JP5881580B2 - 位相感応型光増幅装置 - Google Patents

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Description

本発明は光増幅装置に関し、具体的には、光通信システムや光計測システムにおいて用いられる光増幅装置に関する。
従来の光伝送システムでは、光ファイバを伝搬することにより減衰した信号を再生するために、光信号を電気信号に変換し、デジタル信号を識別した後に光信号を再生する識別再生光中継器が用いられていた。しかしながら、この識別再生光中継器では、光信号を電気信号に変換する電子部品の応答速度に制限があることや、伝送する信号のスピードが速くなると、消費電力が大きくなるなどの問題があった。
この問題を解決する増幅手段として、エルビウムやプラセオジム等の希土類元素を添加した光ファイバに励起光を入射して信号光を増幅するファイバレーザ増幅器や、半導体レーザ増幅器がある。ファイバレーザ増幅器や半導体レーザ増幅器は、信号光を光のままで増幅することができるので、識別再生光中継器で問題になっていた電気的な処理速度の制限が存在しない。加えて、機器構成も比較的単純であるという利点を有する。しかし、これらのレーザ増幅器は、劣化した信号光パルス波形を整形する機能を有さない。また、これらのレーザ増幅器においては、不可避的かつランダムに発生する自然放出光が信号成分とは全く無関係に混入されるので、信号光のSN比が増幅前後で少なくとも3dB低下する。これらは、デジタル信号伝送時における伝送符号誤り率の上昇につながり、伝送品質を低下させる要因になっている。
このような従来のレーザ増幅器の限界を打開する手段として、位相感応型光増幅装置(Phase Sensitive Amplifier:PSA)が検討されている。この位相感応型光増幅装置は、伝送ファイバの分散の影響による劣化した信号光パルス波形を整形するための機能を有する。また、信号とは無関係の直交位相を持つ自然放出光を抑圧できるために、増幅前後で信号光のSN比を劣化させず同一に保つことが原理的に可能である。
J. A. Levenson, I. Abram, T. Rivera, and P. Grainger, "Reduction of quantum noise in optical parametric amplification," J. Opt. Soc. Am. B, vol. 10, pp. 2233-2238 (1993). W. Imajuku, and A. Takada, "Gain characteristics of coherent optical amplifiers using a Mach-Zehnder interferometer with Kerr Media," IEEE J. Quantum Electron., vol. 35, no. 11, pp. 1657-1665 (1999). R. Slavik et al., "All-optical phase and amplitude regenerator for next-generation telecommunications system," Nature Photonics., vol. 4, pp. 690-695 (2010). T. Umeki, O. Tadanaga, and M. Asobe, "Highly efficient wavelength converter using direct-bonded PPZnLN ridge waveguide," IEEE J. Quantum Electron., vol. 46, no. 8, pp. 1206-1213 (2010). R. Slavik et al., "All-optical phase-regenerative multicasting of 40 Gbit/s DPSK signal in a degenerate phase sensitive amplifier," In Proceedings of the European Conference and Exhibition on Optical Communication (ECOC 2010, Torino, Italy) MO.1.A.2.
特願2011−009894号公報
しかしながら、上述した従来技術では以下に述べるような問題が存在する。
従来の位相感応型光増幅装置の基本的な構成を図1に示す。この光増幅器は、位相感応光増幅部101と、励起光源102と、励起光位相制御部103と、2つの光分岐部104−1、104−2とから構成される。この光増幅器は、位相感応光増幅部101における信号光と励起光の位相が後述する特定の関係を満たすと入力信号光110は増幅され、両者の位相が後述する特定の関係から90度ずれた直交位相関係になると、入力信号光110は減衰する特性を有する。この特性を利用して増幅利得が最大となるように励起光―信号光間の位相を制御し、同期させると、信号光と直交位相の自然放出光を発生させずに、つまりSN比を劣化させずに信号光を増幅することができる。
信号光と励起光の位相同期を達成するために、光分岐部104−1で分岐された入力信号光110の位相に同期するように励起光111の位相を制御する。励起光位相制御部103は、光分岐部104−2で分岐された出力信号光112の一部を狭帯域の検出器で検波し、出力信号が最大となるように励起光111の位相を制御する。その結果、位相感応光増幅部101において、信号光の位相と、励起光の位相とが同期するように制御され、SN比の劣化のない光増幅を実現することができる。なお、励起光位相制御部103は、図1に示すような励起光源102の出力側で励起光の位相を制御する構成の他に、励起光源102の位相を直接制御する構成としてもよい。また信号光を発生する光源が位相感応光増幅部の近くに配置されている場合は、信号光用光源の一部を分岐して励起光として用いることもできる。
