本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
〔第1の実施の形態〕
まず、メサの形成されている側に形成される電極において、断線等が生じる原因について説明する。通常、面発光レーザではメサが形成されており、メサの形成されている側には、メサの上面から側面を介し底面につながる電極が形成されており、この電極は真空蒸着法等により形成される。このように形成される電極において断線等が生じる原因としては、第1に、基板上においてメサの形状が均一でないこと、第2に、電極を成膜する際にメサの側面における膜厚が不均一に形成されること、により生じるものと考えられる。
最初に、第1の基板上においてメサの形状が均一でないことについて説明する。メサは通常、ECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマエッチングまたはRIE(Reactive Ion Etching)等のドライエッチング法により形成されるが、このようなドライエッチング法では、基板の全面に対し均一な状態でエッチングが行なわれるのではなく、一般的に、基板の中央部分より、周辺部分の方がエッチングレートは早くなる傾向にある。よって、基板の周辺部分においては、メサの側面は急な傾斜で形成される(基板面に対し垂直に近い形状でメサの側面が形成される)傾向にある。このため、メサの側面が急な傾斜で形成されている場合、真空蒸着法等における成膜では、十分なステップカバレッジを得ることができない。ところで、真空蒸着法では、メサの側面の傾斜が急傾斜になるに伴い、成膜される膜のステップカバレッジは悪くなる傾向にある。このため、基板の中央部分においては、メサの側面の傾斜が比較的緩やかであるため、ある程度良好なステップカバレッジを得ることができ、配線の断線等は生じにくいが、基板の周辺部分においては、メサの側面の傾斜が急であるため、良好なステップカバレッジを得ることができず、配線の断線等が生じやすくなり、不良が発生する確率が高くなる。
次に、第2の電極を成膜する際にメサの側面における膜厚が不均一になることについて説明する。上述のとおり、メサの形成されている側に形成される電極となる配線は、真空蒸着等により形成されるが、通常、成膜される配線の膜厚を均一にするため、図1に示されるように、成膜対象となる基板10を蒸着源20に対し、自公転させながら成膜を行なう。具体的には、基板10は、自転治具21に設置されており、自転治具21は公転治具22に設置されている。基板10を自公転する際には、公転治具22を公転させるとともに、自転治具21を公転治具22に対し自転させることにより自公転が行なわれる。しかしながら、基板10と蒸着源20との距離は有限であるため、蒸着源20より蒸発した蒸着粒子の基板10に対する入射角度は、基板の中央部分と周辺部分とでは異なる。このことは、基板10を回転させても回転させなくとも同様に生じる。即ち、図1に示すような自公転を行なった場合には、基板10の表面に成膜される膜の膜厚を均一にすることは可能であるが、基板に対する蒸着粒子の入射角度を中心部分と周辺部分とにおいては、同一にすることはできないのである。言い換えるならば、自公転では、基板10面上または基板10と平行な面においては、均一な成膜を行なうことができるが、基板10面に対し傾斜した面においては均一に成膜することはできない。
より詳細に図2から図4に基づき説明する。図2は、自公転により成膜されている状態の基板10の拡大図であり、図3は、基板10の中央部分の更なる拡大図であり、図4は、基板10の周辺部分の更なる拡大図である。基板10の表面の中央部分にはメサ11が形成されており、表面の周辺部分にはメサ12が形成されている。図3に示されるように、基板10の中央部分においては、蒸着粒子は基板10面に対し略垂直より入射するため、基板10の中央部分に形成されたメサ11の側面11a及び11bでは略同じ角度で蒸着粒子が入射し、よって、略同じ膜厚の膜が成膜される。しかしながら、図4に示されるように、基板10の周辺部分においては、蒸着粒子は基板10面に対し斜め方向より入射するため、基板10の周辺部分に形成されたメサ12の側面12aと側面12bでは、異なる角度で蒸着粒子が入射し、これにより成膜される膜厚は異なってしまう。具体的には、図からも明らかなように、蒸着粒子の入射角度がより急である側面12bにおいて成膜される膜の膜厚は薄くなる。このように、側面12bに成膜される膜のように薄く成膜された配線においては断線等が生じやすくなる。尚、メサ11及びメサ12には、基板10面と略平行に上面11e及び上面12eが形成されている。
より詳細に、このことを説明する。図5に示されるように、基板10の周辺部分において、略正方形状のメサ12が形成されている場合について説明する。図5(a)は、メサ12の上面図であり、図5(b)は斜視図である。メサ12には略正方形状の上面12eが形成されており、この上面12eから底面にかけて4つの側面12a、12b、12c及び12dが設けられている。尚、側面12aと側面12bとは対向する側に形成されており、側面12cと側面12dとは対向する側に形成されている。尚、側面12aは基板10の中心側に、側面12bは周辺側となるように形成されている。
ここで、メサ11及び12の側面のテーパ角が同じ角度ψであると仮定し、基板10の周辺部分に入射する蒸着粒子の基板10の法線方向に対する角度をφとすると、蒸着粒子の入射角度から、成膜される膜厚を算出することができる。
即ち、成膜される面に対し垂直方向から入射した蒸着粒子により成膜された領域の膜厚をXとした場合、成膜される面に対し角度θで入射した蒸着粒子により成膜された領域の膜厚をYとすると、(1)に示す式が成立する。
Y=Xcosθ・・・・・・・・(1)
ここで、(1)に示す式に基づき、例えば、メサ11及び12の側面のテーパ角ψが80°であると仮定し、メサ12において、基板10面の法線方向に対する蒸着粒子の入射角度φが3°であるとすると、メサ11の側面11a及び上面11eの膜厚、メサ12の側面12a、12b、12c、12d及び上面12eの膜厚は、表1に示される値となる。尚、メサ11の他の側面(例えば、側面11b)は、メサ11aと同じ値となる。
