JP5917197B2 - ベルトコード又はカーカスコード被覆用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤのベルト層又はカーカス層におけるスチールコードを被覆するためのゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
空気入りタイヤにおいては、例えば、乗用車用タイヤのベルト層、トラック・バス用などの重荷重用タイヤのベルト層やカーカス層などの補強材としてスチールコードが使用されている。かかるベルト層やカーカス層用のゴム組成物には、スチールコードとの接着性が要求される。
スチールコードとの接着性を向上するために、下記特許文献1には、ゴム成分にビスマレイミド化合物とノボラック型フェノール樹脂とメチレン供与体を配合することが提案されている。下記特許文献2には、耐熱接着性を向上するために、耐熱架橋剤としてのビスマレイミド化合物と、ポリサルファイド化合物とを併用することが開示されている。下記特許文献3には、湿熱接着性及び耐熱老化性を向上させるために、ビスマレイミド化合物とシリカとを併用することが開示されている。下記特許文献4には、湿熱接着性を向上させるために、ジエン系ゴムにメタクリル酸亜鉛を配合することが開示されている。
一方、下記特許文献5には、重荷重用タイヤにおけるビードコアとカーカス層との間に配設されるビードカバーゴム層において、ビード部の耐久性を向上するために、接着促進剤としての有機酸の金属塩と、高弾性率化及び低ロス化のためのマレイミド化合物とを配合することが開示され、有機酸としてメタクリル酸も挙げられている。
特開2001−226528号公報 特開2004−210947号公報 特開2007−238728号公報 特開2005−146051号公報 特開2004−189146号公報
ところで、ベルト層やカーカス層のスチールコードは、ゴム圧延用のカレンダー装置を用いて、所定密度で平行配列された多数本のスチールコード両面をゴム被覆してなるトッピング反として使用されるのが一般的である。このトッピング反はポリエチレンシートや布製ライナーに巻き取り、中間材料として次工程に送られるまで保管されるが、未加硫状態のトッピング反を長期間保管すると、ゴム配合剤のブルームや湿度、温度などによる被覆ゴムの経時変化により、その加硫後の接着性が低下するという問題がある。そのため、ベルト層やカーカス層のための被覆ゴム組成物においては、未加硫状態での経時変化が小さく、安定した接着性を発現できることが望ましい。
上記特許文献1〜3では接着性を向上するためにビスマレイミド化合物を使用する点が記載され、特許文献4ではメタクリル酸亜鉛を使用する点が記載されているが、いずれも加硫した状態での湿熱老化後や熱老化後での接着性に着目しており、未加硫保管後の接着性に関して示唆するものではない。また、特許文献5は、ビードカバーゴム層におけるメタクリル酸化合物とマレイミド化合物との併用によるビード部の耐久性向上に関するものであり、ベルト層やカーカス層における被覆ゴムとして用いられるものではない上に、メタクリル酸亜鉛とマレイミド化合物との併用は開示されておらず、未加硫保管後の接着性向上を示唆するものでもない。
本発明は、空気入りタイヤのベルト層又はカーカス層におけるスチールコードを被覆するためのゴム組成物において、未加硫状態での長期保管後での接着性を改良することを目的とする。
本発明に係るベルトコード又はカーカスコード被覆用ゴム組成物は、空気入りタイヤのベルト層又はカーカス層におけるスチールコードを被覆するためのゴム組成物であって、ゴム成分100質量部に対し、マレイミド化合物0.1〜5質量部とメタクリル酸亜鉛0.1〜5質量部と、加硫剤としての硫黄1〜10質量部を配合してなるものである。
本発明に係る空気入りタイヤは、該ゴム組成物をベルト層及びカーカス層の少なくとも1つを補強するスチールコードの被覆ゴムに用いたことを特徴とするものである。
本発明によれば、ベルトコード又はカーカスコード被覆用ゴム組成物においてマレイミド化合物とメタクリル酸亜鉛を併用することにより、未加硫状態で保管した際のゴム組成物の経時変化を抑制して加硫後の接着性の低下を抑えることができ、すなわち、未加硫保管後の接着性を改良することができる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本実施形態に係るゴム組成物は、ゴム成分と、マレイミド化合物と、メタクリル酸亜鉛を含有するものである。