位相感応増幅部には2次もしくは3次の非線形光学効果を有する媒質が用いられる。従来、これらの位相感応型光増幅装置は主に、光の量子状態を制御するスクィージング等の基礎研究分野で用いられてきた。しかし、近年光通信の高度化が進むにつれて、位相感応型光増幅装置の光通信への応用が注目を集めつつある。
3次の非線形光学効果を用いる場合は、光ファイバ等を非線形媒質として用い、非特許文献2に示されるように、信号光と同じ波長の1つの励起光を用い、励起光と信号光とを、非線形媒質に入射し、四光波混合を利用した縮退パラメトリック増幅を行うことにより位相感応増幅を達成することができる。しかし、光ファイバを用いた位相感応型光増幅装置においては、光通信のシステムに適用可能な構成は示されているものの、四光波混合を用いるため、信号光、励起光の波長が近接する構成となっている。非特許文献3に示されるように、光ファイバ中の非線形光学効果を利用できるようにエルビウム添加ファイバレーザ増幅器(EDFA)などの光ファイバレーザ増幅器により必要なパワーを得る構成が選択される場合が多いが、EDFAで光増幅を行う際に増幅自然放出光(ASE光)が雑音として励起光に重畳してしまう。ここで、励起光の波長と信号光の波長とが接近しているために、ASE光を取り除くことが困難であり、信号光波長にもEDFAから発生するASE光が重畳してしまう。結果として、信号光のSN比が劣化してしまい、低雑音での光増幅を行うことができないという欠点がある。
2次の非線形光学効果を用いた従来の位相感応型光増幅装置においては、主にSHGやパラメトリック増幅を起こすのに十分な高い出力のパルスレーザ光源を用いて動作させる構成しか示されておらず、一般的に微弱な光を扱う光通信のシステムに適用できるような構成は、最近まで提案されていなかった。
しかし、最近になって、特許文献1により、2次の非線形光学効果を利用した、一般的に微弱な光を扱う光通信のシステムにも適用できるような構成をもつ位相感応型光増幅装置が提案された。特許文献1で提案されている発明には、光増幅に伴って発生するASE光を信号光に重畳させずに位相感応型光増幅装置を構成することができるために、SN比の劣化を防ぎながら高品質な光信号増幅が可能になるという利点がある。
2次の非線形光学効果を利用する場合は、非特許文献1や特許文献1に示されるように、光学結晶等を非線形媒質として用い、信号光の第2高調波に相当する波長を励起光として用い、励起光と信号光を、非線形媒質に入射し、三光波混合を利用した縮退パラメトリック増幅(Optical Parametric Amplifier:OPA)を行うことにより位相感応増幅が達成される。この場合の最も基本的な構成は、図2に示すように、レーザ光源201からのレーザ光を分岐し、一方をSHG(Second Harmonic Generation)結晶202に入射し、他方を信号光210として用いる。第二高調波に変換された励起光211と信号光210とを縮退光パラメトリック増幅の可能な非線形光学結晶203に入射して、位相感応増幅を行う。
位相感応型光増幅装置においては、信号と位相の合った光のみを増幅するために、上述のように信号光と励起光の位相が一致、もしくはπラジアンだけずれている必要がある。すなわち2次の非線形光学効果を用いる場合は、第二高調波に相当する波長である励起光の位相φ2ωsと、信号光の位相φωsとが以下の(式1)の関係を満たすことが必要となる。
Δφ=1/2φ2ωs−φωs=nπ(ただし、nは整数) (式1)
図2は、二次非線形光学効果を利用した位相感応型光増幅装置の構成を示す図である。また図3は、従来の二次非線形光学効果を利用した位相感応型光増幅装置における、信号光‐励起光間の位相差Δφと、信号光利得(dB)との関係を示すグラフである。Δφが−π、0、またはπのときに、利得が最大となっていることがわかる。
図2に示した構成においても、図1で示したように出力信号光の一部を分岐して狭帯域の検出器で検波し、出力信号が最大となるように励起光の位相を制御して信号光と励起光の位相同期を達成することができる。
しかしながら、図1に示した構成の問題点は、励起光の位相を制御するために出力された信号光112の一部を分岐して検出しなくてはならない事にある。このため、増幅された光のすべてを活用することができなくなり、結果として光増幅装置の増幅効率が下がってしまう問題がある。この解決策として、増幅された信号光を使用せずに位相同期を行う手段の実現が望まれるが、安定して位相同期を行うための具体的な構成や方法は未だ公開されていない。
本発明の目的は、上記のような従来技術の問題を鑑みて、光通信に適用可能であり、かつ低雑音での増幅が可能な、従来に比してより高い増幅率を有する位相感応増幅装置を提供することである。
本発明は、非線形光学効果を用いた光混合によって信号光を増幅する位相感応型光増幅装置であって、基本波光を増幅する光ファイバレーザ増幅器と、周期的に分極反転された二次非線形光学材料からなる、該基本波光から励起光を発生させるための光導波路を備えた第1の二次非線形光学素子と、該基本波光と該励起光とから該励起光のみを分離するフィルタと、該信号光と該励起光とを合波する合波器と、周期的に分極反転された二次非線形光学材料からなる、該励起光を用いて該信号光のパラメトリック増幅を行うための光導波路を備えた第2の二次非線形光学素子と、増幅された該信号光と該励起光とを分離するフィルタと、該信号光の位相と該励起光の位相とを同期する位相同期手段と、該基本波光と励起光とから励起光のみを分離するフィルタから出力される該励起光の一部を分岐する手段と、該第2の二次非線形光学素子から出力される該励起光と該分岐された励起光の一部とを検出するバランス型光検出器とを備え、該位相同期手段は、位相変調手段と、該バランス型光検出器によって検出された信号強度変化をもとに帰還を行う位相同期ループ回路とを備え、前記位相感応型光増幅装置は、前記バランス型光検出器によって検出された信号、または前記位相同期ループ回路の帰還信号を反転する手段をさらに備えることを特徴とする。
本発明の一実施形態において、前記位相同期手段は、前記位相変調手段である位相変調器と、前記位相同期ループ回路と光学長の伸長器とから構成され、該位相同期ループ回路は該位相変調器と該光学長の伸長器に帰還を行うことを特徴とする。
