JP5891603B2 - 液体噴出装置及び液体噴出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液体噴出装置及び液体噴出方法に関する。
ノズルからインク等の液体を噴出して媒体上に液滴(インクドット)を着弾させることで画像や文字の記録を行う液体噴出装置が知られている。液体噴出装置の中には、紫外線(UV)を照射すると硬化する紫外線硬化型インク(UVインク)を噴出するものがある。
このようなUVインクを用いて画像を記録する際に、まず、有色インクを媒体に噴出して画像を形成し、その後、クリアインク(透明インク)を噴出して画像上にクリアインク層を形成し、画像をコーティングする方法が知られている。このとき、クリアインクの噴出量や照射される紫外線の光量を調整することにより、当該クリアインク層に微細な凹凸を付与し、表面を「マット調(低光沢度)」とする方法が提案されている(例えば特許文献1)。
特開2008−213152号公報
特許文献1の方法によれば、液体噴出装置によって、表面がマット調になる画像の記録を行うことができる。ここで、高精細なマット調を表現するためには、クリアインク層を形成するクリアインクドットをなるべく小さくし、隣接するクリアインクドット同士が接触しない状態とすることが好ましい。大きなクリアインクドットが密集すると、光が反射しやすくなり、画像表面において光沢を発生させやすくなるからである。
しかし、一般的な紫外線硬化型のクリアインクを用いてドットを形成する場合、クリアインクドットは画像の表面に着弾後、直ちに濡れ広がってドット径が大きくなる。すなわち、一般的な紫外線硬化型のクリアインクで径の小さなドットを形成することは困難であり、十分に高精細なマット調の画像を形成することは難しかった。
本発明は、紫外線硬化型インクを用いて画像を形成する際に、十分に高精細なマット調の画像を形成することを課題としている。
上記目的を達成するための主たる発明は、A)液体をノズルから噴出するヘッド部と、(B)光を照射する照射部と、(C)前記液体の噴出及び前記光の照射を制御する制御部、とを備え、前記制御部は、ヘッド部から媒体の所定の領域の各画素に対して、光の照射を受けることによって硬化する液体を噴出させて、照射部から前記噴出された液体へ光を照射して、硬化率が70%以上であって、かつ、前記画素の対角線の長さ以上の直径を有するドットを形成して下地層とし、ヘッド部から前記下地層に対して、光の照射を受けることによって硬化するクリア液体を噴出させて、照射部から前記噴出されたクリア液体へ光を照射し、前記下地層の上に前記画素の辺の長さよりも小さな直径を有するクリアドットを形成する、液体噴出装である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
プリンター1の全体構成を示すブロック図である。 プリンター1の構成を表した概略側面図である。 図3Aは、ヘッドユニット30のカラーインク用ヘッド31における複数の短尺ヘッドの配列を説明する図である。図3Bは、各ヘッドの下面に配置されるノズル列の様子を説明する図である。 図4A〜図4Cは、プリンター1を用いた画像記録動作の概念を説明する図である。 図5A及び図5Bは、ドットサイズと画像の光沢度との関係を説明する図である。 図6A〜図6Cは、下地層の撥水性の違いによる、クリアインクドットの形状の変化について説明する図である。 下地層の硬化率と、下地層の上に形成されるクリアインクドットの直径との関係を表す図である。 プリンター2の全体構成を示すブロック図である。 図9Aはプリンター2の構成を表した鳥瞰図であり、図9Bはプリンター2の構成を表した側面図である。 ヘッド38に設けられたノズル列の様子を説明する図である。 第2実施形態における画像記録動作について説明する図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
(A)液体をノズルから噴出するヘッド部と、(B)光を照射する照射部と、(C)前記液体の噴出及び前記光の照射を制御する制御部、とを備え、前記制御部は、ヘッド部から媒体に対して、光の照射を受けることによって硬化する液体を噴出させて、照射部から前記噴出された液体へ光を照射して、硬化率が70%以上のドットを形成し、ヘッド部から前記ドットに対して、光の照射を受けることによって硬化するクリア液体を噴出させて、照射部から前記噴出されたクリア液体へ光を照射し、画素の辺の長さよりも小さな直径を有するクリアドットを形成する、液体噴出装置。
このような液体噴出装置によれば、紫外線硬化型インクを用いて画像を形成する際に、十分に高精細なマット調の画像を形成することができる。
かかる液体噴出装置であって、前記制御部は、前記ドットを、前記画素の対角線の長さ以上の直径を有するドットとして、前記ドットが形成される領域の各画素に形成して前記クリアドットに対する下地層を形成することが望ましい。
このような液体噴出装置によれば、クリアインクドットが確実に下地層の上に形成されるようになり、画像をマット調にすることができる。また、該クリアインクドットが着弾する位置(画素)によってマット調に差が生じないようにすることができる。
かかる液体噴出装置であって、前記ドットを形成する液体は、硬化に必要な照射エネルギーが300mJ/cm以下の液体であることが望ましい。
このような液体噴出装置によれば、(UVの)照射エネルギーが小さな場合であっても、良好なマット調画像を効率よく形成することができる。
かかる液体噴出装置であって、前記下地層を形成する液体は、下記、一般式(1)
CH=CR−COOR−O−CH=CH−R ・・・(1)
(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数2〜20の2価の有機残基であり、Rは炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表される成分を含有することが望ましい。
このような液体噴出装置によれば、下地層を硬化させやすくなるので、より高精細なマット調画像を形成することができる。
かかる液体噴出装置であって、前記クリアドットの直径は、前記画素の辺の長さの80%よりも小さいことが望ましい。
このような液体噴出装置によれば、より高精細なマット調画像を形成することができる。
かかる液体噴出装置であって、前記制御部は、前記ドットが形成される領域の各画素に、前記クリアドットを形成させることが望ましい。
このような液体噴出装置によれば、画素毎に光沢度の差が生じにくい均一なマット調画像を形成することができる。
また、光の照射を受けることによって硬化する液体をノズルから媒体に対して噴出し、噴出した前記液体に照射部から光を照射して、硬化率が70%以上であるドットを形成することと、光の照射を受けることによって硬化するクリア液体をノズルから前記ドットに対して噴出し、噴出した前記クリア液体に照射部から光を照射して、画素の辺の長さよりも小さな直径を有するクリアドットを形成することと、
を有する液体噴出方法が明らかとなる。
また、(A)液体をノズルから噴出するヘッド部と、(B)光を照射する照射部と、(C)前記液体の噴出及び前記光の照射を制御する制御部、とを備え、前記制御部は、ヘッド部から媒体に対して、光の照射を受けることによって硬化する液体を噴出させて、照射部から前記噴出された液体へ光を照射して、前記液体を硬化させたドットを形成し、ヘッド部から前記ドットに対して、光の照射を受けることによって硬化するクリア液体を噴出させて、照射部から前記噴出されたクリア液体へ光を照射してクリアドットを形成し、前記クリアドットの直径は、前記クリア液体を前記媒体に噴出して、照射部から前記噴出したクリア液体へ光を照射して形成した場合のクリアドットの直径よりも小さな直径を有するクリアドットである、液体噴出装置が明らかとなる。
===第1実施形態===
第1実施形態では、発明を実施するための液体噴出装置の形態として、ラインプリンター(プリンター1)を例に挙げて説明する。
<プリンター1の構成>
