JP5899027B2 - 架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート、粘着テープ及びシール材 - Google Patents

架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート、粘着テープ及びシール材 Download PDF

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Description

本発明は、優れた柔軟性、耐熱性を有する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート、前記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを用いた粘着テープ、及びシール材に関する。
従来から架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、例えば、粘着テープの基材、貼付剤の基材、及び電子機器用のシール材等の様々な用途に使用されている。しかして、これら用途においては、その厚さが薄いこと、及び柔軟性が求められている。
このような架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートとしては、特許文献1に、ポリオレフィン系樹脂に無機充填材を添加した上でシート化し、このシートを延伸して多孔化することによって柔軟性及び機械的強度を向上させた多孔性シートが提案されている。
しかしながら、上記多孔性シートは、その高発泡倍率化が困難であることから、充分な柔軟性を有するものではなく、更に、上記多孔性シートには架橋処理が施されていないことから、多孔性シートを構成しているポリオレフィン系樹脂の融点以上での延伸処理ができず、延伸処理中に多孔性シートに歪みが発生し、多孔性シートが使用中に収縮してしまうという問題点があった。
また、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートとしては、特許文献2に、所定密度を有する超高密度ポリエチレン樹脂及び発泡剤からなり、1Mrad以下の電子線を照射したシート状物を発泡させて得られた架橋エチレン系樹脂発泡体が提案されている。
しかしながら、上記架橋エチレン系樹脂発泡体も充分な柔軟性及び耐熱性を有するものではない。また、この架橋エチレン系樹脂発泡体の発泡倍率を高くして柔軟性を向上させることも考えられるが、発泡倍率を高くすると厚い発泡体しか得ることができないという問題点があった。
特公平7−64942号公報 特公平6−76505号公報
本発明は、優れた柔軟性及び耐熱性を保持しつつ、薄肉化を図ることができる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート、及びこの架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを用いた粘着テープ、及びシール材を提供することを目的とするものである。
[1]押出し成型により得られるポリオレフィン系樹脂シートを架橋、発泡させてなる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートであって、該ポリオレフィン系樹脂シートは、重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂を40質量%以上含有するものであり、該架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、以下の条件(a)〜(e)を満たすことを特徴とする架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート。
<条件>
(a)架橋度が5〜60質量%
(b)発泡シートの押し出し方向(MD)及び発泡シートの幅方向(CD)の平均気泡径
がそれぞれ180μm以下
(c)気泡のアスペクト比A(MD方向の平均気泡径/CD方向の平均気泡径)が0.2
5〜2
(d)気泡のアスペクト比B(CD方向の平均気泡径/発泡シートの厚さ方向(ZD)の
平均気泡径)が2〜18
(e)発泡シートの発泡倍率が12cm3/g以下
[2]前記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に粘着剤層を設けた粘着テープであって、該架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚さが0.05〜2mmである粘着テープ。
[3]前記粘着テープに対して幅が2mm以下となるようにスリット加工又は打ち抜き加工を施したシール材。
本発明によれば、優れた柔軟性及び耐熱性を保持しつつ、薄肉化を図ることができる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート、この架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを用いた粘着テープ、及びシール材を提供することができる。
図1は、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのMD方向、CD方向及びZD方向を示した模式図である。
[架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート]
本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂を40質量%以上含有するポリオレフィン系樹脂を押出し成型することにより得られるポリオレフィン系樹脂シートを架橋、発泡させてなるものであって、該架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートが、特定の条件を満たすことを特徴とする。
なお、本明細書においては、「重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂」を「メタロセン重合ポリエチレン系樹脂」と称す場合がある。
<ポリオレフィン系樹脂シート>
本発明におけるポリオレフィン系樹脂シートは、前記の通り、メタロセン重合ポリエチレン系樹脂を40質量%以上含有するポリオレフィン系樹脂を押出し成型することにより得られるシートである。