本発明の一実施形態において、前記位相同期手段は、前記位相同期ループ回路と、前記励起光に位相同期している光を発生し、レーザの駆動電流の制御により位相を変調する半導体レーザとから構成され、該位相同期ループ回路は該半導体レーザの駆動電流に帰還を行うことを特徴とする。
本発明の一実施形態において、前記増幅された信号光と励起光とを分離するフィルタは、誘電体膜を用いたダイクロイックミラー、またはマルチモード干渉を利用した光分波素子、または方向性結合を利用した光分波素子であることを特徴とする。
本発明によれば、非線形光学効果であるパラメトリック増幅効果を利用して信号光の特定の位相だけを増幅する位相感応型光増幅器において、光通信で用いる微弱な光パワーからパラメトリック光増幅を利用するのに十分なパワーを得るために光ファイバ増幅器を用いながらも、光増幅に伴って発生するASE光を信号光に重畳させずに位相感応型光増幅器を構成することができるために、SN比の劣化を防ぎながら高品質な光信号増幅が可能になる。
さらに、特に優れた効果として、増幅された信号光の代わりに、従来信号処理には使用されなかった励起光である第二高調波を利用して位相制御を行うため、増幅された信号光の一部を分岐する必要がなくなり、増幅された信号光をすべて活用できるようになり、光増幅装置の増幅率を向上させることが可能になる。
この結果、光通信に適用可能かつ低雑音での増幅が可能な位相感応型光増幅装置により、光ファイバ中の信号のSN比を改善できるために、従来よりも高速の信号を低いパワーで長距離まで伝送することが可能になる。
従来の位相感応型光増幅装置の構成を示す図である。 二次非線形光学効果を利用した位相感応型光増幅装置の構成を示す図である。 二次非線形光学効果を利用した位相感応型光増幅装置における、信号光‐励起光間の位相差Δφと、信号光利得との関係を示すグラフである。 本発明における位相感応型光増幅装置の基本構成を示す図である。 本発明における位相感応型光増幅装置における、信号光‐励起光間の位相差Δφと、第二高調波強度との関係を示すグラフである。 位相同期に信号光を利用した位相感応型光増装置における、信号光‐励起光間の位相差Δφと、信号光における位相変調周波数成分の強度との関係を示すグラフである。 位相同期に励起光である第二高調波を利用し、基本波光に位相変調を施す位相感応型光増装置における、信号光‐励起光間の位相差Δφと、第二高調波における位相変調周波数の倍波成分の強度との関係を示すグラフである。 位相同期に励起光である第二高調波を利用し、励起光に位相変調を施す位相感応型光増装置における、信号光‐励起光間の位相差Δφと、第二高調波における位相変調周波数成分の強度との関係を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係る位相感応型光増幅装置の構成を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る位相感応型光増幅装置の応用型の構成を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る位相感応型光増幅装置の構成を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る位相感応型光増幅装置の構成を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[基本的構成]
本発明の位相感応型光増幅装置の基本的な構成を図4に示す。この光増幅装置は、位相感応光増幅部401と、励起光源402と、励起光位相制御部403と、2つの光分岐部(光カプラ等)404−1、404−2とから構成される。この光増幅器は、位相感応光増幅部401における信号光と励起光の位相が(式1)の関係を満たすと入力信号光410は増幅され、両者の位相が(式1)の関係より90度ずれた直交位相関係になると、入力信号光410は減衰する特性を有する。この特性を利用して増幅利得が最大となるように励起光―信号光間の位相を同期させると、信号光と直交位相の自然放出光を発生させずに、つまりSN比を劣化させずに信号光を増幅することができる。本発明が特許文献1に記載の発明と異なる点は、以下に述べるように、主として位相同期を達成する方法である。
信号光と励起光の位相同期を達成するために、光分岐部404−1で分岐された入力信号光410の位相と、励起光411の位相を、(式1)の関係を満たして同期するように制御する。光分岐部404−2で出力信号光412を一部分岐する変わりに励起光である第二高調波413を狭帯域の検出器で検波し、第二高調波413の出力信号が最小となるように励起光位相制御部403において励起光411の位相を制御する。その結果、位相感応光増幅部401において、信号光の位相と、励起光の位相とが(式1)の関係を満たして同期するように制御され、SN比の劣化のない光増幅を実現することができる。なお、励起光位相制御部403は、図4に示すような励起光源402の出力側で励起光の位相を制御する構成の他に、励起光源402の位相を直接制御する構成としてもよい。また信号光を発生する光源が位相感応光増幅部の近くに配置されている場合は、信号光用光源の一部を分岐して励起光として用いることもできる。
図5は、本発明における位相感応型光増幅装置における、信号光‐励起光間の位相差Δφと、励起光である第二高調波の光強度との関係を示すグラフである。Δφが−π、0、またはπのときに、パラメトリック増幅による信号光の利得が最大となるために、増幅に利用された第二高調波の光強度が最小となっていることがわかる。
以上が本発明の位相感応型光増幅装置の基本的な構成であるが、このアイデアを実現するためには以下の問題点がある。
問題点の第一は図5で示される励起光である第二高調波の光強度の変化が非常に小さいことである。本発明では、第二高調波の光強度が最小になるように、信号光と第二高調波との位相同期を行う必要があるが、この光強度変化が小さいとノイズの影響を受けやすく、強度最小を維持することが難しい。そのため、単に通常の光検出器で第二高調波を受信し、その光強度の変化を利用しようとしても極短時間しか位相同期が得られなかった。強度変化を大きくするため、受信した光強度を増幅器によって増幅することもできるが、受信する第二高調波はベースラインとなる平均出力強度が大きいため、安定した位相同期が得られるまで増幅しようとすると、増幅した信号を受けて処理を行う位相同期ループ(PLL)回路の入力が飽和してしまう。
