JP2001070795A - 固体酸触媒、その製造方法およびそれを用いた炭化水素の異性化方法 - Google Patents

固体酸触媒、その製造方法およびそれを用いた炭化水素の異性化方法

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JP2001070795A JP24989799A JP24989799A JP2001070795A JP 2001070795 A JP2001070795 A JP 2001070795A JP 24989799 A JP24989799 A JP 24989799A JP 24989799 A JP24989799 A JP 24989799A JP 2001070795 A JP2001070795 A JP 2001070795A
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Kenji Matsuzawa
憲治 松沢
Kojiro Aimoto
康次郎 相本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硫酸分を含有する成形物された固体酸触媒と
してさらに高い活性を有し、安定して高い活性の触媒が
得られ、また、触媒反応において、さらに高い反応性が
得られる反応方法を提供する。 【解決手段】 触媒原料である含水ジルコニア粉体の水
分量が触媒活性に大きな影響を与えていることを見出
し、含水ジルコニア粉体の灼熱減量に着目した。本発明
による固体酸触媒の製造方法は、灼熱減量が5〜15重
量%である含水ジルコニア粉体、含水アルミナおよび硫
酸分含有化合物を混練し、成形し、得られた成形物を正
方晶構造のジルコニアが得られる条件で焼成するもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸触媒反応に高い活
性を有し、取り扱い性に優れた固体酸触媒およびその製
造方法、及びそれを用いた炭化水素の異性化方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】化学工業においては、アルキル化反応、
エステル化反応、異性化反応などの酸触媒反応が知られ
ている。従来、この種の反応には、硫酸、塩化アルミニ
ウム、フッ化水素、リン酸、パラトルエンスルホン酸等
の酸触媒が使用されている。しかし、これらの酸触媒は
金属を腐食させる性質があり、製造装置に高価な耐食材
料の使用あるいは耐食処理を施す必要があった。また通
常、反応後の反応物質との分離が困難な上に廃酸処理が
必要であり、アルカリ洗浄などの煩雑な工程を経なけれ
ばならず、環境面にも大きな問題があった。さらに触媒
を再利用することも非常に困難であった。
【0003】このような問題に対して、周期律表第IV族
金属水酸化物もしくは水和酸化物を硫酸分含有溶液と接
触させた後、350〜800℃で焼成した硫酸根含有固
体酸触媒が提案された(特公昭59−6181号公
報)。この固体酸触媒は、100%硫酸(ハメットの酸
度関数Hは−11.93)より強い酸強度を示す。こ
れらの固体酸触媒は、その強い酸強度により様々な酸触
媒反応に対し高い触媒性能を有し、しかも腐食性が低
く、反応物質との分離が容易で廃酸処理も不要であり、
触媒の再利用も可能といった長所を有しており、様々な
工業的反応において、従来の酸触媒の代替が期待されて
いる。
【0004】硫酸分を含有させたジルコニアゲルを焼成
して得られた触媒に白金を含有させた触媒が炭化水素の
異性化反応に良好な活性を示すことも既に公知である
(米国特許3,032,599号公報)。
【0005】炭化水素の異性化を主な目的とする白金族
金属と硫酸分を含有する金属酸化物触媒の製造方法とし
て、硫酸分含有化合物による処理と白金族金属を担持す
る工程との間の焼成を省いた製造法、硫酸分含有化合物
による処理と白金族金属の担持の順序を変えた製造法、
硫酸分含有化合物の種類を変えた製造法が特公平5−2
9503号公報、特公平5−29504号公報、特公平
5−29505号公報及び特公平5−29506号公報
に開示されている。
【0006】また、アルミニウムの水酸化物もしくは酸
化物に硫酸分含有化合物を添加し、それを焼成して得ら
れる固体酸触媒は、100%硫酸よりも強い酸強度を示
すことが知られている(特開平5−96171号公報、
荒田、Trends inPhysical Chem
istry2巻、1項(1991年))。
【0007】本発明者は、硫酸分を含有する固体酸触媒
の成形物でありながら十分に高い活性を有し、実用上十
分な取り扱い性と必要な機械的強度を有する成形された
固体酸触媒の製造方法として、含水アルミナ、含水ジル
コニア、硫酸分含有化合物を混練し、成形し、正方晶構
造のジルコニアが得られる温度で焼成する方法を既に開
示している。(国際公開 WO98/09727)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者による成形さ
れた固体酸触媒の製造方法は、実用上十分な特性を発揮
するが、さらに高い触媒活性、安定した触媒特性を有す
ることが求められている。
【0009】本発明はこのような課題を解決するもの
で、硫酸分を含有する成形物された固体酸触媒としてさ
らに高い活性を有し、安定して高い活性の触媒が得ら
れ、また、触媒反応において、さらに高い反応性が得ら
れる反応方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、固体酸触
媒の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、触媒原料
である含水ジルコニア粉体の水分量が触媒活性に大きな
影響を与えていることを見出し、含水ジルコニア粉体の
灼熱減量に着目して研究を進めて本発明を完成した。
