JP5895035B2 - 高反応性消石灰およびその製造方法、並びに排ガス処理剤 - Google Patents

高反応性消石灰およびその製造方法、並びに排ガス処理剤 Download PDF

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Description

本発明は、反応性が高く酸性ガス等の排ガスの処理剤等として好適な高反応消石灰とその製造方法に関する。
生石灰を消化することにより得られる消石灰は、ゴミ焼却炉等において排ガス煙道に投入することによって酸性ガスを除去する排ガス処理剤としても広く用いられている。
消石灰はBET比表面積や細孔容積が大きいほど酸性ガスとの反応性が高いことから、BET比表面積や細孔容積が大きい消石灰が排ガス処理剤として利用されており、このような高反応性消石灰を製造する方法が種々提案されている。具体的には、生石灰を消化水で消化する際に添加物としてオキシカルボン酸、エタノールアミン類、エチレングリコール等を用いる方法や、ヒドロキシル基を有する有機化合物と二酸化ケイ素を含有する無機化合物とを組み合わせる方法などが提案されている(例えば特許文献1、2)。また消化の際の添加物として、二酸化ケイ素等の無機化合物のみを用いる方法もあるが(例えば特許文献3)、無機物のみを用いた場合には、上記有機化合物を用いた方法に比べ、得られる消石灰のBET比表面積が小さい。
ところで排ガス煙道に投入されて酸性ガスと反応した後の消石灰は、埋め立て処理される場合が多い。埋め立て後の消石灰は、雨水等に晒されることになるため、溶出水中に環境汚染物質を含まないことが要求される。特にCOD(化学的酸素要求量)が低いことが要求される。
特開2012−66976号公報 特開2013−166676号公報 特開2011−116573号公報
上述した特許文献1に記載される技術では、消化時に添加物として有機化合物のみを用いる場合に比べ、約半分程度に溶出水中のCODを低減することができるが、その場合でもCODは数10ppm(mg/L)のオーダーであり十分に低いとは言えない。一方、特許文献3に記載されるように、無機化合物のみを用いた場合にはCOD値は低くなるが、添加物として用いる無機化合物の量をある程度多くしないと、BET比表面積が大きい消石灰を得ることは難しい。また添加物である無機化合物の量を多くした場合には、得られる消石灰には無機化合物の含有量が多く、結果として消石灰の含有量が少なくなるため、酸性ガスとの反応性を向上することができない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、COD値が低く且つBET比表面積、細孔容積の大きい高反応性消石灰を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは、生石灰を消化して消石灰を製造する際に用いる添加物として、水ガラス等を含むナトリウム化合物を用いた場合に、BET比表面積および細孔容積の大きい消石灰が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち本発明の高反応性消石灰は、生石灰を消化水により消化して得られる消石灰であって、消化時に、水ガラス、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、ケイフッ化ナトリウムから選ばれる一種以上のナトリウム化合物を添加することにより製造され、JIS K0102 17により測定したCOD値が30mg/L以下であり、BET比表面積が25m/g以上および/または1000Å以下の細孔容積が0.15cm/g以上の消石灰である。また本発明の高反応性消石灰は、100〜400Åの細孔の細孔容積が0.1cm/g以上である。
また本発明の排ガス処理剤は、上記高反応性消石灰を含むものである。
