以下に、本発明に係る湯水混合水栓の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る湯水混合水栓の構成例を示す摸式図である。図2は、図1のA−A断面図である。同図に示す湯水混合水栓10は、洗面台(図示省略)等に設けられるカウンタ1に設置されている。詳しくは、カウンタ1の上側の面であり、カウンタ1の外面である設置面2に吐水管11が設置されている。この吐水管11は、グースネック状に湾曲した略筒状の形状で形成されており、その先端には、吐水ヘッド14を保持することが可能になっている。この吐水ヘッド14は、先端に水や湯を吐水する吐水口15が形成されており、吐水ヘッド14は、吐水口15を有する吐水部として設けられている。吐水管11は、このように吐水口15が形成される吐水ヘッド14を保持する吐水部保持部として設けられており、吐水ヘッド14は、吐水管11を介してカウンタ1に設置される。
吐水ヘッド14には、吐水口15から吐水する水や湯を吐水ヘッド14に流すシャワーホース16が接続されている。このシャワーホース16は可撓性を有するホースとして一端が吐水ヘッド14に接続された状態で吐水管11の内部を通され、他端側はカウンタ1の下方側に位置している。
吐水管11には、当該吐水管11におけるカウンタ1に設置する側の端部に雄ネジが形成されたネジ部13が設けられており、このネジ部13を、カウンタ1に形成される貫通孔5に通した状態で固定することにより設置する。即ち、吐水管11は、ネジ部13を貫通孔5に通し、吐水管11におけるネジ部13が接続されている部分であると共に径が貫通孔5の径よりも大きい台座部12をカウンタ1の設置面2に当接させる。この状態で、ネジ部13の先端側から馬蹄部材17を通し、さらにネジ部13に締付ナット18を螺合することにより、カウンタ1を馬蹄部材17と吐水管11の台座部12とで挟み込む。吐水管11は、これによりカウンタ1に設置される。また、吐水管11は、このように台座部12と馬蹄部材17とでカウンタ1を挟み込んで設置されるため、ネジ部13やカウンタ1の貫通孔5の中心軸を中心として回動可能に設置される。
吐水管11の内部を通るシャワーホース16は、ネジ部13の先端から吐水管11の外に出て、吐水ヘッド14に接続される側の端部の反対側の端部がカウンタ1の下方に配設される。
また、吐水管11には、台座部12付近の位置に、給水管から供給される水と給湯管から供給される湯とを混合し、混合水を流出可能な混合弁20が配設されている。この混合弁20は、いわゆるシングルレバー式の混合水栓で用いられる混合弁20になっている。このため、混合弁20には、混合する水の量と湯の量とを調節することができる調節レバー21が設けられており、調節レバー21を調節することにより、当該混合弁20から流出する混合水の量と温度とを調節することが可能になっている。具体的には、調節レバー21は、上に上げることにより混合水の流量を増加させることができ、下に下げることにより混合水の流量を減少させることができる。また、調節レバー21を左右に回動させることにより、水と湯との混合の割合を変化させ、混合水の温度を調節することができる。
この混合弁20における湯の流入部には、可撓性のホースからなる湯側ホース23が接続されており、この湯側ホース23の他端側は、逆止弁が内設された湯側接続部24に接続されている。湯側接続部24は、直接、或いはホース等によって間接的に給湯管に接続されており、給湯管からの湯を湯側ホース23に流すことが可能になっている。
また、混合弁20における水の流入部には、可撓性のホースからなる水側ホース26が接続されており、この水側ホース26の他端側は、逆止弁が内設された水側接続部27に接続されている。水側接続部27は、直接、或いはホース等によって間接的に給水管に接続されており、給水管からの水を水側ホース26に流すことが可能になっている。