問題点の第二は基本波光を増幅しているファイバレーザ増幅器のゲインの変化である。前述したように、PLL回路の入力が飽和しない程度まで第二高調波の光強度変化を増幅するが、充分な光強度変化が得られにくいため、飽和点付近まで増幅することになる。ファイバレーザ増幅器は温度調節され、ゲインを保つように設計されているが、室温等の外部環境の影響によりゲインがいくらかは変化してしまう。飽和点ぎりぎりに合わせてしまうと、ゲインが増加した時に入力の飽和が生じることとなり、反対に飽和点から余裕を持たせると、ゲインが減少した時に第二高調波の光強度変化が所望よりもかなり小さくなってしまい、安定した位相同期が得られない。
そこで、本発明においては、第二高調波の光強度変化が小さく、平均出力強度が大きいという問題とファイバレーザ増幅器のゲインが揺らぐという問題を解決するために、2入力間の差分を検出するバランス型光検出器(Balanced Photodetector)を用いて励起光である第二高調波の光強度変化を検出する手法を採用し、差分をとるためのもう片方の入力として、光パラメトリック増幅を行う二次非線形光学素子への入力に用いる第二高調波の一部を分岐して利用する構成にした。この構成では、光パラメトリック増幅を行う二次非線形光学素子へ入力する励起光強度が減少してしまうが、実際の素子への入力強度が分岐前の値になるように、基本波光を増幅するファイバレーザ増幅器、あるいは励起光用の光増幅器のゲインを少し増やすだけで解決できるため、実用上ほとんど影響が出ることはない。本構成では、バランス型光検出器は2入力間の差分を取る検出器であるため、第二高調波のベースラインである平均出力強度を差し引くことが可能となる。この差分検出により、位相同期を得る際に利用する第二高調波の光強度変化が零点付近の強度変化に変換されるため、弱い光強度変化を増幅器によって、安定した位相同期が得られるまで充分に増幅したとしても、PLL回路の入力が飽和することはない。入力の飽和まで余裕があるために、ファイバレーザ増幅器のゲインの変化が生じても重要な影響が生じなくなる。このように本構成を用いることにより、上述した問題が解決され、第二高調波を用いて安定した位相同期を得ることができる。
位相感応増幅では、励起光と信号光の位相を同期させることが必要である。以下に位相同期の特徴を詳述する。位相同期では、まず位相変調器やレーザの駆動電流制御等の位相変調手段により、基本波光あるいは励起光に微弱な位相変調を施す。基本波光に位相変調を施し、増幅された信号光の一部を位相同期に利用する場合は、PLL回路の位相比較器により位相変調周波数成分を検出すると、信号光の増幅利得が図3のようにΔφ依存性をもつために、図6のグラフのようになる。Δφが0の場合は変調成分強度が0であり、位相差が増えるほど強度が増大する。また、正負の位相差により符号に違いが生じるため、正負どちらの側に位相がずれているのか判断できる。この情報をもとにΔφが0になるように帰還を行い、位相同期を実現する。一方、基本波光に位相変調を施し、増幅に利用した第二高調波を位相同期に利用する場合は、PLL回路の位相比較器により位相変調周波数の倍波成分を検出すると、図7のグラフのようになる。図5のように、第二高調波では、Δφ依存性が基本波光と逆符合になるために、位相変調周波数の倍波成分のΔφ依存性も、基本波光を利用する場合とは逆符号になる。第二高調波に位相変調を施し、増幅に利用した第二高調波を位相同期に利用する場合には、倍波ではなく、位相変調周波数成分を検出する必要があるが、図8のグラフのように、Δφ依存性は基本波光を利用する場合とは逆符号になる。
[第1の実施形態]
図9に本発明の第1の実施形態の位相感応型光増幅装置900の構成を示す。本実施形態の位相感応型光増幅装置900では、データ信号用強度変調器901としてLNマッハツェンダー変調機を用い10Gb/sのNRZ信号を入力した場合の増幅特性を評価した。本実施形態では、光通信に用いられる微弱なレーザ光から非線形光学効果を得るのに十分なパワーを得るために、ファイバレーザ増幅器を用いて、基本波光を増幅する。増幅した基本波光を第1の二次非線形光学素子に入射して励起光である第二高調波を発生させる。第2の二次非線形光学素子に信号光と第二高調波とを入射して縮退パラメトリック増幅を行うことで、位相感応増幅を行う。
本実施形態では、1.54μmの信号光を増幅するために、入力信号光920の一部を光分岐部(光カプラ等)921−1で分岐して基本波光920−1として用いている。基本波光920−1は、エルビウム添加ファイバレーザ増幅器(EDFA)902を用いて増幅される。増幅された基本波光920−1は、第1の二次非線形光学素子903−1に入力される。本実施形態では、EDFA902から発生する広帯域なASE光が第1の二次非線形光学素子903−1により変換されることを防ぐために、EDFA902と第1の二次非線形光学素子903−1との間にバンドパスフィルタ904を挿入し、不必要なASE光をカットした。本実施形態の、二次非線形光学素子903は、周期的に分極反転されたニオブ酸リチウム(PPLN)から成る光導波路(PPLN導波路)905を備える。PPLN導波路905は擬似位相整合によりニオブ酸リチウムの最も高い非線形光学定数d33を利用することが可能であり、かつ光導波路構造により高い光パワー密度が得られるので、図9に示すような構成にすることで高い波長変換効率を得ることができる。PPLN導波路905に高強度のパワーを入射した場合にフォトリフラクティブ効果による光損傷により位相整合波長が変化する場合があるが、本実施形態ではそのような問題が生じないように、非特許文献4に示される直接接合により作製された導波路を用いている。