【0011】本発明による固体酸触媒の製造方法は、灼
熱減量が5〜15重量%である含水ジルコニア粉体、含
水アルミナおよび硫酸分含有化合物を混練し、成形し、
得られた成形物を正方晶構造のジルコニアが得られる条
件で焼成するものである。本発明の固体酸触媒の製造方
法においては、正方晶構造のジルコニアが得られる条件
で焼成する際、焼成を100g/時の触媒生産あたり常
温(27℃)体積換算で4L/分以下のガス流通量で行
うこと、また、固体酸触媒に周期律表第VIIIB族金属成
分から選ばれる少なくとも1種の金属成分が担持されて
いることが好ましい。さらに、固体酸触媒に塩素分が含
まれていることが好ましい。
【0012】本発明による固体酸触媒は、正方晶構造の
ジルコニア及び/又は含水ジルコニアからなる部分と、
アルミナ及び/又は含水アルミナから成る部分で構成さ
れ成形された担体と、この担体に担持された硫酸分を含
み、触媒中に占めるジルコニアの割合がジルコニウム元
素量として25〜60重量%、アルミナの割合がアルミ
ニウム元素量として5〜30重量%、硫酸分の割合が硫
黄元素重量として1〜6重量%であり、塩素分の割合が
塩素元素重量として0.02〜10重量%である酸触媒
反応に用いられる固体酸触媒である。本発明による固体
酸触媒は、触媒中に周期律表第VIIIB族から選ばれる1
種以上の金属を0.01〜10重量%含むこと、さら
に、炭素数4〜6の飽和炭化水素成分を70重量%以上
含む炭化水素の異性化反応に用いられることが好まし
い。
【0013】本発明による炭化水素の異性化反応方法
は、原料水素と原料炭化水素を固体酸触媒に接触させる
方法において、原料炭化水素が炭素数4〜6の飽和炭化
水素成分を70重量%以上含み、原料炭化水素と原料水
素中の水分含有量が5ppm以下であり、原料炭化水素
と原料水素が塩素重量として0.1〜10000ppm
の塩素化合物を含有する炭化水素の異性化方法である。
【0014】
【発明の作用・効果】本発明は、特定含水量の粉体原料
を用いて、特には焼成時のガス流通をほとんどなくした
状態で焼成することで固体酸触媒を製造するものである
ので、機械的に十分な強度が得られると同時に固体酸触
媒としての高い活性が安定して得られる。特にこの触媒
は炭素数4〜6の飽和炭化水素の異性化に優れた触媒活
性を発揮することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】[含水ジルコニア粉体]固体酸触
媒の製造に用いる含水ジルコニア粉体は、特定の灼熱減
量(水分量)とすることが触媒の性能上好ましい。灼熱
減量は、含水ジルコニアを1400℃の温度で1時間焼
成した後の重量減少で測定することができる。好ましい
灼熱減量は5〜15重量%、特には7〜12重量%であ
る。灼熱減量が少なすぎると、焼成時に含水ジルコニア
粉体が結晶化し、比表面積が低下することにより、得ら
れる固体酸触媒の比表面積も低下し、また触媒活性も低
下する。含水ジルコニア粉体は灼熱減量が多すぎると、
明確な原因は不明だが、恐らく含水ジルコニア粉体の反
応性が増しすぎるため、触媒活性が低下する。なお、一
旦灼熱減量が5重量%以下になった含水ジルコニアに水
等を加えて灼熱減量を5〜15重量%としたものは好ま
しく用いることはできないのに対し、一旦灼熱減量を5
〜15重量%とした含水ジルコニアに、水等を加えて灼
熱減量を15重量%以上としたものは好ましく用いるこ
とができる。
【0016】含水ジルコニア粉体は、X線、電子線の回
折により明確な結晶構造を持たない無定形とすること
で、触媒の圧壊強度が向上し、またジルコニアが安定し
やすい。
【0017】含水ジルコニア粉体は、凝集粒子の平均粒
径が0.2〜10μm、特には0.2〜5μm、さらに
は0.5〜2μmを用いることが、触媒の活性および機
械的強度向上のために好ましい。凝集粒子の平均粒径
は、水中に分散した粒子群にレーザー光を照射し、その
散乱光から求めるなどの方法により測定することができ
る。
【0018】含水ジルコニア粉体は、どのように製造し
ても構わないが、一般にはジルコニウム塩や有機金属化
合物、例えばオキシ塩化物、アルコラート、塩化物、硫
酸塩、硝酸塩、オキシ硫酸塩などを中和もしくは加水分
解し、洗浄、乾燥することにより得ることができる。含
水ジルコニア粉体の主成分は、ジルコニウム水酸化物と
ジルコニウム水和酸化物の混合物、ジルコニウム水酸化
物、または、ジルコニウム水和酸化物である。
【0019】さらに、含水ジルコニア粉体は、複合金属
水酸化物および/または複合金属水和酸化物として用い
ることもできる。含水ジルコニア粉体に含まれるジルコ
ニウムの水酸化物および/または水和酸化物には、他の
金属の水酸化物および/または水和酸化物および/また
は塩を加えても構わない。他の金属としては、チタン、
ハフニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ケイ
素、錫、アルミニウム、ガリウムなどが好適に用いられ
る。これら他の金属の化合物は複合金属化合物でも構わ
ない。しかし、ジルコニア粉体としては、実質的に金属
成分としてジルコニウムのみを有するもの、具体的に
は、ジルコニア粉体中の全金属重量のうち、ジルコニア
をその金属重量として70重量%以上、特には90重量
%以上のものが好ましく用いられる。
【0020】[含水アルミナ粉体]固体酸触媒の製造に
用いる含水アルミナ粉体としては、いろいろな製法によ
り得られたものを用いることができるが、特に、擬ベー
マイトなどのベーマイト構造を有するアルミニウム水和
酸化物を用いることが触媒活性を向上できるので好まし
い。アルミナ粉体としてα−アルミナやγ−アルミナを
用いると、相対的に、触媒成形体の機械的強度が低下
し、また、触媒活性が低下する。
【0021】含水アルミナ粉体の灼熱減量(水分率)は
20〜40重量%であることが好ましい。この灼熱減量
は、含水アルミナを1400℃の温度で1時間焼成した