ポリオレフィン系樹脂シート中のメタロセン重合ポリエチレン系樹脂の含有量が40質量%未満であると、粘着性が増加し、後述する気泡のアスペクト比を所定範囲内とすることができず、結果として、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの機械的強度及び柔軟性が低下する。すなわち、ポリオレフィン系樹脂シートの延伸時においては、発泡シート中の気泡が延伸方向に延ばされて気泡壁同士が近接した状態となっており、エチレン−酢酸ビニル共重合体のように粘着性が高いポリオレフィン系樹脂を主成分として用いた場合には、気泡壁同士が互いに密着一体化してしまうため、特定の気泡のアスペクト比を得ることが難しくなる。このような観点から、メタロセン重合ポリエチレン系樹脂の含有量は、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
なお、メタロセン重合ポリエチレン系樹脂の含有量が100質量%とは、ポリオレフィン系樹脂として、メタロセン重合ポリエチレン系樹脂のみを用いた場合を意味する。
前記メタロセン重合ポリエチレン系樹脂としては、後述のメタロセン化合物を用いて、エチレンと少量のα−オレフィンとを共重合することにより得られる直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
前記α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテン等が挙げられる。
≪メタロセン化合物≫
本発明においては、重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いる。
このメタロセン化合物としては、遷移金属をπ電子系の不飽和化合物で挟んだ構造を有するビス(シクロペンタジエニル)金属錯体等の化合物を挙げることができる。より具体的には、チタン、ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、及び白金等の四価の遷移金属に、1又は2以上のシクロペンタジエニル環又はその類縁体がリガンド(配位子)として存在する化合物を挙げることができる。
このようなメタロセン化合物は、活性点の性質が均一であり各活性点が同じ活性度を備えている。したがって、前記メタロセン化合物を用いて合成した重合体は、分子量、分子量分布、組成、組成分布等の均一性が高いため、この重合体を含むシートは、架橋が均一に進行する。均一に架橋されたシートにあっては、均一に延伸させることが可能であるため、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚さを均一なものとすることができる。
前記リガンドとしては、例えば、シクロペンタジエニル環、インデニル環等を挙げることができる。これらの環は、炭化水素基、置換炭化水素基又は炭化水素−置換メタロイド基により置換されていてもよい。前記炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種アミル基、各種ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種セチル基、フェニル基等が挙げられる。なお、「各種」とは、n−、sec−、tert−、iso−を含む各種異性体を意味する。
また、前記環をオリゴマーとして重合したものをリガンドとして用いてもよい。
さらに、前記π電子系の不飽和化合物以外にも、塩素や臭素等の一価のアニオンリガンド又は二価のアニオンキレートリガンド、炭化水素、アルコキシド、アリールアミド、アリールオキシド、アミド、アリールアミド、ホスフィド、アリールホスフィド等を用いてもよい。
前記の四価の遷移金属やリガンドを含むメタロセン化合物としては、例えば、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−n−ブチルフェニルアミドジルコニウムクロリド、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロリド、インデニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジエチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジ−n−プロピルアミド)、インデニルチタニウムビス(ジ−n−ブチルアミド)(ジ−n−プロピルアミド)等が挙げられる。
上記メタロセン化合物は、特定の共触媒(助触媒)と組み合わせることにより、各種オレフィンの重合の際に触媒としての作用を発揮する。具体的な共触媒としては、メチルアルミノキサン(MAO)、ホウ素系化合物等が挙げられる。なお、メタロセン化合物に対する共触媒の使用割合は、10〜100万モル倍が好ましく、50〜5,000モル倍がより好ましい。
≪重合方法及び重合条件≫
メタロセン重合ポリエチレン系樹脂の重合方法としては、特に限定されず、例えば、溶液重合法、実質的に媒体が存在しない塊状重合法、及び気相重合法等が挙げられる。なお、重合温度は−100℃〜300℃が好ましく、重合圧力は常圧〜100kg/cm2が好ましい。
≪その他のポリエチレン系樹脂≫
前記の通り、ポリオレフィン系樹脂シートを構成するポリオレフィン系樹脂は、メタロセン重合ポリエチレン系樹脂を40質量%以上含有するものであれば、他のポリオレフィン系樹脂を含んでいてもよい。
メタロセン重合ポリエチレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。
前記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンを50質量%以上含有するエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレンを50質量%以上含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エチレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。
前記ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、プロピレンを50質量%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。プロピレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。
<架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート>
本発明における架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、以下の条件(a)〜(e)を満たすものである。
<条件>
(a)架橋度が5〜60質量%
(b)発泡シートの押し出し方向(MD)及び発泡シートの幅方向(CD)の平均気泡径
がそれぞれ180μm以下
(c)気泡のアスペクト比A(MD方向の平均気泡径/CD方向の平均気泡径)が0.2
5〜2
