JP5912566B2 - 恒温槽付水晶発振器 - Google Patents
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Description
恒温槽付水晶発振器(OCXO;Oven Controlled Crystal Oscillator)は、水晶振動子の動作温度を一定に維持することから、周波数温度特性に依存した周波数変化を引き起こすことなく、高安定の発振周波数が得られるものである。
水晶振動子は、恒温槽に収納され、恒温槽は、温度制御回路によってその槽内の温度を一定に保持するよう制御される。
従来の恒温槽付水晶発振器の構成について図5を用いて説明する。図5は、従来の恒温槽付水晶発振器の断面説明図である。
図5に示すように、従来の恒温槽付水晶発振器は、ガラエポ等から成る第1の基板11と、第1の基板より小さい第2の基板12と、第2の基板12上に搭載された水晶振動子13、パワートランジスタ14、ヒータ抵抗15等の電子部品を備えている。
そして、第2の基板12及びその上に搭載された電子部品を覆うように、第1の基板11上にカバー20が搭載されて、封止された構成となっている。
尚、第2の基板12を第1の基板11から浮かせた構成とすることにより、発熱体からの熱がOCXOの外部に発散しにくくして、空間内の温度を維持するための消費電力を低減するものである。
更に、熱源として用いられるヒータ抵抗15の発熱量は電流に依存するが、その変化は線形(直線的)ではないため、周囲温度の変化が生じたときに発熱量のバランスが崩れ、発振器出力の周波数温度特性を劣化させる一因となっていた。
尚、恒温槽付水晶発振器に関する技術としては、特開2007−006270号公報「圧電発振器」(日本電波工業株式会社、特許文献1)、特開2010−177732号公報「恒温型圧電発振器」(エプソントヨコム株式会社、特許文献2)、実開平04−91411号公報「クロックオシレータ」(株式会社富士通ゼネラル、特許文献3)、特開2006−311496号公報「恒温型の水晶発振器」(日本電波工業株式会社、特許文献4)がある。
特許文献4には、基板の下側に水晶振動子と温度制御素子が搭載され、上側に発振回路が搭載され、基板が別の基板に気密端子によって支持されて全体がカバーで覆われた恒温型の水晶発振器が記載されている。
[実施の形態の概要]
本発明の第1の実施の形態に係る恒温槽付水晶発振器について図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る恒温槽付水晶発振器の断面説明図であり、(a)は第1の構成、(b)は第2の構成を示している。
[第1の構成例:図1(a)]
まず、図1(a)を用いて説明する。
図1(a)に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る恒温槽付水晶発振器(第1の恒温槽付水晶発振器)の第1の構成は、第1の基板31と、第2の基板32と、カバー30と、水晶振動子13、パワートランジスタ14、ヒータ抵抗等15の複数の電子部品とから構成されている。
第1の恒温槽付水晶発振器の水晶振動子13は、表面実装型としている。
第1の恒温槽付水晶発振器の特徴として、第1の基板31の上面には、凹部33が形成されている。ここで、凹部33は、第1の基板31の上面部をエッチング等により途中までくり抜いて(削って)形成されたものである。
凹部33を第1の基板31をくり抜いて形成することにより、端子(配線)が形成される第1の基板31の側面部に段差や接合部が形成されず、端子の断線を防ぐことができるものである。
また、凹部33の大きさは、第1の構成では水晶振動子13を収容可能な程度の大きさとしている。
これにより、本実施の形態の恒温槽付水晶発振器では、第1の基板と第2の基板とを接続するピンを不要として、高さ方向の寸法を大幅に低減することができるものである。
第1の恒温槽付水晶発振器では、図5に示した従来の構成に比べて、ピンを用いずに2枚の基板を直接貼り合わせているため、高さ方向の寸法を小さくすることができるものである。
つまり、第1の恒温槽付水晶発振器の第1の構成例では、水晶振動子13と温度センサ18とが凹部33の小さい空間に収納されて、第2の基板32によって空間が閉じられた構成となっている。
つまり、第1の構成例では、熱源をパワートランジスタ14として発熱量を線形に制御すると共に、ヒータ抵抗15を、水晶振動子13が格納された凹部33からできるだけ遠い位置に搭載しているものであり、これにより、検出された温度に応じて精度よく発熱量を制御し、更に水晶振動子13に対する非線形な発熱の影響を抑えて、発振器出力の周波数温度特性を向上させることができるものである。
次に、第1の恒温槽付水晶発振器の第2の構成について図1(b)を用いて説明する。