表1に示されるように、メサ12において、側面12aでは、メサ11の側面11aよりも膜厚が厚く成膜され、側面12c及び12dでは、メサ11の側面11aと同程度の膜厚で成膜され、側面12bは膜厚が薄く形成されていることがわかる。このように、側面12bにおいては成膜される配線は薄くなるため、断線等が生じやすくなるものと考えられる。即ち、面発光レーザにおいてメサに形成される配線の断線等による不良が発生するのは、側面12bに配線を形成することにより起因して生じるものと推察される。
ところで、基板10の中心部分と周辺部分とで、形成される電極のパターンを変えて面発光レーザの製造を行なうと、製造される面発光レーザの特性が不安定となる場合があり、また、配線等の検査を行う際に非常に煩雑となり製造上の負担も大きくなる。また、メサの側面全面を覆うように配線を形成すると、上述したように、形成された配線の応力により面発光レーザ内部に結晶欠陥が生じ、信頼性が低下してしまう。
以上より、メサの側面を全面覆うことなく、メサの側面の2面以上の一部において配線が形成されていれば、基板10の周辺部分においても、配線のどちらか一方は、少なくとも基板10の中央部分の側面における配線と、同等またはそれ以上の膜厚で形成することができる。これにより、基板10の周辺部分における配線の断線等による不良の発生を防ぐことができる。即ち、基板10の中心部分において断線等が生じることのない膜厚で形成した場合、メサの側面の2面以上において配線が形成されていれば、基板10の周辺部分においても断線等が生じることがないのである。
尚、上記においては、真空蒸着による成膜について説明したが、スパッタリング等においても同様であるものと推察される。
(面発光レーザの製造方法)
次に、本実施の形態における面発光レーザの製造方法について説明する。尚、上述したメサ11及び12は、後述するメサ110に相当するものである。
最初に、図6に示すように、n−GaAsからなる基板101上に、下部半導体DBR(Distributed Bragg Reflector)103、下部スペーサ層104、活性層105、上部スペーサ層106、上部半導体DBR107、コンタクト層109をエピタキシャル成長により積層形成する。尚、電流狭窄層108は、上部半導体DBR107の一部、または、上部スペーサ層106と上部半導体DBR107との間に形成されている。
下部反射鏡DBR103は、n−Al0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層と、n−Al0.9Ga0.1Asからなる低屈折率層とのペアを交互に40.5ペア積層形成することにより形成する。尚、高屈折率層及び低屈折率層の光学的な膜厚がλ/4となるように形成されている。ここで、λは本実施の形態における面発光レーザの発振波長である。また、高屈折率層と低屈折率層との間は電気的な抵抗を低減するため徐々に組成が変化する組成傾斜層が設けられている。
下部スペーサ層104は、ノンドープのAl0.6Ga0.4Asにより形成されている。
活性層105は、Al0.12Ga0.88As量子井戸層とAl0.3Ga0.7As障壁層とにより形成された量子井戸構造または多重量子井戸構造により形成されている。
上部スペーサ層106は、ノンドープのAl0.6Ga0.4Asにより形成されている。
尚、下部スペーサ層104、活性層105、上部スペーサ層106により共振器領域が形成されており、この共振器領域は、光学的な膜厚が1波長(λ)となるように形成されている。
上部半導体DBR107は、p−Al0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層107aと、p−Al0.9Ga0.1Asからなる低屈折率層107bとのペアを交互に24ペア積層形成することにより形成する。尚、高屈折率層107a及び低屈折率層107bの光学的な膜厚がλ/4となるように形成されている。また、高屈折率層107aと低屈折率層107bとの間は電気的な抵抗を低減するため徐々に組成が変化する組成傾斜層が設けられている。
電流狭窄層108は、p−AlAsにより形成されている。本実施の形態では、上部半導体DBR107内に形成されており、低屈折率層107bが形成される位置に相当する位置であって、上述した共振器領域よりλ/4離れた位置に設けられている。
コンタクト層109は、p−GaAsにより形成されている。
これらの各層は、上述したように、エピタキシャル成長により形成されており、具体的には、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法またはMBE(Molecular Beam Epitaxy)法により形成されている。
次に、図7に示すように、積層形成された半導体層にメサ構造(便宜上、単にメサと称する場合がある)110を形成する。具体的には、コンタクト層109上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより不図示のレジストパターンを形成する。レジストパターンはメサ110が形成される領域に形成される。この後、ECRプラズマエッチング等のドライエッチングにより、不図示のレジストパターンの形成されていない領域の下部スペーサ層104、活性層105、上部スペーサ層106、上部半導体DBR107、電流狭窄層108及びコンタクト層109を除去し、下部半導体DBR103の表面を露出させる。この後、不図示のレジストパターンを除去することによりメサ110を形成する。
次に、図8に示すように、電流狭窄層108の一部を選択酸化する。具体的には、水蒸気中で熱処理を行なうことにより、メサ110の形成により露出した電流狭窄層108の側面より酸化が進行し、メサ110の周囲に選択酸化領域108aが形成される。この際、選択酸化されていない中央部分の領域が、電流狭窄領域108bとなる。尚、選択酸化領域108aでは、絶縁体となるAlxOyが形成されるため、電流狭窄層108において流れる電流を電流狭窄領域108bに集中して流すことができる。
次に、図9に示すように、メサ110の形成されている面に保護膜111を形成する。この保護膜は、SiO2、SiN、SiON等の材料からなるものであり、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)により形成する。
