上記サブフォルダCLa1a内に保存された複数のDBフォルダS1、S2、・・・が設けられる。これらのDBフォルダにはそれぞれ上記クリップ情報ファイルS11、S12、・・・が格納される。DBフォルダS1、S2、・・・には、例えば判定項目の種別などのクリップ情報識別コードIcjの少なくとも一部が、例えばフォルダ名として記録される。また、各クリップ情報ファイルS11、S12、・・・には、例えば、取得情報ファイルのファイル名、車番などの走行車両の特定情報や走行日時といった取得情報識別コードIciの少なくとも一部が、例えばファイル名として記録される。なお、クリップ情報識別コードIcjや取得情報識別コードIciはフォルダ名やファイル名として記録される場合に限らず、フォルダ内の適宜のファイルに、或いは、ファイル内の適宜の構成エリアに記録されていてもよい。ただし、上記のように各コードがフォルダ名及びファイル名として記録されていることにより、これらのフォルダ名やファイル名として記録されている識別コードのみを認識して後述する運行状況レポートプログラムP2によって分類表示することが容易になる。
図12に示すように、上記映像再生表示領域g12と上記走行変化表示領域g14との間には、チェック情報操作入力部g17が形成される。図示例では、チェック情報操作入力部g17には、チェック情報登録アイコンg17aと、チェック情報展開リストg17bとが形成されている。チェック情報展開リストg17bを選択すると、図13に示すように、チェック情報登録ボタンg17c、チェック情報検索ボタンg17d、クリップ一括登録ボタンg17e、チェック情報出力ボタンg17f及びチェック情報入力ボタンg17gが表示される。チェック情報登録アイコンg17aとチェック情報登録ボタンg17cは同じ機能を有し、これらを選択操作すると、選択した時点の映像データの再生時点に対応する点データがチェック情報CHとして登録される。また、図11に示すように、走行変化表示領域g14内をマウスの右クリック等で指示することにより上記チェック情報CHを登録することもできる。
チェック情報CHの登録は、上記取得情報ファイルやクリップ情報ファイル以外のチェック情報ファイル(或いは、チェック情報データベース)に記録されることにより行われる。ただし、チェック情報CHを取得情報MB(i)とともに取得情報ファイルに記録するようにしてもよい。チェック情報CHの内容としては、例えば、点データを示す座標データ(GPSデータ)が必須の要素とされる。もちろん、間接的にではあっても上記点データを特定できる情報であればよいので、上記座標データに限定されるものではない。チェック登録の日時、或いは、当該点データが取り込まれた際に表示されていた取得情報ファイルの名称や格納場所、当該取得情報ファイルにおける上記座標データを通過したときの再生時点の時刻データ、上記点における走行車両の走行方向データなどをも含めてもよい。
上述のように登録操作を受けたチェック情報CHは、映像データの再生時点に対応する点データを有するものであり、例えば、本実施形態では、上記再生時点に対応する点データを含む。ただし、本実施形態では、チェック情報CHは、単に上記点データそのものではなく、当該点データを中心とする所定の範囲(例えば半径50mの範囲)を示すものとして設定される。また、当該チェック情報CHが登録されると、図14に示すように、当該チェック情報CHは上記走行変化表示領域g14内に指示される。図示例では、上記走行変化表示領域g14のグラフ表示エリアの上縁に表示される着色された帯状マークがチェック情報CHを表示するチェック情報マーカーg14chである。この場合、上記点を中心とする例えば半径50mの範囲を走行しているときの記録範囲が上記チェック情報マーカーg14chの時間軸方向の長さによって表示される。したがって、走行速度が大きい場合には上記チェック情報マーカーg14chの帯形状が短く表示される。なお、本実施形態ではチェック情報CHを一定の距離範囲となるように登録しているが、一定の時間範囲となるように登録してもよく、或いは、単に一点若しくは一時点の情報として登録してもよい。
上記チェック情報検索ボタンg17dを選択操作すると、図22に示す確認ダイアログボックスが開き、これに同意すると、上記入力ファイル表示ボックスg11b内に表示された複数の取得情報ファイル内を検索し、図23に示すように、チェック情報が登録されている取得情報ファイルの表示部分を着色して表示する。着色された取得情報ファイルを選択操作すると、図14等に示すように上記チェック情報マーカーg14chが含まれた走行変化表示領域g14が表示される。また、上記クリップ一括登録ボタンg17eを選択操作すると、クリップ情報ファイルが保存されているフォルダを指定する指定ダイアログ(図示せず)が表示され、フォルダの指定操作を行うと、当該フォルダ内にあるクリップ情報ファイルの点データを自動的に登録することができる。この場合、クリップ情報ファイルに取得情報ファイルの名称などが例えばファイル名の一部などの形で記録されていると、これを読み取って、表示されている複数の取得情報ファイルのうちの対応する取得情報ファイルに関連付けた形で、例えば対象となる取得情報ファイルの名称を含むチェック情報CHを登録することにより、当該取得情報ファイルが再生表示されたときにのみ上記走行変化表示領域g14にチェック情報マーカーg14chを表示するように構成できる。
上記チェック情報ファイルは上記クリップ情報生成プログラムが実行されているコンピュータ内に上記チェック情報ファイルとして登録され、或いは、より好ましくは、複数のチェック情報ファイルを格納したチェック情報フォルダなどを形成するなど、チェック情報データベースとして登録される。以上の動作は、上述のチェック情報登録操作に応じて、図4に示すチェック情報登録手段P1fにより実行される。ここで、登録されたチェック情報CHを他のコンピュータ等の端末間で共有したり活用したりする場合には、上記チェック情報出力ボタンg17fを操作することにより上記チェック情報ファイル内の登録データを出力することができる。この動作は、チェック情報出力操作に応じて、図4に示すチェック情報出力手段P1gにより実行される。また、逆に外部からチェック情報を取り込む場合には、上記チェック情報入力ボタンg17gを操作することで登録データを取り込むことができる。この動作は、チェック情報入力操作に応じて、図4に示すチェック情報入力手段P1hにより実行される。
図9に示すように、上記映像再生表示領域g12と上記走行変化表示領域g14との間には、OPTIONボタンg18が形成され、このOPTIONボタンg18を操作すると、図16に示すように、複数の設定項目を含む設定リストg18aが現れて選択操作に応じて適宜の設定を行うことができるようになっている。
[運行状況レポートプログラム]
