JP5869832B2 - 鉄筋コンクリート構造物の削孔方法、せん断補強方法、及び削孔装置 - Google Patents
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Description
特許文献1の鉄筋コンクリート構造物のせん断補強構造は、鉄筋コンクリート構造物の一側から他側へ向かって穿孔された補強部材挿入孔と、その補強部材挿入孔内に挿入するせん断補強部材と、補強部材挿入孔内へ充填する充填材とを備える。補強部材挿入孔は、鉄筋コンクリート構造物の他側に位置する主鉄筋に付帯した配力筋の手前側まで穿孔され、入口側から奥側まで一様の内径を有している。せん断補強部材の先端部は、奥側の主鉄筋に付帯した配力筋の手前側まで挿入される。充填材は、補強部材挿入孔内へのせん断補強部材の挿入前あるいは挿入後のいずれかの時点で、補強部材挿入孔内に注入される。
特許文献2の鉄筋コンクリート構造物のせん断補強構造に用いるせん断補強部材は、鉄筋と、転造加工により鉄筋の端部に形成された複数の凹凸部を有する定着体とからなり、奥側の主鉄筋に付帯した配力筋の手前側まで挿入される。
特許文献3のドリルスタンドは、コンクリート穿孔用ドリルビットを接続して使用するもので、キャスター付き支持台に支持された昇降バーの上部先端に接続板を垂直面内で回動自在に取付け、これに穿孔対象面である天井面又は壁面への圧接面を、ベース盤を介して取付け、ベース盤には支柱で支持された穿孔ビットと駆動モータ、移動用エアーシリンダ等を取付け、これらと別にアンカーを設けて、ドリルの自己穿孔穴に予め刺し込んでスタンドが動かないように固定できる構成としたものである。
しかし、レッグドリルを用いる削孔では、打撃も伴うことから、コアドリルに比べて特殊かつ大型の削孔用治具や機械、仮設が必要となること、必要作業スペースが広範囲となること、さらにはそれらに伴って作業上の危険有害要因の増加等の問題を有している。
また、特許文献3のドリルスタンドは、コアドリル用のもので、キャスター付き支持台、キャスター付き支持台に支持された昇降バー、その昇降バーの上部先端に垂直面内で回動自在に取付けた接続板等を備える構成であり、打撃も伴うレッグドリルによる削孔には対応できない。
また、水平方向で深い削孔をするにはマシンの保持が大変なので、スタンドが不可欠だが、従来は装置が大型であった。
また、削孔が鉛直方向だと、削孔高さに応じたロッドを使用するので、マシンの位置が高くなり、それに応じた高さのスタンドが必要になる。
しかし、高さの高いスタンドでは、重心が高くなり、倒れやすく、マシンの落下事故などが起こる可能性もある。
鉄筋コンクリート構造物に固定するスタンドに沿って移動可能に組み付けた回転と打撃を併用して削孔するドリルにより、前記鉄筋コンクリート構造物に対し前記スタンドに沿って前進させながら削孔することを特徴とする。
前記回転と打撃を併用して削孔するドリルにより、前記鉄筋コンクリート構造物に対し削孔を行った後、
前記回転と打撃を併用して削孔するドリルを前記スタンドに沿って後退させて、前記削孔より削孔ロッドを抜き出してから、
前記削孔に長尺の削孔ロッドを挿入して、
前記長尺の削孔ロッドを前記回転と打撃を併用して削孔するドリルに装着し、
前記回転と打撃を併用して削孔するドリルに装着した前記長尺の削孔ロッドにより、前記削孔を深く削孔することを特徴とする。
前記回転と打撃を併用して削孔するドリルを前記スタンドに沿って後退させて前記スタンドの先端部で一体的に回転させた後、前記削孔より削孔ロッドを抜き出してから、
前記削孔に前記スタンドより長い長尺の削孔ロッドを挿入して、
前記回転と打撃を併用して削孔するドリルに装着した前記長尺の削孔ロッドにより、前記削孔を前記スタンドの長さ以上に深く削孔することを特徴とする。
請求項1に記載の鉄筋コンクリート構造物の削孔方法であって、
前記スタンドに備える振れ止め部材により、前記回転と打撃を併用して削孔するドリルの削孔ロッドを振れ止めしながら削孔することを特徴とする。
請求項1または2に記載の鉄筋コンクリート構造物の削孔方法に用いる前記回転と打撃を併用して削孔するドリルにより、前記鉄筋コンクリート構造物に対し削孔して補強部材挿入孔を形成した後、