本実施形態では光損傷耐性に優れたZnを添加したニオブ酸リチウムをコアに用いた直接接合導波路を使用することにより、位相整合波長の変動を抑制した。また、ドライエッチング加工によりコア径を4μm程度まで小さくすることにより高い波長変換効率を実現した。第1のPPLN導波路905−1から出射した、励起光である第二高調波920−2と基本波光920−3とは、第1の非線形光学素子903−1に配置された第1のダイクロイックミラー906−1を用いて分離した。第1のダイクロイックミラー906−1で反射された0.77μmの第二高調波920−2は、この波長0.77μmにおいてシングルモード伝搬特性をもつ偏波保持ファイバ907を介して、第2の二次非線形光学素子903−2へと導かれている。このとき、第1のダイクロイックミラー906−1で完全には取り除けなかった波長1.54μm付近の励起光およびASE光も偏波保持ファイバ907に入射されることになるが、0.77μmにおいてシングルモードであるこのファイバは波長1.54μmの光に対しては光の閉じ込めが弱いために、1m程度の長さを伝搬させることにより、これらの不用な光を効果的に減衰させることができる。偏波保持ファイバ907で導かれた第二高調波920−2は、第2の非線形光学素子903−2に配置された、第2のダイクロイックミラー906−2を用いて波長1.54μmの信号光920−4と合波される。第2のダイクロイックミラー906−2は第二高調波920−2のみを反射させるために、第1のPPLN導波路905−1から出射され、第1のダイクロイックミラー906−1および偏波保持ファイバ907を通ってくる波長1.54μm付近の基本波光とASE光との残留成分を効果的に取り除くことができる。入力信号光920−4と励起光である第二高調波920−2とは合波され、第2のPPLN導波路905−2に入射される。第2のPPLN導波路905−2は、第1のPPLN導波路905−1と同等の性能、位相整合波長を有しており、縮退パラメトリック増幅により、入力信号光920−4を位相感応増幅することができる。本実施形態では、2つのPPLN導波路905−1、905−2はそれぞれ、個別の温度調節器により一定の温度となるように制御されている。2つのPPLN導波路905−1、905−2の作製誤差のために同一温度において位相整合波長が一致しない場合が考えられるが、そのような場合でも両者を個々に温度制御することにより、両者の位相整合波長を一致させることができる。第2のPPLN導波路905−2から出射された光は、第2の非線形光学素子903−2に配置された、第3のダイクロイックミラー906−3により励起光である第二高調波920−5と増幅された出力信号光920−6とに分離される。このときも第二高調波920−5と増幅された出力信号光920−6とは、波長が全く異なるために、出力において増幅された出力信号光920−6と第二高調波920−5は効果的に分離される。
本実施形態では、増幅された出力信号光920−6の一部を分岐し、位相同期に利用する特許文献1に記載の発明とは異なり、励起光である第二高調波920−5を利用して位相同期を行う。EDFA902の前に配置した位相変調器908を用いてsin波により微弱な位相変調を基本波光920−1に施す。第3のダイクロイックミラー906−3により分離した励起光である第二高調波920−5をバランス型光検出器909で受光した。バランス型光検出器909で受ける信号のうち、一方は第3のダイクロイックミラー906−3により分離した第二高調波920−5であり、もう一方は、第2のダイクロイックミラーを用いて合波される手前で光分岐(光カプラ等)921−2により分岐された第二高調波920−2である。この光分岐921−2により減少した、第2の非線形光学素子903−2への入力はEDFA902のゲインを上げることにより補償した。バランス型光検出器909を適切な設定で動作させることにより、第3のダイクロイックミラー906−3により分離した第二高調波920−5のベースラインである平均出力強度を差し引き、第二高調波920−5の微弱な光強度変化を零点付近の強度変化に変換した。変換した微弱な強度変化を電圧増幅器910にて適切な大きさまで増幅し、PLL回路911に入力した。PLL回路で位相ずれを検出して、EDFA901の前に配置したPZT光ファイバ伸長器912の駆動電圧と位相変調器908のバイアス電圧とに帰還(フィードバック)を行うことで、光ファイバ部品の振動や温度変動による光位相の変動を吸収して、安定的に位相感応増幅ができるようにした。前述したように、位相同期に、増幅された出力信号光920−6を利用するか、あるいは増幅に用いた励起光920−2を利用するかによって、位相変調に対応した光信号強度のΔφ依存性が異なるため、PLL回路911の動作が異なる。そのため、位相同期にどちらを利用するかによってPLL回路911を調整すればよい。しかし、バランス型光検出器909で受けた信号、あるいはPLL回路911の帰還信号を、反転回路913により反転させれば、もう片方の方法と同じ動作になるため、PLL回路911は変更の必要がない。このため、反転回路913を配置する構成を採用すれば、増幅された出力信号光920−6を用いる方法からの変更が容易になるというメリットがある。本実施形態では、電圧増幅器910の後段に反転回路913を配置した。本実施形態では、増幅に用いた第二高調波920−2を利用して(式1)の関係を満たすように位相を同期させることにより、増幅された出力信号光920−6をすべて活用できるようになったため、特許文献1に記載の発明のように増幅された出力信号光920−6を利用した場合と比較して、位相感応型光増幅装置900の利得がおよそ0.7dBほど増加した。
また、特許文献1に記載の発明と同様に、信号光のON状態に位相を合わせた状態では、入力信号に位相チャープが含まれていた場合でも、そのチャープ成分を除去して、チャープのない信号として整形して増幅可能である。
また、本実施形態では、励起光である第二高調波1020−5と増幅された出力信号光1020−6とを分離するフィルタとして、第3のダイクロイックミラー1006−3の代わりに、図10に示すように、第2のPPLN導波路1005−2の後段に配置したマルチモード干渉(MMI:Multi-Mode Interference)を利用した光分波素子(MMI光分波素子)1006を用いることもできる。