(d)気泡のアスペクト比B(CD方向の平均気泡径/発泡シートの厚さ方向(ZD)の
平均気泡径)が2〜18
(e)発泡シートの発泡倍率が12cm3/g以下
なお、本発明におけるMD方向とは、図1に示すように、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート1の押出方向をいい、CD方向とは、MD方向に直交し且つ架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート1の表面に沿った方向(幅方向)をいい、ZD方向とは、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート1の表面に対して直交する方向をいう。
以下、各条件について詳細に説明する。
≪条件(a):架橋度≫
本発明においては、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの架橋度を5〜60質量%とする。架橋度が5質量%未満であると、発泡シートを延伸する際に発泡シートの表面近傍部の気泡が破泡して表面荒れが生じ、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの外観の意匠性が低下する。一方、架橋度が60質量%を超えると、発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物の溶融粘度が大きくなり過ぎて、発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を加熱発泡する際に発泡し難くなり、所望の発泡倍率に調整することが難しくなる。このような観点から、架橋度は10〜40質量%がより好ましい。
本発明における架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの架橋度は下記の方法で測定されたものを指す。すなわち、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートから約100mgの試験片を採取し、試験片の重量A(mg)を精秤する。次に、この試験片を120℃のキシレン30cm3中に浸漬して24時間放置した後、200メッシュの金網で濾過して金網上の不溶解分を採取、真空乾燥し、不溶解分の重量B(mg)を精秤する。得られた値から、下記式により架橋度(質量%)を算出する。
架橋度(質量%)=100×(B/A)
≪条件(b)〜(d):平均気泡径及びアスペクト比≫
本発明における架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、発泡シートの押し出し方向(MD)及び発泡シートの幅方向(CD)の平均気泡径がそれぞれ180μm以下であり(条件b)、気泡のアスペクト比A(MD方向の平均気泡径/CD方向の平均気泡径)が0.25〜2であり(条件c)、さらに、気泡のアスペクト比B(CD方向の平均気泡径/発泡シートの厚さ方向(ZD)の平均気泡径)が2〜18(条件d)である。
発泡シートの押し出し方向(MD)及び発泡シートの幅方向(CD)の平均気泡径がそれぞれ180μmを超えると、この架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートをシール材として用いた場合に十分なシール性を得ることができない。このような観点から、MD方向及びCD方向の平均気泡径はそれぞれ40〜160μmが好ましく、50〜130μmがより好ましく、50〜125μmが更に好ましく、60〜120μmがより更に好ましい。
前記気泡のアスペクト比A(MD方向の平均気泡径/CD方向の平均気泡径)は、0.25未満であると発泡倍率が低下して柔軟性が低下したり、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚さ、柔軟性及び引張強度にばらつきが発生することがある。一方、アスペクト比Aが2を超えると、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの柔軟性が低下する。このような観点から、アスペクト比Aは0.25〜0.60がより好ましい。
前記気泡のアスペクト比B(CD方向の平均気泡径/ZD方向の平均気泡径)が2未満であると架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの柔軟性が低下し、アスペクト比Bが18を超えると発泡倍率が低下して柔軟性が低下したり、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚さ、柔軟性及び引張強度にばらつきが発生することがある。このような観点から、アスペクト比Bは2.5〜15がより好ましい。
≪MD方向の平均気泡径の測定方法≫
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのMD方向の平均気泡径は下記の方法により測定される。すなわち、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを、CD方向における中央部においてZD方向に平行な面で全長にわたって切断し、切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて60倍に拡大し、ZD方向の全長が収まるように写真撮影する。次いで、撮影した写真における、ZD方向の中央部に写真上での長さが15cm(拡大前の実際の長さ2500μm)の直線を、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート表面と平行になるように描く。この直線上に位置する気泡数を目視により数え、下記式に基づいて気泡のMD方向の平均気泡径を算出する。
MD方向の平均気泡径(μm)=2500(μm)/気泡数(個)
≪ZD方向の平均気泡径の測定方法≫
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのZD方向の平均気泡径は下記の方法により測定される。すなわち、前記MD方向の平均気泡径を算出する際の方法と同様の方法で写真撮影を行なう。撮影した写真において、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの表面に対して直交する方向(ZD)に発泡シートの全長にわたって、3本の直線を切断面のMD方向を四分割するように描く。次いで、各直線の長さを測定すると共に各直線上に位置する気泡数を目視により数え、下記式に基づいて各直線毎に気泡のZD方向の平均気泡径を算出し、これらの相加平均をZD方向の平均気泡径とする。
ZD方向の平均気泡径(μm)=写真上における直線の長さ(μm)/(60×気泡数(個))