また、混合弁20における混合水の流出部には、導管36を介して混合水用電磁弁30の流入側が接続されている。この混合水用電磁弁30は、電気信号に基づいて駆動可能になっており、且つ、当該混合水用電磁弁30における流出側には、シャワーホース16における吐水ヘッド14に接続される側の端部の反対側の端部が接続されている。これにより、混合水用電磁弁30は、混合弁20の流出側から流出した混合水を、シャワーホース16に流出可能になっており、即ち、シャワーホース16を内設する吐水管11側に流出可能になっている。また、混合水用電磁弁30に接続される導管36とシャワーホース16との位置関係は、導管36は、下端部が混合水用電磁弁30の上端付近に接続され、シャワーホース16は、混合水用電磁弁30の下端付近に、混合水用電磁弁30から下方に延在する向きで接続されている。
また、水側接続部27には、電気信号に基づいて駆動可能な水用電磁弁40が連結されている。即ち、水側接続部27は、給水管から供給された水を2方向に流出可能になっており、一方が水側ホース26に接続され、他方が水用電磁弁40の上端付近に位置する水用電磁弁40の流入側に接続されている。また、水用電磁弁40の下方に位置する水用電磁弁40の流出側には水抜き弁45が備えられており、この水抜き弁45には、可撓性を有するホースであるフレキシブルホース55が接続されている。即ち、水用電磁弁40の流出側には、フレキシブルホース55が接続されている。
また、フレキシブルホース55の他端側は、混合水用電磁弁30に接続されており、詳しくは、混合水用電磁弁30におけるシャワーホース16に連通している通路に連通する状態で混合水用電磁弁30に接続されている。即ち、フレキシブルホース55は、シャワーホース16と同様に、混合水用電磁弁30の下端付近に、混合水用電磁弁30から下方に延在する向きで接続されている。
図3は、図1のB部詳細図であり、水抜き弁の断面図である。水抜き弁45は、フレキシブルホース55が接続される流路部46と、内部に水抜き通路48が形成される水抜き部47とを有しており、流路部46の内部と水抜き通路48とは連通している。このため、水抜き通路48とフレキシブルホース55とは連通している。また、この水抜き通路48は、略円形の断面形状で下方に向かって開口しており、下方の開口側に位置する大径部48bと、大径部48bよりも小さい穴径で大径部48bよりも上方に位置する小径部48aと、を有している。
また、水抜き通路48の下端の開口部付近には雌ネジが形成されており、この部分には、外周部に雄ネジが形成された水抜き栓50が螺合されている。このため、水抜き栓50は、回転操作を行うことにより、水抜き通路48に対する上下方向の位置を移動させることができる。また、水抜き栓50の外周部にはOリング53が配設されており、このOリング53は、水抜き通路48が回転操作によって上方に移動し、小径部48aが形成されている部分に位置する場合には小径部48aに対して水密に接触可能になっている。また、Oリング53は、水抜き通路48が回転操作によって下方に移動し、大径部48bが形成されている部分に位置する場合には、大径部48bから離間するように設けられている。
また、流路部46は、水抜き栓50が上方に移動して小径部48aに対して水密に接触した状態のOリング53の位置よりも上方の位置に配設されており、水抜き通路48におけるOリング53に接触する位置よりも上方の部分に対して連通している。
また、水抜き弁45には、下方に向かって開口する有底の穴である水抜き穴51が形成されている。さらに、水抜き弁45には、Oリング53が配設される位置よりも下方側、即ち、Oリング53が配設される位置よりも水抜き穴51の開口側の位置に、水抜き穴51の内周面と水抜き弁45の外周面とを連通する連通孔52が形成されている。このため、水抜き穴51は、水抜き通路48に対して連通孔52によって連通している。
また、水抜き弁45の流路部46とフレキシブルホース55とは、接続部材56を介して接続されている。この接続部材56は、内部に水が通る孔が形成された略L字状の形状で形成されており、L字の一端が流路部46に接続され、他端がフレキシブルホース55に接続される。このため、流路部46とフレキシブルホース55とは、直交する向きで接続部材56を介して接続されている。
また、接続部材56は、流路部46に対して回転自在に接続されており、流路部46は、略円筒形の形状で水平方向に向かって延在している。このため、流路部46に接続される接続部材56は、回転軸が略水平方向になる向きで水抜き弁45に対して、即ち、水用電磁弁40に対して回転自在に接続されており、フレキシブルホース55は、接続部材56の回転軸に直交する向きで、接続部材56に接続されている。従って、フレキシブルホース55は、接続部材56の回転軸を中心として、水抜き弁45を有する水用電磁弁40に対して回転自在に接続されており、水用電磁弁40とフレキシブルホース55との接続部は、このように回転自在に構成されている。
