JP5885123B2 - 脱気用複合中空糸膜及び中空糸膜モジュール - Google Patents

脱気用複合中空糸膜及び中空糸膜モジュール Download PDF

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Description

本発明は、特に有機溶剤中の溶存ガスを脱気するための脱気膜に関するものであり、特には脱気用複合中空糸膜に関するものである。
半導体・液晶製造工程あるいはインクジェットプリンターの高精細化に伴い、供給された薬液中の気泡が原因で処理斑等の不都合が生じやすくなる傾向がある。具体的には半導体ウエハ上に積層される薄膜にフォトレジスト液を塗布するリソグラフィー工程において気泡が混入したままの状況でフォトレジスト液あるいは現像液を半導体ウエハ上にスピンコートすると処理斑によるパターン不良が生じるなどのトラブルが生じることがある。この対策として薬液圧送工程中に膜式脱気法などの工程を設け、溶解ガス量を低減する手法がとられている。
このような脱気用途に供される脱気膜としては、高い耐溶剤性や低溶出性が要求される。そのような要求を満たす材料として、ポリオレフィン類が挙げられる。
例えば、低密度ポリオレフィンであるエチレン−高級オレフィン共重合体、または、プロピレン−高級オレフィン共重合体を均質薄膜の形態で多孔質基材上に積層した複合膜に関する技術が特許文献1および特許文献2に開示されている。
また特許文献3には、中空糸膜外表面から深さ約1μmまでをポリ(4−メチルペンテン−1)の不均質構造中空糸膜に関する技術が開示されている。
低密度ポリオレフィンであるエチレン−高級オレフィン共重合体又はプロピレン−高級オレフィン共重合体の薄膜では、酸素透過係数が低く、実用上有効な溶存ガスの透過流量を得るためには0.3μm以下の極めて薄い膜とすることが望まれる。厚さが極めて薄い場合には、膜の機械的強度が低下し、ピンホールが発生することがある。
また、ポリ(4−メチルペンテン−1)の不均質構造中空糸膜では、物質としての酸素透過係数が低密度ポリエチレンの150%と高いが、酸化に弱いために多くの酸化防止剤を入れる必要があり、溶出などの問題がある。
他のポリオレフィンとしてはポリプロピレンが挙げられる。ポリプロピレンは耐熱性、剛性等が優れているが、物質としての酸素透過係数が低密度ポリエチレンの60%以下と低く、0.1μm以下の極めて薄い膜とする必要がある。このため、加工が困難になることに加え、膜にピンホールが発生し易い。
その他の改良として、特許文献4に記載されるように、ポリプロピレンと他のポリマーとの機械的な混練をしたポリマーアロイが有るが、均一に混ざりにくいだけでなく、混錬したポリマーの粒径が数十ミクロンと大きく、薄膜化時に分離層内で粒子が連なり、ポリマー間の境界にピンホールが発生しやすく、また、混ぜたポリマーの耐溶剤性の影響を受けやすくなっていた。
ポリプロピレン系樹脂により、得られるポリプロピレンフィルムの柔軟性(しなやかさ)、耐衝撃性等を向上させる検討も行われており、例えば、第一工程で結晶性ポリプロピレンを第二工程でプロピレン−エチレン共重合体エラストマーを製造する、いわゆるブロックタイプのリアクターTPOと称されるものは、ランダムコポリマータイプのエラストマーに比べて耐熱性と生産性に優れるという特徴を有し、また、機械的な混合により製造されるエラストマーに対して、生成物の品質が安定し製造コストが低下し、エラストマー組成を広く可変にできるなどの有利な特徴を有することから、経済性が高く、最近において非常に汎用されている。
しかし、その多くは、第1工程で製造される結晶性ポリプロピレンと、第2工程で製造されるプロピレン−エチレン共重合体エラストマーとが相分離し、柔軟性を高めようとするとプロピレン−エチレン共重合体エラストマーを増やす必要があり、しかも、チーグラー・ナッタ系触媒は活性点の種類が複数あるため、生成したプロピレン−エチレン共重合体の結晶性及び分子量分布が広く、低結晶かつ低分子量成分を多く生成させたことで、耐溶剤性に関わる低分子量成分の増大や添加剤などの滲出といった耐溶剤性の低下を引き起こす現象が強く見られるという欠点を内在していた。
特開平3−169303号公報 特開平5−185067号公報 特開平7−155568号公報
本発明の目的は、気体透過性能が良好で、ピンホールの発生が抑制され、耐溶剤性・溶出性に優れた脱気用複合中空糸膜を提供することである。
上記課題は、メタロセン系触媒を用いてそれぞれ重合された、(A1)エチレン単位含量が0.5〜6質量%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体、及び(A2)(A1)のエチレン単位含量よりも3〜20質量%多くのエチレン単位含量を有するプロピレン単位とエチレン単位とを含む共重合体を含み、成分(A2)からなる粒子が分散した構造の分離層を脱気用複合中空糸膜に使用することにより解決される。
すなわち、本発明は以下を提供する。
[1]気体透過機能を有する分離層を有する脱気用複合中空糸膜であって、
