JP5880981B2 - コンクリート表面の吸水試験方法及び吸水試験装置 - Google Patents

コンクリート表面の吸水試験方法及び吸水試験装置 Download PDF

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Description

本発明は、コンクリート表面の吸水試験方法及び吸水試験装置に関するものであり、より詳細には、コンクリート構造物の表面の吸水性を原位置測定可能な非破壊方式の吸水試験方法及び吸水試験装置に関するものである。
新設又は既設のコンクリート構造物の耐久性を判定する原位置試験方法として、実構造物の物質移動抵抗性を直接的に測定する非破壊検査又は非破壊調査が知られている。建設後のコンクリート構造物においては、ひび割れ、打重ね目、打継ぎ目等により物質移動抵抗性が低下するので、物質移動抵抗性の低下を原位置において調べる非破壊検査又は非破壊調査は、コンクリート構造物の耐久性を判定する上で有効な方法である。
物質移動抵抗性を直接的に測定する手法として、空気の動きに着目した透気性試験や、水の動きに着目した透水試験又は吸水試験が知られている。コンクリートの劣化には、水が関与した化学反応、物理作用等が殊に関係すると考えられる。例えば、非常に乾燥した環境においては、鉄筋コンクリートの中性化残りが0mmであっても、鋼材が腐食していない事例もある。従って、水の動きを捉えることは、コンクリートの劣化を把握する上で重要である。
一般的な実構造物に作用する水圧は、降雨等により表面に作用する比較的小さい水圧である。コンクリートに作用する流体圧力の相違により、物質移動に支配的となる細孔径や物質移動メカニズムが異なる。このため、試験は、実構造物の環境と同等の条件、即ち、水頭200〜300mm程度の比較的低い水圧がコンクリート表面に作用する条件で実施されることが望ましい。一般に数N/mm2の水圧をコンクリート表面に作用せしめる透水試験においては、コンクリートの組織の破壊によって試験後の透水性が上昇してしまった事例もある。従って、降雨時にコンクリート表面に作用する圧力程度の水圧をコンクリート表面に作用せしめるにすぎない吸水試験が一般に有効であると考えられる。
コンクリートの表面においてコンクリートが吸水する水量を測定するための公知の表面吸水試験(以下、「吸水試験」という。)方法として、「British Standard 1881-5」「Method of Testing Concrete」「Initial Surface Absorption Test」(非特許文献1、以下「ISAT」という。)が知られている。この試験方法及び試験装置おいては、水頭200mmの水圧がコンクリート表面に作用した条件で吸水量が測定される。200mmの水頭は、激しい雨によってコンクリート表面に作用する水圧よりも僅かに大きい程度の水圧である。また、「An automated method for the measurement of surface water absorption into permeable materials」(非特許文献2)には、キャピラリーチューブと、高度な光学測定機器を用いて様々な透水性材料の吸水性を測定する測定方法が記載されている。更には、「JIS A6909-2003、 建築用仕上塗剤」(非特許文献3)には、建築用仕上塗剤の透水試験方法が記載されている。但し、JIS A6909-2003の試験は、コンクリート表面等に塗布される塗料等を塗布した試験体を用いて、塗料等の吸水性又は透水性を試験する吸水試験又は透水試験である。
しかしながら、これらの試験方法及び試験装置は、コンクリート試料の供試体の水平表面の吸水性又は透水性を実験室において測定するための試験方法及び試験装置であるにすぎず、土地に定着し且つ外的要因(環境条件、施工条件等)の影響を受ける実構造物の鉛直壁面等に対する原位置吸水試験又は原位置透水試験を実施するための試験装置及び試験方法でない。即ち、非特許文献1〜3に記載された試験装置又は試験方法は、実構造物の表面吸水性を原位置において非破壊試験するためのものではない。また、実構造物自体から供試体を採取し、非特許文献1〜3に記載された試験方法を用いて実構造物の吸水性を実験室において試験することも考えられる。しかし、このような供試体を実構造物から採取する試験方法は、新設直後の実構造物に対する吸水試験方法としては現実に採用し難く、また、過去に建設された既存構造物から供試体を採取する場合であっても、試料の採取位置が限定されるとともに、試験後に実構造物を補修する必要が生じる。
また、従来の吸水試験方法として、ドリル削孔を伴う実構造物の試験方法が知られている。しかし、このような吸水試験も又、実構造物の損傷を伴う原位置試験であり、実構造物の非破壊試験ではない。
他方、シラン系撥水材を塗布した既存のコンクリート構造物の原位置吸水試験を行う吸水試験装置が非特許文献4及び5に記載されている。非特許文献4及び5に記載された試験装置は、管状の鉛直ピペットを備えた円形の吸水カップを実構造物の壁面に固定し、吸水カップ内に充填した水の減少量を測定してコンクリート表面の吸水量を原位置測定するように構成される。
また、非破壊で小形の吸水カップをコンクリートの鉛直表面に固定可能な吸水試験装置として、真空圧力を用いて吸水カップの支持板を鉛直面に固定する方式の簡易な原位置試験装置が知られている。
「British Standard 1881-5」「Method of Testing Concrete」「Initial Surface Absorption Test」 「An automated method for the measurement of surface water absorption into permeable materials」(Construction and Building Materials、Vol.9、No.1、pp.3-10、1995年) 「JIS A6909-2003、建築用仕上塗剤」 「コンクリート用撥水材の防水効果を現場で簡便に評価するための透水試験方法」(コンクリート工学年次論文集、Vol.28、No.1、pp.2009-2014、2006年) 「浸透性吸水防止材の長期的な耐久性に関する研究」(コンクリート構造物の補修・補強、アップグレード論文報告集 第10巻 2010年10月)
一般に、コンクリート表層部分の品質はコンクリート表層部分の緻密性により評価される。また、コンクリート構造物はコンクリート及び鉄筋の協働作用により所期の強度を発揮するが、コンクリート内の鉄筋は、コンクリートの表層部分によって保護されるので、実構造物のコンクリートの耐久性は、コンクリート表層部分の緻密性によって大きく相違する。しかしながら、従来の吸水試験は、コンクリートの表面に塗布された撥水材、塗料、プライマー等の防水効果又は耐水効果や、コンクリート表面のひび割れを検出するために実施されていたにすぎず、吸水試験の試験結果は、コンクリート表層部分の緻密性を評価するためには使用されていない。
コンクリート表層部分の緻密性は、設計条件又は施工条件、例えば、施工時のコンクリートの水セメント比、コンクリートの配合(膨張材の使用等)、施工時のコンクリートの養生期間、コンクリートの養生方法等により相違する。また、コンクリート表層部分の緻密性は、コンクリート硬化時又は硬化後の条件、例えば、コンクリート構造物の環境条件(気候、日射、重力等)、セメントの水和反応時の発熱、コンクリート構造物の拘束状態、表面含浸材(撥水材等)の使用等によっても相違する。従って、原位置吸水試験によってコンクリート表層部分の緻密性を評価し又は明確化することが可能であれば、コンクリート施工時の状態を原位置吸水試験によって類推又は特定し、或いは、コンクリート硬化時又は硬化後の履歴情報を原位置吸水試験によって類推又は特定することが可能となると考えられる。しかしながら、吸水試験の試験結果をコンクリート表層部分の緻密性の原因因子等と関連して分析することは、過去に試みられていない。
また、非特許文献3及び4に記載された従来の原位置吸水試験においては、コンクリート表面の吸水量は、吸水チャンバのシリンダー部の水位変化を所定の時間間隔で目視観察することにより測定されるにすぎず、吸水量の変化を連続的に計測し、或いは、微小な時間間隔で継続的に計測することはできなかった。
更に、吸水試験装置は、新設構造物の竣工検査に適用し得るような完全非破壊試験であることが望ましいが、非特許文献4及び5に記載された試験装置においては、パテ状シリコンや、速硬性のエポキシ樹脂等によって吸水カップをコンクリートの鉛直表面に接着しなければならず、試験装置の固定跡がコンクリート表面に残留する。このため、試験後にコンクリート表面を研磨して固定跡を除去する必要があり、従って、非特許文献4及び5に記載された試験は、完全な意味での非破壊試験であるとはいえない。
