以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る乾燥冷風装置の一例として、洗浄後の野菜等の乾燥に用いられる乾燥冷風装置について説明する。
《発明の実施形態1》
本実施形態1の乾燥冷風装置(10)は、空気を冷却除湿した後に加熱して所望の状態(温度、湿度)の乾燥冷風を生成するものである。
図1に示すように、乾燥冷風装置(10)は、ケーシング(11)と、ブライン回路(30)と、温水回路(40)と、冷媒回路(50)を有するチラー(55)と、コントローラ(60)とを備えている。ケーシング(11)には、ブライン回路(30)に接続された第1及び第2冷却コイル(21,22)と、温水回路(40)に接続された加熱コイル(23)と、送風ファン(24)とが収容されている。ブライン回路(30)、温水回路(40)、チラー(55)及びコントローラ(60)の詳細については後述する。
ケーシング(11)は、直方体形状の箱状に形成され、前後方向(図1では、左右方向)が幅方向(図1では、上下方向)よりも長く形成されている。ケーシング(11)は、前板に空気の吸込口(12)が形成される一方、後板に吹出口(13)が形成されている。
ケーシング(11)内は、幅方向に延びる仕切板(15)によって、前後方向に2つの空間、即ち、吸込口(12)側の冷却空間(S10)と吹出口(13)側の加熱空間(S20)とに仕切られている。また、仕切板(15)の中央には、冷却空間(S10)と加熱空間(S20)とを連通させる連通孔(15a)が形成されている。
冷却空間(S10)は、前後に配置されたL字形状の2つの区画板(16,17)によって3つの空気の通路、即ち、導入通路(1)と冷却通路(2)と導出通路(3)とに区画されている。具体的には、前側の区画板(16)は、ケーシング(11)の前板及び右側板(図1では下側の板)に沿ってL字状に延び、前板及び右側板との間に導入通路(1)を区画している。一方、後側の区画板(17)は、ケーシング(11)の左側板(図1では上側の板)及び仕切板(15)に沿ってL字状に延び、左側板及び仕切板(15)との間に導出通路(3)を区画している。また、前側の区画板(16)及び後側の区画板(17)は、互いの間に平面視において矩形状の冷却通路(2)を区画している。
冷却通路(2)には、上記第1及び第2冷却コイル(21,22)が前後方向に間隔を空けて並べて設置されている。第1及び第2冷却コイル(21,22)は、冷却通路(2)において、それぞれ幅方向に延びて前後方向に空気を通過させるように配置されている。本実施形態では、第1冷却コイル(21)が第2冷却コイル(22)よりも前側に配置されている。
前側の区画板(16)及び後側の区画板(17)には、それぞれに開閉式のダンパ(18a,18b,19a,19b)が2つずつ設けられている。前側の区画板(16)には、第1冷却コイル(21)よりも前側に第1導入ダンパ(18a)が設けられ、第2冷却コイル(22)よりも後側に第2導入ダンパ(18b)が設けられている。一方、後側の区画板(17)には、第1冷却コイル(21)よりも前側に第1導出ダンパ(19a)が設けられ、第2冷却コイル(22)よりも後側に第2導出ダンパ(19b)が設けられている。
詳細については後述するが、運転の際には、コントローラ(60)によって、第2導入ダンパ(18b)と第1導出ダンパ(19a)とが開く一方、第1導入ダンパ(18a)と第2導出ダンパ(19b)とが閉じる第1開閉状態(図1参照)と、第1導入ダンパ(18a)と第2導出ダンパ(19b)とが開く一方、第2導入ダンパ(18b)と第1導出ダンパ(19a)とが閉じる第2開閉状態(図2参照)とに切り換えられる。第1開閉状態では、導入通路(1)と冷却通路(2)の第2冷却コイル(22)の後側部分とが連通し、導出通路(3)と冷却通路(2)の第1冷却コイル(21)の前側部分とが連通する。一方、第2開閉状態では、導入通路(1)と冷却通路(2)の第1冷却コイル(21)の前側部分とが連通し、導出通路(3)と冷却通路(2)の第2冷却コイル(22)の後側部分とが連通する。
また、導出通路(3)には、仕切板(15)の連通孔(15a)付近に、冷却空間(S10)から加熱空間(S20)へ流れる空気の温度を検出する第1温度センサ(61)が設けられている。第1温度センサ(61)は、検出値をコントローラ(60)に入力するように構成されている。
加熱空間(S20)は、空間全体が単一の加熱通路(4)に構成されている。加熱通路(4)には、加熱コイル(23)と送風ファン(24)とが設けられている。加熱コイル(23)は、仕切板(15)の連通孔(15a)に対応するように設けられ、加熱通路(4)の幅方向に延びて前後方向に空気を通過させるように配置されている。一方、送風ファン(24)は、加熱コイル(23)と吹出口(13)との間に設けられ、加熱コイル(23)を通過した加熱通路(4)の空気を吸い込んで吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ排出するように構成されている。
また、加熱通路(4)の加熱コイル(23)と送風ファン(24)との間には、加熱コイル(23)通過後の空気の温度を検出する第2温度センサ(62)が設けられている。第2温度センサ(62)は、検出値をコントローラ(60)に入力するように構成されている。
上述のように、上記ケーシング(11)内には、導入通路(1)、冷却通路(2)、導出通路(3)及び加熱通路(4)が形成されている。これらの通路(1〜4)は、ケーシング(11)内に流通経路が切換可能な空気流れを形成する空気通路を構成している。
〈ブライン回路〉
上記ブライン回路(30)は、熱媒体としてのブラインが流通する冷却用流路(31)及び除霜用流路(32)を有している。
具体的には、冷却用流路(31)及び除霜用流路(32)は、2つに分岐した流入端(第1及び第2流入端)及び流出端(第1及び第2流出端)をそれぞれ有している。冷却用流路(31)の合流部分には、ポンプ(33)と後述する冷媒回路(50)の吸熱器(54)とが接続され、除霜用流路(32)の合流部分には、ポンプ(34)が接続されている。
冷却用流路(31)及び除霜用流路(32)の第1流出端は、それぞれ第1流入側三方弁(35)を介して第1冷却コイル(21)の流入端に接続されている。具体的には、第1流入側三方弁(35)の第1ポートに冷却用流路(31)の第1流出端が接続され、第2ポートに除霜用流路(32)の第1流出端が接続され、第3ポートに第1冷却コイル(21)の流入端が接続されている。一方、冷却用流路(31)及び除霜用流路(32)の第2流出端は、それぞれ第2流入側三方弁(36)を介して第2冷却コイル(22)の流入端に接続されている。具体的には、第2流入側三方弁(36)の第1ポートに冷却用流路(31)の第2流出端が接続され、第2ポートに除霜用流路(32)の第2流出端が接続され、第3ポートに第2冷却コイル(22)の流入端が接続されている。
冷却用流路(31)及び除霜用流路(32)の第1流入端は、それぞれ第1流出側三方弁(37)を介して第1冷却コイル(21)の流出端に接続されている。具体的には、第1流出側三方弁(37)の第1ポートに冷却用流路(31)の第1流入端が接続され、第2ポートに除霜用流路(32)の第1流入端が接続され、第3ポートに第1冷却コイル(21)の流出端が接続されている。一方、冷却用流路(31)及び除霜用流路(32)の第2流入端は、それぞれ第2流出側三方弁(38)を介して第2冷却コイル(22)の流出端に接続されている。具体的には、第2流出側三方弁(38)の第1ポートに冷却用流路(31)の第2流入端が接続され、第2ポートに除霜用流路(32)の第2流入端が接続され、第3ポートに第2冷却コイル(22)の流出端が接続されている。
上記4つの三方弁(35,36,37,38)は、第1ポートと第3ポートとが連通し且つ第2ポートが閉鎖される第1状態と、第2ポートと第3ポートとが連通し且つ第1ポートが閉鎖される第2状態とに切り換わるように構成されている。後述する運転では、コントローラ(60)によって、第1流入側三方弁(35)及び第1流出側三方弁(37)が第1状態に切り換えられ且つ第2流入側三方弁(36)及び第2流出側三方弁(38)が第2状態に切り換えられる第1流通状態(図1参照)と、第1流入側三方弁(35)及び第1流出側三方弁(37)が第2状態に切り換えられ且つ第2流入側三方弁(36)及び第2流出側三方弁(38)が第1状態に切り換えられる第2流通状態(図2参照)とに切り換えられる。第1流通状態では、第1冷却コイル(21)が冷却用流路(31)に接続され且つ第2冷却コイル(22)が除霜用流路(32)に接続される。一方、第2流通状態では、第2冷却コイル(22)が冷却用流路(31)に接続され且つ第1冷却コイル(21)が除霜用流路(32)に接続される。
このような構成により、冷却用流路(31)は、4つの三方弁(35,36,37,38)の切り換えによって第1及び第2冷却コイル(21,22)が交互に接続され、接続された第1及び第2冷却コイル(21,22)に通過空気を冷却除湿するための熱媒体としてのブラインを供給する。一方、除霜用流路(32)は、4つの三方弁(35,36,37,38)の切り換えによって第1及び第2冷却コイル(21,22)のうち冷却用流路(31)に接続された冷却側コイルの他方の非冷却側コイルに接続されてブラインを循環させる。
また、本実施形態では、冷却用流路(31)のポンプ(33)の吸入側と除霜用流路(32)のポンプ(34)の吸入側との間に余剰のブラインを収容する膨張タンク(39)が接続されている。
〈温水回路〉
上記温水回路(40)には、冷却装置(41)と、ポンプ(42)と、後述する冷媒回路(50)の放熱器(52)とが接続されている。温水回路(40)では、ポンプ(42)により、熱媒体としての温水が冷却装置(41)と放熱器(52)との間を循環するように構成されている。冷却装置(41)は、本実施形態では、内部空間に設けられた充填材に温水回路(40)の温水を散布する一方、ファンによって外部から空気を取り込んで充填材を通過する空気流れを形成し、充填材において温水と空気とを接触させて温水の一部を蒸発させ、その蒸発潜熱によって残りの温水が冷却される開放式の冷却塔によって構成されている。なお、冷却装置(41)は、温水回路(40)の温水を管の内部に流通させて管の外部を通過する空気によって冷却する空冷式の熱交換器であってもよく、管の内部に温水回路(40)の温水を流通させる一方、管の外部に散水し、散布された水の蒸発潜熱によって管の内部の温水を冷却する密閉式の冷却塔であってもよい。本実施形態では、放熱器(52)において温水回路(40)の温水が冷媒回路(50)の高圧冷媒によって37℃程度まで加熱される一方、冷却装置(41)において温水が32℃程度まで冷却される。
