JP5891134B2 - 自己吸着性高分子シート - Google Patents

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Description

本発明は、粘着性がなく、ガラスなどの被着体に対する自己吸着性及び剥離性に優れる自己吸着性高分子シートに関する。
半導体等の電子部品やガラスチップ等を製造又は加工する工程では、貼付材を用いた各種材料等の仮止め等が行われている。また、前記電子部品やガラスチップ等の微小な製品を搬送する際にも、前記製品を搬送用の部材(例えば、搬送用容器、搬送用トレイ等)に固定するために、上記した貼付材を用いた仮止めが行われている。
上記したような仮止めの用途で用いられる貼付材としては、粘着力により被着体に貼り付く粘着シートが挙げられる。
例えば、特許文献1に、基材層の片面に、カルボン酸変性熱可塑性エラストマー及び架橋剤を含む第1接着層と、熱可塑性エラストマー及び可塑剤を含む第2接着層とを、順に積層・接着してなる粘着シート(自己粘着性フィルム)が開示されている。また、特許文献2に、基材層が存在せずアクリルウレタン樹脂により形成された粘着シートが開示されている。
これら特許文献1及び2に開示の粘着シートは、その高い粘着性により被着体に貼り付く一方で、被着体から剥がすことが可能であり、上記したような仮止めの用途に好適に使用することができる。
特開2004−231694号公報 特開2012−54431号公報
しかしながら、上記した粘着シートは、高い粘着性を有しているため、被着体に貼り付くが、被着体に対する粘着力が強すぎるために、被着体から剥がす際に強い力を要し、この力により、被着体や当該粘着シートを損傷させてしまうことがある。損傷した粘着シートは、再使用することができない。つまり、粘着シートは、その高い粘着性のために、被着体から剥がして再使用することができるリワーク性に乏しいものであった。
そこで、粘着性がないが、自己吸着性により被着体に貼り付けることができ、且つ、被着体から容易に剥がすことができる貼付材の開発が望まれている。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、粘着性がなく、自己吸着性及び剥離性に優れる自己吸着性高分子シートを提供することを目的とする。
本発明の自己吸着性高分子シートは、上記課題を解決するために、単量体混合物の重合体を含んでなる自己吸着性高分子シートであって、前記単量体混合物は、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有し、単独で硬化させた際の硬度が10〜70である多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有し、単独で硬化させた際の硬度が80〜100である多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)とを少なくとも含み、当該自己吸着性高分子シートのホウケイ酸ガラス基材に対する90°剥離力が0.3N/20mm以下であり、当該自己吸着性高分子シートのホウケイ酸ガラス基材に対する垂直剥離力が8〜30Nであることを特徴とする。
この本発明の自己吸着性高分子シートは、ホウケイ酸ガラス基材に対する90°剥離力が0.3N/20mm以下であり、粘着性を有さない一方で、ホウケイ酸ガラス基材に対する垂直剥離力が8〜30Nであり、被着体に対して十分な自己吸着性と剥離性を有する。このため、本発明の自己吸着性高分子シートは、被着体に十分に貼り付く一方、その被着体から容易に剥離することができ、且つ、被着体から剥がして再使用することができる。
なお、本明細書中においては、ホウケイ酸ガラスに対する90°剥離力が0.3N/20mm以下のものを「粘着性なし」とし、90°剥離力が0.3N/20mmを超えるものを「粘着性有り」としている。
また、本明細書中において、自己吸着性とは、被着面への貼り付けが、他の如何なる粘着剤及び接着剤を使用しなくとも、また、更なる圧力や熱をかけることなしに、また、画びょう、ビス、ホッチキス、くぎ、針金などの機械的手段を使用しなくとも行うことができる高分子シートの性質を意味しており、ホウケイ酸ガラスに対する垂直剥離力が8N以上のものを、「自己吸着性有り」としている。
なお、本明細書中において、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタアクリロイルを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタアクリレートを意味する。
また、本明細書中において、硬度とは、JIS K6253−3に準拠してタイプAのデュロメータにより測定した硬度を意味する。
本発明によれば、粘着性がなく、被着体に対する自己吸着性及び剥離性に優れる自己吸着性高分子シートを提供することができる。
以下に本発明を詳述する。
〔自己吸着性高分子シート〕
本発明の高分子シートは、自己吸着性を有する高分子シートであって、単量体混合物の重合体を含んでなるものである。そして、本発明の高分子シートは、ホウケイ酸ガラス基材に対して、0.3N/20mm以下の90°剥離力を示し、8〜30Nの垂直剥離力を示す。
前記単量体混合物は、単独で硬化させた際の硬度(以下、単に硬度という)が異なる2種の多官能ウレタン(メタ)アクリレート、具体的には、硬度が10〜70の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、硬度が80〜100の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)とを含んでいる。このような単量体混合物の重合体は、単独の異なる2種の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)及び上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B))に由来する構造単位が架橋した架橋構造を有し、本発明の高分子シートの骨格を形成する役割を有する。
本発明において、多官能ウレタン(メタ)アクリレートとは、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有し、ウレタン結合(−NHCOO−)を有する化合物を意味する。
そして、本発明では、前記単量体混合物に含まれる多官能ウレタン(メタ)アクリレートのうち、硬度が10〜70の多官能ウレタン(メタ)アクリレートを、「多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)」といい、硬度が80〜100の多官能ウレタン(メタ)アクリレートを「多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)」という。
前記単量体混合物が、硬度が10〜70の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)の代わりに、硬度が10未満の多官能ウレタン(メタ)アクリレートを含むものであると、その単量体混合物の重合体を含む高分子シートは、柔らかすぎて、作業性に乏しいものとなる。
また、前記単量体混合物が、硬度が10〜70の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)の代わりに、硬度が70超〜80未満の多官能ウレタン(メタ)アクリレートを含むものであると、その単量体混合物の重合体を含む高分子シートは、高い粘着性を有するものとなり、被着体から剥がして再使用することができるリワーク性に乏しいものとなる。
また、前記単量体混合物が、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)の代わりに、硬度が70超〜80未満の多官能ウレタン(メタ)アクリレートを含むものであると、その単量体混合物の重合体を含む高分子シートは、被着体に貼り付き難く、自己吸着性に乏しいものとなる。
なお、前記単量体混合物に含まれる多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)の硬度は、30〜65であることがより好ましい。また、前記単量体混合物に含まれる多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)の硬度は、90〜98であることがより好ましい。
