JP5865775B2 - 焼結排ガス集塵機用ステンレス鋼および焼結排ガス集塵機 - Google Patents

焼結排ガス集塵機用ステンレス鋼および焼結排ガス集塵機 Download PDF

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Description

本発明は、焼結排ガス集塵機用ステンレス鋼および焼結排ガス集塵機に関する。
従来、製鉄工場における焼結機から排出される焼結排ガスは、大気汚染防止法により煤塵濃度が規制されているため、所定濃度以下で運転するように集塵機等を設置して対応している。このような焼結排ガス用の集塵機としては、図1に示すように、焼結機2と煙突3の間の排ガス流路5に設置された乾式の電気集塵機1が知られている。図1に示す例では、電気集塵機1の後段に焼結機用の排風機4が直列に配置されている。また、排ガス中の窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去する処理設備6も配置されている。
焼結機2では、鉄鉱石と、燃料としてのコークスと、結合剤としての石灰石と、水とを混合して焼結原料とし、焼結原料中のコークスに着火することで、鉄鉱石の焼結を行っている。焼結時に排出される焼結排ガスには、酸化鉄を主成分とする焼結ダストの他に、水分、窒素酸化物及び硫黄酸化物等が含まれる。そして、焼結機2の後段に設置された電気集塵機1において、焼結排ガス中の焼結ダストを集塵している。
電気集塵機1は、ケーシングと該ケーシングの下部に取り付けられたダストホッパとからなる集塵機本体と、集塵機本体の内部に設置された集塵電極板及び放電電極と、集塵電極板に付着した焼結ダストを剥離させる槌打装置とが備えられている。集塵機本体内部に導入された排ガス中の焼結ダストは、集塵電極板及び放電電極の間を通過する際に帯電されて集塵電極板に付着する。集塵電極板に付着した焼結ダストは、集塵電極板に槌打装置で衝撃を与えるか、または高周波振動を与えることで集塵電極板から剥離させる。その後、剥離した焼結ダストをダストホッパで回収して、鉄源として再利用している(特許文献1参照)。集塵後の焼結排ガスは、電気集塵機1から排出されて窒素酸化物及び硫黄酸化物の処理設備6を経た後に煙突3から大気中に放散される。なお、この排ガスは、水分を多量(12〜18質量%)に含有していることから、非常に結露し易い状態にある。
特開平6−114287号公報
一般に、焼結排ガス用の電気集塵機を構成する集塵機本体、即ち、ケーシング及びダストホッパ等の構成部材は、一般構造用炭素鋼や低合金鋼で構成されている。しかしながら、焼結排ガスは硫黄酸化物が含まれるために酸性を示す。このような酸性の排ガスが電気集塵機に導入されると、排ガスの一部が結露して、一般構造用炭素鋼や低合金鋼で構成されたケーシング、ダストホッパ等が腐食されてしまう問題があった。
また、腐食損傷による耐用年数の関係から、炭素鋼や低合金鋼で構成部材を構成した場合はこれらの板厚を厚く設計する必要があるが、これに伴い設備全体の重量が過大となってしまうので、これを軽量化し、かつ酸性の結露水に対して耐食性に優れた金属材料が強く要望されている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、焼結排ガスによって腐食されにくく、長寿命化、安全性、環境汚染防止などを長期にわたって確保することが可能な焼結排ガス集塵機を提供することを目的とする。
また、本発明は、焼結排ガスによって腐食されにくく、長寿命化、安全性、環境汚染防止などを長期にわたって確保することが可能な焼結排ガス集塵機用ステンレス鋼を提供することを目的とする。
SOやSO等の硫黄酸化物が含有されている比較的高温の焼結排ガスが、集塵機内でその温度が低下すると、条件によって、集塵機の構成部材の表面に、硫酸分や亜硫酸分を含んだ酸性の結露凝縮水が生成し、構成部材が多大なる腐食損傷を起こす。硫酸または亜硫酸中での炭素鋼や低合金鋼の腐食挙動はそれらの濃度および温度により著しく変化するが、後述するように特に希薄な酸環境中での炭素鋼や低合金鋼の腐食防止技術は、材料技術の観点から十分検討されてこなかったのである。
すなわち、硫黄分を含む燃料を燃焼させると、硫黄酸化物が生成することはよく知られた事実である。ここで、燃焼排ガス温度が露点以下になるか、または燃焼排ガスが低温の鋼製壁面に接触すると、燃焼排ガス中の硫黄酸化物とH2Oとが結露水中で結合して硫酸または亜硫酸を形成し、これらの酸が鋼を腐食させる。これが水露点腐食および硫酸露点腐食と呼ばれる現象であり、通常の大気腐食とは異なり、普通鋼のみならずステンレス鋼も激しく腐食される。焼結排ガス用の電気集塵機においてもこの硫酸露点腐食が起きていると推測される。このような硫酸露点腐食に対応すべく耐硫酸露点腐食鋼が開発されている。耐硫酸露点腐食鋼にはCuが含有されており、Cuが主体になって硫酸露点腐食を防止するとされている。
