JP5912223B2 - 低分子ムチンの製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、低分子ムチンの製造方法に関するものであり、一層詳細には、化粧品、医療品、食品などの素材として幅広く応用ができる低分子のムチン製造方法に関するものである。
ムチンは、動物や植物の分泌する物質の総称で、いわゆるネバネバ、ドロドロした成分であり、現在では、科学的な見地から、主に動物組織の上皮性細胞、胃、腸などの消化管の内面にある粘膜、唾液をつくる顎下腺、子宮などの生殖器の粘膜など広く分布する粘液性またはゲル状の性質を持つ糖タンパク質をいう。その分子の構造やサイズおよび存在形態は様々であるが、多くは分子量が200万以上で分子の骨格になる部分には1本のポリペプチド鎖(コアタンパク質)があり、複雑な結合様式を持つオリゴ糖がブラシ状に多数結合した構造とっていると考えられている。
そして、ムチンは、ゲル形成能、水素イオン浸透遅延能、ペプシン阻害能等の生理機能を有しているので古くから胃腸の粘膜保護剤や食品乳化剤として利用されてきた。
また近年では、その天然保湿因子としての機能を利用して皮膚や髪の健康を増進し、老化を遅延させるアンチエイジング化粧料や衛生用品さらには食品などの素材としても使用されるなどその用途は拡大してきている。
ところで、ムチンは動物組織中ではタンパクや脂質と共に複雑に結合して存在し、粘度の大きい高分子化合物であり、通常では水や塩類溶液に溶解しにくいことから、これを透明な飲料や化粧水の素材として配合するには、酸やアルカリによる加水分解、あるいは酵素分解を行って分画精製し、透明な性状の精製標品として調製する必要がある。
そこで、従来では、常法によって得られた粗製ムチンをプロテアーゼ(蛋白質分解酵素)を用いて加水分解し、その反応液の上澄液から水溶性ムチンを精製する方法が提案され、需要者の便宜に供されている(特許文献1)。
しかるに、この方法はプロテアーゼ処理温度(50℃)が、酵素反応条件としては比較的高いため反応液の褐変が生じやすく、このことはムチンを構成するペプチド鎖や糖鎖の変性を意味し、ムチンの失活を招く虞れが大きかった。
また、この方法においては反応液の上清液になお濁りが認められる場合、ポアサイズ0.45μmのメンブラン・フィルターを用いて濾過を行って清澄化することも開示されているが、これは単に工程数の増加を招くのみならず、粘稠な反応液の濾過に長時間を要すること、あるいはフィルターの目詰まりを防止するためのメンテナンスを要することなどによるスループットの低下を招くことになり、しかも、0.45μmのポアサイズでは濁質の一部が透過する可能性があり、これを防止するためにより小さいポアサイズを選択すればスループットの低下は一層深刻化してしまう。
さらに、前述の濾液にはムチンの低分子画分が回収されるため、ペプシン阻害活性や抗潰瘍活性が低下ないしは消失してしまう可能性も小さくなかった。
また、上記方法により得られたムチンは、肌に対する塗布使用テストの欄に記載されているように、精製水中に4%の濃度で溶解した場合に白濁を呈するが、これは弱酸性領域において透明性状を維持し得ないことを示している。
そしてこのことは皮膚や髪のpHに合わせて弱酸性に調製されることの多い化粧水、シャンプー等の化粧料や衛生用品を透明性状に調製したい場合は適切なムチン素材とは言い難い。
さらに、クリーム、乳液、不透明シャンプー等のように透明性の要求されない乳化系化粧料を調製する場合でも、乳化の均一性や品質安定性を充分達成するめには、配合されるムチンが経時的に白濁を生ずることは望ましくないことである。
一方、夏期を中心に発生するクラゲ類は、時に大量に発生するために、原子力及び火力発電所の取水排水システム又は海洋に面した各種工場の工業用水取水排水システム、港湾、定置網などの漁網などの効率や経済効果を著しく阻害する場合があり、特に遊泳能力の貧弱なミズクラゲなどが大量発生すると積極的な除去作業を行う必要がある。
また、エチゼンクラゲなどの大型のクラゲが大量発生する場合には、その重量のため重機械等を用いた大がかりな引き上げ作業が必要となり、一旦引き上げられた大量のクラゲ類は現在の日本の法律では、廃棄物と見なされ、再び海洋に投棄することができないので、陸上に集積しなければならない。