前記分離層が、メタロセン系触媒を用いて多段重合された、下記成分(A1)及び成分(A2)を含み、かつ成分(A2)は粒子状物として層内に存在する構造を有することを特徴とする脱気用複合中空糸膜:
(A1)(A1)共重合体質量に対し、エチレン単位含量が0.5〜6質量%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体、及び
(A2)(A2)共重合体質量に対し、(A1)のエチレン単位の含量よりもさらに3〜20質量%多くのエチレン単位含量を有するプロピレン単位とエチレン単位とを含む共重合体。
[2]前記成分(A2)からなる粒子が成分(A1)に分散していることを特徴とする[1]に記載の脱気用複合中空糸膜。
[3]成分(A1)と成分(A2)の合計質量に対する(A1)の割合が50〜95質量%の範囲にあり、成分(A2)の割合が50〜5質量%の範囲にあることを特徴とする[1]または[2]に記載の脱気用複合中空糸膜。
[4]前記分離層の50℃におけるn−ヘキサン抽出量が5質量%以下であることを特徴とする[1]〜[3]いずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
[5]分離層を構成する構造体の曲げ弾性率が100〜350MPaの範囲にあることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
[6]分離層を構成する構造体のDSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が110〜150℃の範囲にあることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
[7]分離層を構成する構造体のビカット軟化点が90℃以上であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
[8]分離層を構成する構造体の密度が0.86〜0.92g/cm3の範囲内にあることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
[9]分離層を構成する構造体のメルトフローレート(230℃、21.18N)が1.0〜10g/10分の範囲内にあることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
[10]成分(A2)からなる粒子の平均粒径が1μm以下である[1]〜[9]のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
[11][1]〜[10]のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜を具備する中空糸膜モジュール。
本発明により、気体透過性能が良好で、ピンホールの発生が抑制され、耐溶剤性・溶出性に優れた脱気用複合中空糸膜が提供される。
本発明は、気体透過機能を有する分離層を有する脱気用複合中空糸膜であって、
前記分離層が、メタロセン系触媒を用いて多段重合された、下記成分(A1)及び成分(A2)を含み、かつ成分(A2)は粒子状物として層内に存在する構造を有することを特徴とする脱気用複合中空糸膜:
(A1)(A1)共重合体質量に対し、エチレン単位の含量が0.5〜6質量%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体、及び
(A2)(A2)共重合体質量に対し、(A1)のエチレン単位の含量よりも3〜20質量%多くのエチレン単位含量を有するプロピレン単位とエチレン単位とを含む共重合体、
である。
本発明の脱気用複合中空糸膜の特徴の一つは、メタロセン系触媒によって多段重合された、エチレン単位を含む共重合体である成分(A1)及び成分(A2)を含み、かつ成分(A2)が粒子状物として層内に存在する気体透過機能を有する分離層を有することである。
また、更なる特徴は、分離層が前記成分(A2)からなる粒子が成分(A1)に分散している構造(海島構造)(分散構造体)をとることである。
本明細書において分散構造とは、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A1)をマトリックス(海)として、その中に、少なくとも成分(A2)からなるポリマーの粒子が分散している構造を意味する。本明細書において、分散とは粒子成分(A2)がプロピレン−エチレンランダム共重合体(A1)中で凝集することなく、粒子成分(A2)が独立して分散している状態を意味する。
分離層が三種類以上のポリマーからなる場合には、(A2)からなるポリマーの粒子に加えて、他の成分(A3)、(A4)・・・からなるポリマーの粒子が(A1)内に分散した構造を有していてもよい。
その場合も、多段重合を用い各粒子が凝集することなく独立して分散した状態であることが好ましい。
一般に非常に気体透過性が高く、耐溶剤性に優れかつ成型性に優れる材料はきわめて少ない。