他方、真空圧力を用いて支持板を鉛直面に固定する方式の上記吸水試験装置が知られているが、この装置においては、吸水カップの直径は、約25mmであるにすぎず、吸水カップの吸水開口面積は、約490mm2であるにすぎない。このように直径が小さく、従って、吸水開口面積が小さい吸水カップを用いた場合、吸水カップの外周部の周長が吸水開口面積に対して相対的に大きく、従って、吸水カップの周囲に拡散する水量の影響が大きく顕れるので、コンクリート表面の吸水量を正確に測定することはできない。
従って、実構造物に適用可能な原位置試験を行うことができ、しかも、コンクリートを全く破壊しない完全非破壊方式の吸水試験装置及び吸水試験方法は、依然として確立されていない。
また、従来の吸水試験装置においては、試験用の水を急速に吸水カップに注入すると、注水時に吸水カップ内に空気泡が残留するため、注水に少なくとも1分の時間を確保しており、注水開始後の1分未満に生じるコンクリート表面の初期吸水量を測定することはできなかった。しかし、コンクリート表面は、水に接触した直後に水を急減に毛管吸水する性質を有するので、注水開始後の1分未満の初期吸水量を測定できない従来の試験装置では、コンクリートの吸水特性を把握する上で限界があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、実構造物のコンクリート表層部分の緻密性と関連する原因因子等を解明し又は評価すべく、実構造物のコンクリート表面の吸水性を原位置測定することができる吸水試験方法を提供することにある。
本発明は又、このような吸水試験方法において好適に使用し得る吸水試験装置であって、コンクリート表面又はその表層部分を全く破壊しない完全非破壊方式の吸水試験を実施することができる吸水試験装置を提供することを目的とする。
本発明は更に、このような吸水試験方法及び吸水試験装置において、短時間に注水作業を完了し、早期に(好ましくは、注水開始後15秒以内に)吸水量の測定を開始することができる吸水試験方法及び吸水試験装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明は、吸水カップの吸水開口の縁部をコンクリート構造物のコンクリート表面に密接させ、吸水試験用の水を前記吸水チャンバ内に注入し、前記吸水カップ内の吸水チャンバから前記コンクリート構造物に吸水される水量を原位置測定するコンクリート表面の吸水試験方法において、
前記吸水チャンバに保持された水の水量を連続的に検出し、或いは、微小時間間隔で継続的に検出して、注水完了後の経過時間及び吸水速度を測定し、所定の経過時間において測定された前記吸水速度に基づいて、コンクリートの表層部分の緻密性と関連する原因因子又は評価因子の同定又は比較を行うことを特徴とするコンクリート表面の吸水試験方法を提供する。
本発明に係る上記吸水試験は、非破壊試験であり、本発明の吸水試験方法は更に、少なくとも下記(1)〜(3)のいずれかの構成を有する。
(1)前記原因因子又は評価因子の同定又は比較のため、注水開始後の1分未満の時間帯に生じるコンクリート表面の初期吸水量を少なくとも測定すべく、前記吸水チャンバへの注水時に該吸水チャンバ内の空気泡の排出を促進する脱気手段を用い、前記吸水チャンバに対する水の注入を15秒以内に完了して、前記コンクリート表面の吸水量の計測を注水開始後15秒以内に開始する(請求項1)。
(2) 前記原因因子又は評価因子は、コンクリート打設時の水セメント比、或いは、コンクリート打設後の型枠存置期間であり、
前記水セメント比又は型枠存置期間の同定又は比較のために、前記水量の検出を注水開始後15秒以内に開始し、注水開始後の1分未満の時間帯に生じるコンクリート表面の初期吸水量の変化を含む前記水量の変化を測定する(請求項2)。
(3)前記水量は、前記チャンバ内の水圧によって検出される(請求項3)。
本発明の上記構成によれば、注水完了後にコンクリート表面が吸水する吸水量が実質的に連続的に検出され、注水完了後の経過時間と関連した吸水量の変化、即ち、吸水速度が測定される。特定の経過時間の吸水速度を基準として、コンクリート表層部分の緻密性と関連する原因因子(又は原因指標)、或いは、評価因子(又は評価指標)を同定し又は比較することが可能である。例えば、経過時間10分における吸水速度と、コンクリート施工時の水セメント比と、コンクリート施工時の養生期間(型枠存置期間)との間に相関関係があることが、本発明者の最近の研究により判明した。水セメント比及び養生期間は夫々、コンクリート表層部分の緻密性と密接に関連する原因因子又は評価因子の一種である。即ち、コンクリート表層部分の緻密性と関連する原因因子又は評価因子の情報が、吸水速度の測定によって得られ、これにより、コンクリート表層部分の品質を客観的に評価することが可能である。
また、上記試験方法によれば、多数の実構造物に関し、注水完了後の経過時間と吸水速度との関係を統計処理し又はデータ化することができる。本発明者の最近の研究によれば、所定の経過時間における吸水速度の実測値は、正規分布に従う傾向がある。従って、吸水速度の実測値は、統計処理又はデータベース化に適する。これは、しきい値の設定が必要なコンクリート表層部分の品質検査方法として吸水試験を使用し得ることを意味する。
更に、実構造物においては、緻密性の原因因子又は評価因子(水セメント比、養生期間等)が施工記録として既に存在することがある。従って、吸水速度と、緻密性の原因因子又は評価因子とを統計処理して両者の関係をデータベース化することができる。これは、明瞭な施工記録が存在しない実構造物、或いは、施工記録が存在したとしても、施工条件又は設計条件等を施工後に確認する必要がある実構造物等において、本発明の吸水試験方法を適用すれば、コンクリート表層部分の緻密性と関連する原因因子又は評価因子をデータベースに基づいて同定し又は適切に比較検討し得ることを意味する。
また、吸水チャンバへの注水時に吸水チャンバ内の空気泡の排出を促進する脱気手段を用いた本発明の吸水試験方法によれば、注水時に空気泡が吸水カップ内に残留するのを防止し、これにより、注水速度を加速して注水時間を大幅に短縮することができる。このような脱気手段を用いることにより、水の注入を15秒以内、好ましくは、10秒以内(平均約5秒)に完了することができるので、コンクリート表面の吸水量の計測は、注水開始後15秒以内(好ましくは、10秒以内)に開始することができる。このような早期の計測開始により、少なくとも、注水開始後の1分未満に生じるコンクリート表面の初期吸水量を測定し、コンクリート表面の吸水特性を正確に把握することができる。
殊に、注水開始後1分未満(特に、30秒未満)の時間帯に生じるコンクリート面の吸水特性には、多くの情報が含まれる。本発明により、このような初期的なコンクリート面の吸水特性を個々の実構造物に関して正確に測定することにより、コンクリートの表層部分の緻密性と関連する原因因子又は評価因子の同定又は比較を効果的に行うことが可能となる。
好ましくは、脱気手段は、シリンダー部(水頭管)の管路下端部に設けられた下方拡開部、或いは、管路が開口する吸水カップ内壁面の傾斜からなる。変形例として、吸水チャンバ最下端部の排水管からの注水によりシリンダー部の管路全体を脱気手段として用い、或いは、吸水カップに付加的に設けられた排気口等を脱気手段として用いても良い。
本発明は又、新設又は既設のコンクリート構造物の非破壊吸水試験を行うためのコンクリート表面の吸水試験装置であって、原位置吸水試験用の水を充満可能な吸水チャンバを備えた吸水カップを有し、該吸水カップは、コンクリート構造物のコンクリート表面に密接可能な縁部に囲まれた吸水開口を備えており、前記コンクリート表面が前記吸水開口を介して前記吸水チャンバ内の水に接触して吸水するコンクリート表面の吸水試験装置において、
前記吸水チャンバに保持された水の水量を連続的に検出し、或いは、前記水量を微小時間間隔で継続的に検出するための検出部を備えた検出器と、
該検出器の検出結果が入力され且つ注水完了後の経過時間及び吸水量を表示し又は記録する測定装置とを有することを特徴とするコンクリート表面の吸水試験装置を提供する。
本発明の吸水試験装置は更に、少なくとも下記(1)〜(3)のいずれかの構成を有する。
(1)前記検出器は、前記吸水チャンバ内の水圧を検出する水圧センサである(請求項8)。
(2)前記検出器は、注水開始後1分未満の時間に水量の検出を開始する検出器であり、
前記吸水カップは、前記吸水チャンバに対する水の注入を15秒以内に完了するために、前記吸水チャンバへの注水時に該吸水チャンバ内の空気泡の排出を促進する脱気手段を有する(請求項9)。
(3)複数の前記吸水カップの位置を固定するための位置固定具を有し、該位置固定具は、前記コンクリート表面から間隔を隔てた位置に配置された横架材と、該横架材によって支持され且つ前記吸水カップを前記コンクリート表面に向かって押圧する押圧具と、前記横架材の位置を保持し且つ該横架材を前記コンクリート構造物に一体的に連結する保持具とを有し、
前記水量の検出を注水開始後1分未満の時間に開始し、注水開始後の1分未満の時間帯に生じるコンクリート表面の初期吸水量を測定するために、前記吸水チャンバへの注水時に該吸水チャンバ内の空気泡の排出を促進する脱気手段が、各々の前記吸水カップに設けられる(請求項12)