また、温水回路(40)の冷却装置(41)と放熱器(52)との間であってポンプ(42)と逆側には、加熱コイル(23)が並列に接続されている。具体的には、加熱コイル(23)の流入端が放熱器(52)側に接続され、流出端が加熱側三方弁(43)を介して冷却装置(41)側に接続されている。加熱側三方弁(43)は、温水回路(40)の冷却装置(41)と放熱器(52)との間において、第1ポートが上流側に接続され、第3ポートが下流側に接続されている。そして、加熱コイル(23)の流出端は、加熱側三方弁(43)の第2ポートに接続されている。加熱側三方弁(43)は、第1ポート及び第2ポートから流入した温水が第3ポートから排出されるように構成されている。また、加熱側三方弁(43)は、例えば、ダイヤフラム三方弁によって構成され、後述するコントローラ(60)によって第1ポートから第3ポートへ向かう流路と第2ポートから第3ポートへ向かう流路との断面積の比率が調整されることにより、温水回路(40)から加熱コイル(23)に流入する温水の流量が調節されるように構成されている。
〈チラー〉
上記チラー(55)は、上述のように冷媒回路(50)を有し、冷却用流路(31)のブラインを冷却する一方、温水回路(40)の温水を加熱するように構成されている。具体的には、冷媒回路(50)は、圧縮機(51)と、放熱器(52)と、膨張弁(膨張機構)(53)と、吸熱器(54)とが、順に冷媒配管によって接続され、冷媒が循環するように構成されている。圧縮機(51)は、冷媒を高圧圧力状態となるまで圧縮するように構成されている。放熱器(52)は、圧縮機(51)から吐出された高圧冷媒と温水回路(40)の温水とを熱交換させるように構成されている。膨張弁(53)は、開度が調節可能に構成され、放熱器(52)から流出した高圧冷媒を減圧して所望の低圧圧力状態にするように構成されている。吸熱器(54)は、ブライン回路(30)の冷却用流路(31)のブラインと膨張弁(53)において減圧された低圧冷媒とを熱交換させるように構成されている。
冷媒回路(50)の吸熱器(54)の出口側には、ブラインの温度を検出する第3温度センサ(63)が設けられている。第3温度センサ(63)は、検出値をコントローラ(60)に入力するように構成されている。また、本実施形態では、コントローラ(60)により、第3温度センサ(63)の検出値、即ち、吸熱器(54)を通過した冷却用流路(31)のブラインの温度が−10℃となるように圧縮機(51)の回転速度及び膨張弁(53)の開度が調節される。
〈コントローラ〉
上記コントローラ(60)は、各種構成機器の動作を制御して乾燥冷風を生成する運転を実行するように構成されている。また、コントローラ(60)は、乾燥冷風を生成する運転において、第1温度センサ(61)の検出値が所定温度(例えば、−6℃)以上になると、ブライン回路(30)を切り換えると共に空気通路における空気流れの流通経路を切り換えて、第1動作と第2動作とを交互に実行するように構成されている。具体的には、コントローラ(60)は、4つの三方弁(35,36,37,38)を第1流通状態となるように切り換えると共に、4つのダンパ(18a,18b,19a,19b)を第1開閉状態となるように切り換えて第1動作を実行するように構成されている。一方、コントローラ(60)は、4つの三方弁(35,36,37,38)を第2流通状態となるように切り換えると共に、4つのダンパ(18a,18b,19a,19b)を第2開閉状態となるように切り換えて第2動作を実行するように構成されている。また、コントローラ(60)は、第2温度センサ(62)の検出値が所望の温度(2℃)となるように、加熱側三方弁(43)を調整して温水回路(40)から加熱コイル(23)に流入する温水の流量を調節するように構成されている。さらに、コントローラ(60)は、第3温度センサ(63)の検出値が−10℃となるように圧縮機(51)の回転速度及び膨張弁(53)の開度を調節するように構成されている。
−運転動作−
乾燥冷風装置(10)の運転動作について説明する。なお、以下では、運転動作の一例として、相対湿度65%、温度5℃の空気を、冷却除湿した後に加熱して相対湿度40%、温度2℃の乾燥冷風を生成する運転について説明する。
コントローラ(60)は、送風ファン(24)、ポンプ(33,34,42)、冷却装置(41)のファン及び圧縮機(51)を起動し、4つの三方弁(35,36,37,38)と4つのダンパ(18a,18b,19a,19b)とを切り換えて、第1動作(図1参照)と第2動作(図2参照)とを交互に実行する。具体的には、コントローラ(60)は、4つの三方弁(35,36,37,38)を第1流通状態となるように切り換えると共に4つのダンパ(18a,18b,19a,19b)を第1開閉状態となるように切り換えて第1動作を実行する一方、4つの三方弁(35,36,37,38)を第2流通状態となるように切り換えると共に4つのダンパ(18a,18b,19a,19b)を第2開閉状態となるように切り換えて第2動作を実行する。
送風ファン(24)の起動により、ケーシング(11)内には、吸込口(12)から相対湿度65%、温度5℃の空気が取り込まれ、導入通路(1)、冷却通路(2)、導出通路(3)、加熱通路(4)の順に流通する。
具体的には、第1動作では、4つのダンパ(18a,18b,19a,19b)が第1開閉状態となるように切り換えられ、導入通路(1)と冷却通路(2)の第2冷却コイル(22)の後側部分とが連通すると共に、導出通路(3)と冷却通路(2)の第1冷却コイル(21)の前側部分とが連通する。これにより、吸込口(12)を介して導入通路(1)に流入した空気は、第2導入ダンパ(18b)を介して冷却通路(2)の第2冷却コイル(22)の後側部分に流入し、冷却通路(2)において後側から前側へ向かって流通する。つまり、冷却通路(2)に流入した空気は、第2冷却コイル(22)、第1冷却コイル(21)の順に通過し、第1導出ダンパ(19a)を介して導出通路(3)に流出する。導出通路(3)に流入した空気は、仕切板(15)の連通孔(15a)を介して加熱通路(4)に流入し、加熱コイル(23)を通過した後、吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ吹き出される。
一方、第2動作では、4つのダンパ(18a,18b,19a,19b)が第2開閉状態となるように切り換えられ、導入通路(1)と冷却通路(2)の第1冷却コイル(21)の前側部分とが連通すると共に、導出通路(3)と冷却通路(2)の第2冷却コイル(22)の後側部分とが連通する。これにより、吸込口(12)を介して導入通路(1)に流入した空気は、第1導入ダンパ(18a)を介して冷却通路(2)の第1冷却コイル(21)の前側部分に流入し、冷却通路(2)において前側から後側へ向かって流通する。つまり、冷却通路(2)に流入した空気は、第1冷却コイル(21)、第2冷却コイル(22)の順に通過し、第2導出ダンパ(19b)を介して導出通路(3)に流出する。導出通路(3)に流入した空気は、仕切板(15)の連通孔(15a)を介して加熱通路(4)に流入し、加熱コイル(23)を通過した後、吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ吹き出される。
また、ブライン回路(30)では、ポンプ(33,34)の起動により、冷却用流路(31)と除霜用流路(32)とにそれぞれブラインが流通し、第1及び第2冷却コイル(21,22)にブラインが供給される。
具体的には、第1動作では、4つの三方弁(35,36,37,38)が第1流通状態となるように切り換えられる。これにより、第1冷却コイル(21)が冷却用流路(31)に接続されて冷却側コイルとなり、第2冷却コイル(22)が非冷却側コイルとなって除霜用流路(32)に接続される。そして、第1冷却コイル(21)には、吸熱器(54)において−10℃に冷却されたブラインが供給され、第2冷却コイル(22)には、除霜用流路(32)を流れる常温のブラインが供給される。
一方、第2動作では、4つの三方弁(35,36,37,38)が第2流通状態となるように切り換えられる。これにより、第2冷却コイル(22)が冷却用流路(31)に接続されて冷却側コイルとなり、第1冷却コイル(21)が非冷却側コイルとなって除霜用流路(32)に接続される。そして、第2冷却コイル(22)には、吸熱器(54)において−10℃に冷却されたブラインが供給され、第1冷却コイル(21)には、除霜用流路(32)を流れる常温のブラインが供給される。
また、温水回路(40)では、ポンプ(42)及び冷却装置(41)のファンの起動により、冷却装置(41)と放熱器(52)との間において温水が循環し、放熱器(52)で加熱された温水(37℃程度)の一部が加熱コイル(23)に供給される。また、コントローラ(60)によって、第2温度センサ(62)の検出値が所望の温度(2℃)となるように、加熱側三方弁(43)が調節され、温水回路(40)から加熱コイル(23)に流入する温水の流量が調節される。加熱コイル(23)を通過した温水は、冷却装置(41)で冷却された後、再び放熱器(52)において加熱される。
また、冷媒回路(50)では、圧縮機(51)の起動により、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。また、コントローラ(60)によって第3温度センサ(63)の検出値が−10℃となるように圧縮機(51)の回転速度及び膨張弁(53)の開度が調節される。これにより、吸熱器(54)を通過した冷却用流路(31)のブラインの温度が−10℃になる。
以上により、第1動作(図1参照)では、第1冷却コイル(21)が冷却用流路(31)に接続されると共に第2冷却コイル(22)が除霜用流路(32)に接続されるようにブライン回路(30)が切り換えられる。また、ケーシング(11)内に流入した空気が、非冷却側コイルである第2冷却コイル(22)を通過した後に、冷却側コイルである第1冷却コイル(21)を通過するように、空気流れの流通経路が切り換えられる。
