以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係るスマートシステムの構成を示す。このスマートシステムは、スマート駆動として車両のドアの解錠および車両駆動装置(例えばエンジン、電気モーター)の始動を行うものであり、車両に搭載される車載システム10と、ユーザに携帯される携帯機20とを備えている。
車載システム10は、スマートECU1、LF送信アンテナ部2、LF変調部3、RF受信アンテナ4、RF復調部5、センサ6、アクチュエータ7、操作部8を有している。
LF変調部3は、スマートECU1から出力された信号をLF波帯のリクエスト信号に変調してLF送信アンテナ部2に出力する回路である。変調方式としては、例えば、ASK(Amplitude Shift Keying)変調方式等を採用する。
RF受信アンテナ4は、RF波帯の信号(RF電波)を無線受信するためのアンテナである。RF復調部5は、RF受信アンテナ4が受信したRF波帯の信号を復調してスマートECU1に出力する回路である。
センサ6は、車両のドアのドアハンドル部分等に取り付けられ、ユーザがドアに手をかける動作を検出し、検出結果をスマートECU1に出力するためのセンサであり、例えば、タッチセンサとして実現可能である。
アクチュエータ7は、スマート駆動の対象となるアクチュエータであり、車両のエンジンのスタータモータ(またはスタータモータを制御するエンジンECU)、車両のドアの施錠および解錠を行うドアロック機構(ドアロック機構を制御するドアECU)等から成る。
操作部8は、車両のユーザが操作可能な部材であり、操作された内容に応じた信号をスマートECU1に出力する。
スマートECU1は、LF変調部3、RF復調部5、センサ6、アクチュエータ7と信号をやり取りすることで、携帯機20との通信に基づいてスマート駆動を行う電子制御ユニットである。
このスマートECU1は、CPU、RAM、ROM、I/O等を備えたマイクロコンピュータとして実現されており、CPUがROMに記録されたプログラムを実行することで、RAMを作業領域として種々の処理を実現する。以下では、CPUが実行する処理を、スマートECU1の処理として記載する。
なお、このスマートECU1への電力供給は、車両のバッテリに繋がる電力供給線30を介して行われる。具体的には、ヒューズ31を介して電力供給線30と入力線32が接続し、また、ヒューズ32を介して電力供給線33と入力線34が接続しており、入力線32、34からスマートECU1が電力供給を受ける。
携帯機20は、LF受信アンテナ21、LF復調部22、LF受信電力測定部23、RF送信アンテナ24、RF変調部25、および携帯側制御部26を有している。
LF受信アンテナ21は、車載システム10から送信されたLF波帯の信号を受信するためのアンテナである。LF復調部22は、LF受信アンテナ21が受信したLF波帯の信号を復調して携帯側制御部26に出力する回路である。復調方式としては例えばASK復調方式を採用する。また、LF復調部22は、復調の際に使用するLF波帯の局部発振器を有している。
操作部23は、携帯機20のユーザが操作可能な部材であり、ロックボタン23aおよびアンロックボタン23bを有している。ロックボタン23a、アンロックボタン23bのそれぞれが押されると、押されたボタンに応じた信号がスマートECU1に入力される。
このロックボタン23a、アンロックボタン23bは、それぞれ、車両のドアのロックおよびアンロックのためにある。つまり、携帯機20の携帯側制御部26は、ロックボタン23aが押下されたことに基づいて、RF変調部25を制御してロック信号を車載システム10に無線送信し、車載システム10のスマートECU1は、RF復調部5を介してこのロック信号を受信したことに基づいて、アクチュエータ7を制御して車両のドアをロックする。また、携帯機20の携帯側制御部26は、アンロックボタン23bが押下されたことに基づいて、RF変調部25を制御してアンロック信号を車載システム10に無線送信し、車載システム10のスマートECU1は、RF復調部5を介してこのアンロック信号を受信したことに基づいて、アクチュエータ7を制御して車両のドアをアンロックする。
