JP5865110B2 - メタン酸化触媒およびその製造方法 - Google Patents
メタン酸化触媒およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5865110B2 JP5865110B2 JP2012033182A JP2012033182A JP5865110B2 JP 5865110 B2 JP5865110 B2 JP 5865110B2 JP 2012033182 A JP2012033182 A JP 2012033182A JP 2012033182 A JP2012033182 A JP 2012033182A JP 5865110 B2 JP5865110 B2 JP 5865110B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- catalyst
- zirconium oxide
- chlorine
- ruthenium
- platinum
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
- Catalysts (AREA)
Description
さらに、燃焼排ガスには、燃料中に含まれている硫黄化合物に由来する硫黄酸化物などの反応阻害物質が必然的に含まれているので、触媒表面に対する反応阻害物質の析出により、触媒活性が経時的に著しく低下することは避けがたい。
このような実状に鑑みて、ジルコニア担体にパラジウムまたはパラジウムと白金とを担持させた触媒が、硫黄酸化物共存下でも高いメタン酸化活性を維持し続けることが開示されている(特許文献3参照)。しかしながら、この触媒は、特に約400℃以下の低温域でのメタン酸化活性が低いため、低温で十分な性能を確保するには多量の触媒を必要とする。
上記目的を達成するための本発明に係る触媒の特徴構成は、
硫黄酸化物を含む排ガス中のメタンを酸化除去するための触媒であって、2〜60m2/gの比表面積を有する単斜晶の酸化ジルコニウム担体に、白金、ルテニウムおよび塩素を担持してなる(但し、前記酸化ジルコニウム担体に、イリジウム、白金、ルテニウムおよび塩素を担持してなる触媒を除く)点にある。
酸化ジルコニウム担体に、白金およびルテニウムが担持されているので、硫黄酸化物および過剰な酸素を含む排ガス中において、低い温度でもメタンを分解することができる。また、酸化ジルコニウム担体に、塩素が担持されているので、高活性な触媒が得られ、高いメタン転化率を得ることができる。
酸化ジルコニウムの比表面積(本明細書中においては、BET法による比表面積を言う)は、通常2〜60m2/g程度であり、5〜30m2/g程度であることがより好ましい。
酸化ジルコニウムの結晶形は単斜晶であり、質量基準で10%以下の正方晶および立方晶の酸化ジルコニウムを含んでいても良い。なお、結晶相含有比率の測定には、X線回折測定などの公知の方法が適用できる。
酸化ジルコニウム担体には、コージェライト等の支持体への付着性や焼結性の改善のため、アルミナ、シリカなど酸化ジルコニウム以外の微量の成分を含んでいても良いが、これらの成分は質量基準で2%を超えないことが望ましい。
酸化ジルコニウムに対する触媒活性成分の担持量は、少なすぎる場合には触媒活性が低くなるのに対し、多すぎる場合には粒径が大きくなって、担持された触媒活性成分が有効に利用されなくなる。
本発明に係る触媒は、上記構成において、
前記酸化ジルコニウム担体に対する前記塩素の担持量が0.02〜0.2質量%であることが好ましい。
耐火性ハニカム上にウオッシュコートする場合には、上記の方法で調製した触媒をスラリー状にしてウオッシュコートしても良く、或いはあらかじめ酸化ジルコニウムを耐火性ハニカム上にウオッシュコートした後、上記の含浸手法にしたがって活性成分を担持してもよい。
いずれの場合にも、必要に応じて、バインダーを添加することができる。
排ガス中の可燃性成分の濃度は、特に制限されないが、高すぎる場合には触媒層で極端な温度上昇が生じ、触媒の耐久性に悪影響を及ぼす可能性があるので、メタン換算で約5000ppm以下とするのが好ましい。
本発明の触媒に所定の条件において排ガスを接触させることにより、排ガス中のメタンを酸化除去することができる。