これにより、吸込口(12)を介してケーシング(11)内に取り込まれた空気(相対湿度65%、温度5℃)は、導入通路(1)から冷却通路(2)に流入して非冷却側コイルである第2冷却コイル(22)、冷却側コイルである第1冷却コイル(21)の順に通過し、第1冷却コイル(21)の内部を流れる−10℃のブラインに吸熱されて冷却される(−8℃程度)。このとき、第1冷却コイル(21)の表面は、通過する空気の露点温度よりも低いため、空気中の水分が凝縮して霜が付着する(着霜する)。これにより、空気が除湿される。つまり、冷却通路(2)に流入した空気は、第1冷却コイル(21)を通過する際に冷却用流路(31)のブラインによって冷却除湿される(例えば、相対湿度91%、温度−8℃)。
冷却除湿後の空気は、冷却通路(2)から導出通路(3)に導出されて加熱通路(4)に流入し、加熱コイル(23)を通過する際に、該加熱コイル(23)の内部を流れる温水(37℃程度)と熱交換して加熱される。このとき、コントローラ(60)は、第2温度センサ(62)の検出値が所望の温度(2℃)となるように、加熱側三方弁(43)を調整して加熱コイル(23)に流入する温水の流量を調節する。その結果、冷却除湿後の空気が、加熱コイル(23)において所望の温度(2℃)に加熱される。これにより、所望の状態(相対湿度40%、温度2℃)の乾燥冷風が生成され、送風ファン(24)によって吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ排出される。
ところで、第1動作中に、第1冷却コイル(21)に付着した霜が成長すると、熱交換効率が低下して空気が所望の温度まで冷却されないまま第1冷却コイル(21)を通過してしまう。コントローラ(60)は、第1温度センサ(61)の検出値が所定温度(例えば、−6℃)以上になると、ブライン回路(30)を切り換えると共に空気通路における空気流れの流通経路を切り換えて第2動作を実行する。
第2動作(図2参照)では、第2冷却コイル(22)が冷却用流路(31)に接続されると共に第1冷却コイル(21)が除霜用流路(32)に接続されるようにブライン回路(30)が切り換えられる。また、ケーシング(11)内に流入した空気が、非冷却側コイルである第1冷却コイル(21)を通過した後に、冷却側コイルである第2冷却コイル(22)を通過するように、空気流れの流通経路が切り換えられる。
これにより、吸込口(12)を介してケーシング(11)内に取り込まれた空気(相対湿度65%、温度5℃)は、導入通路(1)から冷却通路(2)に流入し、まず、非冷却側コイルである第1冷却コイル(21)を通過する際に、該第1冷却コイル(21)に付着した霜によって冷却される(例えば、1℃程度)。このとき、第1冷却コイル(21)に付着した霜には、該第1冷却コイル(21)の外部を通過する空気と内部を流通する除霜用流路(32)の常温のブラインとから熱が付与される。これにより、霜が融解していく。つまり、第1冷却コイル(21)は、外部を通過する空気と内部を通過する除霜用流路(32)のブラインとによって除霜される。第1冷却コイル(21)で霜によって冷却された空気は、冷却側コイルである第2冷却コイル(22)を通過する際に、該第2冷却コイル(22)内を流れる−10℃のブラインに吸熱されて冷却される(例えば、−8℃)。このとき、第2冷却コイル(22)の表面は、通過する空気の露点温度よりも低いため、空気中の水分が凝縮して霜が付着する(着霜する)。これにより、空気が除湿される。つまり、冷却通路(2)に流入した空気は、第1冷却コイル(21)を通過する際に霜によって予冷された後、第2冷却コイル(22)を通過する際に冷却用流路(31)のブラインによって冷却除湿される(例えば、相対湿度91%、温度−8℃)。
冷却除湿後の空気は、冷却通路(2)から導出通路(3)に導出されて加熱通路(4)に流入し、第1動作と同様に、加熱コイル(23)を通過する際に、該加熱コイル(23)を流れる温水(37℃程度)と熱交換して加熱される。これにより、所望の状態(相対湿度40%、温度2℃)の乾燥冷風が生成され、送風ファン(24)によって吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ排出される。
また、第2動作中に、第2冷却コイル(22)に付着した霜が成長すると、熱交換効率が低下して空気が所望の温度まで冷却されないまま第2冷却コイル(22)を通過してしまう。コントローラ(60)は、第1温度センサ(61)の検出値が所定温度(例えば、−6℃)以上になると、ブライン回路(30)を切り換えると共に空気通路における空気流れの流通経路を切り換えて再び第1動作を実行する。
2度目以降の第1動作では、第2冷却コイル(22)が着霜している点が1度目の第1動作と異なる。そのため、吸込口(12)を介してケーシング(11)内に取り込まれた空気(相対湿度65%、温度5℃)は、導入通路(1)から冷却通路(2)に流入し、まず、非冷却側コイルである第2冷却コイル(22)を通過する際に、該第2冷却コイル(22)に付着した霜によって冷却される(例えば、1℃程度)。このとき、第2冷却コイル(22)に付着した霜には、該第2冷却コイル(22)の外部を通過する空気と内部を流通する除霜用流路(32)のブラインとから熱が付与される。これにより、霜が融解していく。つまり、第2冷却コイル(22)は、外部を通過する空気と内部を通過する除霜用流路(32)のブラインとによって除霜される。その他の動作は、1度目の第1動作と同様である。
−実施形態1の効果−
上記乾燥冷風装置(10)によれば、2つの冷却コイル(21,22)を設け、一方を冷却用流路(31)に接続して冷却側コイルとして通過空気を冷却除湿する一方、他方の非冷却側コイルを除霜用流路(32)に接続して該除霜用流路(32)のブラインと通過空気とによって非冷却側コイルの除霜を行うこととした。このように、非冷却側コイルにおいて、外部を通過する空気からだけでなく、内部を流れる除霜用流路(32)のブラインからも霜に熱を付与して除霜を行うことにより、除霜速度を増大させて除霜時間を短縮することができる。これにより、除霜を十分に行うために2つの冷却コイル(21,22)の動作の切換間隔を長くする必要がないため、冷却側コイルにおいて着霜によって熱交換効率が低下した状態が長く継続されることがない。従って、空気の冷却除湿を連続して行わせることができる。
また、上記乾燥冷風装置(10)によれば、空気流れを、冷却用流路(31)に接続されて通過空気を冷却除湿する冷却側コイルを通過する前に、除霜が行われる非冷却側コイルを通過するように形成した。これにより、ケーシング(11)内に流入した空気を、冷却用流路(31)に接続された冷却側コイルにおいて冷却除湿する前に、非冷却側コイルに付着した霜によって予冷することができる。従って、冷却側コイルにおける冷却負荷を低減させることができるため、省エネルギー化を図ることができる。
ところで、従来の乾燥冷風装置では、2つの冷却コイルを空気の流れに対して並列に配置し、両冷却コイルを通過した空気を混合して−2℃の空気を生成していた。そのため、非冷却側コイルを通過した比較的高い温度(例えば、5℃)の空気と混合して−2℃の空気となるように、冷却側コイルでは、空気を−2℃よりも低い温度(例えば、−15℃)まで冷却しなければならなかった。
これに対し、上記乾燥冷風装置(10)では、上述のように、空気が、非冷却側コイル、冷却側コイルの順に通過するように空気流れが形成されている。そのため、冷却側コイルにおいて空気を所望の温度よりも低い温度に冷却する必要がない。従って、従来の乾燥冷風装置に比べて、エネルギー効率を向上させることができる。
また、上記乾燥冷風装置(10)では、冷凍サイクルを行う冷媒回路(50)を設け、該冷媒回路(50)の放熱器(52)に2つの冷却コイル(21,22)の空気流れの下流側に設けられた加熱コイル(23)に接続された温水回路(40)を接続する一方、吸熱器(54)に冷却用流路(31)を接続し、吸熱器(54)において冷却用流路(31)から冷媒に吸収させた熱を放熱器(52)において温水回路(40)の温水に放出させることとした。これにより、冷却コイル(21,22)において冷却用流路(31)のブラインに吸収させた通過空気の熱を、冷媒回路(50)及び温水回路(40)を介して加熱コイル(23)に伝達し、該加熱コイル(23)における冷却除湿後の空気の加熱に利用することができる。従って、ヒータ等の加熱源を設けることなく冷却除湿後の空気を加熱することができ、ヒータ等を設ける場合に比べて省エネルギー化を図ることができる。
《発明の実施形態2》
実施形態2の乾燥冷風装置(10)は、実施形態1の乾燥冷風装置(10)の回路構成を変更したものである。
図3及び図4に示すように、実施形態2の乾燥冷風装置(10)では、除霜用流路(32)のブラインを加熱する手段が設けられている。具体的には、除霜用流路(32)のブラインと温水回路(40)の温水とを熱交換させる熱交換器(45)が設けられている。該熱交換器(45)は、低温側流路と高温側流路とを有し、低温側流路を流れる流体と高温側流路を流れる流体とを熱交換させるように構成されている。熱交換器(45)の低温側流路は、除霜用流路(32)のポンプ(34)の上流側に接続されている。一方、熱交換器(45)の高温側流路は、加熱コイル(23)に並列に接続されたバイパス路(46)に接続されている。バイパス路(46)は、流入端が加熱コイル(23)の流入端を温水回路(40)に接続する流入路に接続される一方、流出端が温水回路(40)の加熱側三方弁(43)の下流側に接続されている。これにより、熱交換器(45)の低温側流路には除霜用流路(32)のブラインが流入する一方、高温側流路には、温水回路(40)において放熱器(52)から流出して加熱コイル(23)に向かう温水の一部が分岐して流入する。
このような構成により、実施形態2の乾燥冷風装置(10)では、第1動作(図3参照)においても第2動作(図4参照)においても、熱交換器(45)において低温側流路を流れる除霜用流路(32)のブラインと高温側流路を流れる温水回路(40)の温水とが熱交換する。これにより、除霜用流路(32)のブラインが、温水回路(40)の放熱器(52)から流出した温水から吸熱して加熱される。その結果、第1及び第2冷却コイル(21,22)のうち除霜用流路(32)に接続された非冷却側コイルには、熱交換器(45)において温水回路(40)の温水によって加熱されたブラインが供給される。つまり、実施形態2では、非冷却側コイルに付着した霜には、該非冷却側コイルの外部を通過する空気と、内部を流通する温水回路(40)の温水によって加熱された除霜用流路(32)のブラインとから熱が付与され、霜が融解する。