上記ゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴムなどの各種ジエン系ゴムが挙げられる。これらはいずれか1種単独で、又は2種以上ブレンドして用いることができる。この中でも、伸長結晶化しやすく破壊特性に優れるNRを主成分とすることが好ましく、即ち、NR単独、又は、NR60重量%以上とジエン系合成ゴム40重量%以下とのブレンドを用いることが好ましい。
上記マレイミド化合物としては、1分子中にマレイミド基を2個以上有するものが好ましく用いられる。ここで、マレイミド基とは、マレイミドからイミノ基の水素原子を取り去ってなる1価の基であり、環上の炭素に結合した水素が置換基で置換されたものであってもよい。
詳細には、1分子中にマレイミド基を2個有するマレイミド化合物としては、種々のビスマレイミドを用いることができ、具体的には、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−o−フェニレンビスマレイミド、2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミドなどが挙げられる。また、1分子中にマレイミド基を3個以上有するマレイミド化合物としては、例えば、アニリン、ホルムアルデヒド及び無水マレイン酸を縮合して得られるポリフェニルメタンマレイミドなどが挙げられる。これらのマレイミド化合物は、いずれか1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
マレイミド化合物の配合量は、ゴム成分100重量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましい。マレイミド化合物の配合量が0.1質量部未満では、その添加効果が十分に得られず、また、5質量部を超えると、弾性率が高くなりすぎるおそれがある。マレイミド化合物の配合量は、より好ましくは、ゴム成分100質量部に対して0.2〜2質量部である。
本実施形態にかかるゴム組成物には、上記マレイミド化合物とともに、メタクリル酸亜鉛が配合される。メタクリル酸亜鉛の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましい。メタクリル酸亜鉛の配合量が0.1質量部未満では、その添加効果が十分に得られず、また、5質量部を超えると、弾性率が高くなりすぎたり、加工時にロールに粘着しやすくなって加工性が悪化したりするおそれがある。メタクリル酸亜鉛の配合量は、より好ましくは、ゴム成分100質量部に対して0.2〜2質量部である。
本実施形態に係るゴム組成物には、補強剤としてカーボンブラック、シリカなどのフィラーを配合することができる。カーボンブラックとしては、特に制限されることはなく、例えば、SAF、ISAF、HAF、FEF級のカーボンブラックが使用でき、それらの2種以上をブレンド使用してもよい。カーボンブラックの配合量は、特に限定されないが、ゴム成分100質量部に対し20〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは40〜80質量部である。シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、表面処理シリカなどが挙げられる。シリカを配合する場合、その配合量は、特に限定しないが、ゴム成分100質量部に対し40質量部以下であることが好ましい。
本実施形態に係るゴム組成物には、メチレン受容体とメチレン供与体を配合することができる。メチレン受容体の水酸基とメチレン供与体のメチレン基とが硬化反応することで、ゴムとスチールコードの接着性を高め、タイヤ走行に伴う負荷や発熱による接着性の劣化を抑制することができる。
メチレン受容体としては、フェノール類化合物、又はフェノール類化合物をホルムアルデヒドで縮合したフェノール系樹脂が用いられる。該フェノール類化合物としては、フェノール、レゾルシンまたはこれらのアルキル誘導体が含まれる。アルキル誘導体には、クレゾール、キシレノールといったメチル基誘導体の他、ノニルフェノール、オクチルフェノールといった比較的長鎖のアルキル基による誘導体が含まれる。フェノール類化合物は、アセチル基等のアシル基を置換基に含むものであってもよい。
また、フェノール類化合物をホルムアルデヒドで縮合したフェノール系樹脂には、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂(即ち、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂)、クレゾール樹脂(即ち、クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂)等の他、複数のフェノール類化合物からなるホルムアルデヒド樹脂が含まれる。これらは、未硬化の樹脂であって、液状又は熱流動性を有するものが用いられる。