また、水抜き弁45には、他端側が混合水用電磁弁30に接続されているフレキシブルホース55がこのように接続されているため、水抜き弁45は、水用電磁弁40における吐水管11側への流出側に配設されている。
また、湯水混合水栓10は、交流電源からの電気を直流電圧に変換するAC/DCアダプタ80を備えている。混合水用電磁弁30と水用電磁弁40とは、共にAC/DCアダプタ80に対して電気的に接続されており、AC/DCアダプタ80から供給される電気によって駆動可能になっている。また、混合水用電磁弁30と水用電磁弁40とは、上下方向における位置が異なっており、水用電磁弁40は、混合水用電磁弁30よりも下方に配置されている。
図4は、図1のC−C矢視図である。吐水管11には、湯水混合水栓10に対して吐水や止水を行わせる入力操作を行う操作部70が設けられている。この操作部70は、吐水管11の上面における吐水ヘッド14を保持する端部付近に設けられており、混合弁20によって温度が調節された混合水の吐水や止水の入力操作を行う混合水用操作部71と、給水管から供給される水の吐水や止水の入力操作を行う水用操作部72と、を有している。このうち、水用操作部72は、吐水管11における吐水ヘッド14を保持している部分側、即ち、吐水管11の先端側に位置しており、混合水用操作部71は、水用操作部72よりも吐水ヘッド14を保持している部分側の反対側の位置に、水用操作部72に併設されている。
これらの混合水用操作部71と水用操作部72とは、発光ダイオードからなる発光部と、フォトダイードからなる受光部とをそれぞれ有しており、AC/DCアダプタ80から供給される電気によって駆動可能になっている。このうち、発光部は、略上方向に向かって光を発光しており、受光部は、上方からの光を受光することができる向きで配設されている。このため、使用者が発光部上に手をかざした場合には、発光部からの光が手で反射して、この光を受光部で受光することにより、手を検知することができる。従って、混合水用操作部71は、混合水用操作部71上にかざした手を検知することができ、水用操作部72は、水用操作部72上にかざした手を検知することができる。即ち、混合水用操作部71と水用操作部72とは、手が近傍に位置するか否かを検出するセンサになっており、非接触で入力操作が可能な操作手段になっている。
なお、操作部70は、このような非接触で入力操作が可能なセンサ以外でもよく、押しボタン等、使用者が手で直接入力操作を行うものでもよい。また、操作部70は、吐水管11以外に設けられていてもよく、例えば、カウンタ1の設置面2に配設されていてもよい。
混合水用操作部71と水用操作部72とは、混合水用電磁弁30と水用電磁弁40に対して電気的に接続されており、操作部70上にかざした手の検知結果を、電気信号として混合水用電磁弁30や水用電磁弁40に伝達可能になっている。即ち、混合水用操作部71は、混合水用操作部71で手を検知した場合に、検知したこと示す電気信号を混合水用電磁弁30に伝達可能になっており、水用操作部72は、水用操作部72で手を検知した場合に、検知したこと示す電気信号を水用電磁弁40に伝達可能になっている。このため、混合水用電磁弁30は、混合水用操作部71に対する操作による電気信号に基づいて駆動し、水用電磁弁40は、水用操作部72に対する操作による電気信号に基づいて駆動する。
図5は、図2のD部詳細図である。混合水用電磁弁30と水用電磁弁40とには、共に手動で弁を開放させる強制開放手段である開放操作部材33、43が備えられている。この混合水用電磁弁30の開放操作部材33と水用電磁弁40の開放操作部材43とは、ほぼ同じ構造であるため、代表して混合水用電磁弁30に設けられる開放操作部材33を用いて開放操作部材33、43の構造について説明する。