本発明の上記構成によれば、注水完了後にコンクリート表面が吸水する吸水量が実質的に連続的に検出され、注水完了後の経過時間と関連した吸水速度を計測することができる。このような吸水試験装置によれば、上記構成の吸水試験方法を容易に実施することができる。
好ましくは、水圧センサの検知部は、吸水チャンバの最下部又はその近傍の水圧を検出するように吸水カップ内に挿入される。更に好ましくは、上記測定装置は、水圧センサの検出値を吸水量に変換する検出値変換手段を備えるとともに、単位時間当りの吸水量の変化又は変動に基づいて吸水速度を演算する吸水速度演算手段を有する。吸水チャンバ内の水圧変化を検出することにより、シリンダー部の水位変化を高い精度(例えば、1mm未満の精度)で検出することができる。目視観察に依存した従来の吸水試験では、一人の人間が同時に観察し得る吸水試験装置の数は、比較的近い位置であっても2〜3箇所が限界であったが、吸水チャンバ内の水圧を検出する方法の吸水試験によれば、多数の吸水試験装置を用いた多数箇所又は遠隔箇所の吸水試験を同時に実施することができる。
好ましくは、「微小時間間隔」は、10秒以下の時間であり、上記吸水開口は、5000mm2以上の開口面積を有する。この開口面積の値は、前述のISATに規定された下限値(5000mm2)とも整合する
好ましくは、上記保持具は、コンクリート構造物の表面に負圧下に吸着する吸着手段、或いは、コンクリート構造物に埋設された既設螺子部材に螺合する機械的連結手段を有する。吸着手段又は機械的連結手段は、横架材に作用する押圧具の反力を超える力で横架材をコンクリート構造物に連結する。更に好ましくは、吸着手段は、コンクリート表面に吸着可能な吸着部と、吸着部とコンクリート表面との間で密封された負圧チャンバと、負圧チャンバ内の空気を吸引する減圧装置に対して負圧チャンバを接続する減圧装置接続手段とを有する。また、上記既設螺子部材は、コンクリート構造物に少なくとも部分的に埋め込まれたセパレーターからなり、機械的連結手段は、セパレーターの螺子部に螺合する螺子連結部を備えた連結具からなる。
このような構成の吸水試験装置によれば、吸水カップは、コンクリート表面に作用する負圧、或いは、コンクリート構造物に埋設された既設螺子部材との機械的連結によって、吸水コンクリート表面に一体的に連結されるので、コンクリート構造物の損傷を回避することができる。従って、このような吸水試験装置によれば、研磨処理を要するような吸水カップの固定跡が吸水カップ撤去後にコンクリート表面に残留せず、従って、実構造物に一切の痕跡を残さない完全非破壊方式の原位置吸水試験を実施することができる。しかも、上記構成の吸水試験装置によれば、吸水カップを実構造物のコンクリート表面に簡易且つ迅速に設置することができる。
他の観点より、本発明は、コンクリート表面の透水量を測定するコンクリート表面の透水試験方法及び透水試験装置として応用することができる。この場合、吸水チャンバ内の水を所定圧力に加圧する加圧手段が吸水カップに関連して更に設けられ、吸水チャンバ内の水が加圧される。
本発明の吸水試験方法によれば、実構造物のコンクリート表面の吸水性を原位置測定し、実構造物のコンクリート表層部分の緻密性と関連する原因因子等を解明し又は評価することができる。
本発明の吸水試験装置によれば、このような吸水試験方法において好適に使用し得る吸水試験装置を提供することができる。
また、負圧又は機械的連結によって吸水カップの位置を固定する構成を備えた本発明の吸水試験装置によれば、コンクリート表面又はその表層部分を全く破壊しない完全非破壊方式の吸水試験を実施することができる。
更に、空気泡の排出を促進する上記脱気手段を用いた吸水試験方法及び吸水試験装置によれば、短時間に注水作業を完了し、早期に(好ましくは、注水開始後15秒以内に)吸水量の測定を開始することができる。
図1は、吸水試験装置を構成する吸水試験具の構造を示す正面図、縦断面図、部分拡大断面図及び横断面図であり、吸水試験具を鉛直壁面に設置した状態が示されている。 図2は、本発明に係る吸水試験装置の全体構成を示す正面図である。 図3は、本発明に係る吸水試験装置の全体構成を示す断面図及び側面図である。なお、図3(A)は、図2のI−I線における断面図であり、図3(C)は、図2のII−II線における断面図である。 図4は、本発明に係る吸水試験装置の全体構成を示す平面図及び断面図である。なお、図4(B)は、図2のIII−III線における断面図である。 図5は、吸水試験装置を水平なコンクリート面に設置した状態を示す平面図、縦断面図及び部分拡大断面図である。 図6は、2つの吸水試験具を上下方向にずれた相対位置に設置した吸水試験装置の使用形態を示す正面図である。 図7は、水を吸水試験具内に注水するための注水器具の構造を概略的に示す縦断面図である。 図8は、注水作業の形態を概略的に示す縦断面図である。図8(A)には、注水開始直前の状態が示されており、図8(B)には、注水作業中の状態が示されている。 図9は、注水作業の他の形態を概略的に示す縦断面図である。図9(A)には、注水開始直前の状態が示されており、図9(B)には、注水作業中の状態が示されている。 図10は、目視観察により測定された実構造物の吸水試験結果を示す線図であり、注水完了時(注水開始後15秒経過時)から計測された吸水量の累積値と、表面吸水率(吸水速度)の時間変化とが示されている。 図11は、橋台及びボックスカルバートの実構造物に関して目視観察で実測された表面吸水率(吸水速度)と、Levittの理論式を適用して求められた表面吸水率の線分との関係を示す線図である。 図12は、本発明に係る吸水試験装置により自動計測された実構造物の原位置吸水試験の試験結果を示す線図である。図12(A)には、累積吸水量の時間変化が示されており、図12(B)には、累積吸水量に基づいて演算された吸水速度の時間変化が示されている。 図13は、コンクリート板の材齢と、水セメント比と、型枠存置期間と、表面吸水率(吸水速度)との関係を示す線図である。 図14は、型枠存置期間と表面吸水率(吸水速度)との関係を示す線図である。 図15は、水セメント比と表面吸水率(吸水速度)との関係を示す線図である。 図16は、図2〜図4に示す位置固定具の他の使用形態を示す正面図である。 図17は、図16のIV−IV線における断面図である。 図18は、図16のVI−VI線における断面図である。 図19は、二重チャンバ構造の吸水カップを備えた吸水試験具の構造を示す正面図、縦断面図及び横断面図である。 図20は、二重チャンバ構造の吸水カップの原理を概念的に示す概略断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1には、吸水試験装置1を構成する吸水試験具2が示されており、図2〜図4には、吸水試験装置1の全体構成が示されている。吸水試験装置1は、コンクリート構造物Sの鉛直面Vの吸水を可能にする吸水試験具2と、各吸水試験具2を鉛直面Vに固定するための位置固定具3と、水を各吸水試験具2内に注水するための注水器具6と、水面WLのレベルを自動計測・自動記録する水位計測装置9とから構成される。
図1に示すように、吸水試験具2は、鉛直面Vに対する相対位置を固定した吸水カップ20と、吸水カップ20の最頂部(最上部)から鉛直上方に延びる目盛り付きの管状シリンダー部10と、吸水カップ20の最底部(最下部)から鉛直下方に延びる排水管22と、鉛直面Vに接する吸水カップ20の開口縁部に一体的に取付けられた弾性変形可能な環状シール材23とから構成される。吸水カップ20、シリンダー部10及び排水管22は夫々、透明樹脂の素材又は成形品等を溶着、接着剤等の水密性接合手段により一体的に組み付けた構造を有し、或いは、透明樹脂の一体成形品からなる。吸水カップ20、シリンダー部10及び排水管22は、螺子連結、溶着、接着剤等の水密性接合手段により互いに一体的に組み付けられる。本例においては、シリンダー部10の下端部の雄螺子19が吸水カップ20の最上部の雌螺子に螺入し、排水管22の上端部の雄螺子29が吸水カップ20の最下部の雌螺子に螺入する。使用において、吸水カップ20は、位置固定具3の固定螺子30(破線で示す)によって鉛直面Vに押圧され、環状シール材23は、固定螺子30の締付け圧力下に鉛直面Vに水密状態に密着する。
図1には、吸水カップ20内に水を満たした状態が示されている。図1に示す如く、吸水カップ20は、真円形断面の円筒状周壁部25と、周壁部25の外側円形開口を閉塞する円板部26とから構成される。吸水チャンバBが周壁部25及び円板部26によって吸水カップ20内に画成される。円板部26の中心部には、固定螺子30の先端部(図1(B)に破線で示す)を受入れ可能な窪み27が形成される。環状シール材23は周壁部開口端25aと鉛直面Vとの間に挟持され、吸水カップ20内の水が漏出するのを防止する。本例において、周壁部25の内径D1は80mmであり、吸水チャンバB内の水Wに接触する鉛直面Vの面積は5024mm2である。この値は、前述のISATに規定された下限値(5000mm2)と実質的に同一の値である。
