JP5909395B2 - 真空ステーション - Google Patents
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Description
しかしながら、洪水等によってマンホールが水没した場合、マンホールは経年劣化によるコンクリート部止水性の低下、鉄蓋の止水性の低下などが起きていることがあり、マンホール内に水が浸入して真空ポンプが水没する恐れがある。真空ポンプおよび真空ポンプを駆動するモータが水没すると、運転が不可能になるとともに真空ポンプやモータ内に水が浸入して再稼働することができなくなる。
この場合、マンホール内に排水ポンプを設置して、マンホール内に浸入した水を排水することもできるが、マンホール内に大量の水が浸入する場合には、浸入する水量の方が排水ポンプの排水量よりも多くなり、真空ポンプの水没を回避することができない。
本発明によれば、洪水等によりマンホールが埋設されている地表面が冠水し、マンホール内に水が浸入して充満した場合でも、水没防止ドームの全面は水密および気密に形成されていて水没防止ドーム内に空気を閉じ込めることができるため、水没防止ドームの下端から水没防止ドーム内に浸入する水の水位は所定水位に限られており、ポンプの設置レベルまで達することはない。したがって、真空ポンプの水没を防止することができ、真空ポンプを洪水から保護することができる。
本発明によれば、水没防止ドーム内に給気するための給気ダクトの下部開口を水没防止ドームの下端より下げ、かつ水没防止ドーム内から排気するための排気ダクトを水没防止ドームの上部から水没防止ドームの下端の下方まで延びる排気ダクトとマンホール内から外部に延びる排気ダクトとに分割して2つの排気ダクト間に隙間(開口部)を形成している。これにより、水没防止ドーム内がダクトにより直接に外部と繋がらないようにし、洪水時にマンホール内に水が充満したとしても水没防止ドーム内の空気が流出してしまうことがなく、水没防止ドームの水没防止機能が失われることがない。なお、排気ダクトを2つの排気ダクトに分割せずに、1本の排気ダクトで構成した場合には、前記2つの排気ダクトの隙間(開口部)に対応した箇所にスリット等の開口部を設ければよい。
本発明によれば、洪水等によりマンホールが埋設されている地表面が冠水して水没防止ドームに水圧がかかって水没防止ドーム内に水が浸入しても、水没防止ドーム内の水の水位は真空ポンプの設置レベルまで到達することはない。したがって、真空ポンプの水没を防止することができ、真空ポンプを洪水から保護することができる。
本発明によれば、マンホールが埋設されている地表面が冠水して地面レベルから計画高水位まで水位が上昇すると、計画高水位にある水圧が水没防止ドームにかかる。そのため、ボイルの法則(PV=一定)にしたがって、水没防止ドーム内の空気が圧縮されて水没防止ドーム内に水が浸入する。そして、計画高水位にある水圧と前記水没防止ドーム内の圧力とがバランスするまで、水没防止ドーム内の水位が上昇するが、このときの水没防止ドーム内の水位は真空ポンプの設置レベルより低い位置にある。したがって、真空ポンプの水没を防止することができ、真空ポンプを洪水から保護することができる。
本発明によれば、真空ポンプを駆動するモータの水没を防止することができ、モータを洪水から保護することができる。
本発明の好ましい態様によれば、前記マンホール内には、1台の前記真空ポンプが設置されているか又は複数台の前記真空ポンプが設置されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記真空ポンプを設置したマンホールとは別のマンホール内に、汚水を集水する集水タンクを設置したことを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記真空ポンプを設置したマンホールとは別のマンホール内に、前記真空ポンプからの排気を脱臭する脱臭装置を設置したことを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記真空ポンプを設置したマンホール内に、汚水を集水する集水タンクを設置したことを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記真空ポンプを設置したマンホール内に、前記真空ポンプからの排気を脱臭する脱臭装置を設置したことを特徴とする。
本発明によれば、1つの給気塔および1つの排気筒を用いて、複数のマンホール内を給排気することができる。そのため、設備コストを低減することができる。
本発明によれば、真空ポンプの点検時には密閉蓋を開けて真空ポンプを点検することができ、メンテナンス性に優れている。
本発明の好ましい態様によれば、前記水没防止ドームの開口部又は前記密閉蓋の外周部には、シール部材が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、洪水時にマンホール内に水が浸入し、水没防止ドームに水圧がかかると、水没防止ドーム内に閉じこめられた空気が圧縮されて水没防止ドーム内の内部圧力が高まる。そのため、密閉蓋が上方に押圧されてシール部材がより潰れ、水没防止ドームの密閉度を上げることができる。