混合水用電磁弁30の内部には、混合水用電磁弁30に接続される導管36とシャワーホース16との間の通路の開放と遮断とを切り替える主弁であるダイヤフラム弁31が配設されている。また、混合水用電磁弁30におけるシャワーホース16の接続部分とフレキシブルホース55の接続部分とは、ダイヤフラム弁31の状態に関わらず連通しており、即ち、シャワーホース16とフレキシブルホース55とは、ダイヤフラム弁31の状態に関わらず連通している。このため、ダイヤフラム弁31は、シャワーホース16及びフレキシブルホース55と、他端が混合弁20に接続されている導管36との間の通路の開放と遮断とを切り替え可能になっている。
また、混合水用電磁弁30は、AC/DCアダプタ80から供給される電気によって電磁力を発生するソレノイドを有しており、ダイヤフラム弁31は、このソレノイドで発生する電磁力によって開閉可能になっている。従って、混合水用電磁弁30は、電磁力を用いてダイヤフラム弁31を開閉させることにより、シャワーホース16及びフレキシブルホース55と、導管36との間の通路の開放と遮断との切り替えが可能になっている。
この混合水用電磁弁30が有する開放操作部材33は、手動で操作することによりダイヤフラム弁31を開放させることが可能に設けられている。詳しくは、開放操作部材33は、径が異なる部分を有する丸棒状の部材によって形成されており、開放操作部材33の端部には、開放操作部材33を回転操作可能な摘み34が配設されている。
この摘み34は、混合水用電磁弁30の外部に突出しており、摘み34を回転操作することにより、開放操作部材33はダイヤフラム弁31を押すことが可能になっている。開放操作部材33は、このようにダイヤフラム弁31を押すことにより、ダイヤフラム弁31を開放状態で維持することができる。これにより、導管36とシャワーホース16との間の通路を開放状態で維持することができ、同様に、導管36とフレキシブルホース55との間の通路も、開放状態で維持することができる。
水用電磁弁40が有する開放操作部材43も、混合水用電磁弁30の開放操作部材33と同様の構造になっており、開放操作部材43の摘み44を回転操作することにより、水側ホース26と水抜き弁45との間の通路を、開放状態で維持することができる。
図6は、図1に示す湯水混合水栓の水回路図である。次に、これらのように設けられる湯水混合水栓10に構成される水回路について説明すると、給湯管に接続されている湯側接続部24と湯側ホース23とは、混合弁20に対して湯を供給する経路である給湯経路90になっている。このため、給湯経路90には、湯側接続部24に内設される逆止弁25が含まれている。この逆止弁25は、給湯管から給湯経路90内に供給された湯が給湯管内に戻る方向への流れを遮断する向きで配設されている。
また、給水管に接続されている水側接続部27と水側ホース26とは、混合弁20に対して水を供給する経路である給水経路91になっている。このため、給水経路91には、水側接続部27に内設される逆止弁28が含まれている。この逆止弁28は、給水管から給水経路91内に供給された水が給水管内に戻る方向への流れを遮断する向きで配設されている。
また、混合弁20の流出部と混合水用電磁弁30とを接続する導管36は、混合弁20で混合した湯と水との混合水が流れる経路である混合水経路92になっている。また、混合水用電磁弁30に接続されているシャワーホース16は、吐水ヘッド14の吐水口15から吐水する混合水等が流れる経路である吐水経路93になっている。混合水用電磁弁30は、この混合水経路92と吐水経路93との連通と遮断とを切り替えることが可能になっている。
また、給水管から供給された水を2方向に流出可能な水側接続部27に連結される水用電磁弁40と、水用電磁弁40に接続されるフレキシブルホース55とは、給水管から供給された水が流れる経路である水用経路94になっている。即ち、水用経路94は、給水経路91と吐水経路93とを接続している。水用電磁弁40は、この水用経路94上に配設されている。
また、水用電磁弁40には、逆止弁60が内設されており、この逆止弁60は、水用経路94上における水用電磁弁40よりも吐水経路93寄りの位置に配設されている。このように水用経路94上に配設される逆止弁60は、吐水経路93側から水用電磁弁40の方向への水の流れを遮断する向きで設けられている。