プリンター1は、紙、布、フィルムシート等の媒体に向けて、インク等の液体を噴出することで画像を記録する液体噴出装置である。本実施形態では、紫外線(以下、UV)を照射することによって硬化する紫外線硬化型インク(以下、UVインク)を噴出することにより、媒体に画像を記録する。UVインクは、紫外線硬化樹脂を含むインクであり、UVの照射を受けると紫外線硬化樹脂において光重合反応が起こることにより硬化する。UVインクの詳細については後で説明する。なお、本実施形態のプリンター1は、UVインクとして、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、及びイエロー(Y)の4色のカラーインク、及び、無色透明なクリアインク(CL)を用いて画像の記録を行う。
図1は、プリンター1の全体構造を示すブロック図である。プリンター1は、搬送ユニット20、ヘッドユニット30、照射ユニット40、検出器群50、及びコントローラー60を有する。コントローラー60は、外部装置であるコンピューター110から受信した印刷データに基づいてヘッドユニット30や照射ユニット40等の各ユニットを制御する制御部である。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は検出器群50から出力された検出結果に基づいて各ユニットを制御する。
<コンピューター110>
プリンター1は、外部装置であるコンピューター110と通信可能に接続されている。コンピューター110にはプリンタードライバーがインストールされている。プリンタードライバーは、表示装置にユーザーインターフェースを表示させ、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換させるためのプログラムである。このプリンタードライバーは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピューターが読み取り可能な記録媒体)に記録されている。また、プリンタードライバーはインターネットを介してコンピューター110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
コンピューター110はプリンター1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じた印刷データをプリンター1に出力する。印刷データは、プリンター1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと、画素データとを有する。コマンドデータとは、プリンター1に特定の動作の実行を指示するためのデータである。このコマンドデータには、例えば、媒体供給を指示するコマンドデータ、媒体の搬送量を示すコマンドデータ、媒体排出を指示するコマンドデータがある。また、画素データは、印刷される画像の画素に関するデータである。
ここで、画素とは画像を構成する単位要素であり、記録解像度で規定される記録単位領域である。例えば、記録解像度が720×720dpiであれば、(1/720)×(1/720)インチの領域であり、画素の辺の長さは、1/720インチである。画素の大きさは各画素にドットを形成した場合の隣接ドット同士の距離の大きさになる。この画素が2次元的に並ぶことにより画像が構成される。印刷データにおける画素データは、媒体(例えば紙Sなど)上に形成されるドットに関するデータ(例えば、階調値)である。画素データは画素毎に、例えば2ビットのデータによって構成される。この2ビットの画素データは1つの画素を4階調で表現できるデータである。
<搬送ユニット20>
図2に、本実施形態のプリンター1の構成を表した概略側面図を示す。
搬送ユニット20は、媒体を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、搬送方向上流側の搬送ローラー23A及び搬送方向下流側の搬送ローラー23Bと、ベルト24とを有する(図2)。不図示の搬送モータが回転すると、上流側搬送ローラー23A及び下流側搬送ローラー23Bが回転し、ベルト24が回転する。媒体供給ローラー(不図示)によって媒体供給された媒体は、ベルト24によって印刷可能な領域(後述するヘッドユニット30と対向する領域)まで搬送される。印刷可能な領域を通過した媒体はベルト24によって外部へ排出される。なお、搬送中の媒体はベルト24に静電吸着又はバキューム吸着されている。
<ヘッドユニット30>
ヘッドユニット30は、媒体にUVインクを噴出するためのものである。ヘッドユニット30は搬送中の媒体に対してカラー(KCMY)及びクリア(CL)の各色インクを噴出することによってドットを形成し、媒体上に画像を記録する。本実施形態のプリンター1はラインプリンターであり、ヘッドユニット30の各ヘッドは媒体幅分のドットを一度に形成することができる。
図2では、搬送方向の上流側に、カラーインク用ヘッド31が設けられている。カラーインクヘッドはブラックインクヘッド(K)311と、シアンインクヘッド(C)312と、マゼンタインクヘッド(M)313と、イエローインクヘッド(Y)314と、から構成され、KCMYの各色のUVインクを噴出する。そして、カラーインク用ヘッド31の搬送方向後流側に、クリア(CL)のUVインクを噴出するクリアインク用ヘッド32が設けられている。これらのヘッドによって、媒体上に文字や画像(カラー画像)を記録し、後述する下地層を形成する。なお、カラーインク(KCMY)を噴出するノズルとクリアインク(CL)を噴出するノズルとが同一のヘッドに設けられるようにしてもよい。
また、クリアインク用ヘッド32の搬送方向後流側には、クリア(CL)のUVインクを噴出するクリアインク用ヘッド35が設けられている。クリアインク用ヘッド35から画像(下地層)の上にクリアインクを噴出することで、画像表面に多数のクリアインクドットを形成する。本実施形態では、このクリアインクドットによって画像をマット調にする。画像をマット調にする方法の詳細については後で説明する。
各ヘッドは各々、複数の短尺ヘッドから構成され、各短尺ヘッドはUVインクを噴出するための噴出口であるノズルを複数備えている。
図3Aは、ヘッドユニット30のカラーインク用ヘッド31における複数の短尺ヘッドの配列を説明する図である。図3Bは、各ヘッドの下面に配置されるノズル列の様子を説明する図である。なお、図3A及び図3Bはノズルを上面から仮想的に見た図である。
カラーインク用ヘッド31のうちブラックインクヘッド(K)311では、媒体幅方向に沿って複数の短尺ヘッド311a〜311nが千鳥列状に並んでいる。同様に、シアンインクヘッド(C)312では、媒体幅方向に沿って複数の短尺ヘッド312a〜312nが千鳥列状に並んでいる(図3A)。また、マゼンタインクヘッド(M)313、及び、イエローインクヘッド(Y)314も同様である(不図示)。
そして、各短尺ヘッドには複数のノズル列が形成されている(図3B)。各ノズル列は、インクを噴出するノズルをそれぞれ180個ずつ備えており、該ノズルは紙幅方向に沿って#1〜#180まで一定のノズルピッチ(例えば360dpi)で並んでいる。なお、1列のノズル数は180個には限られない。例えば、1列に360個のノズルを備えていても良いし、90個のノズルを備えていてもよい。各ノズルには、それぞれインクチャンバー及び圧電素子であるピエゾ素子(共に不図示)が設けられている。ピエゾ素子はユニット制御回路64により生成される駆動信号により駆動される。そして、ピエゾ素子の駆動によりインクチャンバーが伸縮・膨張し、インクチャンバーに満たされたインクがノズルから噴出される。ピエゾ素子群は、櫛歯状の複数のピエゾ素子PZT(駆動素子)を有し、ノズルNzに対応する数分だけ設けられている。
各ノズルは、駆動信号に従ってピエゾ素子に印加されるパルスにより、量の異なる複数種のインク液滴を噴出することができる。例えば、各ノズルからは、大ドットを形成し得る量の大インク滴、中ドットを形成し得る量の中インク滴、及び小ドットを形成し得る量の小インク滴空からなる3種類のインクを噴出させることができる。そして、搬送中の媒体に対して各ノズルから断続的にインク滴が噴出されることによって、各ノズルは、媒体の搬送方向に沿ったドットライン(ラスタライン)を形成する。
クリアインク用ヘッド32及び35もカラーインク用ヘッド31と同様の短尺ヘッドを複数備えており、各短尺ヘッドのノズル列は、インクを噴出するノズルNzをそれぞれ180個ずつ備えている。
<照射ユニット40>