次に、図5並びに図24乃至図38を参照して、本発明に係る走行映像表示プログラム及び走行映像表示システムの実施形態に相当する運行状況レポートプログラムについて説明する。図5は、運行状況レポートプログラムをコンピュータにより実行することにより実現される機能実現手段の構成を示す概略構成図、図24乃至図38は、運行状況レポートプログラムをコンピュータにより実行する際に種々の手順において表れる表示画面の例を示す画面構成図である。
本実施形態の運行状況レポートプログラムP2では、プログラムを起動すると図24に示す表示画面(実際には表示ウィンドウ、以下同様。)G2が形成される。この表示画面G2には、左上に操作メニューg21が形成され、操作メニューg21には、ファイル操作入力部g21aと、設定操作入力部g21bが形成される。操作メニューg21の下方には、走行月表示部g22a、入力フォルダ表示部g22b、走行月操作部g22c及びデータ検索ボタンg22dを備えた操作設定表示部g22が形成される。この操作設定表示部g22では、走行月操作部g22cに対する操作に応じて走行月表示部g22aに表示すべき月次が表示され、データ検索ボタンg22dを操作するとデータが存在するサブフォルダを自動的に検索していずれかを後述するデータベース表示領域g23に表示する。また、上記の検索によりルートフォルダRFCL内に複数のサブフォルダが存在するときにはフォルダ表示部g22bのプルダウンリストに表示され、当該リスト内から表示すべきサブフォルダを選択できるようになっている。
操作設定表示部g22の下方にはデータベース表示領域g23が形成される。このデータベース表示領域g23は、上述のクリップ情報データベースの全体構成を分類表示する領域であり、表示画面G2の主体部分を占めている。データベース表示領域g23の右上には一覧表出力ボタンg23aが形成される。一覧表出力ボタンg23aを操作すると、データベース表示領域g23内に表示されているデータ内容を後述する分類表示に対応する一覧表の形でファイル出力するようになっている。
操作メニューg21の設定操作部g21bを選択操作すると、図25に示すように環境設定のドロップダウンメニューが表示され、このメニュー内の環境設定を操作すると、図26に示す環境設定ダイアログg21cが表示される。環境設定ダイアログg21cには、クリップ情報が保存される上記ルートフォルダRFCLを指定するためのルート指定部g21dと、コンピュータ内に設定され、各種の検索キーの設定やリンクデータ等を登録してクリップ情報データベースを統括管理する内部管理データベースを指定するための内部管理DB指定部g21eとが設けられ、さらに、必要に応じてその他の設定部分が形成される。
一方、操作メニューg21のファイル操作部g21aを選択操作すると、図27に示すようにインポートメニューg21f及び再構成メニューg21gのドロップダウンメニューが表示される。インポートメニューg21fを選択操作すると、図28に示す入力ダイアログg21hが表示される。入力ダイアログg21hでは、インポートすべきクリップ情報データベースが格納された入力フォルダを指定する入力フォルダ指定部g21i及びこの指定したフォルダ内の構成を表示する入力フォルダ表示部g21jと、インポート先のDBフォルダを指定するDBフォルダ指定部g21k及びこの指定したDBフォルダ内の構成を表示するDBフォルダ表示部g21lとが設けられている。またファイル表示部g21mには、インポートされたクリップ情報ファイルが表示される。インポートボタンg21nを操作すると、図29に示すように、上記入力フォルダ指定部g21iで指定され上記入力フォルダ表示部g21jに表示されたフォルダ内のクリップ情報ファイルが上記DBフォルダ指定部g21kで指定され上記DBフォルダ表示部g21lに表示されたDBフォルダにインポートされる。
図27に示す再構成メニューg21gを選択操作すると、図30に示す確認表示ダイアログg21oが表示され、右下の再構成ボタンg21pを操作すると、上記のインポート処理による変更内容をデータベース構成に反映するために、図31に示すようにクリップ情報データベースの再構成が行われる。
次に、上記データ検索ボタンg22dを選択操作すると、図32に示すようにルートフォルダRFCL内にあるクリップ情報データベースDBCLの内容が上記データベース表示領域g23内に表示される。このデータベース表示領域g23の表示は、クリップ情報ファイルに格納されたクリップ情報CL(i,j)を上記取得情報識別コードIci及び上記クリップ情報識別コードIcjの異同により分類して表示するものである。本実施形態では、この分類表示態様Mは、取得情報識別コードIciが行、クリップ情報識別コードIcjが列となる態様で二次元行列を構成する表形式となっている。図示例では、取得情報識別コードIciとして図示左端の行タイトル列に表示された車番及び乗務員名並びに検出日ごとに行が構成され、クリップ情報識別コードIcjとして図示上端の列タイトル行に表示された判定項目ごとに列が構成される。また、取得情報識別コードIcjごとに図示右端に「その他」の欄が設けられ、元となる取得情報MB(i)ごとにクリップ情報CL(i,j)に走行時に発生した事象が記録される。
上記データベース表示領域g23において表形式で分類表示されたクリップ情報データベースDBCLにおいては、上記取得情報識別コードIciと上記クリップ情報識別コードIcjの異同に応じて構成された縦横マトリクス状の上記分類表示態様Mの複数のセルms内にそれぞれ一又は複数のクリップ情報CL(i,j)が関連付けられ、各クリップ情報に対応する表示マーカーが表示される。図示例では、各セルms内にはクリップ情報CL(i,j)の判定結果を示す記号が表示されている。ここで、図示例の判定結果では、交通違反のないケースにおいて記号「◎」が優、記号「○」が良、記号「△」が可とされ、交通違反のあるケースで記号「▲」が軽微な違反、記号「●」が重大違反、記号「?」は判定困難を示している。そして、以上の動作は、分類表示態様Mに対する選択操作に応じて、図5に示すクリップ分類表示手段P2aにより実行される。
上記の行列形式若しくは表形式の分類表示態様Mでは、両識別コードIci,Icjによって分類された各セルms内をマウスによるクリック等で選択操作すると、当該選択されたセルms内の表示に対応する一又は複数のクリップ情報CLが一括して選択される。また、取得情報識別コードIci又はクリップ情報識別コードIcjそのものを表示する図示左端の行タイトル列中の行タイトルmi若しくは図示上端の列タイトル行中の列タイトルmjを選択操作すると、当該行若しくは列に含まれる全てのクリップ情報CLが選択される。なお、「その他」のセルmsには、それが属する行の取得情報識別コードに対応する取得情報中で注目すべき一又は複数のクリップ情報が関連付けられ、上記選択操作により当該注目すべきクリップ情報が一括して選択される。