また本発明の消石灰の製造方法は、粉末状又は粒子状の生石灰に消化水を加え反応するステップと、前記反応するステップにおいて、消化水又は反応系に、添加剤として、有機化合物を含まず、水ガラス、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリム、フッ化ナトリウム、ケイフッ化ナトリウムから選ばれる一種以上のナトリウム化合物を添加するステップと、反応後の消石灰を乾燥するステップと、を含む。
「有機化合物を含まず」とは「実質的な量の有機化合物を含まず」という意味であり、「実質的な量の有機化合物を含まず」とは、不可避的に含まれることになる有機物あるいはCOD値に影響を与えない程度の微量な有機物の混入あるいは添加を除外する趣旨ではないことを明確にしたものである。
本発明の消石灰の製造方法において、好適には、乾燥ステップは100℃以上の熱風を送りながら行う。
本発明の消石灰は、CODが低く、しかもBET比表面積、細孔容積が大きく反応性が高く、HClやSOxを含む酸性ガス処理剤として好適である。特に100〜400Åの細孔の細孔容積が0.1cm/g以上であることにより、高いSOx捕捉効果が得られる。
本発明の消石灰製造方法の概要を示す図。 (a)は本発明(実施例1)の高反応性消石灰の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す図、(b)はJIS特号消石灰のSEM写真を示す図である。 水ガラス添加率を変えた場合の消石灰のBET比表面積の違いを示すグラフ。 水ガラス添加率を変えた場合の消石灰の細孔容積の違いを示すグラフ。 排ガス処理剤を評価するための試験装置を示す図。
以下、本発明の高反応性消石灰とその製造方法の実施形態を説明する。
本発明の高反応性消石灰は、生石灰を消化して製造されるものであるが、消化の際に特定の添加物を用いることにより、極めて低いCOD値でありながら、BET比表面積や細孔容積が大きいことが特徴である。まず、本発明の高反応性消石灰の製造方法について説明する。
原料となる生石灰としては、石灰岩や貝などを焼成したものを用いることができ、純度は95%以上のものが好ましい。また生石灰のCOD値は10mg/L以下であることが好ましい。一般に石灰岩や貝を焼成することにより得られる生石灰のCOD値は、約1mg/L程度であるが、有機系の粉砕助剤を用いた場合には、それより高くなる。その場合にも、COD値が10mg/L以下であれば、低COD値の消石灰とすることができる。生石灰の形状は、粉末状のものを用いることが望ましい。粉末の粒子径は、特に限定されるものではないが、600μm以下であることが好ましい。
このような生石灰に水(消化水)を加え、消化反応を行う。消化水は、生石灰100重量部に対し、100重量部前後、例えば90〜110重量部程度用いる。消化水の温度は60℃以下であることが好ましく、常温(25℃)〜60℃とすることがより好ましい。なお消化水として一般的に用いられる工業用水のCOD値は数mg/L〜8mg/L程度である。
生石灰に消化水を加えて反応させる際に添加する添加物は、水ガラス(NaO・nSiO(n=2〜4))、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、ケイフッ化ナトリウムから選ばれる一種以上のナトリウム化合物であり、有機化合物は含まない。これらの添加物を用いることにより、添加物を用いない場合に比べ大幅に生成する消石灰のBET比表面積および細孔容積を大きくすることができ、有機物を用いた場合とほぼ同等のBET比表面積とすることができる。これら無機化合物のうち、特に水ガラス、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリムが好ましく、水ガラスを用いることが最も好ましい。添加物として、水ガラス又は炭酸ナトリムを用いることにより、生成する消石灰のBET比表面積を30m/g以上、細孔容積(0〜1000Åの細孔)を0.2cm/g以上とすることができる。また添加物として水ガラス又は水酸化ナトリウムを用いることにより、100〜400Åの細孔の細孔容積を0.1cm/g以上にすることができる。