触媒使用量が、少なすぎる場合には、有効な浄化率が得られないので、ガス時間当たり空間速度(GHSV)で200,000h-1以下となる量を使用することが好ましい。一方、ガス時間当たり空間速度(GHSV)を低くするほど触媒量が多くなるので、浄化率は向上するが、GHSVが低すぎる場合には、経済的に不利であり、また触媒層での圧力損失が大きくなる。従って、GHSVの下限は、約1000h-1程度とすることが好ましく、約5000h-1程度とすることがより好ましい。
被処理ガスである排ガス中の酸素濃度は、酸素を過剰に含む限り特に制限されないが、体積基準として約2%以上(より好ましくは約5%以上)であって且つ炭化水素などからなる還元性成分の酸化当量の約5倍以上(より好ましくは約10倍以上)の酸素が存在することが好ましい。
排ガス中の酸素濃度が極端に低い場合には、反応速度が低下するおそれがあるので、予め所要の量の空気、酸素過剰の排ガスなどを混ぜてもよい。
また、被処理ガス中の炭化水素の濃度が著しく高いときには、触媒層で急激な反応が起こって、触媒の耐久性に悪影響を及ぼすので、触媒層での温度上昇が、通常約150℃以下、好ましくは約100℃以下となる条件で用いるのが好ましい。
燃焼排ガス中には、通常5〜15%程度の水蒸気が含まれているが、本発明によれば、このように水蒸気を含む排ガスに対しても、有効なメタン転化率が達成される。
また、排ガス中には、水蒸気の他に触媒活性を著しく低下させることが知られている少量の硫黄酸化物が通常含まれるが、本発明の触媒は、硫黄成分による活性低下に対して特に高い抵抗性を示すので、体積基準で0.1〜30ppm程度の硫黄酸化物が含まれる場合でも、メタン転化率には実質的に影響がない。
上記目的を達成するための本発明に係る触媒の製造方法の特徴構成は、
硫黄酸化物を含む排ガス中のメタンを酸化除去するための触媒の製造方法であって、白金、ルテニウムおよび遊離塩素イオンを含有する溶液(但し、イリジウム、白金、ルテニウムおよび遊離塩素イオンを含有する溶液を除く)に、2〜60m2/gの比表面積を有する単斜晶の酸化ジルコニウム担体を含浸する含浸工程を備えた点にある。
含浸工程を経て担体としての酸化ジルコニウムに担持された白金およびルテニウムは、溶媒の除去に伴い、金属酸化物として前記担体に付着あるいは結合した形態として担持される。なお、少なくとも一部が金属塩あるいは金属粒子として担持される形態を含むものとする。また、遊離塩素イオンは、どのような機構で担持されるのか不明であるが、遊離塩素イオンが、前記溶液中の溶媒が蒸発する過程で、通常塩化水素ガスなどの塩素化合物として揮発するところ、一部の塩化水素ガスなどの塩素化合物等が、担体あるいは触媒活性成分に付着あるいは結合した状態で残留した形態で担持されるものと考えることができる。塩素の存在がどのように作用して活性を向上させるのかは必ずしも明確ではない。また含有量が増えるほど活性が向上するという単純な関係にはないが、後述の実施例によれば、少なくとも塩素を含有してなる触媒では、塩素を含有しない触媒と比較して高いが得られることは明らかであった。
ルテニウム化合物としては、塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム、ヘキサアンミンルテニウム硝酸塩、トリニトラトニトロシルルテニウムが使用できる。白金化合物としては、塩化白金酸、テトラアンミン白金硝酸塩、ジニトロジアンミン白金などが例示される。なお、溶解度が低く、純水に溶解して所望の濃度が得られない場合は、溶解性を高めるために、希塩酸を添加しても良い。
ルテニウムおよび白金共に塩素を含まない化合物を用いて希塩酸を添加してもよいが、ルテニウムまたは白金の少なくとも一方は遊離塩素イオンを生成し得る化合物を用いるのが好ましく、塩化ルテニウムおよび塩化白金酸を用いるのがより好ましく、さらに少量の希塩酸を添加しても良い。
なお、遊離塩素イオンの添加には塩酸(塩化水素)を用いるのがより好ましく、他に塩化アンモニウム等が考えられる。塩化ナトリウムや塩化マグネシウムなど、焼成過程で除去できない陽イオンが残存する化合物は塩酸に比べあまり好ましくない。
含浸工程において、金属化合物の種類によっては、混合により沈殿を生じることがある。この様な場合には、酸化ジルコニウム担体に対し、順次異なる金属を担持させても良い。例えば、担体に第一の活性成分を担持し、必要ならば、乾燥した後或いは乾燥および仮焼した後、第二の活性成分の担持操作を行うことができる。この場合は、いずれの金属を担持する場合にも遊離塩素イオンが共存していることが好ましい。
