以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
<実施形態1>
<装置構成の概略説明>
まず、本発明の光方式の座標入力装置の概略構成について、図1を用いて説明する。
図1において、2001L、2001Rは投光部(発光部)及び受光部(検出部)を有するセンサユニットである。この投光部は、本発明の特徴とする複数の投光部により形成されている。詳しくは後述する。実施形態1の場合、水平線はX軸を、垂直線はY軸を、OはX軸とY軸との交点座標(0,0)を、それぞれ示す。そして、センサユニット2001L及び2001Rは、図示の如く座標入力面であるところの座標入力有効領域300のX軸に平行に、かつY軸に対称な位置に、所定距離離れて配置されている。換言すれば、センサユニット2001L及び2001Rは、座標入力有効領域300の一辺の両端近傍(角部)に設けられている。
また、センサユニット2001L及び2001Rは、制御・演算ユニット20に接続され、制御信号を制御・演算ユニット20から受信すると共に、検出した信号を制御・演算ユニット20に送信する。制御・演算ユニット20は、座標入力装置における各種処理を制御する。座標入力有効領域300、この種の光学式の座標入力装置が指示具(指や入力ペン等)により入力指示した位置の検出を行える領域である。
400は再帰反射部であり、座標入力有効領域300の外側3辺を囲むような形(コ字形状)で配置されている。
400は入射光を到来方向に再帰的に反射する再帰反射面を有する再帰反射部である。再帰反射部400は、座標入力有効領域300の外側3辺(周辺部)に配置され、左右それぞれのセンサユニット2001L及び2001Rからθ°(略90°)範囲に投光された光を、センサユニット2001L及び2001Rに向けて再帰反射する。再帰反射部400により再帰反射された光は、センサユニット2001L及び2001Rによって1次元的に検出され、その光量分布を示す信号が制御・演算ユニット20に送信される。
このように構成することで、座標入力有効領域300に指示具による入力指示がなされると、センサユニット2001L及び2001Rの投光部から投光された光が指示具によって遮られる(遮光部分)。この場合、センサユニット2001L及び2001Rの受光部では、指示具によって遮られた部位(遮光部分)のみの光(再帰反射による反射光)を検出することができなくなり、その結果、どの方向からの光が検出できなかったかを識別することが可能となる。
つまり、制御・演算ユニット20は、センサユニット2001L及び2001Rが検出する光量変化から、指示具により入力指示された部分の遮光部分を検出する。その遮光部分の情報から遮光位置(指示位置)の方向(角度)をそれぞれ計算する。この遮光部分の検出・演算方法が本発明の主たる特徴とするところであり、これに関しては後に詳述する。更に、導出された方向(角度)及びセンサユニット2001L及び2001R相互間の距離情報等から遮光位置(座標)を幾何学的に計算する。それと共に、表示部(不図示)に接続されているPC(パーソナルコンピュータ)等の情報処理装置に、USB等のインタフェースを経由して座標値を出力する。
尚、再帰反射部400を構成する再帰反射部材としては、球体のビーズを反射面上に並べて配置することで再帰反射特性を有するビーズタイプの再帰反射シートが用いられる。若しくは光学反射面であるコーナキューブを機械加工等により規則正しく配列することで再帰反射現象を起こす再帰反射シート等が用いられる。
また、図1の座標入力有効領域300を構成する座標入力面の材質は、座標入力装置と組み合わされる表示装置の表示面、或いは、更に、その前面板である、透明のガラス板、あるいは、透明樹脂板で構成される。例えば、表示装置としては、液晶、或いは、プラズマ、あるいは、リアプロジェクション等の表示装置、あるいは、座標入力面がプロジェクターのスクリーン構成とした構成としてもよい。この表示装置との一体的な構成によりインタラクティブな入力装置として利用可能となる。
<センサユニット2001L及び2001Rの詳細説明>
図2は、センサユニット2001L及び2001Rの分解斜視図であり、センサユニット2001L及び2001R中の投光部及び受光部の構成例を示している。
図2において、30は投光部であり、投光部30は、赤外光を発光する赤外LED(発光ダイオード)31及び投光レンズ32より構成される単位投光部3組で構成されている。赤外LED31で発光した光は、投光レンズ32によって、座標入力有効領域300の面に略平行に投光される。同時に、座標入力有効領域300の面内方向に扇状に光を投光される。
図3(A)は、センサユニット2001L及び2001Rの組み立て状態における正面図で、同図における矢印は、単位投光部3組で構成される投光部30による光が単位投光部毎に座標入力有効領域300の面内方向に扇状に分布している様子を示している。また、図3(B)は、図3(A)を側面から見た図であり、同様に座標入力有効領域300の面に略平行に、上下方向に制限された光束として投光され、主に再帰反射部400に対して光が投光されている様子を示している。
再び図2に戻って説明すると、40は受光部であり、受光部40は、一次元のラインCCD41、集光光学系としての集光レンズ42、入射光の入射方向を概略制限する絞り43、可視光等の余分な光の入射を防止する赤外フィルタ44から構成される。そして、投光部30で投光された光は、再帰反射部400によって再帰反射され、赤外フィルタ44、絞り43を抜けて集光レンズ42によって、ラインCCD41内の検出素子群の面上に集光される。
また、図2において、51は下筐体、52は上筐体である。絞り43、上筐体52及び下筐体51は、再帰反射部400の再帰反射光のみを通過させるように、主に高さ方向(座標入力有効領域300の面よりの高さ方向)の視野を制限している。そして、座標入力有効領域300の面内方向の視野は、大まかに制限する構成となっている。
尚、実施形態1においては、下筐体51と絞り43とは、互いに一体に成型されているが、これらを別部材で構成しても良いことは言うまでもない。
ここで、センサユニット2001L及び2001R全体構成の中での投光部30の配置に関して説明する。投光部30が単位投光部3組で構成されていることは前述の通りである。その単位投光部3組の内、中央の単位投光部(赤外LED31−1と投光レンズ32−1)は、受光部40に対して、座標入力有効領域300に対して垂直方向に所定距離離れている。また、座標入力有効領域300に対して平面(水平)方向の位置関係としては、単位投光部(赤外LED31−1と投光レンズ32−1)の投光位置と受光部40の光学的受光中心(光軸)の位置(絞り43の中心位置)とが一致した位置に近接配置されている。更に、単位投光部3組の内、両側の単位投光部(赤外LED31−2と投光レンズ32−2)と単位投光部(赤外LED31−3と投光レンズ32−3)は、中央の単位投光部(赤外LED31−1と投光レンズ32−1)の両側面に配置される。加えて、両側の単位投光部(赤外LED31−2と投光レンズ32−2)と単位投光部(赤外LED31−3と投光レンズ32−3)は、受光部40の光軸に対して線対称となる位置に配置される。
図3の単位投光部3組それぞれからの光線は、図に示すように、お互いにケラレが発生することなく、座標入力有効領域300に対して平面方向には各々略90°の範囲に投光されている。
図2及び図3では、投光部30が、受光部40に対して、座標入力有効領域300に対して垂直方向に所定距離離れた構成を示している。しかしながら、この構成に限定されない。例えば、投光部30が、受光部40に対して、座標入力有効領域300に対して近づく方向に垂直方向に所定距離離れた構成としてもよい。
図4は、センサユニット2001L及び2001Rの投光部30による光が再帰反射部400により再帰反射して、受光部40のラインCCD41で検出されるまでの光路を説明するための図である。同図において図2(A)及び図3と同一部分には、同一符号が付してある。
図4(A)は座標入力有効領域300の面に対して垂直方向から見た正面図、図4(B)はその側面図である。
図4(A)において、前述した略90°方向に投光された投光部30の光は、光透過部材を介して再帰反射部400によって再帰反射される。そして、この再帰反射光は、赤外フィルタ44、絞り43を抜けて集光レンズ42に入射することになるが、その再帰反射光は、集光レンズ42に対する入射角に応じてラインCCD41の画素45上に結像する(図4(B)参照)。従って、ラインCCD41の出力信号は、再帰反射光の入射角に応じた光量分布を出力することになるので、ラインCCD41の画素番号が角度情報を示すことになる。
また、実施形態1の場合、投光部30と検出部である受光部40は、所定距離L(図3(B)参照)離して近傍に互いに重ねて配置されている。従って、その所定距離Lは、投光部30から再帰反射部400までの距離に比べて十分に小さな値であり、所定距離Lを有していても十分な再帰反射光を検出部である受光部40で検知することが可能な構成となっている。
図5は実施形態1に係る座標入力装置における受光光学系(受光部40)で観測されるラインCCD41の画素番号Nと導出すべき角度θとの関係を示す図である。同図において、縦軸は導出すべき角度θを、横軸はラインCCD41の画素番号を、それぞれ示している。
ここでは、ラインCCD41の法線方向と受光光学系の対称軸βL及びβRとを互いに一致させ、その方向を角度0°と定義する。この時、測定角度範囲が小さければ、ラインCCD41の画素番号Nと測定角度θとの関係が、例えば、良好な線形性を有する集光レンズ42を設計、製造することは容易である。しかし、測定角度範囲が大きくなると、集光レンズ42の端部で発生する光学的歪を除去することが困難となり、測定角度に大きな誤差が発生するようになる。
一方、実施形態1に係る座標入力装置は、表示装置、或いは、フロントプロジェクタ用スクリーンと重ねて配置することによって、指示具による筆跡を表示装置に表示させる。これにより、恰も紙と鉛筆の様な使い勝手を実現できるものである。