第二高調波1020−5と増幅された信号光1020−6を分離するように設計したMMI光分波素子1006を同一基板内に集積することによって、より小型な位相感応型光増幅装置1000を得ることが可能である。また、MMI光分波素子1006の代わりに方向性結合を利用した光分波素子を用いても同様の小型な位相感応型光増幅装置を得ることが可能である。位相同期を行うために利用する0.77μm帯の光に1.54μm帯の光が含まれていると、位相同期を行う上で雑音成分となる場合があるため、図10のようにハイパスフィルタ1014を挿入し、1.54μm帯の光をカットしても良い。また、PLL回路の動作を調整することで、図10のように反転回路を配置しない構成をとることもできる。
なお、図10に記載の位相感応形光増幅装置1000は、図9に記載の第三のダイクロイックミラー906−3を光分波素子1006に変更した点、及びハイパスフィルタ1014を挿入した点以外は、図9に記載の第1の実施形態である位相感応方光増幅装置900と構成は同一である。具体的には、入力・出力信号光1020、1020−4、1020−6、基本光波1020−1、第2高調波1020−2、1020−5、光分岐部1021−1、1021−2、データ信号用強度変調器1001、EDFA1002、非線形光学素子1003−1、1003−2、バンドパスフィルタ1004、PPLN導波路1005−1、1005−2、ダイクロイックミラー1006−1、1006−2、偏波保持フィルタ1007、位相変調器1008、バランス型光検出器1009、電圧増幅器1010、PLL回路1011、PZT光ファイバ伸長器1012、反転回路1013は、図9に記載の位相感応形光増幅装置900の、入力・出力信号光920、920−4、920−6、基本光波920−1、第2高調波920−2、920−5、光分岐部921−1、921−2、データ信号用強度変調器901、EDFA902、非線形光学素子903−1、903−2、バンドパスフィルタ904、PPLN導波路905−1、905−2、ダイクロイックミラー906−1、906−2、偏波保持フィルタ907、位相変調器908、バランス型光検出器909、電圧増幅器910、PLL回路911、PZT光ファイバ伸長器912、反転回路913に対応する。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の位相感応型光増幅装置1100について説明する。図11に本実施形態の位相感応型光増幅装置1100の構成を示す。本実施形態では、第1の実施形態と同様に1.54μmの信号を増幅するように装置を構成した。2つのPPLN導波路1105−1、1105−2を用いて、第二高調波を発生させ縮退パラメトリック増幅を行う点は第1の実施形態と同じである。相違点は、基本波光1120−1から第二高調波1120−2を分離する方式および第二高調波1120−2と信号光1120−4とを合波する方式である。本発明によれば光ファイバレーザ増幅器から発生するASE光に起因する信号光のSN比の劣化を抑制しながら位相感応増幅を行うことができるが、本実施形態ではその効果を有効に利用できるようにした。本実施形態においても、基本波光1120−1からの第二高調波1120−2の分離ならびに第二高調波1120−2と信号光1120−4との合波にはダイクロイックミラー1106−1、1106−2を用いている。一般的に、波長の異なる2つの光を分離または合波するために、一方の波長の光を反射し、他方の波長の光を透過するダイクロイックミラーがよく使用されているが、特に不必要な光をカットする用途の場合、カットしたい特定の波長光を反射させて使用する構成とすることが望ましい。逆に、カットしたい特定の波長の光を透過させ、必要とする光を反射させて取り出す構成の場合、不必要な波長におけるミラーの反射率を非常に小さくする必要がある。不必要な波長におけるミラーの反射率を非常に小さくすることに比べると、カットしたい特定の波長の光の透過率を下げることは比較的容易であるため、不要な波長の光を反射させる構成の方が不必要な光を効果的に抑圧することができる。本実施形態では、そのような考え方に基づいて装置を構成した。
光分岐部1121−1で、波長1.54μmの基本波光1120−1を入力信号光1120から分岐して用い、位相同期のためのLN位相変調器1108、PZT光ファイバ伸長器1112による光ファイバを介して、EDFA1102で増幅する。増幅した基本波光1120−1を、第1の二次非線形光学素子1103−1中の第1のPPLN導波路1105−1に入射し第二高調波1120−2を発生させる。本実施形態においては、第1のPPLN導波路1105−1から出射される基本波光1120−1から第二高調波1120−3のみを効果的に取り出し、EDFA1102から発生するASE光を効果的に除去するために、第1のPPLN導波路1105−1の後に、1.55μm帯を反射し、0.77μm帯を透過する第1のダイクロイックミラー1106−1を設置した。波長が0.77μmである第二高調波1120−2は、この波長においてシングルモード伝搬特性をもつ偏波保存ファイバ1107を介して、第2の二次非線形光学素子1103−2へと導かれている。第1の実施形態と同様に、0.77μmにおいてシングルモードであるこのファイバは波長1.54μmの光に対しては光の閉じ込めが弱いために、1m程度の長さを伝搬させることにより、不用な波長1.54μm付近の基本波光およびASE光を効果的に減衰させることができる。偏波保持ファイバ1107で導かれた第二高調波1120−2は、第2のダイクロイックミラー1106−2用いて波長1.54μmの入力信号光1120−4と合波される。本実施形態においては、偏波保持ファイバ1107を通ってくる波長1.54μm付近の基本波光およびASE光の残留成分を効果的に取り除くことができるように、1.54μm帯を反射し、0.77μm帯を透過するダイクロイックミラーを用いた。入力信号光1120−4と第二高調波1120−2とは合波された後、第2のPPLN導波路1105−2に入射され、縮退パラメトリック増幅により、信号光を位相感応増幅することができる。