RF送信アンテナ24は、RF波帯の信号(RF電波)を無線送信するためのアンテナである。RF変調部25は、携帯側制御部26から出力されたデータの信号をRF波帯の信号に変調してRF送信アンテナ24に出力する回路である。また、RF変調部25は、復調の際に使用するRF波帯の局部発振器を有している。
携帯側制御部26は、CPU、RAM、ROM、I/O等を備えたマイクロコンピュータとして実現されており、CPUがROMに記録されたプログラムを実行することで、RAMを作業領域として種々の処理を実現する。以下では、CPUが実行する処理を、携帯側制御部26の処理として記載する。
以下、このような構成のスマートシステムの作動の一事例について説明する。図2は、本事例における携帯機20の携帯側制御部26、LF復調部22、RF変調部25における使用電力の経時変化を示す図であり、図3は、本事例における車載システム10および携帯機20の作動手順を示すシーケンス図であり、図4は、スマートECU1が通常時に実行する処理のフローチャートであり、図5は、携帯側制御部26が通常時に実行するフローチャートである。
この事例では、ユーザが携帯機20を携帯しながら車載システム10の通信可能範囲(例えば車両から数メートル以内)の外から内に入る。
スマートECU1は、図4のステップ205で、送信タイミングが訪れるまで待機する。送信タイミングとしては、定期的(例えば1秒周期)に訪れるポーリングタイミング、および、センサ6がユーザがドアに手をかける動作を検出したタイミングがある。
送信タイミングが訪れると、続いてステップ210に進み、前回のステップ210に所定のキャンセル操作が操作部8に対して行われたか否かを判定する。本事例では、キャンセル操作は行われていないので、キャンセル操作が行われていないと判定し、ステップ215に進む。
ステップ215では、リクエスト信号の送信のための処理を行う。具体的には、所定のリクエストデータをLF変調部3に出力する。これにより、LF変調部3がリクエストデータを変調し、変調された結果のLF波帯の信号であるリクエスト信号を、LF送信アンテナ2を用いて送信する。
続いてステップ220に進み、アンサー信号の受信を待つ。具体的には、所定のアンサーデータをRF復調部5から取得するまで待つ。なお、基準時間(例えば10ミリ秒)待ってもアンサー信号を受信しない場合は、処理をステップ205に戻す。
一方、携帯機20では、携帯側制御部26が、ステップ305で、リクエスト信号の受信を待っている。具体的には、LF復調部22から所定のリクエストデータを取得するまで待っている。
本事例では、最初は携帯機20が車載システム10の通信範囲外にいるので、携帯機20はリクエスト信号を受信できない。この場合、携帯側制御部26は、ステップ305でリクエスト信号の受信を待つことになるが、その間、携帯機20は低消費電力モードと通常消費電力モードとを繰り返す。
具体的には、図2に示すように、携帯側制御部26は、時点t0から時点t1までは低消費電力モードであり、時点t1において通常消費電力モードに遷移し、遷移後にリクエスト信号を受信しない場合は、時点t1から所定時間D1(例えば30ミリ秒)経過した時点t2に低消費電力モードに遷移する。そして、時点t2から所定時間D2(例えば70ミリ秒)経過した時点t3に通常消費電力モードに遷移し、遷移後にリクエスト信号を受信しない場合は、時点t3から所定時間D1経過した時点t4に低消費電力モードに遷移する。そして、時点t4から所定時間D2(例えば70ミリ秒)経過した時点t5に通常消費電力モードに遷移する。
なお、低消費電力モードと通常消費電力モードとを比べると、携帯側制御部26の消費電力は前者の方が小さい。これは、例えば、通常消費電力モードに比べて低消費電力モードの動作クロック周波数を低くすることによって実現する。
また、低消費電力モードと通常消費電力モードとを比べると、LF復調部22の消費電力は前者の方が小さい。これは、例えば低消費電力モードにおいてLF復調部22に含まれる増幅回路および局部発振器の両方または一方への電力供給を携帯側制御部26が停止し、通常消費電力モードにおいて当該増幅回路および局部発振器への電力供給を携帯側制御部26が許可することで実現する。したがって、LF復調部22は、低消費電力モードにおいては無線信号を受信できず、通常消費電力モードにおいては無線信号を受信できる。なお、RF復調部5の増幅回路および局部発振器は、無線送信を行うときに限り携帯側制御部26によって電力供給が許可される。