表示装置の動向について述べれば、表示領域の縦横比(アスペクト比)は4:3のものが主流であったが、フルHD画像等に見られるように16:9のものが普及しつつある。つまり、座標入力装置の座標入力有効領域300もそれに対応すべく横長の仕様となる。 <制御・演算ユニット20の説明>
制御・演算ユニット20とセンサユニット2001L及び2001Rの間では、ラインCCD41用のCCD制御信号、CCD用クロック信号、ラインCCD41の出力信号及び赤外LED31の駆動信号が送受信されている。
図6は、制御・演算ユニット20の構成を示すブロック図である。
同図において、2001L及び2001Rはセンサユニット、81L及び81RはA/Dコンバータ、82はメモリ、83はワンチップマイコン等で構成されるCPU(中央演算処理装置)である。更に、84L及び84RはLED駆動回路、85はCPU制御用の動作クロック発生回路、86はCCD制御用動作クロック発生回路(CLK)、87はシリアルインタフェースである。
図6において、CCD制御信号は、CPU83から出力され、ラインCCD41のシャッタタイミングやデータの出力制御等を行っている。ラインCCD41用のクロックは、CLK86からセンサユニット2001L及び2001Rに送信されると共に、ラインCCD41との同期をとって各種制御を行うために、CPU83にも入力されている。
LED駆動信号は、CPU83からLED駆動回路84L及び84Rを経て、センサユニット2001L及び2001R中の赤外LED31−1〜31−3に供給されている。
センサユニット2001L及び2001R中の検出部であるラインCCD41からの検出信号は、制御・演算ユニット20中のA/Dコンバータ81L及び81Rに入力され、CPU83からの制御によってデジタル値に変換される。この変換されたデジタル値は、必要に応じてメモリ82に記憶され、後述する方法で角度計算、さらには座標値が計算され、その結果を、外部PC(パーソナルコンピュータ)等にシリアルインタフェース87を介して出力される。
<光量分布検出の説明>
図7は実施形態1に係る制御信号のタイミングチャートであり、同図において、91、92、93がラインCCD41制御用の制御信号であり、Sh信号91の間隔でラインCCD41のシャッタ解放時間が決定される。ICGL信号92及ICGR信号93はそれぞれセンサユニット2001L及び2001Rへのゲート信号であり、ラインCCD41内部の光電変換部の電荷を読出部へ転送する信号である。
LEDL信号94及びLEDR信号95はそれぞれセンサユニット2001L及び2001Rの赤外LED31の駆動信号である。そして、Sh信号91の最初の周期で一方の赤外LED31−1〜31−3(この場合は、センサユニット2001L中の赤外LED31−2)を点灯する。そのために、LEDL信号94がLED駆動回路(この場合は、LED駆動回路84L)を経て赤外LED31に供給される。
次の周期で、他方の赤外LED31−1〜31−3(この場合は、センサユニット2001R中の赤外LED31−2)を点灯する。そのために、LEDR信号95がLED駆動回路(この場合は、LED駆動回路84R)を経て赤外LED31に供給される。
双方の赤外LED31−1及び31−2の駆動が終了した後に、ラインCCD41の信号がセンサユニット2001L及び2001Rから読み出される。
読み出される信号は、例えば、指示具による入力がない場合、つまり、遮光部分が無い場合には、それぞれのセンサユニット2001L及び2001Rからの出力として、図8(A)のような光量分布が得られる。
図8は、ラインCCD41の出力レベル[V]とCCD画素番号[N]との関係を示す図である。同図において、縦軸はラインCCD41の出力レベル[V]を、横軸はCCD画素番号[N]を、それぞれ示している。
もちろん、このような光量分布がどのシステムでも必ず得られるわけではない。つまり、再帰反射部400の特性(再帰反射部400の入射角による再帰反射特性)や赤外LED31を含む投光部30の特性、また、経時変化(再帰反射部400の反射面の汚れ等)によって、この光量分布は変化する。更に、この光量分布と再帰反射部の構成との関係に関しては、前述の通りである。
図8(A)において、レベルAが最大光量を検出した時のレベルであり、レベルBが最低光量を検出した時のレベルであるとする。従って、反射光のない状態では、得られる光量レベルはレベルB付近になり、反射光量が増えるほどレベルAに近づくことになる。この様に、ラインCCD41から出力される検出信号は、逐次、対応するA/Dコンバータ81L及び81RによりA/D変換された後、CPU83にデジタルデータとして取り込まれる。実際の光量分布は、投光部30の投光分布、受光部40の受光分布、再帰反射部400の反射特性、センサユニット2001L及び2001Rから再帰反射部400までの距離等の各要因を総合したレベルの分布を示すことになる。しかし、ここでは、説明を簡単にするために、模式的に均一のレベル状態で示している。
図8(B)は、指示具で入力を行った場合、つまり、再帰反射部400の反射光を遮った場合の出力の例を示す図であり、同図のC部分が指示具で再帰反射部400の反射光が遮られたため、その部分のみの光量が低下している。
光量分布の検出は、この光量分布の変化を検知して行うものである。具体的には、まず、図8(A)のような入力のなし初期状態(以後、初期状態で得られたデータを初期データ)を予めメモリ82に記憶しておき、それぞれのサンプル期間で得られるデータとメモリ82に記憶しておいた初期データとの差分を計算する。そして、その計算結果に基づいて、図8(B)のような変化があるか否かを判定する。
以上の図8(A)及び(B)の光量分布の説明は、簡単のために、投光部30が一組の赤外LED31及び投光レンズ32より成る場合の説明である。本発明の赤外LED31及び投光レンズ32より成る1組の単位投光部3組で構成されている場合に関しては、一通りの遮光部分検出の説明の後に説明する。
<角度計算の説明>
角度計算にあたっては、まず、遮光部分を検出する必要がある。
先にも述べたように、光量分布は経時変化等で一定ではないため、システムの起動時等に前述した初期データをメモリ82に記憶することが望ましい。つまり、工場等の出荷時に初期データを設定し、そのデータの更新が逐次行われなければ、例えば、所定の位置の再帰反射部400の反射面にゴミが付着した場合、その部分での再帰反射効率が低下する。
従って、恰もその位置(センサユニット2001L及び2001Rから見た方向)で座標入力動作が行われた、即ち、誤検出してしまうという重大な結果を引き起こす。そのため、システムの起動時等に初期データをメモリ82に記憶することで、再帰反射部400の反射面が経時的にゴミ等で汚れて再帰反射効率が落ちていても、その状態を初期状態として設定し直すことができるので、誤動作を無くすことができる。
無論、再帰反射部400からの信号がゴミの付着した部分で全く受け取ることができなくなれば、座標検出不能の事態となり、何らかの方法で、そのゴミ等を除去しなければならない。しかし、仮に、再帰反射部400からの光信号が大幅に減っている状態にあっては、S/N比の関係で信号の信頼性が低下(例えば、同一地点を指示しているにも拘らず座標が揺らぐ現象が発生し、座標計算分解能を低下させてしまう)する。
さて、電源投入時、入力の無い(遮光部分が無い)状態で、まず、投光部30から投光を停止している状態で、ラインCCD41の出力をA/Dコンバータ81L及び81RによりA/D変換して、この値をBas_data[N]としてメモリ82に記憶する。この値は、ラインCCD41のバイアスのばらつき等を含んだデータとなり、図8(A)のレベルB付近のデータとなる。ここで、[N]はラインCCD41のCCD画素番号であり、有効な入力範囲に対応する画素番号が用いられる。
次に、投光部30から投光を行っている状態での光量分布を記憶する。これは、図8(A)の実線で表されたデータであり、Ref_data[N]としてメモリ82に記憶する。これにより、初期データとして2種類のデータの記憶を完了する。
そして、このメモリ82に記憶されたBas_data[N]とRef_data[N]とを用いて、まずは、指示具による入力の有無、かつ遮光部分の有無の判定を行う。
ここで、ラインCCD41の出力のサンプル期間内のN番目の画素の画素データをNorm_data[N]とする。
まず、遮光部分を特定するために、データの変化の絶対量によって、指示具による入力の有無を判定する。これは、ノイズ等による誤判定を防止し、所定量の確実な変化を検出するためである。具体的には、画素データの変化の絶対量を、ラインCCD41の各々の画素において、以下の式(1)の計算を行い、予め決定してある閾値Vthaと比較する。
Norm_data_a[N] = Norm_data[N] − Ref_data[N] (1)
ここで、Norm_data_a[N]は、各画素における絶対変化量に相当することになる。
この処理は、ラインCCD41の各画素の絶対変化量Norm_data_a[N]を計算し、それを閾値Vthaと比較するだけなので、処理時間が短くて済み、入力の有無の判定を高速に行うことが可能である。そして、閾値Vthaを初めて超えた画素が所定数を超えて検出された場合に、指示具の入力があると判定する。
次に、より高精度に検出するために、画素データの変化の比を計算して入力点の決定を行う方法について説明する。
図9は、再帰反射部400の再帰反射面を示す図である。同図において、910は再帰反射部400の反射面、911は指示具である。ここで反射面910の領域(10)の反射率が汚れ等により低下していたとすると、このときのRef_data[N]の分布は、図10(A)のように、領域(10)の反射光量が少なくなる。
図10は、図8と同様に、ラインCCD41の出力レベル[V]とCCD画素番号[N]との関係を示す図である。同図において、縦軸はラインCCD41の出力レベル[V]を、横軸はCCD画素番号[N]を、それぞれ示している。
図10(A)の状態で、図9のように、指示具911により再帰反射部400の略半分を覆ったとすると、反射光量は略半分となるため、図10(B)の太線で示した分布Norm_data[N]が観測されることになる。この状態に対して、上記式(1)を適用すると、図11(A)のようになる。