このように集積したクラゲ類を、食品あるいは肥料として利用する方法も提案されているが、それ以外には有効な活用法が存在していないため、環境保全を目的とした処理に関して企業や自治体に大きな経済負担が生じ、その処理コストを得るためには微量でも高価な有価物を取り出し、残渣の処分を推進するコストを回収することが望ましいのであるが、その有効な解決策は得られていない。
大量発生時におけるミズクラゲの量は、空中からの観測などでも見積ることができ、1湾当たり数10万トンに達する場合もあると言われている。
クラゲ類はこのような豊富な存在量を持つ海洋資源として地球上に存在していることから、集積した廃棄物を利用するばかりでなく、積極的な捕獲による利用の途も考慮していく必要があり、近時は、その成分分析から、例えば、非特許文献1に示すように、スルメイカ類の成熟した雌の内臓にみられる抱卵腺などとともにヒトムチンの代用物質として有用なムチン型糖タンパク質としての研究が始められている。
特開平2−78604号公報
阿蘇雄ほか「海洋性ムチンの開発と化粧品への応用」FRAGRANCE JOURNAL 2006 3月号
そこで、この発明では従来よりも化粧品、医療品などへの応用を好適に行うことができ、しかも効率よく安価に製造できる低分子ムチンの製造方法を提供することを目的とするものである。
この課題を解決するため、本発明では、わが国で古くから行われている発酵技術に着目し、ミネラルを添加したムチン原料を醗酵させ、ついでこれに有機酸を混合して熟成することにより分解を行ってムチン原料の低分子化を図るものである。
この場合、ムチン原料としては、刺胞動物門に属するクラゲ類および/またはクラゲ類由来抽出物を使用するのが好適であり、さらにはこれに代替して、スルメイカ類の成熟した雌の内臓にみられる抱卵腺(内臓)も好適に使用することができる。
具体的には、ムチン原料としてのクラゲ類および/またはクラゲ類由来抽出物を必要に応じて裁断したのちこれにミネラルを添加して所定量の浄化水で蒸煮することにより殺菌し、つぎに麹菌、酵母、クエン酸菌、乳酸菌、酢酸菌、蛋白質分解能を有する麹菌を単独でまたはこれらの2種以上の混合物を加えて醗酵させ、次いでこの醗酵ムチン原料にクエン酸、乳酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸から選ばれるカルボキシル基を有する有機酸を単独でまたはこれらの2種以上の混合物を混合して35℃〜45℃の温度に保持して熟成し、さらにこれを濾過抽出する手順を採用する。
この場合、クラゲ類および/またはクラゲ類由来抽出物などのムチン原料に添加するミネラルとしては、例えば、澱粉および/もしくは穀類と種子と卵殻とを所定の割合で混合した原料を粉砕し、次いで浄化水と麹菌を加えて醗酵熟成することにより原料中に含まれているカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛、マンガンなどのミネラルを解離させたのち濾過することにより得られた醗酵熟成液からなるイオン化ミネラル液が好適に使用できる。
そして、このような手順(プロセス)を採用することにより分子量が約650〜2000程度の低分子ムチンを得ることができるものである。
本発明に係る低分子ムチンの製造方法によれば、クラゲ類および/またはクラゲ類由来抽出物などからなるムチン原料の分散液は麹菌あるいは麹菌混合物による発酵作用によってムチンの酸素結合が切られ、さらに切られた酸素結合の末端にミネラルが適宜結合してその状態を保持するので、従来に比べるとはるかに低分子量のムチンを効率よくしかも安価に製造することができる。
また、本発明方法によって得られた低分子ムチンはその分子量が約650〜2000程度であるり、少量で目的とする所望の効果を充分期待することができるので種々の用途、殊に、化粧品分野への活用を好適に図ることが可能となるものである。
さらには、本発明方法によって得られた低分子ムチンは、同様な方法によって得られた低分子ヒアルロン酸、低分子コラーゲンなどを所定の混合比で混ぜることにより従来よりもはるかに優れた保湿組成物として調製できるので新規なアンチエイジング化粧料を得ることも可能となるものである。
さらに、本発明方法は、本来は用途の少ないクラゲ類および/またはクラゲ類由来抽出物などをムチン原料とするので安価で効率的であり、クラゲ類の養殖又は港湾や漁業で発生する廃棄物クラゲの利用などを通じて簡便に良質な低分子ムチンを供給することができるなど種々の優れた効果を奏するものである。