無機化合物の添加量は、原料である生石灰に対し、好ましくは0.5重量%〜1.5重量%、より好ましくは0.6〜1.0重量%である。無機化合物は消化水に混合したものを反応系に添加してもよいし、消化水とは別に反応系に添加してもよい。
反応は図1に示すような撹拌機付きの反応装置(タンク)10に生石灰を投入した後、装置の上部に設置される水供給管11および薬剤供給管12からそれぞれ消化水と添加物を投入し、撹拌しながら反応を行う。或いは、消化水に所定の濃度となるように添加剤を溶解させたものを水供給管11から投入してもよい。反応時間は、投入する生石灰及び消化水の量によっても異なるが通常30〜60分程度である。反応終了後、得られた消石灰を乾燥装置20に移し、100〜110℃の熱風を送りながら乾燥させる。熱風乾燥の時間は15分以上、好ましくは20分以上である。熱風で乾燥することにより、生成する消石灰粒子が凝集するのを防止でき、比表面積が大きな粒子を得ることができる。また熱風で乾燥することにより、細孔中に含まれる水分を十分に除去することができ、細孔容積の大きな粒子を得ることができる。乾燥後の消石灰粉末は、用途等に応じて、分級し所望の平均粒子径消石灰を得ることができる。
本発明の消石灰の製造方法によれば、添加物として、実質的な量の有機化合物を用いずに無機化合物のみを用いることにより、製造される消石灰のCOD値をJIS特号消石灰と同程度に低く保つことができ、しかも上述した種類の無機化合物を用いることによって、BET比表面積および細孔容積の大きい消石灰を得ることができる。
本発明の高反応性消石灰は、BET比表面積が25m/g以上、或いは細孔容積(0〜1000Åの細孔の容積)が0.15cm/g以上であり、COD値(JIS K0102 17により測定、以下同じ)が30mg/L以下である。COD値は、好ましくは20mg/L以下、より好ましくは10mg/L以下である。本発明の高反応性消石灰は、有機物の混入を制限した条件で製造することができ、好適には、上述した製造方法によって製造することができる。本発明の高反応性消石灰を排ガス処理剤として用いる場合、BET比表面積は好ましくは30m/g以上、細孔容積は0.20cm/g以上である。なおBET比表面積および細孔容積は、窒素ガス吸着法(BJH法)によって計測した値である。また本発明の高反応性消石灰は、好ましくは100〜400Åの細孔の細孔容積が0.1cm/g以上、より好ましくは0.15cm/g以上である。100〜400Åの細孔の細孔容積は、上述した製造方法において、添加物(無機化合物)の種類および添加量を調整することにより大きくすることができる。
本発明の高反応性消石灰は、BET比表面積が大きいことから、HClやNOx、SOx等の酸性ガス等との反応性が高く、酸性ガス処理剤として好適である。また細孔容積が大きく、特に100〜400Åの細孔の細孔容積が大きいので、SOxの捕捉率が高く、SOx比率の高い排ガス処理に好適である。
本発明の高反応性消石灰のCOD値は30mg/L以下であり、製造過程やCOD測定までに不可避的に混入する有機物にも依存するため30mg/L以下の範囲で変動するが、製造工程において添加物として有機化合物を全く用いない場合には、3mg/L以下とすることが可能である。この値は、JIS特号消石灰のCOD(約1〜3mg/L)と同程度である。この値は、例えば特許文献2の実施例に記載された消石灰(添加剤としてジエチレングリコールとケイ酸ナトリウムを使用)のCOD値(=120mg/L)の1/40〜1/50であり十分に低い値であることがわかる。なおCOD値は、JIS K0102 17の工場排水試験法(試料を過マンガン酸カリウムで100 ℃ 、30 分間酸化したときに消費される酸素量を計測する)に準拠して測定した値である。
上述した製造方法によって得られる高反応性消石灰の粒子径(メジアン径)は、5〜15μmであるが、本発明の高反応性消石灰を酸性ガス処理剤として用いる場合、メジアン径は好ましくは7〜10μmとする。
