JP5868223B2 - 立体成形品及びその製造方法、並びに加飾シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、立体成形品及びその製造方法、並びに加飾シート及びその製造方法に関し、特に木目模様が形成されている立体成形品及びその製造方法、並びに木目模様を形成するための加飾シート及びその製造方法に関する。
従来から樹脂製立体成形品や金属成形品の表面に木目模様を形成して、天然木材から得られる木製成形品の外観の質感を樹脂製立体成形品や金属成形品に持たせる加工が行われることがある。このような例として、例えば、特許文献1に記載されているような人工化粧材などが知られている。図16(a)には人工化粧材200が示され、図16(b)には人工化粧材200の製造の一工程が示されている。人工化粧材200は、合板などの積層材、集成材、パーティクルボード等の木質系形成材、発泡合成樹脂や無機質系成形材などで形成される直方体状の化粧材コア201と、化粧材コア201の6面に年輪模様付板202を貼付して製造される。年輪模様付板202は、デジタルカメラ等で撮影した年輪模様のデジタル写真画像を合成樹脂フィルムからなる画像媒体に印刷して形成される。
実用新案登録第311344号公報
上述の直方体状の人工化粧材200のように平面で囲まれた立体成形品であれば、天然木材の平面をデジタルカメラ等で撮影し、その平面の年輪模様のデジタル画像を印刷したものを用いて年輪模様付板202を作成することができる。このようにして作成した年輪模様付板202を貼付しても、デジタルカメラの被写体と年輪模様付板202が貼り付けられる平面の形状とが一致するため、人工化粧材200の年輪模様を見た者が、その年輪模様に対して違和感を覚えることは少ない。もし人工化粧材200の年輪模様に違和感を覚えるとしても、それはむしろ撮影技術の巧拙に起因するものと考えられる。
ところが、複雑な形状を持つ立体成形品、例えば図17(a)に記載されているような木製成形品300を模した立体成形品を製造する場合、図17(b)のように年輪模様付板202を木製成形品300と同じ立体形状に加工されたコア221に貼り付けてもうまくいかない。図17(b)のようにして製造された立体成形品220を見た者は、天然木材から実際に削り出した木製成形品300でないことをすぐに感じ取ってしまう。
それは、天然木材から削り出した木製成形品300においては、天然木材の年輪の中心軸からの距離に応じて年輪が次第に大きくなり、しかもその年輪の変化が気候変動や枝の付き方などに影響されて一様ではないことを人が経験的に知っているためである。そのため、本物の木製成形品300が見るものに落ち着きや高級感を与えるのに対し、年輪模様付板202を貼り付けた立体成形品220は、見る者に違和感を与え、安っぽい偽物であるという感覚を与えてしまう。
このような事態は、天然木材を薄くスライスして、年輪模様付板202と同じ者を本物の天然木材から作った場合でも起こり得ることである。天然木材を薄くスライスしても、年輪の成長に伴う微妙な変化が表れないからである。
本発明の目的は、天然木材から削り出した木製成形品の木肌が持つ美しい木目模様をできる限り忠実に再現することにより、美しい木目模様が形成されている、複雑な3次元形状を持つ立体成形品を提供することであり、そのような立体成形品に適した製造方法やそのような立体成形品の木目模様を形成するための加飾シートを提供することにある。
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る立体成形品の製造方法は、天然木材から削り出される木製成形品と同じ立体形状を持つ本体部と木製成形品の木肌の木目模様に似せた擬似木目模様が形成されている立体的な表面層とを有する立体成形品の製造方法であって、天然木材の内部の所定の点に向かって当該天然木材を順次スライスしたときに露出する天然木材の複数のスライス面の木目模様の2次元データを得る木目模様データ取得工程と、立体成形品の立体形状の3次元データを得る形状データ取得工程と、3次元データに基づいて立体形状の表面を複数の表面領域に分割し、複数の表面領域の位置に基づいて複数のスライス面を複数の表面領域に関連付ける関連付け工程と、特定の表面領域に関連する特定のスライス面から特定の表面領域に対応する特定の箇所の2次元データを抽出して並べる2次元データ抽出工程と、2次元データ抽出工程で並べられた2次元データを合成して表面層の擬似木目模様のデータを生成する擬似木目模様合成工程とを備えるものである。
この立体成形品の製造方法では、第1スライス面と第2スライス面が天然木材を順次スライスしたときに露出する天然木材の複数のスライス面のうちの異なる2つの面であるとすると、第1スライス面と第2スライス面では、天然木材の内部の所定の点からの距離が異なる。そして、天然木材の内部の所定の点からの距離を考慮したときに、立体形状の表面の複数の表面領域のうちの第1表面領域が第1スライス面に近い位置にあり、第2表面領域が第2スライス面に近い位置にある場合には、関連付け工程において、第1表面領域に第1スライス面が関連付けられるとともに第2表面領域が第2スライス面に関連付けられる。第1スライス面と第2スライス面の木目模様は、木目模様データ取得工程で取得されて2次元データとして持たれている。そのため、2次元データ抽出工程において、第1表面領域の位置に対応する木製成形品の木肌の木目模様に近い木目模様の2次元データは、第1スライス面のうちの第1表面領域に対応する特定の第1箇所から抽出される。同様に、第2表面領域の位置に対応する木製成形品の木肌の木目模様に近い木目模様の2次元データは、第2スライス面のうちの第2表面領域に対応する特定の第2箇所から抽出される。また、2次元データ抽出工程において、抽出された第1箇所の木目模様の2次元データと第2箇所の木目模様の2次元データが並べられる。その結果、擬似木目模様合成工程で生成される表面層の擬似木目模様のデータには、天然木材の内部の所定の点からの距離の異なる第1スライス面の第1箇所のデータと第2スライス面の第2箇所のデータとが含まれる。それにより、天然木材の内部の所定の点からの距離の違いによる微妙な年輪の変化を、形状データ取得工程で取得した立体成形品の3次元データが示す立体形状に合わせて再現することができる。
また、擬似木目模様のデータに基づいて擬似木目模様が形成されている加飾シートを生成する加飾シート生成工程と、加飾シートによって本体部の表面を加飾することにより表面層を形成する表面層形成工程とをさらに備えてもよい。
加飾シート生成工程で、擬似木目模様を加飾シートに形成して、加飾シートを使って表面層形成工程で表面層を形成するようにすることで、3次元の本体部に直接木目模様を形成するのに比べて2次元の加飾シートに擬似木目模様を形成する方が簡単であり、製造が簡単になる。
また、擬似木目模様合成工程は、2次元データ抽出工程で並べられた2次元データの木目模様のずれを補正する補正工程を含むものであってもよい。
人間の目が見分けられる程度の木目模様のずれが生じている場合には、補正工程によって木目模様のずれを補正することで、人が気づかないまでに擬似木目模様のずれを修正して、より高い外観の質感を立体成形品に与えることができる。
また、上述の立体成形品の製造方法で製造される立体成形品は、本体部が樹脂で成形されるものであってもよい。
樹脂で本体部が形成されることで、複雑な立体形状を簡単に再現することができる。
本発明の一見地に係る加飾シートの製造方法は、天然木材から削り出される木製成形品と同じ立体形状を持つ本体部の立体表面に、木製成形品の木肌の木目模様に似せた擬似木目模様を形成するための加飾シートの製造方法であって、天然木材の内部の所定の点に向かって当該天然木材を順次スライスしたときに露出する天然木材の複数のスライス面の木目模様の2次元データを得る木目模様データ取得工程と、立体成形品の立体形状の3次元データを得る形状データ取得工程と、3次元データに基づいて立体形状の表面を複数の表面領域に分割し、複数の表面領域の位置に基づいて複数のスライス面を複数の表面領域に関連付ける関連付け工程と、特定の表面領域に関連する特定のスライス面から特定の表面領域に対応する特定の箇所の2次元データを抽出して並べる2次元データ抽出工程と、2次元データ抽出工程で並べられた2次元データを合成して擬似木目模様のデータを生成する擬似木目模様合成工程と、表面領域の擬似木目模様のデータに基づいてシート上に擬似木目模様を形成する擬似木目模様形成工程とを備えるものである。