また、携帯機20が車載システム10の通信範囲外にある場合は、スマートECU1はステップ220で基準時間内にアンサー信号を受信しないので、処理をステップ205に戻し、次の送信タイミングを待つ。
その後、携帯機20が車載システム10の通信範囲内に入り、スマートECU1において次の送信タイミングが訪れると、スマートECU1はステップ210に進み、キャンセル操作があるか判定する。本事例では、ここではキャンセル操作がされないので、きゃんセイル操作がないと判定し、ステップ215に進み、既に説明した通りリクエスト信号111(図3参照)の送信のための処理を行う。
このとき、携帯機20の携帯側制御部26はステップ305でリクエスト信号待ちの状態であり、かつ、通常消費電力モードであったとする。具体的には、図2の時点t5から所定時間D1が経過する前の時点t6の状態であったとする。
したがって、車載システム10から送信されたリクエスト信号111は、通信範囲内の携帯機20が受信する。具体的には、LF受信アンテナ21を介して、LF復調部22が当該リクエスト信号111を受信して復調し、復調の結果得られたリクエストデータを携帯側制御部26に出力する。これにより、携帯側制御部26はリクエストデータを取得する。
リクエストデータを取得した携帯側制御部26は、リクエスト信号を受信したと判定し、続いてステップ310に進み、アンサー信号送信のための処理を行う。具体的には、所定のアンサーデータを作成し、作成が完了した時点t7において、当該アンサーデータを携帯側制御部26に出力する。その際、携帯側制御部26はRF変調部25を作動させる。これにより、RF変調部25は当該アンサーデータを変調してRF波帯のアンサー信号とし、RF送信アンテナ24を用いてこのアンサー信号113を無線送信する。
無線送信が終わった時点t8において、携帯側制御部26は処理をステップ315に進め、スマート機能停止信号を携帯機20が受信するまで待機する。具体的には、所定のスマート機能停止データを取得するまで待機する。ただし、基準時間(例えば10ミリ秒)以上待機が続いた場合は、処理をステップ305に戻すと共に低消費電力モードに遷移する。
一方、車載システム10では、携帯機20から送信されたアンサー信号113を、RF受信アンテナ4を介してRF復調部5が受信および復調し、復調の結果得たアンサーデータをスマートECU1に出力する。
するとスマートECU1は、ステップ220からステップ255に進み、スマート駆動を開始する(図3のステップ115参照)。具体的には、アクチュエータ7を制御することで、ドアを解錠し、また、ユーザによるエンジン始動操作(例えば、エンジンスタートボタンの押下)があったことに基づいて、エンジンを始動させる。ステップ220の後、処理はステップ205に戻る。
このように、本事例では、車載システム10がアンサー信号を受信した後、スマート機能停止信号を送信しないので、携帯側制御部26は、ステップ315で、基準時間(例えば10ミリ秒)以上待機が続いた時点t9で、処理をステップ305に戻すと共に低消費電力モードに遷移する。なお前述の通り、ステップ305では低消費電力モードと通常消費電力モードを、自動的に(すなわち、ユーザの操作を受けずとも)交互に切り替える。
このように、スマートシステムにおいては、携帯機20が車載システム10の通信範囲内に入ると、車載システム10から携帯機20にリクエスト信号111が無線送信され、携帯機20はそのリクエスト信号111を受信したことに基づいてアンサー信号113を無線送信し、車載システム10はそのアンサー信号113を受信したことに基づいて、スマート駆動を実現する(ステップ115)。
本事例ではその後、携帯機20を携帯するユーザは、スマート駆動によって解錠されたドアを開けて車内に入ったとする。そして更にユーザは、車内の操作部8に対して所定のキャンセル操作117(図3参照)を行ったとする。キャンセル操作を行う理由は、例えば、ペースメーカー等の電波に弱い機器を埋め込んだ人が車両に搭乗する場合等、車両を使用しながらもスマート機能を停止させたいからとする。
その後スマートECU1は、ステップ205で送信タイミングが訪れたと判定した後、ステップ210に進んだ時点で、前回のステップ210の実行時点以後に所定のキャンセル操作が行われたと判定し、処理をステップ230に進める。