上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)としては、例えば、以下のような市販品を用いることができる。市販品は単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。市販品としては、例えば、ダイセル・サイテック株式会社製の「EBECRYL(登録商標)」シリーズのEB230、KRM8296等の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートやEB210等の芳香族ウレタン(メタ)アクリレート;日本合成化学工業株式会社製の「紫光(登録商標)」シリーズ、UV2000B、UV3000B、UV3300B、UV3700B等;サートマー社製の「CN」シリーズのCN962、CN965等の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートやCN972、CN978等の芳香族ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)としては、例えば、以下のような市販品を用いることができる。市販品は単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。市販品としては、例えば、ダイセル・サイテック株式会社製の「EBECRYL(登録商標)」シリーズのEB270、EB4858、EB5129、EB8210、EB8301、EB8402、EB9260、EB9270、EB8311、EB8701等の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートやEB220等の芳香族ウレタン(メタ)アクリレート;日本合成化学工業株式会社製の「紫光(登録商標)」シリーズ、UV1700B、UV3310B、UV6300B、UV6630B、UV6640B、UV7510B、UV7650B等;根上工業株式会社製の「アートレジン」シリーズのUN3320HA、UN3320HC、UN3320HS、UN901T等;サートマー社製の「CN」シリーズのCN963等の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートやCN975等の芳香族ウレタン(メタ)アクリレート;東亜合成株式会社製の「アロニックス(登録商標)」シリーズのM−1100、M−1200等;新中村化学工業株式会社製のU−4HA、U−6HA、U−6LPA等が挙げられる。
さらに、上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)及び前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)は、例えば、ポリイソシアネート類と、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートと、必要に応じてポリオール類とを錫又はアミン等の触媒を用いて反応させることにより作製してもよい。
上記ポリイソシアネート類としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4'−ジイソシアネート、ω,ω'−ジイソシアネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族系ジイソシアネート類;4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート類などが挙げられる。
上記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、1分子中にヒドロキシ基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば、特に限定されず、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシシクロオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有アクリルアミド、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル等のα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステルなどが挙げられる。なお、本明細書中において、(メタ)アクリルとは、メタクリル又はアクリルを意味する。
上記ポリオール類としては、ヒドロキシ基を2つ以上、或いは、グリシジルエーテル基又はグリシジルエステル基を少なくとも1つ有する化合物であれば、特に限定されず、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレングリコール、またはプロピレングリコール付加物等の公知の各種グリコール類;トリメチロールプロパン、グリセリン等の多官能ポリオール;n−ブチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類;バーサティック酸ジグリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類などが挙げられる。
本発明の高分子シートにおいて、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)の少なくとも一方は、脂肪族系のイソシアネートを用いて得られる脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)の少なくとも一方が、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートであると、高分子シートの透明性及び経時安定性(高温環境下で黄変し難い)を向上させることができる。
上記単量体混合物中における多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)と多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)との重量比は95:5〜60:40であることが好ましく、90:10〜80:20であることがより好ましい。上記単量体混合物中における多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)と多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)との重量比を95:5〜60:40の範囲内とすると、高分子シートの被着体に対する自己吸着性を向上させることができる。
本発明の高分子シートに含まれる多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)と多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)とを少なくとも含む単量体混合物の重合体は、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)に由来する構造単位と多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)に由来する構造単位を有するものであれば、特に限定されず、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)に由来する構造単位及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)に由来する構造単位以外の構造単位を有する重合体であってもよい。例えば、本発明の高分子シートに含まれる重合体は、自己吸着性向上、強度及び硬さの調整、相溶性向上等を目的として、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)以外の他のビニル系単量体を適宜混合して得られる単量体混合物の重合体であってもよい。