しかしながら、焼結排ガスによる硫酸腐食が主体の腐食環境下に対して、耐硫酸露点腐食鋼(例えば、S−TEN(登録商標)(商標登録番号1329929号))を適用すると、十分な防食効果が得られないことがわかった。この原因は以下の通りと考えられる。
焼結原料には石灰石が含まれるが、この石灰石中のカルシウム分が焼結原料の燃焼に伴って焼結排ガス中に混入する。このカルシウム分は、排ガス中の硫黄酸化物とH2Oとが結合して硫酸または亜硫酸を形成する際に、硫酸または亜硫酸の一部と中和する。カルシウム分によるこれら酸の中和が生じたとしても焼結排ガスによる酸腐食が主体の腐食は進行するが、その腐食環境はpH2〜4程度となり、これは、耐硫酸露点鋼が想定している腐食環境に比べると弱酸性の腐食環境である。耐硫酸露点腐食鋼は強い酸性環境下で防食性能を発揮するが、pH2〜4程度の弱酸性下では十分な耐食性能が発揮できない。以上のように、焼結排ガス用の集塵機に耐硫酸露点鋼を適用したとしても、十分な耐食性が得られない。
上記の点についてより詳細に説明する。本発明者らはまず、集塵機内に存在するダスト成分、鋼表面付着物、ドレン水などの環境分析及び解析を精力的に行った。その結果、次の事実が知見された。
まず、焼結原料中の石灰石の主成分である炭酸カルシウムの未反応微粉末が焼結排ガスとともに集塵機内に導入される。一方、前述したごとく、焼結排ガス中にはSOやSOなどの硫黄酸化物が含有されており、ガスの温度が低下してきた場合には硫酸分や亜硫酸分を含んだ酸性の結露凝縮水が生成し、この酸性の結露凝縮水が、焼結ガスと一緒に飛来してきた炭酸カルシウムとともに、集塵機の構成部材の表面に付着物する。
腐食損傷は結露凝縮水が生成したときに発現すると考えられることから、腐食環境を明確化するために、実際の集塵機の排ガス導入ダクト、排ガス排出ダクト、ケーシング内の側壁部や天井部など数カ所から飛来付着物を採取し、X線回折や付着物の水溶性成分の分析をおこなった。その結果、飛来付着物は主として、酸化鉄、硫酸カルシウムなどから構成されていることが知見されたのである。ここで、酸化鉄は集塵機の鋼製の構成部材に由来するものと考えられた。また、硫酸カルシウムは、排ガス中の硫黄酸化物と炭酸カルシウムとが直接気相中で中和反応するか、若しくは、硫酸分や亜硫酸分を含んだ酸性の結露凝縮水と炭酸カルシウムとが液相中で中和反応するか、のいずれか一方または両方のプロセスで生成することが知見された。さらに、飛来付着物中に亜硫酸カルシウムが検出されないのは、それ自体が非常に不安定であり温度や空気中の酸素によって容易に酸化されて硫酸カルシウムに比較的速やかに変化するためと考えられた。
一方、飛来付着物中の水溶性成分を分析したところ、水溶液のpHはいずれの飛来付着物とも、およそ2.0〜4.0の範囲内の弱酸性であり、主として数千ppmの硫酸イオン、数百ppmの塩化物イオンおよび数万ppmのカルシウムイオンが検出された。この分析結果から、集塵機内の腐食環境は数百ppmの塩化物イオンを含むpH2.0〜4.0の硫酸カルシウム飽和水溶液であると特定されたのである。
以上の事実から、本環境中に曝される材料の耐食性を確保するためには、基本原理として少なくともpH2.0の環境に曝されても不動態化している材料でなければならないのである。これは下記文献[1]〜[3]に詳細に示されるように材料の活性態/不動態遷移pH−脱不動態化pH(pHd)が材料の曝されている環境のpHよりも低ければ、材料は腐食せず不動態を維持し続けるという基本原理に基づくものである。
[1] 小川洋之、伊藤 功、中田潮雄、細井祐三、岡田秀彌:鉄と鋼、63,47(1977)
[2] 小野山征生、辻正宣、志谷健才:防食技術、28,532(1979)
[3] 岡山 伸、辻川茂男、菊地一浩:防食技術、36,702(1987)
図4に、一例として二相ステンレス鋼(UNS S32304)の自然電位のpH依存性を示す。この例では、脱不動態化pHが1.42であり、この脱不動態化pHを境界にして高pH側が不動態領域であり、低pH側が活性態領域である。集塵機内の腐食環境は、前述したように、数百ppmの塩化物イオンを含むpH2.0〜4.0の硫酸カルシウム飽和水溶液に近似した環境であるから、脱不動態化pHが2.0以下になるステンレス鋼を選択すれば、集塵機用の耐食鋼として使用可能である。
本発明では、脱不動態化pHが2.0以下になるステンレス鋼を選択するにあたり、ステンレス鋼の成分としてCr、Ni、Mo、Cuの各含有率を変数とする指標が、ステンレス鋼材の脱不動態化pHと高い相関があることを見出した。この指標は、各種材料の脱不動態化pHの測定を、塩化物イオンを含む硫酸カルシウム飽和水溶液中で実施し、得られた脱不動態化pHについて、Cr量、Ni量、Mo量、Cu量を変数にして重回帰分析を行うことで実験的に求められた下記(I)に示される指標であり、脱不動態化pH指標(DPI値)と定義する。なお、脱不動態化pH指標(DPI値)を決定するCr量、Ni量、Mo量、Cu量の関係式及び係数は、焼結排ガス集塵機用途に用いられる場合の腐食環境、つまり、塩化物イオンを含む硫酸カルシウム飽和水溶液での腐食環境で決まるものである。