上記のようにして図32に示すようにデータベース表示領域g23に表示された一又は複数のクリップ情報CLを選択すると、選択されたクリップ情報CLが呼び出され、図33に示すように、表示画面G3(表示ウィンドウ)が表示画面G1とは別に形成され、その中の映像リストg31内に選択されたクリップ情報CLが上記識別コードIci、Icjの少なくとも一部により表示される。なお、上記のデータベース表示領域g32に対するクリップ情報データベースの構成表示機能と、当該構成表示に対する上記選択操作に応じた表示画面G3への一又は複数のクリップ情報CLの呼び出し機能は、上述の内部管理データベースを参照して行われる。このとき、選択された一又は複数のクリップ情報の呼び出し動作は、図5に示すクリップ情報呼出手段P2bにより実行される。なお、運行状況レポートプログラムP2においては、上記クリップ分類表示手段P2aと上記クリップ情報呼出手段P2bは走行情報取込手段としての機能を有し、本願発明に係る走行映像表示システムの映像データ取込手段に相当し、また、本願発明に係る走行映像表示プログラムに上記走行情報取込手段が設けられる場合には当該プログラムの映像データ取込手段に相当する。
図33に示すように、表示画面G3には、上記映像リストg31の左側に上記映像再生表示領域g12と同様に構成された映像再生表示領域g32が形成され、その下側には、上述の再生操作入力部g12sと同様に構成された再生操作入力部g32sが形成される。また、再生操作入力部g32sの下方には判定情報を表示する判定情報表示部g33が形成される。さらに、上記映像リストg31の下側には、上記の走行変化表示領域g14と同様に構成された走行変化表示領域g34、コメント入力部g35(図35参照)、及び、GPSデータ表示部g36(図35参照)がタブ構成により交代的に表示可能とされる。そして、以上の動作は、図5に示すクリップ情報表示手段P2cによって実行される。このクリップ情報表示手段P2cは、本発明に係る上記映像再生表示手段に相当する。
ここで、図35に示すように、コメントタブを選択するとコメント入力部g35が表示される。このコメント入力部g35では、再生中のクリップ情報CLに関する各種のコメントを保存できるように構成されている。この動作は、図5に示すクリップ情報編集手段P2dにより実行される。
また、個別出力ボタンg38を操作すると、図36に示す保存ダイアログg39が表示され、選択された一又は複数のクリップ情報CLに関する個別データを出力することができる。この動作は、図5に示す個別データ出力手段P2eによって実行される。個別データ出力手段P2eは、操作者により選択された一又は複数のクリップ情報CLに対して適宜のデータを作成して出力する手段であり、これにより、上記のように選択された一又は複数のクリップ情報CLについて適宜の形式で管理データを作成することが可能になる。この場合に、上記クリップ情報編集手段P2dにより元の一又は複数のクリップ情報CLの少なくとも一部に操作者による追加情報を付加してから、上記個別データを出力することができる。
なお、図37に示すように、上記表示画面G3に地図表示部g40をさらに設けてもよい。この地図表示部g40は、図示例では、タブ構造により上記映像リストg31と交代的に表示可能に構成されている。この地図表示部g40を選択操作すると、図38の左側に示す地図表示領域g41が表示される。この地図表示領域g41は、上記映像再生表示領域g32の再生時点に対応する点データを含む範囲の(図示例では点データに対応する位置を中心とする)地図を表示する。地図表示領域g41には、上記点データに対応する、現在の走行位置を示す標準マーカーg42が示される。また、地図表示領域g41においては、標準マーカーg42の表示と非表示、走行軌跡の表示と非表示、走行方向に合わせた地図の回転動作の要否をチェックボックスの選択により切り替えることができるように構成される。さらに、図示の距離レーダーボタンg43を操作すると、上記映像再生表示領域g32における映像データの再生が一時的に停止され、図38の右側に示すように、現在の走行位置からの距離が同心円状の距離マーカーg44により表示される。
以上説明した本実施形態の運行状況管理システム、クリップ情報生成プログラムP1及び運行状況レポートプログラムP2によれば、以下の効果を得ることができる。
まず、クリップ情報生成プログラムP1により取得情報MB(i)からクリップ情報CL(i,j)を生成し、運行状況レポートプログラムP2によりクリップ情報CL(i,j)を再生表示することができるため、取得情報MB(i)が長時間にわたるデータとして記録されていても、当該取得情報MB(i)の要点を迅速かつ容易に把握することができ、短時間に各種の処理その他の管理作業を行うことが可能になる。
また、クリップ情報生成プログラムP1において、取得情報MB(i)を再生表示する際に走行態様の時間変化を図形表示するとともに再生時点に対応する位置を指示することにより、取得情報の再生時点の時間的前後の走行状況を推定できるため、走行状況の把握やクリップ情報の設定を容易かつ迅速に行うことができる。この点は、運行状況レポートプログラムにおいて、クリップ情報CL(i,j)を再生表示する場合でも同様であり、上記走行態様の時間変化の図形表示や再生時点に対応する指示位置の表示により、走行状況の把握を容易かつ迅速に行うことが可能になる。
さらに、クリップ情報生成プログラムP1において、映像データの再生時点に対応してクリップ期間を設定できるので、映像データを見ながら操作するだけでクリップ期間を正確かつ迅速に設定することができる。また、この点はチェック情報CHを登録する場合でも同様であり、映像データの再生時点に対応する点データをチェック情報CHとして登録できるので、映像データを見ながら操作するだけで点データを正確かつ迅速に登録することができる。
また、運行状況レポートプログラムP2では、複数のクリップ情報CL(i,j)を取得情報識別コードIciとクリップ情報識別コードIcjで分類表示し、この分類表示態様Mの各表示分類(セルms、行タイトルmi又は列タイトルmj)を選択操作することで、当該表示分類に属する一又は複数のクリップ情報CLを呼び出すことができる。したがって、操作者が必要とする適宜のクリップ情報群を取り込んで表示することが可能になるため、運行状況の各種のレポート処理作業や管理作業を迅速かつ容易に行うことが可能になる。
[位置基準設定手段及び位置指標表示手段に対応する構成]
最後に、本発明に係る走行映像表示プログラム及び走行映像表示システムにおける、上記位置基準設定手段及び位置指標表示手段に相当する構成について説明する。当該構成は、上記クリップ情報生成プログラムP1又は上記運行状況レポートプログラムP2において、それぞれ、取得情報MB又はクリップ情報CLに含まれる映像データに基づいて映像再生表示領域g12又はg32に再生映像を表示する際に、当該再生映像に対して施される付加機能である。以下には、上記クリップ情報生成プログラムP1において当該機能を付加した場合について詳細に説明するが、上記運行状況レポートプログラムP2についても同様に上記機能を付加して構成することができる。