図11(A)は、Norm_data_a[N]とCCD画素番号[N]との関係を示す図である。同図において、縦軸はNorm_data_a[N]を、横軸はCCD画素番号[N]を、それぞれ示している。
また、図11(B)は、Norm_data_r[N]とCCD画素番号[N]との関係を示す図である。同図において、縦軸はNorm_data_r[N]を、横軸はCCD画素番号[N]を、それぞれ示している。
ここで、図11において、縦軸は初期状態との差分電圧になっている。
この画素データに対して、閾値Vthaと比較すると、本来の入力範囲を外れてしまうような場合(図11(A)の破線領域)がある。もちろん、閾値Vthaをより小さな値に設定することで、ある程度の検出は可能となるが、ノイズ等の影響を受ける可能性が高くなり、座標計算性能を劣化させると言う弊害が発生する。
そこで、指示具911によって遮られる遮光部分の光量は、反射面910の領域(10)、領域(11)ともに最初の半分(領域(10)ではV1レベル相当、領域(11)ではレベルV2相当)であるので、次の式(2)で変化の比を計算する。
Norm_data_r[N]=Norm_data_a[N]/(Bas_data[N]−Ref_data[N]) (2)
この式(2)の計算結果を示すと、図11(B)のようになり、光量分布が変化の比で表されることになる。そのため、再帰反射部400の反射率が異なる場合でも、等しく扱うことが可能になる。
この画素データ(光量分布)に対して、閾値Vthrを別途設定する。そして、その閾値Vthrを横切る点に対応する、光量分布中の遮光部分に対応する光量変動領域の立ち上がり部分と立ち下がり部分の画素番号から、例えば、両者の中央を指示具による入力に対応する画素とすることで、高精度に画素情報が取得可能となる。
ところで、図11(B)は、説明の便宜上、模式的に描いたものであり、実際の検出信号波形を詳細に表示すると、図12のようになる。
今、閾値Vthrと比較して遮光部分の立ち上がり部分は、Nr番目の画素で閾値Vthrを越えたとし、Nf番目の画素で閾値Vthrを下まわったと仮定する。この時、出力すべきラインCCD41の画素番号Npを、先に説明したように、立ち上がり部と立ち下がり部の画素番号の中央値として下記式(3)のように計算しても良いが、そうすると、ラインCCD41の画素間隔が出力画素番号の分解能になる。
Np=Nr+(Nf−Nr)/2 (3)
そこで、より高分解能に検出するために、それぞれの画素のデータレベルとその一つ前の隣接画素のデータレベルを用いて、閾値Vthrを横切る仮想の画素番号を計算する。
図12において、画素番号NrのラインCCD41の出力レベルをLr、画素番号Nr−1の出力レベルをLr−1とする。同様に、画素番号Nfの出力レベルをLf、画素番号Nf−1の出力レベルをLf−1とする。このとき、検出すべき画素番号をそれぞれNrv、Nfvとすれば、
Nrv=Nr−1+(Vthr−Lr−1)/(Lr−Lr−1) (4)
Nfv=Nf−1+(Vthr−Lf−1)/(Lf−Lf−1) (5)
と計算できる。この計算式によれば、出力レベルに応じた仮想画素番号、つまり、ラインCCD41の画素番号よりも細かい画素番号を取得できる。そして、これらの仮想画素番号Nrv、Nfvの仮想中心画素Npvは、下記式(6)で決定される。
Npv=Nrv+(Nfv−Nrv)/2 (6)
このように、閾値Vthrを越えるデータレベルの画素の画素番号とその隣接する画素番号と、それらのデータレベルから、所定レベルの閾値Vthrを横切る仮想的な仮想画素番号を計算することで、より分解能の高い検出を実現できる。
ところが、更に、本発明の複数の単位投光部よりなる投光部30の場合には、それぞれの単位投光部からの遮光に関わる光線が重畳し、複雑な遮光形状となるので、単純な固定閾値Vthrを設定しただけでは、角度検出に誤差を含んでしまう可能性がある。本発明のその課題に対する解決手段に関しては、後述する。
<CCD画素番号から角度情報への変換>
次に、遮光部分の中心点を示す仮想中心画素に対応する中心画素番号から、実際の指示具の座標値を計算するためには、この中心画素番号を角度情報に変換する必要がある。
図5は、得られた画素番号と角度θとの関係をプロットした図である。この関係の近似式(下記式(7))を定義すると、
θ=f(N) (7)
となり、この近似式(変換式)を用いて画素番号からθへの変換を行うことが可能となる。
実施形態1では、1次近似式を用いて近似できるように、センサユニット2001L及び2001R中の受光部40をレンズ群で構成している。但し、レンズの光学的収差等により、より高次な近似式を用いた方がより高精度に角度情報を得ることが可能となる場合がある。
ここで、どのようなレンズ群を採用するかは、製造コストと密接に関連する。特に、レンズ群の製造原価を下げることによって一般的に発生する光学的な歪を、より高次の近似式を用いて補正する場合には、それなりの演算能力(演算速度)を要求される。従って、目的とする製品に要求される座標計算精度を鑑みながら、その両者を適宜設定すれば良い。
<座標計算方法の説明>
図13は、実施形態1に係る座標入力装置におけるセンサユニット2001L及びセンサユニット2001Rの位置関係を示す図である。座標入力有効領域300の水平方向にX軸、垂直方向にY軸を、そして、座標入力有効領域300の中央を原点位置に配置するものとする。そして、座標入力有効領域300の上辺左右にセンサユニット2001L及びセンサユニット2001RをY軸に対称に取り付け、そのセンサユニット2001L及び2001R相互間の距離をDsとする。
また、図示されているように、センサユニット2001L及び2001RのラインCCD41の受光面は、その法線方向がX軸と45°の角度を成すように配置され、その法線方向を0°(基準方向)と定義する。この時、角度の符号は、左側に配置されたセンサユニット2001Lの場合には、時計回りの方向を『+』方向に、また、右側に配置されたセンサユニット2001Rの場合には、反時計回りの方向を『+』方向と定義する。
さらには、図中Poは、各センサユニット2001L及び2001Rの法線方向の交点位置であり、Y軸方向の原点からの距離をPoyと定義する。この時、それぞれのセンサユニット2001L及び2001Rで得られた角度をθL及びθRとすると、検出すべき点P(=指示具911の位置)の座標P(x,y)は、下記式(8)、(9)で計算される。
x = Ds/2 * (tanθR - tanθL) / (1 - (tanθR * tanθL)) (8)
y = Ds/2 * (tanθR + tanθL + (2 * tanθR * tanθL)) /
(1 - (tanθR * tanθL)) + Poy (9)
<座標計算処理フローの説明>
次に、実施形態1に係る座標入力装置の一連の処理工程を、図14を用いて説明する。
図14は、実施形態1に係る座標入力装置のデータ取得から座標計算までの座標計算処理を示すフローチャートである。
電源投入が行われると、まず、ステップS1801で、CPU83のポート設定、タイマ設定等の座標入力装置に係る各種初期化を行う。次に、ステップS1802で、後述する受光素子であるところのラインCCD41のCCD画素有効範囲を、例えば、メモリ82に予め記憶されている設定値から読み出して設定する。次に、ステップS1803で、ラインCCD41の初期読込動作の初期読込回数を設定する。
尚、この初期読込動作は、座標入力装置の起動時におけるラインCCD41の不要電荷除去を行うための動作である。ラインCCD41では、動作させていないときに不要な電荷を蓄積している場合があり、その電荷が蓄積されている状態で座標入力動作を実行すると、検出不能になったり、誤検出の原因となる。そこで、これを避けるために、ステップS1804では、投光部30による投光を停止している状態で、所定回数の読込動作を実行する。これにより、不要電荷の除去を行う。
次に、ステップS1805で、読込回数が所定回数に達しているか否かを判定する。そして、読込回数が所定回数に達していない場合(ステップS1805でNO)、ステップS1804へ戻る。一方、読込回数が所定回数に達している場合(ステップS1805でYES)、ステップS1806へ進む。
ステップS1806で、ベースデータとして、投光部30による投光を停止している状態でのラインCCD41の画素データ(Bas_data[N])の取込を行う。ステップS1807で、そのベースデータをメモリ82に記憶する。
次に、ステップS1808で、リファレンスデータとして、投光部30からの投光を行っている状態でのラインCCD41の画素データ(初期光量分布に相当する:Ref_data[N])の取込を行う。ステップS1809で、そのリファレンスデータをメモリ82に記憶する。
ここまでの処理が、電源投入時の初期設定動作になる。この初期設定動作は、座標入力装置に構成されているリセットスイッチ等により操作者の意図によって動作するように構成しても良いことは言うまでもない。この初期設定動作を経て、指示具による座標入力を行うための通常取込動作状態に移行することになる。
通常取込動作は、まず、ステップS1810で、座標入力サンプリング状態で、ラインCCD41の通常取込動作を実行して、画素データ(Norm_data[N])の取込を行う。次に、ステップS1811で、メモリデータ(リファレンスデータRef_data[N])と画素データ(Norm_data[N])との差分値を計算する。ステップS1812で、その差分値と上述の閾値Vthp基づいて、遮光部分の有無、つまり、座標入力が有るか否かを判定する。座標入力が無いと判定された場合(ステップS1812でNO)、ステップS1810へ戻る。
尚、遮光部分の有無を判定するための閾値Vthpは、上述の閾値Vthrと同一でもよいし、別途別の値を設けてもよい。
一方、座標入力が有ると判定された場合(ステップS1812でYES)、ステップS1813へ進み、画素データの変化の比を式(2)を用いて計算する。次に、ステップS1814で、計算された画素データの変化の比に対して、閾値Vthpとは異なる複数の閾値Vthnを用いて、指示具による遮光部分に対応する画素データ分布の立ち下がり部と立ち上がり部の検出を行う。そして、検出された立ち下がり部及び立ち上がり部と、式(4)、(6)及び(7)を用いて、遮光部分の中心となる仮想的な中心画素番号を計算する。
