JP5908237B2 - 半導体チップ接合体の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、封止樹脂層の透明性を確保しようとすると組成の自由な設計が妨げられ、例えば、無機充填材の添加により線膨張率を低下させたり、厚い封止樹脂層を形成したりすることが困難となる。
以下、本発明を詳述する。
本発明者は、封止樹脂層が予め設けられた、突起状電極、又は、突起状電極及びアライメントマークを有する半導体チップを接合して得られる半導体チップ接合体の製造方法において、封止樹脂層に対して、特定の波長を含む光を光軸が斜めになるように照射し、突起状電極及び/又はアライメントマークのコントラスト像をカメラにより認識させることにより、封止樹脂層が固体成分を含有する場合であってもコントラスト像の認識が容易となって高精度な接合を行うことができることを見出し、本発明を完成させるに至った。このような方法によれば、封止樹脂層の組成を設計する際の自由度も大きく広がる。
上記樹脂成分として、例えば、後述する硬化性化合物、硬化性化合物と反応可能な官能基を有する高分子化合物等が挙げられる。上記固体成分として、例えば、後述する固体状硬化剤、固体状硬化促進剤、無機充填材等が挙げられる。なお、本明細書中、樹脂成分に不溶な固体成分とは、封止樹脂層においてマトリックスとしての樹脂成分に溶解せずに固体状で存在している配合成分を意味する。
上記硬化性化合物は、例えば、ユリア化合物、メラミン化合物、フェノール化合物、レゾルシノール化合物、エポキシ化合物、アクリル化合物、ポリエステル化合物、ポリアミド化合物、ポリベンズイミダゾール樹脂、ジアリルフタレート化合物、キシレン化合物、アルキル−ベンゼン化合物、エポキシアクリレート化合物、珪素樹脂、ウレタン化合物、エピスルフィド化合物、ビスマレイミド化合物等の熱硬化性化合物が挙げられる。なかでも、得られる半導体チップ接合体が信頼性及び接合強度に優れることから、エポキシ化合物又はエピスルフィド化合物が好ましい。
上記レゾルシノール型エポキシ化合物のうち、市販品として、例えば、EX−201(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ポリエーテル変性エポキシ化合物のうち、市販品として、例えば、EX−931(ナガセケムテックス社製)、EXA−4850−150(DIC社製)、EP−4005(アデカ社製)等が挙げられる。
上記エピスルフィド化合物として、具体的には例えば、ビスフェノール型エピスルフィド化合物(ビスフェノール型エポキシ化合物のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置換した化合物)、水添ビスフェノール型エピスルフィド化合物、ジシクロペンタジエン型エピスルフィド化合物、ビフェニル型エピスルフィド化合物、フェノールノボラック型エピスルフィド化合物、フルオレン型エピスルフィド化合物、ポリエーテル変性エピスルフィド化合物、ブタジエン変性エピスルフィド化合物、トリアジンエピスルフィド化合物、ナフタレン型エピスルフィド化合物等が挙げられる。なかでも、ナフタレン型エピスルフィド化合物が好ましい。これらのエピスルフィド化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なお、エピスルフィド化合物は、例えば、チオシアン酸カリウム、チオ尿素等の硫化剤を使用して、エポキシ化合物から容易に合成される。酸素原子から硫黄原子への置換は、エポキシ基の少なくとも一部におけるものであってもよく、すべてのエポキシ基の酸素原子が硫黄原子に置換されていてもよい。
上記硬化促進剤は特に限定されず、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、3級アミン系硬化促進剤、及び、これらのマイクロカプセル型硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、硬化速度の制御をしやすいことから、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。これらの硬化促進剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
これらの硬化促進剤のうち、固体状硬化促進剤として、常温固体で樹脂成分に非相溶の硬化促進剤やマイクロカプセル型硬化促進剤が挙げられる。
上記反応性希釈剤は、エポキシ基を有することが好ましく、1分子中のエポキシ基数の好ましい下限が2、好ましい上限が4である。1分子中のエポキシ基数が2未満であると、封止樹脂層の硬化後に充分な耐熱性が発現しないことがある。1分子中のエポキシ基数が4を超えると、硬化によるひずみが発生したり、未硬化のエポキシ基が残存したりすることがあり、これにより、接合強度の低下又は繰り返しの熱応力による接合不良が発生することがある。上記反応性希釈剤の1分子中のエポキシ基数のより好ましい上限は3である。