ステップ230では、ステップ215と同様に、リクエスト信号の送信のための処理を実行する。これにより、車載システム10のLF送信アンテナ2からリクエスト信号119が無線送信される。このリクエスト信号の内容は、リクエスト信号111と同じである。続いてステップ235に進み、ステップ220と同じ処理で、アンサー信号の受信を待つ。
このようにしてリクエスト信号119が送信された時点は、時点t9から時間D2が経過して携帯側制御部26が通常消費電力モードに入った後の時点であるとする。したがって、車載システム10から送信されたリクエスト信号119は、通信範囲内の携帯機20で受信され、LF復調部22で復調された結果、リクエストデータとして携帯側制御部26に入力される。これにより、携帯側制御部26はリクエストデータを取得する。
リクエストデータを取得した携帯側制御部26は、ステップ305でリクエスト信号を受信したと判定し、続いてステップ310に進み、既に説明した通りアンサー信号送信のための処理を行う。これによりRF変調部25が作動を開始し、携帯側制御部26から出力されたアンサーデータを変調してRF波帯のアンサー信号とし、RF送信アンテナ24を用いてこのアンサー信号121を無線送信する。アンサー信号121の内容は、アンサー信号113と同じである。
無線送信が終わった時点において、携帯側制御部26は処理をステップ315に進め、既に説明した通り、スマート機能停止信号を携帯機20が受信するまで待機する。具体的には、所定のスマート機能停止データを取得するまで待機する。
一方、車載システム10では、携帯機20から送信されたアンサー信号121を、RF受信アンテナ4を介してRF復調部5が受信および復調し、復調の結果得たアンサーデータをスマートECU1に出力する。
するとスマートECU1は、ステップ235からステップ240に進み、スマート機能停止信号の送信のための処理を行う。具体的には、所定のスマート機能停止データ(リクエストデータとは異なる)をLF変調部3に出力する。このスマート機能停止データには、車載システム10のIDコードを含める。IDコードとしては、車載システム10の記憶媒体(例えばROM)に記録されているものを用いる。これにより、LF変調部3がスマート機能停止データを変調し、変調された結果のLF波帯の信号であるスマート機能停止信号123を、LF送信アンテナ2を用いて送信する。
すると携帯機20では、このスマート機能停止信号123をLF受信アンテナ21が受信してLF復調部22が復調し、復調結果のスマート機能停止データが携帯側制御部26に出力される。すると携帯側制御部26は、ステップ315でスマート機能停止信号を携帯機20が受信したと判定し、処理をステップ320に進める。
ステップ320では、受信したスマート機能停止信号が正規の相手(車載システム10)からのものであるか否かを判定する。具体的には、スマート機能停止データに含まれるIDコードが比較用IDコードと同じであるか否かを判定する。比較用IDコードは、携帯側制御部26の記憶媒体(例えばROM)に記録されているものを用いる。この比較用IDコードについては、スマートECU1の記憶媒体に記録されている上記IDコードと同じデータを比較用IDコードとしてあらかじめ携帯側制御部26の記憶媒体に記録しておく。
本事例の場合、車載システム10から送信されたスマート機能停止信号123中のIDコードは、比較用IDコードと同じなので、受信したスマート機能停止信号が正規の相手(車載システム10)からのものであると判定し、ステップ325に進む。
ステップ325では、低消費電力モードに遷移し、図5の処理を終了する。これにより、低消費電力モードに遷移し(図3のステップ127参照)、それ以降は、後述するキャンセル解除があるまでは、携帯機20は低消費電力モードを維持する。
この低消費電力モードにおいては、既に説明した通り、携帯側制御部26の消費電力が通常消費電力モードよりも低くなり、かつ、LF復調部22においては増幅回路および局部発振器に電力が供給されないので、消費電力が低減されると共に、無線信号を受信できなくなる。このようになっていることで、スマート機能を停止させたときに、携帯機20の電力消費量を従来よりも低減することができる。