後の重量減少で測定することができる。特に好ましい灼
熱減量は25〜35重量%である。含水アルミナ粉体
は、繊維状の粒子形状を有することが、触媒成形体の機
械的強度の向上、特に、成形ペレットの水安定性を向上
するために好ましい。繊維状の粒子形状として、具体的
には、アスペクト比が10より、特には20より大きい
ことが好ましい。通常、アスペクト比の上限は、200
程度である。ここでアスペクト比は、粒子の短軸と長軸
の長さの比([長軸の長さ]/[短軸の長さ])を意味
し、例えば、アルミナ粉体を透過型電子顕微鏡などによ
って観察し、粒子の短軸と長軸の長さの比を測定し、そ
れらの平均から求めることができる。粒子が球状の場
合、アスペクト比は最小の1となる。代表的には、この
ような粒子形状は、長軸の長さ0.1μm以上の1次粒
子や、1次粒子が一定方向に配向した2次粒子として得
られる。また、平均した値であるアスペクト比が10よ
り、特には20より大きくなる範囲において、繊維状以
外の形状の、例えば板状の粒子が含まれていてもよい。
【0022】含水アルミナ粉体は、凝集粒子の平均粒径
0.5〜50μm、特には0.5〜20μm、さらには
2〜15μmの形状を用いることが好ましい。通常、こ
の凝集粒子は、繊維状の粒子が凝集したものである。
【0023】[硫黄分含有化合物]硫黄分含有化合物
は、硫酸分を含有する化合物、または、その後の焼成な
どの処理により硫酸分に変換されうる硫黄分を含んだ化
合物である。硫黄分含有化合物としては、硫酸、硫酸ア
ンモニウム、亜硫酸、亜硫酸アンモニウム、塩化チオニ
ル、ジメチル硫酸などが挙げられるが、硫酸分を含んだ
硫酸分含有化合物が好ましく用いられ、硫酸アンモニウ
ム、ジメチル硫酸が製造装置の腐食性も低く好ましい。
特には硫酸アンモニウムが最も好ましく用いられる。
【0024】硫黄分含有化合物はそのままでも、または
水溶液のような溶液として用いても構わない。硫黄分含
有化合物は、固体の状態でも、液状でも、溶液の濃度に
関しても特に限定はなく、混練に必要な溶液量などを考
えて調製することができる。硫酸分含有化合物の添加量
は、最終的に得られる固体酸触媒中に占める理論硫酸分
(SO)量が硫黄元素重量として2.5〜10重量
%、特には3〜8重量%となるようにすることが好まし
い。
【0025】[混練]混練の方法には特に限定は無く、
一般に触媒調製に用いられる混練機を用いることができ
る。通常は原料を投入し、水を加えて攪拌羽根で混合す
るような方法が好適に用いられるが、原料および添加物
の投入順序など特に限定はない。混練の際には通常水を
加えるが、加える液体としては、エタノール、イソプロ
パノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトンなどの有機溶媒でも良い。混練時の温度や
混練時間は、原料となる含水ジルコニア粉体と含水アル
ミナ粉体、硫黄分含有化合物により異なるが、好ましい
細孔構造が得られる条件であれば、特に制限はない。同
様に本発明の触媒性状が維持される範囲内であれば、硝
酸などの酸やアンモニアなどの塩基、有機化合物、バイ
ンダー、セラミックス繊維、界面活性剤、ゼオライトな
どを加えて混練しても構わない。
【0026】[成形]混練後の成形方法には特に限定は
無く、一般に触媒調製に用いられている成形方法を用い
ることができる。特に、ペレット状、ハニカム状等の任
意の形状に効率よく成形できるので、スクリュー式押出
機などを用いた押出成形が好ましく用いられる。成形物
のサイズは特に制限はないが、通常、その断面の長さが
0.5〜20mmの大きさに成形される。例えば円柱状
のペレットであれば、通常直径0.5〜10mm、長さ
0.5〜15mm程度のものを容易に得ることができ
る。
【0027】[成形後の焼成]成形後の焼成は、空気ま
たは窒素などのガス雰囲気中において行われるが、特に
は空気中で行うことが好ましい。焼成は、正方晶構造の
酸化ジルコニウムが得られる条件で行うことが好まし
い。この構造はX線回折により確認でき、具体的には、
CuKα線による、2θ=28.2°と2θ=30.2°
のX線回折ピーク面積比(以下S28.2/S30.2比と略記
する。S28.2は2θ=28.2°における単斜晶ジルコ
ニアのピークの面積、S30.2は2θ=30.2°におけ
る正方晶ジルコニアのピークの面積)が、1.0以下、
好ましくは、0.5以下、さらに好ましくは0.1以下
である。単斜晶構造がほとんど存在していない方が、高
い触媒活性が得られる。
【0028】本焼成中には、水分や過剰の硫酸分等が発
生する。特に炭素数4〜6の飽和炭化水素を70重量%
以上、好ましくは90重量%以上含む炭化水素の異性化
反応用触媒としては、過剰の硫酸分をなるべく滞留させ
る条件で焼成することが好ましい。このためには、焼成
装置内のガスの流通量をできるだけ減らすことが好まし
い。例えば、焼成後の触媒生産量=100g/時の場合
(バッチ式焼成においては[触媒生産量=得られる触媒
量/焼成時間]とする)、ガス、特には空気の流通量を
常温(27℃)体積換算で4L/分以下、さらには1L
/分以下、特には0.5L/分以下とすることが好まし
い。この好ましいガス流通量の上限は触媒生産量に比例
する。焼成温度は焼成時間、ガス流通量など他の焼成条
件によっても異なるが、一般に450〜800℃、特に
500〜800℃、さらには600〜800℃が好まし
い。焼成時間は焼成温度、ガス流通量など他の焼成条件
によっても異なるが、一般に0.05〜20時間、特に
0.1〜10時間、さらには0.2〜5時間が好まし
い。焼成温度が高すぎるかあるいは焼成時間が長すぎる
と、酸化ジルコニウムの結晶構造における単斜晶の割合
が増え、S28.2/S30.2比が1を越えてしまう場合があ
り、触媒活性が低下するため好ましくない。また、焼成
温度が低すぎるかあるいは焼成時間が短すぎると酸化ジ