以上のように、実施形態2の乾燥冷風装置(10)によれば、除霜用流路(32)のブラインを温水回路(40)の温水によって加熱可能に構成したため、冷却コイル(21,22)の除霜の際に、温水回路(40)の温水によって加熱された除霜用流路(32)のブラインによって迅速に除霜を行うことができる。従って、除霜時間をより短縮することができるため、空気の冷却除湿をより確実に連続して行わせることができる。また、加熱されたブラインで冷却コイル(21,22)の除霜を行うことにより、第1及び第2冷却コイル(21,22)の着霜が著しい場合であっても、確実に除霜を行うことができる。
なお、本実施形態2では、バイパス路(46)には、放熱器(52)から流出した温水が常時流入するように構成され、除霜用流路(32)のブラインが、常時、温水回路(40)の温水によって加熱されていた。しかし、バイパス路(46)の熱交換器(45)の上流側に開閉弁等を設け、所定の条件下においてのみ開閉弁を開いて除霜用流路(32)のブラインを加熱することとしてもよい。例えば、第1動作と第2動作との切換の間隔が所定の時間よりも短くなった場合には、着霜が著しく除霜が完全に行えていない可能性が高いため、このような場合にのみ開閉弁を開いて除霜用流路(32)のブラインを加熱して除霜能力を向上させることとしてもよい。このような場合には、必要に応じて除霜能力を上げることができると共に、不必要に温水回路(40)の温水から除霜用流路(32)のブラインへ熱が付与されることを抑制することができる。
《発明の実施形態3》
実施形態3の乾燥冷風装置(10)は、実施形態1の乾燥冷風装置(10)のケーシング(11)の構成及びケーシング(11)内におけるコイル等の配置を変更したものである。なお、ブライン回路(30)、温水回路(40)、チラー(55)の構成については実施形態1と同様であるため、説明を省略し、以下では異なる部分のみについて説明する。
図5に示すように、実施形態3の乾燥冷風装置(10)では、ケーシング(11)は、直方体形状の箱状に形成され、前後方向(図5では、上下方向)の長さと幅方向(図5では、左右方向)の長さが略等しくなるように形成されている。ケーシング(11)は、左右側板の前端部のそれぞれに空気の吸込口(12)が形成される一方、後板の左側に吹出口(13)が形成されている。
ケーシング(11)内は、仕切板(15)によって、前後方向に2つの空間、即ち、吸込口(12)側の冷却空間(S10)と吹出口(13)側の加熱空間(S20)とに仕切られている。また、仕切板(15)の右側には、冷却空間(S10)と加熱空間(S20)とを連通させる連通孔(15a)が形成されている。
冷却空間(S10)には、幅方向に延びる区画板(71)によって前後に並ぶ2つの空間が形成されている。前後に並ぶ2つの空間の前側の空間は、左右に配置された2つの区画板(72,73)によって3つの空気の通路、即ち、第1冷却通路(5)と接続通路(6)と第2冷却通路(7)とに区画されている。具体的には、左側の区画板(72)は、ケーシング(11)の左側板に沿って前後方向に延び、左側板との間に第1冷却通路(5)を区画している。一方、右側の区画板(73)は、ケーシング(11)の右側板に沿って前後方向に延び、右側板との間に第2冷却通路(7)を区画している。また、左側の区画板(72)及び右側の区画板(73)は、互いの間に接続通路(6)を区画している。一方、区画板(71)によって前後に仕切られた後側の空間は、空間全体が単一の導出通路(8)に構成されている。
第1冷却通路(5)には、第1冷却コイル(21)が幅方向に延びて前後方向に空気を通過させるように配置されている。また、第1冷却通路(5)には、ケーシング(11)の左側板に形成された吸込口(12)が対応している。一方、第2冷却通路(7)には、第2冷却コイル(22)が幅方向に延びて前後方向に空気を通過させるように配置されている。第2冷却通路(7)には、ケーシング(11)の右側板に形成された吸込口(12)が対応している。
ケーシング(11)の左側板及び右側板に形成された吸込口(12)には、それぞれ開閉式のダンパ(74,75)が設けられている。具体的には、第1冷却通路(5)には第1導入ダンパ(74)が設けられ、第2冷却通路(7)には第2導入ダンパ(75)が設けられている。また、前後方向に延びる2枚の区画板(72,73)には、それぞれに開閉式のダンパ(76a,76b,77a,77b)が2つずつ設けられている。左側の区画板(72)には、第1冷却コイル(21)の前側に第1導入ダンパ(76a)が設けられ、後側に第1導出ダンパ(76b)が設けられている。一方、右側の区画板(73)には、第2冷却コイル(22)の前側に第2導入ダンパ(77a)が設けられ、後側に第2導出ダンパ(77b)が設けられている。さらに、幅方向に延びる区画板(71)には、第1冷却通路(5)に対応する位置に第1後方導出ダンパ(78)が設けられ、第2冷却通路(7)に対応する位置に第2後方導出ダンパ(79)が設けられている。
詳細については後述するが、運転の際には、コントローラ(60)によって、第2導入ダンパ(75)と第2導出ダンパ(77b)と第1導入ダンパ(76a)と第1後方導出ダンパ(78)とが開く一方、第1導入ダンパ(74)と第1導出ダンパ(76b)と第2導入ダンパ(77a)と第2後方導出ダンパ(79)とが閉じる第1開閉状態(図5参照)と、第1導入ダンパ(74)と第1導出ダンパ(76b)と第2導入ダンパ(77a)と第2後方導出ダンパ(79)とが開く一方、第2導入ダンパ(75)と第2導出ダンパ(77b)と第1導入ダンパ(76a)と第1後方導出ダンパ(78)とが閉じる第2開閉状態(図6参照)に切り換えられる。第1開閉状態では、ケーシング(11)の外部と第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の前側部分とが連通し、第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の後側部分と接続通路(6)とが連通し、接続通路(6)と第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の前側部分とが連通し、第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の後側部分と導出通路(8)とが連通する。一方、第2開閉状態では、ケーシング(11)の外部と第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の前側部分とが連通し、第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の後側部分と接続通路(6)とが連通し、接続通路(6)と第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の前側部分とが連通し、第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の後側部分と導出通路(8)とが連通する。
また、導出通路(8)には、仕切板(15)の連通孔(15a)付近に、冷却空間(S10)から加熱空間(S20)へ流れる空気の温度を検出する第1温度センサ(61)が設けられている。第1温度センサ(61)は、検出値をコントローラ(60)に入力するように構成されている。
加熱空間(S20)は、空間全体が単一の加熱通路(9)に構成されている。加熱通路(9)には、加熱コイル(23)と送風ファン(24)とが設けられている。加熱コイル(23)は、仕切板(15)の連通孔(15a)に対応するように設けられ、ケーシング(11)の幅方向に延びて前後方向に空気を通過させるように配置されている。一方、送風ファン(24)は、加熱コイル(23)と吹出口(13)との間に設けられ、加熱コイル(23)を通過した加熱通路(9)の空気を吸い込んで吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ排出するように構成されている。
また、加熱通路(9)の加熱コイル(23)と送風ファン(24)との間には、加熱コイル(23)通過後の空気の温度を検出する第2温度センサ(62)が設けられている。第2温度センサ(62)は、検出値をコントローラ(60)に入力するように構成されている。
上述のように、上記ケーシング(11)内には、第1冷却通路(5)、接続通路(6)、第2冷却通路(7)、導出通路(8)及び加熱通路(9)が形成されている。これらの通路(5〜9)は、ケーシング(11)内に形成されて空気の流通経路が切換可能な空気流れを形成する空気通路を構成している。
〈コントローラ〉
実施形態3においても、コントローラ(60)は、乾燥冷風を生成する運転において、第1温度センサ(61)の検出値が所定温度(例えば、−6℃)以上になると、ブライン回路(30)を切り換えると共に空気通路における空気流れの流通経路を切り換えて、第1動作と第2動作とを交互に実行するように構成されている。具体的には、コントローラ(60)は、4つの三方弁(35,36,37,38)を第1流通状態となるように切り換えると共に、8つのダンパ(74,75,76a,76b,77a,77b,78,79)を第1開閉状態となるように切り換えて第1動作を実行するように構成されている。一方、コントローラ(60)は、4つの三方弁(35,36,37,38)を第2流通状態となるように切り換えると共に、8つのダンパ(74,75,76a,76b,77a,77b,78,79)を第2開閉状態となるように切り換えて第2動作を実行するように構成されている。また、コントローラ(60)は、第2温度センサ(62)の検出値が所望の温度(2℃)となるように、加熱側三方弁(43)を調整して温水回路(40)から加熱コイル(23)に流入する温水の流量を調節するように構成されている。さらに、コントローラ(60)は、第3温度センサ(63)の検出値が−10℃となるように圧縮機(51)の回転速度及び膨張弁(53)の開度を調節するように構成されている。
