JP5891588B2 - ボールねじ - Google Patents

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Description

本発明はボールねじに関する。
ボールねじは、螺旋状のねじ溝を外周面に有するねじ軸と、ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有するナットと、両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転走路内に転動自在に装填された複数のボールと、からなる。そして、ボールを介してねじ軸に螺合されているナットとねじ軸とを相対回転運動させると、ボールの転動を介してねじ軸とナットとが軸方向に相対移動するようになっている。
このようなボールねじには、ボール転走路の始点と終点とを連通させて無端状のボール通路を形成するボール循環路が備えられている。すなわち、ボールは、ボール転走路内を移動しつつねじ軸の回りを回ってボール転走路の終点に至ると、ボール循環路の一方の端部から掬い上げられてボール循環路内を通り、ボール循環路の他方の端部からボール転走路の始点に戻される。このように、ボール転走路内を転動するボールがボール循環路により無限に循環されるようになっているので、ねじ軸とナットとは継続的に相対移動することができる。
ボール循環路を用いたボール循環形式としては、チューブ式,コマ式等が一般的であるが、ナットの内周面の一部を凹化させて凹溝を形成し、この凹溝をボール循環路とする循環形式も知られている。チューブ式,コマ式の場合は、ボール循環路を構成する別部材(リターンチューブ,コマ)がナットに取り付けられるが、前記凹溝をボール循環路とする循環形式の場合は、ナットと一体的にボール循環路が形成されているので、別部材をナットに取り付ける必要はない。
前記凹溝をボール循環路とするボールねじのナットを製造する際には、ナットの内周面に、ボール循環路を構成する凹溝を形成した後に、ボール転走路を構成するねじ溝を形成する。このとき、ねじ溝の形成時の加工誤差により、ねじ溝の端部の形成位置が正規の位置からずれるおそれがある。このような位置ズレが生じると、ねじ溝の端部と凹溝の端部が合致せず、両溝の接続部分に段差が生じることとなるので、ねじ溝の端部の位置ズレを補うために、凹溝の溝幅はボールの直径よりも若干大きく設計されていた。通常は、ボールの直径の1.05倍以上1.1倍以下である。
特開2008−281063号公報 特開2000−297854号公報
しかしながら、凹溝の溝幅がボールの直径よりも若干大きく設計されているため、凹溝を形成する際の加工量がやや大きくなり、凹溝を形成する際に要するエネルギーが大きくなる傾向があった。よって、ボール循環路の形成に要するエネルギーが小さくなるよう、さらなる改良が望まれていた。
また、ボールの直径よりも幅広のボール循環路内を、ボールが蛇行しながら通ることとなるので、ボールがボール循環路内の内壁に衝突して、作動音や摩耗が発生する場合があった。さらに、前記衝突によりボールに摩耗が生じると、ボールねじにトルク変動や寿命低下が生じるおそれもあった。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、製造時に必要なエネルギーが小さいことに加えて、作動音,摩耗,トルク変動が生じにくく長寿命なボールねじを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明のボールねじは、螺旋状のねじ溝を外周面に有するねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有するナットと、前記両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転走路に転動自在に装填された複数のボールと、前記ボールを前記ボール転走路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路と、を備えるボールねじにおいて、前記ボール循環路は、前記ナットの内周面の一部を凹化させて形成した凹溝で構成されているとともに、前記ボール転走路に接続する前記ボール循環路の両端部の溝幅ta、前記両端部の間に配される中間部の溝幅tb、及び前記ボールの直径Daが、Da≦ta≦tb<1.05Daなる式を満足することを特徴とする。