ルコニウムが結晶化せず、触媒活性が低下するため好ま
しくない。焼成時の雰囲気は酸化雰囲気または不活性雰
囲気であればよく、通常は、空気雰囲気である。
【0029】[周期律表第VIIIB族金属成分及びその担
持]本発明の固体酸触媒は、必要に応じて、例えば、異
性化などの転化反応に用いられる場合には、周期律表第
VIIIB族金属成分を含むことが好ましい。本発明の触媒
に用いられる周期律表第VIIIB族金属成分から選ばれる
金属成分としては、白金、パラジウム、ルテニウム、ニ
ッケルなどが好ましく、特には白金が好適に用いられ
る。これらは金属そのものよりも化合物の形態になって
いるものを担持成分として用いる方が好ましい。これら
の金属化合物は、無水物としても、水和物としても用い
ることができる。さらにこれらの金属化合物は1種で
も、2種以上を混合したものでも良い。また周期律表第
VIIIB族金属成分には、他の族の金属成分が含まれてい
ても構わない。これら金属化合物の添加量は、固体酸触
媒中に占める周期律表第VIIIB族金属成分の合計量が金
属重量として0.01〜10重量%、特には0.1〜5
重量%となるように添加することが好ましい。
【0030】これらの金属成分を担持する方法には特に
制限はないが、スプレー、浸漬などによる含浸法や、イ
オン交換法等が好適に用いられる。
【0031】[周期律表第VIIIB族金属成分担持後の処
理]上記の担持された触媒は、乾燥、焼成、還元などに
よって安定化される。乾燥、焼成は空気または窒素など
のガス雰囲気中において行われるが、特には空気中で行
うことが好ましい。焼成は、正方晶構造の酸化ジルコニ
ウムが保たれる条件で行われることが好ましい。還元は
水素を含む気流中で行うことが好ましい。
【0032】焼成温度は焼成時間など他の焼成条件によ
っても異なるが、一般に300〜800℃、特に500
〜700℃が好ましい。焼成時間は他の温度など他の焼
成条件によっても異なるが、一般に0.05〜20時
間、特に0.1〜10時間、さらには0.2〜5時間が
好ましい。
【0033】[塩素含有化合物との接触]本発明の固体
酸触媒は、その触媒活性を増強させるために、必要に応
じて塩素分を含有することが好ましい。塩素分を含有さ
せるためには、成形後の焼成の後、周期律表第VIIIB族
金属成分担持の際、または、その後の処理の後に担体ま
たは固体酸触媒を塩素含有化合物と接触させることが好
ましい。塩素含有化合物に特に限定はなく、塩素、無機
塩素含有化合物、有機塩素含有化合物が好適に用いられ
る。特には塩素、塩酸、塩化アルミニウム、塩化ジルコ
ニウム、塩化アンモニウム、四塩化炭素、クロロホル
ム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタ
ン、及びそれらの混合物等が好ましい。塩素含有化合物
との接触の後は、触媒中に塩素分を安定に含有させるた
めに、必要に応じて焼成、分解、酸化、還元等の後処理
を施すことが好ましい。塩素含有化合物との接触の後、
固体酸触媒に占める塩素含有量は、0.02〜10重量
%、好ましくは0.1〜5重量%、特には0.2〜3重
量%である。
【0034】[固体酸触媒]本発明の固体酸触媒は、正
方晶構造のジルコニアおよび/または含水ジルコニアか
らなる部分と、アルミナおよび/または含水アルミナか
らなる部分で構成され成形された担体と、この担体に担
持された硫酸分を含む。本発明の固体酸触媒のジルコニ
ア部分は正方晶構造であることが好ましい。触媒中のジ
ルコニア部分の結晶構造は、S28.2/S30.2比が、1.
0以下、より好ましくは0.5以下、さらに好ましくは
0.1以下である。単斜晶構造がほとんど存在していな
い方が、高い触媒活性が得られる。固体酸触媒は100
%硫酸より高い酸強度、酸強度Ho(ハメットの酸度関
数)が−11.93より強い酸性を示す固体超強酸であ
ることが好ましい。
【0035】触媒中に占めるジルコニアの割合はジルコ
ニウム元素重量として25〜60重量%であり、好まし
くは30〜55重量%である。ジルコニアの割合が少な
すぎると触媒の活性が低下する。ジルコニアの割合が多
すぎると、触媒の機械的強度が低下し、また比表面積の
低下や細孔容積の減少、硫酸分の含有量の減少により触
媒活性が低下する。触媒中に占めるアルミナの割合はア
ルミニウム元素重量として5〜30重量%であり、好ま
しくは10〜25重量%である。アルミナの割合が少な
すぎると触媒の機械的強度が低下し、また比表面積の低
下や細孔容積の減少、硫酸分の含有量の減少により触媒
活性が低下する。アルミナの割合が多すぎると、触媒の
活性が低下する。また、触媒中に占めるジルコニア部分
とアルミナ部分の合計重量は、触媒活性、成形物の強度
の点などから70重量%以上、より好ましくは80重量
%以上になるようにすることが好ましい。触媒中に占め
る硫酸分(SO)の割合は硫黄元素重量として1〜6
重量%であり、好ましくは2〜5重量%である。硫酸分
が多すぎても少なすぎても触媒活性は低下する。
【0036】本発明の固体酸触媒は塩素分を含有する。
触媒中に占める塩素分の割合は、0.02〜10重量
%、好ましくは0.1〜5重量%、特には0.2〜3重
量%である。塩素分の含有量が少なすぎると、酸触媒性
能向上効果が低く好ましくない。塩素分の含有量が多す
ぎると、触媒の比表面積や細孔容積の低下を引き起こす
ため好ましくない。
【0037】本発明の固体酸触媒は、その触媒性能向上
のため必要に応じて周期律表第VIIIB族金属成分から選
ばれる1種以上の金属を含有する。第VIIIB族金属とし
ては、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリ
ジウム、ニッケル、鉄、コバルト、オスミウムが挙げら
れるが、好ましくは白金、パラジウム、ルテニウム、特
には白金が好適に用いられる。触媒中に占める周期律表
第VIIIB族金属成分の割合は、金属元素重量として0.