加えて、ステップS1814では、同時に複数の閾値Vthnそれぞれにおける立ち上がり部、立ち下がり部の傾き(微分値)も計算し、これらにより最適な閾値Vthnにおける中心画素番号を計算する。このステップS1814における遮光部分に対する処理は本発明の主眼とする部分であり、詳しくは後述する。
ステップS1815で、計算された中心画素番号から、近似式(式(7))より、例えば、Tanθを計算する。
ステップS1816で、センサユニット2001L及び2001Rに対して計算されたTanθと、式(8)及び(9)とを用いて指示具の入力座標P(x,y)を計算する。
ステップS1817で、計算した座標値を外部端末へ送信する。この送信は、USB、RS232C等のシリアル通信等、任意の通信インタフェースを用いて送信すれば良い。そして、ステップS1817の送信処理を終了した後は、ステップS1810の処理に戻り、以降、電源OFF、若しくは、操作者の意図によってリセット状態が設定されるまで、この処理を繰り返すことになる。
この繰り返し周期を10[msec]程度に設定すれば、実施形態1に係る座標入力装置は、100回/秒の周期で指示具911により指示した座標を外部機器等に出力することが可能となる。
以上説明したように、実施形態1に係る座標入力装置によれば、検出信号波形の最大光量と最小光量との差を小さくすることができるので、座標入力装置の座標計算分解能を格段と向上させることができる。
<本発明の特徴とする複数の単位投光部よりなる投光部と光量分布の説明>
ここで、本発明の主眼とする、複数の単位投光部よりなる投光部とそれによる光線の状態、その結果としての受光された光量分布の説明を行う。
まず、図15に示す基本的な投光部30の構成において説明する。ここでは、再帰反射部400からの再帰反射光を、センサユニット2001Rの受光部40で検出する光路上で指示具911で指示した場合の遮光状態及びその遮光状態から指示位置に相当する画素番号の計算に関し、前述の説明に加え詳述する。まず、この従来の投光の基本構成での説明を行うことで、後述する本発明の投光部の特徴を明確にする。
図15(A)は、図2に示した3組の単位投光部ではなく、1組の単位投光部で構成されたシンプルな投光部30に関し座標入力有効領域300の面方向の光路状態を平面図で示したものである。赤外LED31−1からの光線は、投光レンズ32−1により、前述の通り、座標入力有効領域300の面に垂直方向には、座標入力有効領域300の面に略平行にコリメートされる。一方、座標入力有効領域300の面に平行方向には、略放射状に正面方向に対して少なくとも±45°方向に放射される。図15(A)には、赤外LED31−1の位置をL1で示している。そして、そこから放射状に放射される光路の内、模式的に円の断面で示す指示具911(以下、断面円表示)に遮光される光線の境界のみを再帰反射部400に対する反射位置Q及びRを結ぶ線分で示している。
また、説明のために、指示具911の中心部と赤外LED31−1の位置L1を結んだ線が再帰反射部400と交わる位置をPで示す。また、再帰反射部400で再帰反射された光線が受光部40(赤外フィルタ44、絞り43及び集光レンズ42)を経てラインCCD41の画素上に集光される際の受光の基準位置を絞り43とする。本発明においては、図15(A)の赤外LED31−1の位置L1とこの受光部40の基準位置である絞り43とは平面上同一位置で示されるものとする。
従って、赤外LED31−1の位置L1からの光線で指示具911で遮られる遮光部分は、指示具911(断面円表示)で遮光される際の影の境界は指示具911(断面円表示)を示す円と線分L1とで形成される2本の接線である線分L1QとL1Rで示される。前述の通り、受光部40の基準位置は投光部30と同様にL1であるから、この線分L1QとL1Rはいずれも、投光から再帰反射して受光する際の光路が往復で重なり同一になることが分かる。
また、この際の指示具911(断面円表示)の中心に関わる角度∠PL1Qと∠PL1Rは、次式(10)
∠PL1Q=∠PL1R (10)
となることは幾何学的に自明である。これは、再帰反射部400への光線の入射角度が変化しても、つまり、指示具911(断面円表示)とセンサユニット2001Rとの位置関係が変化しても不変である。
この時のラインCCD41での受光光量分布が、図15(B)である。図中Cで示す部分が、遮光部分である。この遮光部分の立ち下がり部と立ち上がり部に対し、図で示す閾値V1に対して交差する2つの画素の中心画素を図中Oで示す。この閾値は、遮光の有無の判定、つまり、指示具によるペンダウンの判定を行う閾値と同一でもよいし、この指示位置の画素番号の検出のために別途設定された値でも良い。
また、本発明においては、この閾値は、図中の受光光量分布の光量ゼロであるベースラインをV0とした場合、一定の閾値を断続的に設定している。例えば、実施形態1においては、図に示す通り、V1、V2、V3、V4、V5と一定幅でV0に対して増加する閾値を設定している。ここでは、最も小さな値V1において、以下の検出処理を行う。本発明の順次、閾値の値を増加させていく処理に関しては、後述する。また、ここで示す閾値V(V0〜V5)とは、実際には、図11(B)で説明した、式(2)で示される、受光量の変化の比に対する閾値Vthrである。つまり、閾値Vthrは本来は、何%という比率で示されるべき値である。
従って、以下の図15〜図17においての閾値V1〜V5の値は、各図の光量分布においてのみの相対的な値の高低をあらわす目安である。従って、各図間の閾値Vの値は、等価ではなく、閾値に関しては各構成内の相対的な目安であり、光量分布絶対値に関しては各構成間の光量の比較の目安を示すものとする。光量分布絶対値とする意味は、図15〜図17における、構成の違いによる実質的な光量の大小を比較するためである。
前述の通り、線分L1QとL1Rで示される投光から再帰反射して受光する際の光路が重なり同一になるので、この遮光の立ち下がり部と立ち上がり部は光線上のズレは無く、はっきりとした直線に近い単純なエッジ状態を示す。
また、閾値V1と交差する立ち上がり部の画素からOまでの画素幅をWL1、閾値V1と交差する立ち下がり部の画素からOまでの画素幅をWR1とする。ここで、前述の通り、図中の画素番号は、受光部40に対する角度に一意的に関連付けられているので、∠PL1Qは画素幅WL1に対応し、∠PL1Rは画素幅WR1に対応する。そして、前述の式(10)より、
WL1=WR1 (11)
であることが分かる。つまり、本来の検出角度である指示具911(断面円表示)の中心点Oの位置は、遮光部分Cに対し、立ち下がり部と立ち上がり部に対し、図で示す閾値V1に対して交差する2つの画素の中心画素Oを検出することにより正確に計算できることが分かる。この際、閾値Vは、光量部分のグランドレベル(光量ゼロ)V0に対し、できるだけ大きな値であることが、ノイズに対して影響無い検出を行う上で重要なことであることが分かる。
従って、例えば、この場合、ノイズが閾値V1と同等のものが存在する環境では、検出に誤差が生じることになるので、検出光量分布全体のレベルを増加する必要が出てくる。あるいは、座標入力装置をより大型にする場合にも、センサユニット2001L及び2001Rと再帰反射部400までの距離が大きくなることで、検出光量が小さくなるので、同様に検出光量分布全体のレベルを増加する必要が出てくる。つまり、従来のこの1組の単位投光部で構成されたシンプルな投光部30でセンサユニット2001L及び2001Rが構成される場合には、このノイズ(S/N)と大型化に関する課題に対応することができないことが分かる。
図16は、光量増加のために、投光部30として、単位投光部を2つ並べて構成する場合を示している。但し、この構成は、まだ、本発明の構成例ではない。図16では、図15の単位投光部(赤外LED31−1と投光レンズ32−1)に向かって右側にもう一つの単位投光部として、赤外LED31−2と投光レンズ32−2を受光部40の水平方向近傍に所定距離離して配置している。この赤外LED31−2に対しても図15の場合と同様に、その発光部の位置をL2とする。
本構成の場合、図15の場合の光線に加えて、発光部L2からの光線が加わり、赤外LED31−2の位置L2からの光線で指示具911(断面円表示)で遮られる遮光部分は、次のようになる。つまり、発光部L2のみに関わる反射前の遮光部分は、指示具911(断面円表示)で遮光される際の影の境界である指示具911(断面円表示)を示す円と線分L2とで形成される2本の接線である線分L2SとL2Tで示される。ここで、これは、あくまでも位置L2から投光された光線が指示具911で遮光されて反射面910に到達したところまでの光路を示すに過ぎない。
その反射光がどの様に受光部40で検出されるかをこれから説明する。まず、線分L2Sに関しては、点Sにおいて反射するが、ここでの正確な意味での再帰反射光は、線分L2Sを同じ光路を帰っていき、赤外LED31−2の位置L2に戻ることになる。しかし、実際の受光部40は、位置L2に有るのではなく、位置L1にあるので、この光路L2Sの光線は検出されない。そこで、もう一度、反射面910の点Sに戻る。ここで生じる反射は基本的に再帰反射である。
再帰反射とは、入射した方向に反射した光が戻っていく現象であるが、実際には、正確に入射した角度方向から多少ずれた方向に対しても光量は若干低下するが反射光は発生する。この入射方向と少しずれた角度方向は観測角と呼ばれ、再帰反射部400の構造・特性にもよるが、おおよそ0.2°以内であれば、0°(入射方向)に対する反射光量の50%以上の反射光量が得られるのが一般的である。今、本構成で追加配置した単位投光部の光源である赤外LED31−2の位置L2と元の光源である赤外LED31−1の位置L1との距離をdとする。この場合、投光部30と受光部40との距離Lがdに比べて十分に小さいとすると観測角は距離Lとセンサユニット2001Rと反射面910との距離とに依存することになる。