≪CD方向の平均気泡径の測定方法≫
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのCD方向の平均気泡径は下記の方法により測定される。すなわち、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを、CD方向に平行で且つ架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの表面に対して直交する方向(ZD)に平行な面で厚さ方向の全長に亘って切断する。次いで、切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて60倍に拡大し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚さ方向の全長が収まるように写真撮影する。そして、撮影した写真に基づいて、MD方向の平均気泡径を測定した時と同様の方法で、CD方向の平均気泡径を算出する。
上述の平均気泡径を測定する方法において、直線上に位置する気泡数を数えるにあたっては、写真上に表れた気泡断面のみに基づいて気泡径を判断する。すなわち、気泡同士は、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面においては気泡壁によって互いに完全に分離しているように見えても、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面以外の部分において互いに連通しているような場合もあるが、本発明においては、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面以外の部分において互いに連通しているか否かについて考慮せず、写真上に表れた気泡膜断面のみに基づいて気泡形態を判断し、写真上に表れた気泡膜断面により完全に囲まれた一個の空隙部分を一個の気泡として判断する。
直線上に位置するとは、直線が気泡を該気泡の任意の部分において完全に貫通している場合をいい、又、直線の両端部においては、直線が気泡を完全に貫通することなく直線の端部が気泡内に位置した状態となっているような場合には、この気泡を0.5個として数えた。
なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面を写真撮影する際、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面を着色すると気泡の判別が容易になると共に、2500μmの目盛りを一緒に拡大して写真撮影しておくと、写真上における直線長さを特定し易くなる。
本発明においては、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの発泡倍率を12cm3/g以下とする。この発泡倍率が12cm3/gを超えると、例えば厚さが2mm以下の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを粘着テープとして用いた場合の材料強度が低下する。このような観点から、発泡倍率は1.2〜12cm3/gがより好ましく、1.3〜10cm3/gが更に好ましい。
≪25%圧縮強度≫
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのJIS K6767に準拠した25%圧縮強度は、15〜200kPaが好ましく、20〜120kPaがより好ましく、22〜65kPaが更に好ましい。25%圧縮強度が前記範囲内であれば、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの感触の低下や、衝撃吸収性能の低下を抑制することができると共に、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを巻き取る際の押圧による厚さの減少を抑制することができる。
≪引張強度≫
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートにおけるMD方向又はCD方向の少なくとも一方向における23℃での引張強度は、粘着テープの基材として用いた場合の材料強度及び切断の容易性の観点から5×102〜8×106kPaが好ましく、8×102〜8×104kPaがより好ましく、1×103〜8×103kPaがさらに好ましい。
なお、本明細書において、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのMD方向又はCD方向における引張強度は、23℃にてJIS K6767に準拠して測定された値である。
≪加熱寸法変化率≫
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの90℃におけるMD方向の加熱寸法変化率は、−10%以上が好ましく、−10〜5%がより好ましく、−2.0〜2.0%が更に好ましい。前記加熱寸法変化率が前記範囲内であると、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを粘着テープの基材として用いた場合に、粘着テープが収縮又は膨張して貼着位置からズレてしまう不具合が防止される。
なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの90℃におけるMD方向の加熱寸法変化率は、測定温度を90℃としたこと以外はJIS K6767に準拠して測定された値である。
≪1mm幅内気泡数≫
1mm幅内気泡数は、後述の実施例に記載の方法で測定することができ、この値が高いほどシール性に優れていることを示す。したがって、本発明における1mm幅内気泡数は5〜20個が好ましく、6〜20個がより好ましく、8〜20個が更に好ましい。
≪架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの製造方法≫
本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの製造方法については、特に制限はなく、例えば、以下の(1)〜(4)の方法により製造することができる。
製造方法(1)
製造方法(1)は、下記(1−1)〜(1−3)の工程を含む。
メタロセン重合ポリエチレン系樹脂を40質量%以上含有するポリオレフィン系樹脂及び熱分解型発泡剤を押出機に供給して溶融混練し、押出機からシート状に押出すことによって発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを製造する工程(1−1)と、
この発泡性ポリオレフィン系樹脂シートに電離性放射線を照射して発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを5〜60質量%の架橋度に架橋させる工程(1−2)と、