含浸時間は、所定の担持量が確保される限り、特に制限されないが、通常1〜50時間程度、好ましくは3〜20時間程度である。
焼成は、空気の流通下に行えばよい。或いは、空気あるいは酸素と窒素などの不活性ガスとを適宜混合したガスなどの酸化性ガス流通下において行っても良い。
焼成温度は、高すぎる場合には、担持された金属の粒成長が進んで高い活性が得られない。逆に低すぎる場合には、焼成が十分に行われないので、触媒の使用中に担持された金属粒子が粗大化して、安定した活性が得られないおそれがある。従って、安定して高い触媒活性を得るためには、焼成温度は、450〜650℃程度とすることが好ましく、約500〜600℃程度とすることがより好ましい。
焼成時間は、特に制限されないが、通常1〜50時間程度であり、好ましくは3〜20時間程度である。
上記構成において、
前記溶液が、遊離塩素イオンを生成する塩酸を含有してもよい。
また、前記溶液が、塩化白金酸を含有してもよい。
また、前記溶液が、塩化ルテニウムを含有してもよい。
また、前記酸化ジルコニウム担体に対する前記溶液中に含まれる前記遊離塩素イオンの割合を0.2〜1.1質量%とすることが好ましい。
また、前記酸化ジルコニウム担体に対する前記溶液中に含まれる全塩素の割合を2.5〜6質量%とすることが好ましい。
また、本発明の触媒は、比較的廉価なルテニウムを主たる触媒活性成分としているので、高価な貴金属の使用量を低減でき、経済性にも優れている。
本発明に係る触媒について詳細に説明する。本発明による触媒は、担体としての酸化ジルコニウム(以下、酸化ジルコニウム担体と呼ぶ)に触媒活性成分としてのルテニウムおよび白金を担持しているとともに、塩素を担持している(但し、前記酸化ジルコニウム担体に、イリジウム、白金、ルテニウムおよび塩素を担持してなる触媒を除く)。この触媒は担体の外表面から内表面にわたって高分散でルテニウムおよび白金を金属状態で担持しており、かつ、蛍光X線分析で測定した残留塩素成分を塩素として担持している。
従って、酸化ジルコニウム担体の比表面積(本明細書中においては、BET法による比表面積を言う)は、通常2〜60m2/g程度であり、5〜30m2/g程度であることがより好ましい。
また、酸化ジルコニウム担体には、コージェライト等の支持体への付着性や焼結性の改善のため、アルミナ、シリカなど酸化ジルコニウム以外の微量の成分を含んでいても良いが、これらの成分は質量基準で2%を超えないことが望ましい。
酸化ジルコニウム担体に対する触媒活性成分の担持量は、少なすぎる場合には触媒活性が低くなるのに対し、多すぎる場合には凝集して粒径が大きくなって、担持された触媒活性成分が有効に利用されなくなる。
次に、本発明の触媒の製造方法について説明する。
本発明の触媒の製造方法は、白金、ルテニウムおよび遊離塩素イオンを含有する溶液(但し、イリジウム、白金、ルテニウムおよび遊離塩素イオンを含有する溶液を除く)に、2〜60m2/gの比表面積を有する単斜晶の酸化ジルコニウム担体を含浸する含浸工程を備える。この含浸工程を経ることにより白金、ルテニウムおよび塩素が担体に担持される。
前記溶液としては、例えば、ルテニウムイオン、白金イオンおよび遊離塩素イオンを含む溶液を用いることができる。含浸工程を行った後、さらに、前記担体を乾燥し、焼成することにより触媒を得ることができる。
含浸工程は、例えば、ルテニウムまたは白金の塩化物などの水溶性化合物を純水に溶解することにより調製した水溶液(以下、含浸溶液と呼ぶ)を用いて行えば良く、必要に応じてエタノールなどの有機溶媒を添加しても良い。
また、含浸溶液中に塩化ルテニウムを含有させることで、塩化白金酸の場合と同様に、塩化ルテニウムに由来するルテニウムを高分散状態で含浸担持することができる。
そして、含浸溶液中に塩酸を含有させることで、含浸溶液中に塩酸から発生する遊離塩素イオンを分散した状態で生成することができ、この含浸溶液によって、酸化ジルコニウム担体に、塩酸に由来する塩素を十分且つ確実に含浸担持することができる。
含浸時間は、所定の担持量が確保される限り、特に制限されないが、通常1〜50時間程度、好ましくは3〜20時間程度である。