前記補強部材挿入孔内にせん断補強部材を挿入するとともに充填材を注入する鉄筋コンクリート構造物のせん断補強方法を特徴とする。
請求項1または2に記載の鉄筋コンクリート構造物の削孔方法、または請求項3に記載の鉄筋コンクリート構造物のせん断補強方法に用いる削孔装置であって、
前記回転と打撃を併用して削孔するドリルと、
前記鉄筋コンクリート構造物に固定するベース盤にポールを固定してなるスタンドと、
前記ポールにスライド可能に組み付けられたクランプと、
前記回転と打撃を併用して削孔するドリルを前記クランプに組み付ける接続具と、
前記ポールに取り付けられて前記回転と打撃を併用して削孔するドリルの削孔ロッドの振れを抑える振れ止め部材と、
前記ベース盤に取り付けられて前記回転と打撃を併用して削孔するドリルによる削孔時の粉塵を収集する集塵器と、を備えるとともに、
前記ポールの先端部に回転可能な回転部を設けたことを特徴とする。
(実施形態)
図1は本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物のせん断補強方法の一実施形態の構成を示すもので、1は鉄筋コンクリート構造物、2はせん断補強部材、3は充填材である。
回転と打撃を併用して削孔するドリル4には、図示しないエアーコンプレッサからの圧縮エアーがエアーホース43を通して供給され、削孔ロッド41は打撃を伴って回転する。
スタンド5は、鉄筋コンクリート構造物1に対しベース盤51をアンカーボルト101で固定される。
すなわち、鉄筋コンクリート構造物1のスタンド取付部には、予め削孔しておいて、その削孔に、図示しないスリット側の端部に楔を備えたスリーブを挿入して打ち込んでおき、それによりスリーブのスリット側が拡径して楔により固定状態となる。
そのスリーブの内周に形成した雌ネジにアンカーボルト101をねじ込んで、そのアンカーボルト101を、ベース盤51の中央に形成した長穴511に通し、ナット102で固定する。
こうして、鉄筋コンクリート構造物1に固定した拡底式のアンカーボルト101にベース盤51の中央の長穴511でナット102により固定したスタンド5は、ベース盤51の四隅に設けた調整ボルト512を回転して鉄筋コンクリート構造物1の面に対するガタを調整し、鉄筋コンクリート構造物1に対しほぼ垂直に取り付けられる。
すなわち、回転と打撃を併用して削孔するドリル4は、接続具7を介してクランプ6に取り付けられている。
集塵器9には、エアーホース92が接続されて、図示しないエアーポンプからの負圧エアーがエアーホース92を通して作用する。これにより、削孔時の粉塵が吸引して収集される。
その後、図1に基づいて説明したように、補強部材挿入孔11内にせん断補強部材2を挿入するとともに充填材3を注入して、鉄筋コンクリート構造物1をせん断補強する。
そして、スタンド5に対する回転と打撃を併用して削孔するドリル4の回転操作後、ポール52に振れ止め部材8を取付具81及びナットで再び取り付けるとともに、ベース盤51に集塵器9をブラケット91及びボルトナットで再び取り付けておく。
実施形態によれば、図5、図6で行う手順により、スタンド5の高さよりも深い削孔を可能とできる。
すなわち、図5(a)に示すように、鉄筋コンクリート構造物1に固定したスタンド5に組み付けられた回転と打撃を併用して削孔するドリル4に短い削孔ロッド41Sを装着する。
そして、図5(b)に示すように、回転と打撃を併用して削孔するドリル4に装着した短い削孔ロッド41Sにより浅い削孔11Sを形成する。
その後、図5(c)に示すように、回転と打撃を併用して削孔するドリル4をスタンド5のポール52に沿って後方へスライドさせて、浅い削孔11Sから短い削孔ロッド41Sを抜き出す。
すなわち、図6(a)に示すように、スタンド5のポール52先端部の回転部53において、回転と打撃を併用して削孔するドリル4を上方に回避させる。
また、図6(b)に示すように、浅い削孔11Sには、長い削孔ロッド41Lを挿入する。
そして、図6(c)に示すように、回転と打撃を併用して削孔するドリル4を下方に戻して長い削孔ロッド41Lを装着する。
その後、図6(d)に示すように、回転と打撃を併用して削孔するドリル4に装着した長い削孔ロッド41Lにより深い削孔11Lを形成する。