次に、図10に示すように、メサ110上面において保護膜111の一部を除去することによりコンタクトホール112を形成する。具体的には、フォトレジストを塗布し露光装置による露光、現像を行なうことにより、コンタクトホール112が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、このレジストパターンをマスクとして、レジストパターンの形成されていない領域の保護膜111をBHF(バッファドフッ酸)等によりウエットエッチングを行なうことにより、コンタクトホール112を形成する。
次に、図11に示すように、メサ110の形成されている側にp側電極113を形成し、n−GaAs基板101の裏面にn側電極114を形成する。p側電極113及びn側電極114は、ともに真空蒸着により形成される。p側電極113は所定の領域に形成するため、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光及び現像を行なうことにより、p側電極113の形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、真空蒸着によりp側電極113を形成するための金属膜を成膜し、レジストを溶解する有機溶剤等にn−GaAs基板101を浸漬させ、レジストパターンの形成されている領域上の金属膜をレジストパターンとともにリフトオフすること(リフトオフ法)により除去する。これにより、後述するように、所定の領域にp側電極113を形成することができる。尚、p側電極113はリフトオフにより形成されるため、一定以上の膜厚のp側電極113を形成することは困難であり、また、リフトオフを行なう場合、レジストパターンが形成されているものの上に成膜を行なう必要があるため、基板を高温にすることができず、p側電極113となる金属膜の成膜方法は限定される。このような成膜方法としては、真空蒸着またはスパッタリングが挙げられる。
(面発光レーザ)
次に、本実施の形態における面発光レーザに形成されるp側電極について説明する。p側電極は、上述したように、リフトオフにより形成することができるため、所望の形状のp側電極を得るためには、所望の形状に対応したレジストパターンを形成すればよい。
本実施の形態における面発光レーザは、上面の形状が略正方形状に形成されたメサ110の4つの側面のうち、2以上の側面にp側電極を形成したものである。
図12に示されるように、本実施の形態における面発光レーザは、メサ110の上面110eの周辺部に形成された配線130と、この配線130に接続されるメサ110の隣接する2つの側面110b及び110cに形成された配線131a及び131bと、この配線131a及び131bに接続されるメサ110の外側の底部に形成された配線132aにより構成されるp側電極113aを有するものである。尚、図12(a)は上面図であり、図12(b)は斜視図である。このように2つの側面110b及び110cにp側電極113aとなる配線を形成することにより、基板の周辺部分においても、p側電極113aの膜厚を一定以上確保することができ、p側電極113aの断線等による不良の発生を防ぐことができる。この際、側面110b及び110cの全面に配線を形成するのではなく、一部に形成されている。即ち、配線を全面に形成してしまうと面発光レーザが配線による応力の影響を受け格子欠陥等が発生するため、配線(電極)の形成されない領域120aが設けられている。尚、p側電極113aが形成される面は、隣接する2つの側面であれば、いずれの側面でもよく、側面110bと側面110cの他、側面110bと側面110d、側面110aと側面110c、側面110aと側面110dのうち、いずれの組み合わせであってもよい。
また、図13に示されるように、本実施の形態における面発光レーザは、メサ110の上面110eの周辺部に形成された配線130と、この配線130に接続されるメサ110の対向する側の2つの側面110c及び110dに形成された配線131c及び131dと、この配線131c及び131dに接続されるメサ110の外側の底部に形成された配線132bにより構成されるp側電極113bを有するものであってもよい。この際、側面において配線が形成されない領域120bが設けられている。尚、図13(a)は上面図であり、図13(b)は斜視図である。この場合も、基板の周辺部分において、p側電極113bの膜厚を一定以上確保することができ、p側電極113bの断線等による不良の発生を防ぐことができる。また、p側電極113bが形成される面は、対向する2つの側面であればよく、側面110aと側面110bに形成してもよい。
また、図14に示されるように、本実施の形態における面発光レーザは、メサ110の上面110eの周辺部に形成された配線130と、この配線130に接続されるメサ110の3つの側面110b、110c及び110dに形成された配線131e、131f及び131gと、この配線131e、131f及び131gに接続されるメサ110の外側の底部に形成された配線132cにより構成されるp側電極113cを有するものであってもよい。この際、側面において配線が形成されない領域120cが設けられている。尚、図14(a)は上面図であり、図14(b)は斜視図である。この場合も、基板の周辺部分において、p側電極113cの膜厚を一定以上確保することができ、p側電極113cの断線等による不良の発生を防ぐことができ、更には、信頼性をより一層向上させることができる。また、p側電極113cが形成される面は、3つの側面であれば、いずれの側面でもよく、側面110b、110c及び110dの他、側面110a、110c及び110d、側面110a、110b及び110d、側面110a、110b及び110cのうち、いずれの組み合わせであってもよい。