これらの中でも、ゴム成分や他の成分との相溶性、硬化後の樹脂の緻密さ及び信頼性の見地から、メチレン受容体としてはレゾルシン又はレゾルシン誘導体が好ましく、特には、レゾルシン、又はレゾルシン−アルキルフェノール−ホルマリン樹脂が好ましく用いられる。
これらメチレン受容体の配合量としては、特に限定しないが、ゴム成分100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、より好ましく1〜4質量部である。
上記メチレン供与体としては、ヘキサメチレンテトラミン又はメラミン誘導体が用いられる。該メラミン誘導体としては、例えば、メチロールメラミン、メチロールメラミンの部分エーテル化物、メラミンとホルムアルデヒドとメタノールの縮合物等が用いられ、その中でもヘキサメトキシメチルメラミンが特に好ましい。
メチレン供与体の配合量としては、特に限定しないが、ゴム成分100質量部に対して0.2〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜8質量部である。
本実施形態に係るゴム組成物には、スチールコードとの接着性向上剤として有機酸コバルト塩を配合してもよい。有機酸コバルト塩としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、オレイン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ロジン酸コバルト、ホウ酸コバルト、マレイン酸コバルトなどが挙げられ、これらの中でも加工性の点からナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルトが特に好ましい。有機酸コバルト塩の配合量としては、特に限定しないが、ゴム成分100質量部に対し、金属分換算で0.03〜0.50質量部であることが好ましい。
本実施形態に係るゴム組成物には、加硫剤としての硫黄が通常配合される。硫黄の配合量は、ゴム成分100質量部に対し、1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜8質量部である。硫黄としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、オイル処理硫黄などが挙げられ、特に限定されない。
本実施形態に係るゴム組成物には、上記成分の他に、亜鉛華、老化防止剤、軟化剤、ワックス、加硫促進剤、加工助剤など、タイヤ用ゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を任意に配合することができる。上記加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チウラム系、チアゾール系、及びグアニジン系などの各種加硫促進剤を用いることができ、いずれか1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。加硫促進剤の配合量は、特に限定するものではないが、上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜5質量部である。
該ゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混合機を用いて、常法に従い混練し作製することができる。すなわち、第一混合段階で、ゴム成分に対し、上記マレイミド化合物及びメタクリル酸亜鉛とともに、加硫剤及び加硫促進剤を除く他の添加剤を添加混合し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階で加硫剤及び加硫促進剤を添加混合することによりゴム組成物を調製することができる。
該ゴム組成物は、空気入りタイヤのベルト層やカーカス層において、補強材として使用されるスチールコードの被覆(トッピング)ゴムとして用いられる。すなわち、ベルトコード及び/又はカーカスコードの被覆用ゴム組成物として用いられる。該ゴム組成物は、常法に従い、スチールカレンダーなどのトッピング装置によりスチールコードトッピング反を製造し、これをベルト層及び/又はカーカス層として用いて、常法に従い成形加硫することにより空気入りタイヤを製造することができる。