シリンダー部10内の管路11は、周壁部25の最頂部において、円形開口部25bにより吸水チャンバBに開口し、吸水カップ20内の領域(吸水チャンバB)と連通する。円形開口部25bはテーパ状拡開部25cを有する。シリンダー部10は、内径D2=8mmの管体からなり、管路11は、円形開口部25bから鉛直上方に延びる。テーパ状拡開部25cは、吸水チャンバB内の空気泡の排出を促進する脱気手段を構成し、吸水カップB内の空気泡は、注水時に速やかに管路11に流出する。吸水カップ20内の水は管路11に初期水位HLまで満たされ、吸水カップ20内の水は管路11内の水と連続する。目視計測用の目盛り(図示せず)が水面WLの位置の指標として管壁12に付されており、水面WLの位置は、外部から視覚的に測定することができる。所望により、測定感度を調整又は変更すべく、内径D2を拡大又は縮小した管体(例えば、D2=6mmの管体)をシリンダー部10として使用しても良い。
初期水位HLと、吸水カップ20の水平中心線Xとの間の鉛直距離Lは、300mmに設定され、従って、鉛直面Vに作用する初期の平均水頭は、300mmに設定される。この水頭により、降雨時に鉛直面Vに作用する水圧よりも僅かに大きい水圧が鉛直面Vに実質的に均一に作用する。鉛直面Vのコンクリートの吸水作用により、水面WLは徐々に降下する。
周壁部25の最下部には、排水管22の管路に連通する円形開口部25dが形成される。管路22は、管路11と同一又は同等の内径、例えば、8mmの内径を有する。排水管22は、手動操作可能な開閉弁24を備える。開閉弁24は、常時は、排水管22の管路を閉鎖している。
環状シール材23は、周壁部開口端25aの環状帯の幅と実質的に同一の幅、例えば、10mmの幅を有する方形断面の独立気泡ゴムスポンジ(硬度の規格値:アスカーC型硬度計にて25±5度)からなる。環状シール材23の厚さ(初期厚さ)は、5mmに設定される。図3(A)に示すように、固定螺子30の先端部が窪み27の内面に当接する。吸水カップ20は、固定螺子30の締付けにより、環状シール材23を鉛直面Vに押圧し、環状シール材23を弾力的に圧縮変形させる。鉛直面Vのコンクリート表面には、微細な凹凸又は不陸が存在するが、環状シール材23は、弾力的に変形してコンクリート表面に密着する。なお、環状シール材23を構成するゴムスポンジは、独立気泡型多孔質体であるので、素材全体としては殆ど吸水性を有しない。しかしながら、ゴムスポンジの露出面又は切断面は多孔質であるので、環状シール材23を予め吸水させた後に用いることが望ましい。また、既設構造物の状態によっては、経年劣化により表面のペーストやモルタルが失われ、細骨材や粗骨材等が鉛直面Vに露出した状態になることがあるが、このような場合においても、環状シール材23は、素材の変形により鉛直面Vに密着し、従って、吸水チャンバBの水が吸水カップ20の外側に漏出するのを阻止することができる。
図2〜図4には、位置固定具3を含む吸水試験装置1の全体構成が示されている。前述のとおり、位置固定具3は、固定螺子30によって吸水カップ20を鉛直面Vに押圧する。固定螺子30として、手動締付け可能な蝶螺子又はローレット螺子、或いは、手動締付け可能なヘッド付きボルト等を使用し得る。位置固定具3は、複数(本例では2体)の吸水カップ20に跨がって延びる横架材31と、横架材31の両端部に一体的に取付けられた左右一対の吸着部40とを有する。横架材31は、角形断面(方形断面)の中空金属管からなり、固定螺子30が貫通し且つ螺合する螺子穴32(図3(A))を備える。図2〜図4に示すように、吸着部40は、直径約120mmの円形板41と、円形板41の中心部に垂直に固定された円柱部42と、内径D3=100mmの環状シール材43とから構成される。図4(A)には、固定螺子30の押圧力Pと、横架材31に作用する押圧力Pの反力F1とが示されている。
円形板41及び円柱部42は、透明又は半透明の樹脂一体成形品からなり、円柱部42の外端部は、手動解放可能なボルト等の係止具49によって横架材31の端部に固定される。係止具49として、手動締付け可能な蝶螺子又はローレット螺子、或いは、手動締付け可能なヘッド付きボルト等を使用し得る。環状シール材43は、環状シール材23と同じ独立気泡ゴムスポンジからなり、環状シール材23と同じ断面、例えば、幅10mm、厚さ5mmの方形断面を有する。環状シール材43は鉛直面Vに気密状態に密着し、吸引チャンバEが円形板41及び環状シール材43によって画成される。
図2に示すように、左右の吸着部40の各円形板41には、減圧装置接続手段を構成する吸引ポート44が配設され、各吸引ポート44には、可撓管45が接続される。可撓管45は、弾力的に変形可能な樹脂管からなる。左右の吸着部40の吸引ポート44から延びる可撓管45は、継手46を介して可撓管47に接続される。可撓管47は、手動操作式開閉弁47aを備える。可撓管47は、減圧装置50に接続される。減圧装置50は、真空ポンプ51、バッファタンク52及びヘッダー(分岐管)53を有する。真空ポンプ51は、容量17リットル/分の小型ドライポンプからなり、作動時容量は100V、1A程度である。このような真空ポンプ51は、小型発電機、車載用インバーター等によって給電可能である。変形例として、同容量の直流電源式真空ポンプを真空ポンプ51として用いることにより、直流バッテリーにより真空ポンプ51を作動することも可能である。
真空ポンプ51は、緩衝手段として機能するバッファタンク52を介してヘッダー53に直列に接続され、可撓管47は、ヘッダー53の接続ポートに選択的に接続される。真空ポンプ51は、手動開閉弁47aの開放時に吸引チャンバEの空気を吸引し、吸引チャンバEを減圧する。吸着部40は、吸引チャンバEの減圧によって鉛直面Vに付勢され、環状シール材43は吸引圧力下に鉛直面Vに密着する。かくして、左右の吸着部40は、吸引チャンバEの負圧(陰圧)により鉛直面Vに固定され、横架材31は、左右の円柱部42の間に懸架される。なお、図4(A)には、吸引チャンバEの減圧によって得られる各吸着部40の吸着力F2が示されている。吸着力F2は、横架材31に作用する反力F1よりも大きく、反力F1を打ち消す。
図2において、バッファタンク52は、容量約1リットル程度の圧力タンクからなる。バッファタンク52は、測定中に生じ得る真空ポンプ51の圧力変動が吸引チャンバEに作用する結果として水面WLの見掛け上の位置が変動するのを防止する。ヘッダー53は、減圧装置50を複数の吸水試験装置1に接続し、同時に複数の吸水試験装置1を使用可能にする分岐手段である。本例においては、真空ポンプ51は、鉛直面Vに対する吸着部40の固定のためにのみ使用される。吸引チャンバEの負圧は、吸水試験中に実質的に一定であれば良い。実構造物を用いた本発明者の試験によれば、新設構造物の壁面(鉛直面V)においては、−0.08N/mm2程度の真空度により、横架材31の安定支持が得られ、また、凹凸又は不陸のある既設構造物の壁面(鉛直面V)においては、−0.06N/mm2程度の真空度により、横架材31の安定支持が得られた。なお、吸着部40に作用する負圧の影響が吸水カップ20に影響するのを防止すべく、吸着部40及び吸水カップ20は、少なくとも50mmの距離J(図2)を隔てる(本例ではJ=約60mm)。また、3つ以上の吸水カップ20を位置固定具3によって支持することも可能であるが、水位を目視確認する場合は、測定者1人が30秒程度の時間差で吸水カップ20による試験を行うことになるので、測定者1人の目視確認による同時測定では、2〜3箇所の吸水カップ20を用いた測定が限界であろうと考えられる。
吸水試験装置1の水位計測装置9は、図1及び図2に示す如く、水圧センサ90及び自動記録装置91を有する。水圧センサ90は、制御信号線92によって自動記録装置91に接続される。水圧センサ90の検知部90aは、吸水チャンバBの最下部近傍の周壁部25を貫通して吸水カップ20内の水に接触する。水圧センサ90として、圧力変化20kPa(水頭で2m(2000mm))あたり電圧4Vを出力する高精度水圧センサを好適に使用し得る。このような高精度水圧センサを用いた場合、1mmの水頭変化を0.0005V(0.5mV)として検出することができる。自動記録装置91として、検出精度が0.05mV(従って、水位変化0.1mmの分解能)のデータロガーを使用し得る。このような吸水試験装置1によれば、多数の吸水試験具2を用いた吸水試験、或いは、複数の吸水試験装置1を同時に用いた吸水試験を実施し得るばかりでなく、各吸水試験具2における水面WLの変化を連続的に計測し且つ記録し、或いは、微小な単位時間の間隔で計測し且つ記録することができる。
本発明者の実験によれば、水圧センサ90によって0.1mm単位で測定することができ、測定値のぶれは殆どないことが判明した。なお、現場で簡易に測定できるように、ハンディタイプのバッテリー式データロガーを用いても良い。また、水位変化、吸水量変化等を自動的にグラフ化し、或いは、吸水速度等を自動記録・自動表示するプログラムコントローラ、PC等を併用することも可能である。