架橋させた発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを加熱、発泡させ、得られた発泡シートを発泡時の溶融状態を維持したままMD方向又はCD方向の何れか一方又は双方の方向に向かって延伸させて発泡シートの気泡を延伸し、前述の特性を備える架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを製造する工程(1−3)と
を有する製造方法。
製造方法(2)
製造方法(2)は、下記(2−1)〜(2−3)の工程を含むものである。
メタロセン重合ポリエチレン系樹脂を40質量%以上含有するポリオレフィン系樹脂、熱分解型発泡剤及び有機過酸化物を押出機に供給して溶融混練し、押出機からシート状に押出すことによって発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを製造する工程(2−1)と、
この発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを加熱して有機過酸化物を分解させ、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを5〜60質量%の架橋度に架橋させつつ発泡させる工程(2−2)と、
得られた発泡シートを発泡時の溶融状態を維持したままMD方向又はCD方向の何れか一方又は双方の方向に向かって延伸させて発泡シートの気泡を延伸し、前述の特性を備える架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを製造する工程(2−3)と
を有する製造方法。
製造方法(3)
製造方法(3)は、下記(3−1)〜(3−5)の工程を含むものである。
メタロセン重合ポリエチレン系樹脂を40質量%以上含有するポリオレフィン系樹脂及び熱分解型発泡剤を押出機に供給して溶融混練し、押出機からシート状に押出すことによって発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを製造する工程(3−1)と、
この発泡性ポリオレフィン系樹脂シートに電離性放射線を照射して、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを5〜60質量%の架橋度に架橋させる工程(3−2)と、
架橋させた発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを加熱、発泡させた後に冷却して発泡シートを製造する工程(3−3)と、
この発泡シートを再度、加熱して溶融又は軟化状態とする工程(3−4)と、
上記発泡シートをMD方向又はCD方向の何れか一方又は双方の方向に向かって延伸させて発泡シートの気泡を延伸し、前述の特性を備える架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを製造する工程(3−5)と
を有する製造方法。
製造方法(4)
製造方法(4)は、下記(4−1)〜(4−3)の工程を含むものである。
メタロセン重合ポリエチレン系樹脂を40質量%以上含有するポリオレフィン系樹脂、熱分解型発泡剤及び有機過酸化物を押出機に供給して溶融混練し、押出機からシート状に押出すことによって発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを製造する工程(4−1)と、
この発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを加熱して有機過酸化物を分解させ、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを5〜60質量%の架橋度に架橋させつつ発泡させた後に冷却して発泡シートを製造する工程(4−2)と、
この発泡シートを再度、加熱して溶融又は軟化状態とする工程(4−3)と、
上記発泡シートをMD方向又はCD方向の何れか一方又は双方の方向に向かって延伸させて発泡シートの気泡を延伸し、前述の特性を備える架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを製造する工程(4−4)と
を有する製造方法等が挙げられる。
前記製造方法において用いることができる熱分解型発泡剤としては、特に制限はなく、例えば、アゾジカルボンアミド、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルセミカルバジド等が挙げられる。これらの中では、アゾジカルボンアミドが好ましい。なお、熱分解型発泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物中における熱分解型発泡剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1〜12質量部が好ましく、1〜8質量部がより好ましい。熱分解型発泡剤の添加量が前記範囲内であると、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの発泡性が向上し、所望する発泡倍率を有する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを得ることができると共に、引張強度及び圧縮回復性が向上する。
発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物には、必要に応じて、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等の酸化防止剤、酸化亜鉛等の発泡助剤、気泡核調整材、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、充填材等が、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの物性を損なわない範囲で添加されていてもよい。
発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを架橋する方法としては、例えば、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートに電子線、α線、β線、γ線等の電離性放射線を照射する方法、発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物に予め有機過酸化物を配合しておき、得られた発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを加熱して有機過酸化物を分解させる方法等が挙げられ、これらの方法は併用されてもよい。