空気入りタイヤとしては、乗用車用タイヤでも重荷重用タイヤでもよく、特に限定されない。なお、空気入りタイヤの構造自体は周知であり、特に限定されない。一般には、空気入りタイヤは、左右一対のビード部及びサイドウォール部と、左右のサイドウォール部の径方向外方端部同士を連結するように両サイドウォール部間に設けられたトレッド部とを備え、左右一対のビード部間にまたがって延びる少なくとも1層のカーカス層を備える。カーカス層は、トレッド部からサイドウォール部をへて、両端がビード部にて係止されており、上記各部を補強するものである。また、ベルト層は、トレッド部におけるカーカス層の外周側においてトレッドゴムとの間に、通常2層以上にて設けられており、カーカス層の外周でトレッド部を補強するものである。本実施形態において、上記ゴム組成物をスチールコードの被覆ゴムに用いる場合、ベルト層とカーカス層のうちのいずれか一方に適用してもよく、双方に適用してもよい。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合(質量部)に従い、まず、第一混合段階で、硫黄と加硫促進剤を除く成分を添加混合し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階で硫黄と加硫促進剤を添加混合して、スチールコード被覆用ゴム組成物を調製した。表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
・NR:天然ゴム(RSS#3)
・カーボンブラック:HAF、東海カーボン株式会社製「シースト300」
・マレイミド化合物A:4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、大和化成工業株式会社製「BMI−1000H」
・マレイミド化合物B:ポリフェニルメタンマレイミド、大和化成工業株式会社製「BMI−2300」
・マレイミド化合物C:1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、大和化成工業株式会社製「BMI−TMH」
・マレイミド化合物D: 4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、大和化成工業株式会社製「BMI−7000H」
・メタクリル酸亜鉛:川口化学工業株式会社製「アクターZMA」
・不溶性硫黄:フレキシス社製「ミュークロンHS OT−20」
・加硫促進剤A:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーNS−P」(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
・加硫促進剤B:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーDZ−G」(N,N−ジシクロヘキシル−2−べンゾチアゾリルスルフェンアミド)
・加硫促進剤C:WO2009/084538の段落0034に記載の方法により合成されるN−エチル−N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
・加硫促進剤D:フレキシス社製「サントキュアTBSI」(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンイミド)
各ゴム組成物には、共通配合として、ゴム成分100質量部に対し、亜鉛華(三井金属工業株式会社製「亜鉛華3号」)8質量部、プロセスオイル(株式会社ジャパンエナジー製「JOMOプロセスNC140」)3質量部、老化防止剤6C(フレキシス社製「サントフレックス6PPD」)2質量部、老化防止剤FR(松原産業社製「Antioxidant FR」)1質量部、レゾルシン(住友化学工業株式会社製「レゾルシン」)2質量部、ヘキサメトキシメチルメラミン(三井サイテック株式会社製「サイレッツ963L」)4質量部、ステアリン酸コバルト(株式会社ジャパンエナジー製「ステアリン酸コバルト(Co分
9.5%)」)2質量部を配合した。
得られた各ゴム組成物を用いて、ゴム−スチールコード複合体の未加硫試料を作製した。詳細には、ベルト用スチールコード(3×0.20+6×0.35mm構造、銅/亜鉛=64/36(質量比)、付着量5g/kgの真鍮めっき)を12本/25mmの打ち込み密度で平行配列したものの両面を、上記各ゴム組成物からなる厚さ1mmのゴムシートを用いて被覆し、この2枚をコードが平行になるように積層した剥離接着試験用の未加硫試料を作製した。得られた未加硫試料を用いて、初期接着性と湿熱接着性と未加硫保管後接着性を下記方法により評価した。
[初期接着性]
上記未加硫試料を作製後、室温にて24時間放置した後、150℃×30分の条件で加硫し、島津製作所(株)製オートグラフ「DCS500」を用いて2層のスチールコード間の剥離試験を行い、剥離後のスチールコードのゴム被覆率を目視にて観察し、0〜100%で評価した。数値が大きいほど初期接着性が良好である。
[湿熱接着性(湿熱老化後の接着性)]