本発明の排ガス処理剤は、上述した高反応性消石灰を含むものである。特に高反応性消石灰として、BET比表面積が30m/g以上、細孔容積(1000Å以下)が0.22cm/g以上、細孔容積(100〜400Å)が0.1cm/g以上の高反応性消石灰を用いることが好ましい。このような高反応性消石灰は単独で排ガス処理剤としてもよいし、それ以外の排ガス処理剤や添加剤を混合して用いてもよい。それ以外の排ガス処理剤としては、例えば、活性炭、活性白土等が挙げられる。
本発明の排ガス処理剤は、公知の排ガス処理剤と同様に、粉末状のものを例えばゴミ焼却施設の煙道に吹き込み、煙道を流れる酸性ガスと反応させる。排ガス処理剤の投入量は、排出されるガス中の酸性ガス濃度を考慮して適宜決められる。例えば家庭廃棄物を対象とするゴミ処理施設の焼却炉から排出される排ガスにおける酸性ガスの濃度は、SOで約30〜100ppm、HClで約200〜1000ppm程度であり、それら酸性ガスと反応する化学両論的な量の1〜2.5倍程度を排ガスの流速に合わせて投入する。反応後の排ガス処理剤は煙道に連結された集塵機によって飛灰として回収される。
本発明の排ガス処理剤は、BET比表面積および細孔容積が大きく、HClやSO等の酸性ガスと反応し高い除去率を達成できる。特に100〜400Åの細孔容積が大きいことからSOの捕捉率が高い。従って比較的少ない量で高い排ガス処理を行うことができるため、最終処理物である飛灰の量を減らすことができる。またCOD値が低いので、飛灰を埋め立てた場合にも溶出水中のCODが低く、環境を汚染する可能性が低い。
以下、本発明の実施例を説明する。以下の実施例において、「%」、「部」は特に断らない限り重量基準である。
<実施例1>
図1に示すような反応装置に、生石灰(奥多摩工業社製粉末生石灰)500gを投入し、反応装置の上部から水ガラスを含む消化水を500g投入し、撹拌しながら反応を進行させた。水ガラスの添加量は生石灰1kgに対し4g(0.8%)とした。約30分反応させた後、乾燥装置において、熱風(温度:110℃)で20分乾燥し、水分量が1%以下、粒度(メジアン径)10μmの消石灰を得た。
この消石灰の電子顕微鏡(SEM)写真を図2(a)に示す。参考例としてJIS特号消石灰のSEM写真を併せて図2(b)に示す。図2からわかるように、実施例1の消石灰は参考例の消石灰に比べ、粒度が細かく、粒子表面に細かい凹凸が観察された。また得られた消石灰のBET比表面積、細孔容積(1000Å以下)、細孔容積(100〜400Å)をそれぞれ窒素ガス吸着法(BJH法)によって計測した。またJIS K0102 17の工場排水試験法によりCOD値を測定した。結果を表1に示す。
<実施例2〜5>
生石灰を消化する際に添加する添加物として、水ガラスの代わりに、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、ケイフッ化ナトリウムを用い、それ以外は実施例1と同様に消石灰を製造した。
これら実施例2〜5について計測したBET比表面積、細孔容積の値、メジアン径、及びCOD値を、実施例1の値とともに表1に示す。
Figure 0005895035
表1に示す結果からもわかるように、添加剤としてナトリウム化合物を用いることにより、BET比表面積が25m/g以上、細孔容積(0〜1000Å)が0.18cm/g以上の消石灰が得られ、特に水ガラス、炭酸ナトリウムを用いた場合にBET比表面積が30m/g以上で細孔容積(0〜1000Å)が0.2cm/g以上の消石灰が得られた。また水ガラス、水酸化ナトリウムを用いた場合に、細孔容積(100〜400Å)が0.14cm/g以上の消石灰が得られた。総合すると水ガラスを用いた場合に最もよい結果が得られた。またCODについては、JIS特号消石灰のCOD(1.1〜2.2mg/L)と同等かそれ以下であり、市販されている3種類の高反応性消石灰のCOD(170、350、570mg/L)に比べ大幅に低かった。
<実施例6〜9、比較例1>
生石灰に対する水ガラスの添加量を、0.4%、0.6%、1.0%、1.5%と変化させて、それ以外は実施例1と同様に消石灰を製造した。また比較例1として、添加剤を添加せず、それ以外は実施例1と同様に消石灰を製造した。実施例6〜9の消石灰の水分量、粒度は実施例1とほぼ同様であった。