また、図15に示されるように、本実施の形態における面発光レーザは、メサ110の上面110eの周辺部に形成された配線130と、この配線130に接続されるメサ110の4つの側面110a、110b、110c及び110dに形成された配線131h、131i、131j及び131kと、この配線131h、131i、131j及び131kに接続されるメサ110の外側の底部に形成された配線132dにより構成されるp側電極113dを有するものであってもよい。この際、側面において配線が形成されない領域120dが設けられている。尚、図15(a)は上面図であり、図15(b)は斜視図である。この場合も、基板の周辺部分において、p側電極113dの膜厚を一定以上確保することができ、p側電極113dの断線等による不良の発生を防ぐことができ、更には、信頼性をより一層向上させることができる。
また、図16に示されるように、本実施の形態における面発光レーザは、メサ110の上面110eの周辺部に形成された配線130と、この配線130に接続されるメサ110の各々の側面同士により形成される4つの稜線のうち対向する位置に存在する2つの稜線上に形成された配線131m及び131nと、この配線131m及び131nに接続されるメサ110の外側の底部に形成された配線132eにより構成されるp側電極113eを有するものであってもよい。この際、側面において配線が形成されない領域120eが設けられている。尚、図16(a)は上面図であり、図16(b)は斜視図である。この場合も、基板の周辺部分において、p側電極113eの膜厚を一定以上確保することができ、p側電極113eの断線等による不良の発生を防ぐことができる。また、p側電極113eは、各々の側面同士により形成される4つの稜線のうち、2つの稜線上に形成されていればよく、例えば、対向する位置に存在する2つの稜線上以外にも、図17に示すように、一つの側面の両側における稜線上に、配線130に接続される配線131p及び131qを形成し、この配線131p及び131qに接続されるメサ110の外側の底部に形成された配線132fにより構成されるp側電極113fを形成してもよい。この場合においても、側面において配線が形成されない領域120fが設けられている。尚、図17(a)は上面図であり、図17(b)は斜視図である。
また、図18に示されるように、本実施の形態における面発光レーザは、メサ110の上面110eの周辺部に形成された配線130と、この配線130に接続されるメサ110の各々の側面同士により形成される4つの稜線のうち3つの稜線上に形成された配線131r、131s及び131tと、この配線131r、131s及び131tに接続されるメサ110の外側の底部に形成された配線132gにより構成されるp側電極113gを有するものであってもよい。この際、側面において配線が形成されない領域120gが設けられている。これにより、信頼性をより一層向上させることができる。尚、図18(a)は上面図であり、図18(b)は斜視図である。
また、図19に示されるように、本実施の形態における面発光レーザは、メサ110の上面110eの周辺部に形成された配線130と、この配線130に接続されるメサ110の各々の側面同士により形成される4つの稜線上に形成された配線131u、131v、131w及び131xと、この配線131u、131v、131w及び131xに接続されるメサ110の外側の底部に形成された配線132hにより構成されるp側電極113hを有するものであってもよい。この際、側面において配線が形成されない領域120hが設けられている。これにより、信頼性をより一層向上させることができる。尚、図19(a)は上面図であり、図19(b)は斜視図である。
(面取り部が形成された構造の面発光レーザ)
次に、本実施の形態における面発光レーザにおいて、メサの側面間(側面と側面の間)の稜線となる部分を面取りした構造の面発光レーザについて説明する。メサの側面間の稜線となる部分を面取りすることにより、配線を面取りのされた平坦な部分に形成することができるため、配線の断線等をより一層防ぐことができる。尚、本実施の形態においては、C面取りの場合について説明する。
図20には、メサの稜線となる部分を面取りした構造のメサ160を示す。メサ160は、前述したメサ110と同様の方法により形成することができる。メサ160は、4つの側面160a、160b、160c、160dと上面160eにより形成されており、隣接する側面間には、面取り部161a、161b、161c、161dが形成されている。具体的には、側面160aと160cとの間に、面取り部161aが形成され、側面160cと160bとの間に、面取り部161bが形成され、側面160bと160dとの間に、面取り部161cが形成され、側面160dと160aとの間に、面取り部161dが形成されている。これにより、上面160eの形状は、略8角形の形状となる。この8角形の形状は、一辺の長さをaとする正方形の角となる部分を長さbだけ除去したものである。尚、長さbは、面取り部161a、161b、161c、161dの形状等により変わってくる。また、長さaは、正方形を構成する辺のうち、対向する辺同士の間の距離でもある。
ところで、図20(a)に示す場合において、長さbがa/(1+21/2)である場合、上面160eにおける形状は正八角形となる。この場合、側面160d等における傾斜角度αと、面取り部161c等における傾斜角度βは等しくなる。尚、図20(b)は、図20(a)において、側面160dが形成されている部分を一点鎖線20A−20Bにおいて切断した断面図であり、図20(c)は、図20(a)において、面取り部161cが形成されている部分を一点鎖線20C−20Dにおいて切断した断面図である。このように、図20(b)に示されるように、側面160dにおいてメサ160の傾斜角度をαとし、図20(c)に示されるように、面取り部161cにおいてメサ構造の傾斜角度をβとすると、長さbがa/(1+21/2)である場合には、上面部160eの形状は正八角形となり、α=βとなる。