前記製造方法において用いることができる有機過酸化物としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機過酸化物の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。有機過酸化物の添加量が前記範囲内であると、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの架橋が進行しやすく、また、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート中に有機過酸化物の分解残渣の量を抑制することができる。
発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡させる方法としては、特に制限はなく、例えば、熱風により加熱する方法、赤外線により加熱する方法、塩浴による方法、オイルバスによる方法等が挙げられ、これらは併用してもよい。
前記発泡シートの延伸は、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡させて発泡シートを得た後に行ってもよいし、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡させつつ行ってもよい。なお、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡させて発泡シートを得た後、発泡シートを延伸する場合には、発泡シートを冷却することなく発泡時の溶融状態を維持したまま続けて発泡シートを延伸してもよく、発泡シートを冷却した後、再度、発泡シートを加熱して溶融又は軟化状態とした上で発泡シートを延伸してもよい。
発泡シートの溶融状態とは、発泡シートをその両面温度が、発泡シートを構成しているポリオレフィン系樹脂の融点以上に加熱した状態をいう。なお、ポリオレフィン系樹脂の融点(℃)とは、示差走査熱量分析(DSC)で熱量分析を行った際に得られる、結晶の融解に伴う吸熱ピークのうち最大ピークの温度をいう。
発泡シートの軟化状態とは、発泡シートをその両面温度T(℃)が下記式を満たす温度に加熱した状態をいう。なお、ポリオレフィン系樹脂の軟化点(℃)とは、ASTM D1525に準拠して測定されたビカット軟化点(vicat softing point)である。
ポリオレフィン系樹脂の軟化点−10℃≦T≦ポリオレフィン系樹脂の軟化点+10℃
上記発泡シートを延伸することによって、発泡シートの気泡を所定方向に延伸し変形させて、気泡のアスペクト比が所定範囲内となった架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを製造することができる。
発泡シートの延伸方向にあたっては、長尺状の発泡性ポリオレフィン系樹脂シートのMD方向、又はCD方向に向かって、又はMD方向及びCD方向に向かって延伸させる。なお、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートをMD方向及びCD方向に向かって延伸させる場合、発泡シートをMD方向及びCD方向に向かって同時に延伸してもよいし、一方向ずつ別々に延伸してもよい。
上記発泡シートをMD方向に延伸する方法としては、例えば、長尺状の発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡工程に供給する速度(供給速度)よりも、発泡後に長尺状の発泡シートを冷却しながら巻き取る速度(巻取速度)を速くすることによって発泡シートをMD方向に延伸する方法、得られた発泡シートを延伸工程に供給する速度(供給速度)よりも、発泡シートを巻き取る速度(巻取速度)を速くすることによって発泡シートをMD方向に延伸する方法等が挙げられる。
なお、前者の方法において、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートは、それ自身の発泡によってMD方向に膨張するので、発泡シートをMD方向に延伸する場合には、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの発泡によるMD方向への膨張分を考慮した上で、その膨張分以上に発泡シートがMD方向に延伸されるように、シートの供給速度と巻取り速度とを調整することができる。
また、上記発泡シートをCD方向に延伸する方法としては、発泡シートのCD方向の両端部を一対の把持部材によって把持し、この一対の把持部材を互いに離間する方向に徐々に移動させることによって発泡シートをCD方向に延伸する方法が好ましい。なお、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートは、それ自身の発泡によってCD方向に膨張するので、発泡シートをCD方向に延伸する場合には、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの発泡によるCD方向への膨張分を考慮した上で、その膨張分以上に発泡シートがCD方向に延伸されるように調整する必要がある。
ここで、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのMD方向における延伸倍率は、小さいと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの柔軟性及び引張強度が低下することがある一方、大きいと、発泡シートが延伸中に切断したり、発泡中の発泡シートから発泡ガスが抜けて発泡倍率が著しく低下し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの柔軟性及び引張強度が低下したり品質が不均一となる場合があるので、1.1〜2.0倍が好ましく、1.2〜1.5倍がより好ましい。
なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのMD方向における延伸倍率は下記要領で算出される。即ち、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの発泡倍率の三乗根Fを求める一方、巻取速度と供給速度の比(巻取速度/供給速度)Vを求め、下記式に基づいて架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのMD方向における延伸倍率を算出することができる。但し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの発泡倍率は、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの比重を架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの比重で除したものをいう。