なお、スマートECU1においても、ステップ240においてスマート機能停止信号を送信した後は、ステップ245で通常消費電力モードから低消費電力モードに入り(図3のステップ125参照)、図4の処理を終了する。この低消費電力モードは、通常消費電力モードに比べ、スマートECU1の消費電力が低くなる。また、スマートECU1は、RF復調部5の増幅回路および局部発振器は電力供給を禁止する。これにより、RF復調部5は信号(リクエスト信号、スマート機能停止信号等)を無線送信できなくなる。しかし、LF変調部3の増幅回路および局部発振器は電力供給を受けるので、LF変調部3は無線信号を受信および復調可能となっている。
なお、本事例とは異なり、車載システム10以外の通信装置から携帯機20がスマート機能停止信号を受信した場合、ステップ320では、受信したスマート機能停止信号中のIDコードが比較用IDコードと同じでないと判定し、ステップ325をバイパスして処理をステップ305に戻す。このようになっていることで、正規の相手でない車載システム(車載システム10以外の車載システム)からスマート機能停止信号を受信しても、携帯機20が間違って低消費電力モードに入ってしまうことがなくなる。
本事例に戻る。上記のようにキャンセル操作117によって低消費電力モードに入っている車載システム10および携帯機20に対し、通常消費電力モードに戻したい状況になったとする。
図6に、この状況以降における車載システム10および携帯機20の作動手順を示すシーケンス図を示す、図7に、この状況以降における携帯機20の携帯側制御部26、LF復調部22、RF変調部25における使用電力の経時変化を示し、図8は、スマートECU1が実行する処理のフローチャートであり、図9は、携帯側制御部26が実行する処理のフローチャートである。
まず、スマートECU1は、図8の処理において、ステップ250で車載システム10がアンロック信号を受信するまで待機する。具体的には、アンロックデータRF復調部5から取得するまで待機する。また、携帯側制御部26は、図9の処理において、ステップ350で、所定のアンロック操作があるまで待機する。
この状態で、時刻t16(図7参照)において、携帯機20のユーザが車両内に入るために、操作部23に対して所定のアンロック操作401(具体的にはアンロックボタン23bの押下)を行う。すると携帯側制御部26は、ステップ350で所定のアンロック操作があったと判定してステップ355に進み、アクティベート処理を行う。具体的には、携帯側制御部26の動作クロック周波数を通常消費電力モード時の動作クロック周波数と同じにし、LF復調部22の増幅回路および局部発振器への電力供給を許可し、RF変調部25の増幅回路および局部発振器への電力供給を許可する。これにより、LF復調部22が無線信号を受信可能となり、RF変調部25が無線信号を送信可能となる。
続いてステップ360で、アンロック信号を送信するための処理を実行する。具体的には、所定のアンロックデータを作成し、作成したアンロックデータをRF変調部25に出力する。これにより、RF変調部25はアンロックデータを変調してアンロック信号とし、RF送信アンテナ24を用いてこのアンロック信号403(図6参照)を無線送信する。このアンロック信号を無線送信し終えるのが時点t17である。
続いてステップ365に進み、ステップ360でアンロック信号403を受信して以降、キャンセル解除信号を携帯機20が受信したか否かを判定する。具体的には、時点t17以降にキャンセル解除データをLF復調部22から取得したか否かを判定する。キャンセル解除信号を携帯機20が受信していないと判定した場合、処理をステップ370に進め、アンロック操作401があった時点t16から所定の時間D4(例えば100ミリ秒)が経過したか否かを判定し、経過していないと判定した場合、処理をステップ365に戻す。
本事例では、まだ車載システム10がキャンセル解除信号を無線送信していないので、ステップ365、370の処理を繰り返すことで、キャンセル解除信号の受信または時間D4の経過を待つ。
一方、車載システム10においては、上述のように無線送信されたアンロック信号407をRF受信アンテナ4が受信してRF復調部5が復調し、復調結果のアンロックデータがスマートECU1に出力される。