第2のPPLN導波路1105−2から出射された光は、第3のダイクロイックミラー1106−3により第二高調波1120−5と増幅された出力信号光1120−6とに分離される。本実施形態では、第3のダイクロイックミラー1106−3に、0.77μm帯を反射し、1.54μm帯を透過するダイクロイックミラーを用いた。本実施形態においても、第3のダイクロイックミラー1106−3により分離した第二高調波1120−5と、第2のダイクロイックミラー1120−6を用いて合波される手前で光分岐1121−2により分岐された第二高調波1120−2をバランス型光検出器1109で受光した後にPLL回路1111により位相同期を行うことで安定的に位相感応増幅ができるようにしている。本実施形態では、PLL回路1111の帰還信号に反転回路1113を作用させている。また、増幅器を内蔵するバランス型光検出器を採用したため、光検出器1109の後段に電圧増幅器は配置していない。本実施例でも増幅された出力信号光1120−6をすべて活用できるようになったため、増幅された出力信号光1120−6を利用した場合と比較して位相感応型光増幅装置1100の利得がおよそ0.7dBほど増加した。
本実施形態においては、それぞれ特性の異なるダイクロイックミラー1106−1、1106−2及び1106−3を、基本波光1120−1からの第二高調波1120−2の分離ならびに第二高調波1120−2と入力信号光1120−4との合波に用いたために、特に信号のSN比に悪影響を与えるEDFA1102からのASE光を信号光に混入させることなく、高い信号品質が得られる位相感応型光増幅器を構成することができた。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態の位相感応型光増幅装置1200について説明する。図12に本実施形態の位相感応型光増幅装置1200の構成を示す。
上述の第1及び第2の実施形態においては、基本波光として入力信号光1220から分岐した光1220−1を用いた。すなわち、基本波光1220−1は、入力信号光1220と同一の光源を増幅して得ていた。例えば光通信における送信器に用いる場合には、これまでに説明したような同一の光源を信号光と基本波光に使用し、基本波光を分岐したのちに信号光に必要な変調を加えることが考えられる。一方、第3の実施形態では、あらかじめ変調された信号光の増幅ができるよう、図12に示すように装置を構成した。本実施形態に係る装置1200は、2値の位相変調(BPSK)または2値差動位相変調(DPSK)信号もしくは通常の強度変調などの信号を、雑音を付加することなく増幅することができる。
本実施形態においては、基本波光1220−1を得るために光分岐部1221−1で入力信号光1220を分岐し、分岐した基本波光1220−1をEDFA1202で増幅させる。増幅された基本波光1220−1を第1の二次非線形光学素子1203−1中の第1のPPLN導波路1205−1に入射し、信号光の第二高調波1220−2を発生させる。第1のPPLN導波路1205−1の出射光から第二高調波1220−2のみを分離するために第1のダイクロイックミラー1206−1を使用する。分離された第二高調波1220−1を、波長0.77μmで発振し、駆動電流の制御により位相変調が可能である半導体レーザ1207−1に入射することにより注入同期が行われる。半導体レーザ1207−1の出力は、半導体レーザと同様の波長帯域に利得を持つ半導体光増幅器1207−2により増幅され、励起光である第二高調波1220−7として、第2のダイクロイックミラー1206−2を用いて波長1.54μmの入力信号光1220−4と合波される。入力信号光1220−4と波長0.77μmの第二高調波1220−7とは合波された後、第2のPPLN導波路1205−2に入射され、縮退パラメトリック増幅により、信号光を位相感応増幅することができる。
位相感応増幅を行うためには半導体光増幅器1207−2に入射してくる信号光の平均位相に同期した励起光を生成する必要がある。本実施形態においては、2値の位相変調を施されたような信号を用いる場合であっても、その平均位相に同期した励起光を生成することができる。以下、その動作原理について簡単に説明する。2値の位相変調においては信号の位相を0とπラジアンの2つの値に変調して信号を送信している。このような信号をEDFA1202で増幅したのちに第1のPPLN導波路1205−1に入射し、第二高調波1220−2を発生させた場合、第二高調波の位相φ2ωは、次の(式2)で表される。
φ2ω=2φωs (式2)
ここでφωsは信号光の位相である。従って、位相が0とπの2値に変調された信号に対する第二高調波の位相は、0と2πの2値となり、位相変調による位相の変動が打ち消された光となって出力される。実際の位相変調信号においては、理想的に位相のみを変調することは困難であり、強度変調を伴った信号となる。従って、強度変調成分のない励起光を得るためには、上記の位相変調成分を取り除いた第二高調波を本実施形態のように注入同期を用いて、信号光の平均位相に同期させて、励起光とすることが望ましい。
本実施形態においては、注入同期を用いて位相変調の施された信号光から平均位相に同期した強度変調のない励起光を生成する。これにより、仮に信号光に位相雑音が付加された場合であっても、本来の信号と直交する位相成分は、位相感応増幅により減衰させることができるので、信号位相および直交位相の雑音成分を取り除くような信号再生を行うことができる。