ところで、メサ160における傾斜角度を小さくすると、形成される配線のカバレッジがよくなり、配線において断線等の発生を低くすることができる。具体的には、図21に示されるように、面取り部161a、161b、161c、161dの幅を狭くすることにより、即ち、上面160eにおいて、側面160a、160b、160c、160dと接する辺の長さよりも、面取り部161a、161b、161c、161dと接する辺の長さbが狭くなるように形成することにより、図21(b)に示される側面160d等における傾斜角度αよりも、図21(c)に示される面取り部161c等における傾斜角度βを小さくすることができる。即ち、長さbをa/(1+21/2)よりも短く形成することにより、α>βとなる。よって、面取り部161a、161b、161c、161dにおいては、メサ160の傾斜角度βが側面160aにおける傾斜角度αよりも小さくなるため、面取り部161a等の上に配線を形成することにより、側面160aの上に配線を形成する場合と比べて、断線等の発生を低く抑えることができる。尚、図21(b)は、図21(a)において、側面160dが形成されている部分を一点鎖線21A−21Bにおいて切断した断面図であり、図21(c)は、図21(a)において、面取り部161cが形成されている部分を一点鎖線21C−21Dにおいて切断した断面図である。
一方、b>a/(1+21/2)である場合には、α<βとなり、面取り部等におけるメサの傾斜角度βが大きくなる。よって、このような形状のメサを形成し、面取り部分に配線等を形成すると、断線等の発生する確率が増してしまうため好ましくない。
以上、メサ160の上面160eにおける形状が、正方形となる形状の角を取り除き八角形とした場合について説明したが、メサ160の上面160eにおける形状が、長方形となる形状の角を取り除くことにより八角形とした場合についても同様である。
具体的には、図22(a)に示すように、上面160eの形状が、一方の辺(短辺)の幅aと他方の辺(長辺)の長さc(a<c)となる長方形の角を取り除いた形状の八角形において、長さbがa/(1+21/2)である場合、側面160a等における傾斜角度αと、面取り部161aにおける傾斜角度βとは略等しくなる。図22(b)は、図22(a)において、側面160dが形成されている部分を一点鎖線22A−22Bにおいて切断した断面図であり、図22(c)は、図22(a)において、側面160aが形成されている部分を一点鎖線22C−22Dにおいて切断した断面図であり、図22(d)は、図22(a)において、面取り部161cが形成されている部分を一点鎖線22E−22Fにおいて切断した断面図である。このように、図22(b)及び(c)に示されるように、側面160d及び側面160aにおいてメサ160の傾斜角度をαとし、図22(d)に示されるように、面取り部161cにおいてメサ構造の傾斜角度をβとすると、長さbがa/(1+21/2)である場合には、α=βとなる。
この場合においても、同様に面取り部の幅を狭くすることにより、面取り部における傾斜角度を低くすることができる。具体的には、図23に示されるように、面取り部161a、161b、161c、161dの幅を狭くすることにより、即ち、上面160eにおいて、側面160a、160b、160c、160dと接する辺の長さよりも、面取り部161a、161b、161c、161dと接する辺の長さbが短くなるように形成することにより、図23(b)に示される側面160dにおける傾斜角度α及び図23(c)に示される側面160aにおける傾斜角度αよりも、図23(d)に示される面取り部161cにおける傾斜角度βを小さくすることができる。即ち、長さbをa/(1+21/2)よりも短く形成することにより、α>βとなる。よって、面取り部161a、161b、161c、161dにおいて、メサ160の傾斜角度βが側面160aにおける傾斜角度αよりも小さくなるため、面取り部161aに配線を形成することにより、断線等の発生を低く抑えることができる。尚、図23(b)は、図23(a)において、側面160dが形成されている部分を一点鎖線23A−23Bにおいて切断した断面図であり、図23(c)は、図23(a)において、側面160aが形成されている部分を一点鎖線23C−23Dにおいて切断した断面図であり、図23(d)は、図23(a)において、面取り部161cが形成されている部分を一点鎖線23E−23Fにおいて切断した断面図である。
次に、面取り部が形成された面発光レーザに形成される配線について説明する。
図24に示されるように、本実施の形態における面発光レーザは、メサ160の上面160eの周辺部に形成された配線170と、この配線170に接続されるメサ160の各々の側面の間に形成される4つの面取り部161a、161b、161c、161dのうち、対向する位置に存在する2つの面取り部161b及び161d上に形成された配線171a及び171bと、この配線171a及び171bに接続されるメサ160の外側の底部に形成された配線172aにより構成されるp側電極163aを有するものであってもよい。この際、側面等において配線が形成されない領域180aが形成される。尚、図24(a)は上面図であり、図24(b)は斜視図である。この場合、2つの面取り部161b及び161dにおける傾斜角度は小さいくなるため、配線172aと配線171aとの間及び配線172aと171bとの間、配線171aと配線170との間及び配線171bと配線170との間における断線等による不良の発生を防ぐことができ、p側電極163aの断線等による不良の発生を防ぐことができる。また、p側電極163aにおける配線171a及び171bは、各々の側面の間に形成される4つの面取り部161a、161b、161c、161dのうち、2つの面取り部の上に形成されていればよく、例えば、対向する位置に存在する2つの面取り部上以外にも、図25に示すように、一つの側面160bの両側に形成される面取り部161b及び161c上に、配線170に接続される配線171c及び171dを形成し、この配線171c及び171dに接続されるメサ160の外側の底部に形成された配線172bにより構成されるp側電極163bを形成してもよい。この場合においても、側面において配線が形成されない領域180bが形成される。尚、図25(a)は上面図であり、図25(b)は斜視図である。