本発明に係る低分子ムチンの製造方法における実施の形態を示す手順説明図である。 図1に示す手順で得られた本発明に係る低分子ムチンの質量分析結果(M/Z 1−20000)であって、いくつかのイオンピーク(分子量分布)が表れている特性図である。 図1に示す手順で得られた本発明に係る低分子ムチンの質量分析結果(M/Z 1−3000)であって、分子量650〜2000近辺のイオンピーク特性(分子量分布)図である。
次に、本発明に係る低分子ムチンの製造方法における最良の実施の形態を例示し、以下詳細に説明する。
図1において、本発明に係る低分子ムチンの製造方法ではクラゲ類および/またはクラゲ類由来抽出物をムチン原料10として使用する。
ここでクラゲ類とは、刺胞動物門に属する生物をいい、代表的なものとして、ミズクラゲ(ミズクラゲ科)、アカクラゲ(オキクラゲ科)、オワンクラゲ(オワンクラゲ科)、エチゼンクラゲ(エチゼンクラゲ科)、アンドンクラゲ(アンドンクラゲ科)、ビゼンクラゲ(ビゼンクラゲ科)、ハブクラゲ(熱帯アンドンクラゲ科)などが挙げられる。さらに本発明に係る低分子ムチンを製造するために使用するクラゲ類としては、ヒトや動物に対する安全性が確認されているクラゲであることが好ましく、例えば、すでに食用に供されているミズクラゲ、ビゼンクラゲ、エチゼンクラゲなどである。
クラゲ類はあらゆる状態のものを使用することができ、例えば、生のクラゲ、冷凍クラゲ、乾燥クラゲ、塩蔵クラゲなどを使用することができる。
また、クラゲの部位も特に限定されるものではなく、例えば、表皮、口腕、胃体部、体液などのほか凍結保存や常温による保存において生じた液体成分も使用することができる。
なお、冷凍クラゲの場合は、はじめに解凍・水洗して使用する。生のクラゲ又は乾燥クラゲの場合にも、同様に水洗を行い、必要に応じて遠心分離して粘度のある固形物と液体成分を分離して使用するのが好ましい。
クラゲの粘度のある固形物は、例えば、ハサミなど使用して、0.5mm〜2cm、好ましくは1cm四方程度の断片に切断する。この切断または破砕方法は、使用するクラゲ原料の状態、遠心分離器の性能などに適合した方法を用いる必要があり、より細かい断片を使用する場合は電動ミキサーなどの適当な切断・破砕方法を用いることができる。クラゲの表皮が分解しかかっていたり、流体部分が柔らかく鮮度が落ちている場合には、例えば、アセトン処理を行って脱脂及び脱水を行うことが好ましい。アセトン処理を行った場合には、脱水された原料を再び水で膨潤させて使用するのが好ましい。
一方、体液を用いる場合や凍結保存や常温による保存において生じた液体成分を用いる場合は、上述の手順を省略し次の手順に移ることができる。
なお、このようなムチン原料(クラゲ類および/またはクラゲ類由来抽出物)10の分子量は凡そ200万程度であるが、効率を勘案するとこれより低い分子量のものを使用するのが好ましいことは言うまでもない。
なお、本実施の形態においては、ムチン原料10としてクラゲ類および/またはクラゲ類由来抽出物を使用したが、同様のムチン型糖タンパク質、例えば、スルメイカ類の成熟した雌の内臓にみられる抱卵腺(内臓)などに代替することもできる。
次に、このように予め処理したムチン原料10と、ミネラル12と、水道水(Tapwater)から予め塩素などを除去した浄化水14とを容器16に投入し、適度に攪拌しながら公知の加熱手段で、例えば、85℃以上で30分間程度加熱して殺菌することによりムチン原料分散液18を調製する。
この場合、ムチン原料10と浄化水14との混合比はムチン原料1に対して99程度にするのが好ましく、またミネラル12の添加量はムチン原料10と浄化水14の総量に対して1重量%〜10重量%の範囲に設定するのが好適である。
一方、ムチン原料10に添加するミネラルとしては、例えば、澱粉および/もしくは穀類と種子と卵殻とを所定の割合で混合した原料を粉砕し、次いで浄化水と麹菌を加えて醗酵熟成することにより原料中に含まれているカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛、マンガンなどのミネラルを解離させたのち濾過して得られた醗酵熟成液からなるイオン化ミネラル液を使用するのが好適である。