焼成温度は、高すぎる場合には、担持された金属の粒成長が進んで高い活性が得られない。逆に低すぎる場合には、焼成が十分に行われないので、触媒の使用中に担持された金属粒子が粗大化して、安定した活性が得られないおそれがある。従って、安定して高い触媒活性を得るためには、焼成温度は、450〜650℃程度とすることが好ましく、500〜600℃程度とすることがより好ましい。
焼成時間は、特に制限されないが、通常1〜50時間程度であり、好ましくは3〜20時間程度である。
本発明の触媒は、ペレット状やハニカム状など任意の形状に成型して用いても良く、耐火性ハニカム上にウオッシュコートしたりして用いてもよいが、好ましくは、耐火性ハニカム上にウオッシュコートして用いられる。
耐火性ハニカム上にウオッシュコートする場合には、上記の方法で調製した触媒をスラリー状にしてウオッシュコートしても良く、あるいはあらかじめ酸化ジルコニウムを耐火性ハニカム上にウオッシュコートした後、上記の含浸手法にしたがって活性成分を担持してもよい。
そして、上記いずれの場合にも、必要に応じて、バインダーを添加することができる。また、本発明による触媒の比表面積は、通常2〜60m2/g程度、好ましくは5〜30m2/g程度である。
排ガス中には、メタンの他に、エタン、プロパンなどの低級炭化水素や一酸化炭素、含酸素化合物などの可燃性成分が含まれていても差し支えない。本発明によると、これらは、メタンに比して易分解性なので、メタンと同時に容易に酸化除去できる。
排ガス中の可燃性成分の濃度は、特に制限されないが、高すぎる場合には触媒層で極端な温度上昇が生じ、触媒の耐久性に悪影響を及ぼす可能性があるので、メタン換算で約5000ppm以下とするのが好ましい。
そして、本発明の触媒に所定の条件において排ガスを接触させることにより、排ガス中のメタンを酸化除去することができる。
排ガス中の酸素濃度が極端に低い場合には、反応速度が低下するおそれがあるので、あらかじめ所要の量の空気、酸素過剰の排ガスなどを混ぜてもよい。
また、被処理ガス中の炭化水素の濃度が著しく高いときには、触媒層で急激な反応が起こって、触媒の耐久性に悪影響を及ぼすので、触媒層での温度上昇が、通常約150℃以下、好ましくは約100℃以下となる条件で用いるのが好ましい。
また、排ガス中には、水蒸気の他に触媒活性を著しく低下させることが知られている少量の硫黄酸化物が通常含まれるが、本発明の触媒は、硫黄成分による活性低下に対して特に高い抵抗性を示すので、体積基準で0.1〜30ppm程度の硫黄酸化物が含まれる場合でも、メタン転化率には実質的に影響がない。
また、本発明の触媒は、比較的廉価なルテニウムを主たる触媒活性成分としているので、高価な貴金属の使用量を低減でき、経済性にも優れている。
酸化ジルコニウム(日本電工社製N−PC、比表面積28m2/g)を空気中700℃で6時間焼成して、酸化ジルコニウム担体としての焼成酸化ジルコニウム(比表面積17m2/g、単斜晶)を得た。この酸化ジルコニウム担体は、95%以上が単斜晶からなっていることをX線回折測定により確認した。
表1に示すように、塩化ルテニウム(RuCl3)1.53gと塩化白金酸(H2PtCl6)1.05gを、35%塩酸0.2gに純水を混合して生成した0.3%塩酸25gに溶解して、0.74gのルテニウムと0.5gの白金(いずれも金属換算の質量)を溶解する含浸溶液を調製し、これを酸化ジルコニウム担体25gに含浸した。
この含浸溶液において、1.33gの塩素がルテニウムおよび白金の金属塩の状態で含まれており、0.07gの塩素が塩酸から発生した遊離塩素イオンの状態で含まれている。ここで、遊離塩素イオンの質量0.07gは、酸化ジルコニウム担体の質量25gに対して0.27質量%となる。
また、金属塩および遊離塩素イオンの状態で含まれる塩素を合計した全塩素質量は1.4gとなる。ここで、全塩素質量1.4gは、酸化ジルコニウム担体の質量25gに対して5.6質量%となる。
表1に示すように、塩化ルテニウム(RuCl3)1.53gを、35%塩酸0.8gに純水を混合して生成した1.3%塩酸22gに溶解した水溶液と、ヘキサヒドロキソ白金酸(H2Pt(OH)6)0.77gを30%硝酸6gに溶解した水溶液とを混合して0.75gのルテニウムと0.5gの白金(いずれも金属換算の質量)が溶解した含浸溶液を調製し、これを実施例1と同じ酸化ジルコニウム担体25gに含浸した。