また、図26に示されるように、本実施の形態における面発光レーザは、メサ160の上面160eの周辺部に形成された配線170と、この配線170に接続されるメサ160の各々の側面の間に形成される4つの面取り部のうち3つの面取り部161b、161c及び161d上に形成された配線171e、171f及び171gと、この配線171e、171f及び171gに接続されるメサ160の外側の底部に形成された配線172cにより構成されるp側電極163cを有するものであってもよい。この際、側面等において配線が形成されない領域180cが形成される。これにより、信頼性をより一層向上させることができる。尚、図26(a)は上面図であり、図26(b)は斜視図である。また、p側電極163cにおける配線171e、171f及び171gは、各々の側面の間に形成される4つの面取り部161a、161b、161c、161dのうち、3つの面取り部の上に形成されていればよい。
また、図27に示されるように、本実施の形態における面発光レーザは、メサ160の上面160eの周辺部に形成された配線170と、この配線170に接続されるメサ160の各々の側面の間に形成される4つの面取り部161a、161b、161c及び161d上に形成された配線171h、171i、171j及び171kと、この配線171h、171i、171j及び171kに接続されるメサ160の外側の底部に形成された配線172dにより構成されるp側電極163dを有するものであってもよい。この際、側面において配線が形成されない領域180dが形成される。これにより、信頼性をより一層向上させることができる。尚、図27(a)は上面図であり、図27(b)は斜視図である。
(p側電極となる配線の実験)
次に、p側電極となる配線に関する実験を行なった結果について説明する。図28は、従来からの構造の面発光レーザであり、p側電極313は、メサ310の上面310eの周辺部に形成された配線330と、この配線330に接続されるメサ310の一つの側面310aに形成された配線331と、この配線331に接続されるメサ310の外側の底部に形成された配線332により構成されている。尚、図28(a)は上面図であり、図28(b)は斜視図である。このように形成されたp側電極313におけるメサ310の側面の配線の抵抗を調べるため、図29に示すように、メサ310に金属配線391が形成された比較例1となる試料を作製した。尚、図29(a)は上面図であり、図29(b)は斜視図である。
同様に、図12に代表されるような本実施の形態における面発光レーザに形成されるp側電極113aにおけるメサ110の側面の配線の抵抗を調べるため、図30に示すようなメサ110に金属配線191が形成された実施例1となる試料を作製した。尚、図30(a)は上面図であり、図30(b)は斜視図である。更に、図16に代表されるような本実施の形態における面発光レーザに形成されるp側電極113eにおけるメサ110の側面の配線の抵抗を調べるため、図31に示すように、メサ110に金属配線192が形成された実施例2となる試料を作製した。尚、図31(a)は上面図であり、図31(b)は斜視図である。更に、図24に代表されるような本実施の形態における面発光レーザに形成されるp側電極163aにおけるメサ160の側面の配線の抵抗を調べるため、図32に示すように、メサ160に金属配線193が形成された実施例3となる試料を作製した。尚、図32(a)は上面図であり、図32(b)は斜視図である。
比較例1の試料、実施例1の試料、実施例2の試料及び実施例3の試料は、3インチ基板上に形成したものであり、形成される金属配線391、191、192及び193の幅は10μmである。このように形成した各々の試料において、図33に示されるように3インチ基板上の13ヶ所において電気抵抗を測定した。尚、3インチ基板の中心から、13ヶ所までの距離を表2に示す。
上述した電気抵抗を測定した結果を表3及び図34〜図37に示す。尚、図34は、図30に示す実施例1の試料のものであり、図35は、図31に示す実施例2の試料のものであり、図36は、図32に示す実施例3の試料のものであり、図37は、図29に示す比較例1の試料のものである。尚、抵抗値は、3インチ基板の中心の抵抗値で規格化されている(各々の位置で測定された抵抗値を4の位置で測定された抵抗値で割った値となっている)。
表3及び図34〜図37より、実施例1、2及び3は、比較例1よりも抵抗値のバラツキが小さい。また、比較例1においては、3インチ基板の周辺部分において電気抵抗は高くなっており、この部分ではメサ310の側面に形成されている金属配線391は薄くなっているものと考えられるため、断線等が発生しやすいものと考えられる。しかしながら、実施例1、2及び3においては、3インチ基板の周辺部分においても抵抗はあまり高くはなく、金属配線191、192及び193において、メサ110の2つの側面に形成された配線のうち、一方は薄く形成されている場合であっても、他方は比較的厚く形成されるため、一方の配線において断線等が生じた場合であっても、他方の配線では断線等が生じ難いものと考えられ、面発光レーザの信頼性を向上させることができる。
以上より、本実施の形態における面発光レーザでは、メサ110の側面に形成されるp側電極における断線等を防ぐことができ、面発光レーザの信頼性を向上させることができる。
(面発光レーザアレイ)
次に、本実施の形態における面発光レーザアレイについて説明する。本実施の形態における面発光レーザアレイは、上述した面発光レーザが2次元的に複数形成されているものである。
図38に基づき、本実施の形態における面発光レーザアレイ200について説明する。本実施の形態における面発光レーザアレイ200は、複数(ここでは21個)の発光部100となる本実施の形態における面発光レーザが同一基板上に配置されている。尚、X軸方向は主走査対応方向であり、Y軸方向は副走査対応方向である。複数の発光部100は、副走査方向であるY軸方向にピッチd1となるように配置されており、すべての発光部100をY軸方向に伸びる仮想線上に正射影したときに等間隔d2となるように配置されている。このようにして、21個の発光部100は2次元的に配列されている。尚、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部100の中心間距離を意味する。また、図38では発光部100の数が21個であるものを示しているが、発光部100の個数は、複数であればよく、例えば、発光部100が40個のものであってもよい。