01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、特
には0.1〜2重量%である。周期律表第VIIIB族金属
成分の含有量が少なすぎると、触媒性能向上効果が低く
好ましくない。周期律表第VIIIB族金属成分の含有量が
多すぎると、触媒の比表面積や細孔容積の低下を引き起
こすため好ましくない。
【0038】本発明の固体酸触媒の比表面積は100〜
300m/g、好ましくは150〜300m/g、
特には150〜200m/gである。比表面積は通常
知られているBET法によって測定できる。比表面積が
低すぎると、焼成しすぎあるいはジルコニアの正方晶構
造が保持できないことなどにより触媒活性は低下する。
比表面積が高すぎると、焼成が不十分であること、焼成
時の硫酸分の滞留が不十分であることなどにより触媒活
性が低下する。
【0039】本発明の固体酸触媒の細孔構造は、細孔直
径0.002〜0.05μmの範囲については窒素吸着
法、細孔直径0.05〜10μmの範囲は水銀圧入法に
より測定できる。細孔直径0.002〜10μmの細孔
容積は0.2ml/g以上、好ましくは0.3ml/g
以上、特には0.35ml/g〜1.0ml/gであ
る。細孔直径0.002〜0.05μmの細孔容積は
0.2ml/g以上であることが好ましい。細孔直径
0.002〜0.05μmの平均細孔直径は20〜20
0オングストローム、特には30〜150オングストロ
ーム、さらには40〜100オングストロームであるこ
とが好ましい。細孔直径0.05〜10μmの細孔分布
において、直径0.05〜1μmの範囲、特に0.05
〜0.5μmの範囲にピークを有し、それ以外にはピー
クが無いことが好ましい。ピークを有する細孔分布と
は、累積細孔容量を細孔直径について微分した値を、細
孔直径に対してプロットした、いわゆる細孔分布曲線が
明瞭な極大値を有することを意味する。また、直径0.
05〜1μmの細孔容積が0.05〜0.5ml/g、
特には0.05〜0.3ml/gであり、直径1〜10
μmの細孔容積が0.05ml/g未満、特には0.0
2ml/g未満であることが触媒の機械的強度を高める
ために好ましい。
【0040】本発明の触媒は、粉体でなく、成形された
形状であり、0.5〜20mmの大きさのものを容易に
得ることができ、通常、平均粒径として0.2〜50m
m、特には、0.5〜20mmが好ましく用いられる。
触媒の機械的強度は、直径1.5mmの円柱ペレットの
側面圧壊強度として2kg以上、より好ましくは3kg
以上、さらに好ましくは4〜8kgが得られる。本発明
による成形された固体酸触媒は、水中に放置した状態で
もその形状が維持される。水中でその形状が維持されな
いペレットは、触媒製造時の担持工程や触媒反応時にお
いて、ペレットが粉化や割れを起こすことにより、歩留
まりの低下やプロセスのトラブルにつながり、実用上好
ましくない。
【0041】[酸触媒反応]本発明による固体酸触媒が
適用される酸触媒反応としては、従来、塩化アルミニウ
ム系触媒に代表されるルイス酸触媒または硫酸に代表さ
れるブレンステッド酸触媒を用いていた酸触媒反応を挙
げることができる。特には、異性化、不均化、ニトロ
化、分解、アルキル化、エステル化、アシル化、エーテ
ル化、転位、重合などの様々な反応に好ましく用いられ
る。主な反応対象は、炭化水素類、すなわち、炭化水
素、および、その炭化水素に置換基を付与したような炭
化水素誘導体、特には炭化水素または含酸素炭化水素化
合物である。特には、炭化水素類の転化反応に好ましく
用いられる。
【0042】具体的な反応としては、ライトナフサの異
性化反応、ワックスの異性化反応、オレフィンの異性化
反応、キシレンの異性化反応、トルエンの不均化反応、
芳香族化合物のニトロ化反応、フロン類の分解反応、ク
メンハイドロパーオキサイドの分解反応、ブテンとブタ
ンのアルキル化反応、芳香族化合物のアルキル化反応、
メタクリル酸などのエステル化反応、無水フタル酸のエ
ステル化反応、芳香族化合物のアシル化反応、イソブテ
ンとメタノールのエーテル化反応、ベックマン転位反
応、テトラヒドロフランの開環重合反応、オレフィンの
重合反応、メタンの酸化的カップリング反応などに用い
ることができる。
【0043】[酸化雰囲気中での処理]本発明の触媒
は、使用前、または、使用後に酸化雰囲気中で熱処理す
ることで触媒活性が向上する。通常、空気などの酸素の
存在した雰囲気で300〜500℃の熱処理を行う。雰
囲気の酸素の含有量は0.1〜50容量%、特には1〜
30容量%が好ましく、窒素と酸素の混合物、窒素と空
気の混合物、空気などが好適に用いられる。特に、処理
温度350〜480℃、処理時間0.1〜100時間が
好ましい。処理圧力は、減圧、常圧、加圧下で処理が可
能であるが、常圧での処理が簡便であり、好ましい。こ
の酸化雰囲気中での処理により、触媒は乾燥され、ま
た、吸着物質や使用により付着した堆積物が酸化され除
去されることにより活性化されると考えられるので、用
いる空気は水分などの不純物が低減された空気を用いる
ことが、特に触媒使用前には好ましい。具体的には、2
0℃における相対湿度を5%以下に除湿した雰囲気が好
ましく用いられる。処理温度が高すぎると触媒の性状が
変化し、また処理温度が低すぎると触媒が十分に乾燥さ
れず、何れの場合も活性が低下する。触媒製造時の焼成
などの熱処理の後、1日以上、特には、10日以上の期
間、大気中におかれていた触媒、または、酸触媒反応に
使用された触媒に対してこの処理は有効である。また、
非酸化雰囲気(酸素を含まない気流)中で処理を行って
も触媒の活性は低下する。
【0044】酸化雰囲気中での処理の後、触媒は水分な
どの吸着をさける必要がある。このため、この処理は、
反応を行う反応装置や反応器に触媒を導入した後に行
い、大気を実質的に導入することなく、目的の酸触媒反
応を開始することが好ましい。目的の酸触媒反応が水素
雰囲気などの還元雰囲気で行われる場合には、反応開始
前に、窒素ガスまたはアルゴンガスなどの希ガスのよう
な不活性雰囲気に置換してからその反応を開始すること
が好ましい。なお、1日程度の期間、大気に暴露しても
活性は大きく低下はしないので、小規模な反応装置など
では、反応容器外でこの酸化雰囲気中の処理を行ない、
その後、反応容器に触媒を導入してもよい。
【0045】また、反応装置や反応器中で反応に使用さ
れ、活性が低下した触媒に適用することもできる。特
に、触媒上にコークと呼ばれるような炭素質が析出して
いる場合には、酸素濃度を0.1〜20容量%、特には
0.2〜5容量%として、急激に炭素質の酸化が行われ
ないようにすることが好ましい。
【0046】[異性化反応用炭化水素]本発明の異性化
反応の原料となる炭化水素は、特に限定されないが、沸
点範囲−20℃〜150℃程度の石油留分中にある炭化
水素が好ましく用いられる。さらには炭素数4〜6の飽
和炭化水素が全体の70重量%以上、特には90重量%
以上を占めるような炭化水素に好ましく用いられる。好
ましい反応は、直鎖パラフィンが分岐パラフィンに異性
化され、オレフィンや芳香族化合物が水素化されて鎖状
あるいは環状のパラフィンになり、さらに異性化される
反応である。炭化水素化合物の異性化の反応条件として
は、好ましい反応温度の範囲が20〜300℃、特には
100〜250℃であり、好ましい反応圧力の範囲が1
〜50kgf/cm、好ましいLHSVの範囲が0.