図1(b)に示すように、第1の恒温槽付水晶発振器の第2の構成では、第1の基板31、第2の基板32、カバー30の構成は(a)に示した第1の構成と同様であるが、電子部品の搭載の仕方が第1の構成とは異なっている。
ヒータ抵抗15は、第1の構成と同様に、第1の基板31の、凹部33から遠いほうの短辺の近くに搭載されている。
これにより、水晶振動子13とヒータ抵抗15との距離を遠くして、ヒータ抵抗15の熱が水晶振動子13に与える影響を低減し、発振器出力を良好な周波数温度特性とするものである。
次に、第1の恒温槽付水晶発振器の温度制御回路について図2を用いて説明する。図2は、第1の恒温槽付水晶発振器の温度制御回路の回路図である。
図2に示すように、第1の恒温槽付水晶発振器の温度制御回路では、ヒータ抵抗(HR)41の一端には電源電圧DCが印加され、ヒータ抵抗41の他端はパワートランジスタ14としてのMOSFET(PチャネルMOSFET)42のソースに接続されている。MOSFET42の代わりに、PNP型バイポーラパワートランジスタを用いてもよい。
MOSFET42のドレインはグランド(GND)に接地されている。
抵抗R2の一端には電源電圧DCが印加され、抵抗R2の他端が抵抗R3の一端に接続され、抵抗R3の他端がGNDに接地されている。
オペアンプ44の出力端子は、MOSFET42のゲートに接続されている。
電流制限回路45は、トランジスタ等で構成され、ヒータ抵抗41に流れる電流を制限するものであり、これにより、熱源をパワートランジスタのみとして、発熱量を線形に制御可能とするものである。
本発明の第1の実施の形態に係る恒温槽付水晶発振器によれば、温度制御回路に、ヒータ抵抗15に流れる電流を制限する電流制限回路45を設け、第1の基板31の一方の短辺寄りの上面に、凹部33がくり抜きによって形成され、凹部33の開口部を覆うように第2の基板32が搭載され、第2の基板32の上面又は下面のいずれか一方の面に表面実装型の水晶振動子13と温度センサ18とが搭載され、他方の面にパワートランジスタ14が搭載され、第2の基板32の上面と下面とがスルーホール34によって接続され、第1の基板31の他方の短辺寄りの上面に、ヒータ抵抗15が搭載され、全体がカバー30によって封止された構成としているので、ピンを用いない構成として低背化して薄型デバイスに搭載可能とし、ピン及び半田によって占有される面積を無くして部品実装を容易にし、製造工程を簡易にして、コストを低減することができ、更に、非線形な発熱による影響を小さくして、良好な周波数温度特性を得ることができる効果がある。
また、本恒温槽付水晶発振器を搭載する無線通信システムの基地局や、ネットワーク機器を薄型に成型することができる効果がある。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る恒温槽付水晶発振器について図3を用いて説明する。図3は、本発明の第2の実施の形態に係る恒温槽付水晶発振器の断面説明図である。
本発明の第2の実施の形態に係る恒温槽付水晶発振器(第2の恒温槽付水晶発振器)は、上述した第1の恒温槽付水晶発振器の第2の構成とほぼ同様の構成であるが、水晶振動子として、表面実装型ではなく、丸型の水晶ブランクを用いたリードタイプの水晶振動子を用いている点が異なっている。
第2の基板32の両面には金属配線が形成されており、複数のスルーホール34によって上下の面が電気的に接続されている。
水晶振動子13′は、丸型の水晶ブランクの主面が第2の基板32の上面に略平行になるよう水平に保持され、裏面が半田によって第2の基板32上の電極に接着されている。また、水晶振動子13′の2本のリード端子の先端部分は下向きに90度程度曲げられて、第2の基板32の上面の配線に半田によって固定されている。
更に、第1の基板31の凹部33から遠いほうの短辺寄りに、ヒータ抵抗15が搭載されている。
そして、全体がカバー30によって封止されている。
本発明の第2の実施の形態に係る恒温槽付水晶発振器によれば、温度制御回路に、ヒータ抵抗15に流れる電流を制限する電流制限回路45を設け、第1の基板31のいずれかの短辺寄りの上面に、凹部33がくり抜きによって形成され、凹部33の開口部を覆うように第2の基板32が搭載され、第2の基板32の上面又は下面のいずれか一方の面に、温度センサ18と丸型ブランクを備えたリードタイプの水晶振動子13′が第2の基板32とほぼ平行に搭載され、他方の面にパワートランジスタ14が搭載され、第2の基板32の上面と下面とがスルーホール34によって接続され、第1の基板31の凹部33から遠いほうの短辺寄りの上面に、ヒータ抵抗15が搭載され、全体がカバー30によって封止された構成としているので、丸型ブランクを備えたリードタイプ水晶振動子を用いて、低背化を図り薄型デバイスに搭載可能とし、製造工程を簡易にして、コストを低減することができ、また、熱源をパワートランジスタ14のみとして発熱を線形制御可能とし、更に非線形な発熱による影響を小さくすることができ、良好な周波数温度特性を得ることができる効果がある。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る恒温槽付水晶発振器について図4を用いて説明する。図4は、本発明の第3の実施の形態に係る恒温槽付水晶発振器の断面説明図であり、(a)は第1の構成、(b)は第2の構成を示している。