DPI値が22.0以上の材料は、脱不動態化pHが2.0以下になる。また、図5には、脱不動態化pH指標(DPI値)と脱不動態化pHとの相関図を示す。図5に示すように、脱不動態化pH指標(DPI値)と脱不動態化pHとの間には、強い相関関係があることがわかる。
DPI=[Cr]+0.4[Ni]+2.0[Mo]+0.3[Cu] … (I)
前記の通り、少なくとも脱不動態化pHが2.0より低い材料であれば、集塵機用の耐食鋼として問題なく使用可能と判断される。一方で、集塵機などの大型の構造物を建設するには優れた加工性、靱性や溶接性が要求されるが、フェライト系ステンレス鋼ではこれらの特性は悪く、大型の厚板構造物としては一般的に適用されていない。その意味において二相ステンレス鋼やオーステナイト系ステンレス鋼となる成分組成の材料の使用が望ましい。また、材料強度の面から二相ステンレス鋼の使用が望ましく、その適用により軽量化、薄肉化が計られるというメリットが生まれる。
以上を踏まえて本発明者らが鋭意検討したところ、以下の発明に想到するに至った。
[1] 質量%で、
C:0.005〜0.05%、
Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.1〜4.0%、
P:0.06%以下、
S:0.005%以下、
Cr:11.0〜26.0%、を含み、下記式(1)で示される脱不動態化pH指標(DPI)で計算される値が22.0以上であり、残部が鉄および不可避的不純物からなることを特徴とする焼結排ガス集塵機用ステンレス鋼。
DPI=[Cr]+0.4[Ni]+2.0[Mo]+0.3[Cu] … (1)
[ただし、式(1)において、[Cr][Ni][Mo][Cu]はそれぞれ、各元素の含有率の質量%で表される数値である。]
[2] 更に、質量%で、
Ni:0.1%以上30.0%以下、
Mo:0.1%以上6.5%以下、
Cu:0.1%以上2.5%以下、
N:0.01%以上0.3%以下の何れか1種または2種以上の元素を含むことを特徴とする[1]に記載の焼結排ガス集塵機用ステンレス鋼。
[3] 硫黄酸化物とカルシウム分とを含有する焼結排ガス中の焼結ダストを集塵する集塵機であって、
排ガス導入部及び排ガス排出部が設けられてなるケーシングと、前記ケーシング内に配置されて前記焼結排ガス中の前記焼結ダストを集塵する集塵電極及び放電電極と、前記ケーシングの下方に接続されたダストホッパと、が備えられ、前記ダストホッパが、
質量%で、
C:0.005〜0.05%、
Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.1〜4.0%、
P:0.06%以下、
S:0.005%以下、
Cr:11.0〜26.0%を含み、下記式(2)で示される脱不動態化pH指標(DPI)で計算される値が22.0以上であり、残部が鉄および不可避的不純物からなるステンレス鋼で構成されていることを特徴とする焼結排ガス集塵機。
DPI=[Cr]+0.4[Ni]+2.0[Mo]+0.3[Cu] … (2)
[ただし、式(2)において、[Cr][Ni][Mo][Cu]はそれぞれ、各元素の含有率の質量%で表される数値である。]
[4] 前記ステンレス鋼が、更に、質量%で、
Ni:0.1%以上30.0%以下、
Mo:0.1%以上6.5%以下、
Cu:0.1%以上2.5%以下、
N:0.01%以上0.3%以下の何れか1種または2種以上の元素を含むことを特徴とする[3]に記載の焼結排ガス集塵機。
[5] 更に、前記ケーシングが前記ステンレス鋼で構成されていることを特徴とする上記[3]または[4]に記載の焼結排ガス用の集塵機。
本発明によれば、DPI22.0以上のステンレス鋼によってダストホッパを構成することで、これらの部材がpH2〜4程度の酸腐食が主体の腐食環境下に置かれた場合であっても、高い耐食効果を発揮させることができる。
また、DPI22.0以上のステンレス鋼によって、ケーシングを構成することで、これらの部材がpH2〜4程度の腐食環境下に置かれた場合であっても、高い耐食効果を発揮させることができる。
図1は、電気集塵機の設置箇所を説明する模式図である。 図2は、本発明の実施形態である電気集塵機の一例の断面構造を示す側面模式図である。 図3は、本発明の実施形態である電気集塵機の一例を排ガスの流通方向から見た断面模式図である。 図4は、ステンレス鋼の自然電位とpHとの関係を示すグラフである。 図5は、脱不動態化pHと脱不動態化pH指標との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態の焼結排ガス用の電気集塵機1(集塵機)は、図1に示すように、焼結機2と煙突3の間に設置されている。図1に示す例では、電気集塵機1の後段に焼結機用の排風機4が直列に配置されている。また、排ガス中の窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去する処理設備6も配置されている。処理設備6は、電気集塵機1よりも上流の排ガス流路5に配置されていてもよい。