上記他のビニル系単量体としては、分子内に重合性を有する炭素−炭素二重結合を1つ以上有するものであればよく、例えば、(メタ)アクリル酸、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル等のような、重合性のアルケニル基(広義のビニル基)を有するもの等が挙げられる。これらの他のビニル系単量体はそれぞれ、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の高分子シートは、ポリオール系可塑剤を含有することが好ましい。ポリオール系可塑剤を含有することにより、被着体への追従性及びエアー抜け性を向上させることができる。
上記ポリオール系可塑剤としては特に限定されず、例えば、ポリカーボネートジオール、ポリカプトラクトンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のポリエーテルジオールや、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族ジオール化合物とコハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸化合物との共重合体であるポリエステルジオール等の1分子中に水酸基を2個有するジオール類;トリメチロールプロパン、(ポリ)グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の1分子中に水酸基を3個以上有するポリオール類;これらのポリオール類に対してエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド等の環状エーテル化合物を付加重合することにより得られるEO変性トリメチロールプロパン、PO変性トリメチロールプロパン、EO変性(ポリ)グリセリン、PO変性(ポリ)グリセリン、EO変性ペンタエリスリトール、PO変性ペンタエリスリトール、EO変性ソルビトール、PO変性ソルビトール等のポリエーテルポリオールが挙げられる。
本発明の高分子シートにおける前記ポリオール系可塑剤は、重量平均分子量(Mw)が100〜5000の液状オリゴマー、又は常温(25℃)で液体であるものがより好ましい。前記ポリオール系可塑剤が固体状であると、高分子シートを製造する際に前記ポリオール系可塑剤が固形化して調液しにくくなったり、得られる高分子シートにおいて充分な自己吸着性と柔軟性が備えられなくなったりすることがある。
上記したポリオール系可塑剤の重量平均分子量は、ポリスチレン(PS)換算重量平均分子量を意味するものとする。上記ポリオール系可塑剤の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
本発明の高分子シートにおけるポリオール系可塑剤は、上記ポリエーテルポリオールであることが好ましく、EO変性(ポリ)グリセリン、PO変性(ポリ)グリセリン等のポリエーテル付加(ポリ)グリセリンであることが更に好ましい。ポリエーテル付加(ポリ)グリセリンは、(ポリ)グリセリンのヒドロキシル基がポリオールで変性されており、分岐構造を有しているため、立体障害性が高く結晶性に劣る。このため、ポリエーテル付加(ポリ)グリセリンは、直鎖構造を有するポリオール系可塑剤と比較して、高分子量であっても常温で液体であり、高分子シートの溶媒成分又は可塑剤としてより好適に使用可能である。また、ポリエーテル付加(ポリ)グリセリンは、高分子シートを形成した際に、液状成分のブリードアウトを生じにくい。ポリエーテル付加(ポリ)グリセリンの具体例としては、例えば、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル等が挙げられる。上記ポリエーテル付加(ポリ)グリセリンの市販品としては、例えば、阪本薬品工業株式会社製のSC−E450、SC−E750、SC−E1000、SC−P400、SC−P1000、SC−P1200、SC−P1600等を挙げることができる。なお、本明細書中において、(ポリ)グリセリンは、グリセリン又はポリグリセリンを意味する。
本発明の高分子シート中の上記ポリオール系可塑剤の含有率としては特に限定されないが、10〜40重量%であることが好ましい。上記ポリオール系可塑剤の含有率が10重量%未満である場合、ポリオール系可塑剤を含有させることによる柔軟性の効果が充分に得られない場合がある。一方、上記ポリオール系可塑剤の含有率が40重量%を超えると、高分子シートの表面からポリオール系可塑剤がブリードアウトしてしまうおそれがある。
また、本発明の高分子シートは、必要に応じて各種の添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、安定剤、pH調整剤、香料、着色剤、染料等が挙げられる。また、本発明の高分子シートは、当該高分子シートの製造において使用した後述の重合開始剤を含んでいてよい。
本発明の高分子シートのホウケイ酸ガラス基材に対する90°剥離力は、0.3N/20mm以下である。90°剥離力が0.3N/20mmを超える高分子シートは、粘着性を有するため、被着体に貼り付け後、引き剥がす際に力が必要であり、作業性(剥離性)に乏しい上、被着体から剥がす際に、被着体を傷つけるおそれや、当該高分子シートを損傷させるおそれがある。つまり、本発明の高分子シートの作業性は、当該高分子シートを被着体に貼り付け後、引き剥がす際に力を必要としないほど向上し、本発明の高分子シートの90°剥離力は、低ければ低いほど良い。また、90°剥離力が、0.3N/20mm以下の高分子シートは、粘着性を有していないため、気泡の混入などによる貼り直しが必要な場合にも糊残りなく容易に剥がすことができ、すなわち、リワーク性に優れる。
なお、本明細書において、90°剥離力とは、後述する実施例の項に記載の「90°剥離力の測定方法」により測定された90°剥離力を意味する。
本発明の高分子シートのホウケイ酸ガラス基材に対する垂直剥離力は、8〜30Nである。垂直剥離力が8N未満の高分子シートは、自己吸着性に乏しく、被着体に貼り付き難いため、固定性が乏しい。一方、垂直剥離力が30Nを超える高分子シートは、被着体から剥がし難く、被着体を傷つける恐れがある。
なお、垂直剥離力は、後述する実施例の項に記載の「垂直剥離力の測定方法」により測定することができる。
本発明の高分子シートの動的粘弾性は、特に限定されないが、周波数1Hzの温度分散で測定した25℃における動的貯蔵弾性率G’が1.0×105〜2.0×106Paの範囲内で、動的損失弾性率G”が2.0×104〜5.0×105Paの範囲内で、損失正接tanδが0.10〜0.50の範囲内であることが好ましい。本発明の高分子シートのうち、動的貯蔵弾性率G’、動的損失弾性率G”、及び損失正接tanδが上記範囲内にある高分子シートは、自己吸着性及び作業性(剥離性)の両方に優れる。なお、動的粘弾性(動的貯蔵弾性率G’、動的損失弾性率G”、及び損失正接tanδ)は、後述する実施例の項に記載の「動的粘弾性の測定方法」により測定することができる。
本発明の高分子シートの引張り応力は、特に限定されないが、3〜15MPaが好ましい。引張り応力が3MPa以上の高分子シートは、靭性に優れ、伸ばした際に千切れし難い。また、引張り応力が15MPa以下の高分子シートは、衝撃吸収性に優れる。なお、引張り応力は、後述する実施例の項に記載の「引張り応力の測定方法」により測定することができる。
本発明の高分子シートの引張り伸度は、特に限定されないが、30%以上であることが好ましい。引張り伸度が30%以上の高分子シートは、柔軟性に優れ、追従性に優れる。なお、引張り伸度は、後述する実施例の項に記載の「引張り伸度の測定方法」により測定することができる。
本発明の高分子シートの片面には、高分子シートの表面を保護する保護フィルムが設けられていることが好ましい。
高分子シートにおいて、当該高分子シートの片面に設けられた保護フィルムをセパレーターとして用いる場合は、保護フィルムの両面に離型処理が施されていることが好ましい。この場合、表裏の剥離強度に差をつけてもよい。また、前記保護フィルムを支持体として用いる場合は、保護フィルムの高分子シートと接する面と反対側の面に離型処理を施すことで、前記保護フィルムの高分子シートと接する面と反対側の面にセパレーターとしての機能を付与することができる。
また、高分子シートの両面に保護フィルムを設けてもよい。高分子シートの両面の保護フィルムは、セパレーターとして工程の途中で剥離され別のフィルム等に貼りかえられる場合もあり、支持体や台紙として最終製品まで付属し、そのまま末端ユーザに利用される場合や末端ユーザにより使用直前に剥離される場合もある。