照射ユニット40は、媒体に着弾したUVインクドットに向けてUVを照射するものである。媒体上に形成されたドットは、照射ユニット40からのUVの照射を受けることにより、硬化する。本実施形態の照射ユニット40は、第1照射部41、及び第2照射部45を備えている。
第1照射部41は、クリアインク用ヘッド32の搬送方向の下流側に設けられ(図2)、カラーインク用ヘッド31及びクリアインク用ヘッド32によって形成されたドットを硬化させるためのUVを照射する。第1照射部41の媒体幅方向の長さは媒体幅以上である。
また、本実施形態において、第1照射部41は、UV照射の光源として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を備える。LEDの波長ピークは395nmのものを使用する。LEDは入力電流の大きさを制御することによって、照射エネルギーを容易に変更することが可能である。本実施形態では150〜300mJ/cmの範囲で照射エネルギーを変更することによって、UV照射強度を制御してUVインクドットの硬化率を調整する。
カラーインク用ヘッド31、クリアインク用ヘッド32、及び、第1照射部41を合わせて、下地層形成部とも呼ぶ(図2参照)。
第2照射部45は、クリアインク用ヘッド35の搬送方向の下流側に設けられ(図2)、クリアインク用ヘッド35によって形成されたクリアインクドットを硬化させるためのUVを照射する。第2照射部45の媒体幅方向の長さは媒体幅以上である。第2照射部45も、光源として第1照射部41と同様のLEDを備え、照射エネルギーを変更することができる。
クリアインク用ヘッド35、及び、第2照射部45を合わせて、クリアインクドット形成部とも呼ぶ(図2参照)。
<検出器群>
検出器群50には、ロータリー式エンコーダー(不図示)や、媒体検出センサー(不図示)などが含まれる。ロータリー式エンコーダーは上流側搬送ローラー23Aや下流側搬送ローラー23Bの回転量を検出する。ロータリー式エンコーダーの検出結果に基づいて媒体の搬送量を検出することができる。媒体検出センサーは媒体供給中の媒体の先端の位置を検出する。
<コントローラー>
コントローラー60は、プリンターの制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラー60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。
インターフェース部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター1の全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子によって構成される。そして、CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して搬送ユニット20等の各ユニットを制御する。
<画像記録動作について>
プリンター1による画像記録動作について簡単に説明する。図4A〜図4Cに、プリンター1を用いた画像記録動作の概念を説明する図を示す。
プリンター1がコンピューター110から印刷データを受信すると、コントローラー60は、まず、搬送ユニット20によって媒体供給ローラー(不図示)を回転させ、印刷すべき媒体をベルト24上に送る。
媒体はベルト24上を一定速度で停まることなく搬送され、下地層形成部の下を通過する。この間に、カラーインク用ヘッド31の各ノズルからカラーインク(KCMY)を断続的に噴出させることによって、カラーインクドット(以下、単にドットとも言う)からなる文字や画像を、媒体上に形成する(図4A)。また、クリアインク用ヘッド32の各ノズルからクリアインク(CL)を断続的に噴出させることによって、カラーインクドットが形成されていない画素にクリアインクドット(以下、単にクリアドットとも言う)を形成する。そして、照射ユニット40の第1照射部41からUVを照射してカラーインクドット及びクリアインクドットを硬化させる。これにより、媒体上の全ての画素がカラーインクドットまたはクリアインクドットによって埋まり、下地層が形成される(図4B)。
下地層が形成された後、媒体はベルト24上を一定速度で停まることなく搬送され、クリアインクドット形成部を通過する。この間に、クリアインク用ヘッド35の各ノズルからクリアインク(CL)を断続的に噴出させることによって、下地層の上にクリアインクの小ドットを形成する。そして、照射ユニット40の第2照射部45からUVを照射してクリアドットを硬化させる。これにより、下地層の上に多数の小クリアドットが形成される(図4C)。
最後に、コントローラー60は、画像の印刷が終了した媒体を媒体排出する。
===液体について===
本実施形態において下地層を形成するドットやクリアドットを形成するのに用いられる、光の照射を受けることによって硬化する液体について説明する。液体は、例えばUVインクである。液体は、重合性化合物を含み、さらに光重合開始剤、及びその他の添加物を含んでいてもよい。液体は、300mJ/cm以下の照射エネルギーで硬化することが好ましく、より好ましくは250mJ/cm以下の照射エネルギーで硬化することが好ましい。その際、照射光源としては、360〜420nmにピーク波長を有するLEDを使用することができ、照射強度は500〜2000mW/cmとすることができる。
また、液体は、20℃における粘度を7mPa・S以上とすることが好ましく、特に、7mPa・S以上、30mPa・S以下とすることが好ましい。また、UVインクは、表面張力を35mN/m以上とすることが好ましく、35〜45mN/mとすることがより好ましい。この範囲であると、ドットの広がり具合の揃ったドット形成をおこなうことができ、吐出時に粘度を下げる為の加温を少なくできる。
本発明の液体に含む重合性化合物は、重合性官能基を有する化合物である。重合性官能基は、光の照射をうけることにより重合反応が可能な官能基であり、不飽和炭素二重結合を有する官能基が好ましく、ビニル基、ビニルエーテル基、(メタ)アクリル基、等が上げられる。重合性化合物の具体例としては、各種の(メタ)アクリレートモノマー、各種の(メタ)アクリレートオリゴマー、各種のビニルモノマー、各種のビニルエーテルモノマーなどがあげられる。複数種の重合性官能基を有する重合性化合物であってもよい。重合性化合物は液体中に60〜95質量%含有することが好ましい。
本発明の液体に含む重合性化合物としては特に限られないが、下記一般式(1)で表されるモノマーAを用いることで硬化性のよい液体とすることができる。
CH=CR−COOR−O−CH=CH−R ・・・(1)
(式中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2〜20の2価の有機残基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
上記の一般式(1)において、Rで表される炭素数2〜20の2価の有機残基としては、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する炭素数2〜20の置換されていてもよいアルキレン基、炭素数6〜11の置換されていてもよい2価の芳香族基が好適である。これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数2〜6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基が好適に用いられる。
上記の一般式(1)において、Rで表される炭素数1〜11の1価の有機残基としては、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキル基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基又はエチル基である炭素数1〜2のアルキル基、フェニル基及びベンジル基などの炭素数6〜8の芳香族基が好適に用いられる。
上記の各有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基及び炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基として、以下に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基等が挙げられる。次に、炭素原子を含まない基として、以下に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。モノマーAの液体中の含有量は特に限られないが、10質量%以上が好ましく、10質量%〜70質量%がより好まく、10質量%〜60質量%がさらに好ましい。