焼結機2は排ガス流路5に接続されており、この排ガス流路5には、焼結機2から発生した焼結排ガスを下流側に流すメインブロワー(排風機)4が備えられている。メインブロワー4によって焼結機2から焼結排ガスを吸引し、更に電気集塵機1を通過させる。排ガス流路5を流れる焼結排ガスには、焼結ダスト、水分、窒素酸化物、微量の硫黄酸化物とともに、焼結原料中の石灰石に由来するカルシウム分が含まれている。焼結排ガスが電気集塵機1を通過する際に、焼結排ガス中の焼結ダストが電気集塵機1によって集塵される。その後、焼結排ガスは、窒素酸化物及び硫黄酸化物が除去された後に煙突3から大気へ放散される。処理設備6が電気集塵機1の前段に配置されている場合は、窒素酸化物の除去後に電気集塵機1において焼結ダストが集塵される。
本実施形態の電気集塵機1は、図2及び図3に示すように、排ガス導入ダクト(排ガス導入部)11a及び排ガス排出ダクト(排ガス排出部)11bが設けられてなる中空箱状のケーシング11と、ケーシング11内に配置されて焼結排ガス中の焼結ダストを集塵する集塵電極12及び放電電極13と、ケーシング11と連通してケーシング11の下方に接続されたダストホッパ14と、が備えられている。
排ガス導入ダクト11aには、焼結機2側の排ガス流路5が接続されており、また、排ガス排出ダクトには煙突3側の排ガス流路5が接続されている。
排ガス導入ダクト11aは、下流側へ向けて拡幅する逆テーパ状とされ、また、排ガス排出ダクト11bは、下流側へ向けて縮幅するテーパ状となっている。このように、ケーシング11が中膨らみ形状となっていることで、排ガス流路5からケーシング11内に流入した焼結排ガスの流速を低下でき、所定の滞留時間(反応時間)を確保できるようになっている。
また、ケーシング11内には、焼結排ガス中の焼結ダストを集塵する複数の集塵電極板12と、集塵電極板12間に位置する放電電極13とが設置されている。放電電極13は、外部に設置された図示略の高電圧発生装置に接続されている。
集塵電極板12は、鋼材で構成された短冊状の部材であり、接続部材12aを介してケーシング11の天井部から吊り下げられている。集塵電極板12は、板長手方向がケーシング11の高さ方向に沿うように、また、板幅方向がケーシング11の長手方向に沿うように、更に、板厚方向がケーシング11の幅方向に沿うようにケーシング11内に配置されている。なお、ケーシング11の長手方向とは、排ガスの流れ方向であり、ケーシングの幅方向とは高さ方向及び長手方向にそれぞれ直交する方向である。
また、図2に示すように、複数の集塵電極板12が、ケーシング11の長手方向に沿って所定の間隔を空けて並べられている。更に図3に示すように、複数の集塵電極板12が、ケーシング11の幅手方向に沿って所定の間隔を空けて並べられている。この集塵電極板12同士の隙間が、焼結排ガスの流路Lになっている。
放電電極13は、図3に示すように、ケーシング11の幅方向に沿って並べられた集塵電極板12同士の間に配置されている。放電電極13は、集塵電極板12と所定の間隔を空けて集塵電極板12に対向して配置されている。この各放電電極13は、絶縁碍子13aを介してケーシング11に取付けられるとともに、絶縁碍子13a内に形成された貫通孔を介してケーシング11内に挿入されている。なお、前述の高電圧発生装置に全ての放電電極13が接続されているわけではなく、一部の放電電極13は、高電圧発生装置に接続された放電電極13とケーシング11内で接続されている。
また、図3に示すように、各集塵電極板12の下部には、その集塵電極板12を槌打するための槌打棒15が各々取付けられている。槌打棒15の端部には図視略のハンマーまたはバイブレータ等の振動付与手段が配設されており、これら振動付与手段により槌打棒15を介して集塵電極板12に衝撃を付与できるようになっている。振動付与手段は、予め設定した時間間隔で自動的に動作するようになっている。振動付与手段によって集塵電極板12に衝撃が与えられることで、その表面に付着した焼結ダストがケーシング11の下部に払い落とされる。
ケーシング11の下部には、下方へ向けて縮幅するテーパ状の複数のダストホッパ14が設けられ、その下端部には、落下した焼結ダストの排出口16が取付けられている。集塵電極板12の表面から払い落とされた焼結ダストは、ダストホッパ14を介して、排出口16から外部へ排出される。
また、排出口16の下側には、チェーンコンベア17が配置されており、排出された焼結ダストを搬送できるようになっている。