この加飾シートの製造方法によれば、上述の立体成形品の製造方法と同様に、擬似木目模様合成工程で生成される表面領域の擬似木目模様のデータには、天然木材の内部の所定の点からの距離の異なる第1スライス面の第1箇所のデータと第2スライス面の第2箇所のデータとが含まれる。それにより、天然木材の内部の所定の点からの距離の違いによる微妙な年輪の変化を、形状データ取得工程で取得した立体成形品の3次元データが示す立体形状に合わせて再現することができる。擬似木目模様形成工程において、このような表面領域の擬似木目模様のデータに基づいてシート上に擬似木目模様を形成すると、加飾シートを本体部の表面に合わせたときに、木製成形品の木肌の木目模様と同じ位置にほぼ同じ柄が加飾シートによって配置されるように加飾シートを製造することができる。
本発明の一見地に係る立体成形品は、天然木材から削り出される木製成形品の木肌に表れる木目模様に似せた擬似木目模様が立体表面に形成されている立体成形品であって、木製成形品と同じ立体形状を有する本体部と、本体部の立体表面に形成され、擬似木目模様を有する表面層とを備え、本体部は、天然木材の内部の所定の点に向かって天然木材を順次スライスしてできる複数のスライス面のうちの第1スライス面に対応する第1表面領域と第2スライス面に対応する第2表面領域とを立体表面上に持ち、表面層は、第1表面領域に対応する箇所の第1スライス面の木目模様と同じ模様を持つ第1プリント柄を擬似木目模様の第1表面領域に対応する位置に含み、第2表面領域に対応する箇所の第2スライス面の木目模様と同じ模様を持つ第2プリント柄を擬似木目模様の第2表面領域に対応する位置に含むものである。
この立体成形品において、第1スライス面と第2スライス面では、天然木材の内部の所定の点からの距離が異なる。そして、第1スライス面に対応する第1表面領域と第2スライス面に対応する第2表面領域とを立体表面に持つということは即ち、天然木材の内部の所定の点からの距離を考慮したときに、立体形状の立体表面の第1表面領域が第1スライス面に近い位置にあり、第2表面領域が第2スライス面に近い位置にあることを意味している。そのため、第1スライス面のうちの第1表面領域に対応する箇所と同じ模様を持つ第1プリント柄は、第1表面領域の位置に対応する木製成形品の木肌が持つ木目模様に近いものとなる。同様に、第2スライス面のうちの第2表面領域に対応する箇所と同じ模様を持つ第2プリント柄は、第2表面領域の位置に対応する木製成形品の木肌が持つ木目模様に近いものとなる。それにより、天然木材の内部の所定の点からの距離の違いによる微妙な年輪の変化を、立体成形品の立体表面に再現することができる。
また、本体部は、複数のスライス面のうちの第3スライス面に対応する第3表面領域を立体表面にさらに持ち、表面層は、第3表面領域に対応する箇所の第3スライス面の木目模様を写し取った第3プリント柄を擬似木目模様の第3表面領域に対応する位置にさらに含むものであってもよい。
第1スライス面や第2スライス面とは、天然木材の内部の所定の点からの距離が異なる第3スライス面の木目模様を写し取った第3プリント柄を用いることで、さらに精緻に木製成形品の木肌が持つ木目模様を立体成形品の立体表面に再現することができる。
また、本体部は、第1表面領域と第2表面領域との間に配置され、第1表面領域から第2表面領域まで滑らかに傾斜する中間表面領域を立体表面にさらに持ち、表面層は、擬似木目模様の第1プリント柄と第2プリント柄とを滑らかにつなぐ木目模様からなる中間プリント柄を擬似木目模様の中間表面領域に対応する位置にさらに含むものであってもよい。
中間プリント柄によって第1プリント柄と第2プリント柄とを滑らかにつなぐことにより、より高い外観の質感を立体成形品に与えることができる。
本発明の一見地に係る加飾シートは、天然木材から削り出される木製成形品と同じ立体形状を持つ本体部に被せ、木製成形品の木肌に表れる木目模様に似せた擬似木目模様を持つ表面層を本体部の立体表面に形成するための加飾シートであって、加飾シートは、天然木材の内部の所定の点に向かって天然木材を順次スライスしてできる複数のスライス面のうちの第1スライス面に対応する立体表面の第1表面領域を加飾するための第1プリント柄と第2スライス面に対応する立体表面の第2表面領域を加飾するための第2プリント柄とを有し、第1プリント柄は第1スライス面の木目模様のうちの第1表面領域に対応する第1箇所と同じ模様を持つものであり、第2プリント柄は第2スライス面の木目模様のうちの第2表面領域に対応する第2箇所と同じ模様を持つものである。
この加飾シートにおいて、第1スライス面と第2スライス面では、天然木材の内部の所定の点からの距離が異なる。そして、第1スライス面が第1表面領域に対応して第2スライス面が第2表面領域に対応するということは即ち、天然木材の内部の所定の点からの距離を考慮したときに、立体形状の立体表面の第1表面領域が第1スライス面に近い位置にあり、第2表面領域が第2スライス面に近い位置にあることを意味している。そのため、第1スライス面のうちの第1表面領域に対応する第1箇所と同じ模様を持つ第1プリント柄は、第1表面領域の位置に対応する木製成形品の木肌が持つ木目模様に近いものとなる。同様に、第2スライス面のうちの第2表面領域に対応する第2箇所と同じ模様を持つ第2プリント柄は、第2表面領域の位置に対応する木製成形品の木肌が持つ木目模様に近いものとなる。それにより、このような加飾シートで立体成形品の立体表面に擬似木目柄を形成すると、天然木材の内部の所定の点からの距離の違いによる微妙な年輪の変化を、立体成形品の立体表面に再現することができる。
本発明によれば、天然木材から削り出した木製成形品の木肌が持つ美しい木目模様をできる限り忠実に再現することにより、従来にない美しい木目模様が形成されている、複雑な3次元形状を持つ立体成形品を提供することができる。
一実施形態に係る樹脂製立体成形品の製造工程の概要を示すフローチャート。 転写シート配置工程における第1型および第2型の斜視図。 (a)樹脂製立体成形品の外観の一例を示す斜視図、(b)転写シートの構成の概要を示す部分断面拡大図。 加飾シート製造装置の構成を示すブロック図。 (a)撮影装置の一例を説明するための斜視図、(b)撮影装置の他の例を説明するための斜視図。 転写シートの製造工程の概要を示すフローチャート。 (a)天然木材の一例を示す斜視図、(b)スライスされた天然木材の一例を示す斜視図。 3次元データを説明するための斜視図。 天然木材と樹脂製立体成形品の位置関係を説明するための概念図。 天然木材と樹脂製立体成形品の位置関係を説明するための概念図。 天然木材と樹脂製立体成形品の位置関係を説明するための概念図。 3次元データと2次元データの関連を説明するための概念図。 (a)表面領域と第1スライス面との関係を説明するための概念図、(b)表面領域と第2スライス面との関係を説明するための概念図、(c)表面領域と第3スライス面との関係を説明するための概念図。 (a)木目模様の2次元データの並べ方を説明するための概念図、(b)修正前の木目模様の2次元データを説明するための概念図、(c)修正後の木目模様の2次元データを説明するための概念図、(d)擬似木目模様の2次元データを説明するための概念図。 (a)樹脂製立体成形品の外観の他の例を示す斜視図、(b)樹脂製立体成形品の外観の他の例を示す斜視図。 (a)従来の人工化粧材の外観を示す斜視図、(b)従来の人工化粧材の製造工程を説明するための斜視図。 (a)木製成形品の外観の一例を示す斜視図、(b)従来の人工化粧材の製造工程を説明するための斜視図。
以下、本発明の一実施形態に係る立体成形品の製造方法による樹脂製立体成形品の製造工程を図1のフローに沿って説明する。ここでは、立体成形品の一例として、樹脂製立体成形品について説明するが、立体成形品は、樹脂製に限られるものではなく、金属やセラミックなどの無機物や樹脂以外の有機物から選択される材料で作られていてもよい。また、説明を簡単にするために、他の部品に組み込まれて立体成形品の一面だけが露出するような立体成形品(部品)を例に挙げて説明する。そのため、以下の説明では木目模様の転写される面は立体成形品の一面に限られるが、本発明が適用できる立体成形品は、一面にだけ木目模様が形成されるものに限られるものではない。また、木目模様を表す図面には、木目模様の最も濃い部分だけを線で描写しているが、この発明で扱っている木目模様はカラーであり、木目模様は色彩や色の濃さや明るさが連続的に変化するグラデーション模様である。
