JP5907381B2 - 偽造防止印刷物 - Google Patents

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Description

本発明は、偽造防止効果を必要とするセキュリティ印刷物である銀行券、パスポート、有価証券、身分証明書、カード及び通行券等の貴重印刷物の分野において、観察角度によって色彩が変化するとともに、動的効果を付与した偽造防止印刷物に関するものである。
近年のスキャナ、プリンタ及びカラーコピー機等のデジタル機器の進展により、貴重印刷物の精巧な複製物を容易に作製することが可能となっている。そのような複製や偽造を防止する偽造防止技術として、カラーシフトインキによるカラーシフト印刷物がある。
カラーシフト印刷物は、印刷物に対する光源の入射角を一定の角度に固定した場合に、観察角度を異ならせることで色相が変化する特徴を持った印刷物であり、偽造防止分野においては、このようなカラーシフト印刷物の光学特性を利用する方法は従来から行われている。
カラーシフトインキに用いられるカラーシフト顔料としては、中心基材に光透過性のマイカ又はシリカ等を用い、低屈折層と高屈折層から構成された光透過性多重干渉カラーシフト顔料や、中心基材に光反射性のアルミニウム等の金属層を用い、低屈折層と高屈折層から構成された光反射性多重干渉カラーシフト顔料がある。また、単色の干渉光を示す光輝性顔料としては、高屈折層と中心基材から構成される干渉パール顔料等があり、これらの顔料を用いたインキにより印刷物を作製することで、光学特性を利用した偽造防止技術として利用されている。
カラーシフト効果を有する顔料としては、例えば、雲母表面に酸化チタンを被覆することで反射干渉色を生起する酸化チタン被覆雲母と、酸化チタン被覆雲母が生起する反射干渉色と略補色の関係にある色調を有する顔料及び/又は染料とを混合した多色性粉体に関する発明が開示されており、これらの多色性粉体は、観察方向により大きく色相が変化し、色相のコントラストが明瞭に把握されるものである(例えば、特許文献1参照)。
さらに、近年においては、単純にカラーシフト(パール)するインキを付与しただけでなく、カラーシフトインキの変色効果を高度化することや、他の偽造防止技術と組み合わせる等、さまざまな高度化が図られ、偽造抵抗力を高めている。
これらの代表的な例としては、例えば、磁気的に配向可能な光学可変性干渉顔料(以下、「磁気層を有する光反射性多重干渉カラーシフト顔料」という。)を含んでなるコーティング組成物が開示されている。前述のコーティング組成物に模様を磁気的に転写するための装置及び方法として、コーティング組成物の層がまだ湿っている間に、磁場生成装置の表面で生成された所定の磁場にコーティング組成物の層を曝し、それにより磁性又は磁化可能な粒子を磁場の力線に沿って配向した後、コーティング組成物の層を乾燥又は硬化させることが開示されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
また、その他の方法として本出願人は、第1の印刷層に凸状で、かつ、光吸収性インキ(暗色)を用いた微細画線を任意の画線幅及び高さで配置することで、階調図柄を形成し、その上に第2の印刷層としてパール印刷層を設けることにより、微細な画線において従来よりも視認性が高く、観察角度によっては階調図柄を視認できるパール印刷物が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特許第4786013号公報 特表2009−536974号公報 特表2010−526683号公報 特許第4840693号公報
しかしながら、特許文献1により開示されている多色性粉体(二色性真珠光沢顔料)は、観察方向を変えることで二つの色相に変色するという単純な色変化効果は有するものの、これらの色変化インキは、一般的に市販されるインキで容易に代用されてしまうため偽造防止効果としては乏しいものであった。そこで、さらなる偽造防止技術が求められている。
また、特許文献2及び特許文献3により開示されている磁気的に配向可能な磁気層を有する光反射性多重干渉カラーシフト顔料を含んでなるコーティング組成物を用いた印刷物においては、動的効果を有するものの、高価で特殊な装置及び材料を必要とするため、付加的な製造工程が必要になり、コストが高くなるといった問題があった。さらに、磁気的に配向可能な磁気層を有する光反射性多重干渉カラーシフト顔料を含んでなるコーティング組成物は、光を透過せず、隠ぺい性が強いことから、基材や下層の印刷面との組合せに制限があり、デザイン上の制約があった。
また、特許文献4の印刷物は、第1の印刷層の構成により階調変化を観察することはできるが、第1の印刷層が凸形状である必要があり、さらに暗色系の光吸収インキを用いる必要がある。したがって、インキや印刷方式に制限がある上、デザイン上の制約もあるという課題が残されていた。
本発明は、前述した課題の解決を目的とするものであり、基材上に濃淡が連続して変化する階調を施した領域を、基材とは異なる2色のインキを用いてそれぞれ形成し、それらの階調を施した領域の濃部と淡部が重なるように配置し、さらに、先の2色のインキと同系色に色変化する光透過性多重干渉カラーシフトインキを積層することで(例えば、2色のインキが補色の関係であれば、光透過性多重干渉カラーシフトインキの第1の干渉色と第2の干渉色も補色の関係)、反射光下で印刷物の観察角度を変化させて観察すると、動的な色変化効果を得ることができる複製防止又は真偽判別効果に優れ、更にはインキや印刷方式によるデザイン上の制約を受けることがない偽造防止印刷物を提案することを目的とする。