この実施形態に係る湯水混合水栓10は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。この湯水混合水栓10は、不使用時は混合水用電磁弁30と水用電磁弁40とは、共に閉弁状態になっている。この場合、混合弁20で混合された混合水は、混合水用電磁弁30によってシャワーホース16の方向への流れが遮断され、給水管から水用電磁弁40の方向に流れた水は、水用電磁弁40によってシャワーホース16の方向への流れが遮断される。このため、給湯管や給水管から吐水ヘッド14の吐水口15までの経路が、混合水用電磁弁30や水用電磁弁40によって遮断された状態になるため、吐水は行われない。
この状態の湯水混合水栓10で混合水を吐水する場合には、混合水用操作部71上に手をかざす。これにより、混合水用操作部71は、混合水用操作部71の上方に手が位置することを検知し、混合水用操作部71は、手を検知したことを示す電気信号を混合水用電磁弁30に伝達する。混合水用電磁弁30は、この電気信号によって駆動し、開弁する。
図7は、混合水用電磁弁の開弁時の湯水の流れを示す説明図である。混合水用電磁弁30が開弁した場合、湯側ホース23等の給湯経路90を流れる湯と、水側ホース26等の給水経路91を流れる水とが混合弁20で混合され、この混合水が、導管36からなる混合水経路92に流れる。混合水用電磁弁30の開弁時は、混合水経路92と、シャワーホース16からなる吐水経路93とは連通するため、混合水経路92を流れる混合水は、混合水用電磁弁30を通って吐水経路93に流れる。シャワーホース16は、吐水口15を有する吐水ヘッド14に接続されているため、混合水が吐水経路93に流れた場合には、混合水は吐水口15から吐水される。使用者が混合水用操作部71上に手をかざすことにより、混合水を吐水する入力操作が行われた場合には、このように混合水用電磁弁30を開弁することにより、混合水が吐水される。
また、この状態で、混合弁20の調節レバー21を操作した場合には、混合水経路92に対する給湯経路90や給水経路91の開口部分の開口面積が変化する。これにより、給湯経路90や給水経路91から混合水経路92に流れる湯や水の流量が、調節レバー21の操作によって変化するため、混合水経路92を流れる混合水の温度や流量は、調節レバー21の操作によって変化する。従って、吐水口15から吐水される混合水の温度や流量も、調節レバー21の操作によって変化する。
また、吐水ヘッド14は吐水管11から取り外すことができ、吐水ヘッド14に接続されるシャワーホース16は可撓性を有しているため、吐水ヘッド14は、吐水管11から取り外した状態で任意の場所に対して吐水することができる。このため、吐水ヘッド14が吐水管11に保持されている状態で吐水可能な範囲外に対して吐水を行う場合には、吐水管11から吐水ヘッド14を取り外し、シャワーホース16を吐水管11から引き出した状態で、吐水ヘッド14を任意の場所に位置させて吐水を行う。
このように、吐水口15から吐水される混合水を止水する場合は、混合水が吐水されている状態で、再び混合水用操作部71上に手をかざす。これにより、混合水用操作部71は、手を検知したことを示す電気信号を混合水用電磁弁30に伝達し、開弁状態の混合水用電磁弁30は、この電気信号によって駆動し閉弁する。混合水用電磁弁30が閉弁した場合、混合水経路92と吐水経路93との流通は混合水用電磁弁30によって遮断されるため、混合水は吐水経路93には流れなくなり、吐水口15から吐水される混合水は止水する。
また、混合弁20の調節レバー21は、調節した位置に維持される。このため止水後に、再び混合水用操作部71上に手をかざすことにより混合水を吐水した場合には、止水前に調節した温度と流量の混合水が吐水される。
また、水用操作部72上に手をかざした場合には、水用操作部72は、水用操作部72の上方に手が位置することを検知し、水用操作部72は、手を検知したことを示す電気信号を水用電磁弁40に伝達する。水用電磁弁40は、この電気信号によって駆動し、開弁する。