従って、センサユニット2001Rと反射面910との距離を十分にとれば、観測角を0.2°以内にすることは可能となる。これは、本発明の装置全体の構成を設計するときに考慮すべき要素であるが、特に装置を大型化する際には、よりこの条件は実現しやすくなる。観測角が十分小さくなるように構成された場合、光源L2から反射面910の点Sに到達した光は、受光部40の位置L1に向かって反射する光路SL1で示される光が相当量受光される。
しかし、この光路SL1の受光角度は、同じ指示具911(断面円表示)の略同じ側の遮光による光線ではあるが、光路QL1とは異なる入射角、つまり、異なる画素位置で受光部40に検出される。この反射位置となる点Sより上方の反射位置での反射光は、位置L1からの反射光に重畳して、受光部40に受光されるので、図15の構成に比べて、その受光量は増加する。反射位置である点Sから反射位置である点Qに関わる反射光は、光源である赤外LED31−1の位置L1から投光された光線のみとなるので、図15の構成の場合と同等の受光量となる。実際には、この反射位置である点Sから反射位置である点Qに関わる反射光に関わる受光光量分布は、指示具911における回折光が若干含まれ、緩やかな変化を示すことになる。
更に、指示具911に対する遮光光線であるもう一方の光路L2Tに関しては、QL1と同様の受光部40への反射光を考えれば、帰りの光路はTL1となるが、もちろんこの帰りの光路TL1は指示具911に遮られて受光部40には到達しない。従って、図中、L2T、TL1は実際には存在しない光路として破線で示してある。光源である赤外LED31−2の位置L2に関わる反射位置である点Tから点Rまでの反射光は、すべて、指示具911に遮られるため受光部40に到達することは無い。反射位置である点Rでの赤外LED31−2の位置L2からの反射光に関しては、図15の赤外LED31−1の位置L1からの再帰反射光の帰りの光路と同一になり、受光部40で検出される。この時の、往きの光路L2R、帰りの光路RL1の反射光は、往きの光路L2S、帰りの光路SL1の場合と同様の約0.2°以内の観測角である場合には、本来のその距離に相当する再帰反射光と比べて50%以上の受光量を重畳して増加する形で得ることができる。
この時のラインCCD41での受光光量分布が、図16(B)である。図中Cで示す部分が、遮光部分である。この遮光部分の立ち下がり部と立ち上がり部に対し、図で示す最も低い閾値V1に対して交差する2つの画素の中心画素を図中Oで示す。この遮光部分の形状は、図15(B)の場合と比べて、遮光の深さ方向に遮光幅が変化し、かつ中心画素Oに対して、遮光が深い部分は対称であるが、浅い部分(閾値V2〜V3)では非対称となっている。これは、図16(A)で示した通り、指示具911に関わる赤外LED31−1の位置L1と、赤外LED31−2の位置L2の光路の重畳の状態による結果である。
つまり、反射面910の反射位置である点Q〜Pに相当する遮光部分は、図16(B)では閾値V1と交差する立ち上がり部の画素からOまでの画素幅WL1で示される。また、同様に、反射面910の反射位置である点P〜Rに相当する遮光部分は図16(B)では閾値V1と交差する立ち上がり部の画素からOまでの画素幅WR2で示される。この画素幅WL1と画素幅WR2に関しては、図15の場合と同様に、指示具911の中心Oに対して対称性が保たれるので、同一となる。
しかし、今説明した通り、画素幅WL1に関しては、点Qに相当する遮光境界領域では、位置L1からの投光のみの光量による遮光であるため、図15の場合と同様に、閾値V1においてその遮光境界が交差し、検出される。一方、点Rに関する遮光境界領域では、位置L1からの投光に加え位置L2からの投光も加えた光量による遮光である。
従って、線分L1Qと線分L1Rで示される投光から再帰反射して受光する際の光路が重なり、この遮光の立ち下がり部は光線上のズレは無く、はっきりとした直線に近い単純なエッジ状態を示す。従って、図で見てわかるように、閾値V1より大きな閾値V3においてその遮光境界が交差し、検出される。
反対側の反射位置である点Q〜Sに相当する遮光部分は、図16(B)では画素幅WL2で示される。この遮光部分の光量は、位置L1からの投光のみが到達し、位置L2からの投光は指示具911(断面円表示)に遮られるので、本来なら、画素幅WL1と同量の光量である。実際には、指示具911(断面円表示)を回り込んでくる光があるので、画素幅WL2でも遮光部分の端部に近づくにつれ光量は増加する斜めの分布となっている。そして、反射位置である点Sに相当する光量分布においては、前述の通り、位置L1からの投光と位置L2からの投光との光量が重畳されるので、ほぼ、反射位置である点Rと同等の光量が得られる。つまり、受光量を増加させるという目的のみならば、この反射位置である点Sと点Rに相当する画素位置で、閾値V3により検出すればS/Nが向上する。
しかし、閾値V3により、遮光部分の立ち上がり部と立ち下がり部それぞれに交差する画素の中心を検出する場合、WR1+WL1+WL2で規定される画素幅の中心を検出することになる。この場合に検出される検出画素は、本来の指示具911(断面円表示)の指示位置である点Oに対応する画素Oとは異なる画素となり、検出誤差が生じてしまう。図16(B)を見てわかるように、図16(A)の2組の単位投光部を構成する場合、反射位置である点Q〜Sの様な、位置L1のみからの投光となる領域が反射位置である点Pに対して片側に生じてしまう。そして、これが図16(B)のような、本来の検出画素に対して非対称な遮光部分を発生させているため、上記の検出誤差が生じる。
従って、図16(B)の遮光部分から、本来の正確な指示位置を計算するためには、次の処理を行う必要がある。つまり、閾値V3ではなく閾値V1により、遮光部分の立ち下がり部と立ち上がり部それぞれに交差する画素を検出し、それらで規定される画素幅の中心画素(図中、黒丸印)を計算する必要がある。しかし、それでは、図15の場合と、S/N、つまり、光量面では同じであり、当初の目的を達成できない。
図17は、本発明の実施形態1である。実施形態1では、光量増加のために、投光部30として、単位投光部を3つ並べて構成する。より具体的には、1つの単位投光部を中心に、2つの単位投光部を、座標入力有効領域300の面に平行方向に受光部40の光軸に対して線対称となるように左右等距離d離して配置している。つまり、図16の構成の単位投光部(赤外LED31−2と投光レンズ32−2)と反対側に、線対称に単位投光部(赤外LED31−3と投光レンズ32−3)を配置した構成である。この光源である赤外LED31−3の位置をL3とし、図16と共通する位置L1と位置L2に関する説明は省略する。
赤外LED31−3の位置L3からの光線において、指示具911(断面円表示)で遮られる遮光部分は、次のようになる。つまり、赤外LED31−3の位置L3からの投光のみに関わる反射前の遮光部分は、指示具911(断面円表示)で遮光される際の影の境界である指示具911(断面円表示)を示す円と線分L3とで形成される2本の接線である線分L3UとL3Zで示される。ここで、これは、あくまでも赤外LED31−3の位置L3から投光された光線が指示具911で遮光されて反射面910に到達したところまでの光路を示すに過ぎない。
その反射光がどの様に受光部40で検出されるかをこれから説明する。まず、線分L3Uに関しては、点Uにおいて反射するが、ここでの正確な意味での再帰反射光は、線分L3Uを同じ光路を帰っていき、赤外LED31−3の位置L3に戻ることになる。しかし、実際の受光部40は、位置L3に有るのではなく、位置L1にあるので、この光路L3Uの光線は検出されない。そこで、もう一度、反射面910の点Uに戻る。ここで、図16の場合と同様に、今、本構成で追加配置した単位投光部の赤外LED31−3の位置L3と元の赤外LED31−1の位置L1との距離はdである。
従って、投光部30と受光部40との距離Lが距離dに比べて十分に小さいとすると観測角は距離Lとセンサユニット2001と反射面910との距離とに依存することになる。そして、図16の場合と同様に、この観測角が十分小さくなるように構成された場合、赤外LED31−3の位置L3から反射面910の点Uに到達した光は、受光部40の赤外LED31−1の位置L1に向かって反射する光路UL1の光が相当量受光される。
しかし、この光路UL1の受光角度は、同じ指示具911(断面円表示)の略同じ側の遮光による光線ではあるが、光路RL1とは異なる入射角、つまり、異なる画素位置で受光部40に検出される。この反射位置となる点Uより下方の反射位置での反射光は、位置L1及びL2からの反射光に重畳して、受光部40に受光されるので、図16の構成に比べて、その受光量は増加する。反射位置である点Uから反射位置である点Rに関わる反射光は、赤外LED31−1の位置L1、及び、赤外LED31−2の位置L2から投光された光線のみとなるので、図16の構成の場合と同等の受光量となる。実際には、この反射位置である点Uから反射位置である点Rに関わる反射光に関わる受光光量分布は、指示具911における回折光が若干含まれ、緩やかな変化を示すことになる。
更に、指示具911に対する遮光光線であるもう一方の光路L2Zに関しては、QL1と同様の受光部40への反射光を考えれば、帰りの光路はZL1となるが、もちろんこの帰りの光路ZL1は指示具911に遮られて受光部40には到達しない。従って、図中、L2Z、ZL1は実際には存在しない光路として破線で示してある。光源である赤外LED31−3の位置L3に関わる反射位置である点Zから点Qまでの反射光は、すべて、指示具911に遮られるため受光部40に到達することは無い。反射位置である点Qでの赤外LED31−2の位置L2からの反射光に関しては、図15の赤外LED31−1の位置L1からの再帰反射光の帰りの光路と同一になり、受光部40で検出される。この時の、往きの光路L3Q、帰りの光路QL1の反射光は、往きの光路L3U、帰りの光路UL1の場合と同様の約0.2°以内の観測角である場合には、本来のその距離に相当する再帰反射光と比べて50%以上の受光量を重畳して増加する形で得ることができる。