本発明は、基材の少なくとも一部に、色変化印刷領域を備え、色変化印刷領域は、第1の印刷画像に第2の印刷画像が積層され、第1の印刷画像は、基材の色と異なる第1の色相を有する第1のインキで濃淡が変化するグラデーションが施された第1の領域と、基材の色及び第1の色相と異なる第2の色相を有する第2のインキでグラデーションが施された第2の領域を有し、第1の領域と第2の領域は、各領域のグラデーションの始点を最淡部とし終点を最濃部とした場合に、第1の領域の始点と第2の領域の終点が同じ位置に、第1の領域の終点と第2の領域の始点が同じ位置になるように形成され、第2の印刷画像は、第1の色相と同系色である第3の色相と、第2の色相と同系色である第4の色相の二つの色相を有する光透過性多重干渉カラーシフトインキによって形成され、基材を所定の観察角度から徐々に変化させた場合には、光透過性多重干渉カラーシフトインキによる色相変化とグラデーションとの相乗効果によって、色変化印刷領域が連続的に変化する動的効果として視認されることを特徴とする偽造防止印刷物である。
また、本発明の偽造防止印刷物における第1の印刷画像は、さらに、第3の領域を有し、第3の領域は、第1の領域及び第2の領域の中の第3の領域と隣接する一部の領域と異なる色濃度及び/又は色相を有していることを特徴とする。
また、本発明の偽造防止印刷物における第3の領域は、第1の領域及び/又は第2の領域の少なくとも一部を抜いて形成されたことを特徴とする。
また、本発明の偽造防止印刷物における第3の領域が、第1の領域又は第2の領域と同系色の場合、第3の領域が所定の観察角度において、第1の領域又は第2の領域と等色として視認されることによって、第3の領域の少なくとも一部が不可視となることを特徴とする。
また、本発明の偽造防止印刷物における第3の色相と第4の色相が補色であることを特徴とする。
本発明の偽造防止印刷物は、階調を施した異なる2色の領域のそれぞれの濃部と淡部が重なるように配置した印刷層に、先の2色に色変化する光透過性多重干渉カラーシフト印刷層を積層することで、反射光下で印刷物の観察角度を変化させて観察した場合に、階調を施した領域のどちらか一方の色相が干渉色によって強調され、連続的に変化することにより動的な色変化効果を奏する偽造防止効果に優れた印刷物である。
また、本発明の偽造防止印刷物は、磁気特性を持つ光反射性多重干渉カラーシフト顔料や、磁気誘導装置等の特殊な材料を必要とせず、生産性の高いオフセット印刷や、スクリーン印刷等により製造が可能であることからコストパフォーマンスに優れる。
また、本発明の偽造防止印刷物は、所定の観察角度において透明又は半透明として視認される光透過性多重干渉カラーシフトインキを用いることを特徴としているため、基材や下層の印刷面を阻害することがないことから、他の印刷等との組合せが容易である。さらに、基材や下層の印刷面を黒系色や凸形状に制限する必要もないため、インキや印刷方式によるデザイン上の制約を受けることがない。
本発明における偽造防止印刷物の一例を示す図である。 本発明における色変化印刷領域の構成要素を示す図である。 本発明における色変化印刷領域の構成要素を示す図である。 図3における第1の印刷画像の変形例を示す図である。 図3における第1の印刷画像の変形例を示す図である。 色変化印刷領域の色相変化の観察角度依存性を示す図である。 第2の印刷画像の色相変化に関する変角分光側色機による測定結果を示す図である。 本発明における偽造防止印刷物の一例を示す図である。 本発明における色変化印刷領域の構成要素を示す図である。 図2の第1の印刷画像を複数組み合わせた例を示す図である。 本発明における偽造防止印刷物の一例を示す図である。 本発明における色変化印刷領域の構成要素を示す図である。 比較例における偽造防止印刷物の一例を示す図である。 比較例における色変化印刷領域の構成要素を示す図である。
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の偽造防止印刷物(1)を示す図である。図1(a)に示すように、偽造防止印刷物(1)は、基材(2)上の少なくとも一部に色変化印刷領域(3)を備えている。また、色変化印刷領域(3)のA−A′断面である図1(b)に示すように、色変化印刷領域(3)は、基材(2)上に第1の印刷画像(4)を形成し、さらに、第1の印刷画像(4)上に第2の印刷画像(5)を積層した構成である。
基材(2)については、印刷が可能であれば、プラスチック及び紙等、何れの材質であっても良く、特に限定されるものではない。また、基材(2)の色についても任意の色の基材(2)を用いことが可能であり、あらかじめ、模様又は図柄等が印刷されているものを用いても良い。
色変化印刷領域(3)は、第1の印刷画像(4)上に第2の印刷画像(5)が重なって成る構成である。第1の印刷画像(4)上に第2の印刷画像(5)が重ならない構成では、本発明の効果は発現されない。
図2は、本発明の色変化印刷領域(3)の構成を示す図である。図2(a)に示す色変化印刷領域(3)は、図2(b)に示す第1の印刷画像(4)と図2(c)に示す第2の印刷画像(5)から成る。さらに、第1の印刷画像(4)は、図2(d)に示す第1の領域(6)と図2(e)に示す第2の領域(7)から成る。なお、図2に示す矩形状の色変化印刷領域(3)は、一例であって、これに限定されるものではない。
(第1の印刷画像)
図2に示すように、第1の印刷画像(4)は、第1の領域(6)と第2の領域(7)から成る。第1の領域(6)は、基材(2)と異なる第1の色相(6´)から成る第1のインキにて、始点(S)から終点(E)に向かって、淡部から濃部へと濃度変化するグラデーション(以下「階調」という。)を施した領域である。第2の領域(7)は、基材(2)及び第1の色相(6´)と異なる第2の色相(7´)から成る第2のインキにて階調を施した領域である。第1の色相(6´)と第2の色相(7´)の関係は、後述する第2の印刷画像(5)を積層した場合に、視認性が良好となる補色の関係であることが望ましいが、これに限定されることはない。階調の施し方については、網点面積率、ラインの太細及びラインの疎密等の一般的な方法が利用される。