また、上記反応性希釈剤は、芳香環及び/又はジシクロペンタジエン構造を有することが好ましい。
また、上記反応性希釈剤は、上記硬化性化合物よりも硬化開始温度が低く、硬化速度が大きいことが好ましい。
上記チキソトロピー付与剤を含有することで、上記封止樹脂層の粘度挙動を、フリップチップ実装に最適となるように調整することができる。
また、上記チキソトロピー付与剤は、必要に応じて、表面処理が施されていてもよい。上記表面処理が施されたチキソトロピー付与剤は特に限定されないが、表面に疎水基を有する粒子が好ましく、具体的には、例えば、表面を疎水化したヒュームドシリカ等が挙げられる。
上記無機充填材として、例えば、表面処理されたシリカフィラー等が挙げられる。上記表面処理されたシリカフィラーは特に限定されないが、フェニルシランカップリング剤で表面処理されたシリカフィラーが好ましい。
上記封止樹脂層をウエハ又は半導体チップに設ける方法は特に限定されず、例えば、ペースト状の封止樹脂組成物をスクリーン印刷等によりウエハ又は半導体チップに塗布する方法、シート状の封止樹脂組成物をウエハ又は半導体チップに貼り合わせる方法等が挙げられる。また、シート状の封止樹脂組成物をウエハ又は半導体チップに貼り合わせる場合には、上記封止樹脂層と基材とを有するシート状材料を用い、このシート状材料をウエハに貼り合わせた状態でウエハのバックグラインドを行った後、基材の剥離及びウエハのダイシングを経て、ウエハを個別の半導体チップにダイシングしてもよい。
本発明の半導体チップ接合体の製造方法では、後述する工程において、上記封止樹脂層に対して、特定の波長を含む光を光軸が斜めになるように照射し、上記突起状電極及び/又は上記アライメントマークのコントラスト像をカメラにより認識させることにより、上記封止樹脂層が固体成分を含有する場合であってもコントラスト像の認識が容易となって高精度な接合を行うことができる。
これは、(1)600nm以上という波長が、上記封止樹脂層に含まれるエポキシ化合物、ビスマレイミド化合物等の樹脂成分が吸収しにくい波長であること、(2)このような光を上記封止樹脂層に対して光軸が斜めになるように照射することにより、上記封止樹脂層に含まれる固体成分による散乱光を抑制できること、及び、これら(1)と(2)との相乗効果によって、上記封止樹脂層に被覆されている上記突起状電極及び/又は上記アライメントマークに、上記600nm以上の波長を含む光を効率よく照射できることによると推測される。
光が600nm未満の波長のみを含む場合には、カメラにより上記突起状電極及び/又は上記アライメントマークのコントラスト像をはっきりと認識することができない。上記波長の好ましい下限は700nm、好ましい上限は900nmである。
また、上記封止樹脂層に対して、上述した範囲の波長を含む光を光軸が斜めになるように照射し、上記突起状電極及び/又は上記アライメントマークのコントラスト像をカメラにより認識する装置として、例えば、光源の位置及び波長を調節した光源装置を、通常のアライメントカメラ付フリップチップボンダに組み合わせた装置等が挙げられる。
上記位置調整は、上述した工程におけるカメラによる上記突起状電極及び/又は上記アライメントマークのコントラスト像の認識に基づいて行われる。
上記工程では、上記半導体チップの上記突起状電極と上記基板又はその他の半導体チップの上記電極部とを接触させた後、上記突起状電極及び上記電極部のうちの少なくとも一方を構成する電極材料を溶融させることで、上記突起状電極と上記電極部とを接合するとともに上記封止樹脂層を硬化させる。本発明の半導体チップ接合体の製造方法では、上述する工程においてカメラにより上記突起状電極及び/又は上記アライメントマークのコントラスト像をはっきりと認識することができるため、アライメント性が向上し、高精度な接合を行うことができる。
上記突起状電極と上記電極部とを接触させる際には、例えば、フリップチップボンダ等を用いることができる。
上記突起状電極と上記電極部とを接合する際には、フリップチップボンダを用いてもよく、リフロー炉等の他の加熱手段を用いてもよい。
ビフェニル型エポキシ樹脂(商品名「YX−4000」、ジャパンエポキシレジン社製)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「1004AF」、ジャパンエポキシレジン社製)
グリシジル基含有アクリル樹脂(重量平均分子量2万、商品名「G−0250SP」、日油社製)
トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸(商品名「YH−306」、ジャパンエポキシレジン社製)
2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン イソシアヌル酸付加塩(商品名「2MA−OK」、四国化成工業社製)
表面フェニル処理無機フィラー(シリカ)(商品名「SE−1050−SPT」、アドマテックス社製)
表面疎水化ヒュームドシリカ(商品名「MT−10」、トクヤマ社製)
シランカップリング剤(商品名「KBM−573」、信越化学社製)