図39は、本実施形態のクリップ情報生成プログラムP1′の機能実現手段の構成を示す概略構成図である。ここで、図示点線で示す各手段は、先の実施形態のクリップ情報生成プログラムP1と同様であり、本発明においては必須の構成ではないので、説明を省略する。本実施形態では、先の実施形態と同様の映像再生表示手段P1bによって映像再生表示領域g12に表示される再生映像上に、位置指標となる距離ライン若しくはタイムラインを重ねて表示する映像スケーリング機能を備えたものである。
本実施形態では、図39に示すように、基準指定操作に応じて位置基準を設定する位置基準設定手段P1iと、上記位置基準に従って位置指標を再生映像上に重ねて表示する位置指標表示手段P1jとを備えている。上記位置基準は、原点位置、基準距離、対照位置で定まるスケール条件と、カメラの位置や姿勢に関する撮影位置、撮影方向、撮影画角で定まる撮影条件とを含む。また、位置指標表示手段P1jは、位置指標の表示態様に関する条件、例えば、位置指標の配列態様や位置指標の表示形態を含む指標表示条件を設定する機能と、上記位置基準と上記配列態様から位置指標の表示位置を算出する機能と、上記表示位置と上記表示形態に応じて位置指標を再生映像上に重ねて表示する機能とを備える。
図40には、本実施形態の映像スケーリング機能を備えたクリップ情報生成プログラムP1′の位置基準の設定及び位置指標の表示を行う前のユーザーインターフェースを示す画面構成図(a)と、位置指標を表示した状態のユーザーインターフェースを示す画面構成図(b)を示す。図40(a)に示すように、本実施形態の表示画面G1′は、先の実施形態のクリップ情報生成プログラムP1の表示画面G1と同様の、入力ファイル指定領域g11と、映像再生表示領域g12と、再生ファイル情報表示領域g13と、走行変化表示領域g14と、走行変化表示設定部g15と、クリップ情報設定領域g16とを備えている。映像再生表示領域g12には、図示のように走行車両に搭載されたカメラ等により走行車両の外部の走行路の映像が表示される。
表示画面G1′には、映像再生表示領域g12の左上位置に、本実施形態において本発明の位置指標に相当する距離ライン及びタイムラインの表示の有無を設定する二つのチェックボックスからなる映像スケーリング起動操作部g12xが設けられ、マウス等によるクリックなどの操作によって距離ラインの表示の有無と、タイムラインの表示の有無をそれぞれ選択することができるようになっている。図示例の場合には、映像スケーリング起動操作部g12xの図示左側のチェックボックスにチェックを入れる操作により距離ラインが表示可能となる。この状態では、映像再生表示領域g12の上縁の外側に水平に伸びる距離ラインA(例えば、赤色のライン)が表示され、映像再生表示領域g12の下縁の外側に水平に伸びる映像ベースラインC(例えば、灰色のライン)が表示される。
上記の距離ラインA及び上記の映像ベースラインCは、上記の初期位置(再生映像の上縁に沿った位置及び下縁に沿った位置)からそれぞれドラッグ&ドロップなどの移動操作により映像再生表示領域g12上の走行方向(図示上下方向)の任意の表示位置に配置することができるようになっている。ここで、映像ベースラインCは、再生映像上の表示位置に関する位置基準のうち、スケール条件の一つである原点位置を示すものであり、距離ラインAはスケール条件の他の一つである対照位置を示すものである。すなわち、上記移動操作は上記原点位置と上記対照位置を指定することにより再生映像のスケール条件を設定するための基準指示操作である。ただし、映像再生表示領域g12の下縁位置が再生映像の下縁位置と一致し、しかも再生映像の下縁をそのまま原点位置としてよい場合には、映像ベースラインCの移動操作は行わず、上記初期位置のままとしてもよい。なお、再生映像のスケール条件は、上記原点位置と上記対照位置の表示間隔に対応する、走行路(路面)上の原点地点と対照地点の間の距離を示す後述する基準距離が規定されて初めて設定される。当該基準距離は既定値(図示例では5m)とすることができるため、基準指示操作の対象とする必要はない。ただし、基準距離を適宜に変更することができるように構成してもよく、この場合には基準指示操作には基準距離の指示操作が含まれる場合もある。
図40(b)には、上記スケール条件に加えて後述する撮影条件を含む位置基準に基づいて位置指標である距離ラインA、P及びタイムラインQを表示した様子を示す。タイムラインQは上記映像スケーリング起動操作部g12xの図示右側のチェックボックスにチェックを入れることにより所定の条件下において表示される。距離ラインA、Pは、映像ベースラインCの表示位置(原点位置)に対応する走行路上の原点地点から所定の距離だけ離れた対照地点に対応する再生画像上の表示位置を示す。ここで、距離ラインA、Pは赤色、タイムラインQは黄色などのように、距離ラインA、PとタイムラインQは色その他の態様が相互に識別可能に表示される。距離ラインPは、上述の基準指示操作で再生映像上に配置された距離ラインAとは別の表示位置に表示される位置指標であり、図示例では、上記の原点地点に対して特定の距離を有する特定の地点に対応する特定の表示位置に配置される。図示例では、映像ベースラインCで示される原点位置に対応する原点地点からの距離Lが0m、1m、3m、10m、20mの5箇所の地点に対応する5本の距離ラインPが再生映像上に重ねて表示される。ここで、各距離ラインA、Pには上記距離Lを示す距離表示がそれぞれ伴う。また、映像ベースラインCと重ねて表示される0mの距離ラインPには、後述する撮影条件に応じて求められる画面下線距離(カメラ位置から再生映像の映像ベースラインCの表示位置に相当する原点地点までの走行方向の距離がさらに付加表示される。
一方、タイムラインQは、走行車両が現在の速度vで走行したときに、上記原点地点から出発して所定時間t後に到達する特定の地点に対応する再生映像上の特定の表示位置を示す。図示例では、0.3秒後、0.5秒後、1.0秒後、3.0秒後の4本のタイムラインQが再生映像上に重ねて表示される。このタイムラインQには上記時間tを示す時間表示が伴う。タイムラインQは、上記映像スケーリング起動操作部g12xの図示左側のチェックボックスがチェックされて距離ラインA,Pが表示可能とされた状態で距離ラインAが指示された場合にのみ、図示右側のチェックボックスがチェックされることにより表示される。なお、再生映像上に配置された距離ラインA,Pはマウス等による指示及び操作(指示時にダブルクリックする)ことにより個々に削除することができ、また、初期位置にある距離ラインAを指示及び操作(指示時にダブルクリックする)ことにより再生映像上の全ての距離ラインA、Pを削除することができる。さらに、図40(a)に示す状態で距離ラインAの指示が完了したとき、当該距離ラインAの指示及び別の操作(指示時に右ダブルクリックする)を行うことにより、図40(b)に示す距離ラインPが表示される。