以上の実施形態においては、垂直面に対する削孔としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、水平面に対する削孔でも同様に行える。その場合、低いスタンドで対応でき、スタンドが倒れることもないので、安全に削孔できる。
また、実施形態では、スタンドのポールを角パイプとしたが、丸パイプでもよい。
さらに、実施形態では、手動操作によるクランプとしたが、自動式のクランプであってもよい。
さらに、補強部材挿入孔、せん断補強部材、スタンド、スライダ、ホルダ、振れ止め部材の形状等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
11 補強部材挿入孔
12 配力筋
13 主鉄筋
2 せん断補強部材
21 鉄筋
22 テーパーネジ部
23 定着体
24 芯材
25 凸部
26 テーパー面
27 連結部材
28 雌ネジ部
3 充填材
4 回転と打撃を併用して削孔するドリル
41 削孔ロッド
42 ホース接続部
43 エアーホース
5 スタンド
51 ベース盤
511 長穴
512 調整ボルト
52 ポール
53 回転部
6 クランプ
7 接続具
8 振れ止め部材
81 取付具
9 集塵器
91 ブラケット
92 エアーホース
101 アンカーボルト
102 ナット
Claims (4)
- 鉄筋コンクリート構造物に固定するスタンドに沿って移動可能に組み付けた回転と打撃を併用して削孔するドリルにより、前記鉄筋コンクリート構造物に対し前記スタンドに沿って前進させながら削孔を行った後、
前記回転と打撃を併用して削孔するドリルを前記スタンドに沿って後退させて、前記削孔より削孔ロッドを抜き出してから、
前記削孔に長尺の削孔ロッドを挿入して、
前記長尺の削孔ロッドを前記回転と打撃を併用して削孔するドリルに装着し、
前記回転と打撃を併用して削孔するドリルに装着した前記長尺の削孔ロッドにより、前記削孔を深く削孔する鉄筋コンクリート構造物の削孔方法であって、
前記回転と打撃を併用して削孔するドリルを前記スタンドに沿って後退させて前記スタンドの先端部で一体的に回転させた後、前記削孔より削孔ロッドを抜き出してから、
前記削孔に前記スタンドより長い長尺の削孔ロッドを挿入して、
前記回転と打撃を併用して削孔するドリルに装着した前記長尺の削孔ロッドにより、前記削孔を前記スタンドの長さ以上に深く削孔することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物の削孔方法。 - 前記スタンドに備える振れ止め部材により、前記回転と打撃を併用して削孔するドリルの削孔ロッドを振れ止めしながら削孔することを特徴とする請求項1に記載の鉄筋コンクリート構造物の削孔方法。
- 請求項1または2に記載の鉄筋コンクリート構造物の削孔方法に用いる前記回転と打撃を併用して削孔するドリルにより、前記鉄筋コンクリート構造物に対し削孔して補強部材挿入孔を形成した後、
前記補強部材挿入孔内にせん断補強部材を挿入するとともに充填材を注入することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物のせん断補強方法。 - 請求項1または2に記載の鉄筋コンクリート構造物の削孔方法、または請求項3に記載の鉄筋コンクリート構造物のせん断補強方法に用いる削孔装置であって、
前記回転と打撃を併用して削孔するドリルと、
前記鉄筋コンクリート構造物に固定するベース盤にポールを固定してなるスタンドと、
前記ポールにスライド可能に組み付けられたクランプと、
前記回転と打撃を併用して削孔するドリルを前記クランプに組み付ける接続具と、
前記ポールに取り付けられて前記回転と打撃を併用して削孔するドリルの削孔ロッドの振れを抑える振れ止め部材と、
前記ベース盤に取り付けられて前記回転と打撃を併用して削孔するドリルによる削孔時の粉塵を収集する集塵器と、を備えるとともに、
前記ポールの先端部に回転可能な回転部を設けたことを特徴とする削孔装置。
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