このような本発明のボールねじにおいては、前記ボール転走路と前記ボール循環路との境界部分に、前記ボール転走路及び前記ボール循環路よりも溝幅が広く、前記ボール転走路と前記ボール循環路とを滑らかに接続させる拡幅部を設けることが好ましい。また、塑性加工又は切削加工により前記ナットの内周面の一部を凹化させて前記凹溝を形成することが好ましい。
本発明のボールねじは、ボール転走路に接続するボール循環路の両端部の溝幅ta、両端部の間に配される中間部の溝幅tb、及びボールの直径Daが、Da≦ta≦tb<1.05Daなる式を満足するので、製造時に必要なエネルギーが小さいことに加えて、作動音,摩耗,トルク変動が生じにくく長寿命である。
本発明の一実施形態であるボールねじの断面図である。 ナットの要部断面図である。 ボール循環路の拡大断面図である。 凹溝を図2のA矢視方向から見た拡大図である。 拡幅部を備える凹溝を図2のA矢視方向から見た拡大図である。 ボールねじの製造方法を説明する工程図である。 ボール循環路とボール転走路との境界部分を説明するナットの断面図である。 ねじ溝と凹溝の境界部分においてボールを滑らかに循環させる方法について説明する図であり、ナットの内周面を径方向中心側から見た図である。
本発明に係るボールねじの実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態であるボールねじの断面図(軸方向に沿う平面で切断した断面図)である。
図1に示すように、ボールねじ1は、螺旋状のねじ溝3aを外周面に有するねじ軸3と、ねじ軸3のねじ溝3aに対向する螺旋状のねじ溝5aを内周面に有するナット5と、両ねじ溝3a,5aにより形成される螺旋状のボール転走路7内に転動自在に装填された複数のボール9と、ボール9をボール転走路7の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路11と、を備えている。
すなわち、ボール9は、ボール転走路7内を移動しつつねじ軸3の回りを回ってボール転走路7の終点に至り、そこでボール循環路11の一方の端部11aから掬い上げられてボール循環路11内を通り、ボール循環路11の他方の端部11aからボール転走路7の始点に戻されるようになっている。
なお、ねじ溝3a,5aの断面形状(長手方向に直交する平面で切断した場合の断面の形状)は、円弧状(単一円弧状)でもよいしゴシックアーク状でもよい。
また、ねじ軸3,ナット5,及びボール9の材質は特に限定されるものではなく、一般的な材料を使用可能である。例えば、金属(鋼等),焼結合金,セラミック,樹脂があげられる。ただし、ナット5を焼結合金で構成すると、密度が低いという問題点や、気孔の発生等によってナット5の強度がボールねじのナットとして不十分となるという問題点が生じるおそれがある。ナット5を鋼等の金属で構成すれば、ボールねじのナットとして十分な強度を付与できる。
このようなボールねじ1は、ボール9を介してねじ軸3に螺合されているナット5とねじ軸3とを相対回転運動させると、ボール9の転動を介してねじ軸3とナット5とが軸方向に相対移動するようになっている。そして、ボール転走路7とボール循環路11により無端状のボール通路が形成されており、ボール転走路7内を転動するボール9が無端状のボール通路内を無限に循環するようになっているため、ねじ軸3とナット5とは継続的に相対移動することができる。
ここで、ボール循環路11について、図2〜4を参照しながら詳細に説明する。ボール循環路11は、ナット5の内周面に一体的に形成されている。詳述すると、ナット5の円柱面状の内周面の一部を塑性加工(例えば鍛造),切削加工等の加工法により凹化させて形成した凹溝22を、ボール循環路11としている。よって、チューブ式,コマ式等のボール循環形式の場合とは異なり、ボール循環路を構成する別部材は取り付けられていない。そして、別部材が用いられていないので、別部材が用いられた場合に境界部分に生じる、エッジ部を有する段差が生じるおそれはない。