本実施形態においては、注入同期に用いる半導体レーザ1207−1の駆動電流の制御により微弱な位相変調を行っている。第3のダイクロイックミラー1206−3により分離した第二高調波1220−5と、第2のダイクロイックミラー1206−2を用いて合波される手前で光分岐1221−2により分岐された第二高調波1220−7をバランス型光検出器1209で受光した後に、PLL回路1211で位相ずれを検出し、(式1)の関係を満たして同期するように0.77μmの駆動電流に帰還を行うことで光学部品の振動や温度変動による位相変動を補正し、安定的に位相感応増幅ができるようにしている。なお、本実施形態では反転出力機能を有するバランス型光検出器1209を用いたため、反転回路は配置していない。また、本実施形態の場合、第二高調波に位相変調を施しているので、前述の実施形態とは異なり、位相変調周波数成分を検出して位相同期を行う。光分岐により減少した、第2の非線形光学素子1203−2への入力は半導体光増幅器1207−2のゲインを上げることにより補償した。本実施例でも増幅された信号光1220−6をすべて活用できるようになったため、増幅された信号光1220−6を利用した場合と比較して位相感応型光増幅装置1200の利得がおよそ0.7dBほど増加した。本実施形態においては、第1のPPLN導波路1205−1における第二高調波発生1220−2が可能となるパワーを得るためにEDFA1202を用いているが、EDFA1202から発生するASE光が位相感応増幅を行う第2のPPLN導波路1205−2に入射しないために、光増幅器1207−2のASE光に起因する信号光のSN比劣化を防ぐことができる。また、波長0.77μmで動作する半導体光増幅器1207−2からもASE光は発生するが、この光は信号光と波長が全く異なるために、第2と第3のダイクロイックミラー1206−2、1206−3によってほぼ完全に取り除くことが可能であり、信号光のSN比を劣化させることなく、位相感応増幅を行うことが可能である。
101、401 位相感応光増幅部
102、402 励起光源
103、403 励起光位相制御部
104−1、104−2、404−1、404−2、921−1、921−2、1021−1、1021−2、1121−1、1121−2 光分岐部
110、410、920、920−4、1020、1020−41120、1120−4、1220、1220−4 入力信号光
111、211、411 励起光
112、412、920−6、1020−6、1120−6、1120−6 出力信号光
201 レーザ光源
202 SHG結晶
203 OPA結晶
210 信号光
413、920−2、920−5、1020−2、1020−5、1120−2、1120−5、1220−2、1120−5、1120−7 第2高調波
900、1000、1100、1200 位相感応型光増幅装置
901,1001 データ信号用強度変調器
902、1002、1102、1202 EDFA
903−1、1003−1、1103−1、1203−1 第1の非線形光学素子
903−2、1003−2、1103−2、1203−2 第2の非線形光学素子
904、1004 バンドパスフィルタ
905−1、1005−1、1105−1、1205−1 第1のPPLN導波路
905−2、1005−2、1105−2、1205−2 第2のPPLN導波路
906−1、1006−1、1106−1、1206−1 第1のダイクロイックミラー
906−2、1006−2、1106−2、1206−2 第2のダイクロイックミラー
906−3、1106−3、1206−3 第3のダイクロイックミラー
907、1007、1107 偏波保持フィルタ
908、1008、1108 位相変調器
909、1009、1109、1209 バランス型光検出器
910、1010、1110、1210 電圧増幅器
911、1011、1111、1211 PLL回路
912、1012、1112 PZT光ファイバ伸長器
913、1013、1113 反転回路
920−1、920−3、1020−1、1020−3、1120−2、1120−5、1220−1 基本光波
1006 光分波素子
1014 ハイパスフィルタ
1207−1 半導体レーザ
1207−2 半導体光増幅器

Claims (4)

  1. 非線形光学効果を用いた光混合によって信号光を増幅する位相感応型光増幅装置であって、
    基本波光を増幅する光ファイバレーザ増幅器と、
    周期的に分極反転された二次非線形光学材料からなる、該基本波光から励起光を発生させるための光導波路を備えた第1の二次非線形光学素子と、
    該基本波光と該励起光とから該励起光のみを分離するフィルタと、
    該信号光と該励起光とを合波する合波器と、
    周期的に分極反転された二次非線形光学材料からなる、該励起光を用いて該信号光のパラメトリック増幅を行うための光導波路を備えた第2の二次非線形光学素子と、
    増幅された該信号光と該励起光とを分離するフィルタと、
    該信号光の位相と該励起光の位相とを同期する位相同期手段と、
    該基本波光と励起光とから励起光のみを分離するフィルタから出力される該励起光の一部を分岐する手段と、
    該第2の二次非線形光学素子から出力される該励起光と該分岐された励起光の一部とを検出するバランス型光検出器とを備え、
    該位相同期手段は、位相変調手段と、該バランス型光検出器によって検出された信号強度変化をもとに帰還を行う位相同期ループ回路とを備え、
    前記位相感応型光増幅装置は、前記バランス型光検出器によって検出された信号、または前記位相同期ループ回路の帰還信号を反転する手段をさらに備えることを特徴とする位相感応型光増幅装置。
  2. 前記位相同期手段は、前記位相変調手段である位相変調器と、前記位相同期ループ回路と光学長の伸長器とから構成され、該位相同期ループ回路は該位相変調器と該光学長の伸長器に帰還を行うことを特徴とする請求項1に記載の位相感応型光増幅装置。
  3. 前記位相同期手段は、前記位相同期ループ回路と、前記励起光に位相同期している光を発生し、レーザの駆動電流の制御により位相を変調する半導体レーザとから構成され、該位相同期ループ回路は該半導体レーザの駆動電流に帰還を行うことを特徴とする請求項1に記載の位相感応型光増幅装置。
  4. 前記増幅された信号光と励起光とを分離するフィルタは、誘電体膜を用いたダイクロイックミラー、またはマルチモード干渉を利用した光分波素子、または方向性結合を利用した光分波素子であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の位相感応型光増幅装置
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