この時のラインCCD41での受光光量分布が、図17(B)である。図中Cで示す部分が、遮光部分である。この遮光部分の立ち下がり部と立ち上がり部に対し、図で示す最も低い閾値V1に対して交差する2つの画素の中心画素を図中Oで示す。この遮光部分の形状は、図16(B)の場合と同様に、遮光の深さ方向に遮光幅が変化し、かつ中心画素Oに対して、遮光が深い部分は対称であるが、浅い部分(閾値V4〜V5)では非対称となっている。これは、図17(A)で示した通り、指示具911に関わる赤外LED31−1の位置L1と、赤外LED31−2の位置L2、赤外LED31−3の位置L3の光路の重畳の状態による結果である。
つまり、反射面910の反射位置である点Q〜Pに相当する遮光部分は、図17(B)では閾値V3と交差する立ち上がり部の画素からOまでの画素幅WL1で示される。ここで、検出のための閾値の値が図16(B)の場合と比べて、閾値V1から閾値V3へと大きくなっていることが分かる。これは、図16(B)の場合、受光部40の位置L1への光線QL1は、位置L1からの投光のみであったのが、図17(B)の場合、位置L3からの投光路L3Qの反射光が重畳されているので、光量が増加していることによる。以上により、実施形態1の構成の場合、従来の閾値V1よりも高い閾値V3と、立ち上がり部と立ち下がり部の交点(図中、丸印)間の中点で、正確な指示位置を計算することができ、S/Nの優れた、あるいは、大型化の際の光量増加を果たすことができる。
また、同様に、反射面910の反射位置である点P〜Rに相当する遮光部分は、図17(B)では閾値V3と交差する立ち上がり部の画素からOまでの画素幅WR1で示される。ここでも、検出のための閾値の値が図16(B)の場合と比べて、閾値V1から閾値V3へと増加しているのは、光線QL1の光量増加により、反射光RL1が光量自体は図16の場合と同じだが、QL1と同等になったことによるものである。この画素幅WL1と画素幅WR1に関しては、図15及び図16の場合と同様、指示具911の中心Oに対して対称性が保たれるので、同一となる。つまり、図16の場合には、画素幅WL1に関しては、点Qに相当する遮光境界領域では、位置L1からの投光のみの光量による遮光である一方、点Rに関する遮光境界領域では、位置L1からの投光に加え位置L2からの投光も加えた光量による遮光である。
これに対し、図17の構成の場合、中心位置に対する対称性の保たれた光路である線分L1QとL1Rいずれにおいても両側の単位投光部から再帰反射して受光する際の光路が重なる。従って、この遮光部分の立ち下がり部は光線上のズレは無く、はっきりとした直線に近い単純なエッジ状態を示す。
反射位置である点Q〜Sに相当する遮光部分は、図17(B)では画素幅WL2で示される。この遮光部分の光量は、位置L1と位置L3からの投光のみが到達し、位置L2からの投光は指示具911(断面円表示)に遮られるので、本来なら、画素幅WL1と同量の光量である。実際には、指示具911(断面円表示)を回り込んでくる光があるので、画素幅WL2でも遮光部分の端部に近づくにつれ光量は増加する斜めの分布となっているのは図16の場合と同様である。そして、反射位置である点Sに相当する光量分布においては、前述の通り、位置L1からの投光と位置L2からの投光と位置L3からの投光の光量が重畳され、閾値V5のレベルとなる。
反射位置である点R〜Uに相当する遮光部分は、図17(B)では画素幅WR2で示される。この遮光部分の光量は、位置L1と位置L2からの投光のみが到達し、位置L3からの投光は指示具911(断面円表示)に遮られるので、本来なら、画素幅WR1と同量の光量である。実際には、指示具911(断面円表示)を回り込んでくる光があるので、画素幅WR2でも遮光部分の端部に近づくにつれ光量は増加する斜めの分布となっている。反射位置である点Uに相当する光量分布においても、反射位置である点Sの場合と同様に、位置L1からの投光と位置L2からの投光と位置L3からの投光の光量が重畳され、閾値V5のレベルとなる。
仮に、閾値V5により、遮光部分の立ち上がり部と立ち下がり部それぞれに交差する画素(図中、丸印)の中心を検出する場合、WL1+WR1+WL2+WR2で規定される画素幅の中心を検出するとことになる。この場合に検出される検出画素は、本来の指示具911(断面円表示)の指示位置である点Oに対応する画素Oとは異なる画素となり、検出誤差が生じてしまう。図17(A)の反射位置である点Q〜Sに相当する∠SL1Qと反射位置である点R〜Uに相当する∠RL1Uは共に、センサユニット2001と反射面910との位置関係により変動し、通常、
∠SL1Q ≒ ∠RL1U (12)
である。従って、それに対応して、
WL2 ≒ WR2 (13)
となる。
つまり、図17(B)の本来の検出画素Oに対して、画素幅(WL1+WR1)と画素幅(WL2+WR2)は非対称な遮光部分を発生させている。従って、WL1+WR1+WL2+WR2の画素幅を有する遮光部分に対して、閾値V5により、遮光部分の立ち上がり部と立ち下がり部の交差画素(図中、丸印)の中心を検出する場合、誤差を含んだ値となる。従って、図17(B)の遮光部分から、本来の正確な指示位置を計算するためには、次の処理を行う必要がある。つまり、閾値V5ではなく閾値V3により、遮光部分の立ち下がり部と立ち上がり部それぞれに交差する画素を検出し、それらで規定される画素幅の中心画素(図中、黒丸印)を計算する必要がある。この際の閾値を変化させて、最適な検出点を計算する演算処理に関して、図18のフローチャートで説明を行う。
特に、図18は、図14のフローチャートの各ステップの内、本発明の主眼となるステップS1814の複数の閾値による指示位置に対応する画素を検出するためのサブルーチン処理の詳細を示すフローチャートである。本サブルーチンは、主に図6におけるCPU83において行われる演算処理である。
毎回の検出ルーチンにおいて、スタートすると、ステップ18141で、まず、閾値Vnのnの値をカウントするカウンタをn=1に戻す。ステップS18142で、メモリ82に格納されたテーブルを参照して、n=1に該当するV1の値を閾値として入力する。ステップS18143で、入力した閾値Vnに対し、図17の遮光部分Cの立ち下がり部と立ち上がり部の交点画素Ln、Rn(図中、丸印)を検出し、更にその交点間の中点から中心画素Snを計算する。つまり、n=1の場合、入力した閾値V1に対し、図17の遮光部分Cの立ち下がり部と立ち上がり部の交点画素L1、R1(図中、丸印)を検出し、更に、その交点間の中点から中心画素S1を計算する。
次に、ステップS18144で、n=1の場合の中心画素S1をメモリ82に格納する。ステップS18145で、この立ち下がり部と立ち上がり部の交点画素L1、R1における其々前後の所定数画素、あるいは、近傍画素による微分値DLn、DRnを計算する。そして、その差分の絶対値Δnを計算する。
Δn=|DLn − DRn| (14)
従って、n=1の場合は、
Δ1=|DL1 − DR1| (15)
でΔ1を計算する。ここで、立ち下がり部の傾きと立ち上がり部の傾きでは微分値の符号が異なることに対応した式である。
次に、ステップS18146で、Δn、つまり、n=1の場合のΔ1が、所定の値Δeの値を超えたかどうかを判定する。この所定の値Δeは、図17(B)で示される光量分布図の遮光部分Cの立ち下がり部と立ち上がり部の傾きの差が、十分に有るようになる値に選定される。図17(B)の場合、閾値V1〜V3においては、ほとんどΔn=|DLn − DRn|はゼロに近いが、閾値V4の場合、DL4とDR4の差は、顕著に大きくなっている。この閾値VnとΔnとの関係を示したのが、図19である。
この理由は次の通りである。図17で説明した、指示具911の完全な遮光部分となる∠PL1Q+∠PL1Rの受光角度範囲に相当する画素幅(WL1+WR1)と、∠SL1Qと∠RL1Uの受光角度範囲に相当する画素幅WL2と画素幅WR2の遮光深さが異なることによる。つまり、この2つの受光角度範囲の境界である、WL1とWL2の境界、及び、WR1とWR2の境界において、立ち上がり部と立ち下がり部の傾きの変化が大きくなる。従って、この傾きの差分値もこの境界で最大となる。そして、この境界の内側では、立ち上がり部と立ち下がり部の中点は正しい指示位置の角度に対応した画素を示すが、その境界の外側では、図17の説明のように中点は正しい指示位置からずれた値となる。
この傾きの差分値の最大値Δemaxを予め計算しておき、この値より若干小さい値にΔeを設定する。Δemax−Δeの値をどの程度の値を設定するかは、予めその装置自体のS/N、ノイズ環境等による揺らぎを考慮し、閾値V3とV4の境界の差異がその影響があっても計算されるように設定される。
次に、ステップS18146で、
Δn<Δe (16)
が真である否かを判定する。例えば、n=1の場合、Δeの設定より、
Δ1<Δe (17)
である。この場合(ステップS18146でYES)、ステップS18147に進む。ここで、ステップS18147で、nを1インクリメントし、ステップS18142に戻る。
図17(A)及び図17(B)における説明より、n=1〜3においては、Δn<Δeであるから、このステップS18142からステップS18146が繰り返される。
一方、n=4の場合、前述のように立ち上がり部と立ち下がり部の変動が発生するので、Δ4>Δeとなる。この場合(ステップS18146でNO)、ステップS18148に進む。
この一連の処理におけるn=1〜4における閾値V1〜V4、及び、この処理においては出てこない閾値V5とΔeとの関係を図19に示す。n=4における閾値V4と立ち上がり部と立ち下がり部の交点画素L4とR4間の中点である中心画素S4が誤差を含み、n=3における閾値V3に対する中心画素S3は、正しい指示位置である。しかも、閾値V1、V2より光量レベルが高いところの交点画素であるのでS/Nが大きい。従って、ステップS18148で、n=4に対するn−1であるn=3の中心画素S3をメモリ82から取得し、検出点(指示位置に対応する画素)として採用する。これで、この複数の閾値による指示位置に対応する画素を検出するためのサブルーチン処理は終了する。