本実施形態の電気集塵機1においては、ダストホッパ14がDPI値が22.0以上のステンレス鋼で構成されている。また、ケーシング11についても同様に、DPI値が22.0以上のステンレス鋼で構成されている。
ステンレス鋼としては、オーステナイト系ステンレス鋼またはオーステナイト・フェライトの2相鋼系ステンレス鋼が好ましい。DPI値が22.0以上であれば、焼結排ガスによる硫酸腐食が主体の腐食環境下に対して十分な防食効果を発揮させることができる。
より具体的には、質量%で、C:0.005〜0.05%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.1〜4.0%、P:0.06%以下、S:0.005%以下、Cr:11.0〜26.0%を含み、下記式(3)で示される脱不動態化pH指標(DPI)で計算される値が22.0以上であり、残部が鉄および不可避的不純物からなるステンレス鋼が好ましい。また、本発明に係るステンレス鋼は、更に、Ni:0.1%以上30.0%以下、Mo:0.1%以上6.5%以下、Cu:0.1%以上2.5%以下、N:0.01%以上0.3%以下のいずれか1種または2種以上の元素を含んでいてもよい。このステンレス鋼は、焼結排ガス用の電気集塵機の構成材として好適に用いることができる。
なお、Ni,Mo及びCuを積極的に添加しない場合は、それぞれの含有率が0%であるとして下記(3)式を適用すればよい。ただし、Moが不純物として0.03%以上混入する場合は、その含有率を(3)式に適用すればよく、Moが0.03%未満であれば含有率を0%として(3)式に適用すればよい。
DPI=[Cr]+0.4[Ni]+2.0[Mo]+0.3[Cu] … (3)
[ただし、式(3)において、[Cr][Ni][Mo][Cu]はそれぞれ、各元素の含有率の質量%で表される数値である。]
以下、鋼成分の限定理由を述べる。
<C:0.005〜0.050%>
Cは、ステンレス鋼の耐食性には有害であるが、0.005%未満にまで炭素量を低減すると、製造コストが高くなる。一方、C量が0.050%を超えると、耐食性が大幅に劣化する。したがって、C量を0.005〜0.050%とする。C量の上限は、0.030%以下がより好ましい。
<Si:0.01〜1.00%>
多量のSiを添加すると製造性を著しく損なう。本発明では、生産性を損なうことなく製造可能なSiの添加量として、1.00%以下をSi量の上限とする。Si量の下限は、少ないほど好ましいが、脱酸等に用いられることから、0.01%以上とする。
<Mn:0.1〜4.0%>
Mnは、Niと同様、オ−ステナイト安定化元素であるが、4.0%超を添加すると、塩化物イオンを含む硫酸カルシウム飽和環境中における耐食性が低下するため、Mn量の上限を4.0%以下とする。Mnは、脱酸剤としても使用されることから、Mnの下限を0.1%以上とする。好ましい下限は1.0%超である。
<P:0.06%以下>
Pは、不純物であり、耐食性及び熱間加工性の観点から、上限を0.06%以下、より好ましくは0.03%以下とする。P量は、低減させることが好ましく、0%でもよいが、製造コストの観点から、0.01%を下限とすることが好ましい。
<S:0.005%以下>
Sは、Pと同様、不純物であり、特に熱間加工性を低下させることから、上限を0.005%以下とする。S量は、低減させることが好ましく、0.001%以下がより好ましい。S量の下限は、0%でもよいが、製造コストの観点から、0.0001%を下限とすることが好ましい。
<N:0.01%以上0.30%以下>
NはCr及びNiと共存した形で必要に応じて添加される。Nは強いオ−ステナイト形成元素であり、特にオ−ステナイト系ステンレス及び二相鋼系ステンレス鋼の組織調整のために添加される。NはCr及びNiとの共存下で塩化物イオンを含む硫酸カルシウム飽和環境における耐食性を維持しつつ、固溶強化により強度が向上される。しかしながら、N量が0.3%超では溶鋼の溶解度を超え鋳片に気泡が発生することからN量を0.3%以下にする事が必要である。より好ましくは0.25%以下である。N量の下限は製造コストの観点から、0.01%以上とすることが好ましい。
<Cr:11.0%以上26.0%以下>
Crは本発明の基本成分であり、Ni,Mo,Cu,Nと共存した形で添加される。塩化物イオンを含む硫酸カルシウム飽和水溶液中で良好な耐食性を得るためにはNi,Mo,Cuと共存してもステンレス鋼としては11.0%以上の添加が必要であり、より好ましくは16%以上である。Cr量が多いほど耐食性は向上するが26.0%を超えるとσ相析出により厚板製造が困難となり、経済的にも高価となる。よって、Cr量の範囲を11.0%以上26.0%以下に限定する。また、Crが22%以上なら上記式(3)はCr単独でも成立して、十分な耐食性を示すので、この場合はNi,Mo,Cu、Nいずれか1種又は2種以上を添加してもよいし添加しなくてもよい。