本発明の液体はさらに光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤は、光の照射を受けて重合性化合物の重合を効率よく開始させる機能を有する化合物である。光開始剤の具体例としては、アルキルフェノン系開始剤、アシルフォスフィン系開始剤、チタノセン系開始剤、チオキサントン系開始剤などがあげられる。光重合開始剤はインク中に5〜15質量%含有することが好ましい。
本発明の液体は必要に応じてその他の添加剤を含んでもよい。その他の添加剤としては、溶剤、界面活性剤、重合禁止剤、重合促進剤、顔料や染料などの色材、などが上げられる。
本発明で用いる液体のうち、クリアドットの形成に用いるクリア液(クリア液体)は、液体がインクであればクリアインクと呼ばれる液体であり、記録物の光沢感の調整や、保護層、カラーインクの発色性の改善等のために用いる液体であり、一般には色材を含まないか含んでいても少量である。また、下地層を形成する液体は、色材を含むカラーインクであってもよく、クリア液であってもよく、クリア液とする場合は、記録媒体に色を付与せずに下地層の形成が可能であり、クリアドットの形成に用いるクリア液と共用してもよい。
===画像のマット性について===
本実施形態では、ドットによって形成された画像(下地層)の上にクリアインクを重ねて噴出して、画像表面に多数のクリアドットを形成させることで画像をマット調(低光沢度)にする。その際、画像表面に形成されるクリアドットのサイズ(直径)によって画像の光沢度が変化する。
図5A及び図5Bにドットサイズと画像の光沢度との関係を説明する図を示す。図でマス目状に破線で区切られた領域の1マス分が画像の1画素分を表し、斜線部分で示される丸印が、その画素上に形成されたクリアドットを示している。
図5Aは画像表面に形成されるクリアドットの直径が小さい場合の例を表す。図のように、ドット径が小さければ、隣接するドット間に生じる隙間が大きくなるので、クリアドットが形成された部分とクリアドットが形成されない部分とが画像表面に発生することになる。そして、図5AのA−A断面で示されるように、形成された画像に入射した光が反射する際に、クリアドットが形成された部分で反射する光と、クリアドットが形成されない部分(画像表面)で反射する光とが混在することになり、画像の反射光が散乱しやすく、光沢度が低くなる。つまり、画像表面に形成されるクリアドットのサイズが小さいほど光沢度が低くなり、マットな画像となる。
図5Bは画像表面に形成されるクリアドットの直径が大きい場合の例を表す。ドット径が大きければ、図5Aの場合とは逆に、隣接するドット間に生じる隙間が小さくなるので、画像表面は全体的にクリアドットで覆われるような状態となる。そして、図5BのB−B断面で示されるように、形成された画像に入射した光は、ほとんどクリアドットが形成された部分で反射することとなり、画像の反射光は均一になりやすく、光沢度が高くなる。つまり、画像表面に形成されるクリアドットサイズが大きいほど光沢度が高くなり、つやのある画像となる。
したがって、画像(下地層)表面に形成されるクリアドットのサイズをなるべく小さくすることで、よりマットな(光沢度の低い)画像を形成することができるようになる。なお、当該クリアドットが、該下地層が形成される領域の全ての画素に形成されるようにすることで、画素毎に光沢度の差が生じにくい、均一なマット調画像を得ることができる。
続いて、ドットサイズ(直径)の変化について説明する。クリアドットは下地層に着弾した後、濡れ広がることでドット径が変化する。そして、ドット径の変化には、下地層の撥水性が大きく影響する。なお、クリアインクが下地層へ浸透することはないものとする。
図6A〜図6Cに、下地層の撥水性の違いによるクリアドットの形状の変化について説明する図を示す。なお、比較のため、図6A〜図6Cではすべて同一成分のクリアインクを同量噴出してドットを形成するものとする。まず、下地層の撥水性が最大の場合におけるクリアドットの形状の例を図6Aに示す。媒体に着弾したクリアインクは、そのまま図のような球状のドットとなる。そして、濡れ広がることはなく下地層に浸透することもないため、この状態でUV照射によって硬化されれば、そのまま球状を維持する。このときのドット径(直径)をD1とする。
次に、下地層の撥水性が図6Aよりも低い場合におけるクリアドットの形状の例を図6Bに示す。媒体に着弾したクリアドットは、初めは図6Aと同様の球状を呈するが、徐々に濡れ広がりながら図6Bのようにやや潰れたドーム型の形状となる。そして、ドット径はD2(D2>D1)となる。
次に、下地層の撥水性が図6Bよりもさらに低い場合におけるクリアドットの形状の例を図6Cに示す。この場合、クリアドットは図6Bよりもさらに大きく濡れ広がり、扁平な円盤状となる。そして、ドット径もD3(D3>D2)と最大になる。
したがって、同じ量のインクを噴出する場合、下地層の撥水性が大きいほど、その上に形成されるクリアドットは濡れ広がりにくくなる。すなわち、直径が小さなクリアドットを形成しやすくなるので、隣接するクリアドット間の隙間は大きくなる。これにより、下地層(画像)の光沢度を下げ、マット調の画像を形成することが可能になる。ここで、下地層(画像)の撥水性を高くするには、該下地層を形成するドット(カラーインクドット及びクリアインクドット)の硬化率を高くすればよい。下地層(画像)の表面が硬いほど、その上に着弾するクリアドットをはじきやすくなる。
これらのことから、本実施形態では、下地層(画像)を形成するドットの硬化率をコントロールすることによって、その上に形成されるクリアドットサイズを調整し、高精細なマット調の画像を形成する。
===実施形態===
<UVインクの組成>
表1に、本実施形態の説明で使用される4種類のUVインクの組成成分を示す。インク1、2、4はクリアインクであり、インク3のみがカラーインクである。表のクリアインクとカラーインクの違いは顔料成分(表1ではシアン)を含むか否かであり、UV照射時のインク硬化性は他の含有成分によって影響される。
なお、表1において、重合性化合物VEEAが前述のモノマーAに相当する。
Figure 0005891603
・VEEA:アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(日本触媒社製)
・DEGDA:ジエチレングリコールジアクリレート(大阪有機化学工業社製)
・TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学社製)
・IBXA:イソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業社製)
・819:IRGACURE 819(BASF社製)
・TPO:DAROCUR TPO(BASF社製)
・DETX−S:KAYACURE DETX−S(日本化薬社製)
・顔料:PIGMENT BLUE 15:4(DIC社製)
・レベリング剤:BYK−UV3500(BYK社製)
・重合禁止剤:MEHQ(関東化学社製)
<UVインクの硬化率について>
UVインクドットの硬化は、硬化率を測定することにより把握することができる。硬化率とは、そのインクが完全硬化した状態の重合の度合い(重合度)を100としたときの、重合度の割合を示す物であり、例えば赤外分光スペクトルの解析で求めることができる。すなわち、重合反応によって変化する特定のピークについて、未反応状態と十分なエネルギーと時間を与えて定常状態に到達せしめた時点との吸光度の差(最大変化量)をはかり、所定のタイミングにおける吸光度の変化量の最大変化量に対する割合として求める。硬化率は、例えば、サーモ・ニコレー社製NEXUS470のような、リアルタイム測定可能な赤外分光光度計を用いて、所定の光量を与えた後の経時変化を計測することにより測定することができる。なお、ここでインクの完全硬化とは、例えば、ある時点における吸光度の変化が、その後の10秒間で0.1以内となるような時点をいう。
<UVインクの硬化に必要な照射エネルギー>