なお、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムなどのイオン性固体(塩)も使用することもできるが、これらの炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムなどを単独で使用すると固化や沈殿が生じてしまうことがあるため、これらと前記イオン化ミネラルとを混合した混合物として使用すればイオン化ミネラルの作用により固形化や沈殿を阻止することができるので、前述のイオン化ミネラルと同様に問題なく使用することができる。
次に、容器16内のムチン原料分散液18の温度が40℃程度まで低下したら、このムチン原料分散液18に対して、酒麹菌、蛋白質分解能を有する醤油麹菌、味噌麹菌を単独でまたはこれらの2種以上の麹菌混合物20、砂糖などの糖質22およびミネラル塩24を加えてよく混合したのち、35℃〜45℃に所定期間保持して前記ムチン原料分散液18を醗酵させる。
この場合、麹菌あるいは麹菌混合物20の分量は、ムチン原料分散液18の10重量%〜30重量%の範囲に設定するのが好ましい。麹菌あるいは麹菌混合物20の分量が10重量%未満になると醗酵に長時間を要するだけでなく充分な発酵を行えなくなり、また30重量%を超えると量が多すぎて経済性が低下することになる。
また、糖質22の分量は麹菌あるいは麹菌混合物20よりも若干多めの分量とし、ミネラル塩24の分量は、糖質22の分量の約30重量%程度を目安とする。
なお、ムチン原料分散液18の発酵に際しては、公知の手段による攪拌を適宜繰り返して麹菌あるいは麹菌混合物20の発酵を促進させるのが好ましく、この発酵作用によって分散液18中のムチンはその酸素結合が切られ、最終的には、透明のやや粘稠性のある醗酵液となる。
次に、このようにして得られた醗酵ムチン液26に、例えば、クエン酸、乳酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸から選ばれるカルボキシル基を有する有機酸を単独でまたはこれらの2種以上を混合した有機酸溶液28を加え、ヒータなどにより35℃〜45℃に保持した状態で静電磁場および電位差を有する雰囲気、さらに必要に応じて、例えば、28KHz程度の超音波の照射下においてゆっくりと攪拌しながら流動させて熟成(有機酸発酵)する。
この場合、醗酵ムチン液26に加える有機酸溶液28の分量としては醗酵ムチン液の1倍量〜3倍量に設定するのが好ましく、有機酸溶液28が醗酵ムチン液の1倍量以下だと熟成醗酵に長時間を必要とし、また3倍量を超えるとムチン自体の量が少なくなるため熟成がうまくできず経済性も低下する。
この熟成で、ムチンは麹菌あるいは麹菌混合物20の発酵作用によってその酸素結合を切られて有機酸の作用でさらに分断されていくが、この際、切られた酸素結合の末端には2価ミネラルが適宜結合してこの状態がバランスよく保持されるため、低分子量のムチンを含む発酵熟成ムチン液30として好適に保持されることになる。
なお、この醗酵ムチン液26の熟成に際しては、適宜の攪拌手段を使用して攪拌するとともにポンプ装置などでゆっくり流動させながら行うのが好ましい。
そして、このようにして得られた醗酵熟成ムチン液30を加熱あるいは紫外線照射などの手段で再び殺菌したのち濾過抽出することにより低分子ムチン32を得た。
次に前述のような本発明方法により得られた低分子ムチン32の質量分析を以下の要領、分析条件で行ったところ、表1に示す結果を得た。
使用装置;AXIMA−Performance(株式会社島津製作所製)
レーザーイオン化飛行時間型質量分析装置(MALDI−TOFMS)
引き出し電圧;20kv
飛行モード;Linear
検出イオン;正イオン
マトリックス;Sinapinic acid(SA)
10mg/ml in0.1%TFA,50%MeCNsolution
サンプル前処理;低分子ムチンを遠心して上澄液9μlを分取し、1%TFAを加え、 0.1%TFA溶液を調製した。このサンプル溶液をZipTipC 18により精製を行い(操作はZipTip添付のプロトコルに従っ た)、精製サンプルを直接MALDIプレートにアプライし、風乾後 にマトリックス溶液を重層し、さらに風乾後、質量分析装置にプレー トを搭載し質量分析を行った。