本発明の脱気用複合中空糸膜においては、気体透過機能を有する分離層が、2種以上の成分によって形成された分散構造(海島構造)をとるために耐溶剤性及び気体透過性を両立することが可能である。分散構造をとることにより、各機能を分離することでそれらを両立することを可能としている。つまり、耐溶剤性については、海島構造の海成分にその主たる機能を持たせ、気体透過性能については海島構造の島成分にその主たる機能を持たせることで、実用上十分な気体透過性能を獲得することができる。そのような構造をとることで互いの単独材料では為し得ない特性の両立を図るものである。
分散構造を作るための手法としては、2軸押出機による機械式混錬法や、多段重合法による製法等がある。しかし、通常の2軸押出機等を用いた機械式混錬法では、本発明に好適な分散構造を有する樹脂を作成することは困難である。また、ブレンドした材料が成型時に界面付近で層分離を引き起こし、分離層にピンホールや微小孔を生じ、例えば酸素富化膜では酸素富化能力の低下、脱気膜ではその亀裂を経て対象液のリークを生じる。これに対し、多段重合法によればこのような現象を避け、分散構造を好適に作ることができる。
多段重合法によって本発明に好適な分散構造を形成できるものの具体例としては、プロピレン系樹脂組成物が挙げられる。例えば、プロピレン系樹脂組成物として、特開2001−172454号公報に開示される、第1段階のポリオレフィンの存在下で第2のオレフィンを重合する多段重合法によって製造することのできるプロピレン系共重合体組成物を挙げることができる。多段重合法とは、2段階以上の重合を行うことにより、複数の種類のポリマーを混在して連続して製造することができる重合法を意味する。
多段重合法により、例えばプロピレン系共重合体に対して第2成分(プロピレン系共重合体以外の成分)をプロピレン系共重合体と第2成分の合計質量に対し約80質量%以上95質量%以下程度含有させることが可能となる。
本発明における分離層に用いられる分散構造の重合体は、メタロセン系触媒を用いて、第1工程で、(A1)共重合体質量に対しエチレン単位含量が0.5〜6質量%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を成分(A1)と(A2)の合計質量に対し例えば30〜95質量%、第2工程で、(A2)共重合体質量に対し、第1工程で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)中のエチレン単位含量よりも3〜20質量%多くのエチレン単位を含むプロピレン単位とエチレン単位とを含む共重合体(A2)を、成分(A1)と(A2)の合計質量に対し例えば70〜5質量%、逐次重合することで得られる。成分(A1)と成分(A2)のブレンド状態にあり、双方が重合で結合しているものではない。
具体的には第1工程で製造される成分(A1)は、成分(A2)との相溶性を高めながら耐熱性を発現するために、融点が比較的高く、結晶性を有し、エチレン単位含量が0.5〜6質量%の範囲であり、より好ましくは1.5〜5質量%の範囲のプロピレン−エチレンランダム共重合体である。エチレン単位含量が6質量%を超えると融点が低くなりすぎ耐熱性を悪化させるため、エチレン単位含量は6質量%以下とされる。
成分(A1)がプロピレン単独重合体(エチレン単位含量が0%)の場合には、充分な柔軟性を発揮させるためには、成分(A2)の割合を極端に増加させる必要が生じ、n-ヘキサン抽出量の増加などの耐薬品性に顕著な悪化を招く。
一方、成分(A1)をプロピレン−エチレンランダム共重合体とすると、成分(A1)自体の融点は低下することで耐熱性は悪化するように見えるが、充分な柔軟性を発揮するために必要な成分(A2)の量を抑制できることで、ブロック共重合体全体としての柔軟性を保持しつつ、n-ヘキサン抽出量の抑制ができるため好ましい。これらの観点から、成分(A1)中のエチレン単位含量は0.5質量%以上であることが必要であり、好ましくは1.5質量%以上である。
分離層に用いる共重合体ブレンド(成分(A1)と成分(A2)の合計質量)中に占める成分(A1)の割合が多すぎると分離層の柔軟性、耐衝撃性、及び、透明性の改良効果を充分に発揮することができない。そこで成分(A1)の割合は95質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。
一方、成分(A1)の割合が少なくなりすぎると柔軟性が増加し気体透過性能が向上するが、耐溶剤性が低下するといった問題を生じるため、成分(A1)と成分(A2)の合計質量に対する成分(A1)の割合は30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。
第2工程で製造されるプロピレン単位とエチレン単位とを含む共重合体(A2)は、分離層の柔軟性と耐衝撃性、および、透明性を向上させるのに必要な成分である。ここで、成分(A2)は上記効果を充分発揮するために特定範囲のエチレン単位含量であることが必要である。すなわち、分離層において、成分(A1)に対し成分(A2)の結晶性は低い方が、柔軟性改良効果が大きく、気体透過性能は向上し、結晶性はプロピレン−エチレンランダム共重合体中のエチレン単位含量で制御されるため、成分(A2)中のエチレン単位含量E(A2)は、成分(A1)中のエチレン単位含量E(A1)よりも3質量%以上多くないとその効果を発揮できず、好ましくは6質量%以上、更に好ましくは8質量%以上20質量%以下の割合で、成分(A1)よりも多くのエチレン単位を含む。
ここで、成分(A1)と成分(A2)のエチレン単位含量の差をE(gap)(=E(A2)−E(A1))と定義すると、E(gap)は3質量%以上、好ましくは6質量%以上であり、更に好ましくは8質量%以上20質量%以下である。
一方、成分(A2)の結晶性を下げるためにエチレン単位含量を増加させ過ぎると、成分(A1)と成分(A2)のエチレン単位含量の差が大きくなり、マトリクスとドメインに分かれた相分離構造を取り、相溶性が低下する。これは、元来ポリプロピレンはポリエチレンとの相溶性が低く、プロピレン−エチレンランダム共重合体においても、エチレン単位含量が異なるものの相互の相溶性は、エチレン単位含量の違いが大きくなると低下するためである。
成分(A2)の割合が多すぎると、耐熱性の低下も顕著になるため、成分(A1)と成分(A2)の合計質量に対する成分(A2)の割合は70質量%以下に抑えることが好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。一方、成分(A2)の割合が少なくなりすぎると柔軟性と耐衝撃性の改良効果が得られないため、(A2)の割合は5質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましい。
上記成分(A2)は、プロピレンとエチレンとの共重合体であってもよく、炭素数4以上8以下のα−オレフィンの少なくとも一種とプロピレンとエチレンとの共重合体であってもよい。ここで用いることができる炭素数4〜8のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。
成分(A2)の重量平均分子量は50000以上150000以下が好ましい。重量平均分子量が50000以上であると、成分(A2)が中空糸膜の表面にブリードアウト(脱落)すること、および引張り破断点伸びが劣ることを優れて防止することができる。一方、150000以下であると、成分(A2)の流動性が低下して加工性が低下することを優れて防止できる。
本発明においては、多段重合法により製造された成分(A1)と(A2)により構成される分散構造体のメルトフローレート(MFR)(230℃、21.18N)は0.1〜10g/10分であることが好ましい。またその密度は、0.86g/cm3以上0.92g/cm3以下が好ましく、0.85g/cm3以上0.90g/cm3以下がより好ましい。
分離層に用いるポリマーには、成分(A1)および(A2)の他に、ガス透過性・耐溶剤性を損なわない範囲で、他のエチレン系樹脂やエチレン系エラストマーあるいはプロピレン系エラストマーなどを配合しても良い。また、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の酸化防止剤、中和剤、耐候剤、滑剤、核剤、帯電防止剤などの添加剤を配合しても良い。
気体透過性能を有する分離層を構成する構造体の示差走査熱量分析(DSC)による結晶融解ピーク温度(Tm)は、110〜150℃の範囲であることが好ましく、120℃以上であることが更に好ましい。
気体透過性能を有する分離層を構成する構造体の曲げ弾性率(本発明でいう「曲げ弾性率」とは、JIS K7171に従って得られたものをいう)は、100MPa以上350MPa以下であるものが好ましい。
分離層中の非晶性成分量は、室温でのキシレン可溶化量を測定することにより量ることが可能である。室温(23±2℃)でキシレンに可溶な成分の含有量は、分離層を形成するポリマー全体に対して10質量%以上、90質量%以下であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上、かつ90質量%以下である。23±2℃でキシレンに可溶な成分量が90質量%以下であると、曲げ弾性率が低下することや、粒子同士が接触して連なる箇所を生じることを優れて防止することができる。10質量%以上であれば、優れた気体透過性が得られ脱気膜としての優れた性能が発現される。
このような分散構造を有する分散構造重合体組成物の具体的例として、三菱化学(株)製のゼラス(商品名)、日本ポリプロ(株)製のWelnex、Basell(株)製のキャタロイ アドフレックス(Adflex)及びソフテル(Softel)(いずれも商品名)が挙げられる。
中でもn−ヘキサン(C6)抽出量を抑制できるという観点から、多段重合においてメタロセン触媒を用いた日本ポリプロ(株)製のWelnexがより好ましい。
本発明で使用される分散構造を有する分散構造重合体組成物は、ゲルパーミエーション(GPC)法により測定された分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜4の範囲であるものが好ましく、1.8以上3未満であるのがより好ましい。Mw/Mnが1.5未満のものは現在の重合技術では得難い。一方、Mw/Mnが4を超えると、低分子量の成分が増加することにより、耐溶剤性が低下するため好ましくない。
プロピレン−エチレンブロック共重合の分子量分布を調整する方法は、狭くする場合は、後述のメタロセン系触媒を用いたり、プロピレン−エチレンブロック共重合を重合後、有機過酸化物を使用し溶融混練したりすることにより調整することができる。広くする場合は、2種以上のメタロセン触媒成分を併用させた触媒系や2種以上のメタロセン錯体を併用した触媒系を用いて重合することにより調整することができる。
本発明の分散構造を有する重合体の製造課程において使用されるメタロセン系触媒とは、二塩化ジルコノセンとメチルアルミノキサンを組み合わせたいわゆるメタロセン触媒を含む、エチレンあるいはプロピレンに対して高い重合活性を示し、さらに活性点が均一(シングルサイト)であるという特徴を持つ。メタロセン触媒を使用すると、他の触媒(チグラーナッター系触媒等)を使用した場合と比較して、基本的には同種のポリオレフィン系樹脂であるにも関わらず分子量分布が狭く、低分子量成分や低結晶成分が少なく、かつ低融点のポリオレフィン系樹脂が得られる。
メタロセン触媒の使用量、使用方法、条件等は、本技術分野において良く知られており、当業者であれば適宜選択して用いることができる。
本発明の分離層を構成する構造体のビカット軟化点100℃以上であることが好ましい。
ビカット軟化点が100℃以上であるポリマーは、多孔質支持層を形成するPPの軟化点145〜155℃との差が小さくなるので好ましい。多孔質化に必要な成型温度領域である120〜130℃との差が30℃以上、つまり軟化点が100℃以下になると、多孔質化に適する温度であっても、非多孔質分離層に用いるポリマーの軟化点を大きく上回るために延伸による欠陥を生じやすく好ましくない。
本発明の脱気用複合中空糸膜は、上述した分離層、好ましくは非多孔質の分離層、を支持する多孔質支持体層を有することができる。耐溶剤性が有り多孔質支持体層を構成することが可能な材料として結晶性ポリオレフィンを用いることができる。結晶性ポリオレフィンとしては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)等が挙げられる。ただし、所望の開孔が得られる材料であればこれらに限定されない。その中でも分離層との接着性および成形性の観点から、多孔質支持体層を構成する材料としては、ポリプロピレンが好ましい。
(脱気用複合中空糸膜の製法)
本発明の複合中空糸膜は、多層複合紡糸工程と延伸多孔質化工程により得ることができる。
中空糸膜を構成する複合膜の形態としては、気体透過性能を有する分離層と多孔質支持体層との二層複合膜であってもよいし、気体透過性能を有する分離層が多孔質支持体層で挟まれた三層複合膜であってもよい。特に三層以上の複合膜からなることが好ましい。
三層以上の複合膜における気体透過能を有する分離層の位置(中空糸膜内側に最も近い端部)は、複合膜の厚さに対し中空糸膜の内側から1/10〜1/4の範囲内に配置することが好ましい。モジュールに加工した際には、膜の外周方向からポッティング樹脂が含浸しアンカー効果を生じる。分離層は非多孔質構造なのでポッティング樹脂がそれより内側に含浸していくことはなく、ポッティング樹脂に包埋されている領域が多いほどポッティング部近傍における圧力変動に伴う屈曲などによる膜の破損を防止することができる。また、分離層の内側の支持層の厚みを膜厚の1/10以下の領域にすると、支持層ポリマーを多孔化するための延伸工程において分離層ポリマーが溶着している内層の支持層ポリマーに引きずられて欠陥を生じる為に好ましくない。また、1/4以上の領域にするとポッティング樹脂の包埋領域が少なくなり屈曲などの影響を受けて破損するため好ましくない。
本発明の脱気用複合中空糸膜の気体透過性能を有する分離層の膜厚は0.5〜10μmの範囲が好ましい。この膜厚は、使用時の耐圧性の観点から0.5μm以上が好ましく、気体透過性の観点から10μm以下が好ましい。
さらに成分(A2)からなる粒子の平均粒径は、気体透過性能を有する分離層内において粒子同士が連なることによる耐溶剤性の低下や強度不均一化、さらには抗張力低下を優れて防止する観点から1μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。またブリードアウト(脱落)を防止する観点から0.01μm以上で有ることが好ましい。
例えば三層複合膜を次のように製造することができる。
1)紡糸工程:
まず、同心円状複合構造ノズル口金の最外層ノズル部および最内周ノズル部に支持体層用溶融ポリマーを供給し、分離層ノズル部に気体透過性能を有する分離層用溶融ポリマーを供給し、同心円状口金から溶融ポリマーを押出しドラフトのかかった状態で冷却固化させて未延伸中空繊維を得る。
支持層ポリマーの結晶成長を進めることを目的として熱処理を行うことができる。この熱処理の温度は、支持層ポリマーのTg(ガラス転移温度)以上Tm(結晶融解ピーク温度)以下であればよく、方法としては延伸工程でのインラインで実施あるいはバッチ処理で実施してもよい。
2)延伸工程:
次に未延伸中空繊維を延伸し、未延伸中空繊維の内、外層部分を多孔質化する。延伸倍率は用いるポリマーにより異なるが、通常、未延伸繊維の2〜5倍とすることが好ましい。多孔質支持体層の空孔率、従って気体透過性の観点から、延伸倍率を2倍以上とすることが好ましい。脱気用複合中空糸膜の破断伸度の観点から延伸倍率を5倍以下とすることが好ましい。
多数本の中空糸膜によるモジュール化を行う場合に、中空糸膜間の隙間が小さくなって、ポッティング用樹脂が浸入しにくくなることを優れて防止する観点から、中空糸膜の外径は、100μm以上が好ましい。またモジュールにしたときのモジュール全体のサイズが大きくなり、ポッティング加工部の容積も大きくなるために、ポッティング加工時の収縮によって寸法精度が低下することを優れて防止する観点から、中空糸膜の外径は2000μm以下が好ましい。
多孔質支持体層の空孔率及び細孔の大きさは、特に限定はないが、少なくとも分離膜層に分散した成分(A2)の粒子径よりも大きいことが好ましく、具体的には空孔率は30体積%以上80体積%以下が好ましく、細孔の大きさは0.01μm以上0.2μm以下であることが好ましい。
(中空糸膜モジュール)
本発明の中空糸膜モジュールは、前述した本複合中空糸膜を具備するモジュールである。本発明の中空糸膜モジュールは、本複合中空糸膜を用いる以外は、公知の中空糸膜モジュールと同様の形態が用いられる。例えば、本複合中空糸膜を数百本束ねて筒状のハウジングに挿入し、それら本複合中空糸膜を封止材(ポッティング用樹脂)で封止した公知の形態の中空糸膜モジュールが挙げられる。
またポッティング加工部容積に対する中空糸膜の充填率が20〜60%程度であることが好ましい。
脱気処理の際に、中空糸膜モジュールを複数本直列につないで対象薬液を所定の脱気水準に脱気することもできるし、また複数本並列につないで多量の薬液の脱気を行うこともできる。
本発明の脱気膜を用いた脱気方法としては、中空糸膜の内側(一次側)に溶存ガスを含む原溶液を供給し、中空糸膜の外側(二次側)を減圧とし、溶存ガスの分圧差に比例した駆動力により溶存ガスを膜透過させ、中空糸膜の外側に溶存ガスを排出することができる。また、この逆に中空糸膜の外側を一次側とし、中空糸膜の内側を二次側とすることもできる。
以下、実施例を用いてさらに具体的に本発明を説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
(n−ヘキサン抽出量(C6)の測定)
試料を、150℃の熱プレス機により厚み100μのフィルムに成形し、該シートから約1gの試料を切り出し、フラスコにとった。フラスコ中の試料にn−ヘキサン400mlを加え、あらかじめ50℃±0.2℃に調整したウォーターバスにフラスコを入れて加熱を行った。フラスコ中のn−ヘキサンの温度が50℃に達した後、マグネット式スターラーを使用して2時間撹拌を行った。攪拌後、n−ヘキサンに不溶な試料を濾過によって取り除いた。濾別回収した濾液部は、n−ヘキサンを除去し、さらに真空乾燥機で2時間乾燥して乾固物を得た。フラスコにとった試料の重量、および、濾液部から得られた乾固物の重量を用い、下記式で算出した値をヘキサン抽出量とした。
C=100×{乾固物の重量(g)/試料の重量(g)}
(重量平均分子量と数平均分子量の比率(Mw/Mn))
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、以下の条件で測定した。
GPC測定装置:WATERS 150−GPC(WATERS社製)
温度:140℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン
濃度:0.05%(インジェクション量:500マイクロリットル)
カラム:Shodex GPC AT−807/S 1本、Tosoh TSK−GEL GMH6−HT 2本
溶解条件:160℃、2.5時間
キャリブレーションカーブ:ポリスチレンの標準試料を測定し、換算定数を使用し、3次で計算。
(Tmの測定)
DSC(セイコー電子工業製)を用い、約5mgの試料を200℃で5分間融解後、40℃まで10℃/minの速度で降温して結晶化した後に、更に10℃/minで200℃まで昇温して融解した時の融解ピーク温度及び融解終了温度で評価した。
(メルトフローレート(MFR))
ポリオレフィンのMFRについては、JIS K7210のコードD(測定温度:190℃、荷重:2.16kg)に準拠してMFRD(単位:g/10分)を測定した。
(密度)
ポリオレフィンの密度(単位:kg/m3)は、JIS K7112に準拠して測定した。
(空孔率)
得られたポリオレフィン複合中空糸膜の空孔率(単位:体積%)は、水銀ポロシメーター221型(カルロエルバ社製)を用いて測定した。
(気体透過性)
得られたポリオレフィン複合中空糸膜をU字型に束ねて中空糸膜の端部をウレタン樹脂で固め、中空糸膜モジュールを作製した。複合中空糸膜の外側から酸素又は窒素を供給し、中空糸膜の内側(中空部分側)を常圧として、25℃における酸素透過速度(QO2)(単位:m/時間・MPa)及び窒素透過速度(QN2)(単位:m/時間・MPa)を測定した。なお、膜面積は、中空糸膜の内径を基に算出した。そして、測定した酸素透過速度(QO2)及び窒素透過速度(QN2)から、分離係数(QO2/QN2)を求めた。
〔実施例1〕
三層複合ノズルの最内層及び最外層(いずれも多孔質支持体層)に供給するポリマーとして、ホモポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、商品名:FY6H 以下、ポリプロピレンA)を用いた。またこのノズルの均質層(分離層)に供給するポリマー素材としては、粒径が約0.1μm〜0.2μmのエチレン−プロピレンランダム共重合体からなる粒子を80質量%含み、この粒子が均一にポリプロピレン中に分散した海島構造を有し多段重合により作られた分散構造重合体組成物(I)(日本ポリプロl社製、商品名:welnex RFX4V MFR6.0g/10min@230℃、曲げ弾性率220MPa、製造時における第1工程の重合課程のエチレン単位含量が1.8質量%、第2工程の重合課程のエチレン単位含量が11質量%、第1工程と第2工程の重合比が0.56/0.44、メタロセン触媒を使用して製造されたもの、以下ポリプロピレンB)を用いた。
最外層ノズル部、中間層ノズル部及び最内層ノズル部が、同心円状に配された複合ノズル口金を用いた。最外層ノズル部及び最内層ノズル部に溶融状態のポリプロピレンAを供給し、中間層ノズル部に溶融状態のポリプロピレンBを供給し、最外層からポリプロピレンA/ポリプロピレンB/ポリプロピレンAを12/1/2の比率になるように吐出した。
これらを用い、吐出口温度220℃、巻取り速度180m/minで溶融紡糸した。
得られた中空糸を140℃で10分間アニール処理をし、連続して常温(23±2℃)下で総延伸倍率が160%の延伸を行い、引き続き125℃に加熱された加熱炉中で総延伸倍率が340%になるまで熱延伸を行い、更に130℃に加熱された加熱炉中で総延伸倍率が300%になるように緩和熱セットを行った。
このようにして得られた複合中空糸膜の膜性能を評価した結果、中空糸膜全体の空孔率は42%、内径170μm、膜総厚30μm、分離層の膜厚1μm 膜最外層から支持層24μm/分離層1μm/支持層4μmの配置となっていた(分離層の位置:中空糸膜の内側から中空糸膜厚方向に4/30)。
走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察したところ、内・外表面(多孔質支持体層)には全面に孔径約0.01μmの細孔が密に存在し、分離層部分には、細孔がみられなかった(非多孔質)。
三層複合中空糸膜の空気透過速度を測定したところ、室温(20℃)で酸素透過速度(QO2)は0.07m/hr・Mpa、窒素透過速度(QN2)は0.019m/hr・Mpaであり、分離係数(QO2/QN2)は3.7であった。
〔実施例2〕
三層複合ノズルの最内層及び最外層(いずれも多孔質支持体層)にホモポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、商品名:FY6H)を用いた。分離層に供給するポリマー素材としては、直径約0.1μm〜0.2μmのエチレン−プロピレン共重合体からなる粒子を50質量%含み、この粒子が均一にポリプロピレン中に分散した海島構造を有する2段重合プロピレン系樹脂組成物(日本ポリプロ社製、商品名:welnex RFG4VA(MFR6.0g/10min@230℃、曲げ弾性率280MPa、製造時における第1工程の重合課程のエチレン単位含量が1.8質量%、第2工程の重合課程のエチレン単位含量が10質量%、第1工程と第2工程の重合比が0.56/0.44、メタロセン触媒を使用して製造されたもの)を用いた。最外層ノズル部、中間層ノズル部及び最内層ノズル部が、同心円状に配された複合ノズル口金を用い実施例1と同様に、吐出口温度220℃、巻取り速度180m/minで溶融紡糸した。
得られた中空糸を140℃で10分間アニール処理をし、連続して常温(20℃)下で総延伸倍率が120%の延伸を行い、引き続き120℃に加熱された加熱炉中で総延伸倍率が340%になるまで熱延伸を行い、更に130℃に加熱された加熱炉中で総延伸倍率が300%になるように緩和熱セットを行った。
このようにして得られた複合中空糸膜の膜性能を評価した結果、中空糸膜全体の空孔率は42%、内径170μm、膜総厚30μm、分離層の膜厚1μm 膜最外層から支持層24μm/分離層1μm/支持層4μmの配置となっていた(分離層の位置:中空糸膜の内側から中空糸膜厚方向に4/30)であった。
走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察したところ、内・外表面(多孔質支持体層)には全面に孔径約0.01μmの細孔が密に存在し、分離層部分には、細孔がみられなかった。
複合中間糸膜の空気透過速度を測定したところ、室温(20℃)で酸素透過速度(QO2)は0.05m/hr・Mpa、窒素透過速度(QN2)は0.013m/hr・Mpaであり、分離係数(QO2/QN2)は3.8であった。
〔比較例〕
三層複合ノズルの最内層及び最外層(いずれも多孔質支持体層)にホモポリプロピレン(日本ポリプロ(株)社製、商品名:FY6H)を用いた。分離層に供給するポリマー素材としては、直径約0.1μm〜0.2μmのエチレン−プロピレン共重合体からなる粒子を50質量%含み、この粒子が均一にポリプロピレン中に分散した海島構造を有するチーグラーナッター系触媒により2段重合したプロピレン系樹脂組成物(liondelbasell社製、商品名:Hifax CA138A)を用いた。これらを用い、吐出口温度220℃、巻取り速度180m/minで実施例1と同様に溶融紡糸した。
得られた中空糸を140℃で10分間アニール処理をし、連続して23±2℃下で総延伸倍率が120%の延伸を行い、引き続き120℃に加熱された加熱炉中で総延伸倍率が340%になるまで熱延伸を行い、更に120℃に加熱された加熱炉中で総延伸倍率が300%になるように緩和熱セットを行った。
このようにして得られた複合中空糸膜の膜性能を評価した結果、中空糸膜全体の空孔率は41%、内径170μm、膜総厚30μm、分離層膜厚1μmであった。
走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察したところ、内・外表面(多孔質支持体層)には全面に孔径約0.01μmの細孔が密に存在し、分離層部分には、細孔がみられなかった。複合中間糸膜の空気透過速度を測定したところ、室温(20℃)で酸素透過速度(QO2)は0.140m/hr・Mpa、窒素透過速度(QN2)は0.037m/hr・Mpaであり、分離係数(QO2/QN2)は3.75であった。
四酸化ルテニウムによる染色をし、非多孔質分離層部分をトンネル型電子顕微鏡(TEM)で見ると四酸化ルテニウムに染色された直径1〜5μmのポリエチレン粒子が部分的に連なっていることが観察された。ヘキサン抽出量が高いというように耐溶剤性が低く、ピンホールの発生頻度が高く、また、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を通液して一晩(overnight)置くと薬液の侵出が確認され、リークが見られた。
表1 分離層ポリマーの特性
Figure 0005885123
表2 気体透過複合膜性能
Figure 0005885123
本発明の脱気用複合中空糸膜は、例えば、半導体製造におけるリソグラフィーに用いるフォトレジスト液や紫外線硬化型インク・溶剤インクの溶存ガス量を低減するために好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. 気体透過機能を有する分離層を有する脱気用複合中空糸膜であって、
    前記分離層が、メタロセン系触媒を用いて多段重合された、下記成分(A1)及び成分(A2)を含み、かつ成分(A2)は粒子状物として層内に存在する構造を有することを特徴とする脱気用複合中空糸膜:
    (A1)(A1)共重合体質量に対し、エチレン単位の含量が0.5〜6質量%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体、
    (A2)(A2)共重合体質量に対し、(A1)のエチレン単位の含量よりもさらに3〜20質量%多くのエチレン単位の含量を有するプロピレン単位とエチレン単位とを含む共重合体。
  2. 前記成分(A2)からなる粒子が成分(A1)に分散していることを特徴とする請求項1に記載の脱気用複合中空糸膜。
  3. 成分(A1)と成分(A2)の合計質量に対する成分(A1)の割合が50〜95質量%の範囲にあり、成分(A2)の割合が50〜5質量%の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の脱気用複合中空糸膜。
  4. 前記分離層の50℃におけるn−ヘキサン抽出量が5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
  5. 分離層を構成する構造体の曲げ弾性率が100〜350MPaの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
  6. 分離層を構成する構造体のDSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が110〜150℃の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
  7. 分離層を構成する構造体のビカット軟化点が90℃以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
  8. 分離層を構成する構造体の密度が0.86〜0.92g/cm3の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
  9. 分離層を構成する構造体のメルトフローレート(230℃、21.18N)が1.0〜10g/10分の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
  10. 成分(A2)からなる粒子の平均粒径が1μm以下である請求項1〜9のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜を具備する中空糸膜モジュール。
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