所望により、本例の吸水試験装置1を水平面又は傾斜面に設置することも可能である。図5には、吸水試験具2をコンクリート構造物Sの水平面LLに設置した状態が示されている。吸水カップ20は、吸水チャンバBの開口を下方に向けた状態でコンクリート面LLに配置される。横架材31(図2)は、吸着部40の負圧(陰圧)によりコンクリート面LLに固定され、左右の円柱部42(図2)の間に懸架される。吸水カップ20は、位置固定具3の固定螺子30(図5(B)に破線で示す)によってコンクリート面LLに押圧され、環状シール材23は、固定螺子30の締付け圧力下にコンクリート面LLに水密状態に密着する。
吸水カップ20の円板部26は、シリンダー部10の下端部を装着可能な円形開口部26bを有する。シリンダー部10の下端部の雄螺子19が円形開口部26bの雌螺子に螺入する。円板部26の内側面(下面)は、円形開口部26bに向かって上向に勾配が付けられており、吸水カップB内の空気及び空気泡は、注水時に速やかに管路11に流出する。円板部26の内側面(下面)の傾斜は、脱気手段を構成する。
このように吸水試験具2を水平面LLに配置する場合、プラグ26aが周壁部25の円形開口部25bに螺入され、円形開口部25bは閉塞される。他方、前述の如く吸水試験具2を鉛直面Vに配置する場合、プラグ26aは、図1に示す如く、円板部26の円形開口部26bに螺入され、円形開口部26bは、常時閉塞される。
次に、吸水試験装置1を使用した鉛直面Vの吸水試験方法について説明する。
先ず、位置固定具3が図2に示す如く実構造物(コンクリート構造物S)の鉛直面V上に位置決めされる。実構造物は、例えば、鉄筋コンクリート構造の橋台等であり、鉛直面Vは、その壁面である。次いで、減圧装置50の真空ポンプ51が作動され、吸着部40の吸引チャンバEが減圧し、吸着部40は、吸着力F2(図4)により鉛直面V上に固定される。吸水試験具2は、図2〜図4に示す如く、窪み27が固定螺子3の先端部に整合又は整列するように鉛直面V上に位置決めされる。なお、吸水チャンバBは、未だ水を注水していない状態である。
図4に示す如く、固定螺子30が横架材31に対して締付けられ、固定螺子30の先端部が吸水カップ20を鉛直面Vに対して全体的に押圧する。環状シール材23は、固定螺子30の押圧力Pにより弾力的に圧縮変形し、鉛直面Vのコンクリート表面に密着する。かくして、吸水試験装置1の設置は、極めて簡易な作業手順により迅速に完了する。
なお、吸水試験具2の位置は、必ずしも水平方向に整列する必要はなく、図6に示す如く、上下方向にずれた相対位置に吸水試験具2を配置しても良い。この場合、横架材31は、図6に示すように、水平平面に対して角度θをなして傾斜する。
次に、吸水試験用の水が吸水試験具2に注水される。コンクリート面の目詰まり等を防止すべく、試験に使用される水として水道水が使用される。試験時の水温が外気温やコンクリート表面温度と著しく相違する場合には、試験中に水温が変化して体積変化を起こす可能性があるので、水温を試験前に外気温に調整しておくことが望ましい。
図7には、水を吸水試験具2内に注水するための注水器具6の構造が概略的に示されている。注水器具6は、頂部開口形の円筒形容器60と、容器60の頂部円形開口を閉塞する蓋61と、容器60の底部62から下方に延びる一対の注水ポート63とから構成される。各注水ポート63は、手動操作式開閉弁64を有する。注水ポート63の下端縮径部65には、各吸水カップ20の吸水チャンバBに通じる可撓注水管7が接続される。容器60及び注水ポート63は、透明又は半透明の樹脂成形品からなり、蓋61は、容器60の頂部円形開口に嵌入可能なゴム栓又は樹脂栓からなる。開閉弁64は、金属製又は樹脂製の弁である。注水管7は、弾力的に変形可能な透明樹脂の管材からなる。注水ポート63の下端縮径部65は、注水管7の上端開口内に嵌入する。
図8には、代表的な注水作業の過程が概略的に示されている。注水作業においては、開閉弁64が閉じた状態で所定量の水W(水道水)が容器60内に収容されるとともに、注水管7の先端部に設けられた管継手又は接続具70が排水管22の下端部に接続される(図8(A))。容器60内の水は、開閉弁24、64の開放により、重力下に吸水カップ20内に注水される(図8(B))。容器60内の水Wは、吸水カップ20の下部から徐々に増量する。吸水カップ20内の空気及び空気泡は、脱気手段(テーパ状拡開部25c)の存在により円滑に管路11に流出し、管路11の頂部開口を介して外気に放出される。このため、水Wの水面WLは、速やかに上昇する。水Wの水面WLが管路11の最頂部(図1に示す初期水位HL)まで上昇した時点で開閉弁24、64が閉鎖される。注水管7は、適当な時期に排水管24から取り外される。
図9には、注水作業の他の形態が概略的に示されている。図9に示す注水作業においては、開閉弁24、64を閉じた状態で所定量の水W(水道水)を容器60内に収容した後、注水管7をシリンダー部10の管路11内に挿入し、注水管7の先端開口7aを吸水チャンバBの最下部に位置決めし(図9(A))、しかる後、開閉弁64を開放し、水Wを重力下に吸水チャンバB内に注水する(図9(B))。容器60内の水Wは、吸水カップ20の下部から徐々に増量する。吸水カップB内の空気及び空気泡は、脱気手段(テーパ状拡開部25c)の存在により円滑に管路11に流出し、管路11の頂部開口を介して外気に放出される。このため、水Wの水面WLは、速やかに上昇する。注水管7は、先端開口7aが水面下に位置する状態で水位上昇に相応して引き上げられる。水面WLが管路11の最頂部(図1(B)に示す初期水位HL)まで上昇した時点で開閉弁64が閉鎖され且つ注水管7が管路11から完全に引き抜かれ、かくして、注入作業が完了する。
このような注水作業において、脱気手段(テーパ状拡開部25c)を備えた吸水カップ20は、吸水チャンバBの水に空気又は空気泡が残留し難い構造を有するので、吸水カップ20内の空気及び空気泡は、管路11を介して速やかに外気に放出される。従って、注水作業は、極めて簡易且つ迅速に遂行される。本発明者の実験によれば、このような注水形態による注水は、10秒以下の時間(平均約5秒)で完了する。注水完了後、直ちに計測が実行される。計測は、注入完了時の水頭(L=300mm)を起点として、水位計測装置9によって水面WLの変化を連続的に計測し且つ記録することにより実施される。所望により、このような自動計測とともに、ストップウォッチで時間を測定しながら、水面WLの位置をシリンダー部10の目盛りによって目視観察しても良い。吸水試験終了後、吸水カップ20内の残留水は、開閉弁24の手動開放により排水管22から排出される。
本発明者は、吸水試験装置1を実構造物に装着して吸水試験具20に注水し、注水完了時の水頭=300mmを起点として、水位計測装置9による自動計測と、上記目視観察とを行った。目視観察では、水面WLの位置をシリンダー部10の目盛りによって1mm単位で読み取った。目盛りの読み取りは、1分間隔で行った。なお、試験時間が60分程度である場合には、管路11の頂部開口からの水の蒸発は無視し得るが、更に長時間の測定を行う場合には、管路11の頂部開口を任意の手段で覆い、水の蒸発を防止することが望ましい。必要に応じて、コンクリート表面の温度を非接触式温度計で計測するとともに、コンクリート表層の含水率を2点表面接触式の水分計や、四電極法による電気抵抗率試験等により把握することが望ましい。
単位時間、単位面積あたりのコンクリート表面の吸水量を吸水速度と定義すると、吸水速度は、下式(1)の微分計算で求められる。
y=dx/dt ・・・・・(1)
ここに、yは吸水速度(ml/m2/sec)、xは、コンクリート表面の単位面積(m2)あたりの累積吸水量(ml)、tは、時間(sec)である。
目視観察の場合、水面WLの位置をシリンダー部10の目盛りで読み取り、水面WLの変化を累積吸水量xに換算し、測定時間の間隔に基づいて吸水速度yを求めれば良い。他方、自動記録装置91を用いた連続計測の場合、吸水速度yの値を自動記録装置91の表示又は出力より直接的又は間接的に求めれば良い。
本発明者が吸水試験装置1により実証試験を行った実構造物は、橋台及びボックスカルバートであり、これら構造物の概要は、以下のとおりである。
(1) 橋台
材齢:8年
セメント: 高炉B種
構造物の特徴:打重ね部及びセパレーターの近傍に多数のマイクロクラックが発生している。表面は乾燥している。
(2) ボックスカルバート
材齢:7年
セメント: 高炉B種
構造物の特徴:内部は日射が直接当たらず、常時湿度が高いためにコンクリート表面が湿っている。
図10は、実構造物(橋台)の吸水試験において目視観察で実測された吸水量の変化を示す線図である。計測は、注水完了時(注水開始後15秒経過時)から行われた。図10において、左側の縦軸は、吸水量の累積値を示す指標であり、右側の縦軸は、各時間の吸水速度(表面吸水率)を示す指標である。なお、吸水速度は、単位面積当りの吸水量を測定時間間隔で除した平均値である。吸水速度は、注水完了直後に最大値を示し、その後に減少することが、図10より理解し得る。特に、初期の2分程度の時間内における吸水の速度は、それ以降の吸水速度と比較して著しく大きい。