これらの第1の領域(6)及び第2の領域(7)を刷り合わせることで、第1の印刷画像(4)が構成される。詳細には、各領域の淡部を始点(S)とし、濃部を終点(E)として、第1の領域(6)の始点(S)と第2の領域(7)の終点(E)が同じ位置に、第1の領域(6)の終点(E)と第2の領域(7)の始点(S)が同じ位置になるように刷り合わせた構成である。なお、図2において、淡部である始点(S)から濃部である終点(E)に向かう方向(D)は、矩形の一辺から対向する一辺に向かって階調を施しているが、これに限定されない。
また、第1の印刷画像(4)は、第1の領域(6)及び第2の領域(7)の形状と大きさが同じ位置で重なることが好ましいが、第1の領域(6)及び第2の領域(7)の少なくとも一部が重なる構成であれば良い。
図3は、本発明の色変化印刷領域(3)の構成を示す図であって、図2の色変化印刷領域(3)とは別形状の一例である。
図3(a)に示す円形状の色変化印刷領域(3)は、前述の図2の矩形状と同様に、図3(b)に示す第1の印刷画像(4)と図3(c)に示す第2の印刷画像(5)から成る。さらに、第1の印刷画像(4)は、図3(d)に示す第1の領域(6)と図3(e)に示す第2の領域(7)から成る。なお、一点鎖線に囲まれた図3(d)及び図3(e)の拡大図は、破線に囲まれた図3(d)及び図3(e)の構成を説明するための拡大図である。
図3(d)に示した第1の領域(6)は、基材(2)と異なる第1の色相(6´)から成る第1のインキにて、円形状の外周部を始点(S)とし、円形状の中心部を終点(E)として階調を施した領域である。
図3(e)に示した第2の領域(7)は、基材(2)及び第1の色相(6´)と異なる第2の色相(7´)から成る第2のインキにて、円形状の中心部を始点(S)とし、円形状の外周部を終点(E)として階調を施した領域である。
図3に示した第1の領域(6)と第2の領域(7)を刷り合わせることで、第1の印刷画像(4)が構成される。詳細には、各領域の淡部を始点(S)とし濃部を終点(E)として、第1の領域(6)の始点(S)と第2の領域(7)の終点(E)が同じ位置に、第1の領域(6)の終点(E)と第2の領域(7)の始点(S)が同じ位置になるように刷り合わせた構成である。これは、後述する変形例においても同様である。
図4は、図3における第1の印刷画像(4)の変形例を示す図である。図4(a)に示した曲線形状の第1の印刷画像(4)は、図4(b)に示す第1の領域(6)と図4(c)に示す第2の領域(7)から成る。
図4(b)に示した第1の領域(6)は、基材(2)と異なる第1の色相(6´)から成る第1のインキにて、曲線形状の外周部を始点とし、曲線形状の中心部を終点として階調を施した領域である。
図4(c)に示した第2の領域(7)は、基材(2)及び第1の色相(6´)と異なる第2の色相(7´)から成る第2のインキにて曲線形状の中心部を始点とし、曲線形状の外周部を終点として階調を施した領域である。
図5は、図4と異なる第1の印刷画像(4)の変形例を示す図である。図5(a)に示した多角形状の第1の印刷画像(4)は、図5(b)に示す第1の領域(6)と図5(c)に示す第2の領域(7)から成る。
図5(b)に示した第1の領域(6)は、基材(2)と異なる第1の色相(6´)から成る第1のインキにて、多角形状の外周部を始点とし、多角形状の中心部を終点として階調を施した領域である。
図5(c)に示した第2の領域(7)は、基材(2)及び第1の色相(6´)と異なる第2の色相(7´)から成る第2のインキにて多角形状の中心部を始点とし、多角形状の外周部を終点として階調を施した領域である。なお、第1の印刷画像(4)は、これらの形状に限定されるものではない。
第1の印刷画像(4)の形成方法は、特に限定されるものではなく、インクジェットプリンタ、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷及びスクリーン印刷等の階調を再現することができる印刷方式であれば良い。
(第2の印刷画像)
図6は、本発明の偽造防止印刷物(1)に対し光源の入射角を45度とした場合における色変化印刷領域(3)の色変化の観察角度依存性について示す図である。
図6に示すように、第2の印刷画像(5)は、第1の印刷画像(4)の上層に形成される。また、第2の印刷画像(5)は、第1の観察方向(8)において視認される第3の色相(8′)と第2の観察方向(9)において視認される第4の色相(9′)に色変化する光透過性多重干渉カラーシフトインキにより形成される印刷画像である。また、第3の色相(8′)は、第1の色相(6′)と同系色であり、第4の色相(9′)は、第2の色相(7′)と同系色である。
同系色とは、色相環において近傍に存在する色相であり、重ねて形成した際に、色濃度を強める関係にある色相を示す。色相が近いほど、本発明の効果は高まる。
さらに、第2の印刷画像(5)は、光透過性多重干渉カラーシフトインキにより形成されているため、透明性であり、第2の印刷画像(5)の下層に形成されている第1の印刷画像(4)を視認することができる。
前述した透明性とは、可視光領域の波長(380nm〜800nm)の光が第2の印刷画像(5)を透過することを示しており、下層に形成されている第1の印刷画像(4)を視認することができれば良い。
また、第1の観察方向(8)とは、光源の入射角45度における第2の印刷画像(5)の受光角0度付近(真上から)の観察角度であり、第2の観察方向(9)とは、第2の印刷画像(5)の受光角60度付近(基材面側から)の観察角度である。説明の都合上、光源の入射角を45度としたが、入射光の角度が変化した場合は、それに応じて観察状況(色相、彩度及び明度)も変わる。
光透過性多重干渉カラーシフト顔料としては、公知の鱗片状光透過性多重干渉カラーシフト顔料を使用することができる。鱗片状光透過性多重干渉カラーシフト顔料としては、例えば、シリカフレークや酸化チタン等の金属酸化物をコートした光透過性のエフェクト顔料として、メルク株式会社製のカラーストリーム等が挙げられる。これらの鱗片状光透過性多重干渉カラーシフト顔料は、色相により、Colorstream T10−01、Colorstream T10−02、Colorstream T10−03、Colorstream T10−04等のグレードがあり、何れの顔料も使用可能である。
鱗片状光透過性多重干渉カラーシフト顔料は、厚みが0.5μm以上6μm以下であり、かつ、粒径が3μm以上200μm以下のものが適している。各下限値未満では、製造性及び光輝性が劣るからである。各上限値を超えた場合は、印刷適性が著しく低下し、転移不良又は版詰まり等の印刷トラブルが発生し、印刷用途には不向きであるからである。
図7は、第2の印刷画像(5)の色変化と彩度変化の一例を示す図である。説明の都合上、第2の印刷画像(5)を、緑色から赤色へ色変化する印刷画像として、基材(白色コート紙:オーロラコート 日本製紙株式会社製)に印刷したものを用いた。色変化は、変角分光測色機(GCMS−4型 村上色彩技術研究所製)にて光源の入射角を45度に固定し、受光角0度から80度の範囲を5度ずつ測定した。図7において、縦軸がb、横軸がaを示す。aは、マイナス(−)からプラス(+)へ、緑色から赤色への色変化を表す。bは、マイナス(−)からプラス(+)へ、青色から黄色への色変化を表す。
また、図7において、原点からの距離は、彩度(Cab)を表しており、原点から離れるにつれて彩度が高くなるため、透明性は低くなり、原点に近づくにつれて彩度が低くなるため、透明性は高くなる。
したがって、図7において、第1の観察方向(8)は、第3の色相(8′)として緑色が観察される観察方向であり、緑色の色相が観察される観察方向において、彩度が最も高く、透明性が最も低い状態である。一方、第2の観察方向(9)は、第4の色相(9′)として赤色が観察される観察方向であり、本観察条件において、彩度が最も高く、透明性が最も低い状態である。
さらに、第2の印刷画像(5)は、第1の観察方向(8)における第3の色相(8′)から、第2の観察方向(9)における第4の色相(9′)に連続的に色変化することが分かる。また、第1の観察方向(8)から第2の観察方向(9)に変化する経過曲線に示すように、原点に近い領域においては、透明性が高くなることが分かる。このように第2の印刷画像(5)の色相、彩度及び透明性は、観察方向により連続的に変化することを特徴としている。
ここで、第2の印刷画像(5)の色変化と再度変化の一例を示したが、他の色変化であっても良く、第1の印刷画像(4)を構成する色相と同系色の関係にあれば、その他の色相を用いることもできる。
第2の印刷画像(5)は、透明性であり、色変化を観察することができれば、ベタ模様、ライン模様及び網点模様等、何れの構成であっても良く、図柄又は模様等を構成しても良い。また、厚盛り印刷等により、凸画線を付与した構成としても良い。形状についても、第1の印刷画像(4)上に形成されていれば良く、特に限定されない。
第2の印刷画像(5)の付与方法としては、光透過性多重干渉カラーシフト顔料を付与することができる印刷方法であれば良く、好ましくは、グラビア印刷、フレキソ印刷及びスクリーン印刷等が適している。
(実施の形態1の効果)
実施の形態1の偽造防止印刷物(1)における効果について説明する。偽造防止印刷物(1)は、基材(2)上に色変化印刷領域(3)を形成しており、偽造防止印刷物(1)を正面から傾けて観察した際に、色変化印刷領域(3)において、第1の領域(6)と第2の領域(7)どちらか一方の色相が強調されることで、色変化印刷領域(3)は連続的に変化して視認することができる。本構成では、異なる色相で階調を施した2つの領域を備えているため、その効果を強く視認することができる。この効果は、色変化印刷領域(3)が変化したように視認される動的効果であり、単に光透過性多重干渉カラーシフトインキを一様に印刷した印刷物として視認される、単純な色変化とは異なる。また、最新のデジタル機器等を用いたとしても、複写は困難であり、複写物を反射光下で視認しても、真珠のような光沢や虹彩色等のパール光沢、更には動的効果までを再現することができないため、偽造防止効果に優れる。
(実施の形態1の視認原理)
図6及び図7を用いて本発明の効果が発現するための原理を説明する。図6に示す第1の観察方向(8)から色変化印刷領域(3)を観察した場合、第2の印刷画像(5)は、第3の色相(8´)で視認される。ここで、第3の色相(8´)は、第1の印刷画像(4)を形成する第1の領域(6)に用いられる第1の色相(6´)と同系色であるため、重ねて観察した際に、第1の色相(6´)又は第3の色相(8´)の色濃度が高く視認される。このため、階調を施した第1の領域(6)が強調して視認され、淡色の領域も視認しやすくなり、第1の領域(6)の面積が増えたように視認される。
第2の観察方向(9)から色変化印刷領域(3)を観察した場合、第2の印刷画像(5)は、第4の色相(9´)で視認される。ここで、第4の色相(9´)は、第1の印刷画像(4)を形成する第2の領域(7)に用いられる第2の色相(7´)と同系色であるため、重ねて観察した際に、第2の色相(7´)又は第4の色相(9´)の色濃度が高く視認される。このため、階調を施した第2の領域(7)が強調して視認され、淡色の領域も視認しやすくなり、第2の領域(7)の面積が増えたように視認される。
また、第1の観察方向(8)と第2の観察方向(9)との間で色変化印刷領域(3)を観察した場合、第2の印刷画像(5)は、図7に示す色相と彩度の変化を表す経過曲線に応じて、第1の観察方向(8)と第2の観察方向(9)と比較して各色の透明性が高くなるため、第1の印刷画像(4)を鮮明に視認することができる。
第2の印刷画像(5)の色相、彩度及び透明性が連続的に変化することに加え、第1の印刷画像(4)は、異なる色相で階調を施した2つの領域を備えているため、第2の印刷画像(5)の連続的な変化と、第1の印刷画像(4)の階調変化の相乗効果により、所定の観察角度から徐々に変化させた場合には、色変化印刷領域(3)の色相及び色濃度が連続的に変化する動的効果として視認することができる。
(実施の形態2)
図8は、実施の形態2における偽造防止印刷物(1)を示す図である。図8(a)に示すように、偽造防止印刷物(1)は、基材(2)上の少なくとも一部に色変化印刷領域(3)を備えている。また、色変化印刷領域(3)のA−A′断面である図8(b)に示すように、色変化印刷領域(3)は、基材(2)上に第1の印刷画像(4)を形成し、さらに、第1の印刷画像(4)上に第2の印刷画像(5)を積層した構成となっている。
図9は、図8に示した色変化印刷領域(3)の構成を示す図である。図9(a)に示す色変化印刷領域(3)は、図9(b)に示す第1の印刷画像(4)、図9(c)に示す第2の印刷画像(5)から成る。さらに、第1の印刷画像(4)は、図9(d)に示す第1の領域(6)、図9(e)に示す第2の領域(7)、図9(f)に示す第3の領域(10)から成る。
また、図9は、図3に示した色変化印刷領域(3)の応用例であるため、図3と同様の部分については、説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
(第1の印刷画像)
図9(b)に示す第1の印刷画像(4)は、第1の領域(6)、第2の領域(7)及び第3の領域(10)から成る。
図9(d)に示す第1の領域(6)は、図3(d)と同様に、基材(2)と異なる第1の色相(6´)から成る第1のインキにて、円形状の外周部を始点とし、円形状の中心部を終点として階調を施した領域である。
図9(e)に示す第2の領域(7)は、図3(e)と同様に、基材(2)及び第1の色相(6´)と異なる第2の色相(7´)から成る第2のインキにて、円形状の中心部を始点とし、円形状の外周部を終点として階調を施した領域である。
図9(f)に示す第3の領域(10)は、第1の印刷画像(4)において、第1の領域(6)及び第2の領域(7)の中の第3の領域(10)と隣接する一部の領域と区分けして視認される領域であって、第1の色相(6´)及び第2の色相(7´)と異なる第5の色相(10´)から成る第3のインキにて施した領域であっても良い。なお、本発明において、図示しないが、図柄又は文字等を形成する部分を印刷しない、いわゆる、白抜き領域として形成しても良い。
前述した、区分けして視認される領域とは、L表色系におけるΔEab値(以下「色差」という。)が0.5以上あれば良いが、好ましくは、色差が1.5以上である。
また、前述した色差とは、第3の領域(10)と、第1の印刷画像(4)において第1の領域(6)及び/又は第2の領域(7)の中の第3の領域(10)と隣接する一部の領域との差である。
また、第3の領域(10)は、第1の領域(6)及び第2の領域(7)を刷り合わせた領域内に形成されていれば良く、数字に限定されず、文字、記号及び図柄マーク等を用いても良い。
(第2の印刷画像)
図8(b)に示すように、第2の印刷画像(5)は、第1の印刷画像(4)の上層に形成される。第2の印刷画像(5)の観察角度おける色相、彩度及び透明性の変化については、実施の形態1と同様の構成であるため、説明を省略する。
(実施の形態2の効果)
実施の形態2においては、実施の形態1の効果に加え、第3の領域(10)による視認効果を有する。
第3の領域(10)の視認効果については、後述する第1の印刷画像(4)における第3の領域(10)が有する色相、彩度及び明度と、第1の印刷画像(4)に重ねて形成する第2の印刷画像(5)が有する色相、彩度及び明度により異なるため、適宜設計が必要である。
第1の印刷画像(4)内に形成された第1の領域(6)及び第2の領域(7)と、第3の領域(10)の色差が大きい場合には、第3の領域(10)を常に視認することができる。色差は、12.0以上であることが望ましい。
第1の印刷画像(4)内に形成された第1の領域(6)又は第2の領域(7)と、第3の領域(10)の色差が小さい場合には、第2の印刷画像(5)の透明性が高い観察方向でのみ第3の領域(10)を視認することができる潜像効果を得る。色差は、12.0未満であれば良く、好ましくは、6.0未満である。
(実施の形態2の視認原理)
実施の形態2においては、実施の形態1の視認原理に加え、第3の領域(10)による視認原理を有する。
第3の領域(10)の視認原理は、第1の領域(6)及び第2の領域(7)と第3の領域(10)の色差及び観察方向による第2の印刷画像(5)の視認性により異なる。
第1の領域(6)及び第2の領域(7)と、第3の領域(10)に用いる第5の色相(10´)との色差が大きい場合、第2の印刷画像(5)の彩度が最大となる観察方向においても、第3の領域(10)が周囲の領域と区別して観察される。このため、第3の領域(10)は、観察方向に依存せず常に視認することができる。
第1の領域(6)又は第2の領域(7)と、第3の領域(10)に用いる第5の色相(10´)との色差が小さい場合、第2の印刷画像(5)の彩度が高い観察方向では、第3の領域(10)は、周囲の領域と区別して観察することができなくなる。一方、第2の印刷画像(5)の彩度が低い観察方向では、第3の領域(10)は、周囲の領域と区別して観察することができる。このため、第3の領域(10)は、潜像としての効果を有する。
第3の領域(10)を第1の領域(6)及び/又は第2の領域(7)を抜いた領域として形成した場合には、第5の色相(10´)を抜いた領域の色相とした前述の視認原理に従う。
(第1の印刷画像の応用例)
図10は、図2の第1の印刷画像(4)を複数組合せた応用例である。
図10(a)に示す第1の印刷画像(4)は、図10(b)に示す第1の領域(6)と図10(c)に示す第2の領域(7)から成る。さらに、図10(a)に示す第1の印刷画像(4)の一方をR側、他方をG側とした場合、それらを交互に配置し複数組み合わせ、図10(d)に示すような第1の印刷画像(4a)を構成した。
図10(d)に示す第1の印刷画像(4a)の上層に第2の印刷画像(5)を形成した色変化印刷領域(3)においては、光源に対して偽造防止印刷物(1)を傾けて観察することで、複数個所で連続的な色相及び色濃度変化を視認することができ、前述の実施の形態1よりも複雑な視認効果を得る。
本発明の実施例1については、図1、図2及び図6を用いて説明する。
図1は、実施例1における偽造防止印刷物(1)を示す図であり、基材(2)として白色の上質紙(紀州製紙株式会製)を使用し、基材(2)上に20mm×60mmの長方形図柄として色変化印刷領域(3)を形成した。色変化印刷領域(3)は、基材(2)上に第1の印刷画像(4)を形成し、第1の印刷画像(4)上に第2の印刷画像(5)が重なるように形成した。
図2は、実施例1における色変化印刷領域(3)を構成する第1の印刷画像(4)と第2の印刷画像(5)を示す。第1の印刷画像(4)は、インクジェットプリンタ(PM−890C EPSON株式会社製)により、網点図柄構成で印刷した。第1の印刷画像(4)の構成要素である第1の領域(6)と第2の領域(7)の図柄設計は、Adobe Illustrator8.0を用いた。第1の色相(6´)を緑色で、第2の色相(7´)を赤色とした。
階調は、グラデーションツールを使用し、始点と終点の濃度割合で設定した。設定値を表1に示す。第1の領域(6)と第2の領域(7)は、各領域の淡部を始点とし、濃部を終点として、第1の領域(6)の始点が第2の領域(7)の終点側に、第1の領域(6)の終点が第2の領域(7)の始点側になるように刷り合わせ、第1の印刷画像(4)を構成した。
Figure 0005907381
第2の印刷画像(5)は、第1の色相(6´)と同系色である第3の色相(8´)として緑色と、第2の色相(7´)と同系色である第4の色相(9´)として赤色に色変化する光透過性多重干渉カラーシフト顔料を紫外線硬化型インキ化し、第1の印刷画像(4)上にスクリーン印刷方式にて印刷した。第2の印刷画像(5)は、25mm×65mmの長方形図柄とし、第1の印刷画像(4)を完全に覆うように印刷した。また、第2の印刷画像(5)は、ベタ模様にて形成した。スクリーン版面は、メッシュ255PW(NBC株式会社製)を用い、硬度80度のスキージを用いて印刷した。その後、UV照射装置にて80mJ/cm2の照射量で硬化させ、偽造防止印刷物(1)を得た。
実施例1の効果を、図6を用いて説明する。図6に示すように観察方向を異ならせることで、色変化印刷領域(3)では、第1の観察方向(8)において、緑色の領域が広がり、第2の観察方向(9)において、赤色の領域が広がって視認された。また、第1の観察方向(8)と第2の観察方向(9)との間では、第1の観察方向(8)と第2の観察方向(9)と比較して、第2の印刷画像(5)の透明性が高くなり、第1の印刷画像(4)が鮮明に視認された。さらに、色変化印刷領域(3)を第1の観察方向(8)から第2の観察方向(9)に傾けて観察するか、又は第2の観察方向(9)から第1の観察方向(8)に傾けて観察することで、色相及び色濃度が連続的に変化する動的効果を視認することができた。この効果は、図1に示す階調を施した方向である縦方向(偽造防止印刷物(1)の短辺方向)で連続的に視認することができた。
本発明の実施例2については、図8、図9及び図6を用いて説明する。
図8は、実施例2における偽造防止印刷物(1)を示す図であり、基材(2)として、白色の上質紙(紀州製紙株式会社製)を使用し、基材(2)上に横30mm、縦20mmの楕円図柄として色変化印刷領域(3)を形成した。色変化印刷領域(3)は、基材(2)上に第1の印刷画像(4)を形成し、第1の印刷画像(4)上に第2の印刷画像(5)が重なるように形成した。
図9は、色変化印刷領域(3)を構成する第1の印刷画像(4)と第2の印刷画像(5)を示す。第1の印刷画像(4)は、インクジェットプリンタ(PM―890C EPSON株式会社製)により、網点図柄構成で印刷した。第1の印刷画像(4)の構成要素である第1の領域(6)と第2の領域(7)及び第3の領域(10)の図柄設計は、Adobe Illustrator8.0を用いた。第1の色相(6´)を緑色で、第2の色相(7´)を赤色で、第5の色相(10´)を暗緑色とした。
階調は、グラデーションツールを使用し、始点と終点の濃度割合で設定した。設定値を表2に示す。第1の領域(6)及び第2の領域(7)は、各領域の淡部を始点とし、濃部を終点として、第1の領域(6)の始点が第2の領域(7)の終点側に、第1の領域(6)の終点が第2の領域(7)の始点側になるように刷り合わせ、第3の領域(10)を楕円図柄の中心に配置し、第1の印刷画像(4)を構成した。
Figure 0005907381
第2の印刷画像(5)は、第1の色相(6´)と同系色である第3の色相(8´)とした緑色と、第2の色相(7´)と同系色である第4の色相(9´)とした赤色に色変化する光透過性多重干渉カラーシフト顔料を紫外線硬化型インキ化し、第1の印刷画像(4)上にスクリーン印刷方式にて印刷した。第2の印刷画像(5)は、横33mm、縦23mmの楕円図柄とし、第1の印刷画像(4)を完全に覆うように印刷した。また、第2の印刷画像(5)は、ベタ模様にて形成した。スクリーン版面は、メッシュ255PW(NBC株式会社製)を用い、硬度80度のスキージを用いて印刷した。その後、UV照射装置にて80mJ/cm2の照射量で硬化させ、偽造防止印刷物(1)を得た。
実施例2の効果を、図6を用いて説明する。図6に示すように、観察方向を異ならせることで、色変化印刷領域(3)では、第1の観察方向(8)において、緑色の領域が広がり、第2の観察方向(9)において、赤色の領域が広がって視認することができた。また、第1の観察方向(8)と第2の観察方向(9)との間では、第1の観察方向(8)と第2の観察方向(9)と比較して、第2の印刷画像(5)の透明性が高くなり、第1の印刷画像(4)を鮮明に視認することができた。さらに、色変化印刷領域(3)を第1の観察方向(8)から第2の観察方向(9)傾けて観察するか、又は第2の観察方向(9)から第1の観察方向(8)に傾けて観察することで、色相及び色濃度が連続的に変化する動的効果を視認することができた。この効果は、図8に示す階調を施した方向である、同心円方向(楕円の中心から外方向もしくは、外から中心方向)で連続的に視認することができた。
また、第3の領域(10)に用いる第5の色相(10´)は、第1の領域(6)と同系色であり、色差が小さい関係にある。このため、第3の領域(10)は、第2の印刷画像(5)の彩度が低い第1の観察方向(8)では、周囲の領域と区別して視認され、第2の印刷画像(5)の彩度が高い第2の観察方向(9)では、周囲の領域と区別して視認することができなくなった。また、第1の観察方向(8)と第2の観察方向(9)との間では、第2の印刷画像(5)の透明性が高くなり、第3の領域(10)を含む第1の印刷画像(4)を鮮明に視認することができた。さらに、色変化印刷領域(3)を第1の観察方向(8)から第2の観察方向(9)に傾けて観察することで、第3の領域(10)が可視から不可視となる潜像効果を視認することができた。
本発明の実施例3については、図11、図12及び図6を用いて説明する。
図11は、実施例3における偽造防止印刷物(1)を示す図である。図11(a)に示すように、偽造防止印刷物(1)は、基材(2)上の少なくとも一部に色変化印刷領域(3)を備えている。また、色変化印刷領域(3)のA−A′断面である図11(b)に示すように、色変化印刷領域(3)は、基材(2)上に第1の印刷画像(4)を形成し、さらに、第1の印刷画像(4)上に第2の印刷画像(5)を積層した構成となっている。図11(c)は、図11(a)に示す破線部の拡大図である。
図11(b)に示すように、第2の印刷画像(5)は、第1の印刷画像(4)の上層に形成される。第2の印刷画像(5)に用いるインキの色相及び色変化の角度依存性等については、実施の形態1と同様であるため、説明を省略するが、第2の印刷画像(5)は、厚盛り印刷等により凸形状を付与した画線で形成されている。
さらに、図11(c)に示すように、第2の印刷画像(5)は、光透過性多重干渉カラーシフトインキから成る凸形状の万線画線によって、配列方向が異なる情報領域(11)と背景領域(12)によって構成されている。このように、凸形状の万線画線の配列方向を異ならせることで、所定の効果を有する発明は多く開示されている。
本出願人は、平面配向性パール顔料を用いた盛り上がりのある画線を形成し、背景画像部とメッセージ画像部で画線角度を異なる構成とすることで、斜めから観察した場合にのみ、メッセージ画像部がポジからネガへ又はネガからポジへ変化して出現する効果を有する真偽判別可能な印刷物に関わる発明を開示している(特許3718712参照)。
前述の開示された真偽判別可能な印刷物は、基材の表面に盛り上がりのある画線構造によって背景画像とメッセージ画像が形成され、かつ、背景画像の画線パターンとメッセージ画像の画線パターンは、異なる角度で形成されるために、拡散反射光が支配的な角度領域においては、メッセージ画像が視認されず、拡散反射光から正反射光が支配的な角度領域に変化するに従って、盛り上がりを有する背景画像とメッセージ画像が入射光に対してそれぞれ異なった光の反射を成す構造となることから、メッセージ画像がネガ画像又はポジ画像として視認される効果を有する。
図11は、実施例3における偽造防止印刷物(1)を示す図であり、基材(2)として、白色の上質紙(紀州製紙株式会社製)を使用し、基材(2)の上に、40mm×60mmの長方形図柄として、色変化印刷領域(3)を形成した。色変化印刷領域(3)は、基材(2)上に、第1の印刷画像(4)を形成し、第1の印刷画像(4)上に第2の印刷画像(5)が重なるように形成した。
図12は、実施例3の偽造防止印刷物(1)における色変化印刷領域(3)を構成する第1の印刷画像(4)及び第2の印刷画像(5)を示す。第1の印刷画像(4)は、オフセット印刷により線画構成で印刷した。第1の印刷画像(4)の構成要素である第1の領域(6)及び第2の領域(7)の画線設計は、画線幅を40μm〜80μmで、画線間隔を100μm〜1000μmとし、画線の太細及び疎密により階調を施した。第1の領域(6)の第1の色相(6´)を緑色で、第2の領域(7)の第2の色相(7´)を赤色とした。第1の領域(6)と第2の領域(7)は、各領域の淡部を始点(S)とし、濃部を終点(E)として、第1の領域(6)の始点(S)が第2の領域(7)の終点(E)側に、第1の領域(6)の終点(E)が第2の領域(7)の始点(S)側になるように刷り合わせ、第1の印刷画像(4)を構成した。
第2の印刷画像(5)は、第1の色相(6´)と同系色である第3の色相(8´)とした緑色と、第2の色相(7´)と同系色である第4の色相(9´)とした赤色に色変化する光透過性多重干渉カラーシフト顔料を紫外線硬化型インキ化し、第1の印刷画像(4)上にスクリーン印刷方式にて印刷した。第2の印刷画像(5)は、45mm×65mmの長方形図柄とし、第1の印刷画像(4)を完全に覆うように印刷した。また、第2の印刷画像(5)は、光透過性多重干渉カラーシフトインキから成る凸形状の万線画線によって、配列方向が異なる情報領域(11)と背景領域(12)を形成した。スクリーン版面は、メッシュ255PW(NBC株式会社製)を用い、硬度が80度のスキージを用いて印刷した。その後、UV照射装置にて80mJ/cm2の照射量で硬化させ偽造防止印刷物(1)を得た。
実施例3の効果を説明する。図6に示すように、観察方向を異ならせることで、色変化印刷領域(3)では、第1の観察方向(8)において、緑色の領域が広がり、第2の観察方向(9)において、赤色の領域が広がって視認することができた。また、第1の観察方向(8)及び第2の観察方向(9)との間では、第1の観察方向(8)と第2の観察方向(9)と比較して、第2の印刷画像(5)の透明性が高くなり、第1の印刷画像(4)が鮮明に視認された。さらに、色変化印刷領域(3)を第1の観察方向(8)から第2の方向(9)に傾けて観察するか、又は第2の観察方向(9)から第1の方向(8)に傾けて観察することで、連続的に色相及び色濃度が変化する、動的効果として視認することができた。この効果は、配列方向が異なる情報領域(11)と背景領域(12)ごとに、図11に示す階調を施した方向である横方向(偽造防止印刷物(1)の長辺方向)で連続的に視認することができた。
(比較例1)
比較例1については、図13、図14及び図6を用いて説明する。
図13は、比較例1の偽造防止印刷物(1)を示す図であり、基材(2)として、白色の上質紙(紀州製紙株式会社製)を使用し、基材(2)の上に、20mm×60mmの長方形図柄として色変化印刷領域(3)を形成した。色変化印刷領域(3)は、基材(2)上に、第1の印刷画像(4)を形成し、第1の印刷画像(4)上に第2の印刷画像(5)が重なるように形成した。
図14は、第1の印刷画像(4)及び第2の印刷画像(5)を示したものであり、第1の印刷画像(4)は、インクジェットプリンタ(PM―890C EPSON株式会社製)により、網点図柄構成で印刷した。第1の印刷画像(4)の構成要素である第1の領域(6)と第2の領域(7)の図柄設計は、Adobe Illustrator8.0を用いた。第1の色相(6´)を緑色で、第2の色相(7´)を赤色とした。これらの領域については、階調を付けず、20mm×30mmに設計した。設定値を表3に示す。第1の領域(6)と第2の領域(7)が接するように第1の印刷画像(4)を構成し、印刷した。
Figure 0005907381
第2の印刷画像(5)は、第1の色相(6´)と同系色である第3の色相(8´)とした緑色と、第2の色相(7´)と同系色である第4の色相(9´)とした赤色に色変化する光透過性多重干渉カラーシフト顔料を紫外線硬化型インキ化し、第1の印刷画像(4)上にスクリーン印刷方式にて印刷した。第2の印刷画像(5)は、25mm×65mmの長方形とし、第1の印刷画像(4)を完全に覆うように印刷した。また、第2の印刷画像(5)は、ベタ模様にて形成した。スクリーン版面は、メッシュ255PW(NBC株式会社製)を用い、硬度が80度のスキージを用いて印刷した。その後、UV照射装置にて80mJ/cm2の照射量で硬化させ、比較例1の偽造防止印刷物(1)を得た。
比較例1の効果を、図6を用いて説明する。図6に示すように観察方向を異ならせることで、色変化印刷領域(3)では、第1の観察方向(8)において緑色の領域が強調され、第2の観察方向(9)において赤色の領域が強調されて視認することができた。また、第1の観察方向(8)と第2の観察方向(9)との間では、第1の観察方向(8)と第2の観察方向(9)と比較して、第2の印刷画像(5)の透明性が高くなり、第1の印刷画像(4)を鮮明に視認することができた。しかし、色変化印刷領域(3)を第1の観察方向(8)から第2の観察方向(9)傾けて観察した場合か、又は第2の観察方向(9)から第1の観察方向(8)に傾けて観察した場合であっても、色相及び色濃度が連続的に変化する動的効果を視認することができなかった。
1 偽造防止印刷物
2 基材
3 色変化印刷領域
4、4a 第1の印刷画像
5 第2の印刷画像
6 第1の領域
6´ 第1の色相
7 第2の領域
7´ 第2の色相
8 第1の観察方向(受光角0度付近(真上からの観察))
8´ 第3の色相
9 第2の観察方向(受光角60度付近(基材面からの観察))
9´ 第4の色相
10 第3の領域
10´ 第5の色相
11 情報領域
12 背景領域

Claims (5)

  1. 基材の少なくとも一部に、色変化印刷領域を備え、
    前記色変化印刷領域は、第1の印刷画像に第2の印刷画像が積層されて成り、
    前記第1の印刷画像は、前記基材の色と異なる第1の色相を有する第1のインキで濃淡が変化するグラデーションが施された第1の領域と、前記基材の色及び前記第1の色相と異なる第2の色相を有する第2のインキで前記グラデーションが施された第2の領域を有し、
    前記第1の領域と前記第2の領域は、前記各領域の前記グラデーションの始点を最淡部とし終点を最濃部とした場合に、前記第1の領域の始点と前記第2の領域の終点が同じ位置に、前記第1の領域の終点と前記第2の領域の始点が同じ位置になるように重ねて形成され、
    前記第2の印刷画像は、前記第1の色相と同系色である第3の色相と、前記第2の色相と同系色である第4の色相の二つの色相を有する光透過性多重干渉カラーシフトインキによって形成され、
    前記基材を所定の観察角度から徐々に変化させた場合には、前記光透過性多重干渉カラーシフトインキによる色相変化と前記グラデーションとの相乗効果によって、前記色変化印刷領域が連続的に変化する動的効果として視認されることを特徴とする偽造防止印刷物。
  2. 前記第1の印刷画像は、さらに、第3の領域を有し、
    前記第3の領域は、前記第1の領域及び前記第2の領域の中の前記第3の領域と隣接する一部の領域と異なる色濃度及び/又は色相を有していることを特徴とする請求項1記載の偽造防止印刷物。
  3. 前記第3の領域は、前記第1の領域及び/又は前記第2の領域の少なくとも一部を抜いて形成されたことを特徴とする請求項2記載の偽造防止印刷物。
  4. 前記第3の領域が、前記第1の領域又は前記第2の領域と同系色の場合、
    前記第3の領域が所定の観察角度において、前記第1の領域又は前記第2の領域と等色として視認されることによって、前記第3の領域の少なくとも一部が不可視となることを特徴とする請求項2記載の偽造防止印刷物。
  5. 前記第3の色相と前記第4の色相が補色であることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか一項記載の偽造防止印刷物。
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