2〜10/hr、好ましい水素/原料比の範囲は、原料
炭化水素に含まれる不飽和分(オレフィン分、芳香族
分)を飽和させるために必要な水素量以上、特には0.
01〜10mol/molである。
【0047】本発明の異性化反応の原料となる炭化水素
中の硫黄化合物の含有量は、硫黄重量として500pp
m以下、特には100ppm以下、さらには1ppm以
下であることが好ましい。本発明の異性化反応の原料と
なる炭化水素中の水分量としては、100ppm以下、
さらに好ましくは5ppm以下、特には1ppm以下で
あることが好ましい。
【0048】本発明中の炭化水素の異性化反応では、触
媒活性を継続的に保つために、必要に応じて原料炭化水
素中に塩素含有化合物を導入し、反応系内に供給する。
塩素含有化合物としては、塩素、無機塩素含有化合物、
有機塩素含有化合物が挙げられるが、特には有機塩素含
有化合物が好適に用いられる。有機塩素含有化合物とし
ては特には限定はないが、例えばクロロホルム、四塩化
炭素、塩化メチレン、次クロロエタン、トリクロロエタ
ンや、それらの混合物などが好適に用いられる。塩素含
有化合物の導入量は、原料炭化水素中に占める塩素量と
して0.1ppm〜10000ppm、好ましくは1〜
1000ppmである。
【0049】
【実施例】以下、実施例により詳細に説明する。まず、
評価方法を説明する。
【0050】[含水ジルコニア粉及び含水アルミナ粉の
灼熱減量(水分量)測定方法]試料粉50gをるつぼに
入れ、1400℃で1時間以上、空気雰囲気で保持した
後、重量減少率を測定し、灼熱減量とした。
【0051】[凝集粒子の平均粒径測定方法]日機装
(株)MICROTRAC粒度分析計を用い、湿式測定
法で測定した。これは、粉体を水中に分散させ、流れる
凝集粒子群にレーザー光を照射し、その前方散乱光によ
り粒度分析を行うものである。
【0052】[アスペクト比の測定方法]日立製作所製H
−9000UHR透過型電子顕微鏡を用いて粉体を観察
し、画像フィールド中に存在する粒子から無差別に10
個を抽出し、その粒子の長軸と短軸の長さの比を測定し
てそれらの平均を求めるものである。
【0053】[X線回折による結晶種比の算出方法]X線
回折チャートからジルコニアの正方晶と単斜晶のピーク
分離を行い、2θ=28.2゜における単斜晶ジルコニ
アのピークの面積と、2θ=30.2゜における正方晶
ジルコニアのピークの面積との比(S28.2/S3
0.2比)を算出した。なお、S28.2/S30.2
比が0.02以下では、単斜晶ピークが不明瞭となり検
出不能であった。 広角X線測定装置;理学電機(株)製 RAD−1C
横型ゴニオメーター X線管球;封入管型Cu管球(出力30kV−20m
A、波長1.5406Å) 測定領域(2θ);3〜90゜ ステップ幅;0.02゜ スキャンスピード;4゜/min スリット幅;ダイバージェントスリット(DS)=1゜ スキャッタリングスリット(SS)=1゜ レシービングスリット(RS)=0.3mm スムージング条件;Savitzky, Golayの15点の重み付
き平滑化法 ピーク分離使用領域(2θ);26.5〜32.5゜ 分離対象ピーク数;4本(単斜晶2本、正方晶1本、非
晶質1本) 結晶種比算出使用ピーク; 単斜晶;2θ=28.2゜(d=3.163、hkl=
111) 正方晶;2θ=30.2゜(d=2.960、hkl=
111)
【0054】[細孔構造の測定方法]比表面積及び細孔直
径0.002〜0.05μmの範囲の細孔構造について
は、Micromeritics社製ASAP2400
型測定器を用い、窒素吸着法にて測定した。細孔直径
0.05〜10μmの範囲については、Microme
ritics社製AutoPore9200型測定器を
用い、水銀圧入法にて測定した。
【0055】[平均圧壊強度の測定方法]富山産業(株)
製TH−203CP錠剤破壊強度測定器を用い、円柱状
に押出成形し、乾燥、焼成したサンプルを用いて側面圧
壊強度を測定した。測定プローブは先端が直径4.5m
mの円形状のものを使用した。測定サンプルを、円柱サ
ンプルの側面中央に当てて測定する操作を20回繰り返
し、その平均値を算出した。
【0056】[触媒A]市販の乾燥水酸化ジルコニウムを
乾燥して灼熱減量9重量%の含水ジルコニア粉体を得
た。この粉体は平均粒径1.2μmであった。また、市
販の擬ベーマイト粉のうち、アスペクト比58の繊維状
の粒子形状を有する、灼熱減量27重量%、平均粒径1
0μmの粉体を選び含水アルミナ粉体として用いた。こ
の含水ジルコニア粉体1860gと含水アルミナ粉体1
120gを加え、さらに硫酸アンモニウム575gを加
え、攪拌羽根のついた混練機で水を加えながら45分間
混練を行った。得られた混練物を直径1.6mmの円形
開口を有する押出機より押し出して円柱状のペレットを
成形し、110℃で乾燥して乾燥ペレットを得た。続い
てこの乾燥ペレットの一部を空気の流通量を0.4l/
分としてバッチ式焼成装置を用い、725℃で1時間
(室温から725℃まで1時間で昇温)焼成し、触媒A
187gを得た。
【0057】成形された触媒Aは、平均直径1.5m
m、平均長さ5mmの円柱状であり、平均圧壊強度は
3.8kgであった。触媒AのS28.2/S30.2比は0.