PETフィルム(パナソニック社製 ルミラー125E20)にインクを720×720dpiのベタパターンを最高膜厚10μmで塗布し、395nmにピーク波長を有するLEDで800mW/cmの照射強度で照射を行い、上記の完全硬化に達するのに必要な照射エネルギーを評価する。評価基準は以下である。評価結果を表1に記載する。
A:250mJ/cm以下
B:250超300以下mJ/cm以下
C:300mJ/cm
<マット性の評価>
画像のマット性の評価は当該画像の光沢度を測定することによって行なう。なお、「光沢度」は光沢の強さの程度を表す指標であり光沢度計を用いて測定することができる。一般的な光沢度計では光源から測定面に向けて所定の角度(入射角)で光を照射し、測定面で反射された光(反射光)を正反射方向に設置された受光部で検出することにより、光沢度を測定する。
光沢時計はコニカミノルタ製の光沢度計GM−60を用いる。また、光の角度は20度,45度,60度,75度,85度で測定する方法があるが、本実施形態では20度の入射角/反射角で測定を行う。なお、光沢度は角度の大きさに比例的な値を示すため、全ての角度を測定しなくても、20度の光について測定を行うことで他の角度の光沢度を測定することができる。
このようにして測定した光沢度Xについて、X≦25となる場合をマット性AA、25<X≦60となる場合をマット性A、60<X≦85となる場合をマット性B、85<Xとなる場合をマット性C、としてマット性の評価を行なう。そして、マット性A及びAAとなる画像を、高精細なマット画像であるものとする。
===基準例===
はじめに、基準例として、下地層がない状態でクリアインク1、2及び4によってクリアドットを形成させた場合の例を示す。すなわち、媒体上に直接クリアドットを形成させる場合のマット性評価について説明する。なお、以下の例では、媒体としてPETフィルム(パナソニック社製 ルミラー125E20)を使用している。
インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製)を改造したインクジェットプリンターを使用する。インクジェットプリンターはヘッドにインクを加温する機構を設け、インクに応じて加温を行い、インクの粘度がほぼ10mPa・Sとなるようにして吐出をおこなう。また、キャリッジに光源を設け、印刷後速やかに照射を行う。光源は、発光ピーク波長395nm、照射強度800mW/cmのLEDを用いる。テストパターンは、記録解像度720×720dpiとし、記録解像度で規定される記録単位領域である1画素に対して所定量のインクを吐出するものである。
表2に、基準例におけるクリアドットの形成条件、及びマット性評価のデータを示す。
Figure 0005891603
基準例1では、媒体上のある領域に、クリアインク用ヘッド35から前述のインク1(表1参照)を所定量噴出させ、第2照射部45から300mJ/cmのUVを照射することでクリアドットを形成させている。
本基準例において、画像の記録解像度は720×720dpiとしているので、1画素が正方形であれば1辺の長さは約35.3μmとなる。これに対して、形成されたクリアドットの直径は29μmであり、画素の1辺の長さの80%以上となる。つまり、画素の大きさに対して比較的大きなドットが形成される。したがって、当該クリアドットが形成される領域ではクリアドット間の隙間が小さくなるので、前述のように光沢度(媒体の光沢度)が高くなり、マット性評価はBとなる。
同様に、基準例2及び基準例3でも、形成されるクリアドットの直径は比較的大きくなり、マット性評価はBとなる。なお、硬化に必要な照射エネルギーの評価がCであるインク2(表1参照)を用いた基準例2では、ドットを硬化させるために、より大きなUV照射エネルギー(350mJ/cm)が必要となることが確認できる。
===実施例===
第1実施形態では、媒体上に下地層(画像)を形成させてから、該下地層の上にクリアドットを形成させる。そして、下地層の形成条件の違いによって、マット性評価にどのような影響が生じるかについて説明する。クリアドットを形成するためのインク噴出量は基準例と同じである。
<下地層の硬化率を変化させる場合>
表3に、下地層の硬化率を変化させた場合(実施例1〜5)におけるマット性評価のデータを示す。
Figure 0005891603
表3では、前述のインク1(表1参照)を用いて下地層および、その上のクリアドットを形成する。いずれの実施例においても下地層を形成するドットの直径が80μmとなるようにインク噴出量が調整される。そして、実施例毎に第1照射部41から照射されるUVエネルギーの大きさを変えることで、下地層の硬化率を変化させる。表3では、実施例1の下地層硬化率が最も大きく78%である。そして、下地層硬化率は実施例2〜実施例5までの間で徐々に小さくなっていき、実施例5で下地層硬化率が60%となる。このように、それぞれ硬化率の異なる下地層の上に形成されるクリアドットの大きさに着目し、マット性を評価する。
なお、下地層を形成するドットの直径を80μmとしたのは、印刷対象となる全ての画素がドットで埋まるようにするためである。720×720dpiの解像度でUVインクを噴出して下地層(画像)を形成する場合、画素が正方形であれば1画素の対角線の長さは約50μmとなる。そこで、該下地層が形成される領域の各画素に、当該画素の対角線の長さ(50μm)以上の直径(80μm)を有するドットを形成する。本実施形態では、図4Bで説明したように、全ての画素にドットを形成させることで下地層を形成する。したがって、画素以上の大きさを有するドットで媒体の表面を隙間なく埋めつくすようにすることで、より均一な形状の下地層を形成することができる。これにより、クリアドットが確実に当該下地層の上に形成されるようにする。また、クリアドットが着弾する位置(画素)によって差が生じないようにする。
表3の例において、下地層の上に形成されるクリアドットは、前述の基準例1と同一の条件により形成される。すなわち、下地層の形成後、クリアインク用ヘッド35から基準例1と同じ量のインク1を噴出し、第2照射部45から300mJ/cmのUVを照射することでクリアドットを形成させる。クリアドットの形成条件を基準例と同一にすることで、下地層がない場合との比較が容易になる。
例えば、基準例1と実施例1とを比較する。下地層が無く、媒体上に直接クリアドットを形成させた場合(基準例1)は、クリアドット径が29μmであり、画素の1辺の長さ(約35μm)の80%以上となる。したがって、基準例1のマット性評価はBとなる。これに対して、硬化率78%の下地層を形成してから、当該下地層の上に基準例1と同一の条件でクリアドットを形成させた場合(実施例1)は、クリアドット径が22μmとなり、画素の1辺の長さの80%よりも小さくなる。したがって、実施例1のマット性評価はAとなる。実施例1では、硬化率が高く撥水性の大きな下地層が形成されているため、クリアドットは濡れ広がりにくくなる。そのため、基準例1と実施例1とでは、同一の量のクリアインクを噴出しているにもかかわらず、形成されるクリアドットの直径は実施例1の方が小さくなる。これにより、隣接するクリアドット間の隙間が大きくなり、その分、高いマット性が得られるようになる。
このように、硬化率の高い下地層を形成することによって、その上に形成されるクリアドットの直径をより小さくすることで、高精細なマット調画像を形成することが可能になる。
また、下地層の上に形成されるクリアドットの直径は、該下地層の硬化率によって大きな影響を受ける。表1からもわかるように、同じインク(インク1)を同じ量だけ噴出した場合でも、下地層の硬化率が高いほどクリアドットの直径は小さくなる。図7に、下地層の硬化率と、下地層の上に形成されるクリアドットの直径との関係を表す図を示す。
下地層の硬化率が70%以上の場合(実施例1〜3)は、クリアドットの直径が28μm以下(画素の1辺の長さの80%未満)となり、マット性評価がAとなる。上述のように、下地層の硬化率が高いほど、その上に形成されるクリアドットがはじかれやすくなり、クリアドットは図6Aに示されるような球状を保ちやすくなる。したがって、硬化率の高い下地層を形成することによって、クリアドットの直径を小さくすることができ、マット性の高い画像が形成される。
一方で、下地層の硬化率が65%以下の場合(実施例4〜5)は、クリアドットの直径が31μm以上(画素の1辺の長さの80%以上)となり、マット性評価がCとなる。つまり、下地層を形成しない場合である基準例1よりもマット性評価が悪化する。下地層の硬化率が低いほど、その上に形成されるクリアドットは濡れ広がりやすくなり、クリアドットは図6Cに示されるような円盤状になりやすい。その結果、クリアドットの直径は大きくなり、マット性の低い画像が形成されやすくなる。
本実施形態においては、下地層硬化率が70%以上の場合に、マット性評価がAとなる画像を形成することができるので、下地層を形成する場合は、その硬化率を70%以上とすることが望ましい。ただし、クリアドットの濡れ広がりは、UVインク自体の成分組成やUV照射出力や照射タイミングによっても影響を受けるため、下地層の硬化層が70%未満であっても、高精細なマット調画像を形成することは不可能ではない。
<使用するインクを変更する場合>
次に、下地層及びクリアドットを形成するUVインクを変更した場合の例について説明する。表4に、使用するインクを変更した場合(実施例6〜10)におけるマット性評価のデータを示す。
Figure 0005891603
表4のいずれの実施例でも、前述の実施例1〜5(表3)の場合と同様に、下地層を形成するドットの直径が80μmとなるように調整される。また、クリアドットを形成する際に噴出されるUVインクの量、及びUV照射エネルギーは、クリアドットを形成するインク番号(インク番号1、2、及び、4)に応じて、それぞれ基準例1〜3と同一の条件とする。
実施例6は、インク4を用いて下地層及びその上のクリアドットを形成した場合の例である。下地層を形成しない基準例3と比較すると、基準例3ではクリアドット径が29μmであるのに対して、実施例6ではクリアドット径が23μmとなり、形成されるクリアドットの直径が小さくなる。前述の通り、下地層を形成してからその上にクリアドットを形成させることで、良好なマット性評価(A)が得られることがわかる。
また、実施例6では、硬化に必要な照射エネルギーの評価がAであるインク4(表1参照)で下地層を形成するため、インク1で下地層を形成する場合よりも、下地層を硬化しやすくなる。例えば、表3の実施例3ではインク1を用いてUV照射エネルギーを230mJ/cmとして下地層を形成しているが、このときの下地層硬化率は70%である。一方、実施例6では、インク4を用いて実施例3の場合と同じUV照射エネルギー230mJ/cmで下地層を形成しているが、このときの下地層硬化率は75%である(表4)。つまり、硬化性のよいインクを用いて下地層を形成することによって、該下地層が硬化しやすくなるので、より高精細なマット調画像を形成しやすくなる。
実施例7、8は、インク2を用いて下地層及びその上のクリアドットを形成した場合の例である。実施例7では、下地層を形成しない基準例2と比較して、形成されるクリアドットの直径が小さくなる。前述の例と同様、硬化率の高い下地層を形成してその上にクリアドットを形成させることで、良好なマット性評価(A)を得ることができる。
一方で、硬化に必要な照射エネルギーの評価がCであるインク2(表1参照)で下地層を形成するので、インク4を使用する場合と比較して、下地層を十分硬化させるためにより大きなエネルギーでUV照射を行なう必要がある。例えば、実施例6と実施例8とを比較する。実施例6ではUV照射エネルギー230mJ/cmで硬化率75%の下地層を形成しているのに対して、実施例8では同じUV照射エネルギー230mJ/cmで形成される下地層の硬化率は65%となる。実施例8では下地層の硬化率が不十分であるため、形成されるクリアドットの直径は30μmと大きく、画素の1辺の長さの80%以上であるため、マット性評価もCとなってしまう。
そこで、実施例7のようにUV照射エネルギーを310mJ/cmと大きくすることによって、硬化率72%の下地層を形成し、高精細なマット調画像を形成する。ただし、実施例7の場合でも、実施例6と比較すると、UV照射エネルギーが大きい割に下地層硬化率は低くなることから、照射の効率は劣る。
また、下地層の上のクリアドットについても同様のことが言える。すなわち、インク2では、インク1及びインク4と比較して、インクドット硬化させるためのUV照射エネルギーを大きくする必要がある(表4)。したがって、小さな照射エネルギーで、良好なマット調画像を形成するためには、硬化性の良い(硬化に必要な照射エネルギーの小さい)UVインクを使用することが好ましい。
実施例9、10は、異なるインクを用いて下地層及びその上のクリアドットを形成した場合の例である。
実施例9ではインク2を用いて下地層を形成し、その上に、インク1を用いてクリアドットを形成している。実施例9における下地層硬化率及びクリアドット直径は、下地層をインク2で形成した場合である実施例7とほぼ同等の結果となり、マット性評価はAである。(下地層硬化率が72%と73%、クリアドット直径は共に24μm)。
一方、実施例10では実施例9とは逆に、インク1を用いて下地層を形成し、その上にインク2を用いてクリアドットを形成している。下地層をインク1で形成した場合である実施例2と比較すると、下地層硬化率は共に73%、クリアドット直径は26μmと25μmであり、両者は同等の結果となり、マット性評価はAである。
つまり、下地層の硬化率が70%以上にすることができれば、組成の異なるUVインクを組み合わせることも可能である。
実施例11は、顔料を含むカラーインクであるインク3を用いて下地層を形成した場合の例である。インク3は顔料成分としてシアンを含む以外は、インク1とほぼ同等の組成を有するインクである(表1参照)。したがって、インク1を用いて下地層を形成する場合である実施例2と比較すると、下地層の硬化率、クリアドット直径共に多少の差が生じるが、マット性評価では共にAとなり、十分良好なマット調画像を形成することができる。すなわち、下地層を形成するUVインクとしては、クリアインク(例えばインク1)及びカラーインク(例えばインク3)のどちらも使用可能である。
<UVインクの特性などについて>
以上の実施例から、硬化性の良いUVインクを下地層に用いることが、少ない照射エネルギーで効率のよい硬化ができるため好ましい。例えば、前述の硬化に必要な照射エネルギーの評価がAまたはBとなるようなインクを用いることが好ましい。具体的には、硬化に必要な照射エネルギーが300mJ/cm以下であるUVインクを用いることが好ましく、硬化に必要な照射エネルギーが250mJ/cm以下であるUVインクを用いることがさらに好ましい。また、硬化性の良いUVインクとして、特に、重合性化合物として式(1)で表されるモノマーAを用いることが好ましい。モノマーAのインク中における含有量は特に限られないが、10質量%以上が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、10〜60質量%がさらに好ましい。なお、モノマーAの含有量をさらに増やすことも可能であるが、硬化後の膜品質などを他の点を考慮する場合は上記範囲が好ましい。また、硬化性のよいUVインクであればよく、使用する重合性化合物としてモノマーAには限られない。
下地層を形成するドットの硬化率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。下地層(ドット)を形成するインクはクリアインクでもカラーインクでも良く、下地層(ドット)を形成するインクとクリアドットを形成するインクは同じインクでも異なるインクでも良い。
===第2実施形態===
第2実施形態では、発明を実施する液体噴出装置として、ヘッド部30を媒体の搬送方向と直交する方向に往復移動させつつUVインクを噴出することで画像の記録を行うシリアルプリンター(プリンター2)を用いて高精細なマット調画像を形成する。画像を形成するために使用するUVインクは第1実施形態と同一である。
<プリンター2の構成>
図8は、プリンター2の全体構成を示すブロック図である。
プリンター2は、搬送ユニット20と、ヘッドユニット30と、照射ユニット40と、検出器群50と、コントローラー60と、キャリッジユニット70と、を有する。また、プリンター2は、第1実施形態と同様のコンピューター110と通信可能に接続されている。そして、コントローラー60は、コンピューター110から受信した印刷データに基づいて搬送ユニット20やキャリッジユニット70等の各ユニットを制御し、媒体に画像を記録する。
<搬送ユニット20>
図9Aは本実施形態のプリンター2の構成を表した鳥瞰図であり、図9Bはプリンター2の構成を表した側面図である。
搬送ユニット20は、媒体を搬送方向に搬送させるためのものである。ここで、搬送方向はキャリッジの移動方向と交差する方向である。搬送ユニット20は、媒体供給ローラー25と、搬送モーター26と、搬送ローラー27と、プラテン28と、媒体排出ローラー29とを有する(図9A及び図9B)。
媒体供給ローラー25は、媒体挿入口に挿入された媒体をプリンター内に供給するためのローラーである。搬送ローラー27は、媒体供給ローラー25によって供給された媒体を、画像を記録することが可能な領域(以下、記録領域とも呼ぶ)まで搬送するローラーであり、搬送モーター26によって駆動される。搬送モーター26の動作はプリンター側のコントローラー60により制御される。プラテン28は、画像記録中の媒体を、媒体の裏側から支持する部材である。媒体排出ローラー29は、媒体をプリンターの外部に排出するローラーであり、記録領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
<ヘッドユニット30>
ヘッドユニット30は、媒体にUVインクを噴出するためのものである。ヘッドユニット30は、複数のノズルを有するヘッド38を備える。このヘッド38はキャリッジ71に設けられ、キャリッジ71が移動方向に移動すると、ヘッド38も移動方向に移動する。そして、ヘッド31が移動方向に移動中にUVインクを断続的に噴出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が媒体上に形成される。
図10は、ヘッド38に設けられたノズルNzの説明図である。図10に示されるように、ノズル面では、主画像を形成するカラーインク噴出ノズル列としてKCMYの各カラーインクノズル列が設けられる。そして、イエローノズル列Yの隣には、クリアインクを噴出するクリアノズル列CLが設けられる。各ノズル列では、各色のインクを噴出するための噴出口であるノズルNzが搬送方向に所定間隔Dにて並ぶことにより構成されている。そして、各ノズル列において、#1〜#360の360個のノズルNzを備えている。なお、1列あたりのノズル数は任意であり、必ずしも360個とする必要はない。例えば、1列あたりのノズル数を180個や240個としてもよい。
<照射ユニット40>
本実施形態の照射ユニット40は、照射部48a、及び48bを有する。照射部48a、及び48bは、走査方向に並べられたKCMY及びCLの各ノズル列の両端外側に隣接するように、それぞれキャリッジ71に設けられている(図10参照)。これにより、後述するキャリッジ71が、一端側から他端側へ、または、他端側から一端側へのいずれの方向に移動しつつ噴出したインクであっても、UVを照射することができるように構成されている。
照射ユニット40に使用する光源や、UV波長については第1実施形態の照射ユニット40と同様とする。
<検出器群50>
検出器群50は、プリンター2の状況を監視するためのものである。検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、媒体検出センサ53、及び光学センサ54等が含まれる(図9A及び図9B)。
リニア式エンコーダ51は、キャリッジ71の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラー27の回転量を検出する。媒体検出センサ53は、供給中の媒体の先端の位置を検出する。光学センサ54は、キャリッジ71に取付けられている発光部と受光部により、対向する位置の媒体の有無を検出し、例えば、移動しながら媒体の端部の位置を検出し、媒体の幅を検出することができる。また、光学センサ54は、状況に応じて媒体の先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
<コントローラー60>
コントローラー60は、第1実施形態と同様に、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。ただし、本実施形態では、画像形成字におけるキャリッジユニット70の制御や、ヘッドユニット30からのUVインクの噴出方法、照射ユニット40からのUV照射の方法が第1実施形態とは異なる。
<キャリッジユニット70>
キャリッジユニット70は、ヘッドユニット30が取り付けられたキャリッジ71を所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット70は、キャリッジ71と、キャリッジモーター72(CRモータともいう)とを有する(図9A及び図9B)。
キャリッジ71は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモーター72によって駆動される。キャリッジモーター72の動作はプリンター側のコントローラー60により制御される。また、キャリッジ71は、UVインクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。
<プリンター2を用いた画像記録動作>
本実施形態でも第1実施形態と同様に、初めにカラーインク及びクリアインクを用いて下地層(画像)を形成し、UV照射を行なって下地層の硬化率を70%以上にした後に、該下地層の上にクリアインクの小ドットを形成させる。
図11に、第2実施形態における画像記録動作について説明する図を示す。図11では、簡略化してカラーインクノズル列をCoで表し、クリアインクノズル列をCLで表す。Co及びCLの各ノズル列のうち斜線部分で表示されるノズルNzが、その走査(パス)においてインクを噴出するノズルを表している。また、照射部48a及び48bのうち、斜線部分で表示される照射部が、その走査(パス)においてUVを照射する照射部を表している。
1回目のパス(往動時)では、一端側から他端側へキャリッジ71が移動する際に、ヘッド38に設けられた各ノズル列の半分のノズルNz(#1〜#180)を用いてカラーインクドット及びクリアインクドットを噴出させる。また、同じ走査において、照射部48bからUVを照射させ、噴出されたインクドットを硬化させる。これにより、第1〜第180ラスタラインまでのドット列が形成される。このドット列が1回目のパスで形成される下地層(画像)となる。図11右側の図で、移動方向に並ぶ大きな丸印がそれぞれのドット列を表し、このドット列が搬送方向に連なることで画像(下地層)が形成される。このとき、下地層を形成するドットの硬化率が70%以上となるように、照射部48bからのUV照射出力が調整される。
1回目のパス(往動)が終了した後、媒体がノズル列の半分の長さ(例えば、ノズル数が360個でノズル間隔がDの場合は180Dの長さ)分だけ搬送され、続いて2回目のパス(復動)が行なわれる。
2回目のパス(復動時)では、他端側から一端側へキャリッジ71が移動する際に、ヘッド38に設けられたクリアインクノズル列の半分のノズルNz(#181〜#360)を用いてクリアインクを噴出させる。そして、同じ走査において、照射部48bからUVを照射させ、形成されたクリアドットを硬化させる。これにより、1回目のパス(往動)で形成された下地層の上にクリアインクの小ドットが形成される。図11右側の図で、下地層を形成する各ドット列(大きな丸印)の上の小さな丸印が2回目のパスで形成される小クリアドットを表している。
また、同時に、カラー及びクリアインクノズル列の半分のノズルNz(#1〜#180)からUVインクを噴出させて、この部分に新たな下地層(第181〜第360ラスタライン)を形成する。
この動作を繰り返すことで、下地層(画像)の上にクリアインクの小ドットを形成させ、高精細なマット調の画像を形成することができる。
なお、上述の印刷動作はバンド方式の印刷を行う場合を表している。インターレース方式の印刷を行なう場合には、下地層が完成するまでに形成されたドットが複数回のUV照射を受けることになる。ここで、インターレース方式とはノズル列の印刷に使用するノズルの媒体搬送方向の距離(ヘッド38のノズル間距離D×(ノズル列の印刷に使用するノズル数−1)よりも短くなり、キャリッジ71が主走査方向に1回移動する間に記録されるドット列の間に記録されないドット列が挟まれるような印刷方式を言う。この場合は、最終的に下地層の硬化率が70%以上となっていればよい。
また、下地層(ドット)の形成時とその上のクリアドットの形成時とで、UV照射エネルギーを変更する必要がある場合には、照射部48a及び48bを上下で半分に分け、上半分側と下半分側とで照射エネルギーを可変にしておくとよい。
<第2実施形態のまとめ>
第2実施形態では、シリアルプリンターを用いて、第1実施形態と同様に、下地層(ドット)の上に多数のクリアドットを形成させることで、高精細なマット調の画像を得ることができる。
===その他の実施形態===
一実施形態としてのプリンター等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<液体噴出装置について>
前述の各実施形態では、液体噴出装置の一例としてプリンターが説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造型機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の液体噴出装置に、本実施形態と同様の技術を適用してもよい。
<インクについて>
前述の実施形態では、紫外線(UV)の照射を受けることによって硬化するインク(UVインク)をノズルから吐出していた。しかし、噴射する液体は、このようなインクに限られるものではなく、UV以外の他の電磁波の照射を受けることによって硬化するものであってもよい。
<ノズル列について>
前述の実施形態では、KCMYの4色、及び、クリアインクを使用して画像(下地層)を形成する例が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ、ホワイト等、KCMY、及びCL以外の色のインクを用いて画像の記録を行ってもよい。
また、ヘッド部のノズル列の配列順も任意である。例えば、KとCのノズル列の順番が入れ替わっていてもよいし、Kインクのノズル列数が他のインクのノズル列数より多い構成などであってもよい。
<ピエゾ素子について>
前述の各実施形態では、液体を噴出させるための動作を行う素子としてピエゾ素子PZTを例示したが、他の素子であってもよい。例えば、発熱素子や静電アクチュエーターを用いてもよい。
<プリンタードライバーについて>
前述の各実施形態では、プリンタードライバーの処理はコンピューター110(PC)によって行うと説明したが、プリンタードライバーをコントローラー60にインストールして、プリンター自体でプリンタードライバーの処理を行ってもよい。
<画素の辺の長さについて>
縦方向の記録解像度と横方向の記録解像度が異なることにより画素の形が長方形の場合は、クリア液により形成するドットの画素の辺の長さに対する大きさについては、画素の短辺の長さに対するものとし、下地層を形成する液体により形成するドットの画素の辺の長さに対する大きさについては、画素の長辺の長さに対するものとする。
1 プリンター、2 プリンター、
20 搬送ユニット、23A 上流側搬送ローラー、23B 下流側搬送ローラー、
24 ベルト、25 媒体供給ローラー、26 搬送モーター、27 搬送ローラー、
28 プラテン、29 媒体排出ローラー、
30 ヘッドユニット、31 カラーインク用ヘッド、32 クリアインク用ヘッド、
35 クリアインク用ヘッド、38 ヘッド、
40 照射ユニット、41 第1照射部、45 第2照射部、
48a 照射部、48b 照射部、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、52 ロータリー式エンコーダ、
53 媒体検出センサ、54 光学センサ、
60 コントローラー、61 インターフェース部、62 CPU、63 メモリー、
64 ユニット制御回路、
70 キャリッジユニット、71 キャリッジ、72 キャリッジモーター、
110 コンピューター

Claims (9)

  1. (A)液体をノズルから噴出するヘッド部と、
    (B)光を照射する照射部と、
    (C)前記液体の噴出及び前記光の照射を制御する制御部、とを備え、
    前記制御部は、ヘッド部から媒体の所定の領域の各画素に対して、光の照射を受けることによって硬化する液体を噴出させて、照射部から前記噴出された液体へ光を照射して、硬化率が70%以上であって、かつ、前記画素の対角線の長さ以上の直径を有するドットを形成して下地層とし、
    ヘッド部から前記下地層に対して、光の照射を受けることによって硬化するクリア液体を噴出させて、照射部から前記噴出されたクリア液体へ光を照射し、前記下地層の上に前記画素の辺の長さよりも小さな直径を有するクリアドットを形成する、
    液体噴出装置。
  2. 請求項に記載の液体噴出装置であって、
    前記ドットを形成する液体は、硬化に必要な照射エネルギーが300mJ/cm2以下の液体である、液体噴出装置。
  3. 請求項1または2に記載の液体噴出装置であって、
    前記下地層を形成する液体は、
    下記、一般式(1)
    CH 2 =CR 1 −COOR 2 −O−CH=CH−R 3 ・・・(1)
    (式中、R 1 は水素原子またはメチル基であり、R 2 は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R 3 は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
    で表される成分を含有する、液体噴出装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体噴出装置であって、
    前記クリア液体は、
    下記、一般式(1)
    CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(1)
    (式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
    で表される成分を含有する、液体噴出装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体噴出装置であって、
    前記クリアドットの直径は、
    前記画素の辺の長さの80%よりも小さい、液体噴出装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体噴出装置であって、
    前記制御部は、
    前記ドットが形成される領域の各画素に、前記クリアドットを形成させる、液体噴出装置。
  7. 光の照射を受けることによって硬化する液体をノズルから媒体の所定の領域の各画素に対して噴出し、噴出した前記液体に照射部から光を照射して、硬化率が70%以上であって、かつ、前記画素の対角線の長さ以上の直径を有するドットを形成して下地層とすることと、
    光の照射を受けることによって硬化するクリア液体をノズルから前記下地層に対して噴出し、噴出した前記クリア液体に照射部から光を照射して、前記下地層の上に前記画素の辺の長さよりも小さな直径を有するクリアドットを形成することと、
    を有する液体噴出方法。
  8. 請求項7に記載の液体噴出方法であって、
    前記下地層を形成する液体は、
    下記、一般式(1)
    CH 2 =CR 1 −COOR 2 −O−CH=CH−R 3 ・・・(1)
    (式中、R 1 は水素原子またはメチル基であり、R 2 は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R 3 は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
    で表される成分を含有する、液体噴出方法。
  9. 請求項7または8に記載の液体噴出方法であって、
    前記クリア液体は、
    下記、一般式(1)
    CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(1)
    (式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
    で表される成分を含有する、液体噴出方法。
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