図8は、水用電磁弁の開弁時の水の流れを示す説明図である。水用電磁弁40が開弁した場合、給水経路91を流れる水が、フレキシブルホース55等からなる水用経路94に流れる。水用電磁弁40の開弁時は、水用経路94と吐水経路93とは連通するため、水用経路94を流れる水は、水用電磁弁40を通って吐水経路93に流れる。一方、この場合は、混合水用電磁弁30は閉弁しているため、混合水経路92から吐水経路93に対して混合水は流れない。これにより、吐水経路93には、給水管から供給される水のみが流れ、吐水ヘッド14の吐水口15からは、水のみが吐水される。また、水を吐水する場合も、混合水を吐水する場合と同様に、吐水ヘッド14を吐水管11から取り外すことにより、任意の場所に対して吐水を行うことができる。
このように、吐水口15から吐水される水を止水する場合は、水が吐水されている状態で、再び水用操作部72上に手をかざす。これにより、水用操作部72は、手を検知したことを示す電気信号を水用電磁弁40に伝達し、開弁状態の水用電磁弁40は、この電気信号によって駆動し閉弁する。水用電磁弁40が閉弁した場合、水用経路94と吐水経路93との流通は水用電磁弁40によって遮断されるため、給水管から供給される水は吐水経路93には流れなくなり、吐水口15から吐水される水は止水する。
また、湯水混合水栓10が寒冷地に設置される場合において、所定時間吐水をしないことにより、ホース類の中に溜まった水が凍結することが予想される場合には、水抜きを行う。この水抜きは、水抜き弁45を開くことにより行う。つまり、水用電磁弁40の水抜き弁45に設けられる水抜き栓50は、通常時は、水抜き栓50の外周部に配設されるOリング53が、水抜き通路48の小径部48aに対して水密に接触するように、上方側に位置している(図3参照)。
水用電磁弁40からフレキシブルホース55に流れる水は、水抜き弁45の水抜き通路48から流路部46の方向に流れるが、水抜き栓50に配設されるOリング53が水抜き通路48の小径部48aに対して接触している場合には、水抜き通路48内の水は、下方への流れがOリング53によって遮られる。水抜き通路48は下方に向かって開口しているが、このように水抜き通路48内の水の下方への流れが水抜き栓50のOリング53によって遮断されることにより、湯水混合水栓10の通常の使用時には、水抜き通路48内の水は外部には流出せず、フレキシブルホース55の方向に流れる。
これに対し、水抜きを行う場合には、水抜き栓50を回転操作して下方に移動させる。図9は、図3に示す水抜き弁が開いた状態を示す説明図である。水抜き栓50を下方に移動させた場合、水抜き栓50に配設されるOリング53は、水抜き通路48における大径部48bの位置に移動し、大径部48bから離間した状態になる。Oリング53が大径部48bから離間し、Oリング53と水抜き通路48の内壁との間に空隙が生じた場合、水抜き通路48内の水は、この空隙を通って下方に流れる。Oリング53よりも下方に流れた水は、水抜き栓50においてOリング53よりも下方側に形成されている連通孔52に流入し、水抜き栓50の内側に形成される水抜き穴51に流れ込む。連通孔52から水抜き穴51に流れた水は、水抜き穴51内を下方に流れ、下方に向かって開口している水抜き穴51の開口部分から、下方に流出する。これにより、水抜き通路48内の水は、水抜き弁45の外部に流出する。
フレキシブルホース55は、接続部材56を介して水抜き弁45に接続されているため、水抜き通路48内の水が水抜き弁45の外部に流出する際には、フレキシブルホース55内の水も水抜き通路48を通って水抜き穴51から外部に流出する。この場合、フレキシブルホース55内から水抜き通路48内に流れる水は重力の作用によって流れるため、フレキシブルホース55内の水における接続部材56と水抜き弁45との接続部分よりも上方に位置する分の水がフレキシブルホース55内から水抜き通路48内に流れて、外部に流出する。このため、フレキシブルホース55内の水を流出させる場合には、水抜き弁45の流路部46に対して回転自在に接続されている接続部材56を回転させ、フレキシブルホース55を接続部材56と水抜き弁45との接続部分よりも上方に位置させる。