−運転動作−
実施形態1と同様に、コントローラ(60)は、送風ファン(24)、ポンプ(33,34,42)、冷却装置(41)のファン及び圧縮機(51)を起動し、4つの三方弁(35,36,37,38)と8つのダンパ(74,75,76a,76b,77a,77b,78,79)とを切り換えて、第1動作(図5参照)と第2動作(図6参照)とを交互に実行する。具体的には、コントローラ(60)は、4つの三方弁(35,36,37,38)を第1流通状態となるように切り換えると共に8つのダンパ(74,75,76a,76b,77a,77b,78,79)を第1開閉状態となるように切り換えて第1動作を実行する一方、4つの三方弁(35,36,37,38)を第2流通状態となるように切り換えると共に8つのダンパ(74,75,76a,76b,77a,77b,78,79)を第2開閉状態となるように切り換えて第2動作を実行する。
送風ファン(24)の起動により、ケーシング(11)内には、吸込口(12)から相対湿度65%、温度5℃の空気が取り込まれ、第2冷却通路(7)、接続通路(6)、第1冷却通路(5)、導出通路(8)、加熱通路(9)の順、又は、第1冷却通路(5)、接続通路(6)、第2冷却通路(7)、導出通路(8)、加熱通路(9)の順に流通する。
具体的には、第1動作では、8つのダンパ(74,75,76a,76b,77a,77b,78,79)が第1開閉状態となるように切り換えられ、ケーシング(11)の外部と第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の前側部分とが連通し、第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の後側部分と接続通路(6)とが連通し、接続通路(6)と第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の前側部分とが連通し、第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の後側部分と導出通路(8)とが連通する。これにより、ケーシング(11)内に流入した空気は、第2冷却通路(7)、接続通路(6)、第1冷却通路(5)、導出通路(8)、加熱通路(9)の順に流通する。具体的には、ケーシング(11)の外部の空気が、吸込口(12)に設けられた第2導入ダンパ(75)を介して第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の前側部分に流入する。第2冷却通路(7)に流入した空気は、前側から後側へ向かって流通して第2冷却コイル(22)を通過した後、第2導出ダンパ(77b)を介して接続通路(6)に流入する。接続通路(6)に流入した空気は、第1導入ダンパ(76a)を介して第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の前側部分に流入する。第1冷却通路(5)に流入した空気は、前側から後側に向かって第1冷却コイル(21)を通過した後、第1後方導出ダンパ(78)を介して導出通路(8)に流出する。導出通路(8)に流入した空気は、仕切板(15)の連通孔(15a)を介して加熱通路(9)に流入し、加熱コイル(23)を通過した後、吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ吹き出される。
一方、第2動作では、8つのダンパ(74,75,76a,76b,77a,77b,78,79)が第2開閉状態となるように切り換えられ、ケーシング(11)の外部と第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の前側部分とが連通し、第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の後側部分と接続通路(6)とが連通し、接続通路(6)と第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の前側部分とが連通し、第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の後側部分と導出通路(8)とが連通する。これにより、ケーシング(11)内に流入した空気は、第1冷却通路(5)、接続通路(6)、第2冷却通路(7)、導出通路(8)、加熱通路(9)の順に流通する。具体的には、ケーシング(11)の外部の空気が、吸込口(12)に設けられた第1導入ダンパ(74)を介して第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の前側部分に流入する。第1冷却通路(5)に流入した空気は、前側から後側へ向かって第1冷却コイル(21)を通過した後、第1導出ダンパ(76b)を介して接続通路(6)に流入する。接続通路(6)に流入した空気は、第2導入ダンパ(77a)を介して第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の前側部分に流入する。第2冷却通路(7)に流入した空気は、前側から後側に向かって第2冷却コイル(22)を通過した後、第2後方導出ダンパ(79)を介して導出通路(8)に流出する。導出通路(8)に流入した空気は、仕切板(15)の連通孔(15a)を介して加熱通路(9)に流入し、加熱コイル(23)を通過した後、吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ吹き出される。
なお、ブライン回路(30)、温水回路(40)及び冷媒回路(50)における動作は、実施形態1と同様である。
以上により、第1動作(図5参照)では、第1冷却コイル(21)が冷却用流路(31)に接続されると共に第2冷却コイル(22)が除霜用流路(32)に接続されるようにブライン回路(30)が切り換えられる。また、ケーシング(11)内に流入した空気が、非冷却側コイルである第2冷却コイル(22)を通過した後に、冷却側コイルである第1冷却コイル(21)を通過するように、空気流れの流通経路が切り換えられる。
これにより、吸込口(12)を介してケーシング(11)内の第2冷却通路(7)に取り込まれた空気(相対湿度65%、温度5℃)は、非冷却側コイルである第2冷却コイル(22)を通過した後、接続通路(6)を介して第1冷却通路(5)に流入し、冷却側コイルである第1冷却コイル(21)を通過する際に、該第1冷却コイル(21)内を流れる−10℃のブラインに吸熱されて冷却される(例えば、−8℃)。このとき、第1冷却コイル(21)の表面は、通過する空気の露点温度よりも低いため、空気中の水分が凝縮して霜が付着する(着霜する)。これにより、空気が除湿される。つまり、ケーシング(11)内に流入した空気は、第1冷却コイル(21)を通過する際に冷却用流路(31)のブラインによって冷却除湿される(例えば、相対湿度91%、温度−8℃)。
冷却除湿後の空気は、第1冷却通路(5)から導出通路(8)に導出されて加熱通路(9)に流入し、加熱コイル(23)を通過する際に、該加熱コイル(23)を流れる温水(37℃程度)と熱交換して加熱される。このとき、コントローラ(60)は、第2温度センサ(62)の検出値が所望の温度(2℃)となるように、加熱側三方弁(43)を調整して加熱コイル(23)に流入する温水の流量を調節する。その結果、冷却除湿後の空気が、加熱コイル(23)において所望の温度に加熱される。これにより、所望の状態(相対湿度40%、温度2℃)の乾燥冷風が生成され、送風ファン(24)によって吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ排出される。
ところで、第1動作中に、第1冷却コイル(21)に付着した霜が成長すると、熱交換効率が低下して空気が所望の温度まで冷却されないまま第1冷却コイル(21)を通過してしまう。コントローラ(60)は、第1温度センサ(61)の検出値が所定温度(例えば、−6℃)以上になると、ブライン回路(30)を切り換えると共に空気通路における空気流れの流通経路を切り換えて第2動作を実行する。
第2動作(図6参照)では、第2冷却コイル(22)が冷却用流路(31)に接続されると共に第1冷却コイル(21)が除霜用流路(32)に接続されるようにブライン回路(30)が切り換えられる。また、ケーシング(11)内に流入した空気が、非冷却側コイルである第1冷却コイル(21)を通過した後に、冷却側コイルである第2冷却コイル(22)を通過するように、空気流れの流通経路が切り換えられる。
これにより、吸込口(12)を介してケーシング(11)内の第1冷却通路(5)に取り込まれた空気(相対湿度65%、温度5℃)は、まず、非冷却側コイルである第1冷却コイル(21)を通過する際に、該第1冷却コイル(21)に付着した霜によって冷却される(例えば、1℃程度)。このとき、第1冷却コイル(21)に付着した霜には、該第1冷却コイル(21)の外部を通過する空気と内部を流通する除霜用流路(32)のブラインとから熱が付与される。これにより、霜が融解していく。つまり、第1冷却コイル(21)は、外部を通過する空気と内部を通過する除霜用流路(32)のブラインとによって除霜される。第1冷却コイル(21)で霜によって冷却された空気は、接続通路(6)を介して第2冷却通路(7)に流入し、冷却側コイルである第2冷却コイル(22)を通過する際に、該第2冷却コイル(22)内を流れる−10℃のブラインに吸熱されて冷却される(例えば、−8℃)。このとき、第2冷却コイル(22)の表面は、通過する空気の露点温度よりも低いため、空気中の水分が凝縮して霜が付着する(着霜する)。これにより、空気が除湿される。つまり、ケーシング(11)内に流入した空気は、第1冷却コイル(21)を通過する際に霜によって予冷された後、第2冷却コイル(22)を通過する際に冷却用流路(31)のブラインによって冷却除湿される(例えば、相対湿度91%、温度−8℃)。
冷却除湿後の空気は、第2冷却通路(7)から導出通路(8)に導出されて加熱通路(9)に流入し、第1動作と同様に、加熱コイル(23)を通過する際に、該加熱コイル(23)を流れる温水(37℃程度)と熱交換して加熱される。これにより、所望の状態(相対湿度40%、温度2℃)の乾燥冷風が生成され、送風ファン(24)によって吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ排出される。