また、図4に示すように、ボール循環路11(凹溝22)は、ボール転走路7(ねじ溝5a)に接続する両端部11a,11aが直線状となっており、両端部11a,11aの間に位置する中間部11bが曲線状となっている。この中間部11bの両端と両端部11a,11aとが滑らかに接続されていて、図2のA矢視方向から見たボール循環路11(凹溝22)の全体形状は略S字状をなしている。ただし、ボール循環路11の全体形状は、図4に示すような略S字状に限定されるものではない。
このようなボール循環路11を備えていることから、図3に示すように、ボール転走路7の終点に転動してきたボール9は、ボール循環路11の一方の端部11aから掬い上げられてナット5の内部(径方向外方側)に沈み込む。そして、ボール循環路11の中間部11b内を通ってねじ軸3のランド部3b(ねじ溝3aのねじ山)を乗り越えて、ボール循環路11の他方の端部11aからボール転走路7の始点に戻される。なお、ボール循環路11の断面形状(長手方向に直交する平面で切断した場合の断面の形状)は、円弧状(単一円弧状)でもよいしゴシックアーク状でもよい。
直線状の端部11aによりボール9の導入部が形成されており、ボール転走路7からボール循環路11に入ってきたボール9は、導入部を通って中間部11bの湾曲部分に突き当たることにより案内されて、進行方向を変える。よって、この導入部は、ボール9が激しく衝突する部分である。なお、ボール循環路11とボール転走路7とは、滑らかに接続されている。すなわち、ボール9と凹溝22の内面との接点の軌跡と、ボール9とねじ溝5aの内面との接点の軌跡とが、滑らかに連続するように接続されている。その結果、ボール9が滑らかに循環する。
さらに、ボール循環路11の溝幅は、両端部11a,11aの溝幅ta、中間部11bの溝幅tb、及びボール9の直径Daが、Da≦ta≦tb<1.05Daなる式を満足するようになっている(図4を参照)。
このように、ボール循環路11(凹溝22)の長手方向全体の溝幅が、ボール9の直径Daとほぼ同程度(同一又は僅かに大きい程度)とされているので、凹溝22を形成する際の加工量(除肉量)が、従来のボールねじと比べて小さい。よって、凹溝22を形成する際に要するエネルギーが小さく、凹溝22の形成が容易である。
また、中間部11bの溝幅tbは、ボール9の直径Daとほぼ同程度(同一又は僅かに大きい程度)とされているため、ボール9の大きさに対する余裕量が小さく、ボール循環路11内を通る際のボール9の蛇行が抑制される。よって、ボール循環路11内でのボール9の挙動が安定し、ボールねじ1の作動性が向上する。その結果、ボール9がボール循環路11内の内壁に衝突することにより生じる作動音が低減するとともに、ボール循環路11及びボール9の摩耗が低減する。また、ボール9が摩耗しにくいため、ボールねじ1にトルク変動が生じにくいことに加えて、ボールねじ1が長寿命となる。
溝幅ta,tbが1.05Da以上であると、上記の各種効果が十分に得られないおそれがある。一方、Da未満であると(すなわち、中間部11bの溝幅tbがボール9の直径Da未満であると)、ボール9の通過が困難となる。
ただし、端部11aの溝幅taがボール9の直径Daとほぼ同程度(同一又は僅かに大きい程度)とされているので、ねじ溝5aの形成時の加工誤差等により、ねじ溝5aの端部の形成位置が正規の位置からずれて、ねじ溝5aの端部と凹溝22の端部11aとが完全には合致せず、両溝5a,22の境界部分に段差(軸方向の位置ズレ)が生じる場合がある。
境界部分に段差が生じることを防ぐためには、凹溝を形成する位置の基準となる加工基準点と形成される凹溝との位置精度、複数の回路を有する場合の各凹溝間の寸法精度、及びねじ溝の形成時の位置決め精度を、厳しく管理する必要があった。特に、冷間鍛造で凹溝を形成する場合は、上記精度の確保が難しかった。