M. Levittの研究報告(Non-destructive Testing of Concrete by the initial surface absorption method, Proceedings of a Symposium on Non-Destructive Testing of Concrete and Timber, London, June 1969, Institution of Civil Engineers, pp.23-26, 1970)においては、吸水速度を下式(2)によって理論的に示すことが提唱されている。
y=a×t-n ・・・・・(2)
ここに、a、nは定数である。
上式(2)の定数aは、吸水開始後1秒時点での吸水速度を表すパラメータであり、主にコンクリート表面の緻密性(品質)と関連する。定数nは、一般には0.5±0.2の値をとる。定数nは、経時的な吸水量の変化を示すパラメータであり、時間経過とともに吸水速度が低下する度合いを示す。定数nは、主にコンクリート内部(表層部分)の緻密性と関連した値であり、nの値が大きい場合、コンクリート内部の緻密性(品質)が良いことを意味する。但し、この理論式は、理論的且つ理想的で均質な細孔組織の吸水特性を示すにすぎない。
この理論式は、前述したISATの試験方法に従って注水開始後の10分、30分、60分に測定されたコンクリート試料の吸水試験結果と概ね適合することが、既に確認されている。また、前述の非特許文献2には、試験用に作成されたコンクリート試料に関し、分単位の時間間隔で得られた吸水試験の試験結果が示されており、非特許文献2には、この試験結果と、Levittの理論式との適合性についても記載されている。図11は、上記橋台及びボックスカルバートの実構造物に関して目視観察で実測された吸水速度(表面吸水率)と、上記式(2)を適用して求められた吸水速度との関係を示す線図である。注水を約15秒で完了した場合、吸水速度の実測値と時間との関係を図11に如く両対数で表示すると、上記理論式(式(2))の値に概ね近似し又は整合する。実測値より求められた定数nの値は、橋台に関し、n=0.539であり、ボックスカルバートに関し、n=0.640であった。これらの数値は、橋台が桁下の乾燥環境におかれていた履歴と、ボックスカルバートが高湿度の環境に置かれていた履歴とを数値的に反映していると考えられる。なお、図11に示す符号Rの値は、相関係数であり、R2の値は、決定係数である。
実証試験を行った上記橋台及びボックスカルバートは、材齢が比較的若く、撥水処理等の表面処理を施した実構造物でもないので、Levittの理論式に適合する結果が得られたとも考えられるが、多くの実構造物においては、長年の使用によりコンクリート表面が経年変化し、環境等の外的要因によるひび割れや、比較的大きな空隙等がコンクリート表層部分に観られ、或いは、撥水処理等の表面処理がコンクリート表面に施されている。即ち、上式(2)における定数a及びnは、各コンクリート面の固有の値であり、しかも、理想的な細孔組織に関する値であるにすぎないのに対し、実構造物のコンクリート表面の吸水特性は、実構造物の環境条件(気候、日射、重力等)や、設計条件、施工条件等の各種要因によってもかなり相違するので、実構造物のコンクリート表面の吸水特性は、必ずしもLevittの理論式と適合するとは限らない。また、実構造物のコンクリート表面の吸水特性がLevittの理論式と適合する場合であっても、任意の実構造物のコンクリート面に関し、定数a及びnの値をその都度求め又は定めることは極めて困難である。
また、注水開始後1分未満(特に、30秒未満)の時間帯に生じるコンクリート面の吸水特性には、多くの情報が含まれると考えられる。この情報には、前述の定数aと関連する情報も含まれる。ISATの試験方法(非特許文献1)や、非特許文献2の試験方法は、実構造物の原位置試験に関するものではないが、仮にこれらの試験方法を原位置試験に適用し得たとしても、このような情報は、注水開始後の10分、30分、60分の時間に測定されるにすぎない吸水試験結果(非特許文献1)によっては得られず、分単位の時間間隔で測定されるにすぎない吸水試験結果(非特許文献2)によっても得られない。また、従来の実構造物の原位置試験(非特許文献4、5)では、注水開始〜注水完了までの時間が長く、しかも、明確に定まらず、このため、このような初期的なコンクリート面の吸水特性を測定することはできない。
これに対し、吸水試験装置1を用いた原位置吸水試験によれば、注水開始後15秒以内に吸水率の実測を開始できるので、初期的なコンクリート面の吸水特性を個々の実構造物に関してかなり正確に測定することができる。そこで、本発明者は、上記構成の吸水試験装置1を使用し、吸水チャンバに保持された水の水量を注水完了後の経過時間及び吸水速度を測定し、所定の経過時間において測定された吸水速度に基づいて、コンクリートの表層部分の緻密性と関連する原因因子又は評価因子の同定又は比較を行う本発明の吸水試験方法を本願において提案する。
前述のとおり、吸水試験装置1は、各吸水試験具2における水面WLの変化を水位計測装置9によって連続的に計測し且つ記録することができる。本発明者は、吸水試験装置1を用いて多数のコンクリート構造物の原位置吸水試験を実施した。これらの吸水試験において自動計測された代表的な試験結果が図12に示されている。図12(A)には、実測された累積吸水量の時間変化が示されており、図12(B)には、図12(A)に示す累積吸水量の時間変化を微分演算して求められた吸水速度(表面吸水率)の時間変化が示されている。実際に注水に要した時間は約5秒であったが、検出開始(図12の各図のX軸原点)は、注水開始から10秒経過時に設定された。
本発明者は、吸水試験装置1の効果を調べるために、多数のコンクリート板を製作して原位置吸水試験を実施した。図13は、コンクリート板の材齢(コンクリート打設時からの経過日数)と、水セメント比と、型枠存置期間(養生期間)と、吸水速度(表面吸水率)との関係を示す線図である。図14及び図15は、材齢57日のコンクリート板材に関する吸水試験の試験結果を示す線図である。図14には、型枠存置期間と吸水速度(表面吸水率)との関係が示され、図15には、水セメント比と吸水速度(表面吸水率)との関係が示されている。図13〜図15に示された吸水速度は、注水完了後10分経過時における吸水速度の実測値である。なお、図13〜図15に示す試験結果は、普通ポルトランドセメントを用いて製作したコンクリート板に関するものであるが、高炉セメントB種を用いて製作したコンクリート板の試験結果も、これと類似する傾向を示した。
図13及び図14に示すように、吸水速度は型枠存置期間の相違によって相違する。いずれの水セメント比においても、型枠存置期間が長いほど吸水速度は低下している。これは、型枠存置期間が長いほどコンクリート表層部分が緻密化することに起因すると考えられる。
また、図13及び図15に示すように、吸水速度は水セメント比の相違によっても相違する。いずれの型枠存置期間においても、水セメント比が小さいほど吸水速度は低下している。これは、水セメント比が小さいほどコンクリート表層部分が緻密化することに起因すると考えられる。
図13〜図15に示されるとおり、注水完了後10分経過時における吸水速度と、コンクリート施工時の水セメント比と、コンクリート施工時の養生期間(型枠存置期間)との間には、相関関係があると考えられる。水セメント比及び養生期間は夫々、コンクリート表層部分の緻密性と密接に関連する原因因子又は評価因子の一種であるので、コンクリート表層部分の緻密性と関連する原因因子又は評価因子が、吸水速度の測定によって得られる。
また、実際の運用においては、例えば、施工時の記録(水セメント比等)が存在する多数の実構造物に関して上記吸水試験を実施し、注水完了後の経過時間と、吸水速度と、水セメント比や、養生期間等の緻密性の原因因子又は評価因子とを統計処理してデータベースを構築することができる。このようなデータベースの利用により、施工時の記録(水セメント比等)が不明の実構造物、或いは、施工時の状態を事後的に確認する必要がある建物に関し、施工時の状態(水セメント比等)を原位置吸水試験により同定し又は比較検討することができる。
また、コンクリート表層部分の緻密性は、コンクリートの配合(膨張材の使用等)、コンクリートの養生方法、コンクリート構造物の環境条件(気候、日射、重力等)、セメントの水和反応時の発熱、コンクリート構造物の拘束状態、表面含浸材(撥水材等)の使用などによっても相違する。上記の如く、水セメント比、養生期間及び吸水速度の関係は、注水開始後約10分経過時の吸水速度を判定基準として分析されたが、緻密性に関係する他の原因因子又は評価因子は、判定基準となる吸水速度の条件(基準時間等)を変更又は選択することにより明確化し得ると考えられる。