また、この含浸溶液に含まれる全塩素質量は1.06gであり、その内、塩酸から発生する遊離塩素イオンは0.27gである。ここで、全塩素および遊離塩素イオンの質量は、それぞれ酸化ジルコニウム担体に対して4.23質量%および1.09質量%となる。
塩化ルテニウム(RuCl3)1.02gと塩化白金酸(H2PtCl6)1.05gを、35%塩酸0.4gに純水25gを混合した0.6%塩酸25gに溶解して、0.5gのルテニウムと0.5gの白金(いずれも金属換算の質量)が溶解した含浸溶液を調製し、これを実施例1と同じ酸化ジルコニウム担体25gに含浸した。
この含浸溶液に含まれる全塩素質量は1.21gであり、その内、塩酸から発生する遊離塩素イオンは0.14gである。ここで、全塩素および遊離塩素イオンの質量は、それぞれ酸化ジルコニウム担体に対して4.82質量%および0.54質量%となる。
ヘキサアンミンルテニウム硝酸塩(Ru(NH3)6(NO3)3)とテトラアンミン白金硝酸塩(Pt(NH3)4(NO3)2)とを0.3%アンモニア水50gに溶解して得た、0.75gのルテニウムと0.5gの白金(いずれも金属換算の質量)を溶解する水溶液を用い、これを実施例1と同じ酸化ジルコニウム担体19gに含浸した。蒸発乾固後、空気中550℃で6時間焼成して3%Ru‐2%Pt/酸化ジルコニウム触媒(触媒D)を得た。
ルテニウムとして15質量%を含むトリニトラトニトロシルルテニウム水溶液(硝酸18質量%含有)7gと白金10質量%を含むヘキサヒドロキソ白金酸(H2Pt(OH)6)水溶液(硝酸40質量%含有)7gを純水18gで希釈し、これを実施例1と同じ酸化ジルコニウム担体35gに含浸した。蒸発乾固後、空気中550℃で6時間焼成して3%Ru‐2%Pt/酸化ジルコニウム触媒(触媒E)を得た。
塩化イリジウム酸とシスジニトロジアンミン白金とトリニトラトニトロシルルテニウムと69%硝酸0.5mlとを混合溶解して、イリジウムとして0.07gと白金として0.0176gとルテニウムとして0.0034g(いずれも金属換算の質量)とを含有する含浸用水溶液11mlを得た。次いで、ジルコニア(東ソー製、TZ−O;比表面積=14m2/g)3.5gを前記の含浸液に15時間含浸した。これを蒸発乾固し、さらに空気中600℃で4時間焼成して、2%Ir−0.5%Pt−0.1%Ru/ジルコニア触媒(触媒F)が得られる。担持されたルテニウムおよび白金の質量は、それぞれ酸化ジルコニウム担体に対して0.1質量%および0.5質量%となる。また、この含浸溶液中における全塩素質量は0.08gであり、そのすべてが、塩化イリジウム酸に由来する金属塩中の塩素である。そして、全塩素質量は、酸化ジルコニウム担体に対して2.21質量%となる。
次に、上述の如く製造されたそれぞれの触媒について実施した触媒活性評価試験について説明する。触媒活性評価試験は、実施例1〜3と比較例1および2において調製した触媒をそれぞれ打錠成型した後、それぞれの触媒1.45g(約1.5ml)を石英製反応管(内径14mm)に充填して行った。
メタン1000ppm、酸素10%、水蒸気10%(いずれも体積基準)と残部窒素からなる組成を有するガスを毎分2リットル(0℃、101325Paの標準状態における体積)の流量で反応管に流通し、触媒層温度375、400、425および450℃におけるメタン転化率を測定した(初期転化率)。反応層前後のガス組成は、水素炎イオン化検知器を有するガスクロマトグラフにより測定した。
その後、触媒層温度を450℃に保ったまま、反応ガスに二酸化硫黄3ppmを添加して反応を継続し、20時間後および60時間後のメタン転化率を同様に測定した。
メタン転化率(%)=100×{1−(CH4‐out/CH4‐in)・・式(1)
式(1)において、「CH4‐out」とは、触媒層出口のメタン濃度を示し、「CH4‐in」とは、触媒層入口のメタン濃度を示す。
これに対し、実施例1の触媒Aでは、400℃におけるメタン転化率は、初期において72%、60時間後で81%と大幅な向上が見られる。また、ルテニウムのみ塩化物を用いた実施例2の触媒Bでも、同様に初期において72%、60時間後で69%と、実施例1の触媒Aには劣るものの、比較例1の触媒Dに比べれば高いメタン転化率を示す。