上記未加硫試料を作製後、室温にて24時間放置した後、150℃×30分の条件で加硫し、加硫した試験片を105℃の飽和蒸気内で96時間放置した後、上記初期接着性と同様の剥離試験を行い、剥離後のスチールコードのゴム被覆率を目視にて観察し、0〜100%で評価した。数値が大きいほど湿熱接着性が良好である。
[未加硫保管後接着性]
上記未加硫試料を作製後、40℃×95%RHの恒温恒湿槽中に168時間放置した後、150℃×30分の条件で加硫し、上記と同様、島津製作所(株)製オートグラフ「DCS500」を用いて剥離試験を行い、剥離後のスチールコードのゴム被覆率を目視にて観察した。数値が大ほど未加硫保管時の接着安定性が良好である。
Figure 0005917197
結果は、表1に示す通りであり、コントロールである比較例1に対し、各種マレイミド化合物を単独で添加した比較例2〜4では、初期接着性や湿熱接着性には改善効果が見られたものの、未加硫保管後接着性にはほとんど改良効果は見られなかった。
マレイミド化合物Aを2質量部に増量した比較例5では、配合量が1質量部である比較例2に対し、さらに初期接着性及び湿熱接着性に改良効果が見られたが、未加硫保管後接着性はまだ満足行く値ではなかった。すなわち、単純に配合量を増やしただけでは、未加硫保管後接着性の改良効果は小さかった。
また、メタクリル酸亜鉛を単独で添加した比較例6では、比較例1に対し、初期接着性は大幅に改善し、湿熱接着性にも改善効果が見られたが、未加硫保管後接着性にはほとんど改良効果は見られなかった。
メタクリル酸亜鉛を2質量部に増量した比較例7では、配合量が1質量部である比較例6に対し、さらに初期接着性及び湿熱接着性に改良効果が見られたが、未加硫保管後接着性はまだ満足行く値ではなかった。すなわち、単純に配合量を増やしただけでは、未加硫保管後接着性の改良効果は小さかった。
以上のように、マレイミド化合物やメタクリル酸亜鉛をそれぞれ単独で添加する従来手法では、初期接着性や湿熱接着性は向上するものの、未加硫状態での長期保管後での接着性については、ほとんど改良効果は見られなかった。
これに対し、各種マレイミド化合物とメタクリル酸亜鉛を各1質量部にて併用した実施例1〜4では、比較例2〜7に比べて、初期接着性と湿熱接着性が改良されるだけでなく、未加硫保管後接着性に顕著な改良効果が見られた。これらの未加硫保管後接着性の改良効果は、マレイミド化合物とメタクリル酸亜鉛をそれぞれ単独で用いた比較例2〜7において上記の通り改良効果がほとんど見られなかったことに鑑みれば、相加効果を上回る顕著な相乗効果であった。
また、マレイミド化合物とメタクリル酸亜鉛を各4質量部にて併用した実施例5では、実施例1よりも湿熱接着性及び未加硫保管後接着性がさらに改良されていた。マレイミド化合物Aとメタクリル酸亜鉛を各0.5質量部に減らして併用した実施例6でも、これらの添加剤の総量が等しい比較例2及び比較例6に比べて、いずれの接着性も改良されており、特に未加硫保管後接着性に顕著な改良効果が見られた。また、加硫促進剤の種類を変更した実施例7,8,9でも、実施例1と同等以上の優れた効果が得られた。
以上のように、マレイミド化合物とメタクリル酸亜鉛とを併用したことにより、初期のスチールコードとの接着性、湿熱老化後の接着性を高めつつ、未加硫保管後の接着性を予想外に高いレベルまで引き上げることができた。そのため、タイヤの耐久性能を高めることができると共に、タイヤの製造工程において、トッピング反の長期保管時の安定性を高めることもできる。このようにトッピング反の保管期間を延長できるので、工程性や生産性を損なうことがなく、材料の廃棄処理などの経費節減にも寄与することができる。

Claims (3)

  1. 空気入りタイヤのベルト層又はカーカス層におけるスチールコードを被覆するためのゴム組成物であって、
    ゴム成分100質量部に対し、マレイミド化合物0.1〜5質量部とメタクリル酸亜鉛0.1〜5質量部と、加硫剤としての硫黄1〜10質量部を配合してなる、
    ベルトコード又はカーカスコード被覆用ゴム組成物。
  2. 前記ゴム成分100質量部に対して、メチレン受容体1〜10質量部と、メチレン供与体0.2〜20質量部と、金属分換算で0.03〜0.50質量部の有機酸コバルト塩を配合したことを特徴とする請求項1記載のベルトコード又はカーカスコード被覆用ゴム組成物。
  3. 請求項1又は2記載のゴム組成物を、ベルト層及びカーカス層の少なくとも1つを補強するスチールコードの被覆ゴムに用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
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