発泡シートのMD方向における延伸倍率(倍)=V/F
また、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのCD方向における延伸倍率は、小さいと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの柔軟性及び引張強度が低下することがある一方、大きいと、発泡シートが延伸中に切断したり、発泡中の発泡シートから発泡ガスが抜けてしまって、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの発泡倍率が著しく低下し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの柔軟性及び引張強度が低下したり品質が不均一となったりすることがあるので、1.2〜4.5倍が好ましく、1.5〜3.5倍がより好ましい。
なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートにおけるCD方向の延伸倍率は、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートをそのMD方向及びCD方向に延伸させずに加熱、発泡させて得られた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのCD方向の長さをW1とする一方、CD方向に延伸させた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのCD方向の長さをW2とし、下記式に基づいて算出することができる。
発泡シートのCD方向における延伸倍率(倍)=W2/W1
このようにして得られた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの用途としては、特に限定されず、例えば、後述する粘着テープとして用いられたり、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの一面に薬剤を塗布して医療用貼付材として用いられる。
[粘着テープ]
本発明の粘着テープは、前記本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に粘着剤層を設けたものであって、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚さが0.05〜2mmであることを特徴とする。
前記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚さが0.05mm未満であると、柔軟性や引張強さ等が低下して、得られる粘着テープの風合いや機械的強度等が低下する。また、厚さが2mmを超えると、粘着テープの性能の向上を見込めず製造効率が低下する。このような観点から、前記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚さは、0.1〜0.8mmがより好ましい。
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの一面又は両面に積層一体化される粘着剤層を構成する粘着剤としては、特には制限はなく、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等を用いることができる。
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一面に粘着剤を塗布して粘着剤層を積層一体化させる方法としては、例えば、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一面にコーター等の塗工機を用いて粘着剤を塗布する方法、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一面にスプレーを用いて粘着剤を噴霧、塗布する方法、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一面に刷毛を用いて粘着剤を塗布する方法等が挙げられる。
本発明の粘着テープは、凹凸面の凹凸を吸収するための粘着テープとして用いられたり、携帯電話やビデオカメラ等の電子機器本体内に内装される電子部品に衝撃が加わるのを防止し且つ電子機器本体内に埃等が進入するのを防止するための電子機器用シール材として用いることができる。前記本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、薄く加工しても優れた柔軟性及び耐熱性を維持するため、小型化が著しい電子機器用途に好適に用いることができる。
[シール材]
本発明のシール材は、前記本発明の粘着テープに対して幅が2mm以下となるようにスリット加工又は打ち抜き加工を施したものである。
この幅が2mm以下であると、小型パソコン、携帯電話など画面の枠の幅を狭くすることが可能となるので好ましい。この幅が2mmを超える場合には、これを用いる画像表示パネルの外枠の幅が広くなるよう設計必要が生じるため、画面サイズが制約される。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
[実施例1〜3]
重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレン(エクソン・ケミカル社製、商品名「EXACT3027」、密度:0.900g/cm3、融点:98℃、軟化点:85℃)100質量部、アゾジカルボンアミド2質量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.3質量部及び酸化亜鉛1質量部からなる発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を押出機に供給して130℃で溶融混練し、幅が200mmで且つ厚さが0.3mmの長尺状の発泡性ポリオレフィン系樹脂シートに押出した。
次に、上記長尺状の発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの両面に加速電圧800kVの電子線を7Mrad照射して発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを架橋した後、この発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを熱風及び赤外線ヒーターにより250℃に保持された発泡炉内に連続的に送り込んで加熱、発泡させた。