するとスマートECU1は、ステップ250でアンロック信号を受信したと判定してステップ255に進み、キャンセル解除操作された直後であるか否かを判定する。ここでいうキャンセル解除とは、車載システム10の操作部8に対する所定の操作である。キャンセル解除操作された直後か否かは、例えば、キャンセル解除操作されてから現時点までの時間が所定時間(例えば1分)以内か否かで判定する。
本事例では、ユーザは車外におり、操作部8に対してキャンセル解除操作はされていないので、キャンセル解除操作された直後でないと判定し、処理をステップ260に進める。そしてステップ260では、アクチュエータ7を制御して、車両のドアのアンロックを行い(図6のステップ407参照)処理をステップ250に戻す。このように、車載システム10に対してキャンセル解除操作が行われた直後でない場合は、携帯機20に対してアンロック操作401を行うことで、アンロック信号403が携帯機20から車載システム10に無線送信され、車載システム10は、アンロック信号403を受信したことに基づいて車両のドアをアンロックする。
一方、携帯機20においては、ステップ365、370において、キャンセル解除信号を受信しないまま、時間D4が経過するので、その時点t18において、ステップ370で時間D4が経過したと判定し、処理をステップ375に進める。
そしてステップ375では、図5のステップ325と同じ処理で、低消費電力モードに遷移し、処理をステップ350に戻す。これにより、図7に示すように、時点t18において低消費電力モードに遷移し(図6のステップ405参照)、それ以降は、後述するキャンセル解除があるまでは、携帯機20は低消費電力モードを維持する。
この低消費電力モードにおいては、既に説明した通り、携帯側制御部26の消費電力が通常消費電力モードよりも低くなり、かつ、LF復調部22においては増幅回路および局部発振器に電力が供給されないので、消費電力が低減されると共に、無線信号を受信できなくなる。
その後、ユーザが携帯機20を携帯して車両内に入り、時点t19において、車載システム10の操作部8に対して所定のキャンセル解除操作409を行ったとする。これにより、スマートECU1は、低消費電力モードから通常消費電力モードに遷移することで、LF変調部3による無線送信が可能となる(ステップ410)。
その数秒後の時点t20において、ユーザは、携帯機20の操作部23に対してキャンセル解除操作411を行う。このキャンセル解除操作411は、具体的には、アンロックボタン23bの押下である。したがって、本実施形態では、キャンセル解除操作とアンロック操作は同じ操作内容となる。
すると携帯側制御部26は、ステップ350で所定のアンロック操作があったと判定してステップ355に進み、既に説明した通りアクティベート処理を行う。これにより、LF復調部22が無線信号を受信可能となり、RF変調部25が無線信号を送信可能となる。
続いてステップ360で、既に説明した通り、アンロック信号を送信するための処理を実行する。これにより、RF変調部25はアンロックデータを変調してアンロック信号とし、RF送信アンテナ24を用いてこのアンロック信号413(図6参照)を無線送信する。このアンロック信号を無線送信し終えるのが時点t21である。続いてステップ365、370において、既に説明した通り、キャンセル解除信号の受信または(アンロック操作411のあった時点時点t20を起点とした)時間D4の経過を待つ。なお、このアンロック信号413は、第1のキャンセル解除操作に応じた信号の一例に相当する。
一方、車載システム10においては、上述のように無線送信されたアンロック信号413をRF受信アンテナ4が受信してRF復調部5が復調し、復調結果のアンロックデータがスマートECU1に出力される。
するとスマートECU1は、ステップ250でアンロック信号を受信したと判定してステップ255に進み、キャンセル解除操作された直後であるか否かを判定する。ここでいうキャンセル解除とは、車載システム10の操作部8に対する所定の操作である。本事例では、キャンセル解除操作されてから現時点までの時間が数秒程度であり、上述の所定時間以内なので、キャンセル解除操作された直後であると判定し、処理をステップ265に進める。