支持体として用いられる場合の保護フィルムは、高分子シートを補強し、シート状の形態を保持させることができる樹脂フィルム、不織布、又は織布であれば特に限定されない。支持体として使用可能な樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン等が挙げられる。
セパレーターとして用いられる場合の保護フィルムは、フィルム状に成型可能な樹脂又は紙であれば特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン等からなる樹脂フィルム;紙;樹脂フィルムをラミネートした紙等が挙げられる。また、セパレーターとして用いられる場合の保護フィルムには、少なくとも高分子シートと接する面に離型処理が施されていることが好ましく、必要に応じて保護フィルムの両面に、離型処理が施されていてもよい。両面に離型処理する場合には、表裏の剥離強度に差をつけてもよい。なお、離型処理の方法としては特に限定されず、例えば、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル基含有カルバメート等の離型剤によるコーティング法等が挙げられ、特に、熱又は紫外線で架橋、硬化反応させる焼き付け型のシリコーンコーティング法が好ましい。
なお、高分子シートの両面の保護フィルムがセパレーターとして用いられる場合、一方の保護フィルム(以下、ベースフィルムという)には、二軸延伸したPETフィルム、OPPフィルム、ポリオレフィンをラミネートした紙が用いられることが好ましい。また、高分子シートの両面の保護フィルムがセパレーターとして用いられる場合、ベースフィルムには、光学フィルタを使用してもよい。また、高分子シートの両面の保護フィルムがセパレーターとして用いられる場合、ベースフィルムと逆の面に配置される保護フィルム(以下、トップフィルムという)には、高分子シートの製品形態に応じて最適な材料が選択される。例えば、高分子シートを短冊状とする場合において、トップフィルムは、フィルム状に成型可能な樹脂又は紙であれば特に制限されないが、トップフィルム及びベースフィルムには、離型処理されていることが好ましい。
〔自己吸着性高分子シートの製造方法〕
本発明の高分子シート(自己吸着性高分子シート)の製造方法は、特に限定されず、公知の方法で製造することができる。例えば、上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)と、重合開始剤とを含む高分子シート用組成物を用いて、一般的なラジカル重合(例えば、レドックス反応によるラジカル重合、活性エネルギー線照射によるラジカル重合等)を行って、前記高分子シート用組成物中の上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)と上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)とを重合させる製造方法によって、本発明の高分子シートを製造することができる。
上記重合開始剤としては、特に限定されず、熱重合開始剤、光重合開始剤等が挙げられ
る。
上記熱重合開始剤としては、熱により開裂して、ラジカルを発生するものであれば特に限定されず、例えば、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物;アゾビスシアノ吉草酸、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2、2−アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩等のアゾ化合物等が挙げられる。また、必要に応じて、硫酸第1鉄やピロ亜硫酸塩等の還元剤と過酸化水素やチオ硫酸ナトリウム等の過酸化物とからなるレドックス開始剤を熱重合開始剤と併用してもよい。
上記光重合開始剤としては、紫外線又は可視光線で開裂して、ラジカルを発生するものであれば特に限定されず、例えば、α−ヒドロキシケトン、α−アミノケトン、ベンジルメチルケタール、ビスアシルフォスフィンオキサイド、メタロセン等が挙げられ、より具体的には、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(製品名:Darocur(登録商標)1173、BASFジャパン株式会社(旧:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社)製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(製品名:IRUGACURE(登録商標)184、BASFジャパン株式会社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン(製品名:IRUGACURE(登録商標)2959、BASFジャパン株式会社製)、2−メチル−1−[(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(製品名:IRUGACURE(登録商標)907、BASFジャパン株式会社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(製品名:IRUGACURE(登録商標)369、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記高分子シート用組成物における上記重合開始剤の含有率は、0.01重量%〜1.0重量%であることが好ましい。上記高分子シート用組成物における上記重合開始剤の含有率が0.01重量%以上であると、重合反応が十分に進み、この重合反応により得られる高分子シート中に残存する重合性単量体(例えば、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B))の量を低減させることができる。また、上記高分子シート用組成物における上記重合開始剤の含有率が1.0重量%未満であると、上記重合反応により得られる高分子シート中に残存する重合開始剤による変色(黄変)や臭気を防止することができる。
上記ポリオール系可塑剤を含有する高分子シートを製造する場合には、上記高分子シート用組成物に、上記したポリオール系可塑剤を含有させる。この場合の上記高分子シート用組成物における上記重合開始剤の含有率は、10〜40重量%であることが好ましい。上記高分子シート用組成物における上記ポリオール系可塑剤の含有率が10重量%未満である場合、ポリオール系可塑剤を含有させることによる柔軟性の効果が充分に得られない場合がある。一方、上記ポリオール系可塑剤の含有率が40重量%を超えると、高分子シートの表面からポリオール系可塑剤がブリードアウトしてしまうおそれがある。
本発明の高分子シートは、液状の高分子シート用組成物(配合液)を重合させたものであるため、例えば、2枚の樹脂フィルムからなる保護フィルムの間に高分子シート用組成物(配合液)を流し込み、一定の厚みに保持した状態で、高分子シート用組成物中の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)を重合させることで製造することができる。
或いは、本発明の高分子シートは、1枚の保護フィルム上に、高分子シート用組成物(配合液)を薄層コーティングし、高分子シート用組成物中の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)を重合させることで製造することができる。
本発明の高分子シートの製造方法では、活性エネルギー線の照射により、上記高分子シート用組成物中の上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)を重合させることが好ましい。なお、上記活性エネルギー線とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線、可視光線等の活性光;電子線、ガンマ線等の放射線を意味する。本発明の高分子シートの製造に用いる活性エネルギー線としては紫外線が好ましく、例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等の線源が挙げられる。紫外線による重合系には光重合開始剤を使用することが好ましい。