尚、複数の閾値Vnの値は、上記では閾値V1〜V5の5段階で説明を行っているが、これよりも段階を増やしても減らしてもよい。閾値Vnの段階を増やすことにより、より正確でより光量の大きな指示位置の画素を計算することがでる。一方、閾値Vnの段階を減らすことにより、より処理負担が少なく、処理時間が短くなり、制御・演算ユニット20の構成の簡素化、入力サンプリング数の増加という効果がある。また、この処理負担の軽減のために、この処理を指示入力時に常に行う構成でなくてもよい。つまり、電源投入時のみ、あるいは、光量分布に大きな変動があったときのみ、あるいは、長期的間隔で設定されたタイミングのみに本処理を行い、それ以外では、その時に設定された閾値を繰り返し用いる様にしてもよい。また、閾値Vnの設定の段階間隔は一定である必要はなく、一定の条件に基づいて可変にしてもよい。
以上のように、実施形態1では、(16)式を満足するΔNの最大値に対応する遮光部分の立ち下がり部と立ち上がり部の交点画素L1とR1の中点、つまり、中間画素で指示位置に対応する画素を計算する構成を説明している。しかしながら、この指示位置に対応する画素を計算する方法はこれに限定されるものではない。
例えば、計算した閾値Vnに対応するDLnとDRnの値に基づいた補間処理により、遮光部分の最も深いところのピークを内挿して指示位置に対応する画素を計算する方法でも良い。本来、S/Nに問題がなければ、この横軸を画素番号、縦軸を微分値Dとする場合、ゼロクロス点が計算する遮光部分の中心画素となる。しかし、本発明では、受光量レベルが低い場合にはS/Nが悪い遮光情報を前提としている。従って、上記微分値のゼロクロス画素は、そのままでは誤差を含むことになる。
そこで、本発明においては、指示位置に対する対称性が担保される閾値Vnに対応する微分値Dが計算されるので、これを用いる。具体的には、横軸を画素番号、縦軸を微分値Dとする場合、設定した閾値Vnに対応するDLnとDRnをそれぞれ内挿して微分値のピーク(画素)を計算し、そのピーク(画素)から指示位置の画素を計算する。この際、DLnとDRnの値は、必ずしも一つではなく、所定のS/Nに関する条件を満たした複数のDLnとDRnから補間して微分値のピーク、つまり、指示位置に対応する画素を計算してもよい。このような微分値のピークから指示位置に対応する画素を計算する方法は、より実際の遮光部分の形状に即した指示位置検出を安定的に求めることができるという特徴を有する。
以上の指示位置に対応する画素を検出するためのサブルーチン処理により、図17の3組の単位投光部を配置する構成の場合にも、正確な指示位置の検出が可能となる。そして。常に、その正確な指示位置の中でも最も光量の大きな光量分布領域での検出となるので、S/Nが大きく、ノイズに強い検出が可能となる。あるいはは、同等のS/Nを保った場合、単位投光部の増加による光量増加が可能となり、装置の大型化が可能となる。
以上、実施形態1では、単位投光部を基準となる中央の単位投光部の左右に座標入力有効領域300の面に平行方向に受光部40の光軸に対して線対称となるように左右等距離d離して配置する構成を示している。この構成を採用することにより、受光部40と同一平面水平方向にその受光部40を挟んで、単位投光部を配置する場合に比べて、受光部40と単位投光部間の距離を小さくすることができる。
つまり、通常、受光部40、特に、集光レンズ42は座標入力有効領域300の面に略平行方向に歪のない所定の受光範囲、及び、明るさを確保するために、座標入力有効領域300に平行方向に一定の幅を必要とする。従って、その集光レンズ42、及び、その装着部材を含めた幅寸法は大きくなり、その両側に単位投光部を配置すると、受光部40と単位投光部間の距離が、大きくなる。この受光部40を挟んで両側に単位投光部を配置する構成は、一応、受光光学系の光軸に対して線対称は確保されているので、本発明の遮光部分の検出処理との組み合わせることにより、指示位置に対応する画素に対する対称性が保たれた遮光部分の検出は可能になる。
しかし、受光量増加という面では、目的は達成できない。それは、図17の赤外LED31−1と投光レンズ32−1に相当する中心部分の単位投光部がない分、全体の受光量は低下する。再帰反射特性における観測角の面で、この単位投光部を受光部40の両側に配置する構成は、光量増加効果は低い。これは、センサユニット2001における受発光間距離が大きくなることによる光量低下である。この発光間距離が大きくなることによる光量低下について、更に説明を加える。今、水平方向にその受光部40を挟んで両側に単位投光部を配置する構成の場合の観測角に関わる受光部40と単位投光部間との距離をDとする。上記の様に、この距離Dは、図17における距離dと比べ大きな距離となる。従って、その分、観測角が大きくなり、受光量が大きく低下する。
一方、本発明の構成は、投光部30を受光部40から座標入力有効領域300に対して垂直方向に離して近接配置する構成であり、受光部40の光軸上の真上に中心の単位投光部を配置することを基本とする。この垂直方向の受発光間の距離を前述の通りLとすると、この距離Lは、集光レンズ、及び、投光レンズの光学特性上、比較的小さな値となる。従って、まず、この垂直方向に受光部を重ねた構成では、上記水平方向にその受光部40を挟んで両側に単位投光部を配置する構成に比べて観測角を小さくすることができる。実質的な距離は、例えば、この距離Lを5mmとすることは、十分可能である。ちなみに、この場合の受発光間の観測角は、装置の座標入力可能範囲40インチサイズで約0.14°、同60インチサイズで0.09°以下となり、光量低下はほとんど問題とならない。
一方、単位投光部を受光部40の両側に配置する構成の場合、水平方向の受発光間の距離Dは構造上の制限により大きくなる。例えば、受光部40の光軸から両側に15mmであるとすると、例えば、装置の座標入力可能範囲40インチサイズで約0.42°、同60インチサイズで約0.28°となる。この受発光間距離と観測角の差は、受光量としては、同40インチサイズで、約1.7〜1.8倍、同60インチサイズで約1.4〜1.5倍(範囲があるのは、入射角により特性が異なることによる)となる。従って、トータルの光量としては、以下のように見積もれる。ここでは、簡単のために、本発明の単位投光部の間隔dと距離Dを15mmでほぼ等しいとすると、本発明の両側の単位投光部による各受光量は、ほぼ、単位投光部を受光部の両側に配置する構成の光量を同じとして、以下の様に見積もれる。
40インチサイズの場合
本発明の構成の光量
=中心単位投光部+両側の単位投光部×2=1.7+1×2=3.7
単位投光部を受光部の両側に配置する構成の光量
=1×2=2
60インチサイズの場合
本発明の構成の光量
=中心単位投光部+両側の単位投光部×2=1.4+1×2=3.4
単位投光部を受光部の両側に配置する構成の光量
=1×2=2
以上は、ある再帰反射材の特性によるもので、再帰反射材が異なれば、実際の値は異なる。しかし、中央の単位投光部を受光部から座標入力領域に対し垂直方向に離して近接配置し、その左右に座標入力有効領域面平行に受光部の光軸に対し線対称となるように左右等距離離して配置する構成の光量増加効果は大きい。上記で、単位光源を受光部の両側に配置する構成の場合の水平方向の受発光間の距離Dを15mmとしているが、実際にはラインCCD等の仕様、光学系の実装上制限等で更に大きな値となる可能性もあり、本発明の構成における優位性はより顕著になる。
以上説明したように、実施形態1によれば、指示位置の中心画素に対する対称性が保たれる遮光部分の内、最も光量の大きい部分を複数の閾値を用いて検出し、検出した閾値とその部分とが交差する立ち上がり部と立ち下がり部を検出する。そして、その立ち上がり部と立ち下がり部の中点を中心画素として、指示位置を計算する。これにより、大型化した場合にもS/Nに優れて、誤差のない、精度の高い座標検出を行うことができる。
<実施形態2>
実施形態2では、ステップS1814の処理の応用例について説明する。尚、実施形態2では、実施形態1との共通部分の説明については省略する。実施形態1においては、受光光量分布の遮光部分の立ち下がり部と立ち上がり部の形状変化に着目して、正確な指示位置を検出できる閾値Vnの範囲を検出する構成である。これに対して、実施形態2では、直接、立ち下がり部と立ち上がり部と閾値の交点との間の中点の変化に着目して正確な指示位置を検出できる閾値Vnの範囲を検出する。具体的には、図20に示すフローチャートとなる。
毎回の検出ルーチンにおいて、スタートして、ステップS18141〜ステップS18144の処理を行う。ここまでは、実施形態1と同様である。次に、ステップS181441で、n=1であるか否かを判定する。n=1の場合(ステップS181441でYES)、ステップS18147に進み、nを1インクリメントし、ステップS18142に戻る。
その後、n=2となると、ステップS18143において、閾値V2に対し、図17の遮光部分Cの立ち下がり部と立ち上がり部の交点画素L2、R2(図中、丸印)を計算し、更に、その交点間の中点から中心画素S2を計算する。次に、ステップS18144で、n=2の場合の中心画素S2をメモリ82に格納する。次に、ステップS181441で、n=2の場合(ステップS18551でNO)、ステップS181451に進む。ここで、
Δmn=|Sn − Sn−1| (18)
を計算する。つまり、この場合
Δm2=|S2 − S1| (19)
を計算する。
そして、ステップS181461において、
Δmn<Δf (20)
か真であるか否かを判定する。Δfの値は、予めメモリ82において、以下の値に設定される。
図17(B)において、閾値V1とV2における、中心画素S1とS2は、いずれも図17(A)の光路L1Q、L1Rの指示具911のエッジを正確に反映した立ち上がり部、立ち下がり部に基づいて計算された値であり、ほぼ同じ値である。従って、Δm2は極めて小さな値となる。しかし、中心画素S1はS2より低い閾値V1で検出された値なので、中心画素S2よりノイズの影響を受けている可能性がある。従って、そのようなノイズの影響によるSnの変動値を考慮し、Δm2=|S2 − S1|より大きな値に、ステップS181461におけるΔf(所定の差分値)を設定する。