本発明に従って分析される原因因子及び評価因子を例示すると、以下のとおりである。
[1]原因因子
(1)コンクリートの配合又は調合
・水セメント比
・単位水量
・セメントの種類
・混和材料の使用の有無
(2)フレッシュコンクリート(硬化前のコンクリート)の性状
・ブリーディング現象発生の有無又は程度
・材料分離抵抗性
(3)コンクリートの施工
・打込み速度
・締固め
・打込み温度
・環境温度
・部材寸法及び部材形状
・部材の拘束条件
・型枠撤去後の環境作用(気温、雨水の作用、湿度、日射の影響)
・養生条件(型枠存置期間、型枠撤去後の積極的な養生(湿潤養生等))
(4)環境要因
・気温、雨水の作用、湿度、日射
・材齢
[2]評価因子
(1)コンクリートの細孔組織の緻密性
(2)メゾレベルの空隙による緻密性の低下
・ブリーディング現象による骨材下等の空隙
・微細ひび割れ
・打継ぎ目、打重ね部
「セメントの種類」は、普通ポルトランドセメント、高炉セメント、低熱ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、フライアッシュセメント等のセメント種別を意味する。混和材料としては、膨張材、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ等が挙げられる。「部材寸法及び部材形状」は、水和反応時の発熱、ブリーディング現象に影響するので、原因因子となる。「材齢」は、水和反応の進行、含水率等との関係で原因因子となる。表面吸水試験により評価すべき空隙は、毛細管サイズの空隙であるので、評価因子としての「細孔組織の緻密性」は、毛細管サイズの空隙と関係した緻密性である。なお、「微細ひび割れ」ではない損傷(目視確認可能なひび割れ、打継ぎ部等)は、水漏れに属するので上記因子から除外された。
図16は、位置固定具3の他の使用形態を示す正面図であり、図17及び図18は、図16のIV−IV線及びVI−VI線における断面図である。
減圧装置50は、電動式の真空ポンプ51を備えるので、電源を確保する必要があるが、コンクリート構造物の被試験部分の近傍に所要の電源を確保し難い状況では、減圧装置50を用いることはできない。他方、コンクリート構造物Sは、一般に、型枠内に流動コンクリートを打設し、コンクリート硬化後に型枠を解体することにより施工されるので、型枠の建込みに用いられるセパレーターTがコンクリート構造物Sに埋め込まれ、残留する。セパレーターTの端部の雄螺子部は、プラスチックコーンを撤去した後に残る截頭円錐形の穴U内に位置する。
位置固定具3は、このような段階、即ち、セメントモルタルをセパレーターTの穴U内に充填する前の段階で吸水試験を行うことを想定し、図2及び図4(B)に示すように横架材31の中央部に貫通穴36を有する。図17及び図18に示す如く、連結ボルト80の雌螺子穴81がセパレーターTの雄螺子部に螺着する。貫通穴36を貫通した固定螺子35が連結ボルト80の雌螺子穴82に螺込まれ、固定螺子35は締め付けられる。既存の構造物等においては、セメントモルタルが穴U内に既に充填され且つ硬化しているので、そのような段階で吸水試験を行う場合には、穴Uのセメントモルタルを撤去し、セパレーターTの雄螺子部を穴U内に露出せしめた後、連結ボルト80の雌螺子穴81をセパレーターTの雄螺子部に螺着すれば良い。なお、穴Uのセメントモルタルの撤去は、既存コンクリートに構造的影響を与える性質のものではないので、このような吸水試験も又、完全非破壊試験に含まれ又は完全非破壊試験に準じる試験として把握することができる。
図17及び図18に示す如く、横架材31は、固定螺子35の締付けにより、連結ボルト80を介してコンクリート構造物Sに堅固に支持される。吸水カップ20は、位置固定具3の固定螺子30の締付けにより、環状シール材23を鉛直面Vに押圧し、環状シール材23を弾力的に圧縮変形させる。この結果、環状シール材23は、弾力的に変形してコンクリート表面(鉛直面V)に密着する。次いで、吸水試験が前述の如く実施される。位置固定具3及び吸水カップ20は吸水試験完了後に撤去され、セメントモルタル等が穴U内に充填される。
図19は、吸水試験具2の変形例を示す正面図、縦断面図及び横断面図である。
図19に示す吸水試験具2は、二重チャンバ構造の吸水カップ20’を有する。吸水カップ20’は周壁部25の外側に外周壁部28を更に有し、直径を拡大した円板部26は外周壁部28に連接する。外周壁部28と鉛直面Vとの間には、環状シール材23’が挟持される。周壁部25の内側には、水W(水道水)が注入され、水Wは、管路11の最頂部(水面WL)まで満たされる。
周壁部25と外周壁部28との間に形成された環状吸水チャンバCには、シリンダー部10と同様のシリンダー部(図示せず)によって水(水道水)が充填される。このような二重チャンバ構造の吸水カップ20’による吸水の態様と、前述の吸水カップ20(図1)による吸水の態様との対比が、概念的に図20に示されている。
実構造物のコンクリート表面には、幅0.01mm程度のひび割れや、マイクロスコープでのみ確認し得るような微細ひび割れ(マイクロクラック)も存在する。表面のひび割れの長さが長い場合、ひび割れが水のバイパスになって環状シール材23の外側に水が漏れることが懸念される。図20(A)に示す如く、単一チャンバ構造の吸水カップ20においては、吸水カップ20の外側に水が回り込むとともに、奥行き方向に3次元的な影響が生じ得る。このようなひび割れの影響を除外する必要が生じた場合、図20(B)に示すように、周壁部25の周囲(環状吸水チャンバC)に積極的に給水し、ひび割れの影響を抑制することが望ましい。水Wが供給される環状吸水チャンバCを周壁部25の外側に備えた図19の吸水カップ20’は、このような概念に基づくものである。なお、図19に示す吸水カップ20’を用いた場合、コンクリート表面の透水試験を正確に行うことも可能であると考えられる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能であり、該変形例又は変更例も又、本発明の範囲内に含まれるものであることは、いうまでもない。
例えば、上記実施形態においては、位置固定具は、2つの吸水試験具をコンクリート表面に保持するように構成されているが、更に多数の吸水試験具をコンクリート表面に保持するように位置固定具を構成しても良い。
また、上記実施形態においては、単一の固定螺子によって吸水カップをコンクリート表面に押圧しているが、複数の固定螺子によって吸水カップをコンクリート表面に押圧し、或いは、他の構造の押圧手段によって吸水カップをコンクリート表面に押圧しても良い。
更には、上記実施形態においては、シリンダー部下端のテーパ状拡開部等を脱気手段として用い、或いは、吸水チャンバ最下端部の排水管からの注水によりシリンダー部の管路全体を脱気手段として用いることにより、注水時間を短縮しているが、他の構成の脱気手段、例えば、吸水カップに付加的に設けられた排気口等を脱気手段として用いても良い。
本発明は、実構造物のコンクリート表面の吸水性を測定する原位置吸水試験に好ましく適用し得る。本発明は、殊に、実構造物のコンクリート表層部分の緻密性と関連する原因因子又は評価因子(設計条件又は施工条件、コンクリート構造物の環境条件等)の同定又は比較を行うための吸水試験に好ましく適用し得る。本発明によれば、原位置吸水試験に基づいてコンクリート表層部分の緻密性を評価するとともに、原位置吸水試験の試験結果に基づいて設計又は施工の良否、或いは、コンクリート構造物がおかれた環境等の情報を取得し得るので、本発明の有用性は、顕著である。
1 吸水試験装置
2 吸水試験具
3 位置固定具
6 注水器具
7 可撓注水管
9 水位計測装置
10 シリンダー部
20、20’ 吸水カップ
30 固定螺子
40 吸着部
50 減圧装置
60 円筒形容器
70 管継手又は接続具
80 連結ボルト
90 水圧センサ
90a 検知部
91 自動記録装置
92 制御信号線
B 吸水チャンバ
E 吸引チャンバ
L 鉛直距離
S コンクリート構造物
V 鉛直面
LL 水平面
W 水
HL 初期水位
WL 水面

Claims (19)

  1. 吸水カップの吸水開口の縁部を新設又は既設のコンクリート構造物のコンクリート表面に密接させ、吸水試験用の水を前記吸水チャンバ内に注入し、前記吸水カップ内の吸水チャンバから前記コンクリート構造物に吸水される水量を原位置測定するコンクリート表面の吸水試験方法において、
    該吸水試験は、前記吸水チャンバに保持された水の水量を連続的に検出し、或いは、微小時間間隔で継続的に検出して、注水完了後の経過時間及び吸水速度を測定し、所定の経過時間において測定された前記吸水速度に基づいて、コンクリートの表層部分の緻密性と関連する原因因子又は評価因子の同定又は比較を行うための非破壊試験であ
    前記原因因子又は評価因子の同定又は比較のため、注水開始後の1分未満の時間帯に生じるコンクリート表面の初期吸水量を少なくとも測定すべく、前記吸水チャンバへの注水時に該吸水チャンバ内の空気泡の排出を促進する脱気手段を用い、前記吸水チャンバに対する水の注入を15秒以内に完了して、前記コンクリート表面の吸水量の計測を注水開始後15秒以内に開始することを特徴とするコンクリート表面の吸水試験方法。