紫外線照射により上記高分子シート用組成物中の上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)を重合させる場合には、紫外線の積算照射量は、1000mJ/cm2〜10000mJ/cm2の範囲内であることが好ましく、2000mJ/cm2〜7000mJ/cm2の範囲内であることがより好ましい。
〔自己吸着性高分子シートの用途〕
本発明の自己吸着性高分子シートは、被着体に対する貼付性と、被着体から容易に剥がして再使用することができるリワーク性とが求められる様々な用途で使用することができる。
例えば、本発明の高分子シートは、金属製又はガラス製の部材を、金属製又はガラス製の他の部材に一時的に固定(仮止め)するための仮止め材として用いることができる。具体例としては、半導体等の電子部品やガラスチップ等を製造又は加工する工程において、各種部材を一時的に固定する仮止め材として使用することができる。また、本発明の高分子シートは、微小な製品(例えば、上記電子部品やガラスチップ)を搬送する際に、上記製品を搬送用の部材(例えば、搬送用容器、搬送用トレイ等)に一時的に固定するための仮止め材としても使用できる。さらに、本発明の高分子シートは、タッチパネルと液晶パネルとで構成されるタッチパネル一体型液晶表示装置等のような複数のパネルで構成される光学装置において、複数のパネル同士(具体例としては、タッチパネルと液晶パネル)を貼り合せるための貼付材としても使用できる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
〔実施例1〕
硬度が10〜70の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてのEB230(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)230、Mw=5000、硬度62.5)95重量部と、硬度が80〜100の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)としてのEB4858(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)4858、Mw=450、硬度97.0)5重量部と、光重合開始剤としての2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASFジャパン株式会社、商品名:Darocur(登録商標)1173、(略称:DR1173))0.5重量部とを、遠心攪拌脱泡器を用いて混合し、淡黄色透明の配合液(単量体混合物)を得た。
次に得られた配合液を、保護フィルムとしてのシリコーンコーティングされたPETフィルム上に滴下した。その上から同じく保護フィルムとしてのシリコーンコーティングされたPETフィルムを被せて、配合液を均一に押し広げ、厚さが0.3mmになるように固定した。これにメタルハライドランプを使用してエネルギー量7000mJ/cm2の紫外線を照射することにより、厚み0.3mmのシート状の両面保護フィルム付き高分子シート(自己吸着性高分子シート)を得た。
〔実施例2〕
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてのEB230(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)230、Mw=5000、硬度62.5)の配合量を90重量部とし、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)としてのEB4858(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)4858、Mw=450、硬度97.0)10重量部とした以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の両面保護フィルム付き高分子シート(自己吸着性高分子シート)を得た。
〔実施例3〕
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてのEB230(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)230、Mw=5000、硬度62.5)の配合量を60重量部とし、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)としてのEB4858(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)4858、Mw=450、硬度97.0)40重量部とした以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の両面保護フィルム付き高分子シート(自己吸着性高分子シート)を得た。
〔実施例4〕
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてのEB230(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)230、Mw=5000、硬度62.5)の配合量を81重量部とし、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)としてのEB4858(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)4858、Mw=450、硬度97.0)9重量部とし、さらに、ポリオール系可塑剤として、ポリオキシプロピレン(ポリ)グリセリルエーテル(坂本薬品工業株式会社製、商品名:SC−P1600、Mw=1600)10重量部を混合して配合液を得た以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の両面保護フィルム付き高分子シート(自己吸着性高分子シート)を得た。
〔実施例5〕
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてのEB230(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)230、Mw=5000、硬度62.5)の配合量を72重量部とし、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)としてのEB4858(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)4858、Mw=450、硬度97.0)8重量部とし、さらに、ポリオール系可塑剤として、ポリオキシプロピレン(ポリ)グリセリルエーテル(阪本薬品工業株式会社製、商品名:SC−P1600、Mw=1600)20重量部を混合して配合液を得た以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の両面保護フィルム付き高分子シート(自己吸着性高分子シート)を得た。
〔実施例6〕
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてのEB230(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)230、Mw=5000、硬度62.5)の配合量を90重量部とし、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)として、EB4858(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)4858、Mw=450、硬度97.0)に代えて、EB270(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)270、Mw=1500、硬度82.7)10重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の両面保護フィルム付き高分子シート(自己吸着性高分子シート)を得た。
〔実施例7〕
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)として、EB230(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)230、Mw=5000、硬度62.5)に代えて、UV3700(日本合成化学株式会社製、商品名:紫光(登録商標)UV−3700B、Mw=38000、硬度31.1)90重量部を使用し、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)として、EB4858(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)4858、Mw=450、硬度97.0)に代えて、EB8210(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)8210、Mw=600、硬度97.5)10重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の両面保護フィルム付き高分子シート(自己吸着性高分子シート)を得た。
〔実施例8〕
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)として、EB230(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)230、Mw=5000、硬度62.5)に代えて、UV3700(日本合成化学株式会社製、商品名:紫光(登録商標)UV−3700B、Mw=38000、硬度31.1)72重量部を使用し、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)として、EB4858(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)4858、Mw=450、硬度97.0)に代えて、EB8210(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)8210、Mw=600、硬度97.5)8重量部を使用し、さらに、ポリオール系可塑剤として、ポリオキシプロピレン(ポリ)グリセリルエーテル(阪本薬品工業株式会社製、商品名:SC−P1000、Mw=1000)20重量部を混合して配合液を得た以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の両面保護フィルム付き高分子シート(自己吸着性高分子シート)を得た。
〔比較例1〕
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてのEB230(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)230、Mw=5000、硬度62.5)の配合量を50重量部とし、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)としてのEB4858(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)4858、Mw=450、硬度97.0)の配合量を50重量部とした以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の両面保護フィルム付き高分子シートを得た。
〔比較例2〕
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてのEB230(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)230、Mw=5000、硬度62.5)の配合量を100重量部とし、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)としてのEB4858(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)4858、Mw=450、硬度97.0)を使用しない以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の両面保護フィルム付き高分子シートを得た。
〔比較例3〕
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてのEB230(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)230、Mw=5000、硬度62.5)を使用せず、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)としてのEB4858(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)4858、Mw=450、硬度97.0)の配合量を100重量部とした以外は、実施例1と同様にして、高分子シートの作製した。なお、本比較例3の高分子シートについては、後述する各測定及び評価において試験片を作製する際に材料破壊が生じ、規定の大きさ及び形状の試験片を作製することができなかった。このため、後述する各測定及び評価を行うことができなかった。
〔比較例4〕
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてのEB230(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)230、Mw=5000、硬度62.5)を使用せず、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)として、EB4858(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)4858、Mw=450、硬度97.0)に代えてEB270(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)270、Mw=1500、硬度82.7)10重量部を使用し、さらに、硬度が70超〜80未満の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(C)として、UV3200(日本合成化学株式会社製、商品名:紫光(登録商標)UV−3200B、Mw=10000、硬度73.2)90重量部を混合して配合液を得た以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の両面保護フィルム付き高分子シートを得た。
〔比較例5〕
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)としてのEB230(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)230、Mw=5000、硬度62.5)の配合量を90重量部とし、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)としてのEB4858(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名:EBECRYL(登録商標)4858、Mw=450、硬度97.0)を使用せず、さらに、硬度が70超〜80未満の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(C)として、UV3200(日本合成化学株式会社製、商品名:紫光(登録商標)UV−3200B、Mw=10000、硬度73.2)10重量部を混合して配合液を得た以外は、実施例1と同様にして、厚み0.3mmのシート状の両面保護フィルム付き高分子シートを得た。
〔垂直剥離力の測定方法〕
高分子シートを20mmφにカットしたものを試験片とする。なお、実施例1〜8及び比較例1〜5で得た両面保護フィルム付き高分子シートについては、両面の保護フィルムを外して、試験片を作製した。
テクスチャーアナライザー(TA.XT.plus Texture Analayzer(Stable Micro Systems社))に、P/20mmφ(Stable Micro Systems社)のシリンダープローブを装着し、そのシリンダープロープの底面に上記試験片の一方の面を、粘着テープを介して貼り付けた。さらに、そのシリンダープロープの真下に被着体(株式会社藤原製作所製のパイレックス(登録商標)ガラス(ホウケイ酸ガラス))を配置した。そして、シリンダープロ―プを垂直方向下方に0.5cm/secの速度で移動させて、上記試験片を前記被着体に貼り付けて、750gの荷重を10秒間かけた後、そのシリンダープロープを垂直方向上方に1.0cm/secの速度で移動させて、上記試験片を被着体から引き剥がした際に要する力(N)を測定した。この測定値(N)を、垂直剥離力(N)とした。なお、本測定は、室温下(25℃、1気圧)で実施した。
実施例1〜8、及び比較例1〜5についての垂直剥離力の測定結果を、後記の表1及び表2に示す。
〔90°剥離力の測定方法〕
高分子シートを幅20mm、長さ100mmに切り取ったものを試験片とする。なお、実施例1〜8及び比較例1〜5で得た両面保護フィルム付き高分子シートについては、両面の保護フィルムを外して、試験片を作製した。
前記試験片を被着体(株式会社藤原製作所製のパイレックス(登録商標)ガラス(ホウケイ酸ガラス))に貼りつけ、テクスチャーアナライザー(TA.XT.plus Texture Analayzer(Stable Micro Systems社製))にセットする。そして、JIS Z0237(粘着テープ・粘着シートの試験法)の測定条件に準じ、300mm/分の速度で90°方向に試験片を被着体から引きはがす際に要する力(N/20mm)を測定した。この測定値(N/20mm)を90°剥離力(N/20mm)とした。なお、本測定は、室温下(25℃、1気圧)で実施した。
実施例1〜8、及び比較例1〜5についての90°剥離力の測定結果を、後記の表1及び表2に示す。
〔動的粘弾特性の測定方法〕
高分子シートを直径8mmの円形状に打ち抜き、得られた円形状の高分子シートを、厚みが1mm以上となるように、複数枚積層したものを試験片とする。なお、実施例1〜8及び比較例1〜5で得た両面保護フィルム付き高分子シートについては、両面の保護フィルムを外して、試験片を作製した。
動的粘弾性測定装置(Anton Paar社製、PHYSICA MCR301)を用い、前記試験片に印加する振動の周波数を1Hzとし、昇温速度5℃/分、測定温度幅−70℃〜200℃の条件で、各温度における試験片の動的粘弾特性(動的貯蔵弾性率G’、動的損失弾性率G”、損失正接tanδ)の測定(即ち、温度分散測定)を実施した。
実施例1〜8及び比較例1〜5についての動的粘弾特性の測定につより得られた25℃における動的貯蔵弾性率G’、動的損失弾性率G”、損失正接tanδの値を後記の表1及び表2に示す。
〔引張り応力及び引張り伸度の測定方法〕
高分子シートからJIS K6251:2010に規定するダンベル状3号形の試験片を5枚打ち抜いた。なお、実施例1〜8及び比較例1〜5で得た両面保護フィルム付き高分子シートについては、両面の保護フィルムを外して、試験片を作製した。
テンシロン万能試験機「UCT−10T」(株式会社オリエンテック製)及び万能試験機データ処理装置「UTPS−STD」(ソフトブレーン株式会社製)を用い、つかみ具間隔(初期の標線間距離)50mmとして500mm/分の速度で試験片を引張り、試験片が切断するまでの最大引張り力及び試験片が切断した時のつかみ具間隔(切断時の標線間距離)を測定して、JIS K6251:2010規定の方法により、引張り応力(引張り強さ:MPa)及び引張り伸度(切断時伸び:%)を算出した。引張り応力及び引張り伸度の測定は、3枚の試験片を用いて、3回行い、それらの平均値を求めた。
実施例1〜8及び比較例1〜5の引張り応力及び引張り伸度についての測定結果(3回の測定の平均値)を、後記の表1及び表2に示す。
〔追従性(エアー抜け性)の評価方法〕
高分子シートを幅3cm、長さ5cmに切り取ったものを試験片とし、この試験片をガラス(株式会社藤原製作所製のパイレックス(登録商標)ガラス(ホウケイ酸ガラス))に貼り付けた。なお、実施例1〜8及び比較例1〜5で得た両面保護フィルム付き高分子シートから作製した試験片は、片面の保護フィルムを剥がして、保護フィルムを剥がした面をガラスに貼り付けた。
そして、上記試験片をガラスに貼り付けた時にガラスと試験片との間に生じる気泡の状態、及び、試験片を貼り付けた面を上に向けてガラスを持ち上げた後、試験片が下を向くようにガラスを反転させた時の試験片の状態を観察し、以下の評価基準により、追従性(エアー抜け性)を評価した。
<評価基準>
◎:試験片とガラスとの間の気泡量が、試験片の自重のみで、試験片とガラスの接触面積の20%以下となり、且つ、ガラスを反転させても試験片が落ちない。
○:試験片とガラスとの間の気泡量が、試験片の自重のみでは20%超となるが、試験片上で圧着ローラーを転がすことで、完全に抜け、且つ、ガラスを反転させても試験片が落ちない。
×:試験片とガラスとの間の気泡量が20%超で、試験片上で圧着ローラーを転がしても、試験片とガラスとの間の気泡が抜けない、または、ガラスを反転させると、試験片が落ちる。
〔リワーク性の評価方法〕
高分子シートの一方の面からPETフィルムを剥がし、その面を被着体(株式会社藤原製作所製のパイレックス(登録商標)ガラス(ホウケイ酸ガラス))に貼り付け、テクスチャーアナライザー(TA.XT.plus Texture Analayzer(Stable Micro Systems社製))にセットする。そして、JIS Z0237(粘着テープ・粘着シートの試験法)の測定条件に準じ、300mm/分の速度で90°方向に試験片を被着体から引きはがし、被着体への糊残りが存在するか否かを目視にて観察し、以下の評価基準に従って評価した。この評価より、前記高分子シート(自己吸着性高分子シート)が気泡混入などによる貼り直しが可能かどうかを判断することができる。
<評価基準>
○:引き剥がした際に、糊残りがまったく観察されない。
×:引き剥がした際に、糊残りが観察される。
〔固定性の評価方法〕
高分子シートの一方の面からPETフィルムを剥がし、その面をステンレス板(100mm×100mm、厚さ1.5mm)に貼り付けた後、高分子シートの他方の面のPETフィルムを剥がし、この剥がした面上に5mm角のガラスチップを載せたものを試験片とした。なお、この試験片においては、ガラスチップが載置されている面を表面といい、この表面と反対側の面を裏面というものとする。
そして、前記試験片を用いて、固定性の評価を実施した。すなわち、ガラスチップが載置されている表面が鉛直方向下向きとなるように前記試験片を裏返し、前記試験片の裏面に向けて15cmの高さから500gの鋼球(クローム球(SUJ−2)、直径50mm)を落下させて、前記試験片の裏面に落球衝撃を与えた時に、前記ガラスチップが落下するか否かを以下の評価基準に従って評価した。この評価より、前記高分子シート(自己吸着性高分子シート)が搬送時などにおいても被着体に固定され、仮固定材として機能するかどうかを判断することができる。
<評価基準>
○:ガラスチップが落下しない。
×:ガラスチップが落下する。
〔剥離性の評価方法〕
高分子シートの一方の面からPETフィルムを剥がし、その面をステンレス板(100mm×100mm、厚さ1.5mm)に貼り付けた後、高分子シートの他方の面のPETフィルムを剥がし、この剥がした面上に5mm角のガラスチップを載せたものを試験片とした。その後、ピンセット(幸和ピンセット工業株式会社製の工業用ピンセット、グレード:K−3GG 125m/m)を用いて、前記ガラスチップを垂直方向に持ち上げた時に、前記ガラスチップを破損させることなく、前記高分子シートから前記ガラスチップを剥離する際のガラスチップの剥がれやすさを、以下の評価基準に従って評価した。なお、この評価より、前記高分子シート(自己吸着性高分子シート)が、仮固定後の易剥離性に富むかどうかを判断することができる。
<評価基準>
○:容易に剥離できる。
×:剥離しにくい。
表1及び表2に、実施例1〜8及び比較例1〜5の高分子シートの製造に使用した配合液に含まれる各種成分の配合量(重量部)と、実施例1〜8及び比較例1〜2、4、及び5の高分子シートの測定及び評価結果(垂直剥離力の測定結果、90°剥離力の測定結果、動的粘弾性の測定結果、引張り応力及び引張り伸度の測定結果、衝撃吸収率の測定結果、並びに、追従性(エアー抜け性)の評価結果、リワーク性の評価結果、固定性の評価結果、及び剥離性の評価結果)とを示す。なお、比較例3の高分子シートの測定及び評価は、上記した通り、それらの測定及び評価に必要な規定の大きさ及び形状の試験片を作製することができなかったため、実施していない。また、表1及び2に示す多官能ウレタン(メタ)アクリレートの硬度は、JIS K6253−3に準拠し、試料を厚みが計12mm以上になるように重ね合わせて作製した試験片を用いて、タイプAのデュロメータで測定した硬度である。この硬度測定において、デュロメータの加圧面に加える重量は、1〜1.5kgとした。
Figure 0005891134
Figure 0005891134
表1及び表2に示す結果より、実施例1〜8に係る高分子シートは、比較例1〜5の高分子シートに比べて、粘着性がなく、リワーク性、固定性(自己吸着性)、及び剥離性の全てに優れていることが認められた。
具体的には、多官能ウレタン(メタ)アクリレートとして、硬度が10〜70の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、硬度が80〜100の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)とを含む配合液を用いて製造された実施例1〜8に係る高分子シートは、ホウケイ酸ガラス基材に対して、8〜30N(具体的には、10.5〜20.7N)の範囲内の垂直剥離力を示し、良好な自己吸着性を有することから、固定性及び剥離性に優れることが認められた。また、実施例1〜8に係る高分子シートのホウケイ酸ガラス基材に対する90°剥離力は、0.3N/20mm以下であり、実施例1〜8に係る高分子シートは、粘着性がなく、被着体から剥がして再使用することができるリワーク性に優れたものであることが認められた。
また、上記の通り粘着性がない一方で、自己吸着性及び剥離性に優れる実施例1〜8の高分子シートは、周波数1Hzの温度分散で測定した25℃における動的貯蔵弾性率G’が1.0×105〜2.0×106Pa(より具体的には、1.7×105〜1.4×106Pa)の範囲内で、動的損失弾性率G”が2.0×104〜5.0×105Pa(より具体的には、2.7×104〜4.2×105Pa)の範囲内で、損失正接tanδが0.10〜0.50(より具体的には、0.12〜0.50)の範囲内にある動的粘弾性を示すことが認められた。
また、実施例1〜8に係る高分子シートは、3〜15MPa(具体的には、3.8〜10.3MPa)の範囲内の引張り応力を示しており、靭性に優れ、伸ばした際に千切れし難く、優れた衝撃吸収性を備えていることが認められた。
また、実施例1〜8に係る高分子シートは、30%以上(具体的には、37〜257%)の引張り伸度を示しており、優れた柔軟性を有していることが認められた。
さらに、実施例1〜8に係る高分子シートは、優れた追従性(エアー抜け性)を有しており、これらの中でも、ポリオール系可塑剤を含む実施例4、5、及び8の高分子シートは、特に優れた追従性(エアー抜け性)を有していることが認められた。
一方、比較例1の高分子シートは、垂直剥離力が0.2Nと低く、自己吸着性を有しておらず、固定性に劣るものであることが認められた。また、比較例1の高分子シートは、実施例1〜8の高分子シートと比べて、動的貯蔵弾性率G’及び動的損失弾性率G”が高く、追従性(エアー抜け性)に劣るものであることが認められた。
また、多官能ウレタン(メタ)アクリレートとして、硬度が10〜70の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)のみを含む配合液を用いて製造された比較例2の高分子シートは、垂直剥離力が7.1Nと低く、自己吸着性に乏しく、固定性に乏しいものであることが認められた。また、比較例2の高分子シートは、引張り応力が2.9MPaと低く、靭性に劣るものであることが認められた。また、比較例2の高分子シートの動的損失弾性率G”及び損失正接tanδは、実施例1〜8の高分子シート動的損失弾性率G”及び 損失正接tanδよりも低いことが認められた。
また、多官能ウレタン(メタ)アクリレートとして、硬度が10〜70の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)を含まず、硬度が80〜100の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)と硬度が70超〜80未満の多官能ウレタン(メタ)アクリレートとを含む配合液を用いて製造された比較例4の高分子シートは、90°剥離力が0.49Nと高く、粘着性を有するものであり、被着体から剥がして再使用することができるリワーク性及び剥離性に乏しいものであることが認められた。また、比較例4の高分子シートの動的貯蔵弾性率G’及び動的損失弾性率G”は、実施例1〜8の高分子シートの動的貯蔵弾性率G’及び動的損失弾性率G”よりも高いことが認められた。
また、多官能ウレタン(メタ)アクリレートとして、硬度が10〜70の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)と硬度が70超〜80未満の多官能ウレタン(メタ)アクリレートを含み、硬度が80〜100の多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)を含まない配合液を用いて製造された比較例5の高分子シートは、垂直剥離力が7.5Nと低く、自己吸着性に乏しく、固定性に乏しいものであることが認められた。
本発明の自己吸着性高分子シートは、半導体等の電子部品やガラスチップなどを製造又は加工する工程において、各種部材を一時的に固定(仮止め)するための仮止め材:タッチパネルと液晶パネルとで構成されるタッチパネル一体型液晶表示装置等のような、複数のパネルで構成される光学装置において、複数のパネル同士を貼り合わせるための貼付材(この用途では、一般に、製造時または製造後の修正・補修時に貼り直しが行われる);微小な製品(例えば、微小な電子部品やガラスチップ等)を搬送する際に製品を固定するための仮止め材として利用することができる。

Claims (6)

  1. 単量体混合物の重合体を含んでなる自己吸着性高分子シートであって、
    前記単量体混合物は、
    1分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有し、単独で硬化させた際の硬度が10〜70である多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、
    1分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有し、単独で硬化させた際の硬度が80〜100である多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)とを少なくとも含み、
    当該自己吸着性高分子シートのホウケイ酸ガラス基材に対する90°剥離力が0.3N/20mm以下であり、
    当該自己吸着性高分子シートのホウケイ酸ガラス基材に対する垂直剥離力が8〜30Nである
    ことを特徴とする自己吸着性高分子シート。
  2. 請求項1に記載の自己吸着性高分子シートであって、
    前記単量体混合物中における多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)と多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)との重量比が95:5〜60:40であることを特徴とする自己吸着性高分子シート。
  3. 請求項1又は2に記載の自己吸着性高分子シートであって、
    ポリオール系可塑剤を含有することを特徴とする自己吸着性高分子シート。
  4. 請求項3に記載の自己吸着性高分子シートであって、
    前記ポリオール系可塑剤として、ポリエーテルポリオールを含有することを特徴とする自己吸着性高分子シート。
  5. 請求項3又は4に記載の自己吸着性高分子シートであって、
    前記ポリオール系可塑剤として、ポリエーテル付加(ポリ)グリセリンを含有することを特徴とする自己吸着性高分子シート。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の自己吸着性高分子シートであって、
    多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)の少なくとも一方が、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートであることを特徴とする自己吸着性高分子シート。
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