図10は、湯水混合水栓の使用時におけるフレキシブルホースの向きを示す説明図である。図11は、水抜き時におけるフレキシブルホースの向きを示す説明図である。つまり、湯水混合水栓10の通常の使用時は、フレキシブルホース55に対して不必要な負荷による力が作用したり、この力によってフレキシブルホース55が変形したりすることを抑制するために、接続部材56は、水抜き弁45に対する向きを、フレキシブルホース55が接続部材56から下方に延在する向きにする(図10)。これにより、フレキシブルホース55における接続部材56に接続される側の端部付近は、端部が接続部材56に接続され、この接続部分から下方に垂れ下がる状態になるため、不必要な負荷が作用することを抑制できる。この場合、水用電磁弁40側からフレキシブルホース55を通って混合水用電磁弁30の方向に流れる水は、給水管から供給される水の水圧によって流れる。
一方、水抜きを行う場合には、回転軸が略水平方向になる向きで水抜き弁45に対して回転自在に接続されている接続部材56を回転させ、接続部材56に対してフレキシブルホース55が上方に延在する向きにする(図11)。これにより、フレキシブルホース55内の水は、フレキシブルホース55より下方に位置する接続部材56の方向に流れ、接続部材56のから水抜き弁45内に流れて、水抜き穴51から外部に流出する。
また、このように水抜きを行う場合には、混合水用電磁弁30の開放操作部材33や水用電磁弁40の開放操作部材43を用いて、それぞれの電磁弁で開閉する通路を手動で開放する。即ち、混合水用電磁弁30に設けられる開放操作部材33の摘み34を回転操作することにより、混合水用電磁弁30に接続されている導管36と、シャワーホース16及びフレキシブルホース55との間の通路を開放状態にする。これにより、混合水用電磁弁30内及び導管36内の水をシャワーホース16やフレキシブルホース55の方向に流し、フレキシブルホース55に流れた水は、水抜き弁45の水抜き穴51から流出させる。
また、水用電磁弁40に設けられる開放操作部材43の摘み44を回転操作することにより、水側ホース26と水抜き弁45との間の通路を開放状態にする。これにより、水用電磁弁40内及び水側ホース26内の水を水抜き弁45の方向に流し、水抜き穴51から流出させる。
これらのように、水抜き弁45等を用いて水抜きを行う手順について説明すると、まず、給湯管と給水管との水栓を閉じる。次に、混合水用電磁弁30の開放操作部材33と、水用電磁弁40の開放操作部材43とを、共に回転操作して、それぞれの電磁弁で開閉する通路を開放状態にする。次に、調節レバー21を上に上げ、混合弁20内に溜まっている水が、湯側ホース23や水側ホース26、導管36に流れる状態にする。次に、水抜き弁45の水抜き栓50を回転操作して、水抜き穴51から流出させる。
次に、調節レバー21を全開状態で、水側と湯側との間で数回回動させ、混合弁20内の水を湯側ホース23や水側ホース26、導管36に流す。次に、吐水ヘッド14を吐水管11から取り外してシャワーホース16を吐水管11内から引き出し、吐水ヘッド14を極力下方に位置させて、この位置で振ることにより、シャワーホース16内の水を吐水ヘッド14の吐水口15から排出させる。
次に、吐水ヘッド14を吐水管11に戻し、カウンタ1の下方に位置するシャワーホース16を混合水用電磁弁30よりも高い位置に持ち上げることにより、シャワーホース16内の水を混合水用電磁弁30の方向に流す。混合水用電磁弁30にはフレキシブルホース55が接続されているため、混合水用電磁弁30の方向に流れた水は、混合水用電磁弁30を介してフレキシブルホース55内に流れる。
次に、フレキシブルホース55を上方に持ち上げると共に、接続部材56を回転させることにより、フレキシブルホース55が接続部材56に対して上方に延在する向きにする。これにより、フレキシブルホース55の大部分を接続部材56よりも上方に位置させて、フレキシブルホース55の水を水抜き弁45の方向に流して排水する。このフレキシブルホース55には、シャワーホース16側から流れた水も入り込んでいるため、このようにフレキシブルホース55内の水を排水することにより、シャワーホース16内に溜まっていた水も排水する。
図12は、水抜き弁を回転させた状態を示す説明図である。フレキシブルホース55内の水を水抜き弁45の方向に流して水を排水する場合、フレキシブルホース55を上方に持ち上げたり、接続部材56を回転させたりするのみでなく、水抜き弁45を回転させることによっても、水が水抜き穴51から流出し易いようにする。即ち、水抜き弁45は、回転軸が略鉛直方向になる向きで回転可能に設けられており、この回転軸を中心として図12に示すように往復回転させることにより、水抜き弁45内の水を水抜き穴51から流出させる。これにより、フレキシブルホース55内や水用電磁弁40内の水を排水する。