これら実施例6〜9および比較例1について計測したBET比表面積、細孔容積の値を表2に示す。また実施例1、6〜9のBET比表面積、細孔容積の結果を図3および図4に示す。
Figure 0005895035
表2および図3に示す結果から明らかなように、水ガラスの添加量を0.4%から0.6%に変化させたときに、BET比表面積は急激に増加し、0.6%以上ではBET比表面積が33m/g以上の高い値を示した。これにより添加物としての水ガラスの添加は、約0.5%に境に臨界的効果が得られることが確認された。
細孔容積(1000Å以下)については、表2および図4に示すように、いずれも0.20cm/g以上の大きい値を示したが、水ガラスの添加量が1%を超えると細孔容積が小さくなる傾向がみられ、1%以下とすることで0.22cm/g以上の大きい値が得られることが確認された。特に100〜400Åの細孔容積については、水ガラスの添加量が比較的少ないほうが大きくなる傾向がみられ、1%未満で0.14cm/g以上の大きい値が得られた。なお実施例6〜9及び比較例1のCOD値は、実施例1とほぼ同じであった。
<実施例10〜13>
生石灰に対する水ガラスの添加量は実施例1と同様(0.8%)にし、生石灰に対する消化水の比率(重量比)を0.9、0.95、1.05、1.1と変化させて、それ以外は実施例1と同様に消石灰を製造した。得られた消石灰の水分量、粒度は実施例1とほぼ同様であった。
これら実施例10〜13について計測したBET比表面積、細孔容積の値を表3に示す。参考のために実施例1の値を併せて表3に示す。
Figure 0005895035
表3に示す結果からわかるように、生石灰に対する消化水の割合(水比)は、1:1前後であればBET比表面積および細孔容積がともに大きい消石灰が得られることがわかった。なお細孔は乾燥の際に水分が抜けていくことで形成されると考えられ、乾燥前に適切な水が存在することが必要であるが、水比が大きすぎると凝集が起こりやすくなり、比表面積や細孔容積が小さくなると考えられる。本発明の消石灰の製造方法では、所定のナトリウム化合物を用いるとともに適切な水比とすることにより、凝集を起こすことなく反応が進み、且つ細孔容積の大きい高反応性の消石灰を得ることができる。
<実施例14>
用いる原料の割合は実施例1と同じにして、量だけを実施例1の約3000倍にした工場規模で、それ以外は実施例1と同様に消石灰を製造した。製造条件は同じでロットが異なるサンプル(実施例14−1〜14−3)について計測したBET比表面積、細孔容積、メジアン径及びCOD値を表4に示す。
Figure 0005895035
表4の結果からわかるように、ロットによるバラツキはあるが、工場規模で製造した場合、BET比表面積が向上した。またCOD値については、規模の増加に伴い、実施例1等に比べ増加したものの、いずれも10mg/L以下であり、従来の高反応性消石灰に比べ、十分に低かった。
<排ガス処理剤の実施例>
実施例で作成した消石灰を排ガス処理剤として使用した場合の効果を評価するために、図5に示すような試験装置50を用意した。この試験装置50は、ガス混合部51と、ガス混合部51と加熱導管55で接続された反応部52とを有し、ガス混合部51には、不図示の酸性ガス含有ガス供給源と水分含有ガス供給源とに接続された加熱導管55が接続され、排ガスを模した混合ガスを反応部52に送るようになっている。反応部52は、内部に、酸性ガス処理剤を耐熱性の網状部材内に固定した酸性ガス処理剤固定層53が設けられ、反応部52に導入された混合ガスは、酸性ガス処理剤固定層53を通過する際に、酸性ガス処理剤と反応し、反応後のガスが反応部52から排出される。また反応部52には加熱装置56が設置されており、酸性ガス処理剤固定層53を所定の温度に加熱できるように構成されている。
このような試験装置50を用いて、次のように混合ガスの処理を行った。