ステップ265では、キャンセル解除信号の送信のための処理を行う。具体的には、所定のキャンセル解除データをLF変調部3に出力する。これにより、LF変調部3がキャンセル解除データを変調し、変調された結果のLF波帯の信号であるキャンセル解除信号415を、LF送信アンテナ2を用いて送信する。ステップ265の後、処理はステップ250に戻る。それと共に、スマートECU1は、図4の処理を再開する。
このようにしてキャンセル解除信号415が送信される時点t22は、時点t20から時間D5が経過した時点であるがこの時間D1は、図9のステップ370で判定基準とするD4よりも短い。つまり、時間D4は、携帯機20でアンロック操作があってから、携帯機20がアンロック信号を送信してキャンセル解除信号を受信する時間D1よりも長くなるよう、あらかじめ設定されている。
一方、携帯機20においては、このキャンセル解除信号415をLF受信アンテナ21が受信してLF復調部22が復調し、復調結果のキャンセル解除データが携帯側制御部26に出力される。この時点t22では、スマートECU1は、上述の通りステップ370で時間D4が経過したと判定していないので、ステップ365、370の繰り返しを続けており、キャンセル解除データを取得した直後のステップ365で、キャンセル解除信号を受信したと判定し、処理をステップ380に進める。ステップ380では、通常消費電力モードに遷移する(図6のステップ417参照)と共に、図5の処理を再開する。
これにより、以後携帯機20は、図5のステップ305でリクエスト信号の受信を待つ間、その間、携帯機20は時間D2の低消費電力モードと時間D1の通常消費電力モードとの繰り返しを再開するので、通常通りリクエスト信号を受信可能になる。
以上説明した通り、スマートシステムの車載システム10に対して所定のキャンセル操作117が行われたことに基づいて、携帯機20が通常消費電力モードと低消費電力モードの交互繰り返しを停止して低消費電力モードを維持する。このようになっていることで、スマートシステムがスマート機能を停止させたときに、通常消費電力モードと低消費電力モードの交互繰り返しを停止することができるので、携帯機の電力消費量を従来よりも低減することができる。
また、車載システム10に対して所定のキャンセル操作117が行われたことに基づいて、車載システム10から携帯機20にスマート機能停止信号123が送信され、携帯機20がこのスマート機能停止信号123を受信したことに基づいて通常消費電力モードと低消費電力モードの交互繰り返しを停止して低消費電力モードを維持する。このようになっていることで、スマート機能を停止させたときに、通常消費電力モードと低消費電力モードの交互繰り返しを停止することができるので、携帯機の電力消費量を従来よりも低減することができる。
また、車載システム10は、スマート機能停止信号123を受信したことに基づいて、第2のリクエスト信号119を無線送信し、この第2のリクエスト信号に対応する第2のアンサー信号121を受信したことに基づいて、スマート機能停止信号123を携帯機20に送信するので、携帯機20が確実に車載システム10の通信範囲内にいる状況でスマート機能停止信号123を送信することができる。
また、車載システム10は、第2のアンサー信号121を受信したことに基づいて、スマート機能停止信号123を携帯機20に送信し、その後、信号を無線送信できない低消費電力モードに遷移する。このようになっていることで、携帯機20が車載システム10の通信範囲内にいないにも関わらず、車載システム10がスマート機能停止信号123を送信して信号を無線送信できない低消費電力モードに遷移してしまうことを防ぐことができる。
また、携帯機20に対して所定のキャンセル解除操作411(第1のキャンセル解除操作の一例に相当する)が行われたことに基づいて、携帯機(20)が通常消費電力モードと低消費電力モードの交互繰り返しを再開することで、携帯機(20)による無線信号の受信が可能となる。
また、携帯機20に対して所定のキャンセル解除操作411が行われた場合に、まずは復調部22が信号を受信できるようにし、車載システム10に対して所定のキャンセル解除操作409(第2のキャンセル解除操作の一例に相当する)が行われて車載システム10から無線送信されたキャンセル解除信号415を受信したことに基づいて、通常消費電力モードと低消費電力モードの交互繰り返しを再開することで、車載システム10を操作しなければ携帯機20が通常消費電力モードと低消費電力モードの交互繰り返しに復帰しないようにできるので、誤って携帯機20に対してキャンセル解除操作409をしてしまうだけで通常消費電力モードと低消費電力モードの交互繰り返しが再開されてしまうことを防げる。