05であり、単斜晶構造はほとんど存在していない。触
媒A中に占めるジルコニアの割合はジルコニウム元素重
量として46.6%、アルミナの割合はアルミニウム元
素重量として15.5%、硫酸分の割合は硫黄元素重量
として2.5%、塩素分の割合は0.01重量%以下で
あった。触媒Aの比表面積は169m/g、細孔直径
0.002〜10μmの細孔容積は0.47ml/gで
あった。触媒Aの細孔直径0.05〜10μmの細孔容
積は0.15ml/gであり、0.18μmにのみ明確
なピークが認められた。触媒Aの細孔直径0.002〜
0.05μmの細孔容積は0.32ml/gであり、平
均細孔直径は57Åであった。
【0058】[触媒B]125gの触媒Aに、触媒中の白
金量が0.5重量%になるように塩化白金酸の水溶液を
スプレー担持した。これを乾燥後、500℃で1時間
(室温から500℃まで1時間で昇温)焼成して触媒B
約125gを得た。触媒Bの形状、平均圧壊強度、結晶
構造、ジルコニアの割合、アルミナの割合、硫酸分の割
合、塩素分の割合、比表面積、細孔直径0.002〜1
0μmの細孔容積、細孔直径0.05〜10μmの細孔
構造、細孔直径0.002〜0.05μmの細孔容積は
触媒Aと同等であった。触媒B中に占める白金の割合は
0.5重量%、触媒Bの細孔直径0.002〜0.05
μmの範囲の平均細孔直径は62Åであった。
【0059】[触媒C]市販の乾燥水酸化ジルコニウムを
乾燥して灼熱減量(水分量)9重量%の含水ジルコニア
粉体を得た。この粉体は平均粒径1.2μmであった。
また、市販の擬ベーマイト粉のうち、アスペクト比58
の繊維状の粒子形状を有する、水分量27%、平均粒径
10μmの粉体を選び含水アルミナ粉体として用いた。
この含水ジルコニア粉体1860gと含水アルミナ粉体
1120gを加え、さらに硫酸アンモニウム575gを
加え、攪拌羽根のついた混練機で水を加えながら45分
間混練を行った。得られた混練物を直径1.6mmの円
形開口を有する押出機より押し出して円柱状のペレット
を成形し、110℃で乾燥して乾燥ペレットを得た。続
いてこの乾燥ペレットの一部を、空気の流通量を0.4
L/分としてバッチ式焼成装置を用い、675℃で2時
間(室温から675℃まで1時間で昇温)焼成し、触媒
C190gを得た。
【0060】成形された触媒Cは、平均直径1.5m
m、平均長さ5mmの円柱状であり、平均圧壊強度は
3.6kgであった。触媒AのS28.2/S30.2比は0.
05であり、単斜晶構造はほとんど存在していない。触
媒C中に占めるジルコニアの割合はジルコニウム元素重
量として46.1重量%、アルミナの割合はアルミニウ
ム元素重量として15.4重量%、硫酸分の割合は硫黄
元素重量として2.8重量%、塩素分の割合は0.01
重量%以下であった。触媒Cの比表面積は170m
g、細孔直径0.002〜10μmの細孔容積は0.4
7ml/gであった。触媒Cの細孔直径0.05〜10
μmの細孔容積は0.15ml/gであり、0.18μ
mにのみ明確なピークが認められた。触媒Cの細孔直径
0.002〜0.05μmの細孔容積は0.32ml/
gであり、平均細孔直径は56Åであった。
【0061】[触媒D]125gの触媒Cに、触媒中の白
金量が0.5%になるように塩化白金酸の水溶液をスプ
レー担持した。これを乾燥後、680℃で0.2時間
(室温から680℃まで0.5時間で昇温)焼成して触
媒D約125gを得た。触媒Dの形状、平均圧壊強度、
結晶構造、ジルコニアの割合、アルミナの割合、硫酸分
の割合、塩素分の割合、比表面積、細孔直径0.002
〜10μmの細孔容積、細孔直径0.05〜10μmの
細孔構造、細孔直径0.002〜0.05μmの細孔容
積は触媒Cと同等であった。触媒D中に占める白金の割
合は0.5重量%、触媒Dの細孔直径0.002〜0.