次いで、得られた発泡シートを発泡炉から連続的に送り出した後、この発泡シートをその両面の温度が200〜250℃となるように維持した状態で、発泡シートをそのCD方向に延伸させると共に、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの発泡炉への送り込み速度(供給速度)よりも速い巻取速度でもって発泡シートを巻き取ることによって発泡シートをMD方向に延伸させて、発泡シートの気泡をCD方向及びMD方向に延伸して変形させ、表1に示した幅、厚さ、架橋度、及び発泡倍率を有する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。なお、上記発泡シートの巻取速度は、発泡性ポリオレフィン系樹脂シート自身の発泡によるMD方向への膨張分を考慮しつつ調整した。得られた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例1〜3]
アゾジカルボンアミド5質量部用いたこと、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの両面に照射した電子線を、加速電圧800kV、5Mradとしたこと、及び発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの厚さを0.8mmとしたこと以外は実施例と同様の方法により、表1に示した物性を有する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。得られた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
[評価方法]
≪引張強度≫
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを1mm幅にカットしたものを試料として用い、測定温度を23℃でJIS K6767に準拠して引張強度を測定した。
≪1mm幅内気泡数≫
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの1mm幅内気泡数は下記の要領で測定した。すなわち、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートをシートの厚さ方向を2等分するように、CD方向、MD方向を含むような面(ZD方向に垂直な面)で切断した。次いで、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて60倍に拡大して写真撮影した。得られた写真において、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのCD方向,MD方向に対応する方向について、発泡シートにおける実際の長さが1mmとなるように直線Lcd、Lmdを描く。次に、Lcd、Lmd上にある気泡の数を、それぞれ目視により数え、それぞれNcd、Nmdとし、平均値を1mm幅気泡数(個)とした。
≪25%圧縮強度≫
JIS K6767に準拠して25%圧縮強度を測定した。
≪加熱寸法変化率≫
測定温度90℃でJIS K6767に準拠して加熱寸法変化率を測定した。
≪架橋度≫
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの架橋度は下記の要領で測定した。
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートから約100mgの試験片を採取し、試験片の重量A(mg)を精秤した。次に、この試験片を120℃のキシレン30cm3中に浸漬して24時間放置した後、200メッシュの金網で濾過して金網上の不溶解分を採取、真空乾燥し、不溶解分の重量B(mg)を精秤する。得られた値から、下記式により架橋度(質量%)を算出した。
架橋度(質量%)=100×(B/A)
Figure 0005899027
表1から明らかなように、本発明によれば、柔軟性、耐熱性に優れる共に、薄肉化が可能な架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを提供することができる。

Claims (5)

  1. 押出し成型により得られるポリオレフィン系樹脂シートを架橋、発泡させてなる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートであって、該ポリオレフィン系樹脂シートは、重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂を40質量%以上含有するものであり、該架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、以下の条件(a)〜()を満たすことを特徴とする架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート。
    <条件>
    (a)架橋度が5〜60質量%
    (b)発泡シートの押し出し方向(MD)及び発泡シートの幅方向(CD)の平均気泡径
    がそれぞれ180μm以下
    (c)気泡のアスペクト比A(MD方向の平均気泡径/CD方向の平均気泡径)が0.2
    5〜2
    (d)気泡のアスペクト比B(CD方向の平均気泡径/発泡シートの厚さ方向(ZD)の
    平均気泡径)が2〜18
    (e)発泡シートの発泡倍率が12cm/g以下
    (f)発泡シートのMD方向及びCD方向の1mm幅内気泡数が8〜20個
  2. 前記条件(b)の発泡シートの押し出し方向(MD)及び発泡シートの幅方向(CD)の平均気泡径がそれぞれ130μm以下である請求項1に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート。
  3. JIS K6767に準拠した25%圧縮強度が15〜200kPaであり、かつJIS K6767に準拠して測定したMD方向又はCD方向の少なくとも一方向の引張強度が5×10kPa以上であると共に、JIS K6767に準拠して測定した90℃におけるMD方向の加熱寸法変化率が−10%以上である請求項1又は2に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に粘着剤層を設けた粘着テープであって、該架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚さが0.05〜2mmである粘着テープ。
  5. 請求項4に記載の粘着テープに対して幅が2mm以下となるようにスリット加工又は打ち抜き加工を施したシール材。
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