溶剤 メチルエチルケトン(MEK、和光純薬工業社製)
(1)アライメント装置
光源として、白色光を用いた。この光を光ファイバーで、フリップチップボンダ(東レエンジニアリング社製)のアライメントカメラに接続されたレンズの外周の外側から内側へ集光させるように向けて、封止樹脂面に斜めから照射するように配置した。入射角はおおよそ45〜60°となるように調整した。
直径20cm、厚み725μmであり、表面に高さ35μm、幅35μm角の正方形の銅ポストの上に高さ20μmのハンダをつけたバンプ(突起状電極)が50μmピッチでペリフェラル状に多数形成されている、1チップの大きさが7.6mm角のウエハを用意した。表1の組成に従って、ホモディスパーを用いて上記に示す各材料を攪拌混合し、封止樹脂溶液を調製した。スピンコーターによりバンプ付ウエハのバンプ面に、バンプ及びアライメントマークを被覆するように封止樹脂溶液をコートし、80℃20分で乾燥し、封止樹脂層付きウエハを得た。
ダイシングリングの付いたダイシングテープにウエハ裏面(封止樹脂層が形成されていない面)を貼り合わせた。その後、ダイシングストリートに従って、封止樹脂層ごとウエハをダイシングカットし、封止樹脂層付きチップをピックアップした。フリップチップボンダのヘッドで封止樹脂層付きチップを保持した状態で、上記のアライメント装置を用いて封止樹脂層付きチップと基板とのアライメント(位置調整)を行い、その後、フリップチップボンダにより、封止樹脂層付きチップのバンプと基板の電極部とを接合するとともに封止樹脂層を硬化させ、半導体チップ接合体を得た。
封止樹脂溶液の組成を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、半導体チップ接合体を得た。
アライメント装置の光源として、ハロゲンランプの白色光を集光して使用し、光軸線上にフィルターを設けることで波長700〜900nmの近赤外線領域の光を取り出したこと以外は実施例2と同様にして、半導体チップ接合体を得た。
アライメント装置の光源として、ハロゲンランプの白色光を集光して使用し、光軸線上にフィルターを設けることで波長620〜750nmの赤色の光を取り出したこと以外は実施例2と同様にして、半導体チップ接合体を得た。
アライメント装置の光源として、ハロゲンランプの白色光を集光して使用し、光軸線上にフィルターを設けることで波長570〜620nmの黄色の光を取り出したこと以外は実施例2と同様にして、半導体チップ接合体を得た。
同軸光(封止樹脂層に対して垂直に入射する光)を利用してアライメントを実施したこと以外は実施例1と同様にして、半導体チップ接合体を得た。
同軸光(封止樹脂層に対して垂直に入射する光)を利用してアライメントを実施したこと以外は実施例2と同様にして、半導体チップ接合体を得た。
同軸光(封止樹脂層に対して垂直に入射する光)を利用してアライメントを実施したこと以外は実施例3と同様にして、半導体チップ接合体を得た。
アライメント装置の光源として、ハロゲンランプの白色光を集光して使用し、光軸線上にフィルターを設けることで波長380〜450nmの紫色の光を取り出したこと以外は実施例2と同様にして、半導体チップ接合体を得た。
アライメント装置の光源として、ハロゲンランプの白色光を集光して使用し、光軸線上にフィルターを設けることで波長450〜495nmの青色の光を取り出したこと以外は実施例2と同様にして、半導体チップ接合体を得た。
アライメント装置の光源として、ハロゲンランプの白色光を集光して使用し、光軸線上にフィルターを設けることで波長495〜570nmの緑色の光を取り出したこと以外は実施例2と同様にして、半導体チップ接合体を得た。
実施例及び比較例におけるアライメント調整の際に、カメラに認識された突起状電極及び/又はアライメントマークのコントラスト像について、以下の基準で評価を行った。コントラスト像がかなり鮮明に観察された場合を◎、ある程度鮮明に観察された場合を○、不鮮明ではあるが観察可能であった場合を△、ほとんど観察されなかった場合を×とした。結果を表1に示す。
Claims (1)
- 突起状電極、又は、突起状電極及びアライメントマークを有し、マトリックスとしての樹脂成分と樹脂成分に不溶な固体成分とを含有する封止樹脂層が前記突起状電極及び前記アライメントマークのうち少なくとも一方を被覆するように設けられた半導体チップを準備する工程と、
前記封止樹脂層の表面に対して、600nm以上の波長を含む光を光軸が斜めになるように照射し、前記突起状電極及び前記アライメントマークのうち少なくとも一方のコントラスト像をカメラにより認識させる工程と、
被接合体としての基板又はその他の半導体チップに対して、前記半導体チップの位置調整を行う工程と、
前記半導体チップの前記突起状電極と、前記基板又はその他の半導体チップの電極部とを接合するとともに、前記封止樹脂層を硬化させる工程とを有する
ことを特徴とする半導体チップ接合体の製造方法。
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