本実施形態では、位置指標である上記距離ラインA,P及び上記タイムラインQを再生映像上の特定の表示位置に表示するが、当該表示位置は、再生映像に映る走行路(路面)上の特定の地点及び特定の地点間の距離を反映している。例えば、上記距離Lが10mの距離ラインPは再生映像上の原点位置から特定の間隔を有する特定の表示位置に表示されるが、この表示位置は、再生映像に映る走行路上の原点地点(再生映像上の映像ベースラインCの表示位置に対応する走行路上の地点)から10m先にある走行路上の特定の地点が映る位置となっている。
このようにすると、距離ラインA,Pを見ることによって上記原点地点からの特定の距離を有する地点を再生映像上において知ることができる。したがって、例えば、走行車両が一時停止若しくは駐車している場合に、一時停止位置や駐車位置が走行路上のどの地点に相当するか、走行中において走行路を先に走行している先行車両との車間距離がどうかを迅速かつ確実に把握することができる。したがって、停止位置、駐車位置、車間距離の適否を容易かつ客観的に判定することができる。
一方、タイムラインQを視認することにより、上記原点地点から特定の時間後に到達する特定の地点を知ることができる。したがって、例えば、走行車両が先行車両の突然のアクシデントに対して充分に対応できる時間的余裕があるか、横断歩行者を回避するに充分な徐行速度で右左折を行っているか否かを迅速かつ確実に把握することができる。したがって、車間距離や走行速度による安全度を容易かつ客観的に判定することができる。
図41(a)及び(b)は、再生映像に対応する仮想画面DP上の位置及び間隔と、再生映像に映る走行路(路面)R上の地点の位置及び地点間の距離との関係を示す説明図である。仮想画面DPは、再生映像に写る走行路R上の全ての地点を撮影方向(カメラに向かう方向)に投影したときに再生映像と対応する画像が得られる仮想的な画面である。図41(a)は、仮想画面DP上の距離ラインA、P及び映像ベースラインCの位置と、走行路R上の地点B、Bs、Bpとの関係を示してある。走行車両等に搭載されるカメラを用いて外部を撮影するときの撮影条件は、カメラ地上高Hより定まる撮影位置と、カメラ上下傾きδにより定まる撮影方向と、カメラ上下画角φにより定まる撮影画角とによって定められる。まず、カメラの撮影位置と、仮想画面DPの下縁を示す画面下縁位置B(図示例では走行路R上の地点Bと一致する。)との間の実空間上の水平距離(走行車両の走行方向に沿った距離)を画面下線距離Ldとすると、
Ld=Htanθ…(1)
となることがわかる。ここで、カメラ上下画角φが撮影方向(図示一点鎖線に沿った方向)に対して上下に等角であればθ=90°−φ/2−δである。ただし、この場合にカメラ傾斜角δは図示のように水平から下向きの角度を正とする。
ここで、まず、図示実線に示すように、映像ベースラインCが画面下縁位置Bに一致している場合を想定すると、この場合においては、この画面下縁位置Bが再生映像上の原点位置に対応する仮想画面DP上の原点位置である。なお、図示例では上記画面下縁位置が走行路R上にある仮想画面DPを想定しているので、上記原点位置Bは走行路R上にある原点地点にも一致する。また、カメラ地上高H、カメラ上下傾きδ、カメラ上下画角φによって定まる仮想画面DP上の距離ラインAの位置は、画面下縁位置Bとの間隔Xaによって定められる。このとき、仮想画面DP上の距離ラインAの位置に対応する走行路R上の地点を対照地点Bsとする。ここで、当該対照地点Bsが原点地点Bよりも前方に基準距離Lsだけ離間した位置にあるとしたスケール条件を含む位置基準が設定されているとして以下に説明を行う。なお、本実施形態において、上記の位置基準は、後述するように、再生映像に映る走行路Rを見ながら、走行路R上に描かれた白線、速度表示、ひし形マークなどの路面表示を目安として、上記距離ラインAを画面下縁位置Bに対応する走行路R上の原点地点Bから基準距離Lsだけ離隔した対照地点Bsに配置(基準指示操作)することで、設定することができる。
まず、図41(a)に示すように、距離ラインAの視線(図示点線)と、画面下縁位置Bを通過する垂線との交点をKとし、当該交点Kの高さをhとする。この場合、以下の式(2)が成立する。
h=H・Ls/(Ld+Ls)…(2)
また、上記垂線と仮想画面DPとの交差角が上記カメラ傾斜角δと同じであるとすると、以下の式(3)が成立する。
h−Xacosδ=H・Xasinδ/(Ld+Ls)…(3)
ここで、h=Xacosδ+(h−Xacosδ)であるから、上記式(3)を代入することにより以下の式(4)が成立する。
h=Xacosδ+H・Xasinδ/(Ld+Ls)…(4)
上記式(2)と上記式(4)から、以下の式(5)が求められる。
H・Ls/(Ld+Ls)=Xacosδ+H・Xasinδ/(Ld+Ls)…(5)
この式(5)から仮想画面DP上の間隔Xaを求めると、以下の式(6)になる。
Xa=H・Ls/[(Ld+Ls)cosδ+Hsinδ]…(6)
ただし、実際に映像再生表示領域g12に表示される再生映像は、上記仮想画面DPを一定の縮尺率Sで縮小したものになるので、再生映像上の距離ラインAの表示位置の映像下縁(画面下縁位置B)との間隔xaは以下の式(7)で表される。
xa=H・Ls・S/[(Ld+Ls)cosδ+Hsinδ]…(7)
なお、縮尺率Sは、再生映像上の表示間隔xaを実測して求め、撮影条件のカメラ地上高H、カメラ上下傾きδ、カメラ上下画角φに基づいて、式(1)から画面下線距離Ldを求め、さらに基準距離Lsを用いることにより、未知数である縮尺率Sを求めることができる。縮尺率Sは以下の式(8)によって定義される。
S=xa/Xa=xa[(Ld+Ls)cosδ+Hsinδ]/H・Ls…(8)
次に、距離ラインPの再生映像上の表示位置を求める方法について説明する。この距離ラインPは、距離ラインAの表示位置に対応する走行路R上の対照地点Bs以外の他の走行路R上の地点Bpに対応する表示位置を示す位置指標である。この距離ラインPに対応する走行路R上の地点Bpと上記原点地点Bとの間の距離をLpとすると、距離ラインの表示位置Pと画面下縁位置(原点位置)Bとの仮想画面DP上の間隔Xpは図41(a)に示すようになり、上記式(7)に基準距離Lsの代わりに距離Lpを代入することにより、再生映像上の表示間隔xp=Xp・Sは上記式(8)と同様に以下の式(9)で示される。
xp=H・Lp・S/[(Ld+Lp)cosδ+Hsinδ]…(9)
ここで、Sは式(8)で求めたものを用い、画面下線距離Ldは式(1)で求めたものを用い、さらにカメラ地上高H、カメラ上下傾きδを用いることによって、任意の距離Lpに対応する上記表示間隔xpを求めることができる。