図4(a)(b)に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る恒温槽付水晶発振器(第3の恒温槽付水晶発振器)は、ガラエポ又はセラミックで形成された第1の基板31及び第2の基板32と、カバー30と、表面実装型の水晶振動子13、パワートランジスタ14、ヒータ抵抗15等から構成されている。
第3の恒温槽付水晶発振器は、凹部33の大きさを第1の恒温槽付水晶発振器より大きくしており、それに伴って第2の基板32の大きさも大きくなっている。
これにより、第1の基板は、エッチング等により凹部33を形成する工程と、上面、側面、及び底面に金属配線パターンを形成する工程のみで完成し、電子部品を実装する工程は不要となるため、製造工程を簡易にすることができるものである。
ヒータ抵抗15は、水晶振動子13からできるだけ遠い位置に搭載されている。
第2の基板32には、上面と下面とを接続するスルーホール34が形成されている。
更に、ヒータ抵抗15が、水晶振動子13とは反対側の面の、水晶振動子13からできるだけ離れたところに搭載されていることにより、第3の恒温槽付水晶発振器では、良好な温度周波数特性が得られるものである。
本発明の第3の実施の形態に係る恒温槽付水晶発振器によれば、温度制御回路に、ヒータ抵抗15に流れる電流を制限する電流制限回路45を設け、第1の基板31の上面に、凹部33がくり抜きによって形成され、凹部33の開口部を覆うように第2の基板32が搭載され、第2の基板32の上面又は下面のいずれか一方の面に水晶振動子13と温度センサ18とが搭載され、他方の面にパワートランジスタ14が搭載され、第2の基板32の上面と下面とがスルーホール34によって接続され、全体がカバー30によって封止された構成としているので、低背化して薄型デバイスに搭載可能とし、第2の基板のみに部品実装を行うことにより製造工程を簡易にして、コストを低減することができ、また、熱源をパワートランジスタ14のみとして発熱を線形制御可能とし、良好な周波数温度特性を得ることができる効果がある。
Claims (6)
- ベース基板となる第1の基板と、水晶振動子が搭載された第2の基板とを備え、温度センサと、パワートランジスタと、ヒータ抵抗とを有する温度制御回路によって温度が一定に制御される恒温槽付水晶発振器であって、
前記温度制御回路は、前記ヒータ抵抗を流れる電流を制限する電流制限回路を備え、
前記第1の基板の上面に凹部が形成され、前記凹部の開口部を覆うように前記第2の基板が前記第1の基板上に密着して搭載され、
前記第2の基板は、上面又は下面のいずれか一方の面に前記水晶振動子と前記温度センサとが搭載され、他方の面に前記パワートランジスタが搭載され、前記水晶振動子と前記パワートランジスタとが、前記第2の基板を挟んで対向する位置に搭載されると共に、前記上面と前記下面とを接続するスルーホールが、前記水晶振動子と前記パワートランジスタとに挟まれた領域に複数形成され、前記スルーホールは、前記水晶振動子及び前記パワートランジスタに当接しており、
前記第2の基板に搭載された水晶振動子又はパワートランジスタのいずれか一方が前記凹部に格納されていることを特徴とする恒温槽付水晶発振器。 - 凹部が、第1の基板の一方の短辺寄りに形成されると共に、他方の短辺寄りには第2の基板が搭載されていない領域を備え、前記他方の短辺寄りの第2の基板が搭載されていない領域にヒータ抵抗が搭載されていることを特徴とする請求項1記載の恒温槽付水晶発振器。
- ヒータ抵抗が、第2の基板の上面に搭載されていることを特徴とする請求項1記載の恒温槽付水晶発振器。
- 水晶振動子が、表面実装型であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の恒温槽付水晶発振器。
- 水晶振動子が、リードタイプであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の恒温槽付水晶発振器。
- 凹部が、第1の基板をくり抜いて形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の恒温槽付水晶発振器。
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