比較例1の触媒Dは、アンモニアを共存させたアルカリ条件下での担持であるが、硝酸を共存させた酸性条件での担持(比較例2の触媒E)であっても、塩素が存在しない場合には、やはり活性は低く、400℃におけるメタン転化率は初期において65%、60時間後で57%にとどまった。
また、比較例3の含浸溶液には塩酸が含まれておらず、実施例1〜3における触媒A〜Cのように、塩酸から発生する遊離塩素イオンに由来する塩素が担持されておらず、メタン転化率が非常に低くなると考えられる。
それに対し、本願発明に係る触媒A〜Cは、塩酸から発生する遊離塩素イオン、塩化白金酸および塩化ルテニウムのいずれかに由来する塩素が担持されているので、高いメタン転化率が得られると考えられる。
Claims (8)
- 硫黄酸化物を含む排ガス中のメタンを酸化除去するための触媒であって、2〜60m2/gの比表面積を有する単斜晶の酸化ジルコニウム担体に、白金、ルテニウムおよび塩素を担持してなる触媒(但し、前記酸化ジルコニウム担体に、イリジウム、白金、ルテニウムおよび塩素を担持してなる触媒を除く)。
- 前記酸化ジルコニウム担体に対する前記塩素の担持量が0.02〜0.2質量%である請求項1に記載の触媒。
- 硫黄酸化物を含む排ガス中のメタンを酸化除去するための触媒の製造方法であって、白金、ルテニウムおよび遊離塩素イオンを含有する溶液(但し、イリジウム、白金、ルテニウムおよび遊離塩素イオンを含有する溶液を除く)に、2〜60m2/gの比表面積を有する単斜晶の酸化ジルコニウム担体を含浸する含浸工程を備えた触媒の製造方法。
- 前記溶液が、遊離塩素イオンを生成する塩酸を含有する請求項3に記載の触媒の製造方法。
- 前記溶液が、塩化白金酸を含有する請求項3または4に記載の触媒の製造方法。
- 前記溶液が、塩化ルテニウムを含有する請求項3〜5のいずれか1項に記載の触媒の製造方法。
- 前記酸化ジルコニウム担体に対する前記溶液中に含まれる前記遊離塩素イオンの割合を0.2〜1.1質量%とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の触媒の製造方法。
- 前記酸化ジルコニウム担体に対する前記溶液中に含まれる全塩素の割合を2.5〜6質量%とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の触媒の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012033182A JP5865110B2 (ja) | 2012-02-17 | 2012-02-17 | メタン酸化触媒およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012033182A JP5865110B2 (ja) | 2012-02-17 | 2012-02-17 | メタン酸化触媒およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013169480A JP2013169480A (ja) | 2013-09-02 |
JP5865110B2 true JP5865110B2 (ja) | 2016-02-17 |
Family
ID=49263815
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012033182A Active JP5865110B2 (ja) | 2012-02-17 | 2012-02-17 | メタン酸化触媒およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5865110B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10112178B2 (en) | 2015-03-05 | 2018-10-30 | Shell Oil Company | Methane oxidation catalyst, process to prepare the same and method of using the same |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107297206A (zh) * | 2016-04-14 | 2017-10-27 | 巴斯夫公司 | 用于稀燃压缩天然气发动机的氧化催化剂 |