<Ni:0.1%以上30%以下>
NiはCrと共存した形で必要に応じて添加される。塩化物イオンを含む硫酸カルシウム飽和水溶液中で良好な耐食性を確保するために必ずしも必要な元素ではないが,Crと共存させることにより、脱不動態化pHを下げる効果あり,補助的に添加される。Niを添加する場合は0.1%以上添加することが好ましい。また、ステンレス鋼中へのNiの添加は靭性を良好にするとともに一般に希薄硫酸中での活性溶解を抑制し,耐食性を向上させる。30.0%を超えても耐食性は徐々に向上するが、費用対効果として経済的に見合わない。よって、Ni量の範囲を30.0%以下に限定する。
<Mo:0.1%以上6.5%以下>
MoはCrと共存した形で必要に応じて添加される。Moは塩化物イオンを含む硫酸カルシウム飽和水溶液中で良好な耐食性を確保するために必ずしも必要な元素ではないが,Crと共存させることにより、脱不動態化pHを下げる効果がある。Moを添加する場合は0.1%以上添加することが好ましい。一方、Moを6.5%を超えて添加するとσ相析出により熱間加工性や靭性が著しく劣化する。よって、上限を6.5%に限定する。好ましくは4.0%以下にするとよい。
<Cu:0.1%以上2.5%以下>
CuはCrと共存した形で必要に応じて添加され、好ましくはCr及びNiと共存した形で添加される。Cuは塩化物イオンを含む硫酸カルシウム飽和水溶液中で良好な耐食性を確保するために必ずしも必要な元素ではないが,Crと共存させることにより、脱不動態化pHを下げる効果あり,補助的に添加される。Cuを添加する場合は0.1%以上添加することが好ましい。また、Cuを2.5%を越えて添加すると鋼製造時の熱間加工性が著しく劣化し圧延割れを生じる。よって、上限を2.5%に限定する。
なお、本願発明の焼結排ガス集塵機用途に用いられる場合の腐食環境、つまり、塩化物イオンを含む硫酸カルシウム飽和水溶液での腐食環境で、良好な耐食性を確保するための上記式(3)が成立することを前提にすれば、Ni,Mo,Cu、Nは必ずしも添加する必要はないが、Crと共に、Ni,Mo、Cu及びNのうちの何れか1種または2種以上を添加してもよい。
<脱不動態化pH指標:DPIが22.0以上>
塩化物イオンを含む硫酸カルシウム飽和水溶液中で活性溶解せず不動態を維持しうる脱不動態化pHは2.0以下である事実に基づき、上記式(3)で示される脱不動態化pH指標DPIが22.0以上の場合に脱不動態化pHが2.0以下となるが、脱不動態化pH指標DPIが22.0よりも小さい場合には脱不動態化pHは2.0より高くなる。よって脱不動態化pH指標:DPIを22.0以上と限定した。また、コスト、鋼板製造の観点からDPIの上限は40.0とすることが好ましい。なお、脱不動態化pH指標(DPI)は、主要成分としてCr、Ni、Mo、CuおよびNを含む各種のステンレス鋼の脱不動態化pHの測定を、塩化物イオンを含む硫酸カルシウム飽和水溶液中で実施し、Cr量、Ni量、Mo量、Cu量を変数にして重回帰分析を行って求められた実験的指標である。
以上の元素の他、不可避的に、不純物であるO(酸素)、脱酸剤として使用されるAlなどを含む場合がある
一例としてそれら元素の含有量を示すと、例えばO:0.007%以下、Al:0.05%以下(フェライト系ステンレス鋼の場合、1.0%以下などが挙げられる。
なお、本実施形態の電気集塵機1の構成材料として、Cuを含有する耐硫酸露点腐食鋼を用いることは好ましくない。焼結排ガス中には、硫黄酸化物及びH2Oの他にカルシウム分が含まれている。このカルシウム分は、焼結原料に含まれる石灰石に由来するアルカリ成分である。焼結排ガス温度が露点以下になるか、または焼結排ガスが低温の壁面に接触すると、焼結排ガス中の硫黄酸化物とH2Oとが結合して硫酸及び亜硫酸を形成する一方で、カルシウム分が硫酸及び亜硫酸と反応して酸性を中和する。これにより焼結排ガスによる腐食環境はpH2〜4程度の腐食環境になる。これは、耐硫酸露点鋼が想定している腐食環境に比べて弱酸性側となる。耐硫酸露点腐食鋼は、pH2〜4程度の弱酸性下では十分な耐食性能が発揮できない。このようなことから、本実施形態における耐硫酸露点腐食鋼の適用は好ましくなく、むしろ、一般的な硫酸露点腐食には不向きとされていたステンレス鋼を用いることが好ましい。
本実施形態の電気集塵機1において、ダストホッパ14とケーシング11に本発明に係るステンレス鋼を適用する理由は、次の通りである。
ダストホッパ14の下部にチェーンコンベア17が配置されているが、このチェーンコンベア17とダストホッパ14下部との間を完全にシールする事は構造上困難であり、しかも、メインブロワー4の吸引によってケーシング11内部が大気圧よりも−20kpa程度の負圧になる。このために、この隙間から外気が吸入され、この吸入された外気は、ケーシング11内部を流れる焼結排ガスに伴って上昇し、排出ダクト11b側の排ガス流路5から排出される。
この吸引された外気はケーシング11内部を上昇するにしたがって温度が上昇するが、外気吸引箇所であるダストホッパ14の壁面温度は大幅に降下して、10〜60℃になり、特に、冬場は温度低下が著しくなる。
焼結排ガスの温度は、電気集塵機1の入口である排ガス導入ダクト11aでは、例えば120〜130℃程度と比較的低温で、かつ、前記の様に多量の水分を含有しているため、この焼結排ガスがこの温度降下したダストホッパ14の壁面に接触することで、腐食が起きやすい状況になる。このようなことから、図4に示すように、pH=2〜4の酸性雰囲気で腐食速度がほぼ鈍化する本発明に係るステンレス鋼でダストホッパ14全体を構成する必要がある。
また、ケーシング11は、吸引された外気の影響により下部になるに従ってケーシング11の壁面温度は降下し、その下部の壁面温度は大気温度と同等程度になる。
このため、ケーシング11の上部よりも下部において、ダストホッパ14の壁面程ではないが、硫酸腐食が主体の腐食が起きやすい状況になっている。従って本実施形態では、ケーシング11下部を本発明に係るステンレス鋼で構成することが耐腐食面から好ましい。
ケーシング11の上部はケーシング11下部と同量のCrを含有する本発明に係るステンレス鋼で構成してもよいが、この上部は吸引された外気の影響は軽微で10℃以内の降下で、硫酸腐食が主体の腐食が起きることが少ないことから、ケーシング11の上部には、Cr含有量が低い(11質量%未満)ステンレス鋼、または、普通鋼(SS)を用いることがコスト面から更に好ましい。
なお、ケーシング11の下部とは、排ガス導入ダクト11a、11bに接続された両排ガス流路5の下端を結ぶ線より若干下方位置(図2の点線A)からダストホッパ14まで(点線Bまで)の部分であり、また、ケーシング11の上部とは、上記点線Aより上方の部分である。
また、集塵電極板12及び放電電極13については、本発明に係るステンレス鋼で構成してもよい。集塵電極板12及び放電電極13は、常時焼結排ガスに曝されて焼結排ガスの熱で保温されているので、ケーシング11やダストホッパ14ほど温度降下しにくく、硫酸露点腐食は起きにくいといえる。しかし、集塵電極板12には焼結ダストの払い出しのために振動が付与されるので、硫酸露点腐食の進行が少ない状況下でも振動が加わって集塵電極板12自体が破損するおそれがある。このため、集塵電極板12及び放電電極13についても本発明に係るステンレス鋼で構成することが好ましい。
本発明に係るステンレス鋼の具体例としては、SUS316、SUS316L、SUS316N、UNS S32304、SUS444、SUS444L、等を例示できる。この中でも特に、ケーシング11とダストホッパ14には強度及び溶接性の面からUNS S32304を用いることが好ましい。
以上説明したように、本実施形態の電気集塵機1によれば、本発明に係るステンレス鋼によってダストホッパ14又は該ダストホッパ14とケーシング11を構成することで、これらの部材がpH2〜4程度の硫酸腐食が主体の腐食環境下に置かれた場合であっても、高い防食効果を発揮させることができる。
また、本発明に係るステンレス鋼は、脱不動態化pH指標:DPIが22.0以上のステンレス鋼であるので、塩化物イオンを含む硫酸カルシウム飽和水溶液中での耐腐食性に優れ、特に焼結排ガスの集塵に用いる電気集塵機の構成部材として好適に用いることができる。
なお、上記実施形態では電気集塵機を例にして説明したが、本発明を電気集塵機以外の他の集塵機に適用してもよい。
以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
表1は本発明鋼ならびに比較鋼の化学組成を示すもので、普通鋼のSM490A及びS-TEN1以外のステンレス鋼は電気炉AODおよび電気炉VAC法によって溶解した。これらの溶鋼を連続鋳造に通常条件で鋳造し、表面手入れ後、熱間圧延を施し、得られた熱延板を種々の温度で熱処理した。その後、得られた熱延板を、200ppmの塩化物イオンを含む硫酸カルシウム飽和水溶液(80℃、アルゴン脱気)の腐食評価液中において自然電位の測定を行い、各種ステンレス鋼の脱不動態化pHを求めた。
自然電位の測定用の試験片には、熱処理を終えた熱延板から長さ25mm、幅10mm、厚さ4mmの寸法の鋼片を切り出し、鋼片の全面を400番のエメリ−紙で湿式研磨をおこなったのち、アセトン中で超音波による脱脂を約10分おこない、熱風乾燥したものを用いた。
また、自然電位測定試験は、あらかじめ恒温水槽を用いて80℃の温度に保持された石英ガラス製試験セル内の200ppmの塩化物イオンを含む硫酸カルシウム飽和水溶液中に、自然電位測定用試験片を24時間浸漬し、その間の自然電位を測定した。なお、200ppmの塩化物イオンを含む硫酸カルシウム飽和水溶液のpHは、よく校正されたpHメーターを用いて相当量の試薬特級96%硫酸を滴下し、−1.0〜4.0の範囲で調製した。