  2. 吸水カップの吸水開口の縁部を新設又は既設のコンクリート構造物のコンクリート表面に密接させ、吸水試験用の水を前記吸水チャンバ内に注入し、前記吸水カップ内の吸水チャンバから前記コンクリート構造物に吸水される水量を原位置測定するコンクリート表面の吸水試験方法において
    該吸水試験は、前記吸水チャンバに保持された水の水量を連続的に検出し、或いは、微小時間間隔で継続的に検出して、注水完了後の経過時間及び吸水速度を測定し、所定の経過時間において測定された前記吸水速度に基づいて、コンクリートの表層部分の緻密性と関連する原因因子又は評価因子の同定又は比較を行うための非破壊試験であり
    前記原因因子又は評価因子は、コンクリート打設時の水セメント比、或いは、コンクリート打設後の型枠存置期間であり、
    前記水セメント比又は型枠存置期間の同定又は比較のために、前記水量の検出を注水開始後15秒以内に開始し、注水開始後の1分未満の時間帯に生じるコンクリート表面の初期吸水量の変化を含む前記水量の変化を測定することを特徴とするコンクリート表面の吸水試験方法。
  3. 吸水カップの吸水開口の縁部を新設又は既設のコンクリート構造物のコンクリート表面に密接させ、吸水試験用の水を前記吸水チャンバ内に注入し、前記吸水カップ内の吸水チャンバから前記コンクリート構造物に吸水される水量を原位置測定するコンクリート表面の吸水試験方法において、
    該吸水試験は、前記吸水チャンバに保持された水の水量を連続的に検出し、或いは、微小時間間隔で継続的に検出して、注水完了後の経過時間及び吸水速度を測定し、所定の経過時間において測定された前記吸水速度に基づいて、コンクリートの表層部分の緻密性と関連する原因因子又は評価因子の同定又は比較を行うための非破壊試験であり
    前記水量は、前記チャンバ内の水圧によって検出されることを特徴とするコンクリート表面の吸水試験方法。
  4. 前記時間間隔は、10秒以下の時間であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の吸水試験方法。
  5. 前記吸水チャンバに対する水の注入を15秒以内に完了して前記コンクリート表面の吸水量の計測を注水開始後15秒以内に開始することを特徴とする請求項に記載の吸水試験方法。
  6. 前記吸水開口は、5000mm以上の開口面積を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の吸水試験方法。
  7. 前記コンクリート表面に作用する負圧、或いは、前記コンクリート構造物に埋設された既設螺子部材との機械的連結手段を用いて、前記吸水カップを前記コンクリート表面に一体的に連結することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の吸水試験方法。
  8. 新設又は既設のコンクリート構造物の非破壊吸水試験を行うためのコンクリート表面の吸水試験装置であって、原位置吸水試験用の水を充満可能な吸水チャンバを備えた吸水カップを有し、該吸水カップは、前記コンクリート表面に密接可能な縁部に囲まれた吸水開口を備えており、前記コンクリート表面が前記吸水開口を介して前記吸水チャンバ内の水に接触して吸水するコンクリート表面の吸水試験装置において、
    前記吸水チャンバに保持された水の水量を連続的に検出し、或いは、前記水量を微小時間間隔で継続的に検出するための検出部を備えた検出器と、
    該検出器の検出結果が入力され且つ注水完了後の経過時間及び吸水量を表示し又は記録する測定装置とを有し、
    前記検出器は、前記吸水チャンバ内の水圧を検出する水圧センサであることを特徴とするコンクリート表面の吸水試験装置。
  9. 新設又は既設のコンクリート構造物の非破壊吸水試験を行うためのコンクリート表面の吸水試験装置であって、原位置吸水試験用の水を充満可能な吸水チャンバを備えた吸水カップを有し、該吸水カップは、前記コンクリート表面に密接可能な縁部に囲まれた吸水開口を備えており、前記コンクリート表面が前記吸水開口を介して前記吸水チャンバ内の水に接触して吸水するコンクリート表面の吸水試験装置において、
    前記吸水チャンバに保持された水の水量を連続的に検出し、或いは、前記水量を微小時間間隔で継続的に検出するための検出部を備え、注水開始後1分未満の時間に水量の検出を開始する検出器と、
    該検出器の検出結果が入力され且つ注水完了後の経過時間及び吸水量を表示し又は記録する測定装置とを有し、
    前記吸水カップは、前記吸水チャンバに対する水の注入を15秒以内に完了するために、前記吸水チャンバへの注水時に該吸水チャンバ内の空気泡の排出を促進する脱気手段を有することを特徴とするコンクリート表面の吸水試験装置。
  10. 前記水圧センサの検知部は、前記吸水チャンバの最下部又はその近傍の水圧を検出するように前記吸水カップ内に挿入されることを特徴とする請求項に記載の吸水試験装置。
  11. 前記測定装置は、前記検出器の検出値を前記吸水量に変換する検出値変換手段と、単位時間当りの吸水量の変化又は変動に基づいて吸水速度を演算する吸水速度演算手段とを有することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の吸水試験装置。
  12. 新設又は既設のコンクリート構造物の非破壊吸水試験を行うためのコンクリート表面の吸水試験装置であって、原位置吸水試験用の水を充満可能な吸水チャンバを備えた吸水カップを有し、該吸水カップは、前記コンクリート表面に密接可能な縁部に囲まれた吸水開口を備えており、前記コンクリート表面が前記吸水開口を介して前記吸水チャンバ内の水に接触して吸水するコンクリート表面の吸水試験装置において、
    前記吸水チャンバに保持された水の水量を連続的に検出し、或いは、前記水量を微小時間間隔で継続的に検出するための検出部を備えた検出器と、
    該検出器の検出結果が入力され且つ注水完了後の経過時間及び吸水量を表示し又は記録する測定装置とを有し、
    複数の前記吸水カップの位置を固定するための位置固定具を有し、該位置固定具は、前記コンクリート表面から間隔を隔てた位置に配置された横架材と、該横架材によって支持され且つ前記吸水カップを前記コンクリート表面に向かって押圧する押圧具と、前記横架材の位置を保持し且つ該横架材を前記コンクリート構造物に一体的に連結する保持具とを有し、
    前記水量の検出を注水開始後1分未満の時間に開始し、注水開始後の1分未満の時間帯に生じるコンクリート表面の初期吸水量を測定するために、前記吸水チャンバへの注水時に該吸水チャンバ内の空気泡の排出を促進する脱気手段が、各々の前記吸水カップに設けられたことを特徴とするコンクリート表面の吸水試験装置。
  13. 前記保持具は、前記コンクリート構造物の表面に負圧下に吸着する吸着手段、或いは、前記コンクリート構造物に埋設された既設螺子部材に螺合する機械的連結手段を有し、前記吸着手段又は機械的連結手段は、前記横架材に作用する前記押圧具の反力を超える力で該横架材を前記コンクリート構造物に連結することを特徴とする請求項12に記載の吸水試験装置。
  14. 前記吸着手段は、前記コンクリート表面に吸着可能な吸着部と、該吸着部と前記コンクリート表面との間で密封された負圧チャンバと、該負圧チャンバ内の空気を吸引する減圧装置に対して前記負圧チャンバを接続する減圧装置接続手段とを有することを特徴とする請求項13に記載の吸水試験装置。
  15. 前記既設螺子部材は、前記コンクリート構造物に少なくとも部分的に埋め込まれたセパレーターからなり、前記機械的連結手段は、前記セパレーターの螺子部に螺合する螺子連結部を備えた連結具からなることを特徴とする請求項13に記載の吸水試験装置。
  16. 前記吸水開口は、5000mm以上の開口面積を有することを特徴とする請求項8乃至15のいずれか1項に記載の吸水試験装置。
  17. 前記吸水カップは、前記吸水チャンバへの注水時に該吸水チャンバ内の空気泡の排出を促進する脱気手段を有することを特徴とする請求項8又は10に記載の吸水試験装置。
  18. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載された吸水試験方法において、吸水カップ内の水を所定圧力に加圧してコンクリート表面の透水量を測定することを特徴とするコンクリート表面の吸水試験方法。
  19. 請求項8乃至17のいずれか1項に記載された吸水試験装置の吸水カップに加圧手段を更に設け、該加圧手段により、前記吸水チャンバ内の水を所定圧力に加圧してコンクリート表面の透水量を測定するようにしたことを特徴とするコンクリート表面の吸水試験装置。
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