Figure 0005912223
通常、ムチンの分子構造やサイズおよび存在形態は様々であるが、多くは分子の骨格になる部分には1本のポリペプチド鎖(コアタンパク質)があり、分子量600前後の糖鎖とアミノ酸が3000以上結合している細長い多糖体(巨大分子)の構造をとっており、分子量が200万以上であることを勘案した場合、この質量測定ではいくつかのピークが見られたものの凡そ650、1800、2000近辺をピークトップとする分布が得られたことから、その分子量は約650〜2000であり驚異的な低分子化が達成できたことが確認された。
このように分子量が約650〜2000の低分子ムチンを得られるのは、麹菌あるいは麹菌混合物による発酵作用によって原料ムチンの酸素結合が切られて有機酸中に分散し、さらに切られた酸素結合の末端に2価ミネラルが適宜結合してこの状態がバランスよく保持されるからである。
なお、ムチン原料10(高分子ムチン)は、各種の研究論文あるいはクロマトグラフィー分析等により分子量が200万以上であることが判明しているが、低分子ムチン32と同様の要領により上記装置で測定を行ったところ、装置の測定範囲を超えてしまい分子量の測定をすることはできなかった。
このように、本発明方法によって得られた低分子ムチンはその分子量が約650〜2000程度であるため、少量で目的とする所望の効果を充分期待することができ、種々の用途、殊に、化粧品分野への活用を好適に図ることが可能となるものである。
さらには、本発明方法によって得られた低分子ムチンは、本発明方法と同様な方法によって得られた低分子ヒアルロン酸、低分子コラーゲンなどを所定の混合比で混ぜることにより従来よりもはるかに優れた保湿組成物とすることができるので新規なアンチエイジング化粧料として調製することができるものである。
また、上述の手順によって得られた低分子ムチン32に、例えば、卵殻膜たんぱく質と呼ばれる加水分解卵殻膜を配合した化粧品を調製すれば、低分子化したムチンによる肌への浸透性と保湿性および加水分解卵殻膜によるII型コラーゲン量の増加機能の相乗作用を利用して、バリアゾーンないしは真皮など皮膚の内部から肌の柔軟性を増すことができるなど新たなケアを施すことができ、さらには、低分子ムチン、卵殻膜たんぱく質およびミネラルの相乗的作用で繊維芽細胞の増殖作用も推認されており、口腔内、歯茎、皮膚などのケアに対しても新たな効果を加味することが可能となるものである。
10・・ムチン原料(クラゲ類および/またはクラゲ類由来抽出物)
12・・ミネラル、
14・・浄化水、
16・・容器、
18・・ムチン原料分散液、
20・・麹菌またはこれらの混合物
22・・砂糖などの糖質、
24・・ミネラル塩、
26・・醗酵ムチン液、
28・・有機酸溶液、
30・・醗酵熟成ムチン液
32・・低分子ムチン、

Claims (2)

  1. ムチン原料と、ミネラルと、浄化水とを容器に投入し、加熱して殺菌することによりムチン原料分散液を調製し、
    ムチン原料分散液に対して、酒麹菌、醤油麹菌、および、味噌麹菌から選ばれる1種類の麹菌、または、2種類以上の麹菌の混合物を、ムチン原料分散液の10〜30重量%加えるとともに、糖質、および、ミネラル塩を加えて混合し、35℃〜45℃に保持して醗酵させ、
    得られた醗酵ムチン液に、クエン酸、乳酸、酢酸、酒石酸、および、リンゴ酸から選ばれる1種類の有機酸、または、2種類以上の有機酸を溶解させた有機酸溶液を加え、35〜45℃に保持した状態で攪拌し流動させながら熟成させ、
    得られた醗酵熟成ムチン液を、加熱あるいは紫外線照射により再び殺菌したのち、この醗酵熟成ムチン液を濾過して濾過液を回収することを特徴とする低分子ムチンの製造方法。
  2. ムチン原料に添加するミネラルとして、澱粉および/もしくは穀類と種子と卵殻とを所定の割合で混合した原料を粉砕し、次いで浄化水と麹菌を加えて醗酵熟成することにより原料中に含まれているカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛、マンガンなどのミネラルを解離させたのち濾過して得られた醗酵熟成液からなるイオン化ミネラル液を使用することからなる請求項1に記載の低分子ムチンの製造方法。
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