05μmの範囲の平均細孔直径は63Åであった。
【0062】[アシル化反応]攪拌効率を上げるため触媒
(触媒A、C)を乳鉢で粉砕し、32メッシュ以下に篩
い分けた触媒20.0gをオートクレーブ内に入れ、空
気雰囲気に変えて400℃、1時間の前処理を行った。
その後、大気を導入することなく、オートクレーブ内を
窒素雰囲気とし、クロロベンゼン225g、p-クロロベ
ンゾイルクロリド35gを加え、135℃で攪拌しなが
ら反応を行った。3時間反応後の反応液をガスクロマト
グラフにより分析した。
【0063】アシル化体であるジクロロベンゾフェノン
の収率は、触媒Aを用いた場合28%、触媒Cを用いた
場合も28%であった。
【0064】[異性化反応]16〜24メッシュに整粒し
た触媒(触媒B、D)4ccを、長さ50cm、内径1
cmの固定床流通式反応器中に充填し、前処理の後、ラ
イトナフサの異性化反応を行った。前処理は、温度:4
00℃、圧力:常圧、雰囲気:空気で1時間行った。そ
の後、大気を導入することなく、反応器内を窒素雰囲気
とし、さらに水素雰囲気としてから、異性化反応を開始
した。
【0065】反応原料となるライトナフサ(反応原料
1)は、脱硫ライトナフサをモレキュラーシーブ3Aに
よって脱水して得た。反応原料1はブタンを4.9重量
%、ペンタンを56.3重量%、ヘキサンを32.6重
量%、シクロペンタンを2.3重量%、メチルシクロペ
ンタン及びシクロヘキサンを2.8重量%、ベンゼンを
1.1重量%含み、オレフィンを0.1重量%含んでい
た。また、水分の濃度は0.1重量ppm以下であり、
硫黄化合物の濃度は硫黄換算1重量ppm以下、窒素化合
物の濃度は窒素換算0.1重量ppm以下、水以外の酸
素化合物の濃度は酸素換算で0.1重量ppm以下、塩
素化合物の濃度は塩素換算で0.1重量ppm以下であ
った。また、反応原料1中に水を添加し、水分濃度40
ppmとした反応原料を反応原料2とした。
【0066】また、反応に持ちいた水素ガスは純度9
9.99容量%で、水分は0.5重量ppm以下であ
り、他の不純物として、硫黄化合物の濃度は硫黄換算で
1重量ppm以下、窒素化合物の濃度は0.1重量pp
m以下、水以外の酸素化合物の濃度は酸素換算で0.1
重量ppm以下、塩素化合物の濃度は塩素換算で0.1
重量ppm以下であった。
【0067】ライトナフサの異性化反応は、反応圧力
(ゲージ圧):30kg/cm、LHSV=2/h
r、水素/油比(H/Oil):2(mol/mo
l)で行った。通油開始250時間後の反応管出口組成
をガスクロマトグラフィーにより分析した。分析結果で
ある反応管出口組成を表1に示す。表中i−C5/ΣC
5は炭素数5の鎖状炭化水素留分中に占めるイソペンタ
ンの割合(重量%)、2,2’−DMB/ΣC6は炭素
数6の鎖状炭化水素留分中に占める2,2’−ジメチル
ブタンの割合(重量%)である。反応原料1、2のi−
C5/ΣC5は40.0重量%、2,2’−DMB/Σ
C6は1.2重量%であった。
【0068】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10G 35/085 C10G 35/085 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 BA01A BA01B BA05A BA05B BA45A BD08A BD08B BD12A BD12B CB41 EC22X EC22Y FB30 4H006 AA02 AC27 BA09 BA10 BA17 BA30 BA36 BA37 BA68 BA81 BC32 4H029 CA00 DA00 4H039 CA19 CJ10

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含水ジルコニア粉体、含水アルミナ粉体
    および硫黄分含有化合物を混練し、成形し、得られた成
    形物を正方晶構造のジルコニアが得られる条件で焼成す
    る固体酸触媒の製造方法において、含水ジルコニア粉体
    の灼熱減量が5〜15重量%である固体酸触媒の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 焼成を100g/時の触媒生産あたり常
    温(27℃)体積換算で4L/分以下のガス流通量で行
    う請求項1記載の固体酸触媒の製造方法。
  3. 【請求項3】 固体酸触媒に周期律表第VIIIB族金属成
    分から選ばれる少なくとも1種の金属成分が担持されて
    いる請求項1または2記載の固体酸触媒の製造方法。
  4. 【請求項4】 固体酸触媒に塩素分が含まれている請求
    項1ないし3記載の固体酸触媒の製造方法。
  5. 【請求項5】 正方晶構造のジルコニア及び/又は含水
    ジルコニアからなる部分と、アルミナ及び/または含水
    アルミナからなる部分で構成され成形された担体と、こ
    の担体に担持された硫酸分を含み、触媒中に占めるジル
    コニアの割合がジルコニウム元素重量として25〜60
    重量%、アルミナの割合がアルミニウム元素重量として
    5〜30重量%、硫酸分の割合が硫黄元素重量として1
    〜6重量%、塩素分の割合が塩素元素重量として0.0
    2〜10重量%である酸触媒反応に用いられる固体酸触
    媒。
  6. 【請求項6】 触媒中に占めるジルコニアの割合がジル
    コニウム元素重量として30〜55重量%、アルミナの
    割合がアルミニウム元素重量として10〜25重量%、
    硫酸分の割合が硫黄元素重量として2〜5重量%であ
    り、比表面積が100〜300m/gである請求項5
    記載の固体酸触媒。
  7. 【請求項7】 触媒中に周期律表第VIIIB族金属成分か
    ら選ばれる1種以上の金属を0.01〜10重量%含む
    請求項5または6記載の固体酸触媒。
  8. 【請求項8】 酸触媒反応が炭素数4〜6の飽和炭化水
    素成分を70重量%以上含む炭化水素の異性化反応であ
    る請求項5ないし7記載の固体酸触媒。
  9. 【請求項9】 原料水素と原料炭化水素を請求項5ない
    し8記載の固体酸触媒に接触させる炭化水素の異性化方
    法において、原料炭化水素が、炭素数4〜6の飽和炭化
    水素成分を70重量%以上含み、原料炭化水素と原料水
    素中の水分含有量が5ppm以下であり、原料炭化水素
    と原料水素が塩素元素重量として0.1ppm〜100
    00ppmの塩素化合物を含有する炭化水素の異性化方
    法。
  10. 【請求項10】 水素/原料炭化水素のモル比が0.0
    1以上10以下である請求項9記載の炭化水素の異性化
    方法。
JP24989799A 1999-09-03 1999-09-03 固体酸触媒、その製造方法およびそれを用いた炭化水素の異性化方法 Pending JP2001070795A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002088114A (ja) * 2000-09-13 2002-03-27 Japan Polychem Corp オレフィン重合用触媒成分、オレフィン重合用触媒およびそれを用いたポリオレフィンの製造方法
JP2009525179A (ja) * 2006-02-03 2009-07-09 サン−ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティド 正方晶系ジルコニアを含む物品およびそれを製造するための方法
JP2011083701A (ja) * 2009-10-15 2011-04-28 Jx Nippon Oil & Energy Corp 水素源不純物に対する抗被毒特性に優れた水添触媒及びその製造方法
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CN109021648A (zh) * 2018-07-18 2018-12-18 赵阳 一种涂料专用超疏水防腐蚀氯化石蜡的制备方法

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