また、面発光レーザアレイ200では、各発光部を副走査対応方向に延びる仮想線上に正射影したときの発光部間隔が等間隔d2であるので、点灯のタイミングを調整することにより、後述する感光体ドラム上において副走査方向に等間隔で発光部が並んでいる場合と同様な構成と捉えることができる。
そして、例えば、上記間隔d2を2.65μm、後述する光走査装置の光学系の倍率を2倍とすれば、4800dpi(ドット/インチ)の高密度書込みができる。もちろん、主走査対応方向の発光部数を増加したり、副走査対応方向のピッチd1を狭くして間隔d2を更に小さくした構成のアレイ配置としたり、光学系の倍率を下げる等を行えばより高密度化することが可能であり、より高品質の印刷が可能となる。なお、主走査方向の書き込み間隔は、発光部の点灯のタイミングで容易に制御できる。
ところで、本実施の形態における面発光レーザアレイ200において、隣接する2つの発光部100の間の溝は、各発光部の電気的及び空間的分離のために、5μm以上であることが好ましい。あまり狭いと製造時のエッチングの制御が難しくなるからである。また、メサ110の大きさ(1辺の長さ)は10μm以上であることが好ましい。あまり小さいと動作時に熱がこもり、特性が低下するおそれがあるからである。
また、上述した2次元的に面発光レーザが配列された面発光レーザアレイ200に代えて、発光部100となる本実施の形態における面発光レーザを1次元配列した面発光レーザアレイを用いてもよい。
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態における面発光レーザアレイを用いた画像形成装置としてのレーザプリンタ1000である。尚、本実施の形態における画像形成装置では、第1の実施の形態における面発光レーザを用いてもよい。
図39に基づき、本実施の形態におけるレーザプリンタ1000について説明する。本実施の形態におけるレーザプリンタ1000は、光走査装置1010、感光体ドラム1030、帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034、クリーニングユニット1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、レジストローラ対1039、定着ローラ1041、排紙ローラ1042、排紙トレイ1043、通信制御装置1050、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置1060等を備えている。なお、これらは、プリンタ筐体1044の中の所定位置に収容されている。
通信制御装置1050は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
感光体ドラム1030は、円柱状の部材であり、その表面には感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム1030の表面が被走査面である。そして、感光体ドラム1030は、矢印Xで示す方向に回転するようになっている。
帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034及びクリーニングユニット1035は、それぞれ感光体ドラム1030の表面近傍に配置されている。そして、感光体ドラム1030の回転方向に沿って、帯電チャージャ1031→現像ローラ1032→転写チャージャ1033→除電ユニット1034→クリーニングユニット1035の順に配置されている。
帯電チャージャ1031は、感光体ドラム1030の表面を均一に帯電させる。
光走査装置1010は、帯電チャージャ1031で帯電された感光体ドラム1030の表面を、上位装置からの画像情報に基づいて変調された光束により走査し、感光体ドラム1030の表面に画像情報に対応した潜像を形成する。ここで形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って現像ローラ1032の方向に移動する。なお、この光走査装置1010の構成については後述する。
トナーカートリッジ1036にはトナーが格納されており、このトナーは現像ローラ1032に供給される。
現像ローラ1032は、感光体ドラム1030の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ1036から供給されたトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。ここでトナーが付着した潜像(以下では、便宜上「トナー像」ともいう)は、感光体ドラム1030の回転に伴って転写チャージャ1033の方向に移動する。
給紙トレイ1038には記録紙1040が格納されている。この給紙トレイ1038の近傍には給紙コロ1037が配置されており、この給紙コロ1037は、記録紙1040を給紙トレイ1038から1枚づつ取り出し、レジストローラ対1039に搬送する。このレジストローラ対1039は、給紙コロ1037によって取り出された記録紙1040を一旦保持するとともに、この記録紙1040を感光体ドラム1030の回転に合わせて感光体ドラム1030と転写チャージャ1033との間隙に向けて送り出す。
転写チャージャ1033には、感光体ドラム1030の表面のトナーを電気的に記録紙1040に引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム1030の表面のトナー像が記録紙1040に転写される。ここで転写された記録紙1040は、定着ローラ1041に送られる。
定着ローラ1041では、熱と圧力とが記録紙1040に加えられ、これによってトナーが記録紙1040上に定着される。ここで定着された記録紙1040は、排紙ローラ1042を介して排紙トレイ1043に送られ、排紙トレイ1043上に順次スタックされる。
除電ユニット1034は、感光体ドラム1030の表面を除電する。
クリーニングユニット1035は、感光体ドラム1030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラム1030の表面は、再度帯電チャージャ1031に対向する位置に戻る。
