JP5906495B2 - 支承装置の設計方法 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば、下部造物で上部造物を支持する支承構造において、下部造物及び上部造物の間に介在させる支承装置の設計方法に関する。
従来より、例えば、免震造物、橋梁、あるいは固定造物同士を接続する接続部分等の振動や相対変位が生じる造物において、可動支持する支承装置がある。このような、支承装置は、建物等の被支持造物と、基礎等の支持造物との間に配設され、被支持造物に固定された上沓と、支持造物に固定された下沓との境界面、つまり摺動面が摺動することで、境界面における面内方向に変位可能に支持することができる。
このような支承装置における摺動面は、一様な一体もので構成することが一般的であるが、例えば、特許文献1に示すように、分割された摺動面で構成する場合もある。
なお、図8,9に示すように上沓120は、例えば、円柱状の装着孔を有するベースポット122と、ベアリングと呼ばれる樹脂製の円形ベアリング125を底面に固定したピストン124と、弾性プレート123とで構成しており、装着孔に弾性プレート123を介してピストン124を装着したベースポット122を、上部造物2に装着する。
これに対し、下沓130は、上から順に、PTFEコーティング板等で構成するベースプレート133と、下鋼材132と、下部造物3に定着するための定着プレート131とで構成し、上面にベースプレート133を固定した下鋼材132を定着プレート131で下部造物3に定着固定して下沓130を構成している。
このように構成した上沓120と下沓130とを、それぞれの滑り部材同士(125,133)が対向するように配置して構成する支承装置110では、上沓120及び下沓130を介して、上部造物2の荷重、すなわち上載荷重は、下部造物3に伝達され、下部造物3で上部造物2を支承する。
このとき、上沓120の円形ベアリング125から伝達された上載荷重は、下沓130における滑り部材の表面から定着プレート131の底面まで、すなわち下部造物3の上面までの間(図8においてTで示す部分)において、所定の荷重分散角度αで広がって伝達される。なお、荷重分散角度αは、鉛直方向に対して外側に広がる角度である。そのため、下部造物3の上面では、上沓120の円形ベアリング125の面積より、下沓130における滑り部材の表面から下部造物3の上面まで高さ、及び荷重分散角度αに応じて広がった受圧面積である荷重分散範囲(基準受圧範囲Pb)で支持することとなる。
これら荷重分散範囲における受圧面積や上載荷重に応じて、下部造物3や、支承装置110の部材の強度や寸法を設定する。しかしながら、滑り部材同士(125,133)を滑らせて支持する滑り支承装置において、滑り性能に影響を及ぼすため、下部造物3の強度に合わせて、上沓120の円形ベアリング125の平面サイズを変更することは好ましくない。
したがって、上沓120の円形ベアリング125の平面サイズを変更せずに、下部造物3の上面における受圧面積及び上載荷重により下部造物3の強度を設定することとなる。そのため、強度の面から下部造物3として採用できる材料(例えば、コンクリートのランク)が限定されてしまっていた。また、下部造物3の強度以外の設計要素(例えば、鋼材の板厚)についても選択肢の幅が狭かった。つまり、下部造物3の強度等の様々な設計要素についての選択肢が限定され、滑り性能に影響を及ぼさずに支承構造を低コストで構築することが困難となっていた。
特開2000−120774号公報
そこで本発明では、滑り性能に影響を与えることなく、設計要素についての選択肢を拡充し、より適切に設計要素を組み合わせて無駄のない支承構造を構築できる支承装置の設計方法を提供することを目的とする。
この発明は、上部造物の底面に配置した上沓、及び下部造物の上面に配置した下沓で構成するとともに、前記上沓及び前記下沓の対向部分である上沓摺動面と下沓摺動面の摺動を許容する支承装置の設計方法であって、前記上沓摺動面を、同じ所定間隔を隔てて配置された複数の分割摺動面部材で構成するとともに、前記下沓摺動面を構成する下沓摺動面部材を、複数の前記分割摺動面部材を配置して構成する前記上沓摺動面の配置範囲より広く形成し、該分割摺動面部材における摺動面の面積である摺動面積を合計した合計摺動面積を、当該支承装置で負担する前記上部造物による負担荷重に基づく基準摺動面積に応じた面積で設定するとともに、前記所定間隔を、相互に最も近接して隣り合う前記分割摺動面部材の中心の両方を通る断面において、前記分割摺動面部材から伝達された鉛直荷重が下沓摺動面から前記下部建造物の上面までの間を荷重分散角度に応じて分散する、前記下部建造物の上面における加重分散範囲の外縁が、隣り合う前記分割摺動面部材同士で一致する間隔である最大離間間隔以下の間隔に設定することを特徴とする。
上記支承装置は、剛滑り支承、あるいは弾性滑り支承とすることができる。
上記分割摺動面部材は、円形、楕円形、多角形等の様々な平面形状で形成した部材とすることができるともに、所定範囲において、同心円状、マトリックス状、千鳥状、あるいはランダムに配置することができる。
上記基準摺動面積とは、一様な一体もので構成された一般的な上沓の摺動面として、負担する荷重に基づいて定まる面積である。
上述の基準摺動面積に応じた面積で設定するとは、該分割摺動面部材における摺動面の面積である摺動面積を合計した合計摺動面積を、一様な一体もので構成された一般的な摺動面の面積である基準摺動面積以上に設定することであるが、基準摺動面積よりわずかに狭い面積も含むこととする。
上述の下沓摺動面部材を、複数の前記分割摺動面部材を配置して構成する前記上沓摺動面の配置範囲より広く形成したとは、所定範囲において配置した分割摺動面部材のうち外側に配置された分割摺動面部材の外側を結ぶ外周縁より広い形状である。
上記荷重分散範囲は、各分割摺動面部材から伝達された鉛直荷重が作用する受圧面積に対応する範囲である。
この発明により、滑り性能に影響を与えることなく、支承装置における設計要素についての選択肢を拡充し、より適切に設計要素を組み合わせて無駄のない支承構造を構築することができる。したがって、例えば、造物を低コストで構築することができる。
詳しくは、前記上沓摺動面を、所定間隔を隔てて配置された複数の分割摺動面部材で構成し、該分割摺動面部材における摺動面の面積である摺動面積を合計した合計摺動面積を、当該支承装置で負担する前記上部造物による負担荷重に基づく基準摺動面積に応じた面積で設定することにより、一様な一体もので構成された一般的な上沓の摺動面における滑り性能を確保したまま、上沓摺動面部材を分割することができる。
また、上述したように、上沓の上沓摺動面部材の摺動面から伝達された上載荷重は、下沓における下沓摺動面部材の表面から下部造物の上面までの間において、所定の荷重分散角度で広がって伝達されるため、下部造物の上面において上載荷重を支持する荷重分散範囲の面積である受圧面積を、一様な一体もので構成された一般的な上沓の摺動面から伝達された荷重分散範囲の受圧面積に比べ、拡大することができる。したがって、下部造物の上面における単位面積当たりの支持荷重を低減することができ、例えば、下部造物の構成するコンクリートの設計強度を低減したり、下部造物の部材強度を低減することができ、低コスト化を図ることができる。
さらに、例えば、下沓を、上述したような定着プレート、下鋼材、ベースプレートとで構成して、下部造物の上面に定着固定するとともに、荷重分散角度を考慮して下沓の高さで受圧面積を下部造物の強度に応じて調整している場合において、所定間隔を隔てて配置された複数の分割摺動面部材で上沓摺動面を構成することにより、下沓の高さ、すなわち厚みを低減することができる。したがって、下沓に要するコストや重量を低減することができる。なお、下沓の重量を低減することは、下部造物において、重心より高い位置において作用する死荷重を低減することとなり、下部造物の構造的必要強度を低減することができる。
また、所定間隔を隔てて配置された複数の分割摺動面部材で上沓摺動面を構成することにより、取り付け汎用性が向上するとともに、施工性が向上する。詳しくは、分割摺動面部材は、一様な一体もので構成された一般的な上沓の摺動面部材に比べ、小型化できるため、狭隘な箇所にも取り付けることができ、取り付け汎用性が向上する。さらに、小型化、つまり軽量化されるため、容易に取り扱うことができ、施工性が向上する。
また、前記分割摺動面部材を、前記分割摺動面部材同士を同じ所定間隔で隔てて配置することにより、上部建造物の上載荷重が拡大された受圧面積全体に略均等に作用するため、下部建造物の設計強度を無駄のない状態で利用することができる。
また、互に最も近接して隣り合う前記分割摺動面部材の中心の両方を通る断面において、前記分割摺動面部材から伝達された鉛直荷重が下沓摺動面から前記下部建造物の上面までの間を荷重分散角度に応じて分散する、前記下部建造物の上面における加重分散範囲の外縁が、隣り合う前記分割摺動面部材同士で一致する間隔を最大離間間隔とし、前記所定間隔を、前記最大離間間隔以下の間隔に設定することにより、滑り性能に影響を与えることなく、より適切な設計要素の組み合わせを実現することができる。
詳しくは、前記加重分散範囲の外縁が、隣り合う前記分割摺動面部材同士で一致する間隔である最大離間間隔に、前記所定間隔を一致させることにより、各分割摺動面部材における荷重分散範囲同士がラップせず、各分割摺動面部材における荷重分散範囲の合計である全受圧面積は最大となる。
仮に、前記所定間隔を、最大離間間隔より広く設定すると、各分割摺動面部材における荷重分散範囲の合計である全受圧面積は変化せず、分割摺動面部材の配置範囲のみが広がり、下沓の下沓摺動面部材の平面サイズも大きくなる。下沓の下沓摺動面部材が大きくなると、重量やコストが増大する。
これに対し、前記所定間隔を、最大離間間隔以下に設定することにより、全受圧面積に対して分割摺動面部材の配置範囲のみが広がることを防止し、下沓の下沓摺動面部材の平面サイズの拡大を防止できる。したがって、下沓の下沓摺動面部材の重量やコストの増大を防止することができる。
この発明の構成として、前記分割摺動面部材を、摺動面部材同士が摺動する摺動面内方向において円形状に形成することができる。
この発明の構成により、摺動面部材同士が摺動する摺動面内方向において円形状に前記分割摺動面部材を形成することにより、前記分割摺動面部材の方向性がなくなり、取り付け施工における施工性が向上する。また、取り付け方向性がないため、方向性のある分割摺動面部材に比べて、部品点数を低減し、その結果、部材コストを低減することができる。
またこの発明の構成として、前記荷重分散角度をα、前記下沓摺動面から前記下部造物の上面までの間を荷重伝達鉛直距離Tとし、前記所定間隔Lを、L=T×tanαとすることができる。
この発明の構成により、滑り性能に影響を与えることなく、さらに適切な設計要素の組み合わせを実現することができる。
詳しくは、通常、安全率を考慮することによって、荷重分散範囲において荷重は等分布に作用するとして設計するが、厳密には、荷重分散範囲において中心から径外側に向かって作用する荷重の分布量を低減すると考えられる。そこで、前記所定間隔Lを、L=T×tanαとすることにより、荷重の分布量の少ない径外側部分同士をラップさせることにより、受圧面積全体に作用する荷重の分布量を均等化するとともに、分割摺動面部材の配置範囲を小型化することができる。したがって、下沓の下沓摺動面部材の平面サイズの拡大を防止でき、下沓の下沓摺動面部材の重量やコストの増大を防止することができる。
またこの発明の構成として、前記上沓摺動面を、相互に最も近接する3つの前記分割摺動面部材を同じ所定間隔で正三角形配置するとともに、中心に1個と、全体として少なくとも1周以上の六角形状を成すように複数個とを配置し、中心、及び六角形状に配置した前記分割摺動面部材の全体個数を、下記数式(1)及び数式(2)で定まる数とすることができる。
Figure 0005906495
ただし、前記数式1及び数式2中のnは、分割摺動面部材を配置して構成する同心状の六角形の周数を表す。
上記数式で定まる数で構成する六角形は、ひとつの分割摺動面部材を中心として、その径外方向に複数周の同心円状に分割摺動面部材を配置して構成する六角形である。
この発明の構成により、分割摺動面部材を配置する平面の直交する二方向において同様の配置範囲内で、分割摺動面部材同士を同じ所定間隔で配置することができる。したがって、受圧面積全体に作用する荷重の分布量を均等化するとともに、分割摺動面部材の配置範囲を小型化することができる。
本発明により、滑り性能に影響を与えることなく、設計要素についての選択肢を拡充し、より適切に設計要素を組み合わせて無駄のない支承構造を構築できる支承装置の設計方法を提供することができる。
支承構造の概略図。 支承装置の概略図。 上沓の分解斜視図。 分割滑り材と、従来の滑り材とを比較する説明図。 分割滑り材の配置間隔についての説明図。 分割滑り材の配置パターンについての説明図。 滑り材における摩擦係数の面圧依存性についてのグラフ。 従来の支承構造の概略図。 従来の支承装置の概略平面図。
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1は支承構造1の概略断面図を示し、図2は支承装置10の概略平面図を示し、図3は上沓20の分解斜視図を示し、図4は分割ベアリング25と、従来の円形ベアリング125とを比較する説明図を示し、図5は分割ベアリング25の配置間隔についての説明図を示し、図6は分割ベアリング25の配置パターンについての説明図を示し、図7は分割ベアリング25における摩擦係数の面圧依存性についてのグラフを示している。
詳しくは、図1は中央より左側における上部造物2及び上沓20部分は図2におけるイ−イ断面図を示し、左側における下部造物3及び下沓30部分は図2におけるウ−ウ断面図を示し、中央より右側をア−ア断面図で表わした概略図であり、図2は中央より左側に上沓20の底面図を実線で示すとともに、下沓30の平面図を破線で示しており、中央より右側に上沓20の底面図を破線で示すとともに、下沓30の平面図を実線で示す概略図である。
図3は上沓20の一部の構成要素を分解した底面側からの分解斜視図を示し、図4(a)は従来の円形ベアリング125及び基準受圧範囲Pbの底面図、図4(b)は分割ベアリング25、受圧範囲P、並びに合成受圧範囲Ptの底面図を示している。
図5(a)は分割ベアリング25を最大離間間隔Lmaxで配置した場合の概略平面図及び概略断面図を示し、同様に、図5(b)は分割ベアリング25を最小離間間隔Lminで配置した場合、図5(c)は分割ベアリング25を平準化離間間隔Leqで配置した場合、及び図5(d)は分割ベアリング25を、最大離間間隔Lmaxを超えて配置した場合についてそれぞれの概略平面図及び概略断面図を示している。
図6(a)は分割ベアリング25を正六角形に配置したパターンの概略平面図を示し、同様に、図6(b)は菱形パターン、図6(c)は矩形パターン、及び図6(d)は長六角形パターンについてそれぞれの概略平面図を示している。
図8は従来の支承装置110の中央より左側における上部造物2及び上沓120部分は図9におけるイ−イ断面図を示し、左側における下部造物3及び下沓130部分は図9におけるウ−ウ断面図を示し、中央より右側をア−ア断面図で表わした概略図であり、図9は中央より左側に上沓120の底面図を実線で示すとともに、下沓130の平面図を破線で示しており、中央より右側に上沓120の底面図を破線で示すとともに、下沓130の平面図を実線で示す概略図である。
支承構造1は、マンション、オフィスビル、工場、公共施設等の各種の建物の上部造物2を、支承装置10を介して、基礎等の下部造物3で支持する構造であり、支承装置10は、上部造物2の底面に固定した上沓20と、下部造物3の上面に固定した下沓30とで構成している。
なお、支承構造1は、上述のように、基礎を下部造物3、建物を上部造物2として、下部造物3で上部造物2を支持する場合の支承装置10を用いた構造のみならず、橋梁において主桁を橋脚から支持する場合の支承装置、ビルとビルとを連絡する渡り廊下をビルから支持する場合の支承装置、トラス屋根を柱で支持する場合の支承装置、あるいは、ビル同士を接続するエキスパンション構造における支承装置として用いた支承構造であってもよい。
上沓20は、上から順に、定着プレート21、ベースポット22、弾性プレート23、ピストン24、及び分割ベアリング25で構成している。
定着プレート21は、平面視正方形状の鋼製であり、上面に、上部造物2に定着するための定着凸部21a(図3では図示省略、図1参照)と、上部造物2に埋め込んだ埋込みアンカ2aに対してボルト結合するためのボルト孔21bを四隅に備えている。
ベースポット22は、定着プレート21に重ね合わされるベース本体22aと、ベース本体22aの底面に配置され、角部が面取された八角柱状の柱状部22bとで構成する鋼製体であり、弾性プレート23、及びピストン24の嵌合を許容する円筒形の凹部に構成する嵌合凹部22cを、柱状部22bの底面に形成している。
弾性プレート23は、嵌合凹部22cよりわずかに小さな径の円形、且つ嵌合凹部22cの深さの半分程度の高さ(厚み)を有するゴム製のプレートである。
ピストン24は、ステンレス製の略円柱形状であり、後述する分割ベアリング25の嵌合を許容する円形凹部24bを底面24aに形成している。なお、円形凹部24bは、嵌合された分割ベアリング25が所定の間隔で、所定の配置となるように形成しており、後述する分割ベアリング25の高さ(厚み)に対して半分程度の深さで形成している。
分割摺動面部材として機能する分割ベアリング25は、例えばPTFE(ポリテトラフロロエチレン)等のフッ素樹脂で構成された円柱体であり、自己潤滑性を有しており、表面が低摩擦係数である。そして、円形凹部24bに嵌合することによって、分割ベアリング25は、ピストン24の底面24aから突出する態様で装着することができる。
なお、円柱体で構成した分割ベアリング25の底面積を摺動面積Sとする。そして、円形凹部24bに嵌合してピストン24に装着された分割ベアリング25の配置については後述する。また、分割ベアリング25は、鋼製磨き材や、鋼製板材をPTFEコーティングして構成してもよい。
なお、ピストン24の底面24aに分割ベアリング25が嵌合する円形凹部24bを形成せずとも、ピストン24の底面24aに分割ベアリング25を、接着剤等により直接接合する構成であってもよい。
このように構成した上沓20は、弾性プレート23及び、円形凹部24bに分割ベアリング25を嵌め込んだピストン24を、上からこの順で嵌合凹部22cに嵌合し、上沓20を組付ける。
下部造物3の上面に装着される下沓30は、下から順に、下部造物3に対して沓座モルタル3aを介して装着される定着プレート31、下鋼材32、下滑り面を構成するベースプレート33とで構成している。
定着プレート31は、平面視正方形状の鋼製であり、底面に、下部造物3に定着するための定着凸部31aと、下部造物3に埋め込んだ埋込みアンカ3bに対してボルト結合するためのボルト孔31bを四隅に備えている。
下鋼材32は、定着プレート31と同じ平面形状の鋼製板材であり、所定の厚みで構成している。なお、定着プレート31のボルト孔31bと同位置に、ボルト孔32bを備えている。
摺動面部材として機能するベースプレート33は、平面視正八角形状に形成され、下鋼材32の上面に固定されている。なお、ベースプレート33は、鋼製磨き材で構成しているが、鋼製板材をPTFEコーティングして構成してもよい。また、ベースプレート33は、ベースプレート33と分割ベアリング25とが摺動する摺動面における面内方向、つまり平面視において、ピストン24に離間間隔Lを隔てて装着された分割ベアリング25の配置外縁E(図2において一点鎖線で図示)より、広く形成している。
なお、下部造物3の上面と定着プレート31との間に介在する沓座モルタル3aは、圧縮強度が高く、硬化する際に収縮しない無収縮モルタルで構成しており、沓座モルタル3aの上面は、下部造物3において、支承装置10を介して上部造物2の荷重を受ける受圧面3aaを構成している。
上述のように構成した上沓20を上部造物2の底面に固定し、下沓30を沓座モルタル3aの上面に載置して下部造物3に固定し、下沓30のベースプレート33と、上沓20の分割ベアリング25とを対向させて支承装置10を構成するように、下部造物3の上に上部造物2を載置して、支承構造1を構成している。
次に、略円柱形状であるピストン24の円形凹部24bに装着した分割ベアリング25の配置について詳述する。
図4(b)に示すように、分割ベアリング25は、円形の底面24aにおいて、底面24aの中心と、及び径方向外側において、該中心を同心とした正六角形状に3周分配置している。そして、全部で37個の分割ベアリング25により、図4(a)に示すような、従来の支承装置110における上沓120の円形ベアリング125の面積(後述する基準摺動面積Sb)に応じた面積となるように構成している。
なお、従来の支承装置110は、図8及び図9に示すように、上沓120と下沓130とで構成するとともに、上沓120の円形ベアリング125と、下沓130のベースプレート133とを対向させて構成している。そして、円形ベアリング125は、一様な一体もので構成された一般的な上沓120の摺動面として、負担する上部造物2の鉛直荷重に基づいて定まる面積(基準摺動面積Sb)で構成された円形形状で形成している。
分割ベアリング25の配置について詳述すると、図6(a)に示すように、中心Cより一周分外側の六角形状(以下において、一周目六角形R1)は、中心Cに配置した分割ベアリング25(以下において中心分割ベアリング250とする)を頂点とし、周方向に連続する6つの正三角形を構成するように、6つの分割ベアリング25を、離間間隔Lを隔てて配置し、6つの分割ベアリング25で頂点となる一周目六角形R1を形成している。この6つの分割ベアリング25を、1周目分割ベアリング251とする。
中心より二周分外側の六角形状、つまり一周目六角形R1より一周分外側の六角形状(以下において、二周目六角形R2)は、一周目六角形R1における各一周目分割ベアリング251を頂点とし、径内側向きに凸な正三角形、径外側向きに凸な正三角形、及び径内側向きに凸な正三角形が、一周目分割ベアリング251同士で構成する各辺に対して連続するように、12個の分割ベアリング25を、離間間隔Lを隔てて配置することにより、各頂点及び各頂点同士を結ぶ各辺の中間に分割ベアリング25が配置された二周目六角形R2を形成している。この12個の分割ベアリング25を、二周目分割ベアリング252とする。
中心より三周分外側の六角形状、つまり二周目六角形R2より一周分外側の六角形状(以下において、三周目六角形R3)は、二周目六角形R2における各二周目分割ベアリング252を頂点とし、径内側向きに凸な正三角形、径外側向きに凸な正三角形、径内側向きに凸な正三角形、径外側向きに凸な正三角形、及び径内側向きに凸な正三角形が、二周目分割ベアリング252同士で構成する各辺に対して連続するように、18個の分割ベアリング25を、離間間隔Lを隔てて配置することにより、各頂点及び各頂点同士を結ぶ各辺の間に2つの分割ベアリング25が配置された三周目六角形R3を形成している。この18個の分割ベアリング25を、三周目分割ベアリング253とする。
支承装置10における分割ベアリング25は、中心Cに配置した中心分割ベアリング250、一周目六角形R1に配置した6つの一周目分割ベアリング251、二周目六角形R2に配置した12個の二周目分割ベアリング252及び三周目六角形R3に配置した18個の三周目分割ベアリング253の合計37個となる。それぞれの底面積を摺動面積Sとした分割ベアリング25について37個全てを合計した面積を合計摺動面積Stとする。
さらに、中心分割ベアリング250と各一周目分割ベアリング251とは等間隔、各一周目分割ベアリング251と最も近接する3つの二周目分割ベアリング252とは等間隔、各二周目分割ベアリング252と最も近接する3つの三周目分割ベアリング253とは等間隔に配置されている。
なお、本実施例において、中心Cの外側に3周分の六角形R(R1,R2,R3)を37個の分割ベアリング25で構成したが、3周分に限らず、3周より少なくても、あるいは3周より多くてもよく、その場合における分割ベアリング25の配置数は、次式で求めることができる
Figure 0005906495
ただし、前記数式1及び数式2中のnは、分割ベアリング25を配置して構成する同心状の六角形Rの周数を表す。例えば、3周分の六角形Rで構成した上述の説明の場合においては、nは3となる。
この数式で算出された個数の分割ベアリング25で、上沓120の摺動面として、負担する上部造物2の鉛直荷重に基づいて定まる面積で形成された従来の円形ベアリング125に対応する面積を確保するように、分割ベアリング25の形状を設定すればよい。
詳しくは、上部造物2の上載荷重等の諸条件に基づく滑り性能に応じて定まる円形ベアリング125の底面の面積を基準摺動面積Sbとし、各分割ベアリング25の底面の摺動面積Sの合計である合計摺動面積Stが基準摺動面積Sbに近似するように分割ベアリング25の個数を定める。なお、合計摺動面積Stが基準摺動面積Sb以上であればより好ましいが、合計摺動面積Stが基準摺動面積Sbよりわずかに小さくてもよい。
もちろん、分割ベアリング25の配置、すなわち六角形Rの周数に基づいて分割ベアリング25の個数を予め設定し、基準摺動面積Sb及び分割ベアリング25の個数から、分割ベアリング25の形状、すなわち各分割ベアリング25の摺動面積Sを定めてもよい。
続いて、上述したような配置である分割ベアリング25(250,251,252,253)同士の離間間隔Lについて、詳述に説明する。
上述したように構成した支承装置10を有する支承構造1では、上部造物2の鉛直荷重は、支承装置10を介して下部造物3に伝達され、下部造物3で支持する。詳しくは、図1及び図5に示すように、上部造物2の鉛直荷重は、下沓30のベースプレート33に対向する上沓20の分割ベアリング25から所定の荷重分散角度αで傾斜する仮想分散ラインVLで分散し、下部造物3における受圧面である沓座モルタル3aの受圧面3aaにおける受圧範囲Pで支持する。
なお、円形に形成した分割ベアリング25から伝達された鉛直荷重を支持する受圧範囲Pは、図5(a)の上図に示すように、円形となる。また、図1や図5では、荷重分散角度αを一般的な45度として図示しているが、荷重分散角度αの角度は造物の設計基準や造物の強度、あるいは安全率等に応じて適宜設定すればよい。
さらには、荷重分散角度αを、図1や図5に示すように、鉛直方向に対する角度としてもよいが、下部造物3における受圧面等の水平面に対する角度を分散角度としてもよい。
図5(a)の下図に示すように、相互に最も近接して隣り合う分割ベアリング25の中心同士を通る断面において、荷重分散角度αに応じて分散された、隣り合う分割ベアリング25から受ける受圧範囲P同士が受圧面3aaで一致する、つまり仮想分散ラインVLの下端が受圧面3aaで一致する離間間隔Lを、最大離間間隔Lmaxとし、図5(b)に示すように、分割ベアリング25同士が接する、つまり、離間間隔Lが0である間隔を最小離間間隔Lminとしている。
このように、離間間隔Lを最小離間間隔Lmin以上最大離間間隔Lmax以下に設定することにより、受圧範囲Pが、円形状の分割ベアリング25の縁端より、荷重分散角度α及び荷重伝達鉛直距離Tに応じて広がるため、上部造物2の鉛直荷重を下部造物3で支持する受圧範囲Pの面積、つまり受圧面積が広がる。
ピストン24によって六角形配置された分割ベアリング25全体においては、各分割ベアリング25による受圧範囲Pが合成された合成受圧範囲Ptの面積は、図4に示すように、円形ベアリング125による基準受圧範囲Pbの面積に比べて広い範囲となる。
ここで、各分割ベアリング25の底面の摺動面積Sの合計である合計摺動面積Stは従来の基準摺動面積Sbに近似させているため、図7に示すように、支承装置10における滑り性能に大きく影響を与える、下沓30におけるベースプレート33に負荷される面圧を変更することなく、支承装置10を介して伝達された上部造物2の荷重を支持する合成受圧範囲Ptの面積を拡大することができる。したがって、支承装置10の滑り性能を維持したまま、下部造物3の部材強度(コンクリートの強度)を低減することができる。
また、図5(d)に示すように、離間間隔Lが最大離間間隔Lmaxを超えた場合、受圧範囲P同士が離れるため、上部造物2の鉛直荷重を下部造物3で支持する受圧面積は、最大離間間隔Lmaxの場合と変わらないが、荷重を受けるのに必要な下部造物3の平面サイズが大きくなる。そのため、支承装置10の滑り性能を維持したまま、下部造物3の部材強度(コンクリートの強度)を低減することができるという効果は得ることはできるものの、下部造物3の平面サイズが大きくなることによる死荷重の増加、材料コストの増大を招くため、好ましくない。
なお、隣り合う分割ベアリング25における受圧範囲P同士の位置関係の調整は、離間間隔Lの調整のみならず、荷重伝達鉛直距離Tを調整してもよい。すなわち、合成受圧範囲Ptの面積が拡大した分だけ、定着プレート31、下鋼材32、下滑り面を構成するベースプレート33とで構成される下沓30の厚みを低減することができる。例えば、下沓30のうち、下鋼材32の厚みを低減することができる。さらには、離間間隔L及び荷重伝達鉛直距離Tの両方を調整してもよい。
このように、上部造物2の底面に配置した上沓20、及び沓座モルタル3aの受圧面3aaに配置した下沓30で構成するとともに、上沓20及び下沓30の対向部分である分割ベアリング25の摺動面(底面)とベースプレート33の摺動面(上面)の摺動を許容する支承装置10において、複数の分割ベアリング25を、離間間隔Lを隔てて配置し、分割ベアリング25の摺動面積Sを合計した合計摺動面積Stを、当該支承装置10で負担する上部造物2による負担荷重に基づく基準摺動面積Sb、つまり従来の支承装置110における上沓120の円形ベアリング125の面積に応じた面積で設定するとともに、ベースプレート33の摺動面(上面)を、複数を配置した分割ベアリング25の配置外縁Eより広く形成したことにより、滑り性能に影響を与えることなく、支承装置10における設計要素についての選択肢を拡充し、より適切に設計要素を組み合わせて無駄のない支承構造を構築することができる。したがって、例えば、支承構造1を低コストで構築することができる。
詳しくは、複数の分割ベアリング25を、離間間隔Lを隔てて配置し、分割ベアリング25の摺動面積Sを合計した合計摺動面積Stを、当該支承装置10で負担する上部造物2による負担荷重に基づく基準摺動面積Sbに応じた面積で設定することにより、一様な一体もので構成された一般的な上沓の摺動面(従来の支承装置110の上沓120における円形ベアリング125の底面)における滑り性能を確保したまま、離間間隔Lを隔てて配置した複数の分割ベアリング25により、支承装置10を介して伝達された上部造物2の荷重を支持する合成受圧範囲Ptの面積を従来の円形ベアリング125の場合における基準受圧範囲Pbの面積に比べ拡大することができる。よって、下部造物3における沓座モルタル3aの受圧面3aaにおいて、単位面積当たりに作用する荷重の低減効果を得ることができる。
したがって、支承装置10の滑り性能を維持したまま、下部造物3の部材強度(コンクリートの強度)を低減することができる。
さらに、例えば、下沓30を、上述したような定着プレート31で沓座モルタル3aの受圧面3aaに定着固定するとともに、荷重分散角度α及び定着プレート31、下鋼材32及びベースプレート33の高さ、つまり下沓30の荷重伝達鉛直距離Tの部分で受圧範囲Pの面積を下部造物3の強度に応じて調整している場合において、複数の分割ベアリング25を、離間間隔Lを隔てて配置することにより、定着プレート31、下鋼材32及びベースプレート33の高さ、つまり下沓30の厚みを低減することができる。例えば、下沓30のうち、下鋼材32の厚みを低減することができる。したがって、定着プレート31、下鋼材32及びベースプレート33に要するコストや重量を低減することができる。なお、定着プレート31、下鋼材32及びベースプレート33の重量を低減することは、下部造物3において、重心より高い位置において作用する死荷重を低減することとなり、下部造物3の構造的必要強度を低減することができる。
また、複数の分割ベアリング25を、離間間隔Lを隔てて配置することにより、取り付け汎用性が向上するとともに、施工性が向上する。詳しくは、分割ベアリング25は、一様な一体もので構成された上沓120における円形ベアリング125に比べ、小型化できるため、狭隘な箇所にも取り付けることができ、取り付け汎用性が向上する。さらに、小型化、つまり軽量化されるため、容易に取り扱うことができ、施工性が向上する。
また、分割ベアリング25を円柱状に形成するととともに、分割ベアリング25同士を同じ離間間隔Lで隔てて配置することにより、分割ベアリング25から伝達された鉛直荷重が、拡大された受圧範囲Pの面積の合成である合成受圧範囲Ptの全体に略均等に作用するため、下部造物3の設計強度を無駄のない状態で設定することができる。
また、円柱状に分割ベアリング25を形成することにより、分割ベアリング25の方向性がなくなり、取り付け施工における施工性が向上する。また、取り付け方向性がないため、方向性のある分割ベアリングに比べて、部品点数を低減し、その結果、部材コストを低減することができる。
しかしながら、例えば、多角柱状などの様々な形状の分割ベアリングであっても、分割ベアリング同士を離間間隔Lで隔てて配置することにより、合成受圧範囲Ptの面積は拡大するため、下部造物3における沓座モルタル3aの受圧面3aaにおいて、単位面積当たりに作用する荷重の低減効果を得ることは明らかである。
また、相互に最も近接して隣り合う分割ベアリング25の中心の両方を通る断面において、分割ベアリング25から伝達された鉛直荷重が、ベースプレート33の摺動面(上面)から沓座モルタル3aの受圧面3aaまでの間、つまり荷重伝達鉛直距離Tの部分を荷重分散角度αに応じて分散する、沓座モルタル3aの受圧面3aaにおいて隣り合う分割ベアリング25から受ける受圧範囲Pの外縁が一致する間隔を最大離間間隔Lmaxとし、離間間隔Lを、最大離間間隔Lmax以下の間隔に設定することにより、滑り性能に影響を与えることなく、より適切な設計要素の組み合わせを実現することができる。
詳しくは、離間間隔Lを、最大離間間隔Lmaxに一致させると、各分割ベアリング25における荷重分散範囲同士がラップせず、各分割ベアリング25による受圧範囲Pの合成である合成受圧範囲Ptの面積は最大となる。
仮に、離間間隔Lを、図5(d)に示すように、最大離間間隔Lmaxより広く設定すると、各分割ベアリング25における荷重分散範囲の合計である受圧範囲Pの面積は変化せず、分割ベアリング25の配置外縁Eのみが広がり、下沓30のベースプレート33の平面サイズも大きくなる。下沓30のベースプレート33が大きくなると、重量やコストが増大する。
これに対し、離間間隔Lを、最大離間間隔Lmax以下に設定することにより、受圧範囲Pの面積に対して分割ベアリング25の配置外縁Eのみが広がることを防止し、下沓30のベースプレート33の平面サイズも拡大を防止できる。したがって、下沓30のベースプレート33の重量やコストの増大を防止することができる。
また、分割ベアリング25の摺動面(底面)を、相互に最も近接する3つの分割ベアリング25を同じ離間間隔Lで正三角形配置するとともに、中心と、全体として少なくとも1周以上の六角形状とを配置し、中心と、六角形状に配置した分割ベアリング25の全体個数を、上述の数式(1)及び数式(2)で定まる数とすることにより、分割ベアリング25を配置する平面の直交する二方向において同様の配置外縁E内で、分割ベアリング25同士を同じ離間間隔Lで配置することができる。したがって、合成受圧範囲Pt全体に作用する荷重の分布量を均等化するとともに、分割ベアリング25の配置外縁Eを小型化することができる。
なお、上述の説明においては、相互に最も近接する3つの分割ベアリング25を同じ離間間隔Lで正三角形配置するとともに、全体として六角形状に構成することによって、分割ベアリング25とベースプレート33との摺動面上における中心Cを原点として交差するXY座標(図6における縦横方向)において、分割ベアリング25の配置外縁Eは、X軸及びY軸ともに同距離であるが、例えば、一方向支承装置のように、XY座標における下沓30に対する上沓20の摺動距離がX軸及びY軸で異なる場合において、例えば、図6(b)乃至(d)に示すように分割ベアリング25を配置してもよい。
図6(b)〜図6(d)では、相互に最も近接する3つの分割ベアリング25を同じ離間間隔Lで正三角形配置するとともに、図6(b)では、全体として菱形状となるように配置し、図6(c)では、全体として矩形状となるように配置し、図6(b)では、全体として長六角形状となるように配置している。このように、上沓20の摺動面の形状に応じて、離間間隔Lを隔てて分割ベアリング25を適宜の配置形状で配置すればよい。
さらには、これまでの説明において、相互に最も近接する3つの分割ベアリング25を同じ離間間隔Lで正三角形配置したが、これに限定されず、例えば、矩形状に分割ベアリング25を配置して全体として格子状を構成するように配置してもよく、平行四辺形状に分割ベアリング25を配置して全体として千鳥状を構成するように配置してもよく、六角形状に配置して、全体としてハニカム状を構成するように配置してもよい。しかしながら、相互に最も近接する3つの分割ベアリング25を同じ離間間隔Lで正三角形配置することで、近接する分割ベアリング25同士の間隔が等しくなり、下部造物3の受圧範囲Pにおいて、上部造物2の鉛直荷重が均等に作用する。したがって、下部造物3の必要強度を低減することができる
以上、本発明の構成と、前述の実施態様との対応において、
本実施形態の所定間隔は、離間間隔Lに対応し、
以下同様に、
分割摺動面部材は、分割ベアリング25に対応し、
分割摺動面部材の摺動面積は、摺動面積Sに対応し、
下沓摺動面部材は、ベースプレート33に対応し、
上沓摺動面の配置範囲は、配置外縁Eに対応し、
下部造物の上面は、沓座モルタル3aの受圧面3aaに対応し、
加重分散範囲は、受圧範囲Pに対応するも、上記実施形態に限定するものではない。
例えば、上述したように、離間間隔Lを最小離間間隔Lmin以上最大離間間隔Lmax以下に設定してもよいが、その場合の具体的な例示とすれば、図5(c)に示すように、高さ方向(鉛直方向)の中央位置で仮想分散ラインVL同士が交差する離間距離を平準化離間間隔Leqとしてもよい。
なお、平準化離間間隔Leqは、荷重分散角度をα、下沓30のベースプレート33の上面から、下部造物3における沓座モルタル3aの受圧面3aaまでの高さ、つまり下沓30の厚みを荷重伝達鉛直距離Tとした場合、Leq=T×tanαで算出することができる。
また、離間間隔Lを、L=T×tanαで示す平準化離間間隔Leqとすることにより、滑り性能に影響を与えることなく、さらに適切な設計要素の組み合わせを実現することができる。
詳しくは、通常、安全率を考慮することによって、荷重分散範囲において荷重は等分布に作用するとして設計するが、厳密には、荷重分散範囲において中心から径外側に向かって作用する荷重の分布量を低減すると考えられる。そこで、離間間隔Lを、L=T×tanαで示す平準化離間間隔Leqとすることにより、荷重の分布量の少ない径外側部分同士をラップさせることにより、合成受圧範囲Ptに作用する荷重の分布量を均等化するとともに、分割ベアリング25の配置外縁Eを小型化することができる。
また、分割ベアリング25を円柱状に形成したが、楕円形、多角形等の様々な平面形状の柱状体で構成してもよい。
また、分割ベアリング25の配置外縁Eの外側から分割ベアリング25全体を囲むとともに、ベースプレート33に摺動するダストシールを設けてもよい。ダストシールにより、ベースプレート33上に載ったゴミ等の不要物が分割ベアリング25とベースプレート33との間に入り込み、分割ベアリング25とベースプレート33との滑り性能が低下することを防止できる。なお、上沓20において分割ベアリング25同士の間に上記不要物が入り込むと、外部に不要物を排出し難くなるが、配置外縁Eの外側から囲むダストシールを設けることにより、分割ベアリング25同士の間に不要物が入り込むおそれも低減できる。
上述の実施形態においては、分割ベアリング25を含む支承装置を剛滑り支承とする場合の例を示したが、分割ベアリング25を含む支承装置を弾性滑り支承とすることももちろん可能である。
2…上部造物
3…下部造物
3a…沓座モルタル
3aa…受圧面
10…支承装置
20…上沓
25…分割ベアリング
30…下沓
33…ベースプレート
E…配置外縁
L…離間間隔
Lmax…最大離間間隔
P…受圧範囲
S…摺動面積
Sb…基準摺動面積
St…合計摺動面積
α…荷重分散角度

Claims (4)

  1. 上部造物の底面に配置した上沓、及び下部造物の上面に配置した下沓で構成するとともに、前記上沓及び前記下沓の対向部分である上沓摺動面と下沓摺動面の摺動を許容する支承装置の設計方法であって、
    前記上沓摺動面を、同じ所定間隔を隔てて配置された複数の分割摺動面部材で構成するとともに、
    前記下沓摺動面を構成する下沓摺動面部材を、複数の前記分割摺動面部材を配置して構成する前記上沓摺動面の配置範囲より広く形成し、
    該分割摺動面部材における摺動面の面積である摺動面積を合計した合計摺動面積を、当該支承装置で負担する前記上部造物による負担荷重に基づく基準摺動面積に応じた面積で設定するとともに、
    前記所定間隔を、相互に最も近接して隣り合う前記分割摺動面部材の中心の両方を通る断面において、前記分割摺動面部材から伝達された鉛直荷重が下沓摺動面から前記下部建造物の上面までの間を荷重分散角度に応じて分散する、前記下部建造物の上面における加重分散範囲の外縁が、隣り合う前記分割摺動面部材同士で一致する間隔である最大離間間隔以下の間隔に設定する
    支承装置の設計方法
  2. 前記分割摺動面部材を、摺動面部材同士が摺動する摺動面内方向において円形状に形成する
    請求項1に記載の支承装置の設計方法
  3. 前記荷重分散角度をα、前記下沓摺動面から前記下部造物の上面までの間を荷重伝達鉛直距離Tとして、
    前記所定間隔Lを、L=T×tanαとする
    請求項に記載の支承装置の設計方法
  4. 前記上沓摺動面を、
    相互に最も近接する3つの前記分割摺動面部材を同じ所定間隔で正三角形配置するとともに、中心に1個と、全体として少なくとも1周以上の六角形状を成すように複数個とを配置し、
    中心、及び六角形状に配置した前記分割摺動面部材の全体個数を、下記数式(1)及び数式(2)で定まる数とする
    請求項1乃至うちいずれかに記載の支承装置の設計方法
    Figure 0005906495
    ただし、前記数式1及び数式2中のnは、分割摺動面部材を配置して構成する同心状の六角形の周数を表す。
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