一方、図41(b)に示すように、走行車両が映像ベースラインCの表示位置に対応する原点地点Bから出発して時間t後に到達する地点Bqまでの距離をLqとし、走行車両の速度をvとすると、両地点間の距離はLq=v・tで示される。このとき、位置指標である時間tのタイムラインQは、上記地点Bqに対応する再生映像上の表示位置を示すものになる。ここで、地点Bqに対応する仮想画面DP上の位置(画面下縁位置Bに対する間隔Xq)に相当するタイムラインQの再生映像上の表示間隔xqは、上記式(9)と同様に、以下の式(10)で表される。
xq=H・Lq・S/[(Ld+Lq)cosδ+Hsinδ]…(10)
したがって、時間tを設定することにより上記距離Lqが求められるので、上記と同様にして式(10)より地点Lqに対応するタイムラインQの表示間隔xqを求めることができる。
上記の各式は、カメラ上下傾きδとカメラ上下画角φとによって上述のようにθが定まり、このθとカメラ地上高Hによって上記式(1)により画面下線距離Ldが定まる場合について成立する。このとき、映像ベースラインCは上述のように再生映像の下縁位置(図示では画面下縁位置又は原点位置B)に設定されている(間隔Xc=0)。しかしながら、図40のように映像ベースラインCが再生映像の下縁位置より上方に配置された場合には、図41(a)中に白丸Cで示すように間隔Xcが0ではなくなり、二点鎖線で示すように実質的な画面下縁位置B′は上記原点位置に対応する原点地点BよりもΔLだけ前方に配置される。この場合の画面下線距離Ld′は下線増加距離ΔLを用いて以下の式(11)で示される。
Ld′=Ld+ΔL=Htanθ′=Htan(θ+Δθ)…(11)
ここで、Δθは、カメラ上下傾きδが変化せず、カメラ上下画角φの変化量が−Δφであるとすると、以下の式(12)で示される。
Δθ=−(φ′−φ)/2=−[(φ−Δφ)−φ]/2=Δφ/2…(12)
すなわち、映像ベースラインCを上方へ移動させると、その上方移動量が増大するに従って、カメラ上下画角φ(撮影画角)が減少し(−Δφ)、その分、θが増大する(+Δθ=+Δ/2)ため、画面下線距離Ldは逆に増大する(+ΔL)。
一方、基準距離Lsは上記と変わらないので、対照地点BsもΔLだけ前方へ移動して対照地点Bs′になり、地点BpもΔLだけ前方へ移動して地点Bp′になる。したがって、上記対照地点Bsに合わせて指示される距離ラインAの仮想画面DP上の位置は、図41(a)に示すように、対照地点Bs′に対応する仮想画面DP上のA′点(図中白丸)になり、これに伴って、地点Bp′に対応する距離ラインPの仮想画面DP上の位置もP′(図中白丸)になる。
この場合、スケール条件を設定する上で、仮想画面DP上の映像ベースラインCの位置が画面下縁位置Bに近い場合にはカメラ上下画角を上記φのままにしていても問題はほとんど生じない。しかし、映像ベースラインCが図示のように画面下縁位置Bから或る程度上方へ離れると、カメラ上下画角φの変化量(減少量)−Δφが大きくなり、+ΔLも大きくなるため、上記式(9)で求められる距離ラインPの表示位置xpが再生映像内に映る走行路R上の地点と整合しなくなる。これは、撮影画角が実質的に狭くなる(画面下線距離Ldが大きくなる)にも拘わらず、上記式(6)により仮想画面DP上の間隔Xpはカメラ上下画角φのままで求められ、Ldが小さいままであるため、仮想画面DP上ではP′の位置にあるべき距離ラインの位置を示す間隔Xpがさらに大きくなって、距離ラインPがさらに上方に移動するからである。このときには、後述するように、再生映像を見ながらカメラ上下画角φの調整操作を行う(カメラ上下画角φを映像ベースラインCの移動量に応じて低下させる)ことによって、距離ラインPが再生映像に写る走行路R上の地点の表示位置と整合するように、適正なカメラ上下画角を調整すればよい。このとき、理論上はカメラ上下画角がφ′に一致するはずであるが、必ずしもカメラ上下画角がφ′になるとは限らない。これは、他の撮影条件の誤差やレンズ特性などにより、カメラ上下画角をφ′に設定しても距離ラインPの表示位置が対応する走行路R上の地点Bpに一致するとは限らないからである。このため、上述のように再生映像を見ながらカメラ上下画角を調整する意義がある。
次に、図42を参照して、距離ラインAの設定操作方法について説明する。ここで、図示の再生映像は輸送トラックなどのように下方に死角がない再生映像の例を示すものである。このため、映像ベースラインCの移動操作は不要であり、原点位置Xc=0である。そして、図42の左上図において再生操作入力部g12sを操作することにより、再生映像に映る走行路Rの路面中央の白線(長さは5[m])の基端(手前側の端部)を再生映像の下縁位置(図示例では映像ベースラインCの原点位置に一致する。)に合わせる。その後、距離ラインAの移動操作を行い、距離ラインAを上記白線の先端(遠方側の端部)に合わせることにより、対照位置A、及び、原点位置Bと対照位置Aの間隔Xaを指定する(基準指示操作)。ただし、この場合の実際の操作内容は、対照位置Aの指示操作のみであり、原点位置B=Cと基準距離Lsには既定値が用いられる。ここで、基準距離Lsのデフォルト値が5mに設定されていれば、Xa−Xc=Xa=5mとなり、この場合には上記位置基準設定手段P1iにより、間隔Xa=5mの走行方向のスケール条件が設定されることになる。
一方、本例では撮影条件のカメラ地上高H、カメラ上下傾きδ、カメラ上下画角φがそれぞれ既定値に設定されている。このため、上記のスケール条件が設定されると、このスケール条件と既定の撮影条件により、上記再生映像の位置基準が確定する。また、所定の操作、例えば上記距離ラインAの表示位置を指示して右ダブルクリックなど、を行うと、上記位置指標表示手段P1jにより、上記位置基準と、指標表示条件のうちの位置指標の配列態様(これも既定値に設定されている。)に基づいて、距離ラインAの表示間隔xaと映像ベースラインCの表示間隔xcが計測され、位置指標である距離ラインPの表示位置xpが計算される。これにより、図42の右上図に示すように、位置指標として、距離表示の表示値である距離Lが0m、1m、2m、3m、4m、5m、10m、15m、20mである9本の距離ラインA、Pを指標表示条件のうちの位置指標の表示形態に応じて(上記距離表示を伴う水平ラインの形態で)再生映像上に重ねて表示する。なお、距離ラインに伴う距離表示は、距離ラインA、Pの表示間隔xa、xpに対応する走行路R上の対照地点Bs、地点Bpの位置の原点地点Bからの距離Lの値を示している。