そこで、この境界部分に段差が生じた場合には、ボール転走路7とボール循環路11との境界部分に、ボール循環路11の端部11a及びボール転走路7よりも溝幅が広い拡幅部24を設けることが好ましい。この拡幅部24により段差が解消され、ボール転走路7とボール循環路11とが滑らかに接続されるので、ボール9が滑らかに循環することとなる。
拡幅部24の一例を図5に示す。両溝5a,22の2つの境界部分のうち一方(図5では下側の境界部分)は、ねじ溝5aの形成時の加工誤差等がなく、段差が生じていないので、拡幅部24は設けられていない。これに対して、他方の境界部分(図5では上側の境界部分)は、ねじ溝5aの形成時の加工誤差等により段差が生じていたので、ボール循環路11の端部11a及びボール転走路7よりも溝幅が広い拡幅部24が該境界部分に設けられている。
すなわち、境界部分に拡幅部24を設けることにより、凹溝22とねじ溝5aが拡幅部24を介して接続されることとなる。図5において点線で示されているように、凹溝22とねじ溝5aは軸方向に位置ズレしているが、ボール循環路11の端部11a及びボール転走路7よりも溝幅が広い拡幅部24により段差が解消され、凹溝22とねじ溝5aが滑らかに接続される。なお、拡幅部24は、凹溝22及びねじ溝5aそれぞれと滑らかに連続するように、その縁部が曲線状(例えば円弧状)に形成されている。
このような本実施形態のボールねじ1の用途は特に限定されるものではないが、自動車部品,位置決め装置等に好適に使用可能である。
次に、本実施形態のボールねじ1の製造方法の一例を、図6,7を参照しながら説明する。まず、円柱状の鋼製素材20を冷間鍛造等の塑性加工により加工し、ナット5と略同一形状(略円筒形状)のブランク21を得た(粗成形工程)。このとき、塑性加工により、ブランク21の外周面にはフランジ13も形成される。
次に、ブランク21の円柱面状の内周面の一部を冷間鍛造等の塑性加工(又は切削加工でもよい)により凹化させて、ボール転走路7の終点と始点を連通するボール循環路11をなす略S字状の凹溝22を形成した(ボール循環路形成工程)。
凹溝22を形成する方法の具体例としては、以下のようなものがあげられる。すなわち、凹溝22に対応する形状の凸部を有する金型(図示せず)をブランク21内に挿入し、ブランク21の内周面に金型の凸部を接触させ、ブランク21の内周面に向かって金型を強く押圧することにより塑性加工して、凹溝22を形成することができる。
例えば、カムドライバ(図示せず)と、凹溝22に対応する形状の凸部を有するカムスライダ(図示せず)と、を有するカム機構の金型を用いて、凹溝22を形成してもよい。詳述すると、ブランク21内にカムドライバとカムスライダを挿入し、そのときカムスライダは、ブランク21とカムドライバとの間に配置するとともに、凸部をブランク21の内周面に向けて配置する。ブランク21内に配されたカムスライダとカムドライバは、ブランク21の略軸方向(ブランク21の軸方向から若干傾斜した方向)に延びる傾斜面で相互に接触しており、両傾斜面が金型のカム機構を構成している。
ここで、カムドライバをブランク21の軸方向に沿って移動させると、両傾斜面で構成されるカム機構(くさびの作用)によりカムスライダがブランク21の径方向外方に移動する。すなわち、カムドライバの傾斜面からカムスライダの傾斜面に力が伝達され、カムドライバの軸方向の力がカムスライダを径方向外方へ動かす力に変換される。その結果、カムスライダの凸部がブランク21の内周面を強く押圧することとなるので、塑性加工によりブランク21の内周面に凹溝22が形成される。
次に、凹溝22が形成されたブランク21の内周面に、慣用の切削加工又は研削加工により、ボール循環路11(凹溝22)の最端部と接続するようにねじ溝5aを形成した(ねじ溝形成工程)。このとき、凹溝22(ボール循環路11)の最端部は球面状をなしているので、ねじ溝5aとの境界部分の段差にコマ式ボールねじの場合のようなエッジ部は発生せず、滑らかな段差となる。その結果、境界部分をボール9が通過しても、異音や作動トルク変動が生じにくく、また寿命低下も生じにくい。