本発明の好ましい態様によれば、前記真空ポンプを制御する制御盤を地上に設置したことを特徴とする。
(1)地下に埋設されたマンホール内に真空ポンプを設置し、真空ポンプを水没防止ドームで覆うとともに真空ポンプの設置レベルを水没防止ドームの下端より上方の位置に設定しているため、洪水等により真空ステーションが水没しても、水没防止ドーム内に空気を閉じこめて真空ポンプ及び真空ポンプ駆動用のモータ等の電気機器の水没を防止することができる。
(2)真空ポンプ及び真空ポンプ用の付属機器について水没防止対策を施し、安全に主要機器類を地下に配置することができる。したがって、地上部に設置する機器を最小とすることができる。
(3)水没防止ドームの上端に開口を設け、この開口を開閉可能な密閉蓋で密閉するようにしたため、真空ポンプの点検時には密閉蓋を開けて真空ポンプを点検することができ、メンテナンス性に優れている。
(4)洪水時にマンホール内に水が浸入し、水没防止ドームに水圧がかかると、水没防止ドーム内に閉じこめられた空気が圧縮されて水没防止ドーム内の内部圧力が高まるため、密閉蓋が上方に押圧されて密閉シールがより潰れ、水没防止ドームの密閉度を上げることができる。
図1は、本発明に係る真空ステーションの基本構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明の真空ステーション1は、地下に埋設したマンホール2と、マンホール2内に設置された正逆転運転可能な1台の真空ポンプ3と、マンホール2内において真空ポンプ3を覆うように設置された水没防止ドーム4とから構成されている。図1において、GLは地面レベル(Ground Level)である。マンホール2はコンクリート製の組立式マンホールから構成されている。マンホール2は金属製のボックス状のマンホールであってもよい。
ここで、ドーム内の空気の体積Vとドーム内圧力Pとの間には、次式が成立する。
PV=一定
したがって、洪水時には
V0×P0=V1(P0+H1)
図2(a)に示す真空ステーション1においては、複数のマンホール2内には、個別に真空ポンプ3が設置されている。各真空ポンプ3は水没防止ドーム4により覆われている。また、他のマンホール2内には、汚水を集水する集水タンク6と、真空ポンプ3からの排気を脱臭する脱臭装置7とが設置されている。真空ポンプ3,集水タンク6,脱臭装置7等の各機器を制御する制御盤8は地上に設置されている。
図2(b)に示す真空ステーション1においては、1つのマンホール2内に複数台(2台)の真空ポンプ3が設置されている。複数台の真空ポンプ3は1つの水没防止ドーム4により覆われている。集水タンク6,脱臭装置7および制御盤8は図2(a)に示す例と同様である。
図2(a)および図2(b)に示すように、1つのマンホール2内に個別に真空ポンプ3を設置し、各真空ポンプ3を個別に水没防止ドーム4で覆ってもよいし、1つのマンホール2内に複数台の真空ポンプ3を設置し、複数台の真空ポンプ3を1つの水没防止ドーム4で覆ってもよい。
図3(a)に示す真空ステーション1においては、1つのマンホール2内に複数台(2台)の真空ポンプ3と集水タンク6とが設置されている。真空ポンプ3は個別に水没防止ドーム4により覆われている。集水タンク6は真空ポンプ3の下方に配置されている。他のマンホール2内には脱臭装置7が設置されている。制御盤8は地上に設置されている。
図3(b)に示す例においては、1つのマンホール2内に複数台(2台)の真空ポンプ3と集水タンク6とが設置されている。複数台の真空ポンプ3は1つの水没防止ドーム4により覆われている。集水タンク6は真空ポンプ3の下方に配置されている。脱臭装置7および制御盤8は図3(a)に示す例と同様である。
図3(a)および図3(b)に示すように、1つのマンホール2内に複数台の真空ポンプ3と集水タンク6とを設置し、各真空ポンプ3を個別に水没防止ドーム4で覆ってもよいし、複数台の真空ポンプ3を1つの水没防止ドーム4で覆ってもよい。
また、水没防止ドーム4内には、水没防止ドーム4の上部から下端4eのやや下方まで延びる排気ダクト20Aが設置され、排気ダクト20Aの下端の開口部に対向して排気ダクト20Bが設置されている。そして、排気ダクト20Bによりマンホール2Aとマンホール2Bとが接続されている(図4参照)。
図6(a)および図6(b)に示すように、水没防止ドーム4には、水没防止ドーム4の上端の楕円形の開口部4aを開閉可能に密閉する楕円形の密閉蓋10が設けられている。密閉蓋10は複数(6個)の締付具30によって水没防止ドーム4に締付固定されるようになっている。なお、開口部4aおよび密閉蓋10は、長円形状であってもよいし、矩形状であってもよい。
図6(c)に示すように、水没防止ドーム4の開口部4aは、水没防止ドーム4の上面から下方に略直角に折曲されて楕円形の筒状に成形されている。一方、密閉蓋10の外周部は、下方に略直角に折曲された後に外側に略直角に折り返され、さらに上方に略直角に折曲されている。これにより、密閉蓋10の下端部には凹状の係合部10aが形成されている。係合部10aにはゴムパッキン等からなる密閉シール31が固定されている。また、密閉蓋10の上面には複数(6個)のねじ32が溶接等によって固定されている。
2 マンホール
2a 開口
2b 鉄蓋
3 真空ポンプ
4 水没防止ドーム
4e 下端
5 ポンプ架台
6 集水タンク
7 脱臭装置
8 制御盤
10 密閉蓋
10a 係合部
11,12 配管
13 真空管路(真空下水管)
14 圧送管
15 大気導入管
17 給排気塔
18 給気ダクト
19 給排気塔
20A,20B 排気ダクト
21 結露ドレン配水管
22 排気ダクト
30 締付具
31 密閉シール
32 ねじ
33 蝶ナット
Fa 給気ファン
g 隙間
GL 地面レベル
HWL 洪水時水位
PL ポンプ設置レベル
V1 真空破壊弁
V2,V3 逆止弁
Claims (15)
- 管路内を負圧にして汚水を搬送する真空式下水道システムに設置され、汚水を搬送する動力となる負圧を発生させる真空ステーションにおいて、
地下に埋設されたマンホール内に設置された真空ポンプと、
上端が閉塞して下端が開口している筒状の容器であって、前記真空ポンプを覆うように設けられた水没防止ドームとを備え、
前記真空ポンプの設置レベルを前記水没防止ドームの下端より上方の位置に設定し、
前記水没防止ドーム内に地上から給気する給気ダクトを設け、該給気ダクトの下部開口を前記水没防止ドームの下端より下方に位置させ、前記水没防止ドーム内から排気する排気ダクトを設け、該排気ダクトの下端部に開口部を形成し、該開口部からさらに排気ダクトを前記マンホールの外部まで延ばしたことを特徴とする真空ステーション。 - 前記真空ポンプの設置レベルは、前記マンホールが埋設されている地表面が冠水して水圧によって前記水没防止ドーム内に浸入する水の水位より上方の位置に設定されていることを特徴とする請求項1記載の真空ステーション。
- 前記マンホールが埋設されている地表面が冠水して計画高水位まで水位が上昇し、前記計画高水位にある水圧が前記水没防止ドームに加わった際に、前記水没防止ドーム内の圧力と前記水圧とがバランスする水没防止ドーム内の水位が前記真空ポンプの設置レベルより低い位置になるように、前記真空ポンプの設置レベルを設定したことを特徴とする請求項2記載の真空ステーション。
- 前記真空ポンプの設置レベルまたは該設置レベルの上方には、前記真空ポンプを駆動するモータが設置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の真空ステーション。
- 前記水没防止ドーム内には、1台の前記真空ポンプが設置されているか又は複数台の前記真空ポンプが設置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の真空ステーション。
- 前記マンホール内には、1台の前記真空ポンプが設置されているか又は複数台の前記真空ポンプが設置されていることを特徴とする請求項5記載の真空ステーション。
- 前記真空ポンプを設置したマンホールとは別のマンホール内に、汚水を集水する集水タンクを設置したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の真空ステーション。
- 前記真空ポンプを設置したマンホールとは別のマンホール内に、前記真空ポンプからの排気を脱臭する脱臭装置を設置したことを特徴とする請求項7記載の真空ステーション。
- 前記真空ポンプを設置したマンホール内に、汚水を集水する集水タンクを設置したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の真空ステーション。
- 前記真空ポンプを設置したマンホール内に、前記真空ポンプからの排気を脱臭する脱臭装置を設置したことを特徴とする請求項9記載の真空ステーション。
- 前記複数のマンホールを地下配管で連通させ、そのうちの1つのマンホールを給気塔に連通させ、別のマンホールを排気塔に連通させたことを特徴とする請求項1、7乃至10のいずれか1項に記載の真空ステーション。
- 管路内を負圧にして汚水を搬送する真空式下水道システムに設置され、汚水を搬送する動力となる負圧を発生させる真空ステーションにおいて、
地下に埋設されたマンホール内に設置された真空ポンプと、
上端が閉塞して下端が開口している筒状の容器であって、前記真空ポンプを覆うように設けられた水没防止ドームとを備え、
前記真空ポンプの設置レベルを前記水没防止ドームの下端より上方の位置に設定し、
前記水没防止ドームの上端に開口を設け、該開口を開閉可能に密閉する密閉蓋を設けたことを特徴とする真空ステーション。 - 前記水没防止ドームの開口は楕円形状又は長円形状の開口からなり、前記密閉蓋は楕円形状又は長円形状の密閉蓋からなり、前記密閉蓋を閉じる際には前記密閉蓋の外周部が前記開口を下方から閉塞するようにしたことを特徴とする請求項12記載の真空ステーション。
- 前記水没防止ドームの開口部又は前記密閉蓋の外周部には、シール部材が設けられていることを特徴とする請求項13記載の真空ステーション。
- 前記真空ポンプを制御する制御盤を地上に設置したことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の真空ステーション。
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