これらのように水を抜いたら混合弁20の調節レバー21を下げ、さらに、水抜き弁45の水抜き栓50を回転操作して水抜き弁45を閉じる。次に、混合水用電磁弁30の開放操作部材33と、水用電磁弁40の開放操作部材43とを、共に回転操作して、それぞれの電磁弁で開閉する通路を閉止状態、即ち、通常の使用時の状態にする。水抜きを行う場合には、これらの手順によって行う。
以上の湯水混合水栓10は、混合水用電磁弁30と水用電磁弁40とは、共に手動で弁を開放させる開放操作部材33、43を有しているため、混合水用電磁弁30や水用電磁弁40の上方に位置する水の流路内の水を、下方に流すことができる。また、流出側がフレキシブルホース55によって混合水用電磁弁30の流出側に接続されている水用電磁弁40は、混合水用電磁弁30より下方に配置されており、さらに、吐水管11側への流出側に水抜き弁45を有している。このため、水用電磁弁40内や水用電磁弁40に接続されている水の流路内の水のみでなく、混合水用電磁弁30内や混合水用電磁弁30に接続されている水の流路内の水を、フレキシブルホース55を介して水抜き弁45から流出させることができる。これにより、複数の電磁弁のうち、1つの水抜き弁45からの排水によって、双方の電磁弁及びこれらに接続されている水の流路内の水の排水を行うことができる。この結果、水抜き操作を容易に行うことができる。
また、混合水用電磁弁30とはフレキシブルホース55で接続され、水用電磁弁40とフレキシブルホース55とは、接続部材56を介して水抜き弁45に接続されることにより、双方の接続部は、回転自在になっている。このため、混合水用電磁弁30や水用電磁弁40の設置状態に関わらず、水抜き弁45に対して接続部材56を回転させ、水用電磁弁40とフレキシブルホース55との接続部を回転させることにより、フレキシブルホース55内の水を、より確実に水抜き弁45から排水することができる。この結果、水抜き操作を、より容易に行うことができる。
また、混合水を吐水する流路の他に、水用電磁弁40やフレキシブルホース55等の水用経路94も設けているので、混合弁20を操作することなく、水のみの吐水を可能にしている。これにより、水のみの吐水でよい場合には、容易に水のみを吐水することができ、給湯器でのエネルギの消費量を低減することができる。この結果、吐水時におけるエネルギの消費量を低減することができる。
また、操作部70は、混合水用操作部71と水用操作部72とのうち、吐水管11における吐水ヘッド14を保持している側、即ち、使用者から見た場合における手前側に水用操作部72が配置されているため、湯水混合水栓10の使用時に、水用操作部72に対して入力操作を行わせる機会を増加させることができる。これにより、湯水混合水栓10で吐水を行う場合に、水のみを吐水する機会を増加させ、給湯管からの湯の吐水量を低減させることができるため、給湯管に湯を供給する給湯器でのエネルギの消費量を低減することができる。この結果、吐水時におけるエネルギの消費量を、より低減することができる。
なお、上述した湯水混合水栓10では、吐水中の混合水や水を止水する場合には、混合水用操作部71や水用操作部72に手をかざすことにより止水しているが、止水はこれ以外に基づいて行ってもよい。例えば、吐水開始後の経過時間が所定に時間に達したら、自動的に止水を行うようにしてもよい。これにより、止水の操作が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
また、上述した湯水混合水栓10では、水用操作部72に入力操作を行った場合には、単に水のみを吐水するのみであるが、水のみの吐水時は、その旨を使用者に報知するようにしてもよい。例えば、吐水管11またはカウンタ1に、任意の文字や画像を表示可能な表示部を設け、水のみを吐水時は、表示部に“ECO”のような表示を行ってもよい。これにより、水のみを吐水する場合には、吐水時におけるエネルギの消費量が低くなっていることを使用者に意識させることができ、使用者が意識的に湯の吐水量を低減することにより、吐水時におけるエネルギの消費量を、さらに低減することができる。