図4に、24時間後のUNS S32304の自然電位を試験液pHに対してプロットした結果の一例を示す。
図4に示すように、24時間浸漬後の自然電位が急激に変化するpHを脱不動態化pHとし、また、脱不動態化pH指標DPIを上記式(3)により求めた。そして、脱不動態化pH指標DPIが22.0以上の材料を○印で、また、脱不動態化pH指標が22.0より低い材料を×印として、耐食性の判定(評価)をおこなった。そうしたところ、表2に示すように、脱不動態化pH指標DPIが22.0以上の材料であればもれなく脱不動態化pHが2.0以下となり、本発明鋼は比較鋼に比べて優れた耐食性を有する材料であることがわかる。
また、表2には、暴露試験の結果を合わせて示す。暴露試験は、先に製造した自然電位測定用の試験片を、連続操業中の焼結排ガスの電気集塵機の内部に一定期間放置し、その後の試験片の外観変化を評価したものである。放置期間は9ヶ月間とし、試験片の表面外観が著しく変色したものを×とし、表面外観が変色しなかったものを○として評価した。
その結果、脱不動態化pH指標DPIが22.0以上の試験片は何れも、表面外観が過度に変色することがなく、良好な耐食性を有していることが判明した。
また、本発明鋼5(UNS S32304)は二相鋼であり、本発明鋼2(SUS316L)に比べて高い強度を有している。このため、本発明鋼5によって電気集塵機の構成部材を形成した場合は、各部材の肉厚が、本発明鋼2で構成部材を形成した場合の肉厚に対して半分程度となり、電気集塵機の全体の重量を大幅に低減することが可能になる。
Figure 0005865775
Figure 0005865775
1…電気集塵機、11…ケーシング、11a…排ガス導入ダクト(排ガス導入部)、11b…排ガス排出ダクト(排ガス排出部)、12…集塵電極板(集塵電極)、13…放電電極、14…ダストホッパ

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:0.005〜0.05%、
    Si:0.01〜1.0%、
    Mn:0.1〜4.0%、
    P:0.06%以下、
    S:0.005%以下、
    Cr:11.0〜26.0%
    を含み、下記式(1)で示される脱不動態化pH指標(DPI)で計算される値が22.0以上であり、残部が鉄および不可避的不純物からなることを特徴とする焼結排ガス集塵機用ステンレス鋼。
    DPI=[Cr]+0.4[Ni]+2.0[Mo]+0.3[Cu] … (1)
    [ただし、式(1)において、[Cr][Ni][Mo][Cu]はそれぞれ、各元素の含有率の質量%で表される数値である。]
  2. 更に、質量%で、
    Ni:0.1%以上30.0%以下、
    Mo:0.1%以上6.5%以下、
    Cu:0.1%以上2.5%以下、
    N:0.01%以上0.3%以下の何れか1種または2種以上の元素を含むことを特徴とする請求項1に記載の焼結排ガス集塵機用ステンレス鋼。
  3. 硫黄酸化物とカルシウム分とを含有する焼結排ガス中の焼結ダストを集塵する集塵機であって、
    排ガス導入部及び排ガス排出部が設けられてなるケーシングと、前記ケーシング内に配置されて前記焼結排ガス中の前記焼結ダストを集塵する集塵電極及び放電電極と、前記ケーシングの下方に接続されたダストホッパと、が備えられ、前記ダストホッパが、
    質量%で、
    C:0.005〜0.05%、
    Si:0.01〜1.0%、
    Mn:0.1〜4.0%、
    P:0.06%以下、
    S:0.005%以下、
    Cr:11.0〜26.0%を含み、下記式(2)で示される脱不動態化pH指標(DPI)で計算される値が22.0以上であり、残部が鉄および不可避的不純物からなるステンレス鋼で構成されていることを特徴とする焼結排ガス集塵機。
    DPI=[Cr]+0.4[Ni]+2.0[Mo]+0.3[Cu] … (2)
    [ただし、式(2)において、[Cr][Ni][Mo][Cu]はそれぞれ、各元素の含有率の質量%で表される数値である。]
  4. 前記ステンレス鋼が、更に、質量%で、
    Ni:0.1%以上30.0%以下、
    Mo:0.1%以上6.5%以下、
    Cu:0.1%以上2.5%以下、
    N:0.01%以上0.3%以下の何れか1種または2種以上の元素を含むことを特徴とする請求項3に記載の焼結排ガス集塵機。
  5. 更に、前記ケーシングが前記ステンレス鋼で構成されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の焼結排ガス集塵機。
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