次に、図40に基づき光走査装置1010について説明する。光走査装置1010は、光源ユニット1100、不図示のカップリングレンズ及び開口板、シリンドリカルレンズ1113、ポリゴンミラー1114、fθレンズ1115、トロイダルレンズ1116、2つのミラー(1117、1118)、及び上記各部を統括的に制御する不図示の制御装置を備えている。尚、光源ユニット1100は、第1の実施の形態における面発光レーザアレイを含む光源ユニットが用いられている。
シリンドリカルレンズ1113は、光源ユニット1100から出力された光を、ミラー1117を介してポリゴンミラー1114の偏向反射面近傍に集光する。
ポリゴンミラー1114は、高さの低い正六角柱状部材からなり、側面には6面の偏向反射面が形成されている。そして、不図示の回転機構により、矢印Yに示す方向に一定の角速度で回転されている。
従って、光源ユニット1100から出射され、シリンドリカルレンズ1113によってポリゴンミラー1114の偏向反射面近傍に集光された光は、ポリゴンミラー1114の回転により一定の角速度で偏向される。
fθレンズ1115は、ポリゴンミラー1114からの光の入射角に比例した像高をもち、ポリゴンミラー1114により一定の角速度で偏向される光の像面を、主走査方向に関して等速移動させる。 トロイダルレンズ1116は、fθレンズ1115からの光をミラー1118を介して、感光体ドラム1030の表面に結像する。
トロイダルレンズ1116は、fθレンズ1115を介した光束の光路上に配置されている。そして、このトロイダルレンズ1116を介した光束が、感光体ドラム1030の表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー1114の回転に伴って感光体ドラム1030の長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム1030上を走査する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」である。また、感光体ドラム1030の回転方向が「副走査方向」である。
ポリゴンミラー1114と感光体ドラム1030との間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施の形態では、走査光学系は、fθレンズ1115とトロイダルレンズ1116とから構成されている。なお、fθレンズ1115とトロイダルレンズ1116の間の光路上、及びトロイダルレンズ1116と感光体ドラム1030の間の光路上の少なくとも一方に、少なくとも1つの折り返しミラーが配置されてもよい。
本実施の形態におけるレーザプリンタ1000では、第1の実施の形態における面発光レーザアレイを用いているため、レーザプリンタ1000では書きこみドット密度が上昇しても印刷速度を落とすことなく印刷することができる。また、同じ書きこみドット密度の場合には印刷速度を更に速くすることができる。
また、この場合には、各発光部からの光束の偏光方向が安定して揃っているため、レーザプリンタ1000では、高品質の画像を安定して形成することができる。
尚、本実施の形態における説明では、画像形成装置としてレーザプリンタ1000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であってもよい。
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態は、複数の感光体ドラムを備えるカラープリンタ2000である。
図41に基づき、本実施の形態におけるカラープリンタ2000について説明する。本実施の形態におけるカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、ブラック用の「感光体ドラムK1、帯電装置K2、現像装置K4、クリーニングユニットK5、及び転写装置K6」と、シアン用の「感光体ドラムC1、帯電装置C2、現像装置C4、クリーニングユニットC5、及び転写装置C6」と、マゼンタ用の「感光体ドラムM1、帯電装置M2、現像装置M4、クリーニングユニットM5、及び転写装置M6」と、イエロー用の「感光体ドラムY1、帯電装置Y2、現像装置Y4、クリーニングユニットY5、及び転写装置Y6」と、光走査装置2010と、転写ベルト2080と、定着ユニット2030などを備えている。
各感光体ドラムは、図41において示される矢印の方向に回転し、各感光体ドラムの周囲には、回転順にそれぞれ帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニングユニットが配置されている。各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。帯電装置によって帯電された各感光体ドラム表面に光走査装置2010により光が照射され、各感光体ドラムに潜像が形成されるようになっている。そして、対応する現像装置により各感光体ドラム表面にトナー像が形成される。さらに、対応する転写装置により、転写ベルト2080上の記録紙に各色のトナー像が転写され、最終的に定着ユニット2030により記録紙に画像が定着される。
光走査装置2010は、第1の実施の形態における面発光レーザアレイを含む光源ユニットを、各々の色毎に有しており、第2の実施の形態において説明した光走査装置1010と同様の効果を得ることができる。また、カラープリンタ2000は、この光走査装置2010を備えているため、第2の実施の形態におけるレーザプリンタ1000と同様の効果を得ることができる。
ところで、カラープリンタ2000では、各部品の製造誤差や位置誤差等によって色ずれが発生する場合がある。このような場合であっても、光走査装置2010の各光源が第1の実施の形態における面発光レーザアレイを含む光源ユニットにより形成されているため、点灯させる発光部を選択することで色ずれを低減することができる。
よって、本実施の形態におけるカラープリンタ2000では、第1の実施の形態における面発光レーザアレイを用いているため、高品質の画像を形成することができる。
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。