(1)樹脂製立体成形品の製造工程の概要
まず、図1の転写シート配置工程(ステップS1)では、図2に示されているように、型開きされた射出成形用金型(第1型20と第2型30)の間に転写シート10が配置される。
図2に示されている転写シート10の送り方向は鉛直方向である。配置された転写シート10は、クランプなどによって動かないように固定される。なお、図2においては、図が見難くなるのを避けるため、射出成形用金型に形成されている吸引穴や横張り溝などの記載は省略されている。
後述する擬似木目模様54(図3(a)参照)を形成するための転写層13(図3(b)参照)は、転写シート10の送り方向に沿って基体フィルム上に連続して形成されている。そして、樹脂製立体成形品50の射出成形の1ショット毎に、転写シート10が図2の矢印の方向に送られて転写層の位置決めが行なわれる。
次に、型締めが行なわれ、第1型20の第1パーティング面21に、第2型30の第2パーティング面31が合わせられる(ステップS2)。
そして、型締めされた第1型20と第2型30に対して溶融樹脂が射出され、樹脂流路24,34を通じて、第1型20の第1キャビティ面22と第2型30の第2キャビティ面32によって囲まれたキャビティ内に樹脂が流し込まれる(ステップS3)。
次の保圧工程では、キャビティ内に射出された樹脂が適正密度を保つように所定の圧力が加え続けられる(ステップS4)。保圧工程に続く冷却工程では、キャビティ内の全ての溶融樹脂を硬化させるために予め設定された冷却時間だけ、金型の冷却機能により冷却が行なわれる(ステップS5)。
次に、型開き工程において、金型が開かれて第1型20から第2型30が離れる(ステップS6)。金型が開くときに冷却固化された樹脂製立体成形品が突き出しシリンダー(図示せず)で突き出されるなどして、第1型20及び第2型30から樹脂製立体成形品が離型されて取り出される(ステップS7)。
(2)樹脂製立体成形品
上述の製造工程を経て製造される樹脂製立体成形品について図3(a)を用いて説明する。図3(a)には、図2に示されている第1型20と第2型30とを用いて成形された樹脂製立体成形品が示されている。
図3に示されている樹脂製立体成形品50は、例えば自動車のコンソールボックスの一部を構成する部品である。本体部51は、上述したように第1型20と第2型30で囲まれたキャビティに流し込まれる樹脂で形成され、このキャビティと同じ立体形状を有している。本体部51の上方を向いている化粧面52が、自動車のコンソールボックスに嵌め込まれたときに露出する。本体部51の化粧面52以外の箇所は、コンソールボックスに嵌め込まれたときに露出しないので、木目模様などを形成する必要がない。
本体部51の化粧面52には、擬似木目模様54を持つ転写層13が形成されている。化粧面52に形成されている転写層13は、樹脂製立体成形品50の成形時に、転写シート10から同時に転写されたものである。
(3)転写シート
転写シート10は、図3(b)に示されているように、基材フィルム11の上に、転写層13と接着層16とが順に積層された構造を有している。また、転写シート10は、転写層13と基材フィルム11との境界に、離型層12を有している。転写層13は、透明保護層14とインキ層15とからなる。
基材フィルム11は、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アセテート系樹脂、及びポリアミド系樹脂などから選択された材料で形成されている。基材フィルム11の厚みは、例えば5μm〜5mmの範囲から選択されることが好ましい。基材フィルム11の厚みが5μmより薄いと、転写シートの剛性が低くなって皺が入り易くなる。
離型層12は、例えばエポキシ樹脂やウレタン樹脂などで形成され、例えば厚さが0.1〜0.2μm程度の薄い層である。離型層12は、例えば、ロールコート法やスプレーコート法やグラビア印刷法などで形成される。
透明保護層14は、転写層13が本体部51に転写されたときに最も外側の表面となり、本体部51を保護する役目を果たす。透明保護層14は、離型層12の上に、例えば、ロールコート法やスプレーコート法やグラビア印刷法などで形成される。この透明保護層14によって、樹脂製立体成形品50の表面には、高い耐擦傷性及び高い耐磨耗性などの高い耐久性が付与される。透明保護層14は、例えばウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂及びアクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、あるいは紫外線や電子線で硬化するように調整された紫外線硬化樹脂や電子線硬化樹脂などで形成される。
インキ層15は、上述の擬似木目模様54などの図柄を表現するための層である。インキ層15は、例えば、透明保護層14の上に印刷法などによって形成することができる。インキ層15を形成する材質は、例えばアクリル系樹脂、硝化綿系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂と、それに添加される顔料又は染料を含むものである。また、インキ層15を形成する材質は、例えば真空蒸着法やスパッタリング法などを使って薄膜状に形成する場合には金属とすることもできる。インキ層15に金属薄膜を使用する場合には、エッチング法を用いて図柄を形成することができる。インキ層15は、樹脂を用いる場合には例えば0.5〜50μm程度の膜厚で形成でき、金属を用いる場合には例えば50〜1200μm程度の膜厚で形成することができる。
接着層16は、被加飾体である本体部51と転写層13とを接着させる重要な役割を担っている。そのため、接着層16は、本体部51と転写層13とを密着させて接着させたい部分に形成される。接着層16と本体部51との接着強度を向上させるためには接着層16の本体部51に対するぬれ性が良好な方が好ましい。そのために、本体部51及び接着層16のうちの少なくとも一方に、表面処理を施して本体部51や接着層16の表面改質を行ってもよい。
接着層16には、通常、接着層16を加熱あるいは加圧して接着させるため、素材に適した感熱性あるいは感圧性の樹脂が使用される。接着層16の主となる材質は、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂などの樹脂である。例えば、被加飾体がポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合には、ポリアクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂などのこれらの樹脂と親和性の高い樹脂が用いられる。接着層16には、これらの主材に粘着性や接着性を向上させるために粘着剤などの種々の添加剤が添加される。接着層16は、厚みが例えば0.5〜50μm程度であり、例えばロールコート法やグラビア印刷などのコート法や印刷法によって透明保護層14やインキ層15の上から印刷される。
(4)加飾シートの製造装置
次に、加飾シートの製造装置について図4及び図5を用いて説明する。
図4は、加飾シートの製造装置を示すブロック図である。加飾シート製造装置60は、天然木材から木目模様を写し取るための撮影装置61と、本体部51に転写する擬似木目模様のデータを作成するためのデータ作成装置62と、データ作成装置62で作成された擬似木目模様のデータに基づいて加飾シートを製造する印刷装置63とを備えている。
(4−1)撮影装置
撮影装置61は、スライス面の木目模様を撮影するための装置である。撮影装置61には、デジタルカメラ61A(図5(a)参照)やスキャナー61B(図5(b)参照)などがある。
(4−2)データ作成装置
データ作成装置62は、撮影装置61と印刷装置63に接続され、撮影装置61や印刷装置63とデータの遣り取りができるように構成されている。
データ作成装置62は、データ作成装置62を制御するための制御部71を備えている。制御部71には、制御部71に接続されている操作部72、表示部73、2次元データ取得部74、3次元CAD(コンピュータ支援設計装置)75、データ編集部76、2次元データ記憶部77、3次元データ記憶部78及び擬似木目模様データ記憶部79に接続されている。
制御部71、2次元データ取得部74、3次元CAD75及びデータ編集部76は、例えばCPU(中央演算処理装置)やRAMやROMなどの記憶装置で構成され、後述する機能を発揮するようなソフトウエアを実行させることで実現することができる。
操作部72は、例えばキーボードやマウスなどを含む操作装置や補助記憶装置やLANケーブルなどを接続する情報入力端子で構成される。表示部73は、液晶表示装置などの表示画面を備える表示装置で構成され、撮影された木目模様や作成された擬似木目模様や本体部51の立体形状や完成が予想される樹脂製立体成形品50などのカラー画像を表示することができる。
2次元データ取得部74は、撮影装置61に接続されており、撮影装置61から入力されるスライス面の画像データをスライス面の位置に関する情報と関連付けて制御部71に対して出力する。
3次元CAD75は、操作部72から入力される設計データや内部の設計プログラムを起動して本体部51の立体形状に関する3次元データDa20(図8参照)を生成する。
データ編集部76は、データ関連情報抽出部81と2次元データ抽出部82とデータ修正部83と画像合成部84とを含んでいる。
2次元データ記憶部77には、2次元データ取得部74で取得されたスライス面の木目模様に関する2次元データとスライス面の位置に関する情報が関連付けて記憶されている。
3次元データ記憶部78には、3次元CAD75で生成された本体部51の立体形状に関する3次元データが記憶されている。
擬似木目模様データ記憶部79には、2次元データ記憶部77に記憶されている2次元データと3次元データ記憶部78に記憶されている3次元データに基づいて合成される擬似木目模様に関するデータが記憶されている。
データ編集部76は、制御部71を経由して2次元データ記憶部77に記憶されている各スライス面の位置に関するデータ及び木目模様に関する2次元データと3次元データ記憶部78に記憶されている本体部51の立体形状に関するデータを入手し、これらのデータをデータ関連情報抽出部81と2次元データ抽出部82とデータ修正部83と画像合成部84とで使用できる状況をつくる。
データ関連情報抽出部81は、本体部51の立体形状の表面を複数の表面領域に分割し、各表面領域に当該表面領域の位置に近いスライス面を関連付ける。
2次元データ抽出部82は、データ関連情報抽出部81で抽出された本体部51の特定の表面領域に関連するスライス面を特定する。2次元データ抽出部82は、この特定のスライス面の木目模様の2次元データのうち、特定の表面領域に対応する位置にある特定の箇所の2次元データを抽出する。そして、2次元データ抽出部82は、抽出された特定の箇所の2次元データを、対応する表面領域の位置に従って並べていき、本体部51の化粧面52の仮想平面上の複数の箇所に、撮影した木目模様に関する2次元データから切出されたデータ(特定の箇所に対応する2次元データ)を配置する。
データ修正部83は、2次元データ抽出部82によって配置された複数のスライス面にわたる複数の箇所の2次元データを表示部73に表示する。このようにして表示される2次元データは、隣接する箇所の2次元データが他のスライス面の木目模様であるため、境界部分で木目模様に許容限度を超えるずれが生じることがある。データ修正部83は、表示部73で表示しながら、木目模様のずれを修正する。ずれの修正方法については、後ほど詳しく説明する。
画像合成部84では、データ修正部83によってデータ修正が施された2次元データを合成して化粧面52に描く擬似木目模様のデータを生成し、擬似木目模様データ記憶部79に格納する。
(4−3)印刷装置
印刷装置63は、描画データ生成部91と印刷部92とを備えている。描画データ生成部91は、データ作成装置62の擬似木目模様データ記憶部79に記憶されている2次元データから描画データを生成する。印刷装置63が、例えば、転写シート10のインキ層15についてブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの4色の顔料で印刷することができるとすると、擬似木目模様を4色で描画できるように、擬似木目模様のデータから4色に対応する4つの版の描画データを生成する。
印刷部92は、連続的に移動する長尺の基材フィルム11の上に、順に離型層12、透明保護層14、インキ層15及び接着層16を印刷する。インキ層15は、描画データ生成部91で生成された上述の4つの版に基づいて印刷される。
(5)転写シートの製造方法
図6は、転写シートの製造工程の一例を示すフローチャートである。以下、図6のフローチャートに沿って転写シートの製造方法について説明する。転写シートの製造において、天然木材の木目模様に関するデータと樹脂製立体成形品の立体形状に関する3次元データに基づく擬似木目模様の2次元データの作成が行われる。
(5−1)木目模様に関するデータの取得
図7(a)に示されているように、まず、天然木材100を準備する。様々な天然木材100の中から、材質や木目模様などが樹脂製立体成形品50に適した天然木材100が選択される。天然木材100が選択されると、まず、天然木材100の内部を通る中心軸CL0が決定される。装飾面に用いられる天然木材100は、その美しい木目模様に価値を見出されるものであるため、木目模様の美しさが栄えるように、例えば年輪110の中心を通る中心軸CL0が用いられる。
選択された天然木材100は、図7(b)に示されているように、例えば1cmの厚みに平行にスライスされ、複数の板101,102,103,104に分割される。これら複数の板101〜104の各表面は、木目模様がはっきりと表れるように滑らかにスライスされたものである。例えば、鋸などで切出して表面に凹凸ができているようなときには鑢や鉋などによって表面を滑らかに加工してもよい。逆に、表面の経年変化を表したいときには、表面に凹凸を付けたり、着色したりしてもよい。ここでスライスとは、複数の露出した面を得ることであり、その面を得るための加工方法は限定されない。また、スライスの概念に、露出面の表面に凹凸を付けたり、着色したりする加工も含まれる。スライスされて木目模様が露出している複数の板101,102,103の表面がスライス面であり、撮影対象である。
例えば、天然木材の年輪のある側面108から僅かに内側に入った中心軸CL0上の点Mを選択する。この点Mまでの距離を順次変えながら平行にスライスして得られるスライス面101f,102f,103fは、点Mまでの距離がそれぞれL1、L2、L3に設定されている。これらL1,L2,L3の各値は、美しい木目模様が露出するように例えば天然木材100ごとに入力される値である。ここでは、同じ幅でスライスできるように、L1−L2=1cm、L2−L3=1cmとしている。
このように、中心軸CL0上の点Mに向かって順次スライスして得られる複数のスライス面101f,102f,103fが撮影対象になる。ここでは、後述の擬似木目模様の作成に3つのスライス面101f〜103fを用いている例を説明するため、中心軸CL0を年輪110の中心を通る直線としている。しかし、中心軸を年輪の中心からさらに下にずらして、板104の面もスライス面104fとして用いても構わない。
また、ここでは、スライス面101f,102f,103fが互いに平行になるようなスライスを行っているが、スライス面101f,102f,103fが互いに平行である必要はない。互いに平行でなくても、後述するデータ作成装置62におけるデータ処理は可能である。また、点Mに向かって順次スライスする際に、必ずしも中心軸CL0に平行である必要もなく、中心軸CL0に平行でなくてもデータ作成装置62におけるデータ処理は可能である。
次に、撮影装置61を使ってスライス面101f,102f,103fの撮影を行う(ステップS11)。スライス面101f,102f,103fが天然木材100のどの位置にあるかということが重要であるため、天然木材100におけるスライス面101f,102f,103fの位置に関する情報を撮影と同時に入力する。例えば、スライスの間隔を一定にすることを決めておけば、撮影の順番をスライスの順番に合わせることで、撮影と同時にスライス面101f,102f,103fの位置に関する情報の入力ができる。即ち、最初に撮影するスライス面101fが3つのスライス面のうち中心軸CL0上の点Mから最も遠くにあり、最後に撮影するスライス面101fが中心軸CL0上の点Mから最も近くにあることを撮影装置61が出力することができる。スライス面の重なっている方向をZ軸方向というとすると、このようにして、Z軸方向のスライス面101f,102f,103fの位置に関する情報が得られる。
しかし、スライス面101f,102f,103fの木目模様の位置を特定するには、中心軸CL0が延びるX軸方向と、Z軸方向及びX軸方向に垂直なY軸方向の位置に関する情報が必要になる。このようなX軸方向やY軸方向に関する位置の情報は、例えば、板101,102,103,104の同じ角AN1を原点Oに合わせて同じ位置に固定したデジタルカメラ61Aで撮影し或いは、スキャナー61Bで原点Oを合わせてスキャンすることによって得ることができる。
スライス面101f,102f,103fの位置に関する情報の入力は他の方法で行ってもよく、例えば、撮影した画像を表示部73に表示してデータ作成装置62の操作部72から画像上のポイントを指定してX軸とY軸とZ軸に関する情報を入力することによって用いて行うこともできる。
撮影装置61で撮影される毎に、スライス面101f,102f,103fの木目模様のデータが撮影装置61からデータ作成装置62の2次元データ取得部74に送信される。このとき、上述のように、スライス面101f,102f,103fの位置に関する情報も2次元データ取得部74に送信される。2次元データ取得部74は、撮影したスライス面101f,102f,103fの木目模様についての2次元データとスライス面101f,102f,103fの位置に関する情報を2次元データ記憶部77に格納する(ステップS12)。
(5−2)立体形状に関するデータの取得
次に、樹脂製立体成形品50の立体形状に関するデータを取得する(ステップS13)。データ作成装置62のオペレータは、3次元CAD75を使って本体部51の立体形状に関する3次元データを生成する。オペレータは、例えば、射出成形用金型(第1型20と第2型30)のデータを操作部72から読み込ませる。そして、オペレータは、射出成形用金型のキャビティに関する形状を表示部73に表示して、ゲートやランナーに関するデータを消去して本体部51の立体形状に関するデータのみを残す。例えば、金型を設計する装置にデータ作成装置62を接続して、データ作成装置62が自動的に金型に関するデータを取得し、自動的にキャビティの本体部51の形状に関するデータのみを抽出するように構成してもよい。
3次元CAD75は、例えば、図8に示されているような3次元データDa20を生成する。そして、3次元CAD75は、生成した3次元データDa20を3次元データ記憶部78に格納する。
(5−3)2次元データと3次元データの関連付け
天然木材から削り出した木製成形品の木肌に表れる木目模様に極めて近い擬似木目模様のデータを作成するために、図9、図10及び図11に示されているように、特定の天然木材100の中の木製成形品の位置の情報を得る。木製成形品と樹脂製立体成形品50の立体形状が同じであることから、天然木材100の中の木製成形品の位置の情報は、天然木材100の中の樹脂製立体成形品50の位置に関する情報と言い換えることができる。図9乃至図11では、樹脂製立体成形品50(木製成形品)と天然木材100との位置関係が分かりやすくなるように、天然木材100の一面の年輪110を残し、他の木目模様に関する記載を省略している。
特定した天然木材100の木目模様のうち、樹脂製立体成形品50の化粧面52に使用できるのは、上述のステップS12で取得して2次元データ記憶部77に記憶されているスライス面101f、102f、103fの木目模様の2次元データである。スライス面101f、102f、103fの木目模様の2次元データには、天然木材100における位置の情報も含まれているため、天然木材100の中の樹脂製立体成形品50の位置づけを決定すると、樹脂製立体成形品50とスライス面101f、102f、103fの木目模様と樹脂製立体成形品50との位置関係も制御部71で認識することができる。
天然木材100における樹脂製立体成形品50の位置づけは、例えば、制御部71が表示部73に図9乃至図11に示すような天然木材100と樹脂製立体成形品50の立体形状を表示して、操作部72から表示部73を見ながらオペレータがマウスなどの入力装置を使って天然木材100の中の所望の位置に樹脂製立体成形品50を移動させることによって決定することができる。又は、例えば、制御部71が天然木材100の中心軸CL0の中間点と樹脂製立体成形品50の中心点とを一致させるようにして自動的に決定するように構成することもできる。
例えば、図9乃至図11のように、樹脂製立体成形品50と天然木材100との位置関係が決定されると、制御部71は、3次元データ記憶部78に記憶されている立体形状の3次元データを用いて、立体形状の化粧面52の立体形状の3次元データを作成する。そして、スライス面101f、102f、103fの位置に基づいて化粧面52に対応する立体形状の表面を複数の表面領域に分割する。図9乃至図11の斜線で示されている領域が分割された表面領域131a,131b,132a,132b,132c,133a,133bである。
スライス面101f〜103fの木目模様の2次元データを用いるために、ここでは、スライス面101f〜103fからZ方向の所定距離内にある直方体を仮定して、その直方体に含まれるか否かによって立体形状の表面を分割している。例えば、図9のスライス面101fに対応するものとして分割されたのが、表面領域131a,131bである。同様に、図10のスライス面102fに対応するものとして表面領域132a,132bが分割され、図11のスライス面103fに対応するものとして表面領域133a,133bが分割されている。
図12に、スライス面と表面領域の関係が示されている。このように、スライス面101f、102f、103fに対応して表面領域131a,131b,132a,132b,132c,133a,133bが生成されることによって、木目模様を示す2次元データと立体形状を示す3次元データの関連付けが行われたことになる(ステップS14)。
(5−4)2次元データの木目模様の抽出
上述のステップS14で、関連付けられた3次元の立体形状に2次元の木目模様を形成できるように、スライス面101f〜103fの木目模様の2次元データから表面領域131a〜133bに対応する箇所のデータを抽出する。
図13に示されているように、表面領域131a〜133bに対応するスライス面101f〜103fから、それぞれの表面領域131a〜133bに対応する箇所Po1,Po2,Po3,Po4,Po5、Po6,Po7の2次元データDa1,Da2,Da3,Da4,Da5,Da6,Da7を抽出する。その結果、例えば、特定の表面領域131aに関連する特定のスライス面101fから特定の表面領域131aに対応する特定の箇所Po1の2次元データDa1を抽出することができる。
例えば、抽出される2次元データDa1は、表面領域131aがXY平面に対して傾いているので、X軸方向即ち中心軸CL0が延びる方向の長さがXY平面に投影した表面領域131aの長さではなくて傾いた実像の表面領域131aのX軸方向の長さに対応している。これは、転写シート10上のプリント柄になったときに、表面領域131aの全面に転写されなくてはならないからである。
このようにして切出した木目模様の2次元データDa1〜Da7を図14(a)に示されているように、対応する表面領域131a〜133bの位置に応じて並べる。例えば、3次元データと2次元データの関連を示す図12を見ると、表面領域133a、表面領域132a、表面領域131a、表面領域132b、表面領域133b、表面領域132c、表面領域131bの順序に並んでいることが分かる。制御部71は、この順序を認識し、2次元データDa6、2次元データDa3、2次元データDa1、2次元データDa4、2次元データDa7、2次元データDa5、2次元データDa2の順に並べる。それにより、2次元データの抽出が完了する(ステップS15)。
(5−5)擬似木目模様の合成
擬似木目模様のデータの生成(ステップS16)は、図14(a)に示されている7との2次元データDa1〜Da7を合成して一枚の擬似木目模様を表すデータになるように、各2次元データDa1〜Da7の座標軸を書き換える作業になり、これは、制御部71において行われる。
図7(b)に示した板101〜104を薄くスライスすれば、隣接するスライス面での木目模様の差異が小さくなるので、単純な座標軸だけの書き換えでも滑らかにつながった美しい擬似木目模様を再現することができる。
しかし、スライスの間隔が広い場合には、隣接するスライス面での木目模様の差異が大きくなり、順に並べた2次元データDa1〜Da7の境界でのずれが大きくなって、意匠性を損ねる場合が生じる。
図14(b)に、2次元データDa4と2次元データDa7が表す木目模様を拡大して示している。スライス面101f〜103fが互いに隣接する同士の間に距離を持っていることから、2次元データDa4と2次元データDa7が表す木目模様は、その境界線BL1において2次元データDa4が示す木目模様111と2次元データDa7が示す木目模様112との間でずれが生じている。ここでは、説明を分かりやすくするために、そのずれを強調して示している。
このようにずれが大きい場合には、木目模様のずれの補正を行ってもよい。木目模様のずれの補正方法には、種々の方法がある。例えば、まず、Y軸方向での2次元データDa4,Da7の中心線CL1の位置を求めて、中心線CL1に最も近い木目模様111と境界線BL1との交点(黒丸で示した2次元データDa4上の点P1,P2)を求める。同様に、中心線CL1に最も近い木目模様112と境界線BL1との交点(白丸で示した2次元データDa7上の点P3,P4)を求める。ここでは、中心線CL1からの位置や木目模様の色彩などから制御部71が自動的に点P1〜P4を求める場合について説明したが、例えば、これらの点は、表示部73に表示された2次元データの木目模様を見ながらオペレータが操作部72を用いて指定するようにしてもよい。
例えば、点P1,P2の間隔(板目の間隔)が3cmで、点P3,P4の間隔(板目の間隔)が2cmであれば、スライス面102f,103fの中間に位置する境界線BL1では、点P1,P2の間隔も点P3,P4の間隔も2.5cmとするのが正しいと推測される。そして、境界線BL1において、2次元データDa4のY軸方向の長さを2.5/3に縮小するとともに、2次元データDa7のY軸方向の長さを2.5/2に拡大する。このとき、例えば、境界線BL1からX軸方向に2次元データDa4,Da7のそれぞれの幅の1/4の距離の境界線BL2,BL3からリニアに拡大率や縮小率を変化させて、境界線BL2,BL3上では等倍、境界線BL1上では2.5/3倍、2.5/2倍になるように調節する。
このような補正を行うことによって、図14(c)に示されているように、2次元データDa4,Da7の木目模様111,112を滑らかにずれなく合成することができ、擬似木目模様のずれの発生を防止することができる。
以上の補正を2次元データDa1〜Da7に施すことによって、図14(d)に示す擬似木目模様のデータが合成される。合成された擬似木目模様に関するデータDa10は、制御部71によって擬似木目模様データ記憶部79に格納される。
ここでは、制御部71によって、自動的にずれを補正する方法について説明したが、上述の補正の後で、アドビシステムズ社製のフォトショップ(登録商標)などのグラフィックソフトウェアを用いた修正を行ってもよい。例えば、データ作成装置62にインストールされたグラフィックソフトウェアを用い、さらに細部の修正を表示部73に表示された2次元データの木目模様を見ながらオペレータが操作部72のマウスを使って行ってもよい。また、上述の制御部71による自動的な補正に代えて、オペレータがグラフィックソフトウェアを用いて行う修正のみでずれの補正を行ってもよい。
(5−6)基材フィルムへの印刷
基材フィルム11への擬似木目模様の印刷は、例えば、データ作成装置62の擬似木目模様データ記憶部79に記憶されている擬似木目模様のデータDa10を用いて、印刷装置63が行う(ステップS17)。
印刷装置63は、描画データ生成部91が擬似木目模様データ記憶部79から擬似木目模様のデータDa10を取得する。取得されたデータDa10の示す擬似木目模様がカラー画像であるから、転写シート10のインキ層15で用いることのできる複数のインキの色彩に合わせて、描画データ生成部91は、データDa10から印刷用の複数の原版のデータを作成する。
そして、その原版のデータを用いて印刷部92が印刷を行って、基材フィルム11の上のインキ層15を形成する。勿論、印刷部92が、離型層12と透明保護層14と接着層16とを印刷してもよい。
(6)変形例
(6−1)
上記実施形態では、擬似木目模様の転写方法として、転写と同時に成形を行う成形同時転写を用いる場合について説明したが、転写方法には、アップダウン式熱転写方法及び真空プレス転写方法などの他の転写方法もある。本発明の転写層13の形成は、これらの他の転写方法を用いて擬似木目模様を転写することによっても行うことができ、そのような他の転写方法を用いても上記実施形態と同様の効果を奏する。
(6−2)
上記実施形態では、樹脂製立体成形品50に擬似木目模様54を形成する転写層13の形成の仕方として、図3に示されている転写シート10によって本体部51の化粧面52に転写層13を転写する場合について説明した。しかし、立体成形品に擬似木目模様を形成する加飾方法は、上述したような転写には限られない。例えば、加飾シートも成形体の一部とするラミネート成形法やインサート成形法などがある。ラミネート成形やインサート成形によって、図15(a)に示されている樹脂製立体成形品50Aのように、本体部51の化粧面52に加飾フィルム40を貼り付けてもよい。この加飾フィルム40の擬似木目模様54のデータは、転写シート10の擬似木目模様54のデータを用いることができる。
(6−3)
また、上記実施形態では、化粧面52がX軸方向に沿って高さ(Z軸方向の位置)が変化するが、Y軸方向に沿っては高さ(Z軸方向の位置)が変化しない場合について説明した。しかし、図15(b)に示されている樹脂製立体成形品50Bのように、加飾対象の面がX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に複雑に変化しているものにも本発明を適用することができる。上記実施形態の立体成形品の製造方法を用いることにより、樹脂製立体成形品50Bの表面に板目57と柾目58を天然木材から削り出した木製立体成形品のように表すことができる。
上記実施形態では、化粧面52は本体部51の一面のみであったが、例えば樹脂製立体成形品の本体部の全面に形成されてもよい。その場合に、例えば他の転写シートを転写シート10に対向する面、即ち図2の第1型20に沿って配置して、表裏から同時に転写してもよい。また、本体部の成形後に、複数回に分けて複数の転写シートから本体部の複数の箇所や複数の面に転写してもよい。ラミネート成形法やインサート成形法の場合にも複数の加飾シートで加飾してもよい。また、転写法や印刷法やラミネート成形法やインサート成形法などの複数の加飾方法を組み合わせることもできる。
また、加飾対象の面がX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に複雑に変化しているものに本発明を適用する場合、転写シートや加飾シートが熱で変形して立体形状に合わせて大きく伸びる場合がある。このような場合には、転写シートや加飾シートが伸びることを予め実験やシミュレーションなどで予測することにより、伸びたときに木肌の木目模様に近い木目模様となるように転写シートや加飾シートに形成する擬似木目模様を、シートの伸びを考慮して変形させておいてもよい。
(6−4)
図4では、撮影装置61とデータ作成装置62と印刷装置63とが、相互にデータ線で接続されているような記載になっているが、各装置間でデータの遣り取りは、例えばデータを記憶媒体に蓄えて記憶媒体でデータを移動させるようにしてもよく、上記実施形態のデータの転送の仕方には限られない。
また、上記実施形態では、データ作成装置62の各機能ブロックが、記憶装置(ROM、RAM、ハードディスク等)に格納された上述した処理手順を実行可能なプログラムデータがCPUによって解釈実行されることで実現される場合について説明した。このプログラムデータは、記録媒体を介して記憶装置内に導入されてもよいし、記録媒体上から直接実行されてもよい。なお、記録媒体は、ROMやRAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクメモリ、CD−ROMやDVDやBD等の光ディスクメモリ、及びメモリカード等をいう。また、記録媒体は、電話回線や搬送路等の通信媒体も含む概念である。
また、上記実施形態のデータ作成装置62の機能ブロックは、集積回路であるLSIとして実現されてもよい。これらは、個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全部を含むように1チップ化されてもよい。また、集積回路化の手法は、LSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)などを利用してもよい。
(6−5)
また、図17に示されている板目模様315が表れている上面311と柾目模様214が表れている側面312が互いに垂直な場合には、柾目模様106が表れている側面105を撮影しておいて、樹脂製立体成形品の側面55に柾目模様106を転写したり、加飾シートで加飾したりするなどの加飾を行ってもよい。
本発明の実施形態を適用すると、複雑な立体形状であっても、板目模様315と柾目模様316のつなぎ目における擬似木目模様のずれを従来に比べて抑制することができ、樹脂製立体成形品の外観の質感を木製成形品に近づけることができる。
(6−6)
上記実施形態では、樹脂製立体成形品50の化粧面52に擬似木目模様だけを形成する場合について説明した。しかし、化粧面52に形成する模様は、擬似木目模様だけには限られない。例えば、金属枠を模した模様と擬似木目模様とを同時に転写するようにしてもよい。擬似木目模様と金属枠とを模した模様を組み合わせることで、金属枠の中に天然木材が嵌め込まれているように見える化粧面を形成することができる。このように、擬似木目模様と他の模様とを組み合わせて加飾することで、表現の幅を広げることができる。
(7)特徴
(7−1)
上記実施形態の樹脂製立体成形品50の製造方法において、図7(b)に示されているように、天然木材100の複数のスライス面101f〜104fのうちの異なる3つのスライス面101f(第1スライス面)とスライス面102f(第2スライス面)とスライス面103f(第3スライス面)について考える。
これらのスライス面101f,102f,103fは、それぞれ天然木材100の中心軸CL0上の点M(天然木材の内部の所定の点)からの距離L1,L2,L3が異なる。ここでは、所定の軸CL0上の点Mからの距離の相違について考えているが、天然木材100の内部の他の点からの距離の相違であっても構わない。また、スライス面は、平面に限られるものではなく、例えば滑らかに湾曲していても構わない。
天然木材100の中心軸CL0上の点Mからの距離を考慮したときに、本体部51(立体形状)の表面の複数の表面領域のうちの表面領域131a,131b(第1表面領域)がスライス面101f(第1スライス面)に近い位置にあり、表面領域132a,132b,132c(第2表面領域)がスライス面102f(第2スライス面)に近い位置にあり、表面領域133a,133b(第3表面領域)がスライス面103f(第3スライス面)に近い位置にある。そのため、図6に示されているステップS14(関連付け工程)において、表面領域131a,131bにスライス面101fが関連付けられ、表面領域132a,132b,132cがスライス面102fに関連付けられるとともに表面領域133a,133bがスライス面103fに関連付けられる。
天然木材100のスライス面101f〜103fの木目模様は、ステップS12(木目模様データ取得工程)で取得されて2次元データとして2次元データ記憶部77に記憶されている。そのため、図6のステップS15(2次元データ抽出工程)においては、表面領域131a,131bの位置に対応する木製成形品300(図17参照)の木肌の木目模様に近い木目模様の2次元データDa1,Da2は、図9及び図13(a)に示されているように、スライス面101fのうちの表面領域131a,131bに対応する特定の箇所Po1,Po2(第1箇所)から抽出される。同様に、表面領域132a,132b,132cの位置に対応する2次元データDa3,Da4,Da5は、図10及び図13(a)に示されているように、スライス面102fのうちの表面領域132a,132b,132cに対応する特定の箇所Po3,Po4,Po5(第2箇所)から抽出される。また同様に、表面領域133a,133bの位置に対応する2次元データDa6,Da7は、図11及び図13(a)に示されているように、スライス面103fのうちの表面領域133a,133bに対応する特定の箇所Po6,Po7(第3箇所)から抽出される。
そして、ステップS15においては、図14(a)に示されているように、抽出された箇所Po1,Po2の木目模様の2次元データDa1,Da2と箇所Po3〜Po5の木目模様の2次元データDa3〜Da5と箇所Po6,Po7の木目模様の2次元データDa6,Da7が並べられる。
そして最終的に、ステップS16(擬似木目模様合成工程)で生成される転写層13(表面層)の擬似木目模様のデータDa10(図14(d)参照)には、天然木材100の中心軸CL0上の点M(所定の点)からの距離の異なるスライス面101fの箇所Po1,Po2の2次元データDa1,Da2とスライス面102fの箇所Po3〜Po5の2次元データDa3〜Da5とスライス面103fの箇所Po6,Po7の2次元データDa6,Da7とが含まれる。
それにより、天然木材100の中心軸CL0上の点Mからの距離の違いによる微妙な年輪110の変化を、ステップS13(形状データ取得工程)で取得した樹脂製立体成形品50の3次元データDa20に合わせて再現することができる。
上記のように製造すると、例えば設計変更があって立体形状が変わった場合でも、擬似木目模様の2次元データを変更後の立体形状に合わせて変更することが容易である。
(7−2)
図6のステップS17(加飾シート生成工程)では、基材フィルム11に印刷装置63によって擬似木目模様データ記憶部79に記憶されている擬似木目模様のデータDa10に基づいて擬似木目模様を印刷して転写シート10(加飾シート)が製造される。
それにより、転写シート10(加飾シート)を本体部51の化粧面52(表面)に合わせたときに、木製成形品の木肌の木目模様と同じ位置にほぼ同じ柄が転写シート10によって配置されるように転写シート10を製造することができる。
次に、この転写シート10を用いて、図1に示されているステップS1〜S7の成形同時転写(表面層形成工程)によって転写シート10によって本体部51の化粧面52(表面)を加飾することにより転写層13(表面層)を形成する。
擬似木目模様のデータDa10があれば、例えば、インクジェットプリンタなどの印刷装置を用いて本体部51の表面層を直接形成することもできる。しかし、このように3次元の本体部51に直接木目模様を形成するには時間も掛かり、形状が複雑になれば難しくなる。それに比べて2次元の転写シート10に擬似木目模様を形成する方が簡単であり、製造も簡単になる。
例えば、ここでスライス面102fを第1スライス面とみなすとともにスライス面103fを第2スライス面とみなすと、スライス面102fのうちの表面領域132bに対応する箇所Po4から写し取った第1プリント柄Pr1(図3(a)参照)は、表面領域131aの位置に対応する木製成形品の木肌が持つ木目模様Pat1(図17(a)参照)に近いものとなる。一方に、スライス面103fのうちの表面領域133bに対応する箇所Po7から写し取った第2プリント柄Pr2(図3(a)参照)は、表面領域133bの位置に対応する木製成形品の木肌が持つ木目模様Pat2(図17(a)参照)に近いものとなる。このような転写シート10で立体成形品の立体表面に擬似木目柄を形成すると、第1プリント柄Pr1と第2プリント柄Pr2が樹脂製立体成形品50の立体表面のうちの滑らかに続く一つの化粧面52に形成され、天然木材100の中心軸CL0上の点Mからの距離の違いによる微妙な年輪の変化を、樹脂製立体成形品50の立体表面に再現することができる。なお、樹脂製立体成形品の立体表面が全て滑らかに続く一つの面で形成されている場合もあり、その場合には、第1プリント柄Pr1と第2プリント柄Pr2が立体表面の対向する部分に配置されることもある。
(7−3)
図14を用いて説明したように、ステップS16(擬似木目模様合成工程)では、ステップS15(2次元データ抽出工程)で並べられた2次元データの木目模様のずれを補正する補正工程を含んでいてもよい。
人間の目が見分けられる程度の木目模様のずれが生じている場合には、図14(b)及び図14(c)で説明した補正工程によって木目模様のずれを補正することで、人が気づかないまでに擬似木目模様のずれを修正して、より高い外観の質感を立体成形品に与えることができる。
(7−4)
上記実施形態では、図1のステップS1〜S7を経て行われる成形同時転写法により、本体部51が樹脂で成形されている。このように樹脂で本体部51が形成されることで、複雑な立体形状を簡単に再現することができる。
また、樹脂で本体部51を成形すると、均質な立体成形品を提供できる。天然木材を使うと、材料の物性のばらつきが大きく、安全性などのために満たさなければならない基本性能を得るためのコストが嵩むのに対し、上述の成形同時転写法で成形される樹脂製立体成形品50は必要な物性を容易に再現できるために安価に製造することができる。
(7−5)
本体部51は、例えば、ここでスライス面102fを第1スライス面とみなすとともにスライス面103fを第2スライス面とみなすと、表面領域Ar1(第1表面領域)と表面領域Ar2(第2表面領域)との間に配置され、表面領域Ar1から表面領域Ar2まで滑らかに傾斜する表面領域Ar3(中間表面領域)を化粧面52(立体表面)に持っていると見ることができる(図12参照)。このように見ると、転写層13は、擬似木目模様の第1プリント柄Pr4と第2プリント柄Pr5とを滑らかにつなぐ木目模様からなる中間プリント柄Pr6を擬似木目模様の表面領域Ar3に対応する位置にさらに含むものである(図3参照)。
図14(c)を用いて説明すると、ここでの第1プリント柄Pr4は天然木材100の木目柄をそのまま写し取った2次元データDa14に対応し、第2プリント柄Pr5は天然木材100の木目柄をそのまま写し取った2次元データDa15に対応し、中間プリント柄Pr6は補正によってこれらを滑らかにつなぐ2次元データDa16に対応する。
このような中間プリント柄Pr6によって第1プリント柄Pr4と第2プリント柄Pr5とを滑らかにつなぐことによって、より高い外観の質感を立体成形品に与えることができる。
10 転写シート
20 第1型
30 第2型
40 加飾フィルム
50 樹脂製立体成形品
60 加飾シート製造装置
61 撮影装置
62 データ作成装置
63 印刷装置

Claims (7)

  1. 天然木材から削り出される木製成形品と同じ立体形状を持つ本体部と前記木製成形品の木肌の木目模様に似せた擬似木目模様が形成されている立体的な表面層とを有する立体成形品の製造方法であって、
    前記天然木材の内部の所定の点に向かって当該天然木材を順次スライスしたときに露出する前記天然木材の複数のスライス面の木目模様の2次元データを得る木目模様データ取得工程と、
    前記立体成形品の立体形状の3次元データを得る形状データ取得工程と、
    前記3次元データに基づいて前記立体形状の表面を複数の表面領域に分割し、複数の前記表面領域の位置に基づいて複数の前記スライス面を複数の前記表面領域に関連付ける関連付け工程と、
    特定の前記表面領域に関連する特定の前記スライス面から特定の前記表面領域に対応する特定の箇所の前記2次元データを抽出して並べる2次元データ抽出工程と、
    2次元データ抽出工程で並べられた前記2次元データを合成して前記表面層の前記擬似木目模様のデータを生成する擬似木目模様合成工程と
    を備える立体成形品の製造方法。
  2. 前記擬似木目模様のデータに基づいて前記擬似木目模様が形成されている加飾シートを生成する加飾シート生成工程と、
    前記加飾シートによって前記本体部の表面を加飾することにより前記表面層を形成する表面層形成工程と
    をさらに備える、
    請求項1に記載の立体成形品の製造方法。
  3. 前記擬似木目模様合成工程は、2次元データ抽出工程で並べられた前記2次元データの木目模様のずれを補正する補正工程を含む、
    請求項1又は請求項2に記載の立体成形品の製造方法。
  4. 天然木材から削り出される木製成形品と同じ立体形状を持つ本体部の立体表面に、前記木製成形品の木肌の木目模様に似せた擬似木目模様を形成するための加飾シートの製造方法であって、
    前記天然木材の内部の所定の点に向かって当該天然木材を順次スライスしたときに露出する前記天然木材の複数のスライス面の木目模様の2次元データを得る木目模様データ取得工程と、
    前記立体成形品の立体形状の3次元データを得る形状データ取得工程と、
    前記3次元データに基づいて前記立体形状の表面を複数の表面領域に分割し、複数の前記表面領域の位置に基づいて複数の前記スライス面を複数の前記表面領域に関連付ける関連付け工程と、
    特定の前記表面領域に関連する特定の前記スライス面から特定の前記表面領域に対応する特定の箇所の前記2次元データを抽出して並べる2次元データ抽出工程と、
    2次元データ抽出工程で並べられた前記2次元データを合成して前記擬似木目模様のデータを生成する擬似木目模様合成工程と、
    前記表面領域の前記擬似木目模様のデータに基づいてシート上に前記擬似木目模様を形成する擬似木目模様形成工程と
    を備える加飾シートの製造方法。
  5. 天然木材から削り出される木製成形品の木肌に表れる木目模様に似せた擬似木目模様が立体表面に形成されている立体成形品であって、
    前記木製成形品と同じ立体形状を有する本体部と、
    前記本体部の前記立体表面に形成され、前記擬似木目模様を有する表面層とを備え、
    前記本体部は、前記天然木材の内部の所定の点に向かって前記天然木材を順次スライスしてできる複数のスライス面のうちの第1スライス面に対応する第1表面領域と第2スライス面に対応する第2表面領域とを前記立体表面上に持ち、
    前記表面層は、前記第1表面領域に対応する箇所の前記第1スライス面の木目模様と同じ模様を持つ第1プリント柄を前記擬似木目模様の前記第1表面領域に対応する位置に含み、前記第2表面領域に対応する箇所の前記第2スライス面の木目模様と同じ模様を持つ第2プリント柄を前記擬似木目模様の前記第2表面領域に対応する位置に含む、立体成形品。
  6. 前記本体部は、前記第1表面領域と前記第2表面領域との間に配置され、前記第1表面領域から前記第2表面領域まで滑らかに傾斜する中間表面領域を前記立体表面にさらに持ち、
    前記表面層は、前記擬似木目模様の前記第1プリント柄と前記第2プリント柄とを滑らかにつなぐ木目模様からなる中間プリント柄を前記擬似木目模様の前記中間表面領域に対応する位置にさらに含む、
    請求項5に記載の立体成形品。
  7. 天然木材から削り出される木製成形品と同じ立体形状を持つ本体部に被せ、前記木製成形品の木肌に表れる木目模様に似せた擬似木目模様を持つ表面層を前記本体部の立体表面に形成するための加飾シートであって、
    前記加飾シートは、前記天然木材の内部の所定の点に向かって前記天然木材を順次スライスしてできる複数のスライス面のうちの第1スライス面に対応する前記立体表面の第1表面領域を加飾するための第1プリント柄と第2スライス面に対応する前記立体表面の第2表面領域を加飾するための第2プリント柄とを有し、
    前記第1プリント柄は、前記第1スライス面の木目模様のうち前記第1表面領域に対応する第1箇所と同じ模様を持つものであり、
    前記第2プリント柄は、前記第2スライス面の木目模様のうち前記第2表面領域に対応する第2箇所と同じ模様を持つものである、加飾シート。
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