WO2018015609A1 (en) * | 2016-07-19 | 2018-01-25 | Upm-Kymmene Corporation | Catalyst composition |
AU2017318279B2 (en) | 2016-08-31 | 2019-12-05 | Shell Internationale Research Maatschappij B.V. | Methane oxidation catalyst, process to prepare the same and method of using the same |
DK3507008T3 (da) | 2016-08-31 | 2021-11-22 | Shell Int Research | Fremgangsmåde til fremstilling af en methanoxideringskatalysator |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4183804A (en) * | 1977-11-04 | 1980-01-15 | Uop Inc. | Hydrocarbon conversion with an activated multimetallic catalytic composite |
JPH06154602A (ja) * | 1992-11-27 | 1994-06-03 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | 窒素酸化物浄化用触媒 |
JP2001070795A (ja) * | 1999-09-03 | 2001-03-21 | Japan Energy Corp | 固体酸触媒、その製造方法およびそれを用いた炭化水素の異性化方法 |
JP2001300320A (ja) * | 2000-04-27 | 2001-10-30 | Toho Gas Co Ltd | 排気ガス浄化用触媒及びその製造方法 |
WO2002040152A1 (fr) * | 2000-11-17 | 2002-05-23 | Osaka Gas Company Limited | Catalyseur utile pour purifier des gaz residuaires contenant du methane et procede de purification de gaz residuaires contenant du methane |
JP4901366B2 (ja) * | 2005-09-02 | 2012-03-21 | 大阪瓦斯株式会社 | 排ガス中のメタンの酸化除去用触媒および排ガス中のメタンの酸化除去方法 |
JP5030818B2 (ja) * | 2007-03-08 | 2012-09-19 | 大阪瓦斯株式会社 | 排ガス浄化用触媒および排ガス浄化方法 |
-
2012
- 2012-02-17 JP JP2012033182A patent/JP5865110B2/ja active Active
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10112178B2 (en) | 2015-03-05 | 2018-10-30 | Shell Oil Company | Methane oxidation catalyst, process to prepare the same and method of using the same |
US10512896B2 (en) | 2015-03-05 | 2019-12-24 | Shell Oil Company | Methane oxidation catalyst, process to prepare the same and method of using the same |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013169480A (ja) | 2013-09-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI776842B (zh) | 用於voc(揮發性有機物)之低成本氧化催化劑及鹵化voc排放控制 | |