図示例の再生映像には、最も手前に配置された長さ5mの白線の先に5mの間隔を有してさらに先に5mの白線が写っているため、原点位置に対応する原点地点Bから10m、15m離れた地点に対応する再生映像上の表示位置を確認することができる。図42の右上図の場合、原点地点Bから10m以上離間した地点に対応する距離ラインPの表示位置が再生映像上の白線及び間隔(白線の長さと間隔は共に5m)と一致せずにずれていることがわかる。これは、上記撮影条件が再生映像の実際の映像データの撮影状況を正しく反映していないことが原因である。そこで、図42の右下図に示すように条件設定ダイアログDAを呼び出し、その距離スケール設定用タブDA2において、カメラ地上高H、カメラ上下傾きδ、カメラ上下画角φのいずれかを変更し、撮影位置、撮影方向、撮影画角の少なくともいずれか一つ以上の設定を調整することにより撮影条件を修正する。ただし、本例では映像ベースラインCを移動していない(映像ベースラインCは原点位置Bにある)ので、上述のようなカメラ上下画角φ及び画面下線距離Ldの変化がないから、上記理由によるカメラ上下画角φの大幅な調整(低減)は不要であり、一般的には、撮影条件がそれほど大きく相違していなければ、撮影条件のカメラ地上高H、カメラ上下傾きδ、カメラ上下画角φのいずれかを適宜に微調整すれば充分である。ここで、この調整作業により距離ラインA、Pの位置はリアルタイムで変化するので、図42の左下図に示すように全ての距離ラインA、Pが再生映像上の白線に対応する表示位置に整合するまで調整を行う。
図43(a)には、映像再生表示領域g12に表示される再生映像が2画面の場合を示す。この場合には、例えば、再生映像の左側には走行方向前方の車外映像が表示され、この車外映像に走行路が映っている。再生映像の右側には走行車両の車内映像が表示される。この場合、両映像を映像再生表示領域g12内で横に並べて表示するために、再生映像の上下幅が映像再生表示領域g12の上下幅よりも小さくなっている。このため、映像ベースラインCを図示上方へ移動させて、図示左側の映像の下縁位置に合わせることにより、図示左側の車外映像の下縁位置を原点位置に設定する。このようにすれば、上述と同様に、距離ラインAの表示位置を指示することにより、距離ラインPを表示させることができる。
図43(b)には、映像再生表示領域g12に表示される再生映像が4画面の場合を示す。この場合には、例えば、再生映像の左上には走行方向前方の車外映像が表示され、再生映像の右上には車体右側部で撮影した走行方向前方の車外映像が表示され、再生映像の左下には車体右側部で撮影した走行方向後方の車外映像が表示され、再生映像の右下には走行方向後方の車外映像が表示される。これらの全ての車外映像にはそれぞれ走行路が映っている。ここで、例えば、映像ベースラインCを図示上方へ移動させて、図示左上(及び図示右上)の車外映像の下縁位置に合わせる。このようにすれば、図示左上(及び図示右上)の車外映像の下縁位置を原点位置として距離ラインAの指定及び表示と距離ラインPの表示を行うことができる。
なお、上記2画面と4画面のいずれの場合においても、走行路が映る再生映像の下縁が映像再生表示領域g12の下縁よりも上方にあるため、映像ベースラインCの位置を再生映像の下縁に設定することは、単に再生映像の下縁を原点位置Bに設定することを意味する。この場合には再生映像の下縁が原点位置Bに設定されるので、本来のカメラ上下画角φを反映した位置指標の表示位置を求めることができる。ただし、表示位置xaとxcを計測することによって求められる縮尺率Sは単一画面の場合よりも小さくなる。また、このように再生映像の下縁が映像再生表示領域g12の下縁より上方にあるときでも、実際の走行方向前方の外部映像の下縁部近傍で車外の視界が車両の一部により隠されているときには、図40の場合と同様に、映像ベースラインCを各映像の下縁位置よりもさらに上方へ移動させ、上記車外の視界が表示されている範囲の下限に合わせることができる。ただし、この場合には再生映像の下縁よりも映像ベースラインCが示す原点位置は上方にくるので、上述のようにカメラ上下画角φの調整は必要である。
図44及び図45には、再生映像の下側に死角がある場合の距離ラインの設定方法を示す。図44は乗用車の場合、図45は輸送トラックの場合を示す。図44では、左上図に示すように映像ベースラインCを再生映像の上方へ移動させ、ボンネットの先端に配置する。普通車の場合、カメラ位置に対して車体先端は2mほど前方にあり、この車体先端に対応する画面下線距離Ld(死角)は約5mとなるため、例えば先行車両の下縁の表示位置が映像ベースラインC上にあるときには車間距離は約3mであることになる。このように、死角範囲が大きいときほど、映像ベースラインCの上方への移動量が大きくなるため、上記の画面下線距離Ld′の下線増加距離+ΔLも大きくなる。
このとき、車外映像中に映る走行路の路面上に示された50kmの速度表示の走行方向の寸法(長さ)がわかっていれば、当該速度表示の基端(手前側の端部)を映像ベースラインCに合わせるように再生映像の送り・戻し操作を行う。その後、距離ラインAを再生映像の下方へ移動させ、上記速度表示の先端(遠方側の端部)に合わせる。これによって、距離ラインAは、映像ベースラインCにより示される原点位置に対応する走行路上の原点地点Bに対して速度表示の長さ分だけ離間した対照地点Bsに対応する再生映像上の対照位置に配置されることになる。そして、上記速度表示の長さが上記基準距離と一致していれば、当該再生映像のスケール条件が正しく設定される。
しかしながら、図41を参照して説明したように、図44に示すこの場合においても、映像ベースラインCを再生映像の下縁よりも大きく上方へ移動させているので、上記カメラ上下画角のφとφ′の相違−Δφにより、距離ラインPの表示位置と走行路R上の地点の位置との整合性が失われる。例えば、原点地点Bからの距離Lpが大きい走行路R上の地点Bpに対応する距離ラインPの表示位置ほど、これに対応する再生映像に映る走行路上の地点に対するずれが顕著になる。そこで、図44の右上図のように条件設定ダイアログDAを呼び出し、その距離スケール設定用タブDA2においてカメラ上下画角φを本来の再生映像の撮影画角よりも小さく(−Δφ)なるように調整することにより、図44の下図のように距離ラインPの距離表示を再生映像と整合させることができる。
次に、図45の場合においても、左上図に示すように再生映像の下縁近傍にダッシュボードが写っているため、ダッシュボードの先端に映像ベースラインCを合わせる。また、走行路上の白線に合わせて距離ラインAを配置し、所定の操作を行うと、右上図に示すように距離ラインPが表示される。この場合には、距離ラインPの表示位置は、これに対応する走行路上の地点との整合性はそれほど悪くなく、10mの距離ラインPまでは対応する上記地点との整合性を有しているが、その先の15m、20mの距離ラインPの表示位置は、対応する地点に対してずれている。そこで、右下図の条件設定ダイアログDAを呼び出して距離スケール設定用タブDA2においてカメラ上下画角φを低下させ、左下図に示すように全ての距離ラインPの表示位置が走行路上の対応する地点の表示位置と整合するまで調整する。