また、第2動作中に、第2冷却コイル(22)に付着した霜が成長すると、熱交換効率が低下して空気が所望の温度まで冷却されないまま第2冷却コイル(22)を通過してしまう。コントローラ(60)は、第1温度センサ(61)の検出値が所定温度(例えば、−6℃)以上になると、ブライン回路(30)を切り換えると共に空気通路における空気流れの流通経路を切り換えて再び第1動作を実行する。
2度目以降の第1動作では、第2冷却コイル(22)が着霜している点が1度目の第1動作と異なる。そのため、吸込口(12)を介してケーシング(11)内の第2冷却通路(7)に流入した空気は、まず、非冷却側コイルである第2冷却コイル(22)を通過する際に、該第2冷却コイル(22)に付着した霜によって冷却される(例えば、1℃程度)。このとき、第2冷却コイル(22)に付着した霜には、該第2冷却コイル(22)の外部を通過する空気と内部を流通する除霜用流路(32)のブラインとから熱が付与される。これにより、霜が融解していく。つまり、第2冷却コイル(22)は、外部を通過する空気と内部を通過する除霜用流路(32)のブラインとによって除霜される。その他の動作は、1度目の第1動作と同様である。
−実施形態3の効果−
実施形態3においても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。また、実施形態3では、第1及び第2動作のいずれの場合にも、第1及び第2冷却コイル(21,22)の前側から後側に向かって空気が通過する一方、後側から前側に向かってブラインが流れるように構成されている。つまり、実施形態3では、第1及び第2動作のいずれの場合にも、第1及び第2冷却コイル(21,22)における通過空気とブラインとが対向して流れる(対向流となる)ように構成されている。これにより、第1及び第2冷却コイル(21,22)における通過空気とブラインとの熱交換効率を向上させることができるため、冷却効率及び除霜効率を向上させることができる。
《発明の実施形態4》
実施形態4の乾燥冷風装置(10)は、実施形態3の乾燥冷風装置(10)の回路構成を変更したものである。
図7及び図8に示すように、実施形態4の乾燥冷風装置(10)では、除霜用流路(32)のブラインを加熱する手段として、実施形態2と同様の熱交換器(45)が設けられている。該熱交換器(45)の低温側流路は除霜用流路(32)のポンプ(34)の上流側に接続され、高温側流路は、加熱コイル(23)に並列に接続されたバイパス路(46)に接続されている。バイパス路(46)は、流入端が加熱コイル(23)の流入端を温水回路(40)に接続する流入路に接続される一方、流出端が温水回路(40)の加熱側三方弁(43)の下流側に接続されている。
このような構成により、実施形態4の乾燥冷風装置(10)では、第1動作(図7参照)においても第2動作(図8参照)においても、熱交換器(45)において低温側流路を流れる除霜用流路(32)のブラインと高温側流路を流れる温水回路(40)の温水とが熱交換する。これにより、除霜用流路(32)のブラインが、温水回路(40)の放熱器(52)から流出した温水から吸熱して加熱される。その結果、第1及び第2冷却コイル(21,22)のうち除霜用流路(32)に接続された非冷却側コイルには、熱交換器(45)において温水回路(40)の温水によって加熱されたブラインが供給される。つまり、実施形態4では、非冷却側コイルに付着した霜には、該非冷却側コイルの外部を通過する空気と、内部を流通する温水回路(40)の温水によって加熱された除霜用流路(32)のブラインとから熱が付与され、霜が融解する。
以上のように、実施形態4の乾燥冷風装置(10)によれば、実施形態2と同様の効果を奏することができる。
なお、本実施形態4においても、実施形態2と同様に、バイパス路(46)の熱交換器(45)の上流側に開閉弁等を設け、所定の条件下(例えば、第1動作と第2動作との切換の間隔が所定の時間よりも短くなった場合)においてのみ開閉弁を開いて除霜用流路(32)のブラインを加熱することとしてもよい。
《発明の実施形態5》
図9に示すように、実施形態5の乾燥冷風装置(10)は、実施形態1の乾燥冷風装置(10)のケーシング(11)内の構成を一部変更すると共に、ブラインが循環する熱回収回路(25)を追加したものである。なお、ブライン回路(30)、温水回路(40)、チラー(55)及びコントローラ(60)の構成については実施形態1と同様であるため、図示及び説明を省略し、以下では異なる部分のみについて説明する。
熱回収回路(25)は、予冷コイル(26)と予熱コイル(27)とポンプ(28)とが接続され、ポンプ(28)の搬送力によって予冷コイル(26)と予熱コイル(27)との間においてブラインが循環するように構成されている。予冷コイル(26)と予熱コイル(27)とは、ケーシング(11)内に設置されている。
実施形態5では、冷却空間(S10)の2つの区画板(16,17)よりも手前側に、幅方向に延びる仕切板(14)が設けられている。これにより、実施形態5では、仕切板(14)とケーシング(11)の前板との間に、予冷通路(29)が形成されている。また、仕切板(14)の中央には、予冷通路(29)と導入通路(1)とを連通させる連通孔(14a)が形成されている。
予冷通路(29)には、予冷コイル(26)が設置されている。予冷コイル(26)は、予冷通路(29)において幅方向に延びて前後方向に空気を通過させるように配置されている。また、予冷コイル(26)は、通過後の空気が導入通路(1)に流入するように、仕切板(14)の連通孔(14a)に対応するように設けられている。これにより、ケーシング(11)の吸込口(12)を介して予冷通路(29)に流入した空気は、予冷コイル(26)を通過した後、導入通路(1)へ流入して冷却通路(2)へ導入され、該冷却通路(2)において第1及び第2冷却コイル(21,22)を通過した後に、導出通路(3)へ流入して冷却通路(2)から加熱通路(4)へ導出される。
また、実施形態5では、加熱空間(S20)全体によって構成される加熱通路(4)の加熱コイル(23)の手前側に予熱コイル(27)が設置されている。予熱コイル(27)は、仕切板(15)の連通孔(15a)に対応するように設けられ、加熱通路(4)の幅方向に延びて前後方向に空気を通過させるように配置されている。これにより、仕切板(15)の連通孔(15a)を介して加熱通路(4)に流入した空気は、予熱コイル(27)、加熱コイル(23)の順に通過した後、送風ファン(24)に吸い込まれてケーシング(11)の外部へ排出される。
このような構成により、実施形態5では、第1動作(図9の白抜き細矢印参照)においても第2動作(図9の実線矢印参照)においても、吸込口(12)を介してケーシング(11)内に取り込まれた空気(例えば、相対湿度65%、温度5℃)は、まず、予冷通路(29)に流入して予冷コイル(26)を通過する。予冷コイル(26)には、予熱コイル(27)において導出通路(3)から流出した冷却除湿後の空気(例えば、相対湿度91%、温度−8℃)によって冷却されたブラインが流入する。これにより、予冷コイル(26)では、通過空気が内部を流れるブラインによって予め冷却される。予冷された空気は、実施形態1と同様に、導入通路(1)、冷却通路(2)、導出通路(3)の順に流れて、冷却用流路(31)のブラインによって冷却除湿される(例えば、相対湿度91%、温度−8℃)。
導出通路(3)から加熱通路(4)に流入した空気は、加熱コイル(23)を通過する前に予熱コイル(27)を通過する。予熱コイル(27)には、予冷コイル(26)において通過空気(相対湿度65%、温度5℃)から吸熱して加熱されたブラインが流入する。これにより、予熱コイル(27)では、通過空気が内部を流れるブラインによって予め加熱される。予熱された空気は、実施形態1と同様に、加熱コイル(23)を通過し、該加熱コイル(23)において内部を流れる温水回路(40)の温水(37℃程度)と熱交換して加熱される。その他の動作は、実施形態1と同様である。
実施形態5の乾燥冷風装置(10)では、熱回収回路(25)を設け、予冷コイル(26)において空気を予冷すると共に、該予冷コイル(26)において通過空気から吸熱した熱を予熱コイル(27)において冷却除湿後の空気の予熱に用いることとしている。従って、冷却コイル(21,22)における冷却負荷及び加熱コイル(23)における加熱負荷を低減することができるため、省エネルギー化を促進することができる。
《発明の実施形態6》
図10に示すように、実施形態6の乾燥冷風装置(10)は、実施形態1の乾燥冷風装置(10)の構成を一部変更すると共に、顕熱交換器(80)を設け、顕熱交換器(80)において冷却除湿後の空気と冷却除湿前の空気とを熱交換させ、冷却コイル(21,22)にて冷却除湿する前の空気を予冷する一方、冷却除湿後の空気、即ち、加熱コイル(23)にて加熱(再熱)する前の空気を予熱することとしたものである。なお、ブライン回路(30)、温水回路(40)、チラー(55)及びコントローラ(60)の構成については実施形態1と同様であるため、図示及び説明を省略し、以下では異なる部分のみについて説明する。
具体的には、実施形態6では、冷却空間(S10)と加熱空間(S20)とが、前後方向に並ぶ2つのケーシング(11,81)内に別個に形成されている。前側のケーシング(11)内に冷却空間(S10)が形成され、後側のケーシング(81)内に加熱空間(S20)が形成され、両ケーシング(11,81)の間に上記顕熱交換器(80)が設けられている。
前側のケーシング(11)は、前板に吸込口(12)が形成される一方、後板に吹出口(13)が形成されている。前側のケーシング(11)内の冷却空間(S10)には、実施形態1と同様の2つの区画板(16,17)が設けられ、該区画板(16,17)によって3つの空気の通路、即ち、導入通路(1)と冷却通路(2)と導出通路(3)とが区画されている。冷却通路(2)には、実施形態1と同様に第1及び第2冷却コイル(21,22)が設けられている。前側のケーシング(11)の吹出口(13)は、顕熱交換器(80)の後述する第1流路の流入端に接続されている。
また、導出通路(3)には、吹出口(13)付近に、冷却空間(S10)から顕熱交換器(80)へ流れる空気の温度を検出する第1温度センサ(61)が設けられている。第1温度センサ(61)は、検出値をコントローラ(60)に入力するように構成されている。
後側のケーシング(81)は、前板に吸込口(82)が形成される一方、後板に吹出口(83)が形成されている。後側のケーシング(81)内の加熱空間(S20)は、実施形態1と同様に空間全体が単一の加熱通路(4)に構成され、該加熱通路(4)には、実施形態1と同様に加熱コイル(23)と送風ファン(24)とが設けられている。加熱コイル(23)は、吸込口(82)に対応するように設けられ、送風ファン(24)は、加熱コイル(23)と吹出口(83)との間に設けられている。後側のケーシング(81)の吸込口(82)は、顕熱交換器(80)の後述する第1流路の流出端に接続されている。
また、加熱通路(4)の加熱コイル(23)と送風ファン(24)との間には、加熱コイル(23)通過後の空気の温度を検出する第2温度センサ(62)が設けられている。第2温度センサ(62)は、検出値をコントローラ(60)に入力するように構成されている。
顕熱交換器(80)は、本実施形態では、四角柱状に形成され、内部に平板部材(図示省略)と波板部材(図示省略)とが上下方向(図10では紙面に直交する方向)に交互に配置されている。波板部材は、前後方向に空気が流通する第1流路(図示省略)と、左右方向に空気が流通する第2流路(図示省略)とが、各平板部材間に交互に形成されるように配置されている。第1流路は、流入端が前側のケーシング(11)の吹出口(13)に接続される一方、流出端が後側のケーシング(81)の吸込口(82)に接続されている。一方、第2流路は、流入端が外部に開放され、流出端が前側のケーシング(11)の吸込口(12)に接続されている。これにより、第1流路には、冷却空間(S10)において冷却除湿されて加熱空間(S20)へ向かう冷却除湿後の空気が流れ、第2流路には、外部から取り込まれて冷却空間(S10)へ向かう冷却除湿前の空気が流れる。また、顕熱交換器(80)の平板部材は、両側をそれぞれ流れる第1流路の空気と第2流路の空気とを熱交換させる素材によって構成されている。
このような構成により、顕熱交換器(80)では、冷却空間(S10)において冷却除湿されて加熱空間(S20)へ向かう冷却除湿後の空気と、外部から取り込まれて冷却空間(S10)へ向かう冷却除湿前の空気とが熱交換する。これにより、冷却除湿前の空気から冷却除湿後の空気へ熱が移動する。つまり、冷却除湿前の空気は予冷され、冷却除湿後の空気は予熱される。言い換えると、顕熱交換器(80)では、外部から取り込まれた冷却除湿前の空気から熱を回収し、回収した熱が冷却除湿後の空気に付与されて該空気の加熱に用いられる。
以上のような構成により、実施形態6では、第1動作(図10の白抜き細矢印参照)においても第2動作(図10の実線矢印参照)においても、吸込口(12)を介して前側のケーシング(11)内に取り込まれた空気(例えば、相対湿度65%、温度5℃)は、実施形態1と同様に、導入通路(1)、冷却通路(2)、導出通路(3)の順に流れて、冷却用流路(31)のブラインによって冷却除湿される(例えば、相対湿度91%、温度−8℃)。
冷却空間(S10)において冷却除湿された空気は、導出通路(3)から吹出口(13)を介して前側のケーシング(11)から流出し、顕熱交換器(80)の第1流路に流入する。顕熱交換器(80)では、第1流路の空気と第2流路の空気とが熱交換する。即ち、冷却空間(S10)において冷却除湿された空気と外部から取り込まれて冷却空間(S10)において冷却除湿される前の空気とが熱交換する。これにより、冷却除湿前の空気は、第2流路において第1流路を流れる冷却除湿後の空気によって冷却された後、吸込口(12)を介して前側のケーシング(11)内の冷却空間(S10)に流入する。一方、冷却除湿後の空気は、第1流路において第2流路を流れる外部から取り込まれた冷却除湿前の空気によって加熱された後、吸込口(82)を介して後側のケーシング(81)内の加熱空間(S20)に流入し、加熱通路(4)を流れる。
加熱通路(4)に流入した空気は、実施形態1と同様に、加熱コイル(23)を通過し、該加熱コイル(23)において内部を流れる温水回路(40)の温水(37℃程度)と熱交換して加熱される。その他の動作は、実施形態1と同様である。
実施形態6の乾燥冷風装置(10)では、顕熱交換器(80)を設けて冷却除湿後の空気と冷却除湿前の空気とを熱交換させることにより、冷却除湿前の空気から熱を回収して該冷却除湿前の空気を予冷すると共に、回収した熱を冷却除湿後の空気の予熱に用いることとしている。従って、冷却コイル(21,22)における冷却負荷及び加熱コイル(23)における加熱負荷を低減することができるため、省エネルギー化を促進することができる。
《発明の実施形態7》
図11及び図12に示すように、実施形態7の乾燥冷風装置(10)は、実施形態2の乾燥冷風装置(10)において、第1及び第2冷却コイル(21,22)に付着した霜の冷熱を利用して冷水を生成することとしたものである。乾燥冷風装置(10)において生成された冷水は、例えば、野菜等の洗浄に用いられる。つまり、実施形態7の乾燥冷風装置(10)では、1つの装置で、野菜等の洗浄用水と洗浄後の野菜等の乾燥用冷風とが生成されるように構成されている。
具体的には、実施形態7では、系外から導入された水と除霜用流路(32)のブラインとを熱交換させる水熱交換器(91)と、該水熱交換器(91)に流入する除霜用流路(32)のブラインを冷却用流路(31)のブラインによって冷却する冷却機構(92)とが設けられている。
水熱交換器(91)は、シェル・アンド・チューブ型の熱交換器に構成され、チューブが除霜用流路(32)のポンプ(34)の下流側に接続されている。水熱交換器(91)のシェルには、系外から水を供給する給水管(91a)と熱交換後の冷水を取出管(91b)とが接続されている。水熱交換器(91)のシェルには、給水管(91a)を介して系外の水、具体的には上水又は被冷却物に対して放熱した後の冷水が供給され、チューブ内を流れる除霜用流路(32)のブラインと熱交換して冷却される。
冷却機構(92)は、冷却用流路(31)と除霜用流路(32)とに接続された第1及び第2接続管(93,94)と、三方弁(95)と、ブライン温度センサ(96)とを有している。
第1接続管(93)は、一端が冷却用流路(31)の吸熱器(54)の下流側に接続され、他端が除霜用流路(32)のポンプ(34)の吸入側に設けられた三方弁(95)の第2ポートに接続されている。一方、第2接続管(94)は、一端が冷却用流路(31)のポンプ(33)の吸入側に接続され、他端が除霜用流路(32)の三方弁(95)の上流側、即ち、第1接続管(93)の上流側に接続されている。三方弁(95)は、除霜用流路(32)のポンプ(34)の吸入側において、第1ポートが上流側に接続され、第3ポートが下流側に接続されている。上述のように、第2ポートには第1接続管(93)が接続されている。
三方弁(95)は、第1ポート及び第2ポートから流入したブラインが第3ポートから排出されるように構成されている。また、三方弁(95)は、例えば、ダイヤフラム三方弁によって構成され、コントローラ(60)によって第1ポートから第3ポートへ向かう流路と第2ポートから第3ポートへ向かう流路との断面積の比率が調整されることにより、冷却用流路(31)から除霜用流路(32)に流入するブラインの流量が調節されるように構成されている。
ブライン温度センサ(96)は、除霜用流路(32)のポンプ(34)と水熱交換器(91)との間において、ブラインの温度を検出するように構成されている。ブライン温度センサ(96)は、検出値をコントローラ(60)に入力するように構成されている。
また、本実施形態では、コントローラ(60)が、実施形態2の構成に加え、ブライン温度センサ(96)の検出値、即ち、水熱交換器(91)のチューブ内に流入するブラインの温度が0℃となるように三方弁(95)を調整するように構成されている。つまり、コントローラ(60)は、水熱交換器(91)において水を冷却するブラインの温度が0℃となるように、冷却用流路(31)から除霜用流路(32)へ流れるブラインの流量を調整するように構成されている。
以上のような実施形態7における運転動作は、ほぼ実施形態2と同様であるが、ブライン回路(30)におけるブラインの流れが実施形態2と異なる。
具体的には、図11に示すように、第1動作では、コントローラ(60)によって、4つの三方弁(35,36,37,38)が第1流通状態となるように切り換えられると共に、ブライン温度センサ(96)の検出値が0℃となるように三方弁(95)が調整される。これにより、ブライン回路(30)では、第1冷却コイル(21)が冷却用流路(31)に接続されて冷却側コイルとなる一方、第2冷却コイル(22)が除霜用流路(32)に接続されて非冷却側コイルとなる。また、第1接続管(93)を介して冷却用流路(31)のブラインの一部が除霜用流路(32)に流入する一方、第2接続管(94)を介して除霜用流路(32)のブラインの一部が冷却用流路(31)に流入することにより、水熱交換器(91)のシェル内に0℃に温度制御されたブラインが流入する。
このように、第1動作では、第1冷却コイル(21)に吸熱器(54)において−10℃に冷却された冷却用流路(31)のブラインが供給される。一方、第2冷却コイル(22)には、冷却機構(92)によって0℃に冷却された後、水熱交換器(91)のチューブ内に供給されてシェル内の水から吸熱して該水を冷却した後の除霜用流路(32)のブラインが供給される。
一方、図12に示すように、第2動作では、コントローラ(60)によって、4つの三方弁(35,36,37,38)が第2流通状態となるように切り換えられると共に、ブライン温度センサ(96)の検出値が0℃となるように三方弁(95)が調整される。これにより、ブライン回路(30)では、第2冷却コイル(22)が冷却用流路(31)に接続されて冷却側コイルとなる一方、第1冷却コイル(21)が除霜用流路(32)に接続されて非冷却側コイルとなる。また、第1接続管(93)を介して冷却用流路(31)のブラインの一部が除霜用流路(32)に流入する一方、第2接続管(94)を介して除霜用流路(32)のブラインの一部が冷却用流路(31)に流入することにより、水熱交換器(91)のシェル内に0℃に温度制御されたブラインが流入する。
このように、第2動作では、第2冷却コイル(22)に吸熱器(54)において−10℃に冷却された冷却用流路(31)のブラインが供給される。一方、第1冷却コイル(21)には、冷却機構(92)によって0℃に冷却された後、水熱交換器(91)のチューブ内に供給されてシェル内の水から吸熱して該水を冷却した後の除霜用流路(32)のブラインが供給される。
このような構成により、実施形態7の乾燥冷風装置(10)では、第1動作(図11参照)においても第2動作(図12参照)においても、除霜用流路(32)のブラインは、冷却機構(92)によって0℃に温度調節された後、水熱交換器(91)のチューブ内に供給される。水熱交換器(91)において、チューブを流れる0℃のブラインは、シェル内の水から吸熱する。これにより、水が冷却され(2℃)、冷水が生成される。水熱交換器(91)においてシェル内の水から吸熱して温度上昇したブラインは、第1及び第2冷却コイル(21,22)のうち除霜用流路(32)に接続された非冷却側コイルに流入し、該非冷却側コイルに付着した霜に放熱することで非冷却側コイルを除霜する。非冷却側コイルにおいて霜に放熱して温度が低下したブラインは、再び冷却機構(92)によって0℃に温度調節されて水熱交換器(91)に供給され、上述の動作が繰り返される。このように、実施形態7では、非冷却側コイルに付着した霜の冷熱が除霜用流路(32)のブラインに回収され、回収された冷熱は、ブラインと共に水熱交換器(91)に供給されて冷水の生成に用いられる。
以上のように、実施形態7の乾燥冷風装置(10)によれば、非冷却側コイルから流出したブラインと系外から導入された水とを熱交換させる水熱交換器(91)を除霜用流路(32)に設けることにより、非冷却側コイルに付着した霜と系外から導入された水との間において熱交換を行わせて冷水生成と非冷却側コイルの除霜とを行わせることができる。つまり、実施形態7の乾燥冷風装置(10)によれば、乾燥冷風を生成するのみならず、冷水生成用の熱源を別途設けることなく、非冷却側コイルの霜の冷熱を利用して冷水を生成することができる。
なお、本実施形態7では、冷却機構(92)を設け、冷却用流路(31)のブラインの一部を除霜用流路(32)に流入させることによって、水熱交換器(91)に流入するブラインの温度を0℃に調節していたが、冷却機構(92)は設けなくてもよい。その場合であっても、非冷却側コイルに付着した霜によって冷却されたブラインが水熱交換器(91)に供給されるように構成することによって霜の冷熱を利用して冷水を生成することができる。
また、本実施形態7では、実施形態2の乾燥冷風装置(10)に水熱交換器(91)を追加していたが、実施形態1の乾燥冷風装置(10)に水熱交換器(91)のみ、又は水熱交換器(91)及び冷却機構(92)を追加して、第1及び第2冷却コイル(21,22)に付着した霜の冷熱を利用して冷水を生成することとしてももちろんよい。
《発明の実施形態8》
図13及び図14に示すように、実施形態8の乾燥冷風装置(10)は、実施形態1の乾燥冷風装置(10)において、構成を一部変更し、第1及び第2冷却コイル(21,22)が空気の流れに対して並列に配置されるようにしたものである。
具体的には、実施形態8では、後側の区画板(17)に、実施形態1の第1導出ダンパ(19a)及び第2導出ダンパ(19b)の代わりに、第3導出ダンパ(19c)が設けられている。第3導出ダンパ(19c)は、前後方向において第1冷却コイル(21)と第2冷却コイル(22)との間に設けられている。
また、実施形態8では、3つのダンパ(18a,18b,19c)は、コントローラ(60)によって第1動作及び第2動作のいずれの動作中であっても開状態となるように構成されている。つまり、実施形態8では、4つの三方弁(35,36,37,38)のみを切り換えて第1動作及び第2動作を実行するように構成されている。具体的には、コントローラ(60)は、4つの三方弁(35,36,37,38)を第1流通状態となるように切り換えて第1動作を実行する一方、4つの三方弁(35,36,37,38)を第2流通状態となるように切り換えて第2動作を実行する。コントローラ(60)のその他の構成は実施形態1と同様である。
以上のような実施形態8における運転動作は、ほぼ実施形態1と同様であるが、ケーシング(11)内における空気流れが実施形態1と異なる。
実施形態8では、第1動作(図13参照)においても第2動作(図14参照)においても、吸込口(12)を介して導入通路(1)に流入した空気は、2つに分流され、一部が第1導入ダンパ(18a)を介して冷却通路(2)の第1冷却コイル(21)の前側部分に流入し、残りが第2導入ダンパ(18b)を介して冷却通路(2)の第2冷却コイル(22)の後側部分に流入する。冷却通路(2)の第1冷却コイル(21)の前側部分に流入した空気は、第1冷却コイル(21)を通過し、冷却通路(2)の第2冷却コイル(22)の後側部分に流入した空気は、第2冷却コイル(22)を通過する。両冷却コイル(21,22)を通過した空気は、両冷却コイル(21,22)の間において合流した後、第3導出ダンパ(19c)を介して導出通路(3)に流出する。導出通路(3)に流入した空気は、仕切板(15)の連通孔(15a)を介して加熱通路(4)に流入し、加熱コイル(23)を通過した後、吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ吹き出される。
なお、ブライン回路(30)、温水回路(40)及び冷媒回路(50)における動作は、実施形態1と同様である。
以上により、第1動作(図13参照)においても第2動作(図14参照)においても、吸込口(12)を介して導入通路(1)に流入した空気は、2つに分流されて冷却通路(2)に流入し、該冷却通路(2)において、第1冷却コイル(21)及び第2冷却コイル(22)をそれぞれ別個に通過した後、両冷却コイル(21,22)の間において合流して導出通路(3)へ流出する。つまり、第1動作では、冷却側コイルとなる第1冷却コイル(21)を通過して冷却除湿された空気と、非冷却側コイルとなる第2冷却コイル(22)を通過して該第2冷却コイル(22)を除霜した空気とが合流して導出通路(3)へ流出する。一方、第2動作では、冷却側コイルとなる第2冷却コイル(22)を通過して冷却除湿された空気と、非冷却側コイルとなる第1冷却コイル(21)を通過して該第1冷却コイル(21)を除霜した空気とが合流して導出通路(3)へ流出する。その他の動作は、実施形態1と同様である。
なお、非冷却側コイルを通過した空気は、比較的温度が高い(1℃程度)。そのため、両冷却コイル(21,22)を通過して合流された空気の温度が所望の温度(−8℃程度)となるように、冷却側コイルに流入する冷却用流路(31)のブラインの温度が、実施形態1よりも低くなるように(例えば、−18℃)、圧縮機(51)の回転速度及び膨張弁(53)の開度が調節される。具体的には、コントローラ(60)により、第3温度センサ(63)の検出値、即ち、吸熱器(54)を通過した冷却用流路(31)のブラインの温度が、例えば、−18℃となるように圧縮機(51)の回転速度及び膨張弁(53)の開度が調節される。
実施形態8によっても、非冷却側コイルにおいて、外部を通過する空気と内部を流れる熱媒体とによって除霜を行うことにより、除霜能力の向上を図ることができる。
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、乾燥冷風装置を洗浄後の野菜等の乾燥に用いる場合について説明していたが、本発明に係る乾燥冷風装置の用途はこれに限られず、例えば、中低温域(10℃以下)の室内の除湿を行う用途に用いることとしてもよい。
また、上記実施形態3,4,7では、第1及び第2動作のいずれの場合にも、第1及び第2冷却コイル(21,22)における通過空気とブラインとが対向流となるように構成されていた。一方、実施形態1,2,5,6では、上述のように構成されていないが、ブライン回路(30)に切換弁を設け、第1及び第2動作の切換に伴って、第1及び第2冷却コイル(21,22)におけるブラインの流れを反転(前側から後側への流れを後側から前側への流れに変更、又は、その逆に変更)させることによって、第1及び第2動作のいずれの場合にも、第1及び第2冷却コイル(21,22)における通過空気とブラインとが対向流となるように構成することとしてもよい。そのように構成することにより、実施形態1,2,5,6においても、第1及び第2冷却コイル(21,22)における通過空気とブラインとの熱交換効率を向上させることができるため、冷却効率及び除霜効率を向上させることができる。
また、上記各実施形態において、図15に示すように、第1及び第2冷却コイル(21,22)のコイル長さを変更可能に構成することとしてもよい。具体的には、第1及び第2冷却コイル(21,22)は、冷却用流路(31)に接続されて冷却側コイルとなる際に、ブラインを流入させる流入管(20a)が1つであるのに対し、流出管が複数(図15では3つ、即ち、第1から第3流出管(20b,20c,20d))設けられている。第1〜第3流出管(20b,20c,20d)は、冷却側コイルとなる際の各冷却コイル(21,22)における下流側の異なる位置に接続されている。また、第1〜第3流出管(20b,20c,20d)には、それぞれ第1〜第3開閉弁(20e,20f,20g)が設けられている。そして、各冷却コイル(21,22)が冷却側コイルとなる際に、上流側の第1開閉弁(20e)から下流側へ第2開閉弁(20f)、第3開閉弁(20g)の順に開状態とする開閉弁を変更し、用いる流出管を上流側の第1流出管(20b)から下流側へ第2流出管(20c)、第3流出管(20d)の順に変更していく。これにより、冷却コイル(21,22)の使用領域が徐々に拡大される。つまり、冷却用流路(31)に接続された冷却側コイルでは、通過空気を露点温度以下に冷却して除湿するために着霜することとなるが、上述のように冷却コイル(21,22)の使用領域を徐々に拡大することによって着霜していない部分を追加することができるため、着霜による熱交換効率の低下を抑制しつつ第1及び第2動作の切換間隔を長くすることができる。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。