まず酸性ガス処理剤として実施例14−1の消石灰を373mg用い、固定相53の温度を325℃に設定した。またガス供給源からの導管及びガス混合部51から反応部52までの導管を約300℃に加熱した。この状態で、酸性ガス含有及びガス水分含有ガスをガス混合部51に供給して、酸性ガス成分(SO)1500ppm、水分8%の混合ガスとし、流量700mL/分で反応部52に供給し、約120分混合ガスを流した。反応部52から排出された反応後のガス中の酸性ガス成分(SO)を分析計(赤外線式ガス濃度分析計)54で測定した。酸性ガス除去率を以下の計算により求めた。結果を表5に示す。
[酸性ガス除去率]=
{([混合ガスに含まれる酸性ガス成分]−[反応後ガス中の酸性ガス成分])÷
[混合ガスに含まれる酸性ガス成分]}×100
参考例として、実施例14−1の消石灰に代えて、高反応性消石灰「タマカルク−スポンジアカル(TK−SP)」(BET比表面積45m/g、細孔容積(1000Å以下)0.20cm/g、COD150mg/L、奥多摩工業社製)を用い、それ以外は上記実施例と同様にして、酸性ガス除去率を求めた。結果を合わせて表5に示す。
Figure 0005895035
表5に示す結果からわかるように、従来の高反応性消石灰と同程度の酸性ガス除去率が得られた。
本発明によれば、排ガス処理等に好適であり飛灰として廃棄された場合にも環境を汚染することがない高反応性消石灰が提供される。
10・・・反応装置、11・・・消化水供給管、12・・・添加剤供給管、20・・・乾燥装置、50・・・試験装置。

Claims (10)

  1. 生石灰を消化水により消化し消石灰であって、JIS K0102 17により測定したCOD値が10mg/L以下、BET比表面積が41.5/g以上である消石灰。
  2. 生石灰を消化水により消化し消石灰であって、JIS K0102 17により測定したCOD値が0mg/L以下および1000Å以下の細孔容積が0.cm/g以上である消石灰。
  3. 生石灰を消化水により消化した消石灰であって、JIS K0102 17により測定したCOD値が10mg/L以下、BET比表面積が34.4m /g以上、および1000Å以下の細孔容積が0.2cm /g以上である消石灰。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の消石灰であって、100〜400Åの細孔の細孔容積が0.1cm/g以上である消石灰。
  5. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の消石灰であって、JIS K0102 17により測定したCOD値が3.0mg/L以下であることを特徴とする消石灰。
  6. 請求項1ないしのいずれか一項に記載の消石灰を含む排ガス処理剤。
  7. 粉末状の生石灰に消化水を加え反応するステップと、
    前記反応するステップにおいて、消化水又は反応系に、添加剤として、有機化合物を含まず、水ガラス、水酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、ケイフッ化ナトリウムから選ばれる一種以上のナトリウム化合物を添加するステップと、
    反応後の消石灰を乾燥するステップと、を含み、
    前記反応するステップにおいて、前記消化水の添加量が前記生石灰の100重量部に対して90重量部以上110重量部以下であることを特徴とする消石灰の製造方法。
  8. 請求項に記載の消石灰の製造方法であって、
    前記乾燥するステップは、100℃以上の熱風を送りながら乾燥するステップを含むことを特徴とする消石灰の製造方法。
  9. 請求項又はに記載の消石灰の製造方法であって、
    前記ナトリウム化合物を添加するステップは、消化水に添加するステップであることを特徴とする消石灰の製造方法。
  10. 請求項に記載の消石灰の製造方法であって、前記ナトリウム化合物の添加量は、原料である生石灰の0.5〜1.5重量%であることを特徴とする消石灰の製造方法。
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