ただし、凹溝22(ボール循環路11)とねじ溝5a(ボール転走路7)との境界部分に、切削加工又は研削加工により微小なバリが生じるおそれがある。バリが存在すると、前記境界部分をボール9が通過した際に異音や作動トルク変動が生じるおそれがあり、ひいては寿命低下が生じるおそれがある。そこで、バリを除去するために、所望により、ブラシ加工及びブラスト加工の少なくとも一方を前記境界部分に施してもよい。
このようなバリ除去を施すと前記境界部分にバリが存在しないので、ボール循環路11とボール転走路7が滑らかに接続されている。その結果、前記境界部分をボール9が通過しても、異音や作動トルク変動を生じることがなく、また寿命低下も生じにくい。また、ブラシ加工やブラスト加工を施すと、表面の圧縮残留応力により疲労強度が向上する。さらに、ブラシ加工やブラスト加工は、ショットピーニング加工に比べて低コストであるため、ボールねじ1を安価に製造することができる。さらに、ブラシ加工やブラスト加工によって、前記境界部分にバリが存在せず、しかも、面だらし形状となるため、これらの効果により、ボール9をより円滑に循環させることができる。なお、面だらし形状とは、曲面状の面取り形状である。
さらに、従来のコマ式ボールねじにおいては、ブラシ加工やブラスト加工を施すと、後述する砥粒,メディア,切粉等がコマとコマ穴との間に残留するおそれがあった。しかしながら、本実施形態のボールねじ1においては、ナット5とボール循環路11とが一体になっているので、上記のような砥粒,メディア,切粉等の残留という不都合が生じるおそれはない。
ブラシ加工においては、スチール,ステンレス,ポリアミド樹脂(ナイロン)等からなるブラシを用いることができる。このブラシは、砥粒を備えるブラシでもよい。砥粒の種類は特に限定されるものではないが、アルミナ,炭化ケイ素,ダイヤモンド等が好ましい。また、ブラスト加工は、ブラストノズルからメディアを前記境界部分に吹き付ける処理である。メディアの種類は特に限定されるものではないが、スチール,ガラス,アルミナや、ポリアミド樹脂(ナイロン)等のプラスチックが好ましい。また、メディアを吹き付ける時間は特に限定されるものではないが、2秒以上5秒以下が好ましく、3秒前後がより好ましい。さらに、バリの除去を終えた前記境界部分の表面粗さは、1.6μmRa以下であることが好ましい。
次に、ねじ溝5aの形成時の加工誤差等によってボール転走路7とボール循環路11との境界部分に段差が生じた場合には、所望により、ボール循環路11の端部11a及びボール転走路7よりも溝幅が広い拡幅部24を該境界部分に設ける。拡幅部24を設ける方法は特に限定されるものではないが、凹溝22及びねじ溝5aを拡幅するように両側の縁部に慣用の切削加工又は研削加工を施す方法が好ましい。
ねじ溝形成工程に続けて切削加工又は研削加工を行って拡幅部24を設けることができるので、拡幅部24のために新たな工程を設定する必要がなく、ボールねじ1を安価に製造することができる。なお、拡幅部24とボール転走路7との境界部分や拡幅部24とボール循環路11との境界部分にも、切削加工又は研削加工により微小なバリが生じるおそれがあるので、前述と同様に、ブラシ加工及びブラスト加工の少なくとも一方を施してもよい。
最後に、所望の条件で浸炭,浸炭窒化,焼入れ,焼戻し,高周波焼入れ等の熱処理をブランク21に施して、ナット5が得られた。熱処理が浸炭又は浸炭窒化である場合は、ナット5の材質は、炭素の含有量が0.10〜0.25質量%のクロム鋼又はクロムモリブデン鋼(例えばSCM420)であることが好ましく、熱処理が高周波焼入れである場合は、炭素の含有量が0.4〜0.6質量%の炭素鋼(例えばS53C,SAE4150)であることが好ましい。
このようにして製造されたナット5と、慣用の方法により製造されたねじ軸3及びボール9とを組み合わせて、ボールねじ1を製造した。
なお、前述の粗成形工程及びボール循環路形成工程を鍛造のような塑性加工で行ったので、このボールねじ1の製造方法は、材料歩留まりが高いことに加えて、高精度のボールねじを安価に製造することができる。また、塑性加工により製造するため、鋼製素材20が有するメタルフロー(鍛流線)がほとんど切断されないので、高強度のナット5が得られる。
塑性加工の種類は特に限定されるものではないが、鍛造が好ましく、特に冷間鍛造が好ましい。熱間鍛造を採用することも可能であるが、冷間鍛造は熱間鍛造に比べて高精度な仕上げが可能であるので、後加工を施さなくても十分に高精度なナット5を得ることができる。よって、ボールねじ1を安価に製造することができる。粗成形工程及びボール循環路形成工程における塑性加工を冷間鍛造とすることが好ましいが、いずれか1つの工程における塑性加工を冷間鍛造としてもよい。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態のボールねじ1においては、凹溝22を鍛造により形成した例を示したが、鍛造以外の方法によって、ブランク21の円柱面状の内周面の一部を凹化させて凹溝22を形成してもよい。例えば、切削加工,研削加工によって凹化させてもよい。あるいは、鋳造によって、内周面に凹溝22を有するブランク21を製造し、この凹溝22をボール循環路11としてもよい。鋳造により凹溝22を形成した場合には、ボールねじ1の製造に際して必要なエネルギーが小さいという効果は奏されないが、作動音,摩耗,トルク変動が生じにくく長寿命であるという効果は奏される。
また、ねじ溝5aと凹溝22の境界部分に段差(軸方向の位置ズレ)が生じた場合でも、ボール9が滑らかに循環するように、ねじ溝5aの形成のための加工(切削加工又は研削加工)を施す部分と凹溝22の端部11aとの重複部分が長くなるように、前記加工を施してねじ溝5aを形成することが好ましい。この点について、図8を参照しつつ説明する。
図8における点Xは、凹溝22の端部11aの幅及び深さが中間部11bと同一に確保されている最端位置である。すなわち、点Xよりも端部側の半円部分は、幅及び深さが中間部11bよりも徐々に小さくなっていく球面状部分である。点Yは、前記加工を施す部分のうち、ねじ溝5aと同じ幅及び深さの溝が形成されるような加工を施す部分の最端位置である。すなわち、点Yよりも端部側の半円部分は、幅及び深さがねじ溝5aよりも徐々に小さくなっていく球面状部分が形成されるような加工が施される部分である。
境界部分の段差が小さい場合には、点Xと点Yを一致させても問題はないが、境界部分の段差が大きい場合には、点Xと点Yが一致していると、境界部分においてボール9の進行方向が急激に変化することとなり、ボール9が滑らかに循環できないおそれがある。
そこで、重複部分の溝長手方向長さLが長くなるように、前記加工を施してねじ溝5aを形成すれば、境界部分においてボール9の進行方向が急激に変化しにくいので、ボール9が滑らかに循環しやすい。
さらに、本実施形態のボールねじ1においては、ボール9をボール転走路7の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路11をナット5に形成したナット循環方式のボールねじを例示したが、本発明は、ボール循環路11に相当するものをねじ軸に形成したねじ軸循環方式のボールねじにも適用可能である。
1 ボールねじ
3 ねじ軸
3a ねじ溝
5 ナット
5a ねじ溝
7 ボール転走路
9 ボール
11 ボール循環路
22 凹溝
24 拡幅部
ta 端部の溝幅
tb 中間部の溝幅
Da ボールの直径

Claims (1)

  1. 螺旋状のねじ溝を外周面に有するねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有するナットと、前記両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転走路に転動自在に装填された複数のボールと、前記ボールを前記ボール転走路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路と、を備えるボールねじにおいて、
    前記ボール循環路は、前記ナットの内周面形成した凹溝で構成されているとともに、 前記ボール転走路に接続する前記ボール循環路の両端部の溝幅ta、前記両端部の間に配される中間部の溝幅tb、及び前記ボールの直径Daが、Da≦ta≦tb<1.05Daなる式を満足することを特徴とするボールねじ。
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