図46には走行路の路面上に描かれたひし形マークを用いる場合を示す。この場合においても、左上図に示すようにひし形マークの基端(手前側の端縁)を再生映像の下縁(或いは、映像ベースラインC)に合わせた上で、距離ラインAをひし形マークの先端(遠方側の端縁)に合わせて配置する。その後、所定操作により距離ラインPを表示させると右上図のようになる。このとき、距離ラインPの整合性を確認するために、上記とは別の方法として、再生画像をコマ送りで戻し、左中図に示すように、ひし形マークを再生画像上の遠方側の地点(再生映像上の上方位置)に移動させ、この状態でひし形マークの基端又は先端をいずれかの距離ラインPに合わせる。すると、この画面でひし形マークの基端と先端に対応する距離ライン(図示例では5mの距離ラインAと10mの距離ラインP)間の表示間隔の整合性を確認することができる。このとき、当該整合性が充分でなければ、右中図に示すように条件設定ダイアログDAの距離スケール設定用タブDA2を操作しながら、左中図の再生映像中の路面表示に距離ラインを整合させる。また、上記と同様の手順をさらに繰り返し、最下図に示すように、さらに別の距離ラインの表示間隔、10mと15mの距離ラインP間の表示距離の整合性も確認できる。なお、距離ラインの表示位置が整合していないときには、上述と同様に、カメラ地上高H、カメラ上下傾きδ、カメラ上下画角φの撮影条件を適宜に調整すればよい。また、上記の方法では、同一の路面表示の表示位置を遠方の地点に移動させるために再生映像の再生時点を戻すようにしているが、同一の寸法を有する別の路面表示が前方に配置されている場合には、再生映像の再生時点を進めるようにしてもよい。
図47には条件設定ダイアログDAのうちの動作設定用タブDA1の表示態様を示す。動作設定用タブDA1には、コンピュータの外部に用意された地図データやGPSデータとの連携用の通信条件を指定する通信設定項目と、プログラム起動時の音声出力の有無や使用機能の範囲、操作態様などに関する設定項目が設けられている。
図48には条件設定ダイアログDAのうちの距離スケール設定用タブDA2の表示態様を示す。この距離スケール設定用タブDA2には、カメラ地上高H、カメラ上下傾きδ、カメラ上下画角φといった、撮影位置、撮影方向、撮影画角の撮影条件を設定する撮影条件設定部DA2aが設けられる。なお、図示のカメラ下線距離は上記画面下線距離Ldに相当するもので、上記の他の撮影条件から自動的に計算される。
また、距離スケール設定用タブDA2には、位置指標の配列態様として、距離ラインPの表示位置に対応する走行路上の地点の原点地点から測った表示距離を指定する表示距離指定部DA2bが設けられる。ここで指定された表示距離に対応する再生映像上の表示位置に距離ラインPが配置されるとともに、この距離ラインPには上記表示距離の数値を示す距離表示が付随する。なお、図示例では、0mと5mの距離ラインは指定不要であり、0mの距離ラインPは自動的に表示される。また、5mの距離ラインAは基準距離Ls=5mに相当するものであり、図示例では指定不要の既定値とされている。ただし、基準距離Lsを任意に設定できるように構成してもよい。
図49には条件設定ダイアログDAのうちの時間スケール設定用タブDA3の表示態様を示す。この時間スケール設定用タブDA3には、位置指標の配列態様として、上記タイムラインQの表示時間を指定する表示時間指定部DA3aが設けられる。ここで指定された表示時間に対応する再生映像上の表示位置にタイムラインQが配置されるとともに、このタイムラインQには上記表示時間の数値を示す時間表示が付随する。
図50(a)及び(b)は、映像ベースラインCの移動量に対応する下線増加距離Lcを考慮した場合の仮想画面DP上の距離ラインP又はタイムラインQの位置と走行路上の地点の位置との関係を示す説明図である。図示のように、映像ベースラインCの表示位置に対応する下線増加距離Lcを考慮した場合には、実質的な画面下線距離はLd+Lcとなる。本実施形態では、画面下線距離Ld+Lcに対応する仮想画面DP上の位置が原点位置Cとなり、この原点位置Cに対する仮想画面DP上の画面下縁位置Bとの間に図示の間隔Xcがある。また、上記原点位置Cに対応する原点地点Bcは画面下縁位置Bより距離Lcだけ前方にあり、この原点地点Bcを起点として基準距離Lsや表示距離Lpが設定され、対照地点Bsや地点Bpの位置が定まる。
この場合には、上記式(6)に相当する以下の式(13)が成立する。
Xa=H(Lc+Ls)/[(Ld+Lc+Ls)cosδ+Hsinδ]…(13)
また、式(13)と同様にして仮想画面DP上の間隔Xcを求めると、以下の式(14)になる。
Xc=H・Lc/[(Ld+Lc)cosδ+Hsinδ]…(14)
そして、以下の式(15)で示される縮尺率Sを用いると、距離ラインPの表示位置xp及びタイムラインQの表示位置xqは以下の式(16)及び(17)で示される。
S=(xa−xc)/(Xa−Xc)…(15)
xp=H(Lc+Lp)S/[(Ld+Lc+Lp)cosδ+Hsinδ]…(16)
xq=H(Lc+Lq)S/[(Ld+Lc+Lq)cosδ+Hsinδ]…(17)
ここで、Ldは上記式(1)より求めることができ、未知数となる上記下線増加距離Lcと上記縮尺率Sは、距離ラインAの表示位置xa及び映像ベースラインCの表示位置xcを測定し、上記の式(13)〜(15)を用いて求めることができる。そして、上記のように求めたLc及びSを用いて、上記式(16)及び(17)により距離ラインPの表示位置xp及びタイムラインQの表示位置xqを算出することができる。
この場合には、撮影条件となるカメラ地上高H、カメラ上下傾きδ、カメラ上下画角φ、画面下線距離Ldに加えて、映像ベースラインCの設定位置によって定まる下線増加距離Lcが考慮されているため、理論上は映像ベースラインCの設定位置に拘わらず撮影条件が実際のカメラについて正しければ調整作業の必要はないはずである。しかし、実際のカメラの状況が上記撮影条件に正確に合致しているとは限らないとともにレンズ特性による影響もあるため、全ての距離ラインPの表示位置を再生映像上で整合させるためには、撮影条件のいずれかを上述と同様に調整する作業を行うことが好ましい。
尚、本発明に係る走行映像表示プログラム及び走行映像表示システムは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記クリップ情報生成プログラムP1は、取得情報MBを処理してクリップ情報CLを生成する際において、取得情報MBに含まれる映像データMb1に基づいて再生映像を表示した上で、この再生映像に対する位置基準を設定するとともに、再生映像上の表示位置を示す位置指標を重ねて表示する走行映像表示プログラムに相当するものであり、これらのように本願発明に相当する構成を有するものであれば、当該クリップ情報生成プログラムP1に種々の改変を施すことができる。また、上記運行状況レポートプログラムP2は、クリップ情報CLにコメント等を付加する処理を行う際において、クリップ情報CLに含まれる映像データに基づいて再生映像を表示した上で、この再生映像に対する位置基準を設定するとともに、再生映像上の表示位置を示す位置指標を重ねて表示する走行映像表示プログラムに相当するものであり、これらのように本願発明に相当する構成を有するものであれば、当該運行状況レポートプログラムP2に種々の改変を施すことができる。