同様に、図17(B)において、閾値V2とV3における、中心画素S2とS3は、いずれも図17(A)の光路L1Q、L1Rの指示具911のエッジを正確に反映した立ち上がり部、立ち下がり部に基づいて計算された値であり、ほぼ同じ値である。従って、Δm3は極めて小さな値となる。しかし、中心画素S2はS3より低い閾値V2で検出された値なので、中心画素S3よりノイズの影響を受けている可能性がある。従って、そのようなノイズの影響によるSnの変動値を考慮し、Δm3=|S3 − S2|より大きな値に、ステップS181461のΔfを設定する。
図17(B)において、閾値V3における中心画素S3は、図17(A)の光路L1Q、L1Rの指示具911のエッジを正確に反映した立ち上がり部、立ち下がり部に基づいて計算された値である。これに対し、図17(B)において、閾値V4における、中心画素S4は、図17(A)の光路L1S、L1Uの指示具911のエッジを正確に反映していない立ち上がり部、立ち下がり部に基づいて計算された値である。この値は、指示位置に対応した画素Oに対してズレた値となる。従って、Δm4=|S4 − S3|はΔm2、Δm3より大きな値となる。つまり、
Δm2、Δm3<Δf<Δm4 (21)
となるようにΔfは予め設定する。
以上のΔfにより、n=2の場合、Δm2<Δfとなり(ステップS181461でYES)、ステップS18147に進む。ここで、ステップS18147で、nを1インクリメントし、ステップS18142に戻る。
そして、n=2、3の場合においては、Δmn<Δfが真であるので、このステップS18142からステップS181461が繰り返されることになる。
一方、n=4の場合、Δm4>Δfとなり(ステップS181461でNO)、ステップS18148に進む。
この一連の処理におけるn=2〜4における閾値V2〜V4、及び、この処理においては出てこない閾値V5とΔfとの関係を図21に示す。n=4における閾値V4と立ち上がり部と立ち下がり部の交点画素L4とR4間の中点である中心画素S4が誤差を含み、n=3における閾値V3に対する中心画素S3は正しい指示位置である。しかも、閾値V1、V2より光量レベルが高いところの交点画素であるのでS/Nが大きい。従って、ステップS18148で、n=4に対するn−1であるn=3の中心画素S3をメモリ82から引き出し、検出点(指示位置に対応する画素)として採用する。これで、この複数の閾値による指示位置に対応する画素の検出のサブルーチン処理は終了する。
実施形態2は、実施形態1の場合と同様に、単位投光部を基準となる中央の単位投光部の左右に座標入力有効領域300の面に平行方向に受光部40の光軸に対して線対称となるように左右等距離d離して配置する構成である。そして、実施形態2の上述のサブルーチン処理によっても、正確な指示位置の検出が可能となる。
以上説明したように、実施形態2によれば、中心画素の変化に基づいて、その正確な指示位置の中でも最も光量の大きい光量分布の領域での検出が可能となるので、S/Nが大きく、ノイズに強い検出が可能となる。また、同等のS/Nを保つ場合、単位投光部の増加による光量増加が可能となり、装置の大型化が可能となる。
<実施形態3>
実施形態1や2では、受光部40として、1つの受光デバイスに対し1つの受光用結像レンズを配置する構成を前提としている。しかし、1つの受光デバイスに対し2つの受光用結像レンズを配置する複眼構成の受光部40(第1の受光部及び第2の受光部)に関しても対応できるのが、本発明の効果の一つである。1つの受光デバイスに対し2つの受光用結像レンズを配置する受光部40の構成自体に関しては、特許文献5と重複するので、ここでは詳細な説明を省略するが、この構成を本発明の投光部の構成に適応する構成を図22(A)〜(C)に示す。
尚、図22(A)は、センサユニット2001L及び2001Rの組み立て状態における正面図で、同図における矢印は、単位投光部4組で構成される投光部30による光が単位投光部毎に座標入力有効領域300の面内方向に扇状に分布している様子を示している。また、図22(B)は、図22(A)を側面から見た図であり、同様に座標入力有効領域300の面に略平行に、上下方向に制限された光束として投光され、主に再帰反射部400に対して光が投光されている様子を示している。更に、図22(C)は、投光部30と受光部40の配置構成の断面図を示している。
まず、集光レンズ42−1(図22(C))に対して、これと座標入力面に垂直方向から見て同一光軸上に配置された単位投光部である赤外LED31−1と投光レンズ32−1を基準として考える。図17の場合と同様に、基準となる単位投光部の横に左右等距離d離して、座標入力有効領域300の面に平行方向に受光部40、つまり、集光レンズ42−1の光軸に対して線対称となるように両側に単位投光部が配置される(図22(A))。ここでの単位投光部は、赤外LED31−2と投光レンズ32−2、及び、赤外LED31−3と投光レンズ32−3である。ここまでは、実施形態1の図2、図3、及び図17の構成と同様となる。
次に、複眼のもう一方の受光光学系である集光レンズ42−2(図22(C))を基準とすると、集光レンズ42−2に対して、座標入力面に垂直方向から見で同一光軸上に配置された単位投光部である赤外LED31−3と投光レンズ32−3を基準として考える。基準となる単位投光部の横に左右等距離d離して、座標入力有効領域300の面に平行方向に受光部40、つまり、集光レンズ42−2の光軸に対して線対称となるように両側に単位投光部が配置される。この場合、配置される単位投光部は、赤外LED31−1と投光レンズ32−1、及び、赤外LED31−4と投光レンズ32−4である。
ここで、単位投光部である赤外LED31−1と投光レンズ32−1、及び、赤外LED31−3と投光レンズ32−3は、それぞれが、集光レンズ42−1、集光レンズ42−2の基準となる投光単位である。しかも、それと同時に、それぞれが隣接する基準となる投光単位の近接投光部という重複した機能を有する構成となる。結果として、単位投光部である赤外LED31−1〜4と投光レンズ32−1〜4は、所定の距離dで等間隔に配置された構成となる。しかも、各単位投光部は、図に矢印示すような投光範囲であるとすると、互いに投光光線がケラレることなく、90°の本来の投光視野を確保することができる。その際の各単位投光部の駆動タイミングチャートの例を図23に示す。
実施形態1の図7の場合と同様に、91、92、93がラインCCD41制御用の制御信号であり、Sh信号91の間隔でラインCCD41のシャッタ解放時間が決定される。図7においては、左右のセンサユニットに関して説明しているが、ここでは個別に、センサユニット2001Lに関するタイミングチャートを説明する。センサユニット2001Rに関しても同様である。まず、前半のタイミングとして、センサユニット2001L中のラインCCD41の読出先頭側で、センサユニット2001L中の一方の受光部40による検出を行うために、Sh信号91に対して、LEDL信号94が赤外LED31に供給される。このLEDL信号94の供給先は、図に示すように、赤外LED31−1、31−2、31−3の赤外LED31である。次に、ICGL信号92によって、ラインCCD41の信号が読み出されるが、このときは、集光レンズ42−1に関わるラインCCD41の先頭側の受光範囲の光量分布信号としての画素データが読み出される。
次に、同じ、ラインCCD41に対して、後半のタイミングとして、Sh信号91が与えられ、センサユニット2001L中の他方の受光部40により検出を行うために、LEDL信号94が赤外LED31に供給される。このタイミングでのLEDL信号94の供給先は、図に示すように、赤外LED31−1、31−3、31−4の赤外LED31である。この出力は、先に検出した先頭部分の光量分布信号と重ならない領域に、集光レンズ42−2に関わる受光された信号が出力される。
駆動タイミングは、次のような特徴的を有する。4つの単位投光部(赤外LED31−1〜4、投光レンズ32−1〜4)の内、内側の2個の単位投光部(赤外LED31−1と投光レンズ32−1、赤外LED31−3と投光レンズ32−3)は、前半と後半のいずれの駆動タイミングにも同期して投光する。これは、複眼用其々の受光系に対して独立した6個の単位投光部を設ける場合に比べて、部品点数を少なくし、小型化、コストダウンをすることができる。
別のタイミングで、もう一方のセンサユニット2001Rを同様に駆動することで、ラインCCD41の検出信号が各々のセンサから読み出され、実施形態3では、最大4つの受光部による検出信号を取得することになる。この4つの検出信号の処理に関しては特許文献5に記載の通りであるので省略するが、この本発明の投光部増加に関わる実施形態3により、より受光量を増加することによるS/Nの増加、あるいは、大型化を実現した上での複数の指示入力の検出が可能となる。
もちろん、この実施形態3の複眼構成における単位投光部を複数配置する構成は、受光部40を挟んで両側に単位投光部を配置する構成では実現できない特徴的な構成である。<実施形態4>
実施形態1乃至3においては、単位投光部として、赤外LED(発光ダイオード)31及び投光レンズ32より成る構成を示しているが、投光レンズ32を省いて、赤外LED(発光ダイオード)31のみで構成してもよい。その場合には、赤外LED(発光ダイオード)31自体の投光範囲特性を考慮して、単位投光部間の距離、配置を決定する。この構成によれば、実施形態1の図17で説明する単位投光部間距離dを大幅に小さくすることができる。従って、受光部40を挟んで両側に単位投光部を配置する構成の場合の観測角に関わる受光部40と単位投光部間との距離をDとの関係で、d<Dとなり、より本発明の光量増加の効果が際立つことになる。
以上の実施形態においては、本発明の単位投光部を基準となる中央の単位投光部の左右に座標入力有効領域300の面に平行方向に受光部40の光軸に対して線対称となるように左右等距離d離して一つずつ単位投光部を配置する構成としている。しかしながら、本発明の構成は、これに限定されるものではなく、更に両側に複数の単位投光部を配置してもよい。
尚、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。