また、携帯機20に対してキャンセル解除操作409が行われてから所定の時間D4以内にキャンセル解除信号415を受信したことを条件として、通常消費電力モードと低消費電力モードの交互繰り返しを再開することで、車載システム10とは異なる他の機器からキャンセル解除信号に想到する信号を受信してしまい、その結果誤って通常消費電力モードと低消費電力モードの交互繰り返しを再開してしまう可能性が低減される。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。例えば、以下のような形態も許容される。
(1)上記実施形態においては、車載システム10に対するキャンセル操作117(図3参照)およびキャンセル解除操作409(図6参照、第2のキャンセル解除操作の一例に相当する)は、それぞれ操作部8に対する操作(例えば、専用のボタンの押下)である。このようにすることで、車両のユーザが日宇用に応じて容易にキャンセル操作117およびキャンセル解除操作409を行うことができる。
しかしながら、本発明の車載システム10に対するキャンセル操作および第2のキャンセル解除操作は、必ずしもこのようなものに限らない。例えば、図1に示したヒューズ31を取り去る操作をキャンセル操作117とし、このヒューズ31(例えばエンジンルームのヒューズボックスに入っている)を元に戻す(図1の状態に戻す)操作を第2のキャンセル解除操作409としてもよい。
この場合、図4のステップ210では、スマートECU1がヒューズ31が取り去られたか否かを判定し、図6のステップ410では、ヒューズ31が元に戻ったことに基づいて通常電力消費電力モードに戻ればよい。なお、ヒューズ31を取り去る操作は、例えば、車両を船で輸送する場合に、車両を輸送モードにするために行われる。
(2)また、上記実施形態では、第1のキャンセル解除操作として、アンロックボタン23bの押下(アンロック操作)を例示している。しかしながら、第1のキャンセル解除操作は、アンロック操作に限らず、他の操作によって実現してもよい。例えば、ロックボタン23aの押下操作(ロック操作)が第1のキャンセル解除操作となってもよいし、専用の操作(例えば、キャンセル解除専用のボタンの押下)が第1のキャンセル解除操作となっていてもよい。
(3)また、上記実施形態においては、図3に示したような手順を経て携帯機20が低電力消費モードを維持するようになる(ステップ127)が、必ずしもこのような手順を踏まなくてもよい。例えば、携帯機20に対して所定のキャンセル操作(例えば、ロックボタン23aおよびアンロックボタン23bの同時押下操作)が行われると、直ちに通常消費電力モードと低消費電力モードの交互繰り返しを停止して低消費電力モードを維持するようになっていてもよい。
(4)また、上記実施形態においては、図6に示したような手順を経て携帯機20が通常消費電力モードと低消費電力モードの交互繰り返しを再開するようになる(ステップ417)が、必ずしもこのような手順を踏まなくてもよい。携帯機20に対して所定の第1のキャンセル解除操作(例えば、ロックボタン23aおよびアンロックボタン23bの同時押下操作)が行われると、直ちに通常消費電力モードと低消費電力モードの交互繰り返しを再開するようになっていてもよい。
(5)また、上記実施形態においては、車両のドアをアンロックするためのアンロック信号413(アンロック信号403と同じ信号)が、第1のキャンセル解除操作に応じた信号の一例となっているが、第1のキャンセル解除操作に応じた信号は、必ずしもアンロック信号である必要はなく、第1のキャンセル解除操作に応じた専用の信号(アンロック信号403とは異なる信号)であってもよい。
(6)また、上記実施形態では、リクエスト信号119(第2のリクエスト信号の一例に相当する)およびアンサー信号121(第2のアンサー信号の一例に相当する)は、それぞれリクエスト信号111(第1のリクエスト信号の一例に相当する)およびアンサー信号113(第1のアンサー信号の一例に相当する)と同じ信号であったが、必ずしもそのようになっておらずともよい。