JP5030818B2 (ja) | 排ガス浄化用触媒および排ガス浄化方法 | |
BR112017019050B1 (pt) | Catalisador de oxidação de metano, processo para preparar o mesmo e método oxidar metano | |
JP5865110B2 (ja) | メタン酸化触媒およびその製造方法 | |
KR101483079B1 (ko) | 악취 제거 및 탄화수소 산화 촉매 및 이의 제조방법 | |
JP4688646B2 (ja) | 三元触媒及びこれを用いたメタン含有ガスの浄化方法 | |
JP4901366B2 (ja) | 排ガス中のメタンの酸化除去用触媒および排ガス中のメタンの酸化除去方法 | |
JP5541874B2 (ja) | 排ガス浄化用触媒および排ガス浄化方法 | |
JP5836149B2 (ja) | メタンの酸化除去用触媒およびメタンの酸化除去方法 | |
JP6614897B2 (ja) | メタン酸化除去用触媒の製造方法およびメタン酸化除去方法 | |
JP4568640B2 (ja) | メタン含有排ガスの浄化方法、メタン含有排ガス浄化用三元触媒の前処理方法及びこれを用いた三元触媒 | |
JP5706476B2 (ja) | 一酸化炭素酸化触媒、及びその製造方法 | |
JP2013215718A (ja) | メタンの酸化除去用触媒及びメタンの酸化除去方法 | |
JP4143352B2 (ja) | 排ガス中のメタンの酸化用触媒および排ガス中のメタンの酸化除去方法 | |
JP5610805B2 (ja) | 排ガス浄化用触媒および排ガス浄化方法 | |
JP6103955B2 (ja) | メタンの酸化除去用触媒およびメタンの酸化除去方法 | |
KR20190125086A (ko) | 배기가스 정화용 촉매의 제조방법 및 이를 통해 형성된 배기가스 정화용 촉매 | |
JP6771330B2 (ja) | メタン酸化除去用触媒の製造方法およびメタン酸化除去方法 | |
JP7188091B2 (ja) | 窒素酸化物吸蔵材及び排ガス浄化方法 | |
JP5030880B2 (ja) | 排ガス中のメタンの酸化除去用触媒および排ガス中のメタンの酸化除去方法 | |
EP3560576B1 (en) | Use of a nitrogen oxide storage material and exhaust gas purification method | |
JP5541873B2 (ja) | 排ガス浄化用触媒および排ガス浄化方法 | |
KR102506776B1 (ko) | 배기가스 정화용 촉매의 제조방법 및 이를 통해 형성된 배기가스 정화용 촉매 | |
JP6448371B2 (ja) | 三元触媒及びこれを用いたメタン含有ガスの浄化方法 | |
JP5825947B2 (ja) | メタンの酸化除去用触媒およびメタンの酸化除去方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20141212 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150716 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150818 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20151019 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20151201 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20151225 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Ref document number: 5865110 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |