JP5867384B2 - ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、貴金属等の触媒を水に分散させた含水触媒スラリーを塗布して、触媒を担持して用いられる触媒担持用ハニカム構造体の製造方法に関する。
自動車等の内燃機関における排ガス浄化用の触媒担体として、格子状の隔壁に囲まれた多数のセルと外周側面を覆う筒状の外周壁とを有する触媒担持用のハニカム構造体が知られている。ハニカム構造体は、貴金属等の触媒を担持するための担体として用いられる。具体的には、排ガス浄化用の貴金属等の触媒を水に分散させた含水触媒スラリーにハニカム構造体に塗布し、その後加熱することによりハニカム構造体に触媒を担持させる。
近年、排ガス浄化性能の向上のために、ハニカム構造体の隔壁を薄肉化してハニカム構造体全体を軽量化し、その圧力損失(以下適宜、圧損と略す)及び重量を低減(具体的には熱容量を低減)することによって担持させた触媒の早期活性化を図るといった試みがなされている。
ところが、隔壁を薄肉化した場合には、ハニカム構造体全体の強度が低下してしまうという問題が生じる。また、隔壁の薄肉化による強度低下により、排ガス中に混入する様々な異物等がハニカム構造体の軸方向端面に衝突した場合に、ハニカム構造体が摩耗・破損するいわゆるエロージョン現象が生じ、耐久性が低下するという問題が生じる。この現象は、触媒の早期活性化をさらに図るべく、ハニカム構造体を内燃機関に近い位置に配設すればするほど顕著に表れる。
また、一般に、ハニカム構造体に貴金属等の触媒を担持させると、触媒の担持前に比べてハニカム構造体自体の強度が低下することが知られている。そのため、触媒担持後のハニカム構造体には、上述のエロージョン現象がより顕著に現れる。
また、一般に、貴金属等の触媒は、アルミナ等のコート材料と共にハニカム構造体に担持される。ところが、排ガス中にMn成分及びP成分等が含まれる場合には、それらが反応し触媒コート上に付着し堆積するおそれがある。その結果、排ガスの入り口側付近においてハニカム構造体のセルに詰まりが発生してしまうおそれがある。
したがって、ハニカム構造体において排ガスが流入する側の端面となる前端面側に、触媒が担持されてない領域、即ち触媒非担持領域を部分的に形成することが望まれている。そのため、含水触媒スラリーを塗布して触媒を担持させる前のハニカム構造体について、触媒を担持させない領域に予め撥水領域を形成したハニカム構造体の開発が望まれている。かかるハニカム構造体は、撥水領域が撥水性を示すため、含水触媒スラリーを塗布しても、撥水領域におけるハニカム構造体には含水触媒スラリーがほとんど付着しない。したがって、撥水領域が形成された前端面側への触媒の担持を防止することができ、ハニカム構造体の前端面側に触媒非担持領域を形成することが可能になる。
撥水領域を形成したセラミック構造体としては、例えば次のような技術が開示されている。
例えば引用文献1には、モノリス・セラミック・ハニカム等のマルチセルラ・セラミック体の外皮コーティングに、疎水性コーティングが形成された触媒支持構造体が開示されている。
特許第4874123号公報
しかしながら、上述の従来の手法においては、ハニカム構造体の例えば前端面から所定の領域に、撥水領域を形成することが困難である。例えば前端面側に形成する撥水領域の幅が短くなると、触媒担持後のハニカム構造体における前端面側の強度を充分に向上させることができなくなるおそれやMn等の詰まりを充分に抑制できなくなるおそれがある。一方、撥水領域の幅が長くなると、触媒非担持領域が大きくなりすぎて必然的に触媒担持領域が小さくなる。そのため、触媒による浄化性能が損なわれるおそれがある。従来においては、撥水領域の形成幅の制御が困難であったため、前端面から所望の領域に撥水領域を形成することが困難であった。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであって、前端面から所定の領域に簡単に撥水領域を形成することができる触媒担持用ハニカム構造体の製造方法を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、水中に排ガス浄化触媒を分散した含水触媒スラリーを塗布して、該排ガス浄化触媒を担持して用いられる触媒担持用ハニカム構造体の製造方法であって、
上記触媒担持用ハニカム構造体は、排ガスが流入する側の端面である前端面から所定の領域に、撥水皮膜が形成された撥水領域を有し、該撥水領域以外の領域には、撥水皮膜が形成されていない非撥水領域を有し、
板状の基板上に、加熱後に上記撥水皮膜を形成するコーティング剤を含むコーティング液からなる所定の厚みの液膜を形成する液膜形成工程と、
柱状のハニカム構造体の上記前端面側を上記液膜中に浸漬させた状態で、上記ハニカム構造体の軸方向を鉛直方向に向けて該ハニカム構造体を上記基板上に載置することにより、上記コーティング液を上記ハニカム構造体の上記前端面側から所定の領域に含浸させる含浸工程と、
該含浸工程後の上記ハニカム構造体を加熱することにより、上記撥水皮膜を形成して上記触媒担持用ハニカム構造体を作製する加熱工程とを有し、
上記液膜形成工程においては、上記コーティング液の比重、上記基板上に形成する上記液膜の重量、及び上記基板上における上記液膜の形成面積から該液膜の上記厚みを調整することを特徴とする触媒担持用ハニカム構造体の製造方法にある(請求項1)。
参考発明は、上記製造方法によって得られた触媒担持用ハニカム構造体にある
上記製造方法においては、上記液膜形成工程と上記含浸工程と上記加熱工程とを行って上記触媒担持用ハニカム構造体を製造する。
上記液膜形成工程においては、上記基板上に上記コーティング液からなる液膜を形成する。このとき、コーティング液からなる液膜の重量を調整することにより、該液膜の厚みを制御することができる。即ち、予めコーティング液の比重及び基板上における液膜の形成面積を求めておくことにより、液膜の重量から液膜の厚みを算出することができる。
次いで、上記含浸工程においては、ハニカム構造体の前端面側を上記所定の厚みで形成された液膜中に浸漬させた状態で、ハニカム構造体を基板上に載置する。これにより、上記コーティング液を上記ハニカム構造体の上記前端面側に含浸させる。上記液膜形成工程において液膜の厚みを制御しているため、含浸工程において含浸されるコーティング液量を調整することができる。そのため、ハニカム構造体の前端面から所望の領域にコーティング液を含浸させることが可能になる。
次いで、上記加熱工程においては、ハニカム構造体を加熱することにより、コーティング液が含浸された領域に撥水皮膜を形成する。
このようにして、排ガスが流入する側の端面である前端面から所定の領域に、撥水皮膜が形成された撥水領域を有する触媒担持用ハニカム構造体を容易に製造することができる。また、上記触媒担持用ハニカム構造体は、撥水領域以外の領域に上記撥水皮膜が形成されていない非撥水領域を有する。
上記触媒担持用ハニカム構造体は、水中に排ガス浄化触媒を分散してなる含水触媒スラリーを塗布して、該排ガス浄化触媒を担持して用いられる。このとき、上記触媒担持用ハニカム構造体全体を含水触媒スラリーを塗布しても、上記撥水領域が撥水性を示すため、該撥水領域には含水触媒スラリーは付着せず、上記非撥水領域に含水触媒スラリーが付着する。したがって、上記触媒担持用ハニカム構造体を用いることにより、前端面から所定の領域に触媒非担持領域を容易に形成することが可能になる。
実施例1における、触媒担持用ハニカム構造体の斜視図。 図1のII−II線矢視断面図。 実施例1における、液膜形成工程の途中の説明図。 実施例1における、液膜形成工程完了状態の説明図。 実施例1における、含浸工程の説明図。 実施例1における、含浸工程完了時点におけるハニカム構造体の断面説明図。 実施例1における、排ガス浄化触媒の担持方法の説明図。 実施例1における、触媒担持用ハニカム構造体の圧損評価の結果を示す線図。 実施例1における、撥水距離とエミッション比との関係を示す線図。 実施例1における、触媒担持用ハニカム構造体の耐エロージョン性の評価試験の説明図。 実施例1における、撥水距離と耐エロージョン性との関係を示す線図。 実施例2における、水系コーティング液の液膜厚と浸透距離との関係を示す線図。 実施例2における、水系コーティング液への浸漬時間と浸透距離との関係を示す線図。 実施例3における、溶剤系コーティング液の液膜厚と浸透距離との関係を示す線図。
次に、上記ハニカム構造体及びその製造方法について、好ましい実施形態を説明する。
上記液膜形成工程においては、加熱後に撥水皮膜を形成するコーティング剤を含むコーティング液からなる液膜を板状の基板上に形成する。
コーティング剤としては、例えばフルオロアルキルシランなどのフッ素系コーティング剤、又は末端がアルキル基のシラン系材料を用いることができる。
上記コーティング液としては、水を溶媒とする水系コーティング液、又は溶剤系コーティング液を用いることができる。
好ましくは、上記コーティング液は、水を溶媒とする水系コーティング液であり、かつ、上記基板は、表面に親水性皮膜を有しており、上記液膜形成工程においては、上記基板の上記親水性皮膜上に上記液膜を形成することがよい(請求項2)。
この場合には、加熱工程時にコーティング液の溶媒である水を蒸発させても環境に与える悪影響がほとんどなく、特別な排気設備を用いる必要がなくなる。その上で、上記親水性皮膜の存在により、水系コーティング液に対する基板の濡れ性が向上するため、コーティング液が基板上になじみやすくなり、表面張力の影響を小さくすることができる。それ故、上記基板上に均一な厚みの上記液膜を形成することができる。そのため、上記含浸工程において、上記ハニカム構造体の前端面から所定の領域に均一に上記コーティング液を含浸させることができる。その結果、上記加熱工程後に、前端面から所定の領域にばらつきなく撥水皮膜を形成することができる。
なお、上記親水性皮膜をコーティングする代わりに表面を粗化して表面積を増加させてもよい。Wenzelの式 cosφ=rcosθ(θ:平板の接触角、φ:粗化した板の接触角、r:粗化した板の表面積/平板の表面積)から導かれるように、濡れ易い素材は、表面積が増加すると、より濡れ性が増幅するためである。
上記親水性皮膜は、シリコン系無機皮膜であることが好ましい(請求項3)。
この場合には、シリコン系親水性皮膜の優れた親水性を活かして、上記コーティング液に対する基板の濡れ性をより向上させることができる。
なお、上記親水性皮膜としては、上記以外にも例えばチタン系無機皮膜を用いることもできる。
また、上記水系コーティング液を用いる場合には、上記液膜形成工程においては、厚み20〜80μmの上記液膜を形成することが好ましい(請求項4)。
この場合には、含浸工程においてハニカム構造体の前端面側を液膜に浸漬すると、コーティング液が前端面側からハニカム構造体に染み渡り、ハニカム構造体の前端面から軸方向における2〜15mmの範囲内にコーティング液を含浸させることができる。そのため、加熱工程後に、ハニカム構造体の前端面から軸方向における2〜15mmの範囲内に撥水皮膜を形成することができる。この範囲に撥水皮膜を有する触媒担持用ハニカム構造体は、前端面側の強度を充分に向上させることができると共に、非撥水領域に充分な量の排ガス浄化触媒を担持させることができる。
また、上記コーティング液としては、溶剤系コーティング液を用いることもできる(請求項5)。
この場合には、上記水系コーティング液のように、上記基板上に親水性皮膜を形成しなくとも、均一な厚みの液膜を形成し易くなる。
また、溶剤系コーティング液を用いる場合には、上記液膜形成工程において、厚み30〜150μmの液膜を形成することが好ましい(請求項6)。
この場合にも、含浸工程においてハニカム構造体の前端面側を液膜に浸漬すると、コーティング液が前端面側からハニカム構造体に染み渡り、ハニカム構造体の前端面から軸方向における2〜15mmの範囲内にコーティング液を含浸させることができる。そのため、加熱工程後に、ハニカム構造体の前端面から軸方向における2〜15mmの範囲内に撥水皮膜を形成することができる。
上記液膜形成工程においては、上記基板における液膜形成面の全面に液膜を形成することが好ましい(請求項7)。
この場合には、基板上における液膜の形成面積が基板の液膜形成面の面積になる。そのため、液膜の形成前に液膜の形成面積を決定することができる。それ故、液膜の重量を測定することにより、上記液膜形成工程における液膜の厚みを簡単に調整することができる。
また、上記液膜形成工程においては、スキージ法、スピン法、又は引き上げ法により均一な厚みの液膜を形成することができる。
なお、スキージ法は、へらを用いて伸ばす方法である。具体的には、コーティング液を基板上に滴下し、へらを用いて基板上のコーティング液を伸ばすことにより均一な厚みの液膜を形成する方法である。
また、スピン法は、回転台上で回転させて遠心力により伸ばす方法である。具体的には、コーティング液を基板上に滴下し、この基板を回転台上で回転させて遠心力により、均一な膜厚の液膜を形成する方法である。
また、引き上げ法は、板状の基板をその面方向を鉛直方向にしてコーティング液中に完全に浸漬し、所定の引き上げ速度でコーティング液中から引き上げることにより、均一な膜厚の液膜を形成する方法である。
これらの中でもスキージ法が好ましい。
また、上記コーティング液は、着色しておくことが好ましい。この場合には、含浸工程におけるコーティング液の含浸を目視にて確認することができる。
次に、上記含浸工程においては、柱状のハニカム構造体の前端面側を液膜中に浸漬させた状態で、ハニカム構造体の軸方向を鉛直方向に向けてハニカム構造体を上記基板上に載置する。これにより、コーティング液をハニカム構造体の前端面側から所定の領域に含浸させる。
ハニカム構造体としては、円柱状、だ円柱状、多角柱状等の各種柱状のものを用いることができる。ハニカム構造体は、一般に、多孔質であり、筒状の外周壁と、該外周壁内に多角形格子状に配設されたセル壁と、該セル壁内に区画された複数のセルとを有する。上記セル壁は、例えば三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形の格子状に配設させることができる。そして、セル壁に区画された多数のセルが形成される。セルは、柱状のハニカム構造体の軸方向における端面、及び軸方向と垂直な方向の断面において、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形の形状にすることができる。また、セルは、柱状のハニカム構造体の軸方向に伸びるように形成することができる。
ハニカム構造体の外皮及びセル壁は、セラミックスからなる多孔質体により構成することができる。ハニカム構造体は、コージェライト、炭化珪素、窒化ケイ素、アルミナ、シリカ、チタニアなどからなることが好ましい。より好ましくは、コージェライトがよい。
柱状のハニカム構造体は、軸方向の長さを例えば80〜130mmにすることができ、セル壁の厚みを例えば110μm以下にすることができる。
また、多孔質のハニカム構造体は、気孔率を例えば20〜65%にすることができる。ハニカム構造体の気孔率は、水銀圧入法の原理に基づいた水銀ポロシメータにより測定することができる。
上記含浸工程においては、上記ハニカム構造体の軸方向における上記前端面から2〜15mmの範囲内に上記コーティング液を含浸させることが好ましい(請求項8)。
この場合には、加熱工程後に、ハニカム構造体の前端面から軸方向における2〜15mmの範囲内に撥水皮膜を形成することができる。撥水皮膜の形成領域、即ち、撥水領域を前端面から2mm以上とすることにより、撥水領域の形成効果を充分に得ることができる。即ち、この場合には、貴金属等の排ガス浄化触媒を含む含水触媒スラリーを触媒担持用ハニカム構造体に塗布して排ガス浄化触媒に担持させるとき、触媒担持用ハニカム構造体の前端面近傍にまで排ガス浄化触媒が担持されることを防ぐことができる。そのため、排ガス浄化触媒の担持による触媒担持用ハニカム構造体の前端面側の強度の低下を充分に抑制することができる。それ故、エロージョン現象を充分に防止することができる。また、充分なMn詰まり抑制効果を得ることができる。
また、排ガス浄化触媒を担持した触媒担持用ハニカム構造体においては、触媒の暖気時に、前端面側に担持された排ガス浄化触媒が優先的に活性化され、その反応熱により触媒担持用ハニカム構造体全体が昇温し、触媒全体が活性化される。それゆえ、撥水領域を前端面から15mm以下とすることにより、触媒担持後に、触媒担持用ハニカム構造体の前端面側における非触媒担持領域が増大しすぎず、暖気時に、前端面からの反応熱が充分に発生し、エミッションが悪化することを防ぐことができる。
より好ましくは、上記ハニカム構造体の軸方向における上記前端面から2〜10mmの範囲内にコーティング液を含浸させることがよく、さらに好ましくは、2〜8mmの範囲内がよい。
ハニカム構造体の軸方向における前端面からのコーティング液の浸透距離は、上述のごとく液膜形成工程における液膜の厚みを調整することにより制御することができる。また、上記浸透距離は、含浸工程における浸漬時間を長くすることにより、大きくなる傾向にあるが、比較的短時間で極限に達する。生産性の観点から浸漬時間は、1〜15秒が好ましい。より好ましくは10秒以下がよい。
また、上記ハニカム構造体は、その製造過程により、軸方向の端面が平坦でない場合がある。この場合には、基板として例えば金属板を用いることが好ましい。即ち、この場合には、ハニカム構造体の端面形状に合わせて金属板を曲げ加工することができるため、例えハニカム構造体の端面が平坦でない場合においても、含浸工程においてハニカム構造体を基板上に載置することにより、前端面の全体を基板に接触させることができる。
好ましくは、上記基板は、厚み100μm以下の板状であることが好ましい(請求項9)。この場合には、上記含浸工程において、ハニカム構造体の端面形状に合わせて基板の曲げ加工を行うことが容易になる。
次に、上記加熱工程においては、含浸工程後の上記ハニカム構造体を加熱する。これにより、上記撥水皮膜を形成して上記触媒担持用ハニカム構造体を作製する。
上記加熱工程においては、温度150〜300℃で10分以上加熱することにより、上記撥水皮膜を形成することが好ましい(請求項10)。
加熱保持温度を150℃以上とし、加熱保持時間を10分以上とすることにより、撥水皮膜の密着性の低下を防ぎ、排ガス浄化触媒を担持する際に、撥水皮膜がハニカム構造体から剥がれてしまうことをふせぐことができる。一方、加熱保持温度を300℃以下とすることにより、加熱工程において撥水皮膜の分解が生じることを防ぐことができる。また、生産性の観点から加熱保持時間は3時間以下が好ましく、1時間以下がより好ましい。
上記触媒担持用ハニカム構造体は、該触媒担持用ハニカム構造体を、排ガス浄化触媒を含む含水触媒スラリーを塗布して、触媒担持用ハニカム構造体に排ガス浄化触媒を担持して用いられる。含水触媒スラリーとしては、水に、貴金属等の排ガス浄化触媒やアルミナ等の担体成分を分散させたものを用いることができる。
(実施例1)
次に、触媒担持用ハニカム構造体の実施例について説明する。
本例においては、排ガス浄化触媒を含む含水触媒スラリー3(図5)を塗布して、該排ガス浄化触媒を担持して用いられる触媒担持用ハニカム構造体1を作製する。
図1及び図2に示すごとく、本例の触媒担持用ハニカム構造体1は、円筒状の外周壁11と、該外周壁11内に六角形格子状に配設されたセル壁12と、該セル壁12内に区画された複数のセル13とを有し、全体として円柱形状をなしている。触媒担持用ハニカム構造体1は、排ガスが流入する側の端面である前端面14から所定の領域に、撥水皮膜16が形成された撥水領域Aを有し、該撥水領域A以外の領域には、撥水皮膜が形成されていない非撥水領域Bを有する。
本例の触媒担持用ハニカム構造体1は、以下の液膜形成工程と、含浸工程と、加熱工程とを行うことにより製造することができる。
液膜形成工程においては、図3及び図4に示すごとく、加熱後に撥水皮膜16を形成するコーティング剤を含むコーティング液160を、板状の基板2上に滴下し、該基板2上にコーティング液からなる所定の厚みの液膜161を形成する。このとき、コーティング液160の比重、基板2上に滴下するコーティング液160の重量、及び基板2上における液膜160の形成面積から液膜160の厚みを調整する。
次いで、含浸工程においては、図5に示すごとく、柱状のハニカム構造体10の前端面14側を液膜161中に浸漬させた状態で、ハニカム構造体10の軸方向Xを鉛直方向に向けてハニカム構造体10を基板2上に載置する。これにより、図6に示すごとく、コーティング液160をハニカム構造体10の前端面14側から所定の領域aに含浸させる。
次に、加熱工程においては、含浸工程後のハニカム構造体10を加熱することにより、図2に示すごとく、前端面14側に撥水皮膜16を形成し、撥水領域Aと非撥水領域Bとを有する触媒担持用ハニカム構造体1を作製する。
以下、本例の製造方法について、詳細に説明する。
まず、表面にシリコン系親水性皮膜(五合株式会社製の「ゼロクリア」)が形成されたSUS304からなる板状(縦120mm×横120mm×厚み0.5mm)の基板2を準備した(図3参照)。市販品の基板は、温度260℃にてシリコン系親水性皮膜が焼き付けられているが、さらに280℃以上の高温で加熱することにより親水性が向上するため、本例においては、市販品を電気炉にてさらに温度300℃で1時間再焼成した基板2を用いた。親水性皮膜の形成時に温度280℃以上で加熱してもよい。
次に、加熱後に撥水皮膜を形成するコーティング剤を含むコーティング液160を準備した。コーティング液としては、C4系フルオロアルキルシランからなるコーティング剤(主剤)と3官能アルキルシランからなる架橋剤とフッ素系界面活性剤と触媒(アンモニア)とを水に溶解してなる水系コーティング液を用いた。コーティング液160中の主剤と架橋剤の固形分の濃度は5質量%である。
次いで、図3に示すごとく、所定重量のコーティング液160を、板状の基板2上に滴下した。コーティング液160は、基板2におけるシリコン系親水性皮膜が形成された液膜形成面21上に滴下し、へらを用いてコーティング液160を均一な厚みに伸ばし、図4に示すごとく液膜161を形成した。本例においては、予めコーティング液160の比重を計測し、基板2上に滴下するコーティング液の重量を測定した。また、本例においては、板状の基板2の液膜形成面21の全面に液膜161を形成した。そして、コーティング液160の比重、重量、及び液膜形成面21の面積から基板2上に形成された液膜161の膜厚を算出した。本例においては、厚み20μmの液膜161を形成した。
次に、円筒状の外周壁11と、該外周壁11内に六角形格子状に配設されたセル壁12と、該セル壁12内に区画された複数のセル13とを有する、コージェライトからなるハニカム構造体10を準備した。図5に示すごとく、円柱状のハニカム構造体10の前端面14側を液膜161中に浸漬させた状態で、ハニカム構造体10の軸方向Xを鉛直方向に向けてハニカム構造体10を基板2上に5秒間載置した。これにより、図6に示すごとく、コーティング液160をハニカム構造体10の前端面14側から所定の領域aに含浸させた。本例においては、a=5mmであった。
次に、コーティング液160を前端面14から含浸させたハニカム構造体10を温度200℃で60分間加熱し、コーティング液160が含浸された領域に撥水皮膜16を形成した(図2参照)。撥水皮膜16は、ハニカム構造体10のセル壁12を覆うように形成されており、セル壁12に撥水性を付与する。そして、加熱後、室温まで冷却した。
このようにして、図1及び図2に示すごとく、排ガスが流入する側の端面である前端面14から5mmの領域に、撥水皮膜16が形成された撥水領域Aを有し、該撥水領域A以外の領域には、撥水皮膜が形成されていない非撥水領域Bを有する触媒担持用ハニカム構造体1を得た。
なお、撥水皮膜16のSi成分量は、ハニカム構造体10のSi成分量よりも多く、かつ、これに対して+10質量%以内である。
本例の製造方法においては、液膜形成工程と含浸工程と加熱工程とを行って上記触媒担持用ハニカム構造体1を製造している。
上記液膜形成工程においては、図3及び図4に示すごとく、基板2上にコーティング液160からなる液膜161を形成する。このとき、コーティング液160からなる液膜161の重量を調整することにより、液膜161の厚みを制御することができる。即ち、予めコーティング液160の比重及び基板2上における液膜161の形成面積を求めておくことにより、液膜161の重量から液膜161の厚みを算出することができる。本例の膜形成工程においては、基板2における液膜形成面21の全面に液膜161を形成している。そのため、基板2上における液膜161の形成面積が基板2の液膜形成面21の面積になる。それ故、液膜161の形成前に液膜161の形成面積を決定することができる。したがって、液膜161の重量を測定することにより、上記液膜形成工程における液膜161の厚みを簡単に調整することができる。
次いで、上記含浸工程においては、図5及び図6に示すごとく、ハニカム構造体10の前端面14側を上記所定の厚みで形成された液膜161中に浸漬させた状態で、ハニカム構造体10を基板2上に載置する。これにより、コーティング液160をハニカム構造体10の前端面14側に含浸させる。液膜形成工程において液膜161の厚みを制御しているため、含浸工程において含浸されるコーティング液160の量を調整することができる。そのため、ハニカム構造体10の前端面14から所望の領域aにコーティング液160を含浸させることが可能になる。
次いで、上記加熱工程においては、ハニカム構造体10を加熱することにより、コーティング液160が含浸された領域に撥水皮膜16を形成する。
このようにして、図1及び図2に示すごとく、排ガスが流入する側の端面である前端面14から所定の領域に、撥水皮膜16が形成された撥水領域Aを有する触媒担持用ハニカム構造体1を容易に製造することができる。また、上記触媒担持用ハニカム構造体1は、撥水領域A以外の領域に撥水皮膜が形成されていない非撥水領域Bを有している。
触媒担持用ハニカム構造体1は、排ガス浄化触媒を担持して用いられる。触媒担持用ハニカム構造体1に排ガス浄化触媒を担持させるにあたっては、吸引コート法を用いる。具体的には、図7に示すごとく、まず、前端面14を鉛直上方に向けた状態で、触媒担持用ハニカム構造体1を設置する。そして、所定の粘度に調整したチクソ性を有する触媒スラリー3を、触媒担持用ハニカム構造体1の前端面14上に配置し、もう一方の端面からブロアーにて吸引する(矢印B)。これにより、触媒担持用ハニカム構造体1のセル壁12に触媒を塗布する。このとき、触媒担持用ハニカム構造体1の上記撥水領域Aは撥水性を示すため、該撥水領域Aには触媒スラリー3は付着せず、上記非撥水領域Bに含水触媒スラリー3が付着する。
また、本例においてコーティング液160は、水を溶媒とする水系コーティング液であり、かつ、基板2は、表面に親水性皮膜(図示略)を有しており、上記液膜形成工程においては、基板2の親水性皮膜上に液膜161を形成している。
そのため、加熱工程時にコーティング液160の溶媒(水)を蒸発させても環境に与える悪影響がほとんどなく、特別な排気設備を用いる必要がなくなる。その上で、上記親水性皮膜の存在により、水系コーティング液に対する基板2の濡れ性が向上するため、コーティング液160が基板2上になじみやすくなり、表面張力の影響を小さくすることができる。それ故、基板2上に均一な厚みの液膜161を形成することができる。そのため、上記含浸工程において、ハニカム構造体10の前端面14から所定の領域に均一にコーティング液160を含浸させることができる。その結果、加熱工程後に、前端面14から所定の領域にばらつきなく撥水皮膜16を形成することができる。
次に、実際に本例の触媒担持用ハニカム構造体1に排ガス浄化触媒を担持させた。
具体的には、まず、水に、貴金属(Pt、Rh、Pd)粉末、アルミナ粉末、及び分散剤を分散させて触媒スラリー3を作製した(図7参照)。次いで、上述の吸引コート法を用いて、触媒担持用ハニカム構造体1に触媒スラリー3を塗布した。
その後、触媒担持用ハニカム構造体1を温度500℃で1時間加熱した。これにより、貴金属粉末及びアルミナ粉末等からなる排ガス浄化触媒を触媒担持用ハニカム構造体1の非撥水領域Bに焼き付けた。撥水領域Aには、排ガス浄化触媒は担持されていない。
次に、上記のようにして排ガス浄化触媒を担持した触媒担持用ハニカム構造体(試料E)を用いて圧力損失(以下「圧損」という)の評価を行った。
具体的には、4.3LのV8ガソリンエンジンの排気管中の所定の位置に、触媒担持用ハニカム構造体を設置した。そして、触媒担持用ハニカム構造体の前後における差圧(圧損)を測定した。測定は、触媒担持用ハニカム構造体の中心温度:890℃、排ガス流量:16.25g/秒(片バンク当たり)、燃料カット:1回/30秒、1回当たり2秒間、燃料中のMn含有量:55mg/Lという条件で行った。
また、試料Eの比較用として、撥水皮膜を形成していないハニカム構造体についても、試料Eと同様に排ガス浄化触媒を担持させた。これを試料Cとする。試料Cには、試料Eのような撥水領域は形成されていないため、排ガス浄化触媒はハニカム構造体の全体に担持されている。この試料Cについても試料Eと同様にして圧損の評価を行った。
これらの結果を、運転時間と圧損との関係として、図8に示す。
図8より知られるごとく、試料Eは、試料Cに比べて圧損の上昇を抑制できることがわかる。この理由は次のように考えられる。
即ち、試料Cにおいては、排ガス中にMn成分及びP成分等が、ハニカム構造体の前端面側において貴金属触媒と共に担持されたアルミナ等のコート材料と反応してしまう。その結果、排ガスの入り口側付近においてハニカム構造体のセルに詰まりが発生してしまう。これに対し、試料Eは、前端面に撥水領域を有する触媒担持用ハニカム構造体を用いているため、前端面側に、触媒が担持されてない領域、即ち触媒非担持領域が形成されている。そのため、試料Eにおいては、試料Cに比べて前端面側におけるセルの詰まりを抑制することができ、上述のように圧損の上昇を抑制することができる。
また、本例においては、液膜形成工程における液膜の膜厚を変えて、前端面からの撥水領域の形成長さ(以下、「撥水距離」という。)が異なる複数の触媒担持用ハニカム構造体を作製し、エミッション比を調べた。
具体的には、これらの触媒担持用ハニカム構造体に、試料Eと同様に排ガス浄化触媒を担持し、4.3LのV8ガソリンエンジンの排気管中の所定の位置に、触媒担持用ハニカム構造体を設置した。そして、エンジンをLA#4モードにて運転したときに排出されるエミッションを測定した。ここで、エミッションとは、モード走行中に触媒通過後に排出されたHC、CO、NOxの総量を意味する。そして、この値の、撥水領域を形成していない触媒担持用ハニカム構造体を用いたときのエミッションに対する比を、エミッション比として、図9に表した。
図9から分かるように、撥水距離が15mmを超えると、エミッション比が急激に大きくなる。これは、撥水距離が15mmを超えると、触媒担持後に触媒担持用ハニカム構造体の前端面側における非触媒担持領域が大きくなり、暖気時に、前端面からの反応熱が充分に発生せず、触媒全体が活性化され難くなるためと考えられる。
次に、図10、図11に示すごとく、本例の触媒担持用ハニカム構造体1の耐エロージョン性を、撥水距離すなわち触媒非担持領域の長さとの関係において評価した例である。評価方法としては、図10に示すように、触媒担持用ハニカム構造体1の前端面14に対して、ノズル4から多数のガラスビーズを連続して衝突させたときに、触媒担持用ハニカム構造体1が部分的に破損することによって生じる重量変化を測定する。ガラスビーズは、直径60μm、噴射圧は10kg/cm2、前端面14に対するガラスビーズの入射角度は45°、ノズル径は8mm、ノズル4と前端面14との距離は100mm、噴射時間は1分とした。
この衝突試験の前後における触媒担持用ハニカム構造体1の重量を、それぞれm1、m2とし、1/(m1−m2)を耐エロージョン性と定義する。そして、撥水距離を種々変化させて、上記試験を行うと共に、撥水距離0mmすなわち触媒非担持領域のない触媒担持用ハニカム構造体の耐エロージョン性との比を、図11に示す。同図において、各プロットが実測データであり、曲線Lは、実測データを近似的につなぐ曲線である。
同図から、撥水距離を2mm以上とすることにより、耐エロージョン性を向上させることができることが分かる。したがって、撥水距離としては、2〜15mmとすることが望ましいといえる。すなわち、前端面14から2〜15mmの範囲内にコーティング液を含浸させて撥水皮膜を形成することが好ましいといえる。
(実施例2)
本例は、図12に示すごとく、液膜形成工程における水系コーティング液の液膜厚と、触媒担持用ハニカム構造体における前端面からのコーティング液の含浸距離(浸透距離)との関係を検討した例である。
本例においては、水系コーティング液としてデュポン(株)製水系フッ素コーティング剤を用いた。このコーティング剤は、溶剤として水、主剤としてフルオロアルキルシラン、架橋剤としてアルキルシラン、界面活性剤としてフルオロアルキルが調合されたものである。
すなわち、実施例1において示した触媒担持用ハニカム構造体の製造方法の液膜形成工程において、水系のコーティング液の液膜の膜厚を変化させて、それぞれの浸透距離を測定した。なお、含浸工程における浸漬時間は5秒とした。その他の条件は実施例1に準ずる。また、各膜厚に対してn数を3とし、各膜厚における浸透距離の測定値の平均値、最大値、最小値を、それぞれ図12に示す。
同図から分かるように、液膜の厚みが20〜80μmの範囲にある限り、浸透距離を少なくとも2〜15mmの間に制御できる。なお、浸透距離は、実施例1において示した撥水距離と同等である。すなわち、液膜の厚みが20〜80μmの範囲にある限り、浸透距離を、実施例1の図9に示す結果から導かれる好ましい撥水距離すなわち浸透距離2〜15mmの範囲内に、少なくとも収めることができる。
また、浸透距離(撥水距離)のより好ましい範囲は2〜8mmであるが、この観点から図12を見ると、膜形成工程における液膜の膜厚は、20〜30μmとすることがより好ましいことが分かる。
また、図13に示すごとく、含浸工程における水系コーティング液の液膜への触媒担持用ハニカム構造体の浸漬時間と、前端面からのコーティング液の含浸距離(浸透距離)との関係を検討した。
すなわち、まず、実施例1において示した触媒担持用ハニカム構造体の製造方法の液膜形成工程において、水系のコーティング液の液膜を、20μmの膜厚にて形成した。その後、含浸工程において、浸漬時間を変化させて、それぞれの浸透距離を測定した。その他の条件は実施例1に準ずる。また、各浸漬時間に対してn数を3とし、各浸漬時間における浸透距離の測定値の平均値、最大値、最小値を、それぞれ図13に示す。
同図から分かるように、浸漬時間が1〜15秒の範囲にある限り、浸透距離を少なくとも2〜15mmの間に制御できる。すなわち、浸漬時間が1〜15秒の範囲にある限り、浸透距離を、好ましい撥水距離すなわち浸透距離2〜15mmの範囲内に、少なくとも収めることができる。
また、浸透距離(撥水距離)のより好ましい範囲は2〜8mmであるが、この観点から図13を見ると、含浸工程における浸漬時間は、1〜10秒とすることがより好ましいことが分かる。
(実施例3)
本例は、溶剤系のコーティング液を用いて撥水皮膜を形成した例である。
本例においては、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル・ジャパン社製フルオロアルキルシラン(型式:TSL8257)を、コーティング液として用いた。この溶液の主剤の分子構造は、CF3(CF2)5CH2CH2Si(OMe)3である。
その他は、実施例1と同様である。
そして、本例において、膜形成工程における液膜の膜厚と、浸透距離との関係を検討した。
すなわち、実施例1において示した触媒担持用ハニカム構造体の製造方法の液膜形成工程において、上述の溶剤系のコーティング液の液膜の膜厚を変化させて、それぞれの浸透距離を測定した。なお、含浸工程における浸漬時間は5秒とした。その他の条件は実施例1に準ずる。また、各膜厚に対してn数を3とし、各膜厚における浸透距離の測定値の平均値、最大値、最小値を、それぞれ図14に示す。
同図から分かるように、液膜の厚みが30〜150μmの範囲にある限り、浸透距離を少なくとも2〜15mmの間に制御できる。すなわち、液膜の厚みが30〜150μmの範囲にある限り、浸透距離を、好ましい撥水距離すなわち浸透距離2〜15mmの範囲内に、少なくとも収めることができる。
また、浸透距離(撥水距離)のより好ましい範囲は2〜8mmであるが、この観点から図14を見ると、膜形成工程における液膜の膜厚は、30〜100μmとすることがより好ましいことが分かる。
1 触媒担持用ハニカム構造体
10 ハニカム構造体
14 前端面
16 撥水皮膜
160 コーティング液
161 液膜
2 基板
3 含水触媒スラリー
A 撥水領域
B 非撥水領域
X 軸方向

Claims (10)

  1. 水中に排ガス浄化触媒を分散した含水触媒スラリー(3)を塗布して、該排ガス浄化触媒を担持して用いられる触媒担持用ハニカム構造体(1)の製造方法であって、
    上記触媒担持用ハニカム構造体(1)は、排ガスが流入する側の端面である前端面(14)から所定の領域に、撥水皮膜(16)が形成された撥水領域(A)を有し、該撥水領域(A)以外の領域には、撥水皮膜が形成されていない非撥水領域(B)を有し、
    板状の基板(2)上に、加熱後に上記撥水皮膜(16)を形成するコーティング剤を含むコーティング液(160)からなる所定の厚みの液膜(161)を形成する液膜形成工程と、
    柱状のハニカム構造体(10)の上記前端面(14)側を上記液膜(161)中に浸漬させた状態で、上記ハニカム構造体(10)の軸方向(X)を鉛直方向に向けて該ハニカム構造体(10)を上記基板(2)上に載置することにより、上記コーティング液(160)を上記ハニカム構造体(10)の上記前端面(14)側から所定の領域に含浸させる含浸工程と、
    該含浸工程後の上記ハニカム構造体(10)を加熱することにより、上記撥水皮膜(16)を形成して上記触媒担持用ハニカム構造体(1)を作製する加熱工程とを有し、
    上記液膜形成工程においては、上記コーティング液(160)の比重、上記基板(2)上に形成する上記液膜(161)の重量、及び上記基板(2)上における上記液膜(161)の形成面積から該液膜(161)の上記厚みを調整することを特徴とする触媒担持用ハニカム構造体(1)の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法において、上記コーティング液(160)は、水を溶媒とする水系コーティング液であり、かつ、上記基板(2)は、表面に親水性皮膜を有しており、上記液膜形成工程においては、上記基板(2)の上記親水性皮膜上に上記液膜(161)を形成することを特徴とする触媒担持用ハニカム構造体(1)の製造方法。
  3. 請求項2に記載の製造方法において、上記親水性皮膜は、シリコン系無機皮膜であることを特徴とする触媒担持用ハニカム構造体(1)の製造方法。
  4. 請求項2又は3に記載の製造方法において、上記液膜形成工程においては、厚み20〜80μmの上記液膜(161)を形成することを特徴とする触媒担持用ハニカム構造体(1)の製造方法。
  5. 請求項1に記載の製造方法において、上記コーティング液(160)は、溶剤系コーティング液であることを特徴とする触媒担持用ハニカム構造体(1)の製造方法。
  6. 請求項5に記載の製造方法において、上記液膜形成工程においては、厚み30〜150μmの上記液膜(161)を形成することを特徴とする触媒担持用ハニカム構造体(1)の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法において、上記液膜形成工程においては、上記基板(2)における液膜形成面(21)の全面に上記液膜(161)を形成することを特徴とする触媒担持用ハニカム構造体(1)の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法において、上記含浸工程においては、上記ハニカム構造体(1)の軸方向(X)における上記前端面(14)から2〜15mmの範囲内に上記コーティング液(160)を含浸させることを特徴とする触媒担持用ハニカム構造体(1)の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法において、上記基板(2)は、厚み100μm以下の板状であることを特徴とする触媒担持用ハニカム構造体(1)の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法において、上記加熱工程においては、温度150〜300℃で10分以上加熱することにより、上記撥水皮膜を形成することを特徴